(前半から続く)
● ジョージ・H・W・ブッシュの訃報
FP
DECEMBER 1, 2018
George
H.W. Bush’s Misunderstood Presidency
BY MICHAEL HIRSH
PS Dec 2,
2018
The World
George H.W. Bush Made
RICHARD N. HAASS
冷戦の終結。ゴルバチョフ、そしてエリツィンの直面する困難に理解を示し、屈辱を与えないようにした。勝利を自慢するようなことはなかった。
多くのヨーロッパの指導者たちが嫌がり、反対しても、ドイツの再統一を支持し、促進した。そしてNATOに加えた。
最大の功績は湾岸戦争だった。ブッシュは、サダムのクウェート侵攻を許さない、と宣言した。制裁と軍事力による威嚇を、かつてない国際協力の下で行った。50万の規模の米軍を、地球を半周して派遣し、数万の兵士が他の諸国からも参加した。完全かつ無条件の撤退をイラクに求める外交努力が失敗したとき、アメリカと連合諸国の側の犠牲を少なくして、数週間でクウェートを解放した。それは多角主義(多国間協調)の成功モデルだ。
FP
DECEMBER 2, 2018
Five Vital
Lessons From George H.W. Bush
BY MARK R. KENNEDY
FP
DECEMBER 2, 2018
Once Upon
a Time, U.S. Foreign Policy Worked
BY JOHN HANNAH
FT
December 3, 2018
George HW
Bush’s presidency transformed global relations
Robert Zoellick
アメリカとの関係を疑うヨーロッパ人はブッシュGeorge
HW Bush大統領の任期を思い出すことだ。彼がホワイトハウスに入ったとき、大西洋関係と世界の関係は転換期であった。4年後に彼が去るとき、それはいかなる大統領が8年間に成し遂げたよりも偉大な遺産となった。
1989年初めにゴルバチョフがソ連の大統領になったとき、ヨーロッパ人は冷戦が終わると喜んだ。ブッシュはベイカー国務長官に、ゴルバチョフに会いたい、と告げた。ブッシュはアメリカだけでなく同盟を指導し、ソ連との交渉においてNATOの団結が必要であると理解していた。
ブッシュは、冷戦の分断を終わらせるには、ヨーロッパの軍備をなくすことに焦点を当てた。ゴルバチョフが改革に真剣に取り組むなら、軍事費の削減も望むはずだ、と考えた。ブッシュとベイカーはNATOの姿勢を大きく転換した。その過程で、ブッシュはドイツのコールHelmut
Kohl首相とのパートナーシップを固めた。ベルリンの壁が崩壊する半年前のインタビューで、ブッシュは、「適当な条件で、ドイツが再統一するのをぜひ見たい」と述べていた。
マルタでゴルバチョフと会う数週間前に、ベルリンの壁が崩壊した。「壁に登ってダンスしろ」と批判する評論論もいたが、ソ連邦が解体しつつあったとき、ブッシュは慎重に、ゴルバチョフを挑発することは避けた。そして、ゴルバチョフが威厳をもって譲歩できるような状況を創った。
ベルリンの壁が崩壊した後のコールの行動についてヨーロッパの指導者たちは口論したが、ブッシュはドイツがNATOの内部で再統合し、ECに参加する、という方針を示した。
ブッシュはまた、冷戦後のグローバル秩序に向けた基礎を据えた。カナダとメキシコとともにNAFTAを完成し、WTOへの道を拓き、アジア太平洋経済協力APECフォーラムを確立した。
● 地球温暖化
FT
December 2, 2018
Climate
change: populism vs Paris
Leslie Hook in London
各地で地球温暖化を無視するポピュリズムが広まる中、パリで開催されたCOP24は、各国がなすべきことを決める重要な会議である。
FP DECEMBER 3, 2018
Global Warming Is
Setting Fire to American Leadership
BY STEPHEN M. WALT
トランプのTweetや暴言で地球温暖化が決まるわけではない。それは物理学や化学の問題だ。しかし、気候変動の結果は深刻であり、アメリカの外交にも重大な意味を持つ。
FT
December 4, 2018
The burden
of tackling climate change must be shared
Martin Sandbu
FT
December 4, 2018
The answer
to climate change lies in technology and engineering
Nick Butler
PS Dec 4, 2018
The Financial
Sector’s Climate Imperative
BERTRAND BADRÉ , EMMANUEL FABER, BERTRAND PICCARD, PAUL
POLMAN, RONALD COHEN
FP DECEMBER 4, 2018
The Better Earth
BY ZHANG WEIFANG
FP DECEMBER 6, 2018
The Nobel Prize for
Climate Catastrophe
BY JASON HICKEL
● 自動車産業
FT
