前半から続く)


● ハイテク大企業の論争

PS May 14, 2018

Corralling the Info-Monopolists

AMAR BHIDÉ

現代資本主義経済は技術革新を、抑制を欠いた支配力としてではなく、市場の力をもたらす源泉として祝福している。デジタル時代に先行する長い期間は、市場を変形し、支配する技術革新を、どうやって加速するかが問題であった。

しかしウォルマートの利益は、人口が少ない土地に流通センターを建て、グローバルなサプライチェーンを築く、といった革新によるものだった。それは都市中心部の衰退、ショッピングの非人間化、生活圏における小店舗の滅亡をもたらした。

これまでアメリカ人の多くは、革新定な企業と、その創造的破壊に寛容で、さらには称賛していた。略奪的な価格設定や反トラストの法規制はあったが、価格戦争と買収によって、指導的企業の支配力は高まった。この技術革新優先のアプローチがアメリカのデジタル企業による世界支配を即したのだ。

GoogleFacebookが規制によって阻まれることはなかった。しかし、これは彼らが支配慮億を悪用し、プライヴァシーを無視する結果につながっている。多くの利用者はデータ収集の細部を理解していない。今や、データ収集に対して利用者に支払うか、データ利用に料金を徴収するか、という問題を生じている。

PS May 16, 2018

Preventing an AI Apocalypse

SETH BAUM

FT May 18, 2018

Tech lessons from Amazon’s battle in Seattle

GILLIAN TETT

Facebookが利用者のデータを正しく扱っていない、と論争される中で、Amazonアマゾンもシアトルで政治論争を刺激した。それはわずかな額である。しかし、投資家たちは、驚異的な成功がもたらした彼らの課題を知るために、注意しておくべきだ。

ホームレスの問題を解消するために、シアトル市は新しい課税を導入した。2000万ドル以上の売上げがある、市で活動する企業に、被雇用者1人当たり500ドルだ。

しかし、スターバックスやアマゾンは不満を示した。特に、アマゾンは強く抵抗し、シアトル中心部の拡張計画を中止した。今週、シアトル市は275ドルに引き下げた。4500万ドルほどの歳入を得る。

アマゾンのような企業にとって、4500万ドルは「はした金」である。アマゾンはシアトル地域に4万人を雇用し、16億ドルの純収益を4半期ごとに上げている。他方、誰もがシアトル市のホームレス問題や、その薬中毒への影響を認めている。ホームレスの多くが住む場所はアマゾンのオフィスにも近い。州が所得税と資産税を禁止しているから、シアトル市の増収策は限られている。

しかしアマゾンの最高経営責任者ベゾスは、「新しい課税に非常に失望した」と不満を隠さない。その声明は、要するに、「シアトル市から撤退するぞ」と脅迫したのだ。

ここには3つの問題が示されている。第1に、アメリカのデジタル大企業は、驚くほどに「外部性」を考慮しないことだ。自分たちが生み出す政治的・社会的生態系がどのようなコストを生じているのか、無関心だ。1つの理由は、シアトル市の左派的な政府が非効率である、と嫌っているからだ。また、アマゾンは、あまりにも急速に拡大し、また、極端に利潤だけを追求してきたからだ。地方政治やハイテクブームがもたらす社会の分断を知ろうとしない。

2に、政策担当者とハイテク指導者は、その経済活動を地理的に分散する方法を見いだすべきだ。Googleがデータ・センターを分散する動きは始まっている。しかし、アマゾンが「分散化」と称して、第2本社の立地を大っぴらなコンテストにした。その結果は、ハイテク大企業にますます有利な条件を示す都市間の競争になった。アマゾンはさらに多くの税金を免除されるだろう。

3に、諸都市はデジタル経済の成長を、賢明に、かつ効果的に、利用する方法を学ぶべきだ。デジタル革命が物的な立地を拡散するという楽観は、間違いであった。技術革新はますます都市部に集中している。それはボトルネックを生じ、住宅価格の高騰をもたらして、億万長者たちのオフィスや住宅のそばにホームレスの集まる場所が生まれる。解決に向けて、公共政策によるインフラの整備が必要だ。

ハイテク大企業の大成功と、富と権力の極端な不平等は、解決策を求めている。その意味で、シアトルとシリコンバレーは、その体温計である。


● 良いフェンス

NYT May 14, 2018

The Ancient Myth of ‘Good Fences’

By Ingrid Rossellini

「良いフェンスは良い隣人を創る。」 本当だろうか?

