前半から続く)


 ドイツ政治

NYT Dec. 8, 2018

What Comes After the Merkel Era?

By Anna Sauerbrey

SPIEGEL ONLINE 12/10/2018

Kramp-Karrenbauer's Win

Rough Road Ahead for the Merkel Dynasty

A Commentary by René Pfister

FT December 12, 2018

East Germany fears a loss of influence with the rise of AKK

Frederick Studemann


 アメリカのWASP

NYT Dec. 8, 2018

The Case Against Meritocracy

By Ross Douthat


 ヨーロッパの制度改革案

The Guardian, Sun 9 Dec 2018

Our manifesto to save Europe from itself

Thomas Piketty

反ヨーロッパの政権がヨーロッパ各地に誕生し、Brexitも迫っている。ヨーロッパの現状をこのまま放置しておくことはできない。この大陸には、一方に外国人や移民を排斥するモデルが、他方にはリベラリズムの強硬派、すなわち、競争を広げるだけで政治プロジェクトは十分だ、というモデルがある。こうした社会的理想の欠如が、見捨てられたという感情を生み出す。

10年の経済危機後に、ヨーロッパの構造問題を解決する試みが始まっている。公共部門(特に、訓練、研究)への投資不足。社会的不平等の増大。地球規模の温暖化、移民・難民の受け入れ。しかし、これらの運動は一貫した代替的プロジェクトを示すことが難しい。将来のヨーロッパをどのように組織したいのか、正確に描くことはむつかしい。

それゆえわれわれヨーロッパ市民は、異なるバックグラウンドと国家から、ヨーロッパの制度と政策を深部から転換するアピールをここに行う。この宣言には具体的な提案が含まれる。特に、民主化条約と予算プロジェクトだ。それらの基本はシンプルな確信にある。市民たちから成る公正で、持続する社会発展を確保する新しいモデルを、ヨーロッパは樹立しなければならない。

抽象的、理論的な約束ではなく、具体的な証拠を挙げて、市民を説得する。協力することで、グローバリゼーションからの利益を確保し、公共財を供給できる。大企業は中小零細企業よりも多く負担し、富裕層は貧しい人々よりも多くを負担する。今はそうなってない。

われわれの提案の基礎は、民主化のための予算である。それは新しい、主権を持つヨーロッパ総会assemblyで議論して決める。持続的な、連帯に依拠する経済の枠組みにおいて、基本的な公共財・サービスを生産する。その財源は4つの課税から得る。大企業の利潤、富裕層の所得(年20万ユーロを超える)、最富裕層の資産(100万ユーロを超える)、炭素の排出(1トン当たり30ユーロ以上)に対する課税である。予算は、研究や訓練。大学、成長モデルを転換する意欲的な投資、移民の受入れと統合化、転換による負担を強いられる人々への支援、に充てられる。

これは有徳の国からそうでない国への移転同盟ではない。負担と給付の差はGDP0.1%を超えないように制限する。もちろん、合意によってこれを変えることもできる。支出は、国家間の不平等ではなく、国家内の不平等を減らすことにもっぱら向けられる。ヨーロッパ市民すべての将来に向けた投資だが、事実上、国家間の収れんも促すだろう。

ヨーロッパが現在の官僚統治の行き詰まりを脱するに、われわれはヨーロッパ総会の樹立を提案する。総会は、既存の意思決定制度(特にユーロ圏財務大臣の非公式な月例会)と情報交換し、意見が対立したときは、総会が最終権限を有する。総会は、政党、社会運動、NGOなどの意見表明と妥協の場となる。政府交渉によるヨーロッパの制約を脱し、最も裕福で、最も移動性の高い者の、財政負担を避ける姿勢から解放されるには、統一税制が必要だ。

新しいヨーロッパ総会assemblyが税制と、諸国家間の民主的、財政的な、社会契約を決定するとしたら、各国とヨーロッパの議会parliamentのメンバーたちが中心となるに違いない。それゆえ、われわれは民主化条約をネットに公表する。ヨーロッパ総会のメンバーの80%は各国の議会から、20%はヨーロッパ議会から構成する。合意によって国民議会の比率をたとえば50%に下げてもよい。しかし、その比率を大きく下げることはヨーロッパ総会の民主的正当性を損なう、とわれわれは考えた。

