(前半から続く)
● アメリカの不況
FT January 7, 2019
We must prepare now for the
likelihood of a recession
Lawrence
Summers
PS Jan 7, 2019
What Will Cause the Next US
Recession?
J.
BRADFORD DELONG
アメリカ経済の次の不況は、景気の過熱を抑える連銀の金融引き締めによってではなく、金融市場の突発的な融資の停止、ショックによって始まるだろう。それに対する財政・金融政策の余地は不十分である。
SPIEGEL ONLINE 01/08/2019
End of the Boom
Germany Prepares for an Economic
Downturn
By
Christian Reiermann
FT January 9, 2019
Why the world economy feels so
fragile
Martin
Wolf
FT January 9, 2019
Don’t blame the Fed if the US
economy tanks
John
Plender
● 新興市場
FT January 7, 2019
The premature ageing of emerging
market economies
Hung
Tran
● 資本逃避の増大
PS Jan 7, 2019
Where Have All the Safe Havens Gone?
BENJAMIN
J. COHEN
トランプによる暴言と介入で、世界の金融市場は投資家が危機から避難する安全資産を失った。それに代わる金融市場は、ユーロ、スイス、イギリス、日本、中国にない。それゆえ、ますます国際投資は不安定化し、小さな不安でも逃避し始める。
● ユーロ生誕20周年
PS Jan 7, 2019
The Euro Turns 20
DANIEL
GROS
ユーロは、今から20年前のこの月に、11か国で為替レートを「不可逆的に」固定して、誕生した。実際の通貨が流通したのは2002年であった。
1999年には、ユーロの導入でドイツが大きな損失を強いられる、と考えられた。ECBはドイツ連銀ほどインフレを抑えられないだろうし、ドイツ・マルクが大幅に過大評価されて(ユーロに参加したため)巨額の経常赤字をドイツは出す、と。そのレベルで為替レートを固定するには、ドイツ産業の競争力が大きく損なわれるだろう。
しかし20年経って、インフレは以前よりも低く、ドイツは巨額の経常黒字を続けている。すなわち、ドイツ産業の競争力は強すぎるのだ。こうして、20年間の第1の教訓は、ユーロ圏の個々の参加国のパフォーマンスはあらかじめ決まっていなかった、ということだ。
スペインのように、変化する条件に進んで適用する能力があり、痛みの伴う選択も実行する意志がある、というのが、(ユーロ圏内の)最初の位置よりも重要だ。このことは未来についても言える。ドイツの支配的地位は、今後20年間、保証されているわけではない。
ただし、ユーロ圏の制度は後ろ向きであった。1970年代、80年代の主要な関心はインフレであった。しかし、国境を越えた金融市場の活動は、特にユーロ圏内で、飛躍的に高まった。世界金融危機が起きたとき、アメリカの金融(そして政治)システムは比較的迅速にこれに反応したが、ユーロ圏では行動が遅れた。幸い、ECBは頑健さを示した。インフレではなく、デフレに対する行動を取った。そしてユーロ圏加盟諸国の指導者たちは、政治資本を費やし、必要な改革を行った。
第2の教訓は、ユーロを守る前に、それを非難する、というパターンが観られる。それは今も続いている。際限ない暗いニュースが続くように見えても、実際、ユーロ圏のパフォーマンスは決して悪くない。1人当たりGDP成長は、過去20年間、アメリカや他の先進経済にそれほど劣っていない。また、ヨーロッパ労働市場の改革は進み、雇用を生み出している。
第3の教訓は、ユーロ圏の国民がユーロを支持していることだ。多くの欠陥にもかかわらず、共通通貨は雇用をもたらし、ユーロ圏を離脱したいと望む声は小さい。
最も重要な教訓は、将来は過去と同じではないことだ。新しい挑戦に対して、弾力的で、改革の意志を持つときだけが、共通通貨は成功することができる。
● ネオリベラリズムの約束
PS Jan 7, 2019
From Yellow Vests to the Green New
Deal
JOSEPH
E. STIGLITZ
現在の不満には理由がある。中道左派と中道右派の政治指導者たちが、この40年間、ネオリベラリズムの約束をしてきたが、それは失敗であったからだ。グローバル化、金融化、規制緩和、民営化は、かつてない繁栄などもたらさなかった。一握りのエリートだけが富を増やし、人工の大部分は新しい脆弱性と不安定さに陥った。
グリーン・ニュー・ディールは、政府にできることの積極的メッセージを送るだろう。
● トルコによるシリア和平
NYT Jan. 7, 2019
Erdogan: Turkey Has a Plan to
