IPEの果樹園2018

今週のReview

4/30-5/5

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トランプと金正恩 ・・・工場労働者 ・・・IT技術革新による失業 ・・・マクロンとデモ隊 ・・・ズッカーバーグの議会証言 ・・・アメリカ政府の貿易論 ・・・インドの女性差別問題 ・・・英王室に赤ちゃん誕生 ・・・ウィンドラッシュ・スキャンダル ・・・民主主義と成長

[長いReview

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


● トランプと金正恩

FP APRIL 19, 2018

Trump Is Moving in the Right Direction on North Korea

BY JON WOLFSTHAL

トランプ大統領が金正恩との首脳会談に同意したというニュースに、多くの者が驚いた。さらに今週、CIA長官で国務長官に指名されているポンペオがピョンヤンを訪れ、金正恩にあった、と報道された。北朝鮮の専門家たちは猛烈なめまいと頭痛に襲われているはずだ。

1990年代、北朝鮮の核問題を解決するため、関与・包摂することが超党派の支持を受けた試みであった。オバマ政権では、北朝鮮を孤立させ、資金や資源を断ち、非核化の対話に就くよう促した。

首脳会談でトランプが失策を犯すリスクは高い。その一貫性のなさ、我慢できない性格は、重大な欠陥だ。しかし、トランプの信頼を得ている助言者として、ポンペオは会談の準備を進めてきた。

キムは米中の分断を図る戦略だ。ところがトランプは、韓国に関税を課し、ミサイル配備の費用も支払わせると決めた。これではキムの戦略を助けるだけだ。

トランプも、キムも、会談の成功に多くの努力と投資を振り向けている。それはますます会談の成果として合意を必要とし、間違った妥協をするかもしれない。ところが、トランプは自分のタフさと交渉術による成果を確信している。成功とみなされるには、オバマも含めて、すべての大統領たちがそうであったように、北が核実験を凍結し、北の核とミサイルの保有数を制限し、最終的にこれらを完全に廃棄する。その細部を数か月にわたる交渉と、数年かけて実施し、検証しなければならない。

ついに、トランプは外交が時間を要する、困難な作業であると認めたようだ。称賛されるような成果を出せるかもしれない。北朝鮮は取引を望んでいる、とトランプ政権は考え、これを試す権限を持っている。成果を期待しよう。

Bloomberg 2018420

Trump Is Not Nixon and North Korea Is Not China

By Eli Lake

トランプによる米朝会談の提案受け入れは、1972年の米中会談を再現するものか?

比較するのも理解できるが、これらは全く異なる。確かに、共産主義を嫌うアメリカの指導者が公算主義国家との国交を開くかもしれない会談である。当時、ニクソン大統領を北京で迎えた毛沢東も、深刻な国際的孤立に苦しんでいた。マオ(毛沢東)のように、キムも過酷な集団主義を採用し、国民に悲惨さ、飢餓、死を強いている。

それは似ているが、会談の重要な性格は、全く異なる地政学的条件が決めている。マオの中国は、当時、ソ連との関係が悪化していた。その3年前には、国境をめぐる紛争で、危うく戦争になりかけた。米中の緊張緩和は、それによってソ連をアメリカの関心ある問題で交渉の席に就ける圧力となるかもしれない、とアメリカは考えていた。

中国も同じだった。アメリカと制限付きながら協力を深めれば、それがソ連との関係で均衡を回復する有益な手段になる、と考えたのだ。

キムが直面している問題はまるで違う。まず、キムの支配する国は小国で、貿易やエネルギーを通じて、ほとんど中国だけに依存している。ニクソンの時代、中国とソ連の関係は、2つの大国間関係であった。中国はソ連の従属国家ではなかった。マオは敵国アメリカとの友好を示すことで、共通の敵であるソ連に有利に対処できたが、キムにはそのような余地はない。

キムがアメリカにこうした態度を取ることは非常に困難だ。北朝鮮はヤドカリ国家である。では、キムの今回の行動を説明する論理は何か? なぜ会談を提案したのか?