December 2, 2018
Tech
companies tinker under the hood of the automobile industry
Rana Foroohar
● 米中の貿易停戦
FP
DECEMBER 2, 2018
Trump and
Xi Park Trade War—For Now
BY KEITH JOHNSON
FT
December 3, 2018
Trade
truce provides time for Beijing to stabilise
Gavyn
Davies
FT
December 3, 2018
US-China
trade war: truce shows who holds the upper hand
Jamil
Anderlini
米中の貿易戦争が停戦に合意した。しかし、それは敵対が継続し、どちらが攻めるのかを示している。
北京は、長い要求リストに関して議論することに合意したが、もしすべてを実行すれば、中国のシステムを根本的に変更することになる。
FT
December 4, 2018
US-China
trade ceasefire is welcome but fragile
FT
December 4, 2018
Washington
may bluster but cannot stifle the Chinese economy
Lawrence
Summers
中国の経済に反発するのはトランプ大統領だけではない。アメリカ議会も他国の政府もそうだ。しかし、中国の政治システムには選択する権利があるし、経済交渉はプラグマティックにウィン・ウィンの機会を探すべきだ、という中国の指導者にも共感が集まる。しかし、国内の弾圧や習近平への権力集中、軍備増強、世界における中国の役割を拡大する発言には、歴史的な知識があれば、だれも懸念をぬぐえない。
アメリカが必要としているのは、正当な不満の解消に向けた有効な戦略である。それは明確に表明された目標と、飴と鞭の手段を組み合わせること、そして、成功を定義し、受け入れることだ。
アメリカは、中国を恫喝することはできても、グローバル化した経済で、中国を抑え込むことはできない。そのようなことをすれば、北京における反米的要素を高めるリスクが生じる。些細な商業的利益を主張するのではなく、中国がYesと答えるような問いかけをする能力が必要だ。
FT
December 4, 2018
Donald
Trump and Xi Jinping must negotiate a careful trade deal
Raghuram Rajan
The Guardian, Wed 5
Dec 2018
Donald Trump and Xi
Jinping have brokered peace. It will be sorely tested
Kevin
Rudd
PS Dec 5, 2018
Are China’s Trade
Practices Really Unfair?
DANIEL
GROS
ブエノスアイレスのG20でトランプ大統領と習近平主席の会談が行われ、一時休戦が合意された。アメリカが中国伊に対して持っている不満は、多くの先進経済も共有しており、正当である。アメリカの一方的な手段は貿易ルールに反するが、もし先進経済の中国批判、不公正な貿易慣行、が正しいなら、そうした手段もある程度は正当化される。
しかし、アメリカが最も重視する「強制的技術移転」は、技術をシェアすることが外国企業にとっても利益になるから行っていることであり、間違いだ。関税は以前よりも下がっており、非関税障壁に関しても、中国に関する記録は問題が深刻でないことを示している。貿易だけでなく、外国からの投資に関しても、自由化が進んでいる。
アメリカ、ヨーロッパ、日本の生産者が、なぜ中国を押し戻そうとし始めたのか。それは、中国企業の競争力が高まったからだ。西側の企業がノウハウや技術を独占しているときは、中後港の設ける貿易や投資に関する障壁は、高い競争力によって回避できた。しかし、中国企業がますます国際的に見て高い競争力を発揮するようになって、西側の企業はコストに耐えられなくなったのだ。
その意味で、米中貿易摩擦の本質は、市場開放と競争条件の均等化が遅く、近代化と企業の競争力改善が早い、というミスマッチにある。実際、1人当たりGDPは生産性の高さを示すが、中国の100万人を超えるいくつかの地域では、先進諸国と等しくなっている。他方、もちろん、中国の平均でははるかに低い。
外国からの圧力で中国経済を変えることはできない。しかし、今や中国の保護貿易体制は、中国の内陸部を助けることにならない。なぜなら、最大の競争相手は、外国企業ではなく、ダイナミックな沿海部の先端企業であるからだ。その意味で、中国はその開発戦略を観直すべきだろう。
FT December 6, 2018
Tussle for tech
supremacy powers US-China animosity
David Zweig
PS Dec 6, 2018
A Reciprocal
Solution to the US-China Trade Dispute
SHANG-JIN
WEI
FT December 7, 2018
China and the US:
trade war or cold war?
