IPEの果樹園2018

今週のReview

11/26-12/1

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イラン制裁の意味 ・・・Brexit合意案の採決 ・・・日本の金融政策 ・・・中銀とデジタル貨幣 ・・・感謝祭 ・・・デジタル大企業の分割 ・・・日産のゴーン逮捕

長いReview

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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 イラン制裁の意味

The Guardian, Fri 16 Nov 2018

Trump’s economic war on Iran is doomed to failure

Richard Dalton

アメリカはイランに対する経済戦争を宣言した。国連安保理の承認したイランに関する核合意を離脱し、一方的に、世界がイランと貿易する権利を攻撃している。

この政策は、イランがアメリカ国民に対する主要な安全保障上の脅威である、と主張するものだ。それはひどい誇張であり、ポンペオ国務長官が、イランを「正常な国家の行動」に戻す、というとき、皮肉な意味になった。

アメリカこそ「正常な」国家ではないからだ。

イランに対して好戦的な姿勢を示すことに、戦略的な利益があるのか? イランは、インフレや不況に苦しんでも、政治的には安定を維持している。2020年のアメリカ大統領選挙まで、彼らはアメリカの挑発を無視し、核開発を再開することはないと思う。

しかし、ハメネイなどの政治指導者たちは決意を固めており、トランプに譲歩することはない。アメリカによるイラン制裁は、EUをはじめ、世界の支持を受けていない。

ドナルド・トランプは北朝鮮と同じ交渉による大きな成果を目指している。イランを変える、と主張する。しかし、イランが合意に向けて動くとしたら、それはアメリカが中身のある譲歩を示すとイランが期待する場合だけだ。

アメリカのイラン制裁は、イランの石油をほしがる中国、インド、トルコに、世界貿易の異なるチャネルを模索させ、将来、アメリカがドルを政治的な武器として使用することはできなくなるだろう。

誤解による軍事衝突も考えられる。あるいは、意図的な衝突もある。しかし、中東地域で再び戦争を選択するのは、再選のために良いこととは考えていないようだ。

アメリカがその姿勢を変え、すなわち、多くの要求を取り下げ、イランに対する敬意を少しは示し、現実的な条件で話し合うなら、新しい合意を得ることも可能だろう。すなわち、アメリカは制裁を本当に解除し、イランはミサイルの距離やタイプを制限する。それは中東におけるいくつかの和平と米軍の撤退も可能にする。

しかし、現在のアメリカのアプローチには成功の見込みがない。同盟諸国はアメリカを支持せず、イランへの要求が多すぎる。


 Brexit合意案の採決

FP NOVEMBER 16, 2018

The Brexit Deal Won’t Destroy Britain

BY VERNON BOGDANOR

たとえEUとの合意が議会で拒否されても、食料や医薬品が山積みになることはない。ドーバーやフォークストーンに20マイルもトラックが行列することもない。UKが分裂することもないだろう。実際、Brexitはスコットランドの独立を起こりにくくした。

もしスコットランドが独立すれば、主要な市場であるイギリスとの間に多くの非関税障壁が生じる。もしスコットランドがポンドを使用するなら、そのためにUKに対する財政負担を交渉しなければならない。またスコットランドがEUに加盟するには、財政赤字のGDP3&ルールを守らねばならない。それは現在、8%に近い。スコットランドが、ギリシャやスペインのような厳しい緊縮策を採用することはないだろう。

北アイルランドも、UKを抜けて、アイルランド共和国に統合することはないだろう。1998年のグッド・フライデー合意では、住民の多数が共和国との統合を支持するまで、UKにとどまる、ということになっている。北アイルランドでBrexit後に共和国との統合を支持するのは、カソリックの少数派、住民の21%でしかない。

過去の6人の保守党の首相がヨーロッパ問題で辞任した。メイも保守党内で強まる辞任要求に直面している。しかし、保守党も労働党も、Brexitに関して深く分裂している。それは、ノルウェー案(EEAを形成して単一市場に参加するが、その代わり、人の自由移動と財源分担を認める)とカナダ案(EUとの自由貿易協定だけで、関税同盟や単一市場には属さない)との違いとして表現されることもある。

また、保守党の一部と労働党の多数が2度目の国民投票を求めている。他の野党も、同様に、人民の評決、を支持する。

こうした分裂状態の議会がメイの合意案を承認するか、予想できない。しかし、たとえ否決されても、それは総選挙になることを意味しない。

The Guardian, Sat 17 Nov 2018

Europe’s door is still open – but Britain will have to move fast

Timothy Garton Ash

イギリスが運命に苦悩し続ける中で、私はブリュッセルにいて他のEU諸国がBrexitをどう考えているのか観察していた。そして、真の選択肢は2つある、と分かった。ヨーロッパのドアはまだ開かれている。

