(前半から続く)
● Brexitとヨーロッパの秩序
PS Sep 28,
2018
Democratizing
Brexit
YANIS VAROUFAKIS
PS Sep 28,
2018
Brexit and
the European Order
JOSCHKA FISCHER
「ハードBrexit」とは、2019年2月29日の午後11時になって、UKとEU加盟諸国との間の、関税同盟と単一市場など、あらゆる条約が、そして、EUによる国際通商条約が終わる、ということだ。
しかしBrexitの持つ政治的意味はもっと大きい。EUの核心をなす考え方は、諸国家のヨーロッパ型システムについて、特別な見方を取る政治プロジェクトだ、ということである。これがBrexitの意味と関係する。UKがEUを離脱すると決めたのは、21世紀のヨーロッパ型秩序に深刻な打撃となるだろう。
2016年の国民投票で、離脱派は経済的な富ではなく、完全な政治的主権を要求した。それはイギリスの現在や未来の客観的事実に依拠せず、過去の、19世紀におけるグローバルな大国としてイギリスを考えた。UKがEUの中でも、外でも、今ではヨーロッパの中規模国家でしかなく、グローバルな大国になる見込みは全くない。そんなことは気にしなかった。
もしヨーロッパ大陸で、21世紀ではなく19世紀の姿を目指すイギリスに追随する国が続けば、EUは崩壊する。各国は、最高の優位を求めて戦い、常に、相手の野心を挫くことを目指す、主権国家の厄介なシステムにもどるのだ。その場合、ヨーロッパは永久に国際政治から姿を消すだろう。最悪の場合、ヨーロッパは敵対する大国の闘争場になる。
この旧システムは30年戦争(1618-1648)で生まれた。普遍的な境界と帝国が支配するシステムが宗教改革で崩壊したからだ。いくつかの宗教戦争と、強力な領土国家の確立を経て、主権国家の「ウェストファリア体制」が成立した。
その後の数世紀、ヨーロッパは世界を支配し、イギリスはヨーロッパの大国だった。しかし、このシステムは20戦記前半の2つの世界大戦で壊滅した。1945年に戦争が終わったとき、ヨーロッパ人は、勝利した連合諸国でも、実質的に、主権を失った。ウェストファリア体制は米ソ超大国による冷戦秩序の代わったのだ。
EUは、ヨーロッパ諸国の利害をプールし、平和的にヨーロッパ人が主権を回復する試みとして認識された。その成功のカギは、経済・政治・司法の大陸規模の統合であった。
UKの交渉過程で、旧い問題が出現した。アイルランド問題だ。アイルランド共和国とUKがともにEUに加盟しているときは、アイルランドの再統一を求める声は消えていた。北アイルランドで何十年にもわたり内戦を続けてきたカソリック教徒とプロテスタントとは平穏であった。EU統合が進むなら、実際、北アイルランドがどちらに属するかは重要でなかったからだ。しかし、Brexitが歴史を逆転させた。
ヨーロッパ人はアイルランド問題を注視するべきだ。そのような対立が大陸にも再現する可能性がある。世界は、大西洋ではなく、太平洋を中心とした新しい秩序に向かっている。ヨーロッパは歴史的内向の唯一のチャンスを逃すべきではない。旧いヨーロッパの国民国家群は、統一しなければ、新しい競争に耐えられない。
UKが属すかどうかにかかわりなく、ヨーロッパは未来を観る。
VOX 01
October 2018
Hard
Brexit, hard decisions, and ‘Irexit’
Ronald Davies, Joseph Francois
The
Guardian, Tue 2 Oct 2018
This is
the speech Theresa May should have the courage to give
Polly Toynbee
テリーザ・メイは、保守党大会で、Brexit狂信者に対抗し、我々イギリス国民全体の利益のために、演説するべきだ。
FT October
2, 2018
A festival
of Brexit from which the Tories cannot escape
Robert Shrimsley
FT October
2, 2018
The Brexit
effect: Brussels tries to blunt the Swiss model
Ralph Atkins in Zurich and Alex Barker in
Brussels
「スイスはモデルではない。」 EUのBrexit交渉担当者は、これまでにないほど明確な姿勢を示した。Brexit後の関係を、スイスから類推してはならない。われわれはこのような愚劣なことを繰り返さない、と。
それは意図しない賛辞であった。人口850万人のアルプスの国であるスイスは、5億人を超える通商圏、EUを国境で拒んできた。120を超える2国間協定によって、スイスはEU加盟による利益の多くを、加盟せずに実現している。4年前に新しい交渉が始まった。EUは小国スイスに自分たちのルールを強く求めている。UKとの交渉に悪い前例とならないためにも。
しかし、スイス政府は国内の複雑な状況を制御しなければならない。交渉が10月末までに終われば、政府は11月に一連の住民投票を行うだろう。ウルトラ・ナショナリストのスイス人民党SVPは、ベルンに権力を取り戻せ、とキャンペーンを始めている。
EUはジレンマに直面する。この面倒な隣国のために、どれほどの苦労を払う必要があるのか?
