IPEの果樹園2018
今週のReview
9/17-22
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弾劾と国民投票のやり直し ・・・新興市場の通貨危機 ・・・シリア内戦 ・・・温暖化と難民 ・・・世界金融危機から10年 ・・・移民と成長 ・・・大坂ナオミ ・・・自由貿易に反対する
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign
Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project
Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● 弾劾と国民投票のやり直し
The
Guardian, Fri 7 Sep 2018
Think we
can rewind to the heady days before Trump and Brexit? Think again
Gary Younge
リベラル派に支配的なムードは、われわれがもっと良い時代に戻るべきだ、というものだ。Brexitに続いて、トランプが選挙に勝ち、その自滅的な幻想が、後戻りできない、消すことのできないものになった。ジェレミー・コービンが労働党党首になったことも、それに追加されるかもしれない。
リバラルな人々は、この無責任な決定が、ロシア人の介在した、間違った情報、デマ、衝動的で、無思慮、人種差別的、即座に後悔する、究極において破滅的なものとみなしている。人民の意志といった奇妙な呪文で犠牲にされてはならないものがある、と主張する。
彼らはトランプの弾劾と、再度の国民投票を求めている。しかし、彼らもそこまではしないだろう。そもそも、この事態は、だれかが彼らに押し付けたわけではないからだ。民主的な政治過程の結果である。討論や質疑があり、われわれは投票したのだ。そしてリベラルは敗北した。
こうした発想は、本当はエリートが支配するシステムにおいてだけ、純粋な民主主義は機能する、という考えを正当化する。また、もしトランプが大統領選挙で敗北していたら、その結果を拒否する理由になっただろう。
弾劾と2度目の国民投票は、エリートへの疑念を強め、政治的な疎外感と経済的周縁化を通じて、こうした事態を導いた原因にもどるだけだ。孤立して起きた場合、これら2つの行動は、金融危機後の一時休止でしかない。それは賃金の停滞、階級の固定化、不平等・不確実さの増大、を意味していた。こうした傾向を阻止し、転換するものではない。
新しいイニシアティブが機能するとしたら、過去の失敗の是正ではなく、それが希望をもたらす未来へのビジョンの一部として行われるときだろう。Brexitやトランプが、分断、絶望、アノミー、不安を創り出したのではない。むしろそれらの産物であり、Brexitやトランプはそれらを強めたのだ。われわれは過去にいるのではなく、多くの者は過去を取り戻したいとも思わない。
FT
September 10, 2018
Four
reasons why this is not the time for a new UK centre party
Robert Shrimsley
● 新興市場の通貨危機
FT
September 7, 2018
Emerging
markets: Argentina creaks under extreme stress
John Paul Rathbone in Washington and
Benedict Mander in Buenos Aires
America
Can’t Be Trusted to Run the Global Economy
BY BERAT ALBAYRAK
アメリカの攻撃がトルコを金融市場で不安定な国にしたのだ。
FT
September 8, 2018
Shaky
emerging markets watch the US and China
新興市場の資産や経済が動揺すると、過去の例が言及される。2015年夏や2016年初めの中国における株価下落? 2008年の世界金融危機? 1990年代のアジア金融危機?