われわれが2度目の国民投票でEUにとどまると決めれば、それは許されるだろう。5月後半のヨーロッパ議会選挙の前が好ましい。あるいは、ヨーロッパ諸国は329日にイギリスが離脱することを望む。他のすべてのことは後で決め、EUは自分たちの大問題に取り組みたい。

45000万人の意見を一般化することは不可能だが、指導者や代表たちの間には明確なコンセンサスがある。彼らはBrexitの騒動に長くかかわって飽き飽きし、イギリスの非現実的な姿勢に呆れている。

もしあなたが隣にいて、ドイツ人がフランス人に、あるいは、ポーランド人がイタリア人に話すのを聴けば、まるでBrexitはすでに起きたように思うはずだ。彼らが考える時間は、ユーロ圏、イタリア、トランプ、通商問題、メルケル後のドイツ、自国のポピュリストたち、そして迫ってきたヨーロッパ議会選挙に占められている。

「ベルリンでは、Brexitはおそらく10番目の検討事項だ」、とある外交官は語る。外交や安全保障のような、かつてイギリスが重要な役割を担った分野でも、その影響力は破滅的な低下を示している。ヘリコプターが空から消えたように。

イギリス外交はEUを分断して支配する試みを続けたが、27加盟諸国の統一は強化された。アイルランドは、長い歴史においてはじめて、イギリスの外交交渉に拒否権を持った。EUの交渉力は例外的な強さを持った。なぜなら、イギリスは銃を自分の頭に当てて「良い条件を示さなければ、撃つぞ」と言うからだ。メルケルが繰り返し明言したように、EUから離脱したイギリスは、EU加盟諸国のどの国よりも弱くなる。

イギリスが離脱したほうが、フランス、ドイツなど、中枢諸国で連邦化に向けて動きやすい、という声もある。また他の元外交官は言った。「イギリス人は外がどれほど寒いか実感するべきだ。そして10年後に、降参して再加盟を申請するのだ。」

ヨーロッパの隣人たちのほとんどは、さまざまな程度の後悔と、イギリスがともに進むことへの望みを示す。非常に少数だが、北欧やイギリスと緊密な関係を持つ人々は、イギリスの離脱に強い不安を感じている。さまざまな意見は、合意のない、混乱した離脱を避ける、というコンセンサスに収れんする。この点、メルケルは、離脱合意が再交渉を許さないものであることを強調した。それは、メイの合意案をイギリス議会が承認するよう支持する、という意味だ。

ますます多くのイギリス人、すべての党派、すべての通りにおいて、第2の国民投票こそ望まし道だ、と求めている。EUは、議会がそれを認めれば、50条による期限を延長して、その時間を与えるだろう。再び僅差の投票結果となり、イギリス政治が混乱する懸念があるとしても、そのリスクを取るべきだ。

われわれは人民の投票によって向きを変え、EUにとどまる。あるいは、メイが交渉した合意を呑んで、離脱後の不幸な生活を始める。

FT November 19, 2018

In praise of Theresa May, a serious leader in an age of pygmies

Sebastian Payne

テリーザ・メイを称賛しないのはますます困難になってきた。首相はイギリス史の困難な瞬間にあって、避けられないEU離脱交渉を進め、同時に、保守党内部の反対派を抑える必要がある。最高の指導者であっても難しいだろう。しかし、メイはしばしば、弱い、寝返った指導者と非難されながら、前進し続けている。指導者として挑戦を受けるかもしれないが、政治的な泡沫の外に立って、この国の難局を切り抜ける唯一の大人である、という評価が高まりつつある。

メイがイギリス産業界の多数の支持を得たのは大きな成果である。その合意案を国民に説得する姿勢も印象的であった。先週、彼女は分裂状態の閣議を5時間かけて説得し、記者会見を開き、下院で3時間の質疑、地域の保守党支部とラジオ・電話会議を行った。イギリス産業連盟年次総会で支持を訴えたことに始まる彼女のスタミナは称賛に値する。

メイの生き残りをかけた武器は、かつてサッチャーが好んだ議論、TINA、すなわち「他に選択肢はない」である。労働党のコービンも、保守党内部のBrexit強硬派や不信任を唱える声も、メイの合意案に代わる具体策を何も持たない。