「たとえ米中間の紛争に比べて小さくても、今は貿易戦争を増やすときではない。しかし、EUはスイスを懲らしめる気分だろう。」・・・「Brexitについても、非妥協的な姿勢になっている。」
1992年、スイスはEEA(the European Economic Area)に参加した。スイス政府も、ようやく2016年7月に従来の姿勢を逆転し、EU加盟を目指している。
ヨーロッパの南北をつなぐ位置にあるため、EUはスイスに市場アクセスの優遇を与えた。他方で、ベルンは独自の国際貿易協定を、中国と同じように、結ぶことができる。歴史的に、スイスは交渉が巧みで、1814-15年のウィーン会議ではヨーロッパ諸国がスイスの永世中立を認めた。
FP OCTOBER
2, 2018
A No-Deal
Brexit Will Destroy the British Economy
BY SIMON TILFORD
FT October
3, 2018
Britain’s
best Brexit hope is a revised Chequers plan
Charles Grant
メイは「チェッカーズ・プラン」(首相別邸チェッカーズで練られた離脱案)の改訂版を出すべきだ。そこでは、EUの、特にブリュッセルと独仏が気にしている、「平坦な競争条件」を破らない工夫が必要だ。必ずしも、4つの自由、という原理に固執しないと思う。また、アイルランドで国境線を再現しないために、長期におけるUKとEUとの関税同盟の実現を約束することも重要だ。
しかし、これに対しては保守派の離脱強硬派が反対する。他方で、労働者の権利を重視する労働党の一部から支持されるだろう。
独仏が4つの自由の原則にこだわったり、UK議会のバランスが少しでも変わったりすることで、ハードBrexitが起きる。それはEUにも、アイルランド問題にも、深刻な反響を生じる。
FT October
4, 2018
Boris
Johnson and the flight to English nationalism
Philip Stephens
FT October
5, 2018
Brexiters
misunderstand the European project
Martin Wolf
● 持続的発展
PS Sep 28,
2018
Social
Solidarity for Sustainable Development
GRO HARLEM BRUNDTLAND
● グローバリゼーションの逆転とポピュリズム
VOX 28
September 2018
A rational
backlash against globalisation
Lubos Pastor, Pietro Veronesi
PS Oct 2,
2018
Road
Runner Populism
HAROLD JAMES
ポピュリストの経済学は、これ以上にないほど好調だ。アメリカ経済も、株価も上昇し、トランプ政権の保護主義は成長にほとんど影響していない。批判家たちも、中国の台頭を抑えるには有効かもしれない、と認めている。
ヨーロッパでも同様だ。ハンガリーのオルバン首相や、ポーランドの事実上の指導者カチンスキーは、完全雇用と労働力不足を楽しんでいる。ポピュリストたちは、グローバル・エリートの議論を、でたらめだった、と指摘する。BrexitでUK経済が崩壊する、という残留派の主張は間違いだった。
しかし問題は、再考のときが来るかどうかではなく、いつ来るのか、である。
古典的な経済リベラリズムは、間違った経済政策は、即座に、悪い結果につながる、と主張する。25年前、債券市場は休むことのない監視者である、とみなされた。将来に向けた金融市場の判断で、ポピュリストの政策は高いリスクプレミアムを要求される、と。エコノミストたちが依拠したのは、ラテンアメリカのナショナリスト政権の経験だった。そのポピュリスト経済学は、過剰な約束と莫大な財政赤字をもたらし、常に、インフレ、通貨価値の下落、不安定化のサイクルをもたらした。グローバル金融市場は最初から懐疑的だった。