フーバー研究所のMichael Auslinによれば、2つの理由が考えられる。1つは、不安。もう1つは、自信だ。

キムは、トランプが何をするか、どこまで本気か、わからないことを恐れただろう。アメリカが指導する「最大限の圧力」というキャンペーンは、北朝鮮のハード・カレンシー外貨準備を狙ったものだ。その決定的な限界はまだ突破されていないが、キムは近い将来に限界に達する、と理解したのだ。

他方で、キムはトランプが非核化にこだわっていることを知っている。今や、核実験と弾道ミサイル実験で、キムはアメリカを破壊する能力を示したのだ。キムは、力を持った立場でアメリカと交渉できる、と考えているだろう。過去の交渉にはなかったことだ。交渉を通じて、キムは核保有国としての承認を求めるだろう。

この首脳会談は、ニクソンと毛沢東の会談と同じものにはならない。その後、権威主義的で、近隣諸国を脅かす国家として、中国は強大になった。市場開放、国交正常化による50年間の経済近代化に成功したからだ。

北朝鮮にその可能性はない。会談後も、キムの隷属国家は、革命的変化を回避し、人民が苦しむだろう。

NYT APRIL 22, 2018

China, Feeling Left Out, Has Plenty to Worry About in North Korea-U.S. Talks

By JANE PERLEZ

PS Apr 23, 2018

How to Negotiate with North Korea

BRAHMA CHELLANEY

Bloomberg 2018423

Why a Trump-Kim Deal Has a Good Shot

By Leonid Bershidsky

北朝鮮のケースでは、米朝の利害が明確だ。アメリカの領土に向けられた核攻撃の脅威を取り去ること。アメリカの同盟国である韓国が恐れる朝鮮半島の緊張を緩和すること。金王朝は、シリアのアサド王朝より、多くの国民を殺害したし、アメリカとの国交もまだなく、彼らは西側のルールに従わないが、それでもトランプ政権は交渉をすると表明している。

3つの条件があるから、米朝交渉は可能である。1.韓国のムン・ジェイン大統領が北との関係改善を強く望んでいる。2.キムは勝利を宣言できる(ミサイル実験が成功したからアメリカと交渉できた)。3.トランプも勝利を宣言できる(キムを「炎と怒り」や経済制裁で脅したから交渉できた)。

ただし、注意が必要だ。キムはアメリカに、韓国における軍事力を大幅に削減するよう求めて失敗するかもしれない。同様に、トランプはキムに、非核化を国際的に管理された核兵器計画の管理体制ではなく、譲歩してしまうかもしれない。その結果は、双方が勝利として宣言する能力を持ち続けるかどうか、に依存する。

では、ロシアとの関係はどうか? 同様の合意を結んで、ロシアとの間で起きる新冷戦を終わらせることもできるか?

そのためには、ウクライナに関して合意しなければならない。サイバー攻撃に関するルール、相互の選挙に介入しない、ミサイル防衛システムも。今なら、プーチンは勝利を宣言できる(西側は、ついに、ロシアのスーパー兵器を恐れ、ロシアの意見を無視することはできない、と認めた)。トランプも勝利を宣言できる(以前にはなかった強い制裁と姿勢でロシアを攻撃した)。

しかし、プーチンには、キムと違って、適当なパートナーがいない。ロシアはウクライナやシリアで勝利した、という主張に制約されている。プーチンは勝者のようにふるまうだけで、トランプとの溝を埋める第3者がいない。

また、イランとの関係はどうか? アメリカは、イランが中東地域における影響を拡大することについて、一定の役割を認め、合意を成立させるだろうか? しかし、サウジアラビアのサルマン王子がそれを受け入れない。決してムン・ジェインにはならないだろう。

トランプ政権は、その世界観や支配に関して悪辣な体制との合意にも臆さないが、アメリカの同盟国がそれを阻んでいる。

FT April 25, 2018

Kim Jong Un’s new diplomacy: miracle or a mirage?

ROULA KHALAF

なぜこれほど急激に金正恩はそのイメージを変えたのか? 世界最悪の指導者であり、最悪の支配体制であることを宣伝し続けていた北朝鮮は、にわかにソフトなイメージと信頼できる政治指導者を演じている。

それはトランプの威嚇と交渉能力を認めたからか? ホワイトハウスはそう思うのかもしれない。しかし、北朝鮮の歴史を見れば、そうではない。核実験も、米朝会談も、北の基本的な生存戦略である。大きな手を、大胆に実行する。