外的な条件が悪化した。アメリカの金融引き締め。石油価格の上昇。特に、石油輸入国の経常収支赤字やインフレ。輸出国にとっては貿易戦争の激化が懸念される。
幸い、市場は新興市場の、基本的に見て、悪い部分と良い部分を区別している。悪い部分が、経常収支赤字の大きなアルゼンチンとトルコだ。他国も資本逃避に対する脆弱さを恐れて、改善をはかっている。
しかし、市場のボラティリティを決めるのは、何よりも米中の景気減速である。新興市場の不安が危機を生じるかは、それに依存している。
SPIEGEL
ONLINE 09/11/2018
Mega
Railway Expansion
Berlin
Courts Prestige Project with Turkey Amid Tensions
FT SEPTEMBER
12, 2018
Emerging
markets can still drive global growth
Kevin Sneader
FT
SEPTEMBER 13, 2018
Turmoil in
emerging markets makes the case for a stronger IMF
Gillian Tett
アルゼンチンとトルコの危機は、基金を増やしたいIMFのラガルドChristine
Lagarde専務理事にとって、幸いであった。
しかし分担金の増額はパンドラの箱を開けることを意味する。新興諸国は、その構成を見直すように強く求めているからだ。しかし、アメリカは拒否権を持っている。
ホワイトハウスはすでにWTOなど多くの国際機関を攻撃してきた。最近も、ICCを批判した。財務省の2人の高官は、IMFを、アメリカの税金をギリシャ融資に使ったとして批判した。
しかし、トランプ政権の主張と行動は一致しない。世界銀行には、イヴァンカがキム総裁を気に入ったのか、新しい融資に賛成した。ムニューシン財務長官は、目立った反対もなく、アルゼンチンへの救済融資を支持した。
どうなるのだろうか? ラガルドの魅力でトランプはIMFが気に入るのか? 高官たちは、中国に対する攻撃にIMFを利用できる、と思うのか? アルゼンチンのマクリ大統領にトランプが同情するかもしれない? ラテンアメリカは、ギリシャよりも、議会を説得しやすい。
いずれにせよ、こうした不確実な条件に左右されないためにも、IMFは強化されるべきだろう。そして、その改革に向けた問題を打破するような危機が来ることを待ちながら、トランプのTwitterにIMFの文字がないか、警戒し続けるしかない。
PS Sep 13,
2018
The Secret
to Emerging-Economy Immunity
ZHU MIN
● シリア内戦
SPIEGEL
ONLINE 09/07/2018
The Final
Battle?
All Eyes
Turn to Idlib in Syrian War
An Analysis by Christoph Reuter and
Christoph Sydow
NYT Sept.
8, 2018
A Grim
Endgame Looms in Syria
By The Editorial Board
シリア内戦の長い、残酷な苦しみが、決定的な瞬間を迎えつつある。アサド大統領とその同盟者、ロシアとイランが、反政府勢力の最後の拠点、イドリブ県を軍事制圧する準備を進めているのだ。
およそ100万人の子供を含む推定300万人が、トルコに隣接するイドリブに暮らす。攻撃は犠牲者、破壊、難民流出を増やすとわかっている。すでにその残酷さは各地で示されてきた。シリアやロシアの軍事的な解決策を、アメリカは批判してきた。
シリア政府がイドリブを制圧すれば、アサドが全土を掌握するだろう。戦争と殺害行為は終わらせる必要がある。問題は、殺戮を最小限に抑え、国民を統一するために何ができるか、である。
アメリカとその同盟諸国はシリア内戦の進路を決めることに参加できない。アサドとロシアは、彼らが創り出した多くの問題を解決しなければならない。しかし、影響力を行使できる。イドリブ県への総攻撃を阻むことが当面の目標だ。
アメリカはシリア東部に2200人の部隊を展開している。イスラム国に対する戦闘のためだ。制裁も有効だ。
イドリブは戦闘激化を回避する指定地域の最後のケースだ。市民の避難先として、ロシア、イラン、トルコが昨年設定した。しかしロシアは、他の3つのケースで、アサドの政府軍が制圧するのを助けた。多くの難民と過激派戦闘集団が、最後の避難所であるイドリブに集まった。
トルコも、国境に近いシリア北部に侵攻し、イドリブを監視する地位にある。トルコは、この地域指定の合意により、過激派戦闘集団を殺害もしくは解体できると考えた。トルコは、ロシアとシリアが提案したイドリブ制圧を拒否した、と伝えられる。
アメリカ政府は、イスラム国に限らず、非人道的な殺戮について責任を問い続けている。化学兵器の使用に対する空爆を行った姿勢は、今も続けている。トランプ大統領が何らかの軍事的な使命をシリアについて決意した、と伝えられている。
たとえ戦闘が明日終わっても、破壊された経済の再建、アサドの残虐な行為に対する多数派スンニ派住民の不満、など、問題は多い。アサドに解決に向けた政治力や資源はない。彼はアメリカや他の主要諸国の支援を必要とする。ロシアと湾岸諸国がアサドを金融支援することで、アサドの専制国家を穏健化する道に、協力することは可能だ。
イドリブ軍事制圧の犠牲の大きさを、プーチンは知る必要がある。
NYT Sept.
8, 2018
3 Million
People With Nowhere to Go
By Kareem Shaheen
FT
September 9, 2018
The high
price of Syria’s next disaster
FP
SEPTEMBER 10, 2018
U.S. Ramps
Up Threats of Military Action Against Syria’s Assad
BY LARA SELIGMAN
NYT Sept.