フェンスが意味することは、単に、私のものとあなたのものを区別するのではなく、私は誰か、あなたは誰か、を示すものである。だれかを異なる者として、信用できない他者として、一定の距離を措くためのものだ。

古代ギリシャは、理性によって築かれた素晴らしい文明であったが、きわめて差別的な偏見を持っていた。女性は理性ではなく情念によって導かれ、それゆえ男性よりも劣っており、都市国家の文化や政治生活から排除されたのだ。

ギリシャ・ローマ文化は、軍事的・父権的な精神な精神から導かれた。ギリシャ人は同じ排除を外国人に対して行った。彼らは、わからない言葉を話す者たちであり、ギリシャ政治のような自由かつ自己統治の知的才能を欠いた者たちとみなされた。

それはペルシャ帝国として、また、アレクサンダー大王の帝国として地域を吸収し、都市国家の実験は終わった。統合前にギリシャ人が膨張させた東への恐怖にもかかわらず、東西の融合は豊富な成果を双方にもたらした。

新しい壁の歴史は、自ら巨大な帝国の指導者として、ローマ帝国を築くことで復活した。ローマは文明を広める聖なる使命を帯び、他者は野蛮であり、殲滅すべきだった。ついに外国人は帝国に侵入し、その後の数世紀にわたり、衝突するだけでなく、混じり合い、融合していった。キリスト教が西洋の支配的な信仰になったことで、イスラム教の勃興と地理的拡大が他者の代表になった。

十字軍は正義の戦争を支持し、イスラム教徒をモンスターに描いた。しかし、みじめな敗北の後、キリスト教世界とイスラム教世界の接触は文化的ルーツの再発見をもたらし、ルネッサンスに至った。

フェンスを称える詩は間違いだ。文化の再生は常に他者との接触を必要とした。異なる人々、異なる伝統、異なるアイデアが出会うためには、偏見の壁を破る必要がある。

 

The Guardian, Thu 17 May 2018

Immigration has been good for Britain. It’s time to bust the myths

Aditya Chakrabortty

移民は医療サービスを悪化させたのではなく、その費用を助けている。移民はわれわれの仕事を奪ったのではなく、むしろ仕事を増やしている。Brexitの妄想がノルウェー型の単一市場を拒んでいるが、Brexit支持者がほんとうに責めるべきは、保守党政権の財政緊縮策だ。

FP MAY 17, 2018

Saving European Democracy Starts at Home

BY KARTIK RAJ, BENJAMIN WARD


● 3度目のドイツ帝国

Bloomberg 2018514

Why Germans Are Getting Fed Up with America

By Leonid Bershidsky

PS May 15, 2018

Germany’s Great European Heist

ADAM TOOZE, SHAHIN VALLÉE

2つの呪文がドイツのユーロ圏統合を導いている。すなわち、責任と管理は結びついていなければならない(法的権限無しにリスクを持ち合うことはしない)。ユーロ圏の諸国でリスクをプールする前に、過去のリスクは清算されねばならない。これら2つの呪文は2010年以降のすべての議論で繰り返された。それは銀行同盟がなかなか進まない主な理由でもある。

一見、その主張はもっともに思える。しかし、その意味をよく知るために、同じロジックを他の政策に当てはめてみよう。すなわち、安全保障・防衛問題だ。

もしフランスが、一層の防衛協力について絶対に必要な条件は、ドイツがその防衛費を即座に増やすだけでなく、この数十年間でドイツが防衛支出を抑えてきたすべての累積額を清算することだ、と主張したら、どうだろうか?

