(前半から続く)
FT
SEPTEMBER 13, 2018
A crisis
that opened the gates for China
Philip Stephens
歴史家たちが21世紀を振り返るとき、2008年を転換点として注目するだろう。8月に、中国は北京オリンピックを開催し、大国の1つであることを示した。その数週間後、西側のヘゲモニーを揺るがすことが起きた。リーマンブラザーズの倒産である。このとき西側が、中国に対して、大国のドアを開いた。
人民解放軍は南シナ海の領有を明確に宣言した。中国のエリートたちは、西側の成長モデルや民主主義の代わるモデルとして、中国の成功を示すようになった。オリンピックを含む10年間で、中国経済は再び3倍になった。習近平は一帯一路イニシアティブを示し、ユーラシアの支配圏を統合する投資を促進した。
アメリカは、王様の衣服を脱ぎ捨てた。中国に比べて、アメリカの優位を確立している国際機関や同盟関係を、トランプは自ら攻撃し、破壊した。
FT
SEPTEMBER 13, 2018
Waning
co-operation makes next crisis more difficult to tackle
PS Sep 13,
2018
The Global
Economy’s Fundamental Weakness
RICHARD KOZUL-WRIGHT
PS Sep 13,
2018
The
Makings of a 2020 Recession and Financial Crisis
NOURIEL ROUBINI, BRUNELLO ROSA
重要な問題は、何が次の世界不況、金融危機の引き金となるか? それはいつ起きるのか? である。現在のグローバルな拡大は来年も続くだろう。しかし、2020年までに、次の不況と危機の条件がそろう。
その10の理由がある。
1.アメリカの成長率をその潜在的な2%より高くしている景気刺激策が、持続可能ではない。
2.刺激策のタイミングが間違っていることから、アメリカ経済はオーバーヒートし、インフレが高まっている。FRBは金利を引き上げ、ドル高になる。インフレは原油価格などに波及し、主要諸国も金利引き上げに同調する。
3.トランプ政権が中国、ヨーロッパ、メキシコ、カナダなどと貿易摩擦を強めることで、成長が減速し、インフレは高まる。
4.トランプ政権が内外の投資や技術移転を規制し、サプライチェーンを妨げ、移民を規制し、グリーン・エコノミーへの投資を妨げ、ボトルネック解消のインフラ投資計画を示さないことは、スタグフレーションと高金利をもたらす。
5.アメリカ、中国(債務依存)、新興市場(輸出依存)には成長減速に向かう理由があり、アメリカ以外の世界で成長率が低下する。
6.金融引き締めと保護主義により、ヨーロッパの成長も減速する。ポピュリスト政権がユーロ圏内の債務問題を持続不可能にする恐れがある。イタリア、その他は、ユーロ圏離脱に追い込まれるかもしれない。
7.アメリカと世界の株式市場はバブルである。多くの新興市場や他の先進経済でも、レバレッジが過剰である。
8.いったん調整が始まると、流動性の枯渇、投げ売り、暴落のリスクがさらに強い。その場合も、アメリカ連銀は外国の金融部門に対する最後の貸手をもはや引き受けないだろう。
9.トランプはすでに連銀を攻撃している。2020年の選挙で彼が何をするだろうか? 成長が減速し、失業率が高まってくる。外交政策を利用して、戦争を起こすかもしれない。中国とはすでに貿易戦争を始めており、核武装した北朝鮮との戦争を好まないなら、標的はイランである。それは1973年,1979年,1990年の石油危機に劣らず、スタグフレーションと地政学的な危機を生じる。
10.本格的な危機が起きても、政策担当者たちに利用できる手段は限られている。政府債務水準は高く、非正統的な金融緩和の余地は小さい。ポピュリストの力が強い、支払い能力のない政府には、金融部門を救済できない。
● 中国に革命を
NYT Sept.
7, 2018
Could
There Be Another Chinese Revolution?