13, 2018
To Thwart
Iran, Save Idlib
By Bret Stephens
● 温暖化と難民
PS Sep 7,
2018
For Whom
the Climate Bell Tolls
J. BRADFORD DELONG
アメリカに住む私たちには、温暖化が次の100年間の重要問題ではないだろう。それは世界の裕福な北の諸国についても言えることだ。気候は、毎年、約3マイル北に移動している。豪雪や砂漠化のような、気候災害の話は多い。しかし、それらは不便で、コストがかかるだけで、克服できない話ではない。
しかし、それでは済まなくなるだろう。黄河からインダス川まで、アジアの6大河川流域には、生存水準ぎりぎりの農民たちが約20億人も生活している。こうした農民たちが温暖化に対処する手段は何もなく、農業以外で働くスキルもない。彼らが温暖化を避けて移住し、他の生活を見出すことはむつかしい。
アジアの6大河川は、過去5000年、人類文明における中心であった。その時代を通じて、高山地帯に積もった雪は、いつも、正確に季節を決めて、正確に河川を満たし、地域の住民たちの穀物が実るのを助けた。同様に、10億人が季節風によって、ふさわしい時期に、ふさわしい場所へ、毎年、移動できた。
しかし、地球は温暖化し、海面は上昇している。ベンガル湾、その他で、サイクロンのパターンが変化した。もしそれらが強まり、北に移動すれば、海抜ゼロに近い地帯に暮らすガンジス・デルタの2億5000万人に害を及ぼし、世界は破滅の長い連鎖に入るだろう。
国際社会には何の準備もない。世界で最も裕福なアメリカでさえ、ニューオーリンズのハリケーン・カトリーナ、ニューヨークのハリケーン・サンディ、ヒューストンのハリケーン・ハーヴェイ、そしてプエルトリコのハリケーン・マリアに、ほとんど何もしなかった。推定2975人が犠牲となった。
それは気候変動の予兆でしかない。
● トランプへの逆風
NYT Sept.
7, 2018
Trump’s
Truly Terrible Time
By Gail Collins
The Battle
for Crazytown
BY STEPHEN M. WALT
民主党に限らず、トランプ政権の外交には共和党からも不満が示されている。最近の3つのエピソードに注目した。
1.ジョン・マッケインの葬儀。
2.ボブ・ウッドワードの新著。
3.NYTに載った匿名の投稿記事。
FP SEPTEMBER
7, 2018
How to
Slow-Walk a President
BY MICHAEL HIRSH
もし大統領が何か無謀なことを、たとえば、根拠のない軍事攻撃や、核爆撃さえ、企てたとき、閣僚や政府高官は何ができるのか? 多くのことができる。法律や憲法が常に認めているわけではないが。
● 世界金融危機から10年
PS Sep 7,
2018
Crash Time
KENNETH ROGOFF
リーマンショック、世界金融危機から10年が経って、多くの教訓が学ばれた。経済史は、われわれが不確実な世界に生きる、限界のある存在であること、を教えてくれる。
コロンビア大学のトゥーズAdam
Toozeは、金融危機からドナルド・トランプにまで至る時代を描いている。そして何よりも危機に対するグローバルな財政政策の失敗を批判している。彼は明確な定義もしないまま、「緊縮」という言葉を102回も使用している。緊縮は、政府が支出や債務を減らすという意味なのか? あるいは、支出や債務の増加率を抑えるだけなのか? トゥーズは多くの政策や事件にこの言葉を使っている。
Adam Tooze, Crashed: How a Decade of
Financial Crises Changed the World, Penguin Random House, 2018
重要な言葉をいい加減に使用するのは問題だ。より広い意味で、彼の本は、経済学の議論について経済や歴史の一次資料を使わず、左派寄りの評論に依拠することで書かれており、偏っている。バランスの取れた学術研究とは言えない。