これは、メイが特に優れた首相である、という意味ではない。彼女はメディアをうまく使えず、最初に示したレッド・ラインで経済的利益を守ることがむつかしくなり、国民の期待をコントロールできず、2017年の解散は失敗だった。彼女の閣僚指名もまずかった。国内的な成果もない。

しかし、メイの合意案が成立する機は熟した。出発点が、人の移動の自由を終わらせる、ということなら、これは達成できる最善の合意だ。メイは、多くのイギリス人が求めるBrexitについて、重要な、正しい計算を行った。国境を厳しく管理し、EUへの財源移転を終わらせ、自分たちの生活を「コントロールする」少し大きな力を得る。


 日本の金融政策

PS Nov 16, 2018

The Bank of Japan’s Stealth Tapering

TAKATOSHI ITO

安倍首相は、デフレが日本経済の主要な停滞要因だ、と正しく認めた。アベノミクスの一部として、黒田日銀総裁はデフレ脱却を求められた。2%のインフレ目標は達成が難しいと思われたが、QQEの発表後、デフレから1.7%のインフレが達成された。資産効果による高価な輸入材の影響があった。しかし、それも日銀の大規模な資産購入が続いていたからだ。健全なインフレが達成されるまで続ける、というアナウンスメントも有効だった。

消費税引き上げの問題、デフレと賃金抑制との悪循環があった。日銀はスイス型のマイナス金利も採用したが、その後、民間商業銀行の苦境に配慮してイールド・カーブに介入した。その政策転換は、今や見えないQQEからの離脱を始めている。

金融政策の決定には、日銀に限らず、インフレ、成長、雇用という3つの目標によるトリレンマが生じている。それは日銀に限らない。


 中国・香港・台湾

FT November 21, 2018

China’s ‘sharp power’ play in Taiwan

Kathrin Hille in Tainan

中国は台湾を自国の一部と主張している。もし台湾が独立を主張するなら、断固として、軍事的な侵攻を行うと脅す。独立を支持する民進党DPPが、2016年に、大統領選挙と議会選挙の両方で勝利してから、北京の台湾政府に対する圧力は全面的に強まった。軍事分野、外交分野、そして、航空やホテルにおける名称・台湾の使用禁止、中国から台湾への旅行者を減らし、台湾からの農産物輸入も減らした。

今や、DPP政権は、国内の選挙介入、市長選挙や地方議会選挙、村長まで、中国による有権者への圧力を受けている。それは西側民主主義国で論争となっている権威主義国家からの介入、弱体化工作と共通している。

アメリカ大統領選挙で問題となったロシアによる選挙介入は、新しい言葉を生んだ。「シャープ・パワー」である。台湾こそ、「シャープ・パワー」の戦争における最前線である。

土曜日に行われた高雄市の市長選挙は、地域の問題が争点であったが、その結果は台湾海峡をはさむ中台関係を決定するものだった。なぜなら、DDPが敗北したことで、2020年の蔡英文再選の可能性を消し去ったからだ。蔡は、台湾の独立を否定しないことで、北京の激しい怒りを買った。


 中銀とデジタル貨幣

PS Nov 19, 2018

Why Central Bank Digital Currencies Will Destroy Cryptocurrencies

NOURIEL ROUBINI

中央銀行によるデジタル通貨central bank digital currencies (CBDCs)の発行が、IMFでも検討されている。現金の利用が減少し、スウェーデンや中国では、ほとんど消滅した。デジタル決済システムが、かつて商業銀行の担ったサービスを提供している。

中央銀行が発行する暗号通貨(仮想通貨)とブロックチェーンに基づいて、民間銀行システムを改革する道が考えられている。


 感謝祭

NYT Nov. 21, 2018

No Money. No English. But America Welcomed a Young Foreigner.

By Nicholas Kristof

今年の感謝祭で私が挙げたい事実の1つは、100年前に、今のウクライナで生まれた男に、アメリカが示してくれた温かい歓迎である。

その男、Wladyslaw Krzysztofowiczは、危険な土地のアルメニア人家族に生まれた。それは、その時代のホンジュラスだと思えばよい。第2次世界大戦中、家族の何人かはナチスに殺された。また戦後は、生き残った何人かがソ連の「解放者たち」に殺された。

Wladyslawは、ダニューブ河を泳いで渡り、ルーマニアからユーゴスラビア連邦へ追放されたようなものであり、さらにフランスへ向かった。アメリカへ行く、という彼の夢が始まった。