NYT May 16, 2018

The Fall of the German Empire

By Ross Douthat

近代におけるドイツの最初の帝国は、1871年、ビスマルクによってヴェルサイユ宮殿で生まれ、1918年、西部戦線で死んだ。2番目のドイツ帝国は、併合と電撃戦の快進撃によって生まれ、恐怖の7年間を生きた後、ヒトラーと彼のカルト集団が死んだとき、一緒に滅んだ。

3番目のドイツ帝国は、全く異なる生き物である。軍港主義も人種的な神父主義も否定して、3世代にわたる緩やかな、苦労を重ねて、ときには他の諸国、旧敵であるフランス人の協力の下、築かれた。ソフトに、間接的に、暗黙に、ドイツは大陸全体を支配し、強制力が必要なときも、軍事的、人種的な攻撃ではなく、財政規律の形で、それを行う。

しかし、このシステムは多くの意味で帝国的である。半主権国民国家の集まる、多人種、多宗教の混合物を、厳密には民主的といえない権威を駆使して、ベルリンやブリュッセルが動かしている。このようにEUを観るとき、それは世界市民的なリベラルのプロジェクトであるとともに、ドイツ帝国でもある。

ヨーロッパ各地に広がる反EUの感情は、ポピュリストがリベラルな民主主義を攻撃している、と見なすだけでは間違った対応を続けるだろう。1989年、彼らが得たのは、リベラルな民主主義である前に、彼ら自身の主権を持つ国民国家であった。彼らは帝国からの解放に歓喜したのだ。それに代わるEUの支配が、財政危機において、また難民危機において、ドイツ帝国の性格を顕著に示したとき、彼らはこれに反発した。

ベルリンとブリュッセルは、共通通貨、人口と経済の不均衡、民主主義の赤字、といった問題を、抽象的なリベラルのプロジェクトに訴えて解くことはできないだろう。彼らは、ある意味で、より意識的に帝国の支配に取り組むべきだ。すなわち、この複雑なシステムは、容易にヨーロッパ合衆国に向けて進化せず、ドイツ人の帝国ではなく、より穏健で、自己批判的な、非利己的エリートによってのみ効果的に統治できる。


● トランプの貿易交渉

FT May 15, 2018

Donald Trump’s bizarre U-turn on sanctions against China’s ZTE

NYT May 17, 2018

Did China Just Bribe Trump to Undermine National Security?

By Paul Krugman

大統領は、中国政府に買収されて、アメリカの安全保障を損なうのか?

ZTEは処罰される中国企業から、むしろ報酬を得る企業になった。これはトランプのビジネス帝国と中国の一帯一路に関係するのではないか? 今の共和党はトランプにすり寄ってしまい、それを糾弾することもないだろう。


● ゼロックス買収の阻止

FT May 15, 2018

How Carl Icahn beat Fujifilm in the battle for Xerox

Kana Inagaki in Tokyo and James Fontanella-Khan and Lindsay Fortado in New York


● イタリア政治

FT May 15, 2018

Rome opens its gates to the modern barbarians

FT May 18, 2018

Italian system threatens populist vision

James Politi in Rome


● 中国の貿易戦争

FT May 15, 2018

How the west should judge a rising China

MARTIN WOLF

PS May 15, 2018

America’s Collision Course With China

KISHORE MAHBUBANI

米中関係は、世界で最も重要な2国間関係である。しかしそれは、パラドックス、誤解、不信によって歪められ、不確実性と深刻な不安定性の源となっている。だれにとっても利益にならない貿易戦争が起きるだろう。

アメリカのトランプ大統領は貿易不均衡を誤解している。経済学者の多くが同意しているように、これは中国の詐欺的行為によるのではなく、主にアメリカの財政赤字とドルの国際準備通貨という役割から生じている。

しかし、トランプの貿易アプローチはアメリカ人の多くの人に支持されている。その原因は、アメリカ人の対中国意識が、この数年で大きく変わったことだ。中国の経済規模が、十年以内にアメリカを抜くことは明白になっている。アメリカ人は、もしそのとき中国が民主的国家でないなら、共存することを好まないのだ。

しかし、中国人の多くは、概ね、(アメリカが輸出した)経済学の考え方を受け入れている。中国の指導部はプラグマティックであり、かつて日本が輸出自主規制に応じたような、短期的な譲歩なら受け入れる用意がある。しかし、長期的、戦略的な目標では妥協しない。アメリカ政府が「中国製造2025」を撤回するよう求めても、それは拒むだろう。