Timothy Ash
● アメリカ資本主義の改革
NYT Dec.
2, 2018
American
Capitalism Isn’t Working.
By
David Leonhardt
1944年10月の雑誌Fortuneに、ある企業重役William B.
Bentonの驚くべき論説が載った。彼は、企業家たちのグループを代表して、第2次世界大戦後のアメリカの繁栄に関して書いた。
当時、戦後の繁栄を当然とみなす者はいなかった。15年も続く不況と戦争を経験した後だった。戦時の生産体制が終わり、兵士たちが戻れば仕事を探す。それは新しい不況に経済を突き落とす、とアメリカ人の多くは心配した。
「今日の目標は勝利だ。しかし明日の目標は、仕事、平和時の生産、高い生活水準、機会である。」 と彼は書いた。その目標を達成するには、アメリカ企業が「必要かつ適当な政府の規制」と労働組合を受け入れることだ。また、企業が「コミュニティの福祉を犠牲にして」利潤を上げないこと、賃金を引き上げることだ。
こうした左派の主張に見える考え方は、何も利他主義によって示されたのではなかった。大不況とヨーロッパにおけるファシズムの台頭を、アメリカの企業重役たちは恐れたのだ。制約のない資本主義は誰にとっても危険である、と彼らは信じた。Bentonの論説は「自由社会の経済学」というタイトルであった。
その後、アメリカ企業は概ねその処方箋に従った。アメリカの経済と企業は、ともに好調だった。
1970年代に、事態が変化し始めた。グローバルな競争、エネルギー価格の高騰、そして、大不況の記憶が薄れた。企業重役はアグレッシブになって、株主価値の最大化、という使命を強調した。そして、規制緩和、減税、労働組合のない生産現場、低賃金、同時に、はるかに高い重役報酬、を目指した。彼らはそれを、素晴らしい経済成長が来る、と正当化した。
しかし、それは来なかった。成長する時期でもほどほどの成長率であり、その果実のほとんどを富裕層が取った。1979年以来、週給与の中央値の増加率は、わずかに年0.1%である。現在、アメリカの代表的な家族は、20年前より、少ない資産しか持たない。平均寿命はこの10年で短縮した。
アメリカ人の多くが不安を感じ、憤慨するのは当然だ。Bentonの問いを再考してみることだ。「どんなアメリカ企業が、すべてのアメリカにとって必要か?」
マサチューセッツ州の上院議員Elizabeth
Warrenは、大統領選のための政策綱領を検討しているが、この問題に答えている。Warrenは、労働者やコミュニティに投資する企業を求めているのだ。しかし、短期的な利潤最大化を止めた企業重役を、金融市場は罰するだろう。そこにはルールが必要だ、と彼女は語った。
彼女が他の議員たちと提出した法案は、顧客、労働者、コミュニティの利益を経営陣に考慮するよう求める。経営陣の40%は労働者が選出する。ドイツが採用して成功しているモデルだ。
Warrenのプランは企業家たちの強欲を抑える最善の方法なのか? 私にはわからない。政治家、専門家たちは、さまざまなアイデアを検討してほしい。はっきりしていることは、アメリカの資本主義が機能していない、ということだ。
● 名前のない時代
NYT Dec.
3, 2018
An Era
Without a Name
By
Roger Cohen
2極世界から、1極世界を経て、今や「名前のない時代」に入った。自由の拡大から、ルールに依拠した国際秩序まで、第2次世界大戦後のアメリカは目標を示したが、それらは捨て去られた。
グローバルな「文化」が、ロシア、サウジアラビア、中国、トランプのアメリカ、ますます富裕層によって、価値を持たないエリートたちによって定義される。富から排除された者たちは、憤慨する、排外主義的なナショナリズムに向かう。
かつて考えられないことが起きている。メキシコ国境では親子が引きはがされた。大統領執務室から毎日流れる嘘、誤解を広める声明。トランプによれば、EUは「野蛮」であり、北朝鮮の指導者、金正恩は「偉大な人物」である。
トランプは、フランスAisne-MarneにあるAmerican
Cemeteryアメリカ兵士の墓地に訪問するのを取りやめた。雨だから。彼は雨が嫌いだ。その髪型に影響するから。母国を遠く離れた戦場で亡くなった2250人のアメリカ人のことなど、気にしない。
トランプ大統領は2020年に選挙で勝つために、どんなことでもするだろう。トランプの不道徳と残酷さには限界がない。
トランプの4年間からアメリカは回復できるかもしれないが、8年間はむつかしい。
NYT Dec.