それが私の父である。偽装結婚など、違法な手段も試みたが、最終的に、オレゴン州、ポートランドの長老派教会the First Presbyterian Churchが、父はカソリックで、英語を話せず、アメリカの敵である共産主義国家の出身であったにもかかわらず、引き受けてくれた。

彼を引き受けない理由は多くあったはずだ。アメリカまでの渡航費用を支払い、英語を話さなくてもよい職を探し(最初は木こりになった)、しかも、驚くべき寛大な仕方で、これらを行った。

1952年に、私の父が乗ったマルセイユという船がニューヨーク港に近づいた。ボストンに暮らす白髪の夫人が、彼に話しかけたが、父は彼女の言葉を理解できなかった。夫人は、小さな紙に、自由の女神像に刻まれた有名な文句を書いた。“Give me your tired, your poor, your huddled masses yearning to breathe free. …”

「これを記念にしなさい、若い人。」 そう言ってから、彼女は訂正した。「アメリカ人の若者。」

父は、まだ上陸もしていない自分が「アメリカ人の若者」として歓迎されたことに、感動した。彼はその紙を財布に入れて何年も持ち、新しい母国の価値観を偲んだ。

もちろん、苦労はあった。だれもかれの名前を読めなかった。彼は名前を短縮して、Ladis Kristofとした。英語を学んで、リード・カレッジ、そしてシカゴ大学に奨学金で通った。最終的に、彼は大学教授になった。

私は、難しいアクセントの移民を歓迎してくれたアメリカ人に感謝する。この寛大さが、他の脅威に打ち勝ったことに感謝する。すなわち、the Know-Nothings, the anti-Catholic riots, the Chinese Exclusion Act, the exclusion of Jewish refugees like Anne Frank, the internment of Japanese-Americans, the Muslim ban and this year, the separation of immigrant families at the Mexican border

確かに、移民は複雑な問題だ。国境を開放して、すべての移民を受け入れることはできない。さまざまなトレードオフがあり、線を引くことは難しい。政策に関する論争が必要だ。それはシリアやホンジュラスからの難民を悪者にすることではない。両親から子供たちを引き離すことでもない。彼らを支援したソーシャルワーカーやボランティアに感謝する。

私の父は2010年に死んだ。彼は100歳の誕生日に、新しい母国が国境に軍隊を派遣し、「侵略者たち」と戦う政治劇を見ることはなかった。私は父が、外国人の人間性を認めるアメリカ人の時代にここへ来たことに感謝する。

私たちすべてが、父の出会ったボストンの夫人のようであればいいのに、と私は思う。


 デジタル大企業の分割

The Guardian, Tue 20 Nov 2018

Break up Facebook (and while we're at it, Google, Apple and Amazon)

Robert Reich

19世紀後半のアメリカにおける金ぴか時代は多くの技術革新で始まった。鉄道、鉄鋼生産、石油採取。その時代は「泥棒貴族」と呼ばれた大富豪たちの巨大なトラストにおいて頂点に達した。彼らは富と権力を駆使して競争相手を退け、アメリカ政治を腐敗させた。

われわれは今、第2の金ぴか時代に入っている。半導体、ソフトウェア、インターネット。それらは一握りのハイテク大企業を生んだ。FacebookGoogleが広告を支配し、多くのアメリカ人がニュースを観る最初のサイトになっている。Appleがスマホとラップトップ・コンピューターを支配し、Amazonは、アメリカ人消費者の3分の1が、物を買うとき、最初に観ている。

こうした事態はアメリカ経済に2つの根本問題を生じた。1.技術革新を妨げている。2.政治的な影響を増大させている。それはAmazonの第2本社選択や、Facebookのデータ処理で、濫用が指摘されている。

テディ・ルーズベルト大統領がJP Morgan and John D Rockefeller の融資する巨大鉄道トラストthe Northern Securities Company を追及し、最高裁が解体を支持した。W.H.タフト大統領がRockefeller Standard Oil empireを解体した。

反トラスト法を使うときだ。ハイテクの巨人たちを解体せよ。少なくとも、彼らの略奪的な技術やデータを公開して利用可能にすること、そのプラットフォームを零細な競争相手にも共有させることだ。


 日産のゴーン逮捕

FT November 20, 2018

Hubris is an ever-present risk for high-flying chief executives

指導者は去る瞬間が重要だ、とゴーンCarlos Ghosn6FTに語った。

月曜日、かつて彼が助けた自動車会社である日産は、突然、「多くの、重大な」不適切行為、・・・会社の資産の私的流用、過少記載を含む、罪により、彼を告発した。ゴーンの評価は、日産、三菱、ルノー、3社の連携を維持する役割として高まった。日本における栄光からの失墜はとりわけ目を引く。

