IPEの果樹園2018

今週のReview

12/17-22

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マクロンとデモ隊 ・・・ファーウェイと経済戦争 ・・・インドの成長とその制約 ・・・イギリス議会の混乱 ・・・中国の改革開放40周年 ・・・1930年の保護主義と現代 ・・・ヨーロッパの制度改革案 ・・・暗号通貨 ・・・企業モデルの多様性 ・・・財政政策の国際協調 ・・・移民政策の現在 ・・・トランプを支持した地域

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 マクロンとデモ隊

FT December 7, 2018

 ‘Look at me, I exist’: French protesters send message to Macron

Harriet Agnew in Troyes and Ben Hall in London

FT December 10, 2018

Macron protests show that leading France seems like an impossible job

Gideon Rachman

多くの重要な政治家と同様、マクロンは分断を生じる指導者だ。

マクロン嫌いの人々は、人心を理解しない、傲慢な、時代遅れのネオリベラルな改革を目指す、大きな欠陥を持つ大統領だ、という。マクロン好きの人々は、英雄はこうした困難を克服できるし、秩序を転換できる大統領だ、という。

彼は確かに印象的な人物だ。正しく、フランス経済には構造改革が必要であることを認めている。また勇敢に、国際主義を支持している。しかし、「黄色いベスト」の抗議でも、その暴力、そしてパニック型の政策転換が、彼に深刻なダメージを与えた。

マクロンの政策目標は3つある。国内経済改革。ヨーロッパ統合の深化。グローバル・ガバナンス。これら3つは相互に依存している。

もしマクロンがフランスを改革する力を示せば、ヨーロッパ経済政府に向けたステップについてドイツの信用を得るだろう。改革され、強化されたEUは、ワシントンから北京にまで広がる、ナショナリズムの台頭を押し戻すだろう。しかし、もしマクロンが国内改革に失敗すれば、その国際的な目標も失敗する。

マクロン支持者から見れば、彼は成果を示している。労働市場改革、強力な労働組合との対決に勝利した。しかし、燃料税の引き上げで後退し、デモを鎮静化するためにさらに対応策を約束するだろう。

計画されている、一層重要な、年金・医療システムの改革は、今や、実現しそうにない。その結果、フランス国家部門の縮小、財政規律の回復、経済活性化も、達成できそうにない。

マクロンは、これまでの大統領と同じ、街頭デモによる改革の挫折という形で終わるように見える。フランスの問題の本質、少ない税を求めるが、より良い公共サービスも求める、という矛盾は解決されないままだ。デモ行進や街頭の破壊行為は何か月も続き、危機が永続化するイメージを生じるだろう。それは、マクロンの後に、極右か、極左の大統領が誕生することを助ける。

ドイツの懐疑的姿勢は強まり、マクロンの求めるEU改革を支持しないだろう。それはグローバルにも、マクロンの目標を制約する。大胆な「反トランプ」の指導者として、マクロンは国際協力、そして、トランプが離脱したパリ協定を、力強く支持している。トランプが自身をナショナリストと公言した数日後に、マクロンはパリの平和会議でナショナリズムを非難した。

アメリカ大統領は、今や、マクロンへの不快感を隠さない。Twitterでマクロンをバカにした。「反政府デモと暴徒がフランスで広まっている。」 そしていい加減な主張をする。「群衆はトランプを求めている。」

フランスで指導者である、とはますます不可能な仕事に見える。マクロンは世界を救うことができる。しかし、彼が大統領の地位にあるだけでも、幸運を必要とする。

SPIEGEL ONLINE 12/10/2018

French Protests

Macron's Ghosts Return To Haunt Him

By Julia Amalia Heyer and Katrin Kuntz

多くの者が、今、忘れられたフランスについて語っている。地方の、政治に関わらない、ぎりぎりの生活を続ける人々だ。彼らはすべてを燃やしたいと思っている。

「私たちの怒りは正当だ。」と彼女は言う。「私たちも、たまには、ヌードルだけでなく、有機野菜を食べたい。」

起業重役のように話し、王様のように行動する1人の男に、フランス人は指導されたくない、と彼は言う。マクロンはフランス政治の配置を破壊したが、その過程で失われるものに配慮しなかった。それが彼に復讐する。