こうして各国の選挙は、時事上、ヨーロッパ総会に反映される。各国の議員たちは単純にブリュッセルに責任転嫁できなくなり、有権者に対してヨーロッパ総会とその予算を説明しなければならない。各国とヨーロッパの議会を1つの総会にすることで、共同統治の行動規範が創造されるだろう。

PS Dec 12, 2018

The Revolution Europe Needs

GUY VERHOFSTADT

The Guardian, Thu 13 Dec 2018

My plan to revive Europe can succeed where Macron and Piketty failed

Yanis Varoufakis

BrexitEU離脱の困難を示したとすれば、マクロンの現在の窮状は、EU信奉者も同様に維持できない状態である、と示した。

マクロンはヨーロッパのエスタブリシュメントにとって最後の希望であった。ヨーロッパ統一プロジェクトに向けて彼が示した最小限の改革は3つだ。1.預金保険の共有(支払い不能の銀行と国家とのつながりを断つ)。2.財源の共有(ヨーロッパ全体で投資し、失業を救済する)。3.ハイブリッドの議会(国民議会と欧州議会のメンバーを合わせて、民主的な正当性を得る)。

当選以降、マクロンは2段階の戦略を試みた。まず、フランスの労働市場と財政を「ドイツ化」する(労働者の解雇を容易にし、緊縮策を強める)。第2局面で、アンゲラ・メルケルを説得して、ドイツの政治家たちをユーロ圏改革に合意させる。それは、メイの戦略と同じように、まったくの失敗であった。

1局面で、ベルリンは欲しいものを手に入れるだけで、その後、ドイツ首相は第2局面において何も譲歩する気がなく、あるいは、できなかったからだ。

歴史家たちは、将来、おそらくBrexit以上に、マクロンの失敗をEUの転換点とみなすだろう。それは、ドイツとの財政統合という、フランスの希望を終わらせる。そのことはThomas Pikettyたちの新しい改革案に示されている。

Pikettyたちは、2014年にも、同じような改革案を示した。2つを比べてみると、現在の案では、ハイブリッドの議会は残るが、債務の共有化、リスク・シェアリング、財政移転は、すべて放棄されている。それに代わって、法人税の共通化、富裕層への増税、資産への増税、炭素税で、8000億ユーロの財源を設け、それを国民国家内で支出する。財政的な国際移転はしない。これでは、何のための超国家的な議会なのか?

ヨーロッパは、半分支払い不能の銀行が過剰に膨張し、財政破たんに近い諸国が、マイナス金利に損なわれるドイツの貯蓄者を苛立たせ、人口の全体が鬱屈した状態にある。これらはすべて10年に及ぶ金融危機の印だ。富裕層や温暖化ガスの排出者に課税し、技術革新、移民の支援、グリーン・エネルギーへの転換に投資することは望ましいが、ヨーロッパの危機は解消できない。

そのためには、われわれが提唱する「ヨーロッパ民主化運動2025」が必要である。そのために、来年夏のヨーロッパ議会選挙で「ヨーロッパの春」連合を成功させることだ。

その最大のメリットは、1930年代のF.D.ルーズベルトが提唱したニュー・ディールを引き継ぎ、ヨーロッパ全体で、毎年、グリーン・エネルギーへの転換に5000億ユーロを投資することだ。増税は一切しない。

ヨーロッパ投資銀行(EIB)が債券を発行し、ECBが流通市場への介入を行って、その価値を保証する。市場では安全資産を渇望している。マイナス金利を維持するために過剰な流動性が供給されて、ドイツの年金基金は打撃を受けている。資金は容易に調達される。

ヨーロッパに希望が回復し、グリーンな繁栄が実現するなら、ヨーロッパ全体での炭素税、富裕層や大企業への課税も支持され、そのための民主的な制度の改革が可能になる。おそらく、UK2度目の国民投票で、より良い、公正な、グリーンの、民主的EUへ再統合する、と国民が支持する環境が整うだろう。

PS Dec 13, 2018

Europe in Disarray

RICHARD N. HAASS


 暗号通貨

PS Dec 10, 2018

Betting on Dystopia

KENNETH ROGOFF

ビットコインの価値は80%が失われた。暗号通貨には価値がないのか?