1990年代、彼はルノーを立て直し、「コスト・カッター」というあだ名がついた。1999年、同じ手法で、傾いていた日産を立て直した。日本人は彼を称賛し、彼の生涯を描くマンガや、顔を形どった弁当箱まで登場した。

しかし、ゴーンの経歴は、多くの同様の経歴を持つビジネスの指導者たちが、傲慢さ、という間違いを犯すことを示している。個人ジェットで地球規模に移動するエリートたちの絶頂期は、貿易摩擦によって、終わったのだ。人々は彼らの高額な報酬、高級住宅、ライフスタイルにも寛容でなくなった。

政治家たちの生涯と似て、多くの企業重役たちの最後は失脚に終わる。イラルスのように、彼の社用ジェット機は太陽に近づきすぎたのだ。

PS Nov 22, 2018

When Leaders Won’t Leave

BILL EMMOTT

ゴーンの失脚は歌舞伎のようだ。しかし、それはドイツの要素を加えた、ギリシャの古典的悲劇にさらに似ている。メルケルの失脚と重なってくる。

どれほど素晴らしい経営者や政治指導者でも、その力を過大評価し、その地位に長くとどまるなら、破滅のリスクを冒すことになる。ゴーン逮捕の教訓とは、1.日本企業に対する厳しい監視の目が示された。しかし、2.日本の大企業の監査やコーポレート・ガバナンスはまだ弱い。それは改革を推進した安倍首相の中身にも疑念を生じる。3.日本人経営者たちは、合併に向かうのではなく、日産・ルノー・三菱の企業連携におけるバランス・オブ・パワーを変更しようとしている。

企業の重役たちは、その企業の所有者でない限り、永久にその地位にとどまれない。退任後の計画を準備するべきだ。ゴーンも、メルケルも、その点で間違った。

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The Economist November 10th 2018

European defence: EU and whose army

Gene drives: On the extinction of species

Gene drives: Extinction on demand

Chaguan: Respecting their elders

The politics of urbanization: Vexed in the city

Libya’s peace process: Too many cooks

NATO: War in a cold climate

Charlemagne: Between the tracks

Bagehot: Peterloo v Waterloo

Schumpeter: India’s shadow-banking crisis

Free exchange: Rome alone

(コメント) 遺伝子操作で、人間を害する生物種を根絶することができる、と知りました。マラリアを媒介する蚊が対象になるかもしれません。反対する声もあります。人間が生物種をアレンジする、神の役割を果たすこと、意図しない結果が起きること、周辺諸国や地球規模の影響がある、と懸念されます。それは、民間企業にも簡単に利用できる技術であり、医療や農業を大きく変え、軍事的な生物種の操作も行われるでしょう。

アフリカにおける都市化と民主化の影響が紹介されています。人口の半数が20歳以下である大陸で、政治家たちは老人ばかり、都市の貧困層を無視して権力を手放しません。「もし議会がスラムに来ないなら」と、当選した若い政治家は貧困地区で語ります。「スラムが議会に行くだろう。」

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IPEの想像力 11/26/18

ウクライナとクリミアの領海に関するロシアの武力行使。台湾を屈服させるための中国政府のさまざまな圧力と政治介入。

日本がロシアとの領土返還交渉を進めようとしたとき、クリミア周辺の支配海域で軍事力行使に及ぶロシア政府の意図は、決して無関係とは思えません。クリミアを自国の領土に編入し、ウクライナ東部では戦争状態を維持し、シリアへの軍事介入では政府との関係やロシアの軍事基地を温存しています。

ロシアの各国選挙介入や、軍事的・政治的な侵透は、トランプのNATOに対する義務の軽視やヨーロッパの防衛費負担に対する非難とともに、EUの積極的な経済・金融的自立、そして、集団的なヨーロッパ軍の整備を促しています。

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大杉峡谷へ行きました。最初に峡谷の山道を歩いて、その魅力に感動したのです。

あんパンやジュースと着替えくらいしかなくて、中身の詰まっていないザックを担いで、バス停に向かいました。予報通り、冷たい空気の気持ちよい、晴天でした。

駅で特急券を購入し、座席に落ち着いたら、The Economistを出して読むつもりでしたが、山並みが見え始めると、記事を読むより、車窓の眺めを楽しむ方が多かったです。電車は三重県を目指し、松阪でJRに乗り換えて、10時前に、私は三瀬谷駅に着きました。