たとえば、ユーロ危機に関して、現代民主主義国に押し付けられた、もっともひどい債務処理プログラムとしてギリシャのケースを取り上げている。トロイカ、すなわち、IMF、ECB、欧州委員会が、とんでもない債務を押し付けた、というのだ。これは間違いである。事実は逆であった。ギリシャは民間金融市場で資金を得られず、トロイカがそれを与えたのだ。
私は全体としてトゥーズの説明を支持する。ヨーロッパはギリシャの債務を免除するべきだった。デフォルトやインフレ、金融抑圧がないまま、成長を回復した重債務国は少ないからだ。しかし、豊かなドイツが貧しいギリシャから債務を搾り取ったような話は、まったくのでたらめだ。ギリシャは返済する以上に、債権諸国から新規ローンと資金を得たのであった。
IMF融資の条件は、1990年代の東アジアに行われた融資に比べて、ずっと柔軟なものだった。ギリシャが緊縮に苦しんだ理由は、危機までにギリシャ政府が放漫財政を続けたからであった。それはトロイカの残酷な要求の結果ではなかった。
トゥーズは、Joseph
E. Stiglitz や
Paul Krugmanのようなノーベル賞受賞者を賛美する。ギリシャ政府は彼らの助言を受けていた。しかし、ドイツやトロイカを激しく非難したチプラス政権が、その交渉姿勢に必要な、正しい情報を得ていたとは思えない。ギリシャは融資を必要としていたし、ユーロ圏を離脱することは破局でしかなく、多年にわたる協力を必要としていたからだ。
トゥーズは、アイルランドやスペインも銀行部門の救済融資が危機をもたらした、という。しかし、ユーロ圏は失敗した建造物であった。ユーロは、もう1人のノーベル賞受賞者Robert
Mundellが主張したことだが、政治同盟を欠いたままの通貨同盟は破滅的な試みになった。しかも、記録によれば、デフォルトとインフレの歴史にもかかわらず、ギリシャのユーロ加盟を主張したのは、ドイツではなく、フランスだ。
トゥーズは、ユーロ圏が生き残ったことを当然のように扱う。しかし、当時はだれにも何が起きるかわからなかった。多くのエコノミストがユーロ圏の解体を予想した。つまり、その叙述は後知恵でしかない。実際、債務が維持できるかどうかを決める最も重要な要因、世界の実質金利がどうなるか、上がるか、下がるか、それもわからなかった。
ドイツの財政政策は景気循環に一致する(変動を緩和しない)ものだったが、ドイツ経済がヨーロッパで最も早く回復した。だからメルケルやショイブレは、経済運営をもっと改善できるとは考えなかっただろう。もしギリシャ債務を免除し、ドイツの銀行にその損失を処理する資本を注入していたら、しかも他の南欧諸国などが同じ処理を求めたら、ドイツ政府の処理コストは政府債をGDP比で20%から40%も増加させただろう。それは経済的にできたかもしれないが、政治的に支持されたとは思えない。
トゥーズは、テレビ放送やネットニュースの間違った引用を使い、政策関係者たちが苦しむ不確実さを観ようとしない。
Sebastian Edwards, American Default: The
Untold Story of FDR, the Supreme Court, and the Battle over Gold, Princeton
University Press, 2018
アメリカ政府がデフォルトを選択したことに関して、エドワーズSebastian
Edwardsの研究は、はるかにバランスのとれた、正しい理解に基づき、優れている。ギリシャや現在のアルゼンチンと違って、ルーズベルト大統領がアメリカ債務の「金条項」を停止したことは、その後の金融緩和とドル切下げに必要だった。従来軽視されていたが、それは大不況を終息させる決定的な政策であった。
NYT Sept.
7, 2018
What We
Need to Fight the Next Financial Crisis
By Ben S. Bernanke, Timothy F. Geithner and
Henry M. Paulson Jr.