暴力が勝つ。フランス政治の伝説とは、常に、最後は街頭を支配する者たちが勝利する、だ。

FT December 11, 2018

Macron’s measures will hit his reformist credibility in Europe

Ben Hall

NYT Dec. 11, 2018

Macron Blinks

By The Editorial Board

FP DECEMBER 11, 2018

It’s Macron’s Destiny to Be Hated

BY ROBERT ZARETSKY

FT December 12, 2018

A humbler Emmanuel Macron needs to relaunch his agenda


 ロシアと思想家

FT December 7, 2018

The mere thought of Kant stirs Russian nationalism

Jonathan Derbyshire

NYT Dec. 11, 2018

The Writer Who Destroyed an Empire

By Michael Scammell


 ファーウェイと経済戦争

FT December 7, 2018

Spy thriller echoes in Huawei power struggle

James Kynge

スパイたちは、寒い国から、冷たい、新しい現実からやってきて、世界中で盗みを働いている。今週の事件は、冷戦の時代に観られた事件と等しく、あたかもジョン・ル・カレの小説を読むような話である。

ファーウェイの幹部重役Meng Wanzhouが、イラン取引に関するアメリカの制裁について、カナダで飛行機を乗り換えるとき、拘束された。イギリスと日本は5G通信技術に関してファーウェイの参入を公式に排除した。あなたの冷蔵庫も、自動車も、スマホも、何とでも「話」ができる画期的な技術だ。

超大国の緊張が増す中で、重大な変化が起きた。UK、カナダ、オーストラリアのスパイ組織の幹部が闇から現れて、陰に陽に、中国に関する警告を発したのだ。彼らは、アメリカとニュージーランドも加わる諜報機関の連合、the Five Eyes に属している。

われわれは新しい冷戦に入ろうとしている、と怖れる声が多い。コンサルタントのAndrew Gilholm of Control Risksは、「中国が報復として企業幹部を逮捕することはないだろう。しかし、外国企業、特に、アメリカとカナダの企業には、規制や捜査が厳しくなるかもしれない。」という。

他方、新冷戦のシナリオは行き過ぎだと反対する専門家もいる。「グローバルな秩序は、現在、冷戦期のような2極型ではない。新冷戦の類推は事実に合わない。」とParag Khannaはいう。

ワシントンが安全保障問題で同盟諸国に強い影響力を持つのは当然だが、企業の行動に対する影響は限定される。中国市場の魅力は非常に強い。アメリカの最大級の企業は、アメリカよりも中国での売り上げの方が多い。また中国政府は、現在の貿易摩擦問題を、アメリカ企業の力を借りて解決しようと考えている。

アルゼンチンのG20で、ドナルド・トランプと習近平の会談が行われる中、この計画は進行していた。アメリカ大統領は中国の指導者に屈辱を与えることを考えていた、と疑われる。ル・カレが書いたように、「敵をバカにするなら、取り込むことはもはやできない。」

NYT Dec. 7, 2018

Can the U.S. Stop China From Controlling the Next Internet Age?

By Kara Swisher

NYT Dec. 8, 2018

Huawei Arrest Shows Trump Has No Game Plan Against China

By Lindsey Ford and Wendy S. Cutler

The Guardian, Sun 9 Dec 2018

The dramatic arrest that threatens to ramp up trade tensions between the US and China

Will Hutton

先週金曜日、バンクーバーで、ファーウェイの財務重役、Meng Wanzhouが、アメリカの要請で拘束された。もし身柄が引き渡され、彼女が有罪となれば、30年の禁固刑に服することがありうる。