北の目標は、トランプの自己顕示欲と交渉姿勢を利用して、一時的な成果を与えながら、自分たちを核保有国として認めさせることだ。

NYT April 25, 2018

North Korea’s Phony Peace Ploy

By Nicholas Eberstadt

NYT April 25, 2018

Japan Worries It’ll Be Forgotten as Its Allies Talk to North Korea

By Motoko Rich

FP APRIL 25, 2018

Yes, Trump and Kim Can Make a Deal That’s Good for Everyone

BY STEPHEN M. WALT

戦争がはじまるより、外交を続けることは望ましい。しかし、この2人の指導者は互いを決して信用できない。金正恩も、残念ながら、トランプも。

すでにアメリカ大統領との首脳会談を実現できるだけで、キムには大きな成果である。トランプには、それに見合う成果を求める圧力が強まる。トランプは、オバマの合意したイラン核協定を非難してきたから、もっと良い協定を望むだろう。しかし、それは無理だ。現状を改善する合意しかできない。

しかし、本当に会談で戦争は回避できるのか? 会談失敗から軍事的選択肢に向かう恐れはある。

たとえ合意しても、それは守られるのか? すべての取引は、それを変更する機会や裏切る機会を意味する。双方に信頼関係がないことは、問題を悪化させる。

そもそもアメリカは、どうやってキムに信用させるのか? 私がキムなら、握手や鮮明分ではなく、正式な条約を求めるだろう。SALTのような、上院が承認するものだ。もちろん、最初は限定的な、ミサイル実験御停止、でも、その後は厳格な検証を求める非核化プロセスになる。それは、かつて北朝鮮が認めなかったものだ。

国際合意というのは、双方の利益が均衡していなければならない。一方的な有利な合意は、維持できない。

トランプは、アジアの安全保障におけるアメリカの長期的。戦略的な地位を考慮しなければならない。この点で、重要なことは北朝鮮ではなく、中国との対抗だ。朝鮮戦争の終結は良い考えだが、それは半島から米軍が出ていくことを意味するだろう。単純には、中国の勝利である。

アメリカが自国への核の脅威を取り除くだけで合意すれば、また、何らかの軍事的な水準を落とすことにつながれば、それは韓国や日本を不安にする。

首脳会談はどうなるだろうか? 私は、非常に限定された、シンボリックな合意になると思う。そして細部に関する外交交渉を継続する。

しかし、大統領の安全保障顧問となったボルトンは、北朝鮮との戦争を維持していた。これをどう考えるか?

PS Apr 26, 2018

The Case for Secret Diplomacy

GRAHAM ALLISON

Bloomberg 2018426

Don’t Waste the Korea Summit

By Michael Schuman

FT April 27, 2018

At the North/South Korean summit, hope and realism meet


● 工場労働者

SPIEGEL ONLINE 04/20/2018

Football Leaks

Cristiano Ronaldo Used Offshore Firms in Luxembourg and Jersey

By Rafael Buschmann and Gunther Latsch

NYT APRIL 20, 2018

How the Loss of Union Power Has Hurt American Manufacturing

By LOUIS UCHITELLE

アメリカを再び偉大にし、国内に工場を維持するには、どうすればよいか? 労働組合を強化することだろう。

それは直観に反し、この国が歩んできた歴史にも反している。しかし、現実に、アメリカで労働組合が製造業に君臨していた時代には、工場閉鎖や海外移転には、よほど考えて決める必要があったのだ。

しかし、労働組合の参加率は低下し、それとともに政治的な交渉力も失われた。1970年代、ニクソンとフォードは労働組合の指導者を労働長官に就けたが、もはやそのような大統領はいなくなった。もし閣僚に組合指導者がいれば、労働者の組織化を促すように、閣内の影響力を行使しただろう。

戦後、組合活動は拡大し、1960年代半ば、組合の組織率は北寄りの中西部諸州で3分の1に達した。ミシガンでは半数に近かった。しかし、1970年代後半までに、製品輸入が増大し、貿易赤字が増えた。世界貿易の利益は、労働者たちの途方もない犠牲によって実現したのだ。

労働組合の組織率が高い場合、ストライキは大衆的な支持を呼び起こす。少なくとも彼らの連帯を呼ぶのだ。組合の要求は受け入れられないかもしれないが、それでもストライキは、双方の妥協を生み出す手段として尊重された。

街頭デモは今も重要であり、抵抗の意味を持つ。しかし、組合がストライキを通じて達成したような、制度・法律の恒久的な変化を実現することはない。あるいは、少なくともまだ、ない。

恐らく新しい組織が現れるだろう。それは旧時代の労働組合の継承者だ。そして、彼らの掲げる要求の1つは、工場をもっとアメリカ国内に建てるよう圧力をかけることだろう。

Bloomberg 2018421

Billionaire Bezos and the Warehouse Workers

By Barry Ritholtz

Amazon労働者の給与のメディアンは$28,446である。Amazonは高賃金ハイテク企業なのか? あるいは、低賃金の小売りチェーンなのか?