By Yi-Zheng Lian
習近平主席に対する不満が渦巻いている。北京でもそうだ。
共産党内には、習近平が依拠する「赤い貴族派」と、江沢民が率いた、胡錦濤、温家宝のような「平民派」の、2つの派閥がある。ロシア革命の歴史を観ても、中国の歴代王朝を観ても、これら2つの派閥が権力闘争を展開した。
「赤い貴族派」は中華人民共和国の革命を担った人々の子孫だ。文化大革命で地位を失ったが、毛沢東の死後、復活した。その限界は、彼らが4万人ほどしかいないことだ。共産党による政治と経済の支配を追及する。「平民派」は、革革命家の系譜にない官僚たちであり、毛沢東や鄧小平によって弾圧されたが、復活してきた。改革開放の時代に富を蓄積し、それゆえ市場に対して肯定的である。
習近平の腐敗撲滅キャンペーンは「平民派」を支配するものだった。その政治統制と既得権の集積の先には何があるか? 中国の王朝が腐敗し、滅亡するときに、地域で反乱を起こしたのは各地の商工業者たちだ。
習近平の権力集中やイデオロギー教育にもかかわらず、その闘争は終わらない。
NYT Sept. 13, 2018
What Happened to Fan Bingbing,
China’s Most Famous Actress?
By
Steven Lee Myers
● 図書館
NYT Sept.
8, 2018
To Restore
Civil Society, Start With the Library
By Eric Klinenberg
● 移民と成長
FT
September 9, 2018
Immigration
is vital to boost economic growth
Ian Goldin
私がCitigroupと協力して行った調査によれば、2011年以降、アメリカの経済成長の3分の2は直接に移民によるものだった。これは移民によるプラスの間接的影響を考慮しない評価である。
国内において、移民の数と移民に対する姿勢には反比例する関係がある。移民が少ない地域で反移民感情が強く、移民の多いロンドンやメルボルンでは人々が移民を支持している。
移民が政治的な論争になるのは、違う理由があるからだ。それは、人々の不満を、移民の増加や犯罪を問題に結びつけて支持を得る政治家がいることを意味する。しかし、移民を減らしても問題は解決せず、むしろ悪化する。
● 大坂ナオミ
NYT Sept.
9, 2018
In U.S.
Open Victory, Naomi Osaka Pushes Japan to Redefine Japanese
By Motoko Rich
大坂ナオミは、本当に、日本人のチャンピオンなのか? と多くの視聴者は思った。3年前、日本のミス・ユニバース・コンテストで、半分黒人のAriana
Miyamotoが優勝したとき、その選考を批判する声があった。
日本人は「ハーフ」と呼び、半分だけ日本人、という意味で劣った者とみている。しかし、人口減少し、高齢化する日本では、もっと柔軟な日本人のイメージを模索し始めている。ナオミはそれを加速するだろう。
NYT Sept.
12, 2018
How
‘Hyphenated Americans’ Won World War I
By Geoffrey Wawro
第1次世界大戦でアメリカが参戦したことが、ドイツではなく、連合諸国を勝利に導いた。アメリカ軍が来なければ、戦線は膠着し、たとえドイツが勝利しなくても、フランス、ベルギー、ロシアの多くの領土がドイツに支配されただろう。
アメリカ軍はそのために多大のコストを支払った。2万9000人の死者を含む、12万2000人が死傷した。
100万人を超えるアメリカ人がヨーロッパの戦場で戦ったことは驚きであるが、それ以上に、驚くべきはその男たちが、まるで外国の軍隊と思えるほど、外国生まれのアメリカ人からできていたことだ。
当時は大規模なアメリカ移民の波が起きていた。南北戦争がはじまったころ、白人の国として、国民の60%はイギリス出身、35%はドイツ出身であった。しかし、第1次世界大戦に向かう「人種のるつぼ」を経て、イギリス11%、ドイツ20%、イタリアとヒスパニック30%、スラブ34%であった。
攻撃する際、ドイツ軍は敵のマルチ・エスニックという性格を宣伝し、利用した。「ハーフ・アメリカン」として冷笑していた。アメリカ人の多くも「メルティング・ポット」を軽蔑していた。
しかし彼らは素晴らしい兵士たちであった。49の異なる言語を含んだが、彼らは訓練や指令を難しくしたとしても、アメリカ兵に劣らず、勇敢で、死を恐れなかった。戦場では分裂するだろう、というドイツ軍の予想は間違っていた。
The
Guardian, Thu 13 Sep 2018
The Serena
cartoon debate: calling out racism is not ‘censorship’
Gary Younge
● 米中貿易戦争
FT
September 10, 2018
America,
China and the route to all-out trade war
Gideon Rachman
FT
SEPTEMBER 11, 2018
China can
put an end to currency manipulation
Robin Harding
● IMF改革
VOX 10
September 2018
IMF
reform: The never-ending quest
José De Gregorio, Barry Eichengreen,
Takatoshi Ito, Charles Wyplosz
資本移動が増え、ますます浮動性を高めている。中国の経済規模はアメリカを超えるだろう。国際金融システムとIMFのガバナンスに根本的な変化を求める条件となっている。
PS Sep 11,
2018
The
Stable-Coin Myth
BARRY EICHENGREEN
● スウェーデンと移民排斥
FT
September 10, 2018
Sweden
vote sees right, and left, chip away at centre ground
Tony Barber
NYT Sept.