この事件は世界の株価を押し下げた。ファーウェイはAppleを超える世界最大のスマートフォン生産者である。それは世界展開する、先端技術に長けた、トランプが目を付ける代表的な中国企業であるだけではない。中国の経済政治システムの強化に、裏で緊密に結び付いた企業でもある。

ファーウェイは、民間企業として研究を推進しているだけだ、と言うが、だまされる者はいない。中国のすべての企業は共産党の委員会が監視している。ファーウェイの問題ではなく、イラン制裁の問題だ、というが、Mengはイランのファーウェイ子会社で会長を務める。その子会社にはイスラム革命防衛隊も参加しており、核開発計画に深く関わっている。

トランプは中国の対米貿易黒字だけでなく、経済・軍事的な攻勢を抑えようとしている。この点で、最も激しいトランプ批判者も、彼の正しさを認めるだろう。

中国は比類ない監視国家を構築した、とペンス副大統領は断言した。デジタル技術とGPSを駆使して、時々刻々、全国民を国家が監視する、オーウェル型の「社会信用評価」システムを2020年までに実現するのが目標だ。新疆の大規模収容所には100万人以上のイスラム教徒が拘束され、スリランカが中国の融資を返済できないとき、潜在的な前進基地として港湾を乗っ取った。

その方針は経済分野に拡大する。「中国製造2025」は、中国が先端的技術、AI、ロボット、バイオで、その90%を支配する、という目標を掲げている。通商政策もその一部だ。知的財産の共有を外国企業に求め、ハイテク企業を買収する。アメリカはそのすべてに挑戦する。

習は、改革開放の記念日に鄧小平に言及したが、その「中国製造2025」では、共産党の管理体制を弱めるのではなく、逆に強化している。中国国家は、地上最強の、市民を無視する、抑圧体制であり、通商、軍事、外交政策で要塞化を進めている。

イギリスのBrexit推進論では、中国がUKと大幅に寛大な通商取引を合意するはずだ、という。彼らは何を読んでいるのか? 保守党の分裂を恐れて中国の監視機構に協力すれば、その代償は非常に高くつく。

PS Dec 11, 2018

The War on Huawei

JEFFREY D. SACHS

ファーウェイの幹部をカナダで逮捕したが、アメリカは企業重役を逮捕したことがほとんどない。これは、トランプ政権が始めた、中国との経済戦争の一部である。

FT December 12, 2018

Huawei arrest offers clues to the US-China trade war psyche

Jamil Anderlini


 インドの成長とその制約

PS Dec 7, 2018

Women, Work, and India’s Rickshaw Revolution

KASTURI GVL

資源の制約がある国では、人的資本こそが社会の持続的発展のカギを握る。特に、発展途上諸国でしばしばあることだが、人的資本の大幅な配分失敗、未利用があるとき、そういえる。このことがインドほど当てはまる国はない。現在、人口増加による成長の配当は、大きな資源利用の不足、すなわち、女性労働力の未利用にかかっている。

教育水準が高まり、女性の識字率は65%に達したが、女性の労働力率は4分の1でしかない。女性の労働力率が10%増加するだけで、2025年までにインドのGDP7000億ドル増えるだろう。そのためには、主要な障害物の1つを取り除くことだ。それは、輸送サービスが欠如している、という問題だ。

インドのドアからドアを結ぶ輸送ネットワークは、まだ分散的で、信頼できない状態だ。残念ながら、働きたい女性がこのサービス不足によって大きく影響を受けている。1つの説得的な解決策は、オートリキシャ(バイクの人力車)である。都市における女性の移動を解決するには、電気の、共有された、安全で「スマートな」輸送手段が必要である。

正しい技術革新がそれを助けるだろう。犯罪から安全な、連携した、オートリキシャのスマートなエコシステムが、その核心をなす。GPSシステムを備え、利用者は家族や職場に現在地を知らせ、運転手も含めて、警報システムを利用できる。