アメリカ人は、中国が民主化されることに間違った期待を持っている。民主的な中国はポピュリスト的で、ナショナリスト的な性格を強め、アメリカに対して摩擦を生じる相手となるだろう。しかしアメリカ人はイデオロギーによって制約され、経済合理性を重視する中国指導部との政策協議を理解できないのだ。

中国指導部は、アメリカも同様に、長期的な、合理的判断に従う、と思ってはならない。アメリカが政治的に分極化し、単純なイデオロギーによって支配され、高度に有害で、まったく的外れな紛争をもたらすということを、考慮するべきだろう。

FP MAY 16, 2018

On China’s New Silk Road, Democracy Pays A Toll

BY RICHARD FONTAINE, DANIEL KLIMAN

大国間競争が復活した。中国の一帯一路イニシアティブは、単に、経済学で観た重商主義アプローチではない。それは債務依存を広め、「チャイナ・ファースト」の開発を推進し、グッド・ガバナンスや人権を破壊する、重大な非リベラル・アプローチである。

中国は、譲与より、融資を好む。しかし、融資の持続可能性など、国際的な規範を認めたパリ・クラブには属さない。そして、プロジェクトに参加し、融資を受ける多くの国は、長期の結果を正しく評価する能力を持たない。単に、支払いは将来の政府が扱う問題だ、と思っている。

膨張する、持続不可能な債務がもたらす結果は明白だ。例えばスリランカは、2017年の政府歳入の95%が債務返済に占められた。ほかにも8か国(Djibouti, the Maldives, Laos, Montenegro, Mongolia, Tajikistan, Kyrgyzstan, and Pakistan)が一帯一路の深刻な債務リスクを抱えている。

中国政府が支援する巨額融資には、政治的な条件が付いてくる。長期的に中国の支援に依存し、外交政策はその影響を受ける。中国は情報インフラとその技術を広めているが、それは非民主的な政府が反政府勢力を抑圧する北京の監視体制を広めることを意味する。言論の自由を抑圧することに抗議する声明をEUが国連人権会議で出せなかったのは、中国からの大規模投資を受けたギリシャが反対したからだ。


● 中国の人権問題

PS May 15, 2018

Putting Tibet Back on the Agenda

DHONDUP WANGCHEN

2008年の夏のオリンピックが契機となって、中国の人権問題が改善されるのではないか、と期待された。しかし、その後も中国は、世界で最も非リベラルな国の1つである。エスニック・マイノリティは標的とされ、体制を批判する者は投獄され、改革の約束は無意味であった。

少年の頃、私はチベットにおける中国の弾圧をぼんやりと意識したに過ぎなかった。1990年代初めに初めて首都のラサを訪れ、私はチベットが中国に占領されたことを理解した。1992年、私は18歳であったが、ラサのガンデン修道院から、信仰と政治的自由を求める僧侶たちが囚人となって引きずられるのを見た。中国を批判したことで多くの歳月を監獄で過ごし、私は老いたが、発言し続けた。

国際社会の注目があったために、私は救われた。たとえ聴く者が少なくても、政府に対する抗議は続いている。

NYT May 15, 2018

What Really Happens in China’s ‘Re-education’ Camps

By Rian Thum

たった1年で50万人ものエスニック集団が再教育を受けるというのは、どういうことか? 国家はそれを「教育による改造」と呼ぶ。数万人の人々が、有刺鉄線に囲まれた、新しい思想管理キャンプに封鎖される。爆弾防壁、強化ドア、守衛ルーム。

ウイグル族は、漢民族より、文化的、言語的にトルコ人に近い。多くのウイグル人がイスラム教徒である。中国の高圧的な支配に対して、抗議するものもあり、通常は平和的に行われるが、ときには政府役人や、例外的に市民への攻撃が起きた。国家に、それに対してイスラムへの恐怖心を広め、イスラム教徒の日常の伝統も、宗教的「過激派」の表明とみなす。