10, 2018
Germany’s
Nazi Past Is Still Present
By Jason Stanley
NYT Sept.
12, 2018
Regime
Change or Stalemate?
By Ross Douthat
PS Sep 13,
2018
The West’s
Race Problem
IAN BURUMA
人種差別、イスラム教への敵意、外国人排斥、白人の優位、「西側」、反ユダヤ主義、奴隷制やナチズムの正当化、・・・西側の優位が中国によって失われつつあることへの不安。
● 自由貿易に反対する
PS Sep 10,
2018
The Real
Problem with Free Trade
JAYATI GHOSH
自由貿易は、人々がその利益を理解せずに反対している、と主張する者がいる。これは単純すぎる。たとえ自由貿易が広い意味で有益であるとしても、貿易が自由化するほど、不平等が悪化するかもしれない。
その主要な理由は、現在の世界貿易ルールが、ますます貿易における多くの付加価値を少数の大企業が得るようにすることだ。特に、グローバルなバリュー・チェーンが拡大すると、強力な多国籍企業はデザイン、生産、財とサービスの流通について支配するようになる。さまざまな部分を、最終市場から遠く離れた、小規模企業にアウトソーシングするのだ。
こうした多国籍企業は、しばしば、知的所有権の独占により利益を得ている。それが自由貿易協定でも強化される。そして、彼らは莫大な経済的レントを集積できる。
他方で、生産領域では、ますます激化する競争が価格を抑え、雇用主であれ労働者であれ、直接生産者の価値の取り分は減少する。多くの発展途上諸国がこのシステムに組み込まれ、バリュー・チェーンの低生産性部門に集中する。そこではわずかな経済価値しか生み出さず、広範な技術の高度化を促すことは困難だ。
UNCTADの調査によれば、グローバリゼーションは輸出における国内の付加価値シェアを減らし、労働による国内付加価値シェアを保っている。それは、中国やインドの参加により、グローバルな労働供給が劇的に増大したこと、労働に対する資本の交渉力が強まったことを意味する。
その顕著な例外は、中国だ。国内の付加価値シェアを増大させ、労働者の条件を改善するために、産業政策を積極的に行使した。皮肉なことに、自由貿易のマイナス面を抑えるこうした政策を、トランプは非難している。
自由貿易を通じて少数のグローバル企業にパワーが集中することで、各国は工業化することがむつかしくなった。国際商品のブームから利益を得にくくなったし、その価格下落から生産者を保護できなくなった。過剰な資源採取、汚染、環境破壊が広がった。低価格から利益を受ける消費者も、巨大な市場支配力に従うしかない。
グローバル企業は、各国の規制、経済政策、税制にまで影響を与える。国家は弱体化し、多数者よりも、少数者の利益に奉仕する。自由貿易の「敗者」がその損失を補償されることもない。
自由貿易のもたらす深刻な歪みを考えれば、それに反対することには理由がある。
● アルカイダ
FP
SEPTEMBER 10, 2018
Al Qaeda
Won
BY STEPHEN MARCHE
● Google、Alibabaと中国
FP
SEPTEMBER 10, 2018
Google Is
Handing the Future of the Internet to China
BY SUZANNE NOSSEL
FT
SEPTEMBER 12, 2018
Jack Ma is
hard act to follow in a hyper competitive market
Henny Sender
● 国際刑事裁判所
FT
SEPTEMBER 13, 2018
John
Bolton is wrong to attack International Criminal Court
Constanze Stelzenmüller
PS Sep 13,
2018
Bachelet
vs. Bolton
ARYEH NEIER
● バルカン半島の平和
NYT Sept.