暗号通貨の新規発行は続いている。通貨当局は、暗号通貨による脱税や犯罪行為に対する技術的キャッチアップができていない。スウェーデンや中国の中央銀行はデジタル通貨の発行を始めた。しかし、民間が新しい通貨を発明しても、政府や中央銀行はそれらを規制するようになる。

ビットコインの価値が10万ドルではなく100ドルであるとしても、それがゼロになるとは限らない。それは暴力的な国家や破たん国家で、破滅的なディストピアの未来においては価値がある、富くじのようなものである。

問題は、諸政府が協力してグローバルな規制と追跡・監視システムを構築するか、それはいつか、ということだ。どこかの愚かな先進的大国が暗号通貨の利用を公認するかもしれない。昨年、日本がそれを試みたことは、グローバルな資金洗浄の拠点を提供しただろう。その後、日本はその政策から後退し、それが暗号通貨市場の大きな変動を生じたように思う。しかし、先進諸国は他の手段でそうしているように、暗号通貨による脱税や資金洗浄に関しても協力するはずだ。

しかし、結局、現在も多くの国(Cuba, Iran, Libya, North Korea, Somalia, Syria, and Russia)がアメリカの金融制裁を受けている。宝くじと同じように無駄になる可能性は高いが、大きな価値を生じる可能性もある。


 カタールのOPEC離脱

NYT Dec. 10, 2018

Why Is Qatar Leaving OPEC?

By Kristian Coates Ulrichsen

イランとの境界線に及ぶ北の海域で天然ガスの海底油田を開発し、世界の天然ガス市場の30%を支配するようになったカタールが、サウジアラビアの支配するOPECを離脱する。


 メイのBrexit

FP DECEMBER 12, 2018

Will Brexit Topple Another British Prime Minister?

BY OWEN MATTHEWS

NYT Dec. 12, 2018

Theresa May and the Conservative Will to Power

By Tim Bale

The Guardian, Thu 13 Dec 2018

Don’t pity May. Her immigration obsession helped get us into this mess

Gary Younge

FT December 13, 2018

May survives not beat en but bloodied from leadership vote

FT December 13, 2018

Theresa May clings on but nothing has changed for her

Robert Shrimsley

NYT Dec. 13, 2018

Theresa May Is Determined — and Doomed

By Rosa Prince

メイはよろよろと進み、傷つき、打ちのめされ、政策を実行する権威もなくして、ただBrexitを実行するだけの首相になっていく。

FP DECEMBER 13, 2018

Dead May Walking

BY GARVAN WALSHE


 企業モデルの多様性

FT December 12, 2018

We must rethink the purpose of the corporation

Martin Wolf

企業は、人類の発明の中でも最も重要なものの1つである。企業は市場において頂点を目指して戦う軍隊だ。そこに生じる命令と競争との共棲関係は、非常に実り多いことが分かった。19世紀の墓場以降、かつてない経済発展が起きたのも、有限責任の株式会社制度が、資源と組織における能力を大幅に高めたからである。

しかし、Colin Mayerの新著Prosperityは、企業の問題点を考察する。多くの人々は、企業を社会的な病理とみなし、株価のほかには何にも無関係な存在、そして企業幹部は個人的報酬のほかには何にも無関心だ、と考えている。実質賃金や生産性で観れば、最近の経済成果は月並みなものだ。またJonathan Tepper and Denise Hearnも著書The Myth of Capitalismで、企業が競争を嫌って共謀してきた、と書いている。彼らは競争を無駄だと考えている。

Mayerは、M.フリードマンの有名な主張に反対する。すなわち、企業の唯一の目的は、法律と(最小限の)規制に従って、利潤を上げることである、というものだ。今では、これを、株主価値の最大化、という形で示す。Mayerによれば、これは全くのナイーブな見方である。現実には存在しないような「単純で、エレガントな、経済モデル」を前提している。

こうした企業観が間違った経営や成果をもたらしている。第1に、利潤はビジネスの目的ではなく、その条件である。目的とは、自動車を作る、製品を配達する、情報を広める、その他である。もしビジネスが利潤だけを目的にすれば、その両方が失敗する。

2に、有限責任を立法府が許したとき考慮したのは、利潤ではなく、資本、労働者、資源を膨大な規模で集める経済能力であった。さらに、革新に対する長期的なコミットメントとしても企業は認められた。今は、その逆である。