3, 2018
America’s
Crisis of Conscience
By Laurene Powell Jobs
NYT Dec. 4, 2018
The ‘Next America’
By
Thomas L. Friedman
NYT Dec. 6, 2018
To Make America
Richer, Help Poor Children
By David L. Kirp
● ヨーロッパ安全保障
FT
December 3, 2018
Europe
will never be a top-tier geopolitical power
Wolfgang Münchau
FT December 5, 2018
Europe’s security
community braces itself for Brexit wounds
Roula Khalaf
FT December 6, 2018
Nord Stream 2 is a
trap of Germany’s own making
Constanze Stelzenmüller
● 日本の2つの挑戦
FT
December 3, 2018
Japan’s
struggle with a rising China
Gideon
Rachman
米中は対立をエスカレートさせている。1930年代の日米の対立に比べて、中国はより大きな挑戦国だ。中国は、地域への貿易や投資を拡大している(軍事も含むが)という意味で、そのような比較を受け入れない。
安倍政権は、中国の台頭に対抗することを使命としてきた。尖閣諸島問題で政権を取り、アメリカとの同盟を強化するため憲法解釈を改めた。トランプの姿勢が信用できないことで、同盟関係をさらに拡大し、「インド太平洋」概念を、経済・安全保障、そして諸価値まで含めて主張し、推進する。
しかし最も重要な同盟国であるはずの韓国は、日本の植民地支配を争点として、安倍は日韓関係を改善できない。日韓が強固な同盟関係を築けなければ、両国とも中国に対抗できない。
VOX 03
December 2018
Japan’s
age wave: Challenges and solutions
David Bloom, Paige Kirby, JP Sevilla,
Andrew Stawasz
世界で進む高齢化に、各国は対策を必要としている。日本はその最先端の実験を行っている。
世界で最も寿命の長い国となって、すでに35周年である。その記録的な長寿、平均84歳と、高齢者の人口比率27%は、大きな成果だ。
しかし、社会の高齢化は両刃の剣である。アメリカの元商務長官Peter
Petersonは、高齢化を「化学兵器、核拡散、民族紛争よりも、深刻で、確実な脅威」と呼んだ。
日本の高齢化には複合的な要因が関係している。戦後のベビーブーム世代(1947-1949年生まれ)の高齢化。出生率の低下。平均寿命の増加。それは、日本の政策課題として、労働力人口の減少、医療費・年金への財政負担の増加、の緊急度を強めている。
万能薬はないが、さまざまな政策を組み合わせることで、日本はその先進的な実験室となっている。出産を奨励し、支援する。女性や高齢者の労働力率を高める。移民政策を緩和する。AI、ロボットを普及させる。消費税率を引き上げる。
オーストリア、UK、ドイツなどで成功している対策、退職と年金受給年齢の引き上げは、政治的に支持されていない。老人へのワクチン接種を勧めることが、医療費の抑制に非常に効果的である。
FT December 6, 2018
Executive pay in
Japan remains combustible issue for investors
Leo Lewis
● ヴェネズエラ
PS Dec 3,
2018
How to End
Venezuela’s Nightmare
RICARDO HAUSMANN
FP DECEMBER 6, 2018
Chávez’s Real
Legacy Is Disaster
BY MICHAEL ALBERTUS
● 人民元による国際通貨体制
PS Dec 3,
2018
The Rise
of the “Petroyuan”
JOHN A. MATHEWS, MARK SELDEN
中国は、人民元をSDRの構成通貨に加えただけでなく、上海の国際商品市場に、人民元建の石油先物市場を開設した。これは、ドルに依拠した国際決済システムを、人民元も加えて、より多元的な国際決済システム、そして国際資本市場に転換する重要な前進である。
アメリカが世界各国との貿易対立を生じ、イラン核合意を破棄して制裁を実施しただけでなく、アメリカによる命令に従わない諸国への強制・制裁手段として、このドルによる国際決済システムを利用している。ロシアやイランが中国との石油取引でドルのシステムを回避すること、さらに中国との貿易や投資を増やすことは、アメリカやドル体制に強い圧力となるだろう。
● 経済と金融政策
PS Dec 3,
2018
Beyond GDP
JOSEPH E. STIGLITZ
PS Dec 3,
2018
Can the
World Bank Redeem Itself?