PS Dec 7, 2018

Gandhi and the End of Empire

SHASHI THAROOR

FP DECEMBER 10, 2018

India-Pakistan Conflict Leaves Great Powers Powerless

BY MOEED YUSUF

FT December 11, 2018

RBI resignation reveals pressures on central bankers

Jitesh Gadhia

2008年の金融危機では救世主として崇められた中央銀行家たちが、特にポピュリスト政治家たちから見て、ますます賤民のように責められるようになった。インドのRBI総裁Urjit Patelがモディ首相による圧力で辞任したのも、その1つの例である。

イングランド銀行総裁も、アメリカ連銀議長も、政治家によって攻撃されている。

FT December 11, 2018

New Delhi must affirm Indian central bank’s autonomy

FT December 13, 2018

In rural India, the good days for Narendra Modi may be over

Henny Sender

農業の成長は減速した。農村の生活水準はもっとも基本的な衛生状態も満たしていない。ソーシャルメディアの普及したインドの地方において、モディとBJPが彼らの支持を前提して権力を安定的に維持できると考えることは、もはやできない。


 イギリス議会の混乱

PS Dec 7, 2018

A Second Chance for Britain

IAN BURUMA

1950年にフランスの政治家ロベルト・シューマンが欧州石炭鉄鋼共同体を提唱したとき、イギリスはそのユートピア的な計画に参加することを拒んだ。そのとき以来、さまざまなことはあったが、Brexitにおいても同じプラグマティックな姿勢が示された。当時、政権を担った労働党は、イギリスにとって死活的な産業をヨーロッパ諸国と共有することなど想像もしなかった。他方、保守党は、グローバルな帝国であるイギリスが、狭隘なヨーロッパのクラブに参加することを理解できなかった。

The Guardian, Sat 8 Dec 2018

My reasons why MPs should back Theresa May’s Brexit deal

David Gauke

FT December 9, 2018

May’s deal avoids the pitfalls of no deal and no Brexit

Rory Stewart

FT December 10, 2018

The EU could, and should, help Theresa May’s deal pass

Wolfgang Münchau

EUは、賢明にも、イギリスの国内政治に関わらない、という選択をしてきた。EUは、残留派が2度目の国民投票を推進することに支援する姿勢を示さなかったし、UKが特定の離脱合意に向かうような誘導策を採らなかった。

しかし、EUにも何もできない、ということはない。特に3つだ。

1.アイルランド国境に関するバックストップが、EUUKの双方にとって大きな破局を意味する以上、この合意によって一方が他方を制約しない、と明確にする。2.将来の関係について、ノルウェー型の選択肢を含むことを明確にする。3UKがもはや完全な加盟国ではない、という姿勢を示し、メイの合意案を支援する。

EUが、イギリス政治の混乱が魔法のように国民投票を逆転させる、と信じるのは愚かである。メイの政権崩壊を座視するのは最悪だろう。

The Guardian, Mon 10 Dec 2018

France’s political crises are always played out in riots – unlike Britain’s

Simon Jenkins

ここでもフランスのような騒乱が起きるのか? Brexit強硬派が「恐怖作戦」に回帰することはないだろう。しかし、人々の対立は激しい。だまされた、と感じている。リージェント・ストリートを暴徒が行進し、議会では議員たちが殴り合い、テムズ川の橋に戦車が並ぶ? それはないだろう。

エマニュエル・マクロンは、病気の経済を改革しようとするが、そのような試みはいつも困難であった。サルコジNicolas Sarkozyが同じサッチャー型の改革を試みとときも、同様の危機に直面した。フランスの労使関係と、極右ポピュリストと旧組合エリートとの対立が、戦闘の前線となっている。フランスはイギリス以上に分断されている。議会やメディアは妥協をもたらす場とならない。

フランスの歴史は、政治危機がパリの街頭で始まり、いたるところで革命派が歓喜する、という事件に満ちている。18世紀、19世紀の騒乱から、ド・ゴールを倒した1968年まで、バリケードやモロトフ・カクテル(火炎ビン)、自動車への放火、暴動鎮圧警官。先週、マクロンは暴動の指導者たちに会った。