最後に、取引コストがある場合、階層的な組織に比べて、市場による生産の組織化は効率性が劣る。長期的なコミットメントに関して市場は不完全だ、とも言える。企業が、関係による契約、もしくは、信頼に代えて、より明確な契約と強制を採用することが合理的であるなら、ビジネスが何のためにあるのか、だれがこれを管理するべきか、という問題を無視することになる。

株式を公開する企業が、広く分散した株主たちに拠って所有されるとき、企業はそれにもっともコミットしていない人々によって決定されることになる。株主たちはビジネスの中身を知らず、それが失敗した場合にリスクを負わない。なぜなら、企業に雇用されている人々や、納入業者、ビジネスが行われている地域と違って、株主たちは簡単に企業への関与を清算できるからだ。株主は企業の活動に関与せず、それを知らない。株主は分散投資によってリスクを回避し、機会主義的な行動で他の関係者のリスクを高め、コミットメントを損なう。

株主価値の最大化、株主による経営者の監視は不可能だ、という呪文から生じる事態は、企業の目的が達成できたかどうかではなく、会計的な利潤や株価に経営者の報酬をリンクすることだった。しかし、その基準のどちらも操作される。その結果は、過剰な法主と、慢性的な低投資である。

企業のガバナンスに関して、アングロサクソン型のモデルは聖典ではない、ということだ。企業の構造を決める多くの方法が可能である。多くの異なるモデルが、ケースに応じて適切であり、試されるべきだ。より大きな企業は、より競争的な市場によってのみ許容される。企業を競争的市場に埋め込まねばならない。


 財政政策の国際協調

FT December 11, 2018

Global co-operation on fiscal policy is possible and necessary

Laurence Boone

ブエノスアイレスのG20サミットで、1つのテーマでは明らかなコンセンサスがあった。金融引き締め、貿易・政治の緊張が高まる中で、経済成長のリスクに備える必要がある、ということだ。

10年前、中央銀行は協力して、1930年代のような深刻な不況を回避するために行動した。財政的刺激策の協力も行われたが、政府債務危機の起きたヨーロッパだけでなく、数年だけで終わった。

現在、成長は回復したが危機前の水準に届かず、生産性の上昇は遅い。政策担当者たちは景気後退に対抗する手段がないことを恐れている。

しかし、絶望することはない。財政政策の協調が可能である。適時、限定的な、財政政策の協調は、景気対策として十分に強力だろう。協調することで、より小さな支出で十分な効果を発揮できる。貿易相手国の需要拡大からも利益を得られるからだ。財政政策の協調が、明確な目標と、時機を限れば、中央銀行は金融政策を中立的・適応したものにするだろう。

1.減税や支出増の効果は外国に漏れる。協力することで、自国の製品に対する外国からの受容を得られる。2.財政刺激策の効果は、金融政策に比べて、速やかに生じる。3.景気後退で物価上昇の圧力がないとき、財政刺激策によるインフレは懸念されず、金融引き締めは行われない。4.世界はグローバルな協力のシグナルを必要としている。

通商政策における市場開放が、中期的に有益でも、短期的には攪乱を生じるのに対して、成長減速に対する財政政策の協調は、グローバルにプラスの効果を生じる。政策担当者たちは、予想以上の景気後退が始まることに、備えるべきだ。


 インターネット

FT December 11, 2018

The internet risks fracturing into quarters

Wendy Hall


 ユーロ圏改革

SPIEGEL ONLINE 12/11/2018

Eurozone Reform

The Sputtering German-French Motor

By Christian Reiermann and Peter Müller

FT December 14, 2018

The ECB makes a return to normality — for now


 移民政策の現在

The Guardian, Wed 12 Dec 2018

How one man’s story exposes the myths behind our migration stereotypes

Aditya Chakrabortty

Brexit論争に振り回される議会を観ているあなたは、ロバートの声を聴かないだろう。しかし、聴くべきだ。彼には権力も地位もない。お金もほとんど持っていない。しかし、彼はこの論争に決定的だ。なぜなら、彼のような人々をBrexitによってイギリスは締め出そうとしているからだ。