新疆政府当局はウイグル人の習慣を改造する政策を強化してきた。地方政府の式典や歌はエスニック・マイノリティに中国共産党への忠誠を求め、強制的な再教育や、イスラムが禁じているような踊りを強要する。ある地区では、治安機関が住民を定期的にリスク評価している。

ウイグル人は介入国家の下で長く暮らしてきたが、新しい共産党地区委員長が2016年後半にチベットから来て、その手段が強化された。地元の警察署長は新しい拘束者数の割当てを満たすのに苦労していた、と言う。

キャンプは懲罰だけでなく、脅迫の道具である。拘束されたものは正式に訴追されることがなく、判決もない。拘束期間はわからない。この不確かさ、拘束の恣意性が、住民全体に恐怖を広めている。何万もの家族が引き裂かれ、文化のすべてが犯罪とみなされている。


● トランプの混沌

FP MAY 15, 2018

Leaving the Iran Nuclear Deal Will Have Unintended Consequences

BY ELIZABETH ROSENBERG

FP MAY 15, 2018

And Now for Some Crises That Are Completely Different

BY STEVEN A. COOK

トランプ大統領は、イラン核合意を離脱し、北朝鮮の金正恩と会談し、エルサレムにアメリカ大使館を移す、と決定した。こうしたことはワシントンを緊張させている。政策担当者たちは、他の地域で衝突が起きるとは考えていないようだ。かつてアメリカの外交官たちが処理した紛争地域である。

これまでの経過から見て、トランプ政権がくすぶる紛争を鎮静化できるとは、とても思えない。たとえ関心があっても、彼らにその能力はない。新しい国務長官が、死に体の国務省に懇願しても、エーゲ海(ギリシャとトルコ)、バルカン半島(ボスニア、ヘルツェゴヴィナ)、紅海(エジプト、トルコ、エリトリア)は扱えない。これらの問題に対処するには、経験とノウハウと多くの実践を積んだ人材を必要としており、そのすべてがワシントンにおけるトランプのチームには欠けている。だから、イラン、北朝鮮、エルサレム、そのどれとも関係ない戦争が、世界のどこかで始まっても、だれも驚かない。

PS May 16, 2018

The Known Unknowns of US Sanctions Against Iran

ANATOLE KALETSKY


● 労働党の仕事

The Guardian, Wed 16 May 2018

People want fat cats stopped. Labour must prove it’s up to the job

Polly Toynbee


● プーチン

PS May 16, 2018

Down with the Czar Putin

ANASTASIA EDEL

YaleGlobal, Thursday, May 17, 2018

Ukraine and Russia: Peace, War and the Future

Volodymyr Dubovyk


● 政治家の年金

PS May 16, 2018

Performance-Based Pensions for Politicians

DAMBISA MOYO

政治家たちの年金は、その決定に応じて評価されるべきだ。政治家たちが決めた政策によって、国民が受けた影響を、十分に反映することが重要だ。


● 自由な言論

PS May 17, 2018

Where Free Speech Ends

ARYEH NEIER


● ブルンジの憲法改正

NYT May 17, 2018

In Tiny Burundi, a Huge Vote

By Jina Moore

東アフリカの内陸国、ブルンジが憲法改正の国民投票を実施した。

******************************** 

The Economist May th 2018

Disarmageddon

French Universities: Non-selective nonsense

Global security: A farewell to arms control

Internal migrants: The better generation

Bello: The crisis of Argentine gradualism

Demography and its consequences: Small isn’t beautiful

Schumpeter: Attack of the drones

Banks in Japan: Silver service

(コメント) 日本と関連する記事として、人口減少と銀行の競争圧力を読みました。特別な驚きはありませんが、銀行はやはり大変です。デフレの時代、利益を出す見通しは立つのか? ハイテクのスマホによるデジタル・バンキングに対抗できるのか? 過剰なスタッフ、過剰な店舗、過剰な給与、再編成の難しさ。

しかし、メインの記事は核兵器の抑制と廃絶に向けた国際体制です。核拡散を防止し、相互確証破壊を成り立たせてきた条件は失われつつある、と指摘します。レジームとしての正当性は高まるどころか、弱められてきました。誤解や誤算、核拡散のエスカレーションで、使用されるリスクは高まります。