Restore Peace in Syria
By
Recep Tayyip Erdogan
空爆ではなく、地上軍を展開して、インフラを破壊することなく、市民生活を取り戻した。過激化の根源を取り除くには、すべての勢力の政治的関与を高めて、法と秩序による安定した支配を確立することだ。
FP JANUARY 10, 2019
Don’t Blame Everything on Erdogan
BY
SELIM SAZAK
● 台湾海峡
FP JANUARY 7, 2019
No Smiles Across the Taiwan Strait
BY
DEREK GROSSMAN
● 新しい米中冷戦
FP JANUARY 7, 2019
A New Cold War Has Begun
BY
ROBERT D. KAPLAN
米中関係は冷戦時代に入った。絶え間なく、アメリカの軍艦の航行記録、ペンタゴンの個人情報がハッキングされている。それは異なる手段による戦争だ。新しい冷戦は永久に続く。なぜなら軍人や戦略家たちはその背景にある要因を理解しているからだ。しかし、多くのビジネス・金融の関係者たちは、ダボスのように、それを否定しようとする。
中国人は、アメリカ海軍と空軍を太平洋の西側(南シナ海・東シナ海)から追い出そう、と固く決意している。アメリカは留まる決意だ。中国人は、彼らの観点では、完全に正しいことをしている。彼らは南シナ海を、アメリカの戦略家たちが19世紀・20世紀にカリブ海を観たように、見ているのだ。その青い海は彼らの巨大な大陸塊の延長であり、その海域を支配することで、彼らの海軍は太平洋やインド洋に出ていくことができる。また、台湾も平定できる。それはアメリカがカリブ海を支配し、西半球を支配することで、2度の世界大戦や冷戦のような東半球のバランス・オブ・パワーに影響を与えたことと同じである。アメリカの世界支配がカリブ海から始まったように、中国にとっては、すべてが南シナ海から始まる。
しかし、アメリカ人は太平洋西部から退かないだろう。1853年にコモドア・ペリー提督が日本を開港したように、アメリカはずっと太平洋を支配してきた。アメリカ国防総省は、ロシアよりも、中国の脅威に強く反発している。リベラルなタカ派もそうだ。米中の貿易摩擦と軍事摩擦とは切り離せない。トランプ支持者たちと民主党が協力するのは、中国のビジネスの在り方に反対するときだ。
新しい冷戦には、イデオロギーの側面もある。数十年間、アメリカは中国の高い成長率を称賛してきたが、開明的な鄧小平の権威主義から、より硬質な習近平の権威主義体制に変わった。その体制は、インターネットを通じて市民を監視し、ウイグルのイスラム教徒を多数拘束している。米中のシステムは、アメリカの民主主義とソ連の共産主義との差と同じくらい、大きく隔たるものになった。
技術は、対立を緩和するより、むしろ先鋭化している。同じデジタル生態系に生きるアメリカと中国が、何千マイル離れていても、統合された戦争状態に向かう危機を、歴史上、初めて生じる。太平洋は、もはや、かつてほど十分な緩衝地帯ではなくなった。米中が、高度な軍・情報・軍拡体制で競争している。
しかし、このことが直ちに戦争を意味するわけではない。高まったとはいえ、軍事的衝突は半々の確率だろう。それは単に、恐怖、名誉、利益にけるツキディデスの罠を意味するだけでなく、台湾問題のような、中国人が一気に感情を爆発させる問題があるからだ。空や海における事件が、軍事的なスパイラルを生じる。また、多くの戦争がそうであったように、だれも望まないとしても、予想外の事件から戦争は起きる。南シナ海や東シナ海の事件は金融市場に影響する。
戦争は水爆の使用に対する恐怖から抑制されるだろう。しかし、核戦争への不安は次第に重視されなくなっている。実際に使用する目的で、双方の政策担当者は、精密誘導技術、小型の核兵器を開発している。また大規模なサイバー攻撃のように、非核戦争の領域が急速に拡大している。
中国の台頭よりも、その衰退を恐れるべきである。政府は正当性を維持するために、ナショナリズムに訴えるかもしれない。中国が東シナ海で一層の攻撃的な姿勢を抑えているのは、日本との軍事衝突で敗北することを恐れているからだ。それは中国の指導体制を権威失墜に追い込み、共産党の安定性も疑わしいものとなる。中国は日本の軍事力を圧倒するまで戦争を避けてきたが、新しい米中冷戦は、旧冷戦以上に、経済的な後退において非合理的情念に抵抗できないだろう。
21世紀前半の地政学的な挑戦とは、米中冷戦を熱戦に変えないことだ。
米中の軍事関係者がホットラインを設けて、危機において情報交換する体制を持つべきだ。そして、グローバルなソーシャル・メディアの時代に、情念こそが真の敵となる。かつてジョージ・ケナンが述べたように、「不断に警戒しながら、しかし、個別の問題や危機においては進んで妥協せよ。」 そして待つのだ。旧ソ連とは違う意味で、中国のシステムは、時とともに権威主義を強めて、アメリカのシステムよりも分裂を生じるだろう。
FP JANUARY 7, 2019
Welcome to Congress. Here’s How to
Run the World.