松阪駅の乗り換えは同じ駅舎内で、わざわざ駅を出る必要もなかったのを知らず、改札口で切符を買い直したり、ホームを確認したりしました。すでにホームでは、数名の若者たちが登山靴と大きなザックで目立っていました。山を楽しむ子供を連れたお父さんもいました。

列車はさらに山間に入って走り続けました。のどかな、あるいは、人家の途切れたさびしい景色に、畑や林が増えました。都市で働く、人々の貧しさも苦しいでしょうが、田舎の生活がもっと充実していたら、きっと人は田舎に帰ってくるでしょう。

田舎が豊かであれば、労働者たちの生活も豊かになるのではないでしょうか?

三瀬谷駅に着くと、皆、登山バスが来る「道の駅」を探して歩き始めました。私も記憶を頼りに、細い近道をたどり、おじさんに確認して進みました。歩くうちに、なるほど、ここに来たことがあったな、と思い出しました。

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山に精霊が棲むとしたら、深緑の清流や滝つぼの中でしょうか。

効率や経済価値で換算することができない、美しい自然や静かな充足感を、山歩きに求める人は多いでしょう。確かに、登山客を相手にする食堂や旅館はさびれて、閉じたところも多いと思います。観光で町おこしや地域の活性化を図るというのはなかなか難しいのです。

農業や、自然を相手にするビジネスには、繁閑の差があります。それゆえ田舎は、しばしば出稼ぎや、さまざまな副業のしくみを発達させてきたのでしょう。巨大な観光ビジネスではなく、もっと小規模な、家族や個人のビジネスがふさわしいかもしれません。

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登山口から少し入ると始まる鎖場は、川面から10メートル? も高い場所に、岩山の側面を砕いた歩道が続いています。大杉峡谷の印象的な入り口です。

多くのつり橋を超え、大小の滝を眺めて、私は自然の中に入り込みました。ときどき、ふわっと思い出すような景色があって、薄暗い山道の不安を消してくれました。途中、何度か、ご夫婦で進む登山者が前方に見え、勇気づけられました。お2人は本格派の登山者で、山の家でも食事は自炊しておられたことを知り、驚きました。

大きな滝の見える休憩所では、見知った登山者がいて、あいさつしました。

私は、山が怖いです。文明や仕事から逃れても、完全な自然に親しみを感じることはないのでしょう。夜の闇や寒さ、一人でいることは嫌いです。しかし、峡谷の山歩きはランニングやマラソンの延長です。自分のリズムを取り戻したい、と願うのです。

グローバリゼーションのもっとも人間をさいなむ点は、自分が歩いてきた道、そして、進むべき道を、見失わせることでしょう。

午後3時半を過ぎたころ、すでに夕闇のような薄暗さが周囲に広がり始めていました。しかし、私は山の家が近づいたことを確信しました。もう大丈夫だ、と、うれしかったです。前にいた、とぼとぼ歩く男性にも声をかけ、もうすぐですね、と話し合いました。途中で追い越したお2人の登山者が追いつき、ほぼ同じころに受付で記帳しています。

これが夕食券、これが朝食券、と渡してくれました。先ほど話した男性と一緒に、スタッフの案内で布団の位置を確かめました。ここでは蛇口からたっぷりおいしい水が使え、お風呂ももうすぐ沸く、という話です。夕食までは、汗でぬれたズボンや服を干して、休憩でした。

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NYTのコラムニストが、感謝祭に寄せて、自分の父親のことを書いています。1人の男が、世界戦争や東欧の難民としての経験から、フランスを経て、アメリカの移民として受け入れられます。お金もなく、英語も話せない、彼を受け入れてくれたアメリカと、その時代、彼に自由の女神が示すアメリカの理想を教えてくれた夫人に、感謝します。

日本は、ロシアとも、韓国とも、中国とも、領土問題を含む戦後処理を続けています。「東アジア」であれ、「インド・太平洋」であれ、歴史の記憶はさまざまです。互いの領土や安全保障を確認し、共有できるまで、法の秩序や市場の繁栄を広め、維持することが指導者たちには求められるでしょう。

排外主義や海外旅行者の経済効果を超えて、日本でも地域の安全保障が構想されるでしょう。

各地の山小屋で、異なる国の人たちが、静かに自然の美しさを楽しむ時代になるかもしれません。

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