イギリスの政治は決して街頭で決まらない。ゴードン暴動から選挙法改革まで、ゼネストから人頭税まで、抗議デモは起きたが、重要問題は議会で解決された。1848年、パリ市民は革命のために街頭で死亡し、目的を達成できなかった。他方、イギリスのチャーチストたちは議会に請願を届けた。それは暴動ではなく、指導者の立憲的な交代であった。

議会が国民投票を単純に無視すると決めた場合、間違いなく強い、そして正当な、反発が起きるだろう。2度目の国民投票が行われるなら憤慨するだろう。しかし、議会がその任務を果たすことに対して暴動が起きるとは思えない。

イギリスは今も深く分断されたままである。しかし、保守党の一部を除いて、「合意なしの離脱」を望む者はいない。取引がなされれば、その街頭の反応は自動車を焼き、商店の窓をたたき割るのではなく、安どのため息だ。

The Guardian, Mon 10 Dec 2018

Brexit? Britain’s divides run far deeper than that

John Harris

80年間を通じて最悪の政治危機と議会の混乱状態は、何十年にもわたってこの国の核心に生じている文化や行動の分断を示している。もはや労働党と保守党とに分裂した国ではない。もっと大きな沸騰する不満の中で、政治が揺れている。

有権者たちは、ヨーロッパについて何を感じていたのか。多文化主義、社会的リベラリズム、グローバリゼーション、移民、人々とはそれらを重視して投票した。さまざまな矛盾する見解が集まっている。その起源については、かつてジョージ・オーウェルが見事な評論「ライオンと一角獣The Lion and the Unicorn (1941)で示したものが参考になる。

イギリスの労働者階級について、オーウェルは、「外国の習慣を極端に嫌う」と書いた。敬虔な、上流階級に取り入る、中産階級の発想が、戦前の進歩派の心には底流としてあり、残留派の人々にもある要素だ。「イギリスは、唯一、インテリたちが自国のナショナリティについて恥を示す大国だ」と、オーウェルは書いた。

1960年代から変化したことを無視する政治家たちがBrexitを推進している。そのころから社会的リベラリズムの拡大、そういった精神が分断を広め、、1980年代初めに英米で個人主義の台頭、レッセフェールの経済学を支持するに至った。1990年代までに、豊かさとは開放型、リベラル、メトロポリタン思考の同義語になった。繁栄から取り残された場所と人々は、近代の発想を拒み、別の思考を求めた。それは、裕福な右翼思想家たちが供給した。

ドイツでは、「環境」「ヨーロッパ」「移民」を支持する緑の党と、多文化社会への変化を阻止するAfDが、対照的な姿勢を示している。事態の変化はわれわれを分解していく。社会的移動性は低下し、脱工業化が進み、治安の悪化、現代社会の複雑さが公的な討論を支配する。情報源が分散し、悪意のある勢力が拡大するチャンスだ。「われわれ」の意味を示すことはむつかしい。

Brexit論争の複雑さと終わりが見えない状態は、深層にある、社会的、文化的諸問題を示している。

NYT Dec. 10, 2018

Another Day in Brexit Hell

By Tanya Gold

FP DECEMBER 10, 2018

No Brexit, No Exit From Brexit, and Nobody’s in Charge

BY GLEN O'HARA

The Guardian, Tue 11 Dec 2018

Brexit is a failed project. Labour must oppose it

Paul Mason

2017年の選挙で、多くの労働者たちはBrexitを支持した。しかし、Brexitの現実を観て、彼らは失望したはずだ。今なら、投票において支持政党を変える中産階級が動くだろう。議会を解散し、残留に向けた2度目の国民投票を支持するべきだ。