しかし、債券市場は、多くの人が信じているような、予測する力がない。それは経済政策を規律するものではないのだ。一般に市場がそうであるように、債券市場も人気のある議論に流され、特別な結果を過大に評価する。
現在と同様、戦間期も、リベラルは大不況の非正統的な対策が悲劇的な結果に至る、と予測した。ナチスは機会を逃さず、失業者を減らし、インフラを建設する計画を、迅速に進めた。ドイツ政府は賃金と物価を統制し、インフレを抑制して、経済的奇蹟を大いに自慢した。
しかし、経済の正統派を否定するナチスの成果を、多くのアナリストは幻想とみなした。それは深刻な不道徳さと経済的破局をもたらす、と。1939年、ケンブリッジ大学のエコノミストClaude
Guillebaudが出版した本は、ドイツ経済は頑健で、たとえ軍事衝突が起きても、崩壊しない、と主張した。Guillebaudは攻撃され、The
Economistがゲッペルスのプロパガンダの改良版とみなした。当時の著名なエコノミストDennis
Robertsonは激怒した。
現代の論争も同じだ。ヨーロッパのポピュリストたちの政策は破滅的でも、異常でもない。全般的な景気回復の中で有利な成果を示すとしても、次の下降局面でその能力を問われる。ある点で、折るマンやカチンスキーはもっと攻撃的な政策を選択するかもしれない。
1990年代、ロシアが経済改革の苦しみを痛感していたとき、Vladimir Zhirinovskyは煽動した。「なぜわれわれは苦しまねばならないのか? もっと他者を苦しめよう。」
FP OCTOBER
2, 2018
What Sort
of World Are We Headed for?
BY STEPHEN M. WALT
国際関係論の研究者たちは現在の世界秩序に関する論争で忙しい。しかし、正直なところ、私は参加しないし、時間の無駄だと思う。
なぜか? 「世界秩序」の意味が分からない。確かに、Henry
Kissingerは、そのタイトルで、ドアのストッパーになるほど浩瀚な本を書いたが、それはあいまいな、雑で、合意のない概念だ。
世界秩序とは、世界におけるパワーの配置、という意味か? パワーをどのように定義するのか? この概念で、主要なグローバル・アクターの行動を予測できるか? 特別な点で国際システムをとらえるとき、評論家たちが使う便利な言葉でしかない?
こうしたことがわからないなら、もっと普通に、2025年の世界政治について、その特徴を考える。それは全体として、「追い込まれた多極的政治」である。現在の秩序はリベラルではないし、2025年もそうだ。アメリカは、なお、経済力、技術、軍事、領土の守備、人口における優位を組み合わせて、その他国を寄せ付けない地位を保持しているだろう。しかし、財政問題や深刻な政治的分断も抱えている。中国は第2の大国であり、その他の国)(ドイツ、日本、インド、ロシア、など)が続くが、米中との差は大きい。
アメリカはそのパワーを海外で、より選択的に使用する。外交・安全保障において主要な焦点は、中国との対抗だ。中国が新しい技術において先行しないように、アジアで支配的な地位を確立しないように、アメリカは行動する。アジアの同盟諸国との関係を深め、可能なら拡大する。
リアリストたちが15年以上前から警告してきたように、世界政治の最も重要な単一の要因は、米中の対抗関係である。
ヨーロッパ、ロシア、中東について、その他、多くの問題がある。世界政治は混乱した状態であるだろう。パワー・ポリティクスは現実に合わない、21世紀が19世紀と違う、という主張は間違いだ。
われわれは、競争的で猜疑心の多い、協力はまれな、あったとしても非常に微妙な世界に、指導者たちの愚行に苦しみ続ける世界に住むだろう。
それは過去の世界政治であり、そこからわれわれが逃れたことは一度もない。
● アテネの覇権と民主主義
NYT Sept.