DEVESH KAPUR, ARVIND SUBRAMANIAN
FT December 5, 2018
Pendulum swings
from central banks to politicians
Pascal Blanqué
● 権威主義
NYT Dec. 3,
2018
The
Cowardly Face of Authoritarianism
By
Timothy Snyder
民主主義は人々が間違いを犯しても、それを正しながら、政治を行う。しかし、権威主義は個人のカルトを創り出す。個人の顔だけを知って、それ以外のことは知る必要がない。
人々は真実を求めるが、個人のカルトはそれを破壊する。今、権威主義は中規模の嘘をついている。バラク・オバマはアフリカ卯群れのイスラム教徒だ(アメリカの嘘で、ロシア人が賛成する)。ヒラリー・クリントンは幼児性愛者だ(ロシアの嘘で、アメリカ人が支持する)。
全体主義はもっと大きな嘘を必要とする。ジョージ・ソロスはユダヤの陰謀の指導者だ、という嘘はそれに近い。
● EU金融市場
FT
December 4, 2018
EU needs a
bigger toolbox to safeguard bond market
Michael Heise
FT
December 5, 2018
The
barriers to the euro’s global role are found at home
● トルコ
FT December
4, 2018
Political
attacks reduce Turkey’s onion farmers to tears
Laura Pitel
● 学校
NYT Dec. 4, 2018
Throwing Open the
Schoolhouse Doors, Once and For All
By Gordon Brown
● 暴力に代わるもの
NYT Dec. 5, 2018
The Alternative to
Arms
By Gerry Adams
第2次世界大戦が終わったとき、51ヵ国で始まった国連は、今、193ヵ国に増えた。闘争と旧帝国の解体の末に、新しい諸国が生まれたからだ。
しかし、政治闘争のサイクルは今も続いている。Brexit危機はアイルランド経済を損ない、グッド・フランデー合意まで破壊するかもしれない。カタルーニャとバスクでは独立運動があり、香港とパレスチナでは人々が自治の権利を求めている。
世界は、自分たちの法律と国際関係を決める諸国の闘争によって支配されている。しかし、人々がその生活に関わることを決めるためには、彼らが外交や協力、対話について決定できる力を持たねばならない。それが民主主義だ。
言うだけなら簡単だ。
私はベルファストで10代であったとき、私も仲間も公平に扱われていない、と理解した。北アイルランドは、イギリス政府がアイルランドから切り離したのだ。人々は宗派で分断され、カソリックは信用されなかった。
われわれの経験した不平等は、社会に深く根を張っていた。それでも私は、人々が解決のために席に就けば、問題は解決される、と信じていた。しかし私はすぐに学んだ。不平等に依拠してパワーを求め、地位に就く人々がいる。彼らはこのパワーを犠牲にするような解決策は受け入れない。いかなる合意も、彼らの地位を脅かさないような程度に抑えられるだろう。権力を持つ人々は、たとえ、そのパワーが幻想でも、権力を手放そうとしない。
この状況の反対側の人々は、事態を変えることはできない、と信じている。変化が可能とは考えない。変化を恐れる。たとえ彼らを差別する社会でも、組織された社会になじんでいる。生き残ることに忙しすぎて、事態が変化することなど考えられない。
政治闘争なしには前進できず、その成功には、人々がパワーを持たねばならない。その社会、コミュニティに権限を持つ。人々が愛され、その人間性が尊敬され、守られる。人々が権利や資格を持つ。それが支持され、促進される。市民中心の社会が必要だ。
暴力は、しばしば、人々が他に選択肢はないと信じる中で、広がる。国家が法を無視し、その利益を強制する中で、この確信は強まる。
アイルランドの共和主義者やその他の人々が紛争を平和に変えたのは、グッド・フライデー合意によって、武力闘争に代わる道を示したからだ。
人々の期待は高められるべきで、抑えられるべきではない。最も絶望的な状況でも、民主主義が解決をもたらすことはできる。
● ファーウェイ
The Guardian, Thu 6
Dec 2018
The Guardian view
on Huawei: the bigger story
Editorial
FT December 6, 2018
China demands
release of Huawei CFO held on US charges
Louise Lucas in Hong Kong, James Kynge in London and Demetri
Sevastopulo in Washington
FT December 7, 2018
Huawei arrest
imperils a fragile US-China truce
FT December 7, 2018
Huawei executive’s
arrest threatens US-China trade talks
Kathrin Hille in Taipei, Louise Lucas in Hong Kong and
Demetri Sevastopulo in Washington
● グルジア
FT December 6, 2018
Georgia needs more
support from the west to protect its values
Salomé Zourabichvili
● イエメン
NYT Dec. 6, 2018
Renewed Hope for
Peace in Yemen
By Martin Griffiths
● インターネットの世界
NYT Dec. 6, 2018
How to Save the Web
By Tim Berners-Lee
********************************
The Economist November 24th 2018
Brexit: The
truth about no deal
A no-deal
Brexit: Free falling
Chaguan:
Rights and wrongs
Charlemagne:
The power of fish
Bagehot:
Crisis? What crisis?