彼はルーマニアのTimişoaraで生まれた。われわれはNewcastle upon Tyneの彼のアパートで会った。彼は、余りにも何もない部屋に住み、数か月前に妻とは別離した。資金がなくなったからだ。銀行口座は借金だけが残り、人生に失敗した、と38歳の男が涙を流した。

ロバートは、未熟練労働者ではない。彼は2008年にUKに来たが、法学部を卒業し、3つの言語を話せた。向上心がなかった? レストランやホテルで働きながら、彼は法律家の契約に応募して、100回以上も断られた。リーズで、たった1度だけ面接に呼ばれただけだ。弁護士事務所は無給のボランティアとして喜んで使ったが、有給の職は彼に与えなかった。

とうとうロバートは、PMPリクルートと契約して、20128月、地元にあるネッスル工場に仕事を得た。しかし、それは問題の始まりであった。

彼は不安定な職場に労働者として登録されただけだった。このような状態で、UK380万人以上が存在する。仕事は保障されず、数日前になって、シフトが提示されるのを待つ必要がある。彼は提示されるまま、数日、あるいは、数夜、働いた。それはNestlé’s Fawdon plantの最低賃金の職だった。

ロバートは、チョコレート・バーの生産ラインで不良品を見つけて取り除くことを、何時間も行った。コンベア・ベルトを長時間見つめると、彼はめまいがした。強い誇りを維持して、彼は12時間の交代勤務を続けた。職場の仲間は、考えるな、と助言したが、ロバートは家族を養うために、消耗した。そして、こうした事態が間違っている、と思った。

ネッスルの正社員と同じ仕事をしても、少ない賃金しか支払われない。怒れる労働者として、ロバートは荒野に立っていた。彼は制度が作る真空にとらえられた。ロバートはネッスルの経営者に抗議した。彼にシフトは示されず、辞職した。職場の仲間に呼びかけて経営者を訴えようとしたが、だれもが「心配して」応じなかった。イギリス社会は、法も、政治家も、企業の労働者も、彼を見捨てた。

イギリスにあるPMPや同様の約18000社の雇用仲介企業を、監督する政府職員はわずか11人だ。UKの労働市場監督庁長官David Metcalfは、雇用主は500年に1度しか職場調査を受けない、ということを認めた。

FT December 12, 2018

Germany tries to break the impasse on migrants

YaleGlobal, Thursday, December 13, 2018

Dangerous Alliances on Migration

Lena Riemer

移民が急増する中で、通過できる制度がないことは事態を悪化させている。EUは送り出し国との協力を組織するため、2015年、Global Approach to Migration and Mobilityを導入した。多国間・2国間のパートナーシップを形成し、移民の帰還や情報交換に投資する。

特定の資格に対する通過制度、ビザ発給、労働機会は、非制度的な移民圧力を低下させる、とthe United Nations, the International Labour Organization and the International Organization for Migrationの調査が示している。

包括的かつ公正なグローバル移民政策には、移民送り出し圧力の原因に向けた対策が必要だ。教育、インフラ、雇用創出への開発援助は、受け入れ側の移民規制より有益である。しかし、人権を無視する第3国との関係には、十分なチェックが必要だ。


 新年の願い

FT December 12, 2018

Some New Year’s resolutions for Musk, Bezos and Zuckerberg

Hannah Kuchler


 脱グローバル化

FT December 12, 2018

Investors can smooth out friction wrought by deglobalisation

John Plender


 北朝鮮の選択

FP DECEMBER 12, 2018

Washington Wants Pyongyang to Choose: Humanitarian Aid or Nukes

BY COLUM LYNCH


 コンゴ民主共和国

FT December 13, 2018

Finally, Congo has a chance to move on from Kabila

David Pilling


 トランプを支持した地域

NYT Dec. 13, 2018

The Robots Have Descended on Trump Country

By Thomas B. Edsall

2016年の大統領選挙でトランプの勝利を可能にした、まさにその地域で、ロボットとAIの普及が破壊的な影響を広げている。技術革新の利益を社会に広め、苦しむ諸個人を救済するため、強力な社会政策と税制が必要だ。産業革命の中で、19世紀、イギリスの労働者階級が示したように、技術革新は社会・政治的な不満・反抗につながる。

しかし、トランプには、その影響に苦しむ人々を助けるガッツも頭脳もない。

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The Economist November 31st 2018