FT December 11, 2018

May’s Brexit delay feeds growing uncertainty

The Guardian, Thu 13 Dec 2018

My message to Europe: tell us you want Britain to stay

Timothy Garton Ash

イギリスの去ったEUは弱くなる。EU指導者たちはイギリス残留を望む、と明確に表明するべきだ。良いBrexitとは、Brexitを止めることだ。

FT December 13, 2018

Theresa May’s last path to an orderly Brexit

Philip Stephens

SPIEGEL ONLINE 12/13/2018

Why There Should Be No Exit from Brexit

A Commentary by Markus Becker

PS Dec 13, 2018

The Referendum Risk

NGAIRE WOODS

FT December 14, 2018

The nightmare of a no-deal Brexit looms and must be prevented

Martin Wolf


 日本の移民政策

NYT Dec. 7, 2018

Bucking a Global Trend, Japan Seeks More Immigrants. Ambivalently.

By Motoko Rich


 トランプ外交

FP DECEMBER 7, 2018

Pompeo’s Speech in Brussels Was Tone-Deaf and Arrogant

BY JULIE SMITH

ポンペオ国務長官は不可能な仕事に取り組んだ。ドナルド・トランプ大統領のヨーロッパに対する誹謗中傷と矛盾した発言を、一貫性のある大西洋戦略にまとめること、それをブリュッセルの聴衆に買わせることである。

FP DECEMBER 10, 2018

The Death of Global Order Was Caused by Clinton, Bush, and Obama

BY STEPHEN M. WALT

リベラルな、ルールに依拠した国際秩序、その解釈はいろいろだが、トランプがそれを破壊する人物である、という点では広いコンセンサスがある。しかし、トランプがこの間違った方針を選択した、という批判は事実を見ていない。

アメリカが指導する国際秩序からの離反は、トランプがホワイトハウスに入るより、ずっと前から始まっていた。それはビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマが選択した外交政策の結果である。

ソ連が解体したことで、アメリカは国際的な安全保障の責任を各地域に委ね、アメリカは重要な少数のケースを除いて、自国内の再建に関心を集中するようになった。地域の責任を主要諸国に要求したが、その結果は、ロシア、中国、イスラエルとパレスチナ、北朝鮮、インドとパキスタン、イラン、EU、いずれも満足できるものではなかった。グローバリゼーションの利益は不均等に配分され、リベラルな国際秩序に対する反発が強まった。

FT December 12, 2018

Nato is the best defence against Russian aggression

Kay Bailey Hutchison


 中国の改革開放40周年

FP DECEMBER 7, 2018

A Preview of Your Chinese Future

BY BRUNO MAÇÃES

PS Dec 11, 2018

China’s Boldest Experiment

DANI RODRIK

毛沢東の死後2年を経て、40年前の中国共産党第11回中央委員会第3回総会で、鄧小平が復活して、経済発展と近代化に向けた思想を打ち出した。

改革は農業から始まり、二重価格による生産拡大の誘因を与え、家族の責任を拡大し、耕作を刺激した。農民たちはこれに急速に反応し、生産を効率化し、増大させた。それに続けて改革は他の分野にも拡大され、郷鎮企業(TVEs)、経済特区制度(SEZs)を駆使して、中国を世界経済に統合していった。

市場を志向する改革と対外市場開放は、国際貿易や民間投資のシェアを増やし、国有部門のシェアを着実に減少させた。それでも政府当局は経済に対する管理手段を確保した。そして経済の構造再編や多様化に向けて産業政策を実施した。外国企業の投資は合弁企業の形態を求められ、ローカルな投入を増やしたし、為替レートと国際資本移動は、大部分、なお管理されたままだった。

中国指導部の政策はいかなる教科書にも従わず、自分たちの決定で進められた。改革を導いたものは、共産党の命令ではなかったし、自由市場のドグマでもなかった。そんなものがあるとすれば、「プラグマティックな実験精神」とでも呼ぶべきだろう。鄧小平の有名なセリフ、白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕る猫が良い猫だ、である。