BY
STEPHEN M. WALT
ハーヴァード大学のthe Institute of Politics at the
Harvard Kennedy Schoolは、新議員たちに2日間の超党派的オリエンテーションを行っている。その中身は非公開だが、私は自分が行った5分間の挨拶を公開できる。こんな話をした。・・・
外交政策は、この不確実で、競争的な世界において、アメリカ国民の平和と繁栄を高めることが目的である。同時に、私たちの核心的な政治的価値を守ろうとする。
この点で、アメリカ外交のこの数十年間は、ほとんどが失敗であった。25年前、ロシアや中国との関係は、今よりもはるかに良かった。テロ攻撃、イラクとアフガニスタン、民主主義、EU、イギリス、北朝鮮、インドとパキスタン。アメリカの多くの軍事介入が先の見えない混乱を残している。
そのすべてがアメリカの責任だ、とは言えないが、民主・共和の大統領たちが、そこに多くの指紋を残している。私はあなたたちに最近お外交を疑うべきだ、と主張したい。
さらに、5つの点を指摘する。第1に、アメリカ国内の民主的制度を修復すること。2つの政党の深刻な対立に橋を架けるべきだ。超党派的な外交課題から始めるのがよい。
第2に、2001年のAuthorization
for Use of Military Force(MUMF)を廃止する。9・11に際して成立した法律が、大統領たちが軍事行動を正当化する手段となった。
第3に、中国について学ぶこと。第4に、制裁をよく考えて、効果的な、少数のケースに抑えること。効果的な外交は妥協を含むものだ。それゆえ、交渉に応じる大統領や議員たちを、「宥和政策」と非難してはならない。
第5に、世界を自分のイメージに合わせて改造することは考えない。そんなことはできない。自国が手本を示すべきだ。
FT January 8, 2019
Democrats draw foreign policy battle
lines
Anne-Marie
Slaughter
PS Jan 8, 2019
The Year of Trump?