Chips wars

Global warming: The great inaction

Chipmaking: The chips are down

Angola: Party guy

Conquering CO2: The hydrogen bombshell

Bartleby: Working for a purpose

(コメント) 産業の競争力だけでなく、半導体をめぐる安全保障上の懸念は本物です。しかし、数千社ものサプライチェーンがグローバルに展開する製品を、冷戦のように分割することができるのか? むしろ米中も含めた、国際的な基準や情報の共有が好ましいのです。

もう1つの重要なテーマは、地球温暖化の40年芋にも及ぶ不行動です。解決する技術や手段はありながら、政府は行動しません。それは変わるのか? 地球エンジニアリングによる太陽光の遮断、という一方的な行動が残されただけ、という危機を待つのでしょうか?

企業の意味を転換する主張が注目されています。

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IPEの想像力 12/17/18

米中貿易戦争、5G通信技術、地球温暖化、難民危機。

1次・第2次世界大戦と「ドイツ問題」を読みながら、現代のことを考えました。戦争による勝利、軍事技術の優位に依拠する国家は、市民社会を蹂躙する側面を持ちます。辺野古の埋め立て開始、ロシアとの領土返還・平和条約締結交渉、北朝鮮の核兵器・ミサイル問題。

大国や諸国家による国際秩序が実体を失っていることは、誰もが認めるでしょう。グローバル化する経済活動と情報・通信技術を、人道支援や社会規範に従わせることは、国家ではなく、さまざまな社会集団にかかっていると思います。

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企業(そして、銀行、投資機関)という社会集団の組織化について、法律や市場が特別な地位を与えてきました。そのことが、次第に、問題を生じています。

The Economistは、半導体産業を「もっとも複雑でグローバル化した産業」と呼びます。米中貿易戦争は、その毛細血管まで絡み合った2つの生物を、高まる地政学的な不安と戦争準備のために、切り分け始めるのでしょうか? ・・・ある半導体企業は、16000社のサプライヤーと関係し、その中の8500社以上がアメリカ国外にある。半導体の典型的な旅は、アパラチア山脈の高純度シリコン採掘から、日本における純度の高いインゴットの精製、300ミリ・ウェファへの裁断、台湾あるいは韓国の加工工場、その回路を描く光学装置はオランダ製である。

中国企業(共産党の各企業における委員会)を情報通信網から排除すれば、それで済むのでしょうか? アメリカ政府が「テロとの戦い」で情報を操作し、特殊部隊や諜報機関が拷問や盗聴を行ったこと、ロシアがアメリカ大統領選挙やヨーロッパ諸国の選挙に介入し、デマや誤情報を流し続けていること、は周知の事実です。

ファーウェイに限らず、地球規模の活動を展開する企業には、幹部重役に主要な市場からスタッフを迎え、グローバルなチェックを受ける必要があるでしょう。

不完全な国際秩序の下で、環境破壊や人権侵害、紛争地域の資源略奪・貿易を禁止しないなら、そもそも、インターネットのように、極度に不完全な市場で、利潤や効率性だけを競うなら、権威主義的な組織や国家の方が有利かもしれません。

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企業や投資機関の組織原理を変えることです。

企業の長期戦略や重要ポストの人事には、労働者やコミュニティの利害を反映するために、諮問部会のような制度を設けるべきでしょう。株式会社が、高い配当やキャピタル・ゲインを求める投資家・金融機関、短期の株式保有者には、保有株式数に比例した議決権を与えない。長期的な利害関係者、公的な代表が企業の意思決定・執行部に参加し、大企業ほど、決定に関する関係団体の諮問や公開討論を義務付ける。

利潤や配当、株価ではなく、むしろ、市民の生活向上のために必要な基準を定めて、企業の社会的価値を評価します。各地の社会が議論して、国境を越えて守るべき義務を明確化し、その基準に従う企業だけに市場を開放します。さらに独占力を削ぐ法律によって市場競争を促し、企業がその影響力を悪用して政治支配を求めないよう監視し、企業を分割・解体します。

それでは、成長を損なうだろう? と反対されるなら、成長するために、われわれは何を犠牲にするのか? という問いと同時に考えます。

インターネットやスマホの詐欺ビシネス、アメリカや先進諸国のテロ対策、中国のチベットやウイグル自治区に対する社会統制は、市民的秩序を大きく損なっていると感じます。

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