中国の成功は、実践的な経済学、すなわち、次善の戦略、市場の失敗、一般均衡、政治経済学が支配する思考こそが、単純化した経済学のテキストに勝利する、ということだ。

中国モデルの試練はこれからだ。政治的弾圧は経済にとっても好ましくない。第1に、人々は政策の失敗を早期に知ることができなくなる。第2に、政治的競争によって反対の声を吸収できなくなる。それでも中国の政治エリートは政治的自由の拡大を信用しない。西側に広がるポピュリズム、デマゴギー、分断は、それが理由のある疑いであると示す。

高度成長と、高度な技術を指導する経済に、強化された権威主義を組み合わせる。それこそ中国の最大の実験である。

FT December 12, 2018

China: foreign asset managers eye a vast savings pot

Gabriel Wildau in Shanghai and Robin Wigglesworth in New York

中国の増大する中産階級とその貯蓄を、金融市場の開放で、外国の金融機関は取り込めるか?

PS Dec 12, 2018

Who’s Afraid of China’s Influence?

MINXIN PEI

中国による「影響力拡大作戦」に、西側はどのように対抗できるか?


 もしアメリカが議会政治になれば

NYT Dec. 7, 2018

If America Had a Parliament

By Michael Tomasky


 1930年の保護主義と現代

PS Dec 8, 2018

The Phony US-China Truce

BARRY EICHENGREEN

19302月、国際連盟はジュネーブで、拡大する保護主義の問題を解決するための国際会議を開催した。保護主義は大規模な投資を妨げ、ヨーロッパの回復を邪魔し、一般に、「経済戦争の道具」となっていた。30か国が代表を派遣し、国連に加盟していないアメリカもパリのアメリカ大使館にEdward C. Wilsonを送った。

国連経済委員会は2年間の関税停戦の草案を事前に送付していた。しかし代表たちはその草案を受け入れず、弱めたフランス案も拒んだ。野心的な工業化計画(「中国製造2025」に似た)を持つ諸国は、それを放棄する用意がなかった。慢性的な赤字諸国は、他国がその国の輸出品をもっと買うのでなければ、(トランプのように)合意に署名することを嫌った。

中身のある合意は成立しなかった。国内の政治圧力で、4か月後、アメリカ政府がスムート=ホーリー関税を採択すると、ヨーロッパ諸国は憤慨し、同じように保護主義を採用した。その後の歴史はよく知られている。

不況は各国政府に何か行動することを強く迫った。国内の支出が激減するのを緩和する手段として、もっとも採用されたものが関税の引き上げである。今も、住宅市場が冷却し、連銀が金融引き締めに向かうとき、アメリカ経済の不況も考えられないことではない。株価の下落がともなえば、大統領は、経済浮揚のために何かせよ、という圧力を受ける。

1930年代に問題であったのは、集まった諸国の見解が全く異なることだった。米中会談の合意に関して、トランプ政権と中国国営メディアの報道とは、まさにそうだ。双方の意見は、知的財産権に関して、もっとも深刻な違いを示す。もし中国がアメリカの関心い沿った形で知的財産の強化を進めるなら、それは中国に経済モデルを根本的に変えることになる。90日間では不可能だ。

1つのシナリオは、アメリカの景気が後退せず、トランプが中国による追加の大豆購入を示して、偉大な勝利、と自賛し、貿易戦争を終わることだ。そうでない場合、もう1つのシナリオは、中国側がトランプ政権の要求に従い、根本的な経済改革を受け入れることだ。ただし、それは北朝鮮との合意のように、実質的な変化を意味しないだろう。トランプとそのチームがこれに気付き、緊張が高まって、貿易戦争が続く。

YaleGlobal, Tuesday, December 11, 2018

US and China: From Co-Evolution to Decoupling

Vincent Ni

PS Dec 13, 2018

Trump’s Economic War of Choice

JIM O'NEILL

FT December 14, 2018

German carmakers to usurp Trump’s trade ‘victory’

Gillian Tett


(後半へ続く)