28, 2018
How
Alliances Made Athens Great
By Nikos Konstandaras
世界的な規模で、第2次世界大戦後のアメリカの覇権は古代ギリシャを再現する。ペルシャの侵略に対抗して、ギリシャ都市国家の同盟を率いて勝利したアテネは、次第に、その同盟を帝国に転換した。
単に、旧い僭主、オールド・オリガークとして知られる謎めいた人物が現れ、アテネの民主主義を批判した。彼は都市の憲法と市民たちの行動を明確に嫌っていた。しかし、トランプとは違い、アテネ市民たちがギリシャ世界を自分たちに有利に操作していることを、彼は理解していた。
アテネはその強力な海軍を利用して、同盟諸国の政治から貿易まで支配した。パートナーがアテネの通貨と度量衡を使用し、法律問題をアテネの裁判所で処理するように義務付けた。そこで訴訟はアテネ市民に有利に裁かれ、アテネ市民が裁判官であった。
「このように同盟諸国はアテネ人の奴隷となった。」とオリガークは非難した。
スパルタとの戦争に入る1年前、アテネの民主主義と権力はその頂点を極めていた、偉大なアテネの指導者ペリクレスは、アテネの諸政策を合成した。「われわれは後期の精神により、恩顧を得るより、恩顧を与えることで、友を得るのである。」と、戦没者たちの葬儀において、ペリクレスが演説したことをツキディデスは引用した。
しかし、ペリクレスは決して現代のソフトなリベラルではなかった。彼の目標はアテネの偉大さであり、それを高める内政と外交であった。アテネは市民たちの間に、また、同盟国と、共通の利益のネットワークを築いた。そしてそれを自分たちの優位のために操作した。同盟国からの貢納、同盟国の資金と船はアテネの力を強化し、同盟諸国を支配するのを助けた。
しかし現代の政治を操作する支配者たちと違い、オールド・オリガークは、彼が嫌うシステムの効果を高く評価していた。また、人々が経済的利益と、都市国家の運営に対する発言を持つことに注意した。彼らこそ、船を動かし、都市の力を高める者たちであるから、と。
プーチン大統領や、選挙資金を提供する億万長者たち、自分のオフィスに権力を集中するトランプ大統領は、オールド・オリガークほど、政治を理解していない。
● トランプとサウジアラビア
FP SEPTEMBER
28, 2018
Trump
Needs to Start Worrying About Saudi Arabia’s Reform Efforts
BY JOHN HANNAH
● 安倍政権と沖縄米軍基地
NYT Oct.