(コメント) Brexitの最後の神話、No-Dealが論争を迷走させています。合意なしに離脱したら、どうなるのか? それは新しい「恐怖作戦」か?
中国が西域で行っている人権侵害、ウイグル人の「再教育」について、複数の諸国が大使の間で連名抗議を行った。おもにヨーロッパの小国が、自分たちの政治の価値を問い直します。日本は参加していない。
漁業をめぐる争いは過激化しやすい。EU離脱交渉は、GDPで0.1%の活動で紛糾します。
Brexitは、スエズ危機か、1976年のIMF融資か、1925年の金本位制復帰と1931年の離脱か?
******************************
IPEの想像力 12/10/18
朝日新聞「耕論 蒸発する欧州の「中道」」を読みました。
かつて「第3の道」を指導したギデンズは述べます。富の再分配、福祉政策、人道主義を実現した「中道左派勢力が、今や蒸発しつつある」。なぜか? デジタル革命だ。
・・・産業革命よりも急速で、地球規模に本質的な変化が起きている。電子マネー、製造業の海外移転による消滅、ロボットたちの生産ライン。サービス業に働く人々は、SNSで結びつく。デジタル型の直接民主主義。高齢者や貧困層は変化に取り残され、帰属意識を持てない。
「旧来型の社会民主主義」は、グローバル資本主義が生み出す不平等に対して無力である。国家に力はない。ブレアのイラク戦争。リーマン・ショック。中国の台頭がもたらす地政学の変化。EUは主権を強化するのに、イギリス国民は離脱を選択した。野党の労働党コービン党首は、ポピュリスト政党と同じようにSNSで支持を広げる。しかし、北部の労働者階級はEU離脱、多くの若者はEU残留を求める。
労働者階級は劇的に縮小した。労働組合は力を持たない。国際的視野を持つ、コスモポリタン(世界市民)的な、進歩的な運動が必要だ。リベラルな諸価値を、デジタル時代の福祉制度を、途上国の発展とともに解決する。構造変化を分析して、政策の中に埋め込む努力が必要だ。
****
日本政府は、あるいは、日本の有権者は、安倍晋三を首相として、中国の台頭に抵抗し、アメリカと同盟関係を強化し、アベノミクスと称した金融の超緩和政策を推進しました。それは、金融危機と不況、若者の失業、長期にわたるデフレ、生活水準の停滞、不平等化、金融バブルの容認、出生率低下と超高齢化、「再軍備」、「憲法改正」、その他、Brexitとトランプの時代に似ています。
・・・安倍政権は、中国の台頭に対抗することを使命としてきた。尖閣諸島問題で政権を取り、アメリカとの同盟を強化するため憲法解釈を改めた。トランプの姿勢が信用できないことで、同盟関係をさらに拡大し、「インド太平洋」概念を、経済・安全保障、そして諸価値まで含めて主張し、推進する。(Gideon
Rachman)
・・・世界で進む高齢化に、各国は対策を必要としている。日本はその最先端の実験を行っている。
世界で最も寿命の長い国となって、すでに35周年である。その記録的な長寿、平均84歳と、高齢者の人口比率27%は、大きな成果だ。
しかし、社会の高齢化は両刃の剣である。アメリカの元商務長官Peter
Petersonは、高齢化を「化学兵器、核拡散、民族紛争よりも、深刻で、確実な脅威」と呼んだ。(David
Bloom, Paige Kirby, JP Sevilla, Andrew Stawasz)
****
インターネットが秩序や規範を溶解する力は増すばかりです。
日本は周回遅れのトップランナーだ、と思います。超高齢化社会、台頭する中国との関係、資本主義の改革、さまざまな意味で。
Brexit、トランプ、マクロン。そして、河野太郎外相の回答拒否、という奇妙な記者会見。これまでの平和主義の原則は何も変えていない、と空母を正当化する安倍首相。ロシアと向き合ってプーチンになり、アメリカと肩を組んでトランプになったのか?
ここでも「名前の無い時代」、「Brexitとトランプ後の時代」が始まったのです。
******************************