13, 2018
An
Offensive Plan for the Balkans That the U.S. Should Get Behind
By Charles A. Kupchan
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The Economist August 25th 2018
Hyperinflation
in Venezuela: Maduro’s magic money tree
People and
borders: A way forward on immigration
Immigration:
Crossing continents
Venezuela’s
exodus: The Bolivarian wave
Sweden’s
elections: Moving in, moving right
Liberal
thinkers: Schumpeter, Popper, Hayek: The exiles fight back
Free exchange:
A question of balance
(コメント) ヴェネズエラをめぐるハイパーインフレーションや難民の話は驚きであり、考えさせられる現実です。ユーロ圏内の経常収支不均衡を調整する問題についても。
しかし、もっとも刺激を受けるのは移民論争をめぐる政策の転換です。アメリカ、スウェーデン、アラブ首長国連邦をケースとして取り上げ、興味深い議論を提供します。私は移民論争を以前から注目しており、その意味でも、今が国際移民システムの誕生期なのだと感じます。移民は、ルールに従って、社会保障システムから切り離した形で、あるいは、もっと明確に、移民が来ることで財政的にも経済機会においても、既存住民が利益を受けるように、制度化されることを求めています。
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IPEの想像力 9/17/18
私たちは、この人たちの何を称賛し、何を楽しむのでしょうか?
その国籍が「日本」であることを、「日本人」への称賛として共有し、誇りに思う気持ちがあるのでしょう。しかし、「単一民族国家」や「同質性」「協調性」を重視する上からの締め付けは、どこかで違和感を生じ、空白を積み重ねます。
賞金、契約金の大きさに驚き、その成功を称える気持ちもあるでしょう。スポーツがプロ化して、ビジネスとして興行される世界では、ロナウドやメッシに限らず、莫大な富や投資、広告収入と、タックスヘイブンの話につながります。
プレーを楽しみたい、と思う人も多いのでしょう。あるいは、彼女の個性、若く、かわいらしい、シャイな人柄を、自分の娘や友人にもいてほしいな、と思うわけです。そうじゃない日本人はいっぱいいますし、むしろ珍しい「日本人」ですが、だからこそ。
「ハーフ」とは何か? 戦争によって苦しみ、死を恐れずに戦った「外国生まれ」の兵士たちに、尋ねてみたいです。
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北アルプス、薬師岳に登りました。濃霧の中、山頂を踏めずに下山し、雨に濡れて風邪をひきましたが。
「日本人」というのは、歴史的な心象風景なのかもしれません。美しい田んぼや、雨に濡れた森林の輝き、自然崇拝や農耕のリズムで、人々は感じ、考えました。
しかし、この景色は、同時に、天災が続く条件でした。大雨、台風、地震、と災害が襲い、避難する高齢者や捨てられた農産物、酪農や漁港の被災に関するニュースが続きました。
天災ではなく、人による気候変動、インフラの劣化、人災なのかもしれません。それを恐れつつも、不安な人々を励ますように、ボランティアのニュースが繰り返し流れます。
シェアハウスの記事を読みました。ボランティアに訪れる人を助ける宿泊施設のネットワークです。海外では、簡易宿泊施設として広がっている、と言います。2段ベッドが並ぶ相部屋の宿泊者は、互いの情報を交換して、旅やボランティアに生かすそうです。
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新聞を観ると、育毛剤、シミが消える、若返る、男の精力剤、グループ旅行、スポーツのプロ・リーグといった広告が紙面を埋めます。
高齢化し、個々の不満や楽しみを中心に、国際事情や社会変化とは切り離されて、ショッピングに頼って生活する、そんな社会のイメージでしょうか?
社会保障システムについて、衣食住について、高齢者の不安がニュースの多くであることから、若者たちや子供までが、こうした時代精神に染まるだろう、と思いました。
あるサイト(Migration
Policy Institute)で、世界の移民がどこからどこへ向かうか、図を示してありました。日本に流入する規模は、他国に比べて、決して劣りません。23万9000人。それはフィリピンが世界各地に送り出す労働者たちの図解にある日本です。
ナショナルミニマムやベーシックインカムの思想は、国家の閉塞感を破り、多様な政治的共同体に向かう声として、変容し、浸透していくのではないでしょうか。
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「2018佐渡祐とスーパーキッズ・オーケストラ」を観ました。すばらしい。
彼女たち(参加者と佐渡裕をつなぐ責任者は女子高校生です)は、バッハの「シャコンヌ」を練習しました。高度な演奏技術と、人生への深い感情が必要な曲である、と言います。
彼女をはじめ、参加者たちの眼から、演奏中に涙がこぼれ落ちました。練習中も、喰い入るように指揮者の姿を追い、一言も漏らさず、その言葉を吸収しようとします。笑顔までが熱く、真剣さでいっぱいでした。
人間の持つエネルギーを、大きく開花させ、その可能性を情熱的に追い求める、音楽がこれほど素晴らしい時間と空間を生み出せることに、私は脱帽します。
私たちは、この人たちの何を称賛し、何を楽しむのでしょうか?
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