1, 2018
Toward a
Smaller American Footprint on Okinawa
By The Editorial Board
日本政府はニンジンを与えて説得してきた。また裁判闘争を行い、選挙では基地移転を望む候補に強い支援を与えた。しかし、繰り返し、沖縄県民は新しい基地を望まない、と表明してきた。
安全保障は、最も貧しい地域に、公平でない、彼らの望まない、しばしば危険な負担を強いる理由にならない。安倍首相とアメリカ海兵隊司令官は、公平な解決策を見出すべきだ。
PS Oct 4,
2018
China,
Japan, and Trump’s America
JOSEPH S. NYE
東アジアの戦略問題で軸となるのは、中国の台頭である。中国は東アジアの覇権を求めて戦争になる、というアナリストもいる。ヨーロッパと違って、東アジアは今も1930年代の冷戦型分割に支配されている。
トランプ大統領が中国との貿易戦争を始め、日本の対米貿易黒字も交渉の標的になっている。しかし、トランプが日本の自動車に高い関税を示唆することは、日本を中国に近づける、と批判する者もいる。習近平主席と安倍首相は今月末に会談する。
日中のパワー・バランスは、この数十年で急速に変化した。2010年に、中国のドル建GDPが日本を超えた。20年前に、日本がアメリカを乗っ取る、と心配したことを思い出すのは難しい。ビル・クリントン大統領は日米の安全保障同盟を再確認し、他方で中国のWTO加盟を支持した。
1990年代初めに冷戦の遺物として日米同盟を解体する声が出た。クリントン政権は「日本たたき」で始まった。しかし、橋本政権との合意で冷戦後の東アジア安定化の礎石という宣言に落ち着いた。さらに、日本の政策担当者たちは、アメリカの姿勢が日本から中国重視に変わることを心配していた。
この不安は当然だ。防衛能力が対照的でない場合、より依存している側はパートナーシップを懸念する。日本も「普通の国家」として軍事力を行使する、あるいは、核武装する、という議論もあるが、たとえそうなっても、アメリカや中国に匹敵することはない。
トランプの「アメリカ・ファースト」と保護主義は日米同盟にとって新しい脅威である。北朝鮮の非核化を求める交渉や、日本の防衛分担を求めるトランプの姿勢は、東アジアのバランス・オブ・パワーに影響する。
もし日米が強固な同盟を維持すれば、中国の台頭を穏健な道に誘導できるだろう。
● ベネズエラ
FP OCTOBER
1, 2018
The United
States Needs Help Putting Pressure on Venezuela
BY JOSÉ R. CÁRDENAS
PS Oct 3,
2018
Planning
for Post-Maduro Venezuela
ANDRÉS
VELASCO
● アルゼンチン通貨危機
FT October
2, 2018
Mauricio
Macri’s failure to plan has put Argentina in a tight spot
Daniel Kerner
最近のアルゼンチン通貨危機は、中央銀行総裁の辞任、IMF救済融資パッケージの承認に至った。マクリ大統領の漸進的な財政健全化プランが失敗したというより、包括的な改革プランを持っていなかったことが問題だ。
マクリは僅差の勝利であり、議会でも多数を握れなかった。その結果、経済改革の政治的コストを抑えるために、漸進主義が求められたのだ。海外投資家のアルゼンチン資産に対する強い需要が、それを可能にした。しかし、深刻な干ばつによる農作物の不作と輸出減少が、世界的な投資家の新興市場への懸念と重なって起きた。
● トヨタと中国
FT October
2, 2018
Toyota’s
rethink on China reflects new realities
Kana Inagaki in Tokyo
● ブラジル経済と大統領選挙
PS Oct 2,
2018
How to Fix
Brazil’s Economy
OTAVIANO CANUTO
NYT Oct.
2, 2018
The
Strongman vs. the Prisoner vs. the Mountain Hermit
By Vanessa Barbara
The
Guardian, Thu 4 Oct 2018
The
Guardian view on Brazil’s elections: democracy in danger
Editorial
極右のJair
Bolsonaroがブラジル大統領になる、という、かつては考えられないようなリスクが、深刻な現実になりつつある。
● 中国とロシアの核の不均衡
YaleGlobal,
Tuesday, October 2, 2018
Exploiting
Sino-Russian Nuclear Divergence
Richard Weitz
● トルコの選択
FT October
3, 2018
Turkey
faces tough choices on the US, Syria and EU
David Gardner
● ロシアとアメリカのフェイクニュース
NYT Oct.
3, 2018
Russian
Meddling Is a Symptom, Not the Disease
By Zeynep Tufekci
FP OCTOBER
3, 2018
The
Problem Isn’t Fake News From Russia. It’s Us.