JOSEPH
S. NYE
NYT Jan. 8, 2019
Trump Is Right to Seek an End to
America’s Wars
By
Jon Finer and Robert Malley
FP JANUARY 8, 2019
America’s Freedom of Navigation
Operations Are Lost at Sea
BY
ZACK COOPER, GREGORY POLING
FP JANUARY 9, 2019
Mike Pompeo Is Flying Solo in the
Middle East
BY
ROBBIE GRAMER
● 学生ローン
FT January 8, 2019
America’s students should take a
less indebted path
Susan
D’Agostino
● 世界銀行総裁の辞任
FT January 8, 2019
Kim’s resignation from World Bank
leaves multilateralism at stake
Kevin
P Gallagher
FT January 9, 2019
A new president and new role for the
World Bank
世銀総裁キムの辞任は、慣例により、アメリカが指名するかもしれない。それはトランプの「アメリカ・ファースト」に利用される恐れがある。むしろ、世銀に対する批判を吸収して、新しい姿勢を打ち出すべきだ。
PS Jan 10, 2019
Fully Filling the Global Fund
JEFFREY
D. SACHS, GUIDO SCHMIDT-TRAUB, VANESSA FAJANS-TURNER
毎年、2500万人の命を奪う病気を治す世界基金the Global Fund to Fight
AIDS, Tuberculosis, and Malariaが必要だ。
PS Jan 10, 2019
Disrupting Multilateral Climate
Finance
HÅVARD
HALLAND, JUSTIN YIFU LIN
● 日本ファースト
PS Jan 8, 2019
Japan First
IAN
BURUMA
FT January 9, 2019
Ghosn case puts Japan’s justice
system on trial
FT January 9, 2019
Nissan saga makes ‘Japan Inc’ look
ever more of a myth
Leo
Lewis
FT January 9, 2019
Japan’s cash addiction will not be
easily broken
Leo
Lewis
● アメリカの貧困
PS Jan 8, 2019
How American Poverty Became “Fake
News”
ANGUS
DEATON
● インドの女性運動
NYT Jan. 8, 2019
Two Women Enter a Temple. A Country
Erupts.
By
Supriya Nair
PS Jan 9, 2019
India’s Great Wall of Equality
JAYATI
GHOSH
● グローバリゼーションと壁
FT January 9, 2019
Donald Trump’s stamp on history is
greater than his flailing implies
Janan
Ganesh
PS Jan 9, 2019
Globalization at a Crossroads
GORDON
BROWN
FT January 11, 2019
Donald Trump should climb down from
the wall
FT January 10, 2019
Donald Trump has become entrapped by
his phantom wall
Edward
Luce
● イタリア政治
PS Jan 9, 2019
Italy’s Writing on the Wall
HAROLD
JAMES
FT January 10, 2019
Salvini taunts the EU
By:
Thomas Hale
● 安保理
SPIEGEL ONLINE 01/10/2019
Enshrined Impotence
Germany Joins a Dysfunctional
Security Council
By
Dietmar Pieper
● 2019年が静かな年であるために
PS Jan 10, 2019
Shelter from the Storm in 2019
BARRY
EICHENGREEN
どうすればこの1年が、経済的に、金融的に、そして、政治的に、静かな年であるだろうか? それには安定性に対する4つの脅威を避ける必要がある。
1.米中貿易戦争を止める。貿易戦争の哄笑による解決がニュースになると、金融市場はプラスに反応した。新しい敵対が生じるとマイナスに転じた。サプライチェーンをかく乱し、世界の成長を損なうなら、金融市場や消費にも悪い影響が及ぶ。
2.アメリカは少なくとも2%の成長を実現する。もしそれを大きく下回るなら、金融市場は急激に悪化し、市場の信頼や安定性が失われる。
3.中国は金融市場を強化する必要がある。GDP比で160%に達する債務を減らすべきだが、インフラ投資や製造業生産が減少しつつある。政府の目標である6%成長が達成できそうにない。それは債務問題を悪化させ、新興市場にも影響する。
4.5月の欧州議会選挙で、ヨーロッパ統合に反対するウはナショナリスト連合が勝利するのを阻む必要がある。ユーロ圏の改革は進めるべきだ。共通の預金保険、ある程度のヨーロッパ共通財政、共通の銀行救済基金、欧州安定化メカニズム。しかし、共通通貨がエリートの計画で、広く支持されていなければ、統合は続かない。広い支持は投票によって示される。
これら4つのプラスの結果が成立することは、決して確実ではない。いくつかが成立すれば、他の条件にプラスとなる。他方、マイナスの結果は、他の見通しを暗くする。
最後に、ミューラー特別検事の報告が生じる影響は、限定されることが望ましい。それは矛盾しているようだが、トランプの性格では、彼やその家族に対する検察の報告に対して、どのような行動も辞さないであろう。それは、単にミューラーや民主党が多数を占める下院だけでなく、連銀、中国、メキシコ、中米諸国、ヨーロッパなど、トランプの政治的な失敗を隠す煙幕を広げるものだ。弾劾について、共和党が多数の上院を説得できない以上、こうした混乱に終わりが見えない。
民主党は、トランプの弾劾を目指すより、再選を阻むことに集中するべきだ。そのための政策綱領と候補者を探すのだ。そして、2020年11月まで、まだあまりにも長い時間を、われわれは祈るしかない。
NYT Jan. 10, 2019
The Shutdown Isn’t the Only Threat
to the Economy
By
Sheila C. Bair and Gaurav Vasisht
● トランプvsOCA
NYT Jan. 10, 2019
Trump vs. Ocasio-Cortez: Who Will
Win the Internet?