金融パニックでは、投資家がすべての資産に対する信用を失う。そして、最も安全な、最も流動的な資産に逃避する。リスクのある資産価格は暴落し、新規の融資は利用できず、労働者、住宅所有者、貯蓄者にとって悲惨な結果となる。
最も危険なことは、何兆ドルものリスク資産が、保証のない、短期資金であったことだ。金融システムが取り付けにとても弱くなっていた。規制システムはバルカン化し、政策の権限も制約があって行動できなかった。
経済のパフォーマンスにも問題があった。生産性上昇、賃金、社会的移動性が悪化していた。
われわれは危機を予測できなかったが、危機に対する行動は早かった。伝統的な最後の貸し手として、連銀は大量の短期資金を提供した。財務省、預金保険、議会もそうだ。住宅市場、モーゲージ市場を支持し、強力な財政刺激を承認した。
次の危機はどうか? 金融システムは規制によって強化され、危機が起きにくくなった。しかし、危機が起きた場合、その被害を抑えるために、財務省や規制当局には介入手段が必要だ。
議会が税金の使用に厳格なチェックを求めるのは当然だが、金融危機への行動を阻むことは間違いだ。
The
Guardian, Sun 9 Sep 2018
Ten years
on, capitalism might not survive the shock of another Lehman
Will Hutton
ダーリングAlistair
Darling蔵相が、バークレイズによる投資銀行リーマンブラザーズの買収という、まったく愚かな案を葬った。その買収は債務の規模と複雑さにより、両者を破滅させただけでなく、イギリスの銀行システムをも巻き込んだだろう。賽は投げられたのだ。
金融危機に至る極度の愚かさは、150年前に破たんしたOverend,
Gurney & Coの重役について、ウォルター・バジョットも書いたことだ。自由市場エコノミストや保守派政治家たち、金融界のエスタブリシュメントが前提してきたことは、すべて、愚か者たちの宣伝したイデオロギーでしかなかった。
しかし彼らが犯した失敗の代価は、広く社会が支払うことになった。略奪者たちは何も苦しまなかった。損失は国有化され、利益は私物化された。資本主義は、価値を創造するシステムから、略取するシステムに変わった。
彼らはあまりにも少ししか学ばず、ほとんど何も改革しなかった。
資本主義は生き延びることができなかった。グローバリゼーションが逆転し、保護主義が広がっている。われわれはリスクを最小化し、経済の在り方を転換しなければならない。
FT
September 9, 2018
Why the US
Federal Reserve should care about finance
Rana Foroohar
PS Sep 10,
2018
The Global
Economy Ten Years After
JIM O'NEILL
世界金融危機は世界経済をどう変えたのか? アメリカと中国はその地位を入れ替わるだろう、と私は主張してきた。アメリカはもっと貯蓄し、中国はもっと消費する。
ドイツの経常黒字は減少しなかった。それはユーロ圏の他の諸国の赤字になって、ユーロ危機を長引かせている。金融危機の中心にはアメリカの住宅バブルがあった。世界の貯蓄がリサイクルしていたのだ。
世界の大都市の住宅価格は逆転した。しかし、世界企業の重役たちは莫大な富を得ている。企業の株式買戻しや政治的な不安定化は、これに関係しているかもしれない。
PS Sep 11,
2018
Who Really
Creates Value in an Economy?
MARIANA MAZZUCATO
危機後も国家の役割は限定的なものであった。その理由は、イデオロギーである。ネオリベラリズムは、国家の役割を歴史的な経験によってではなく、公共選択理論から制限した。
経済の弱点を克服するには、企業、労働者、戦略的な公共制度、市民社会の組織によって、価値が共同決定される、ということを認めることだ。成長の率だけでなく、その技術革新、包括性、持続可能性が問われねばならない。政策は、こうした共通の市場を積極的に形成するものとなる。
FT
SEPTEMBER 12, 2018
JPMorgan:
defying attempts to end ‘too big to fail’
Laura Noonan in New York and Patrick
Jenkins in London
FT
SEPTEMBER 12, 2018
My naive
part in Lehman’s downfall
John Gapper
NYT Sept.
12, 2018
Botching
the Great Recession
By Paul Krugman
金融市場が崩壊したとき、そのダメージを抑制した。銀行救済だ。それはもっと公平になされるべきだった。救済が多過ぎたが、その効果はあった。緊急融資や、アメリカ以外の中央銀行を通じたドル供給の維持も重要であった。
実際、金融的な指標では危機は急速に鎮静化した。2009年の夏には正常に戻った。しかし、経済全体は回復しなかった。高い失業率が多年にわたって続いた。
それは、金融市場の混乱ではなく、住宅バブルの崩壊が不況の核心であったからだ。投資が減り、人々の資産と消費を減らしていた。
民間消費が減り、金融政策は金利がゼロになって機能しない。われわれは財政刺激策を必要としていた。なぜ財政政策はふさわしいものにならなかったのか?
1.オバマ政権が不十分だった。大規模赤字に政権内部でも反対があった。2.財政赤字のGDP比に関するヒステリーがあった。3.共和党が邪魔した。自分たちが権力を得たときは、富裕層のための減税を平気で支持するのだが。
それは、残念な、醜い、話である。次の危機でも繰り返されるだろう。
The
Guardian, Thu 13 Sep 2018
A new
authoritarian axis demands an international progressive front
Bernie Sanders
(後半へ続く)