BY MICAH ZENKO
● オーストラリアの移民依存経済
FP OCTOBER
3, 2018
The
World’s First Immigration Economy
BY SALVATORE BABONES
2008-2009年の世界金融危機以降、アメリカ経済は36四半期も連続して経済が拡大している。それはアメリカ史上2番目の長い好況だ。しかし、まったく不況がないような経済が存在する。オーストラリア経済は、27年間も、不況のない成長を続けている。108四半期の連続的な経済的拡大が続いている。
オーストラリアも、世界金融危機の4四半期と、2000年のドットコム・バブルが破裂した2四半期だけ、1人当たりGDP成長で観た不況を経験した。ほとんどの先進国は短期的に見て人口が安定している。しかし、オーストラリアは違う。1991年以降、その人口は45%増加した。人口増加の大部分は移民流入である。
オーストラリアは、先進国でかつて見たことがない、大規模人口流入の実験を続けている。人口の流入はいくつかの点で成長に貢献する。1.需要の増加。特に住宅需要だ。2.教育とスキルによるポイント制で流入人口を最も活動的な労働力に選別する。それは国民医療保険制度を通じて政府の財源を助ける。3.移民を資源採取の輸出部門に向ける。大学は教育サービスだけでなく、移民の永住権を売っている。その授業料とパートタイム労働は政府の財源を助ける。
大規模流入の代価は、道路や学校の混雑、エネルギー供給の混乱、住宅不足などだ。移民を減らすことを望む声は増えているが、人種差別として抑圧される。これは人口増加に高度に依存する、一種のポンチ金融だ。成長や財政が大規模な移民なしには運営できない。
しかし、たとえインフラ整備がボトルネックを解消できても、いつか事態は悪化する。世界最初の移民型経済危機に直面するだろう。
VOX 03
October 2018
New
evidence on the economics of immigration to the UK
Jonathan Portes
● トランプと寡占的富裕層
FT October
4, 2018
Donald
Trump and the golden age of America’s oligarchy
Edward Luce
トランプが「たたき上げの男」という物語は嘘だった。彼は父親から当時の2200万ドルを相続した。しかも、あらゆる手を使って税金を逃れた。トランプも、カバノーも、寡占的な富裕層の社会的価値観と行動を示している。
● 東ドイツの極右
NYT Oct.
4, 2018
Why Is
Eastern Germany So Far Right?
By Anna Sauerbrey
● 南スーダン
FP OCTOBER
4, 2018
Remember
South Sudan? Washington Would Prefer Not to
BY ROBBIE GRAMER
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The Economist September 22nd 2018
Reforming
Japan: A long haul
Japanese
politics: Abe’s ambition
Nevada’s
brothels: Bras and ballot initiatives
Charlemagne:
The rebirth of Eurafrica
Bagehot: Back
from the brink
Buttonwood:
The yuan show
Narrow banking
(コメント) 日本で安倍晋三が自民党総裁に選ばれ、ほぼ首相にも確実になることから、これで以前の5人の首相を合わせたよりも長い在任期間となる、記事はそう称賛するより、「構造改革」の乏しさを憂慮しています。
ネヴァダ州で合法的な売春業が維持されるように、自称「最高所得を得ている売春婦」Alice
Littleが住民投票の前に訴えます。「この職業において、あなたは自分の運命を決める支配者だ。他の自営業者と変わらない。」 貧しい女性の選択肢は非常に限られている、とも指摘します。
アフリカからの移民・難民を恐れ、排除するための壁を築くより、アフリカとヨーロッパが長期的に統合していく現実「ユーラフリカ」に依拠した多角的支援体制を整備せよ、とマクロンは呼びかけます。移民たちが安全に、合法的に、双方向で移動できるルート規制。どのような分野で働いてほしいか、どのようなスキルを身に付けてほしいか、職業の仲介・教育。
死の淵からよみがえるテリーザ・メイを描く挿画は強烈です。その話も大変有意義。