By
Kara Swisher
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The Economist December 22nd 2018
Zip fasteners:
Alligators of ecstasy
Charlemagne:
Driving each other mad for Christmas
The
constitution: Goodbye, good chap
The trade war:
Peace offering
The great
Texas emu bubble: An investment that never took off
(コメント) ファスナーの世界市場を40%支配しているのがYKKです。もちろん、最初はイギリスの産業革命からでした。
イギリスの政治的な混迷を、どのように理解したらよいのか? 憲法がないことを自慢していた政治家たちの醜い論争が続き、投票は先延ばしにされます。
中国の姿勢は変わった。国内の安定化を優先しなければならない以上、トランプとの貿易戦争には休戦条約が求められます。
そして、テキサスのエミュー・バブル。月の土地や資源、クジラにもバブルが起きるのでしょうか?
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IPEの想像力 1/14/19
大統領選挙と景気変動には一定のパターンがある、と言われます。ポピュリストの政権が登場し、投資・輸出ブームと財政破たん・金融危機を繰り返すのも、金融市場が過熱し、バブルを生じた後、金融システム救済のために債務が膨張するのも、たびたび指摘されることです。
Brexitとトランプの時代とは、こうした政治経済の崩壊サイクルが中枢を支配し、グローバル化した、ということかもしれません。
左派のポピュリズムと長期の平和、成長への期待があった時代は、民主主義的な制度が支持されて、競争的な政党制による政策決定が諸問題の解決に機能しました。しかし、右派ポピュリズムと国際秩序の衰退、成長の減速もしくは長期のデフレにおいては、富裕層が民主的政治を操作して「秩序」を維持し、エスタブリッシュメントの「支配」を破壊するための権力集中が叫ばれ、結果的に、民主主義の諸制度は支持されなくなりました。
繰り返される政治経済危機というのは、システムの根本問題を意味します。それを解決できない状態が、たとえバブルが人間の集団心理によるものであっても、悪意と強欲によって選挙運動や金融投機を利用する者に、このシステムの権力と富を配分するのです。
それを解決することはできるのでしょうか?
ROBERT D.
KAPLANの米中の新冷戦は、南シナ海・東シナ海をカリブ海にたとえています。覇権体制の実現は、軍事力による海洋の制圧、核兵器の管理にあります。大国を隔ててきた距離が失われ、特に情報ネットワークが緊密な統合体を形成する中で、新しい冷戦による覇権争いが米中間で生じています。軍事衝突を避けながら、互いの政治経済体制・社会システムを競争させる新冷戦が、次の国際秩序を模索します。
BARRY
EICHENGREENは、2019年が静かな年であるために、4つの条件を示しました。1.米中貿易戦争、2.アメリカの成長、3.中国の金融市場。4.欧州議会選挙。そして、トランプの破壊活動を刺激するミューラー報告と民主党議会です。グローバルなポピュリスト循環の前衛を担う位置にある、トランプの脅迫が人類を襲います。
STEPHEN
M. WALTは、新しい議会代表たちのためにハーヴァード大学が行う、新人研修に講師として招かれました。河野外相も、かつて聴いたことがあるかもしれません。
外交政策は、不確実で、競争的な世界における、自国の平和と繁栄を高めることが目標である。そして、1.国内の民主的制度を改革せよ。2.大統領が軍事力を行使する特別な権限を廃止せよ。3.中国についてもっと多くを学べ。4.制裁を乱発するな。5.自分のイメージに合わせて世界は改造できない。むしろ、自国の改革によって、平和と繁栄のための模範となれ。
日本も、この世界の一部にあります。ユーラシア大陸の東、「北方領土」はロシアにとってのカリブ海や南シナ海であり、西の黒海やシリアと連動しています。
トランプ大統領が強化する景気変動と米中対立は、かつてヨーロッパが経験した戦間期の再現として、将来の歴史家たちの評価を待っています。
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