****************************** 

IPEの想像力 5/21/18

母の家で読売新聞を読んでいると、台湾について「蔡政権2年 内鬱外患」という記事がありました。(一部改変)

・・・経済は好調でも、支持率が低迷している。輸出は好調でも、GDP7割を占めるサービス業は必ずしも恩恵を受けていない。残業の制限や、軍人・公務員・教員の年金改革、国民党独裁時代の十院弾圧事件を究明する法律制定、とガバナンスの改革に成果を上げながら、それに反対するデモが頻発する。野党・国民党と支持者は、社会の分断を進めたと批判する。

・・・蔡英文氏は、台湾独立も、中台統一も否定し、現状維持を掲げた。しかし、これに納得しない中国は圧力を強め、2年間で3か国が台湾との国交を断った。外国企業にも、台湾ではなく「中国台湾」という表記に変更するよう強制する。アメリカのトランプ政権は、政府高官の相互訪問を認める台湾旅行法を成立させた。しかし、中国との貿易戦争に、台湾を「交渉カード」として利用するだけではないか、という不安がある。

****

NYTは、チベットやウイグルで中国政府が行う弾圧、監視、拘束などを、厳しく批判する声を載せています。ロイターの「コラム:中国ウイグル族を苦しめる現代版『悪夢の監視社会』」」もあります。

中国は国内政治秩序の安定性を最優先にする、というコメントを何度も見聞きしました。それは、いずれの国でも言えることですが、幾分、ユニークな中身があります。

たとえば、中国の地図を観ると、その周囲にはチベットがあり、台湾があり、新疆ウイグルがあります。ロシア、日本、インドがあり、中央アジアを超えて、イランなど、イスラム世界に繋がります。

高い成長を続けてきたことは称賛されますが、The Economistの記事にもあるように、地方から都市へ出てきた労働者たちの労苦は報われていません。彼らは特別な戸籍管理によって、都市の居住を制限され、住宅や公共サービスの利用を拒まれます。ますます高騰する住宅費用を支払えず、都市政策でにわかに退去を強いられても抵抗できません。経済成長のパターンがサービス分野に転換する中で、彼らの職場は失われ、しかも子供たちは満足な教育を受けていません。一人っ子政策の影響で、男女の比率が大きくゆがみ、結婚することもできないのです。

中国も、内鬱外観と言えるでしょう。そして、北朝鮮危機、アメリカとの貿易戦争。

****

中国は、貿易や投資において大きな影響力を得ました。自分たちが望む国際関係を選択するパワーがあります。しかし、中国が恐れる社会不安の源は、都市の底辺労働者であり、都市や農村で教育や医療サービスを欠く状態の人々、特に子どもたちでしょう。

台湾が中国との戦争を望むことはないでしょう。中国の経済封鎖や、制裁と奨励策を用いた台湾企業の引き抜きにも耐えるしかありません。香港や台湾の希望は、独立を望むというより、平和を維持することです。中国の政治がより自由で、人々の声に耳を傾ける、大幅な自治や地方への権限移譲に応じる、改革の時代を待っているのです。

中国が、より民主的で柔軟な連邦制を、香港や台湾とともに支持するなら、チベットやウイグルでも、アジアの自治や統合の模索として支持されると思います。

イラン核合意を離脱するより、さらに強い地域協定を目指して、EUに交渉を呼びかけるべきだ、というトマス・フリードマンの論説に、私たちは共鳴するでしょう。北朝鮮も、チベットも、台湾も、日本は同様の構想を支持し、中国の指導者たちと対話するときです。

先進諸国は、常に、世界に大きな影響を与えてきました。ポピュリズム、反移民・反イスラム、ハイテク大企業、民主主義のあり方が問われています。貿易や投資を通じて、特に、通貨・金融市場や、グローバル・サプライチェーン、情報通信企業の投資、技術移転を通じて、中国が世界の政治改革を率先する時代になるのです。

中国が国内の社会的安定性とダイナミズムを発見する時代を、底辺労働者、台湾、私たちは待ちます。弾圧でもなく、冷戦でもなく、平和と秩序を。

******************************