人民元の変動制と主要中央銀行の金融政策、また、ナロー・バンキングの出現は、世界金融危機とは別に、世界の金融システムを転覆します。
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IPEの想像力 10/8/18
「朝日新聞グローブ 創刊10周年記念号」を読みました。特集は「テクノロジーの世紀 爆発的進化の先にある世界」 7つの物語から考えています。
「01 フェイスブックは民主主義を壊すのか?」(宋光祐)
支持者と笑顔でセルフィーを撮る、海外の要人と力強く握手を交わす、週末にゴルフを楽しむ、・・・カンボジアのフン・セン首相がフェイスブックFBを駆使して高い支持を得ています。親しみやすい、頼もしい指導者というイメージを広め、数千単位の「いいね!」が付きます。
世界中の指導者や政府がFBを設けています。フン・センは、インド首相のモディ、アメリカ大統領のトランプに負けても、なんと世界5番目だ、というわけです。しかしジャーナリストが、外国から「いいね!」を買った、という疑惑を報じました。ネットには多くの会社があり、インドのある会社は「いいね!」を1ルピー(約1.6円)で売っています。
かつてルワンダでは「虐殺ラジオ」と呼ばれる放送がジェノサイドを煽動しました。今、ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャに対する迫害も、FBがヘイトの拡散に利用された、と国連調査団が指摘しました。FBのサービス「フリーベーシック」は、60以上の国と地域で提供され、利用者を拡大している、と言います。その責任は? ノー・コメント。
「02 新時代のフリーランスがもたらすのは自由か格差か」(宋光祐)
「会社にいた頃は自分ではなく会社のために生きている気分だった。」 お金はすべてじゃない。情熱をもって自分のやりたいことをやる。・・・そう。
しかし、これを自分のゼミの学生が言うのと、インドのデリーで暮らすギグ・ワーカーの若者が言うのとでは、意味が違います。先進国の企業から新興国や途上国へ、より安い業務の委託先へと仕事が移転されていきます。
「多くの貧困層が暮らす国にとっては、地球が1つの村のようにつながってオンラインでどこの国の仕事も取れるようになるのが理想だ。」
ニューヨークで自動車だけでなくランチを宅配するサービスがネットのアプリで仲介されるようになって、労働者たちの賃金は下がった、と紹介します。社会保険も最低賃金も適用されず、不安定な労働環境も是正されない。「フリーランサーズ・ユニオン」が加入者を増やしています。しかし、彼らは何を、誰に向けて、要求するのか?
「03 人はロボットを愛せるか」(浜田陽太郎・中野渉)
人間の女性よりも、女性型ロボットや、AIのアプリに現れる映像、声、相手を思いやる言葉に、利用者は恋愛感情を持ち始める・・・
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なぜ同じ技術革新が同じように広まらないのか? 同じ結果をもたらさないのか?
ここで私が問うべきだと思うのは、どのような政治社会モデルが有効なのか? です。フェイスブックの集めた何十億人ものネットワーク効果は、どのような社会を可能にし、そのような政治にふさわしいのか? どのようなビジネスを拡大し、どのような政治家と政治意識を支配的にするのか?
情報とその評価、操作、リンクし、隠蔽し、偽造する可能性や、それを検証し、告発し、自分たちの願う社会的ルールに従わせる力を、私たちは確保できるのでしょうか。
働くことも、恋愛・結婚・育児をめぐる家族という生き方も、政治社会モデルが逆に制限するのかもしれない、と思うと、ディストピアの物語になります。
人としての幸せと、それを模索する自由に力を与える政治社会モデルが何であるか、人間は社会関係を創造し、おそらく自分を変革し続けます。
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ターミネーターやブレードランナーが示すように、AIを持つロボットは未来からの侵略者(調停者)・移民たちです。
池波正太郎や司馬遼太郎がとても面白い、と思うのはなぜでしょうか? 囲碁や将棋でAIが人間の能力を超えたのはゲームのルールが1つだからではないか?
しかし、ディープ・ラーニングが進んで、もっと素晴らしい時代小説や政治評論を書けるAIが登場するかもしれません。もしそうなら、私も老後は人間を深く理解したAIの優しい妻と暮らすのがよいのかな?
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