他方で、Bezosの給与は$81,840であり、その他、セキュリティーや旅費を含めて、支払い額は168万ドルである。その額と、被雇用者給与のメディアンとの対比は、591である。他企業のCEOに比べて、彼の給与額は大きくない。Bezosは、推定額1290億ドルという、世界1の資産家であるが、それは主にAmazonの株式保有である。企業内のトップと被雇用者の保有資産額を対比する必要がある。しかし、それは容易に計測できない。1000億対1でも、ありうるだろう。

Amazonの倉庫で働く労働者には、Gizmodoによれば、食料スタンプの受給者が20人いる。彼らは貧困線ぎりぎりの人々であり、政府の補助で何とか生活しているのだ。

どうしてこうなったのか? その主要な原因は、市場の中にある。賃金水準の低迷、グローバリゼーション、チャイナ・ショック、自動化、ソフトウェアの進化。Bezosが巧みに利用したのも、こうした条件である。

Amazonはハイテク企業と、旧来の製品販売業と、両方の性格を持っている。倉庫や店舗、配送が必要なのだ。最新技術とロジスティクスに依拠するが、膨大な物流設備と人員にも投資し続けている。昨年、Amazonの雇用者数は50万人を超えた。Alphabet Inc.'s (Google) 80,000人、Apple Inc.100,000人、Facebook. Inc. 25,000人である。

Appleの平均給与は$100,733であった。そこにはAppleストアの販売員を含む。しかし、その製品の主な生産委託先である台湾企業FoxConn Technology Co.の労働者などは含まない。Googleには販売のための労働者はおらず、被雇用者の平均給与は$190,854 Facebook $203,894である。

NYT APRIL 21, 2018

The Real Cost of Cheap Shirts

Photographs by Daniel Rodrigues

Text by Cláudia Brandão

Mosammot Bulbuliはバングラデシュの数百万人の労働者の1人である。彼らが世界に衣服を供給している。

彼女は、5年前に崩落したRana Plazaで働いていた労働者の1人でもある。1100人以上が死亡し、2000人以上が負傷した事故だ。

数週間後、世界の主要リテイラーは、労働安全基準に関する合意を、地方の組合と結んだ。しかし、それは工場の中だけだ。工場の外、Savar工業地区にも、グローバルなサプライチェーンには深刻な環境汚染が生じている。Savarの湿地帯は有毒な廃棄物に埋まっている。運河や通りには蚊が繁殖し、病気が広がっている。

工場では、しばしば、法定年齢以下の子供たちが働いている。雇用主は、もし彼らを使用できないなら、シャツの値段を上げねばならない、という。

FT April 24, 2018

Greenwich: the rich town on the frontline of US hedge fund fight

Lindsay Fortado in Greenwich

NYT April 24, 2018

Do Taxpayers Know They Are Handing Out Billions to Corporations?

By Nathan M. Jensen

FT April 25, 2018

Apple to start paying €13bn to Ireland over back tax claim

Arthur Beesley in Dublin

FT April 25, 2018

The digital economy is disrupting our old models

DIANE COYLE


● IT技術革新による失業

PS Apr 20, 2018

Who Cares About Big Tech’s Displaced Workers?

MORDECAI KURZ

IT技術革新は、企業に独占的な利潤をもたらし、不当に抑圧された労働条件を広めている。19世紀末にスタンダード・オイルを分割したように、公共政策がこれを是正する必要がある。

新しい税制、規制、特許、労働市場が求められる。しかし、左派寄りのシリコンバレーでも、大企業の人々はリバタリアンの思想に深く染まっており、そのような公共政策を否定している。「創造的破壊」は神が彼らに与えた権利である。政府は彼らに課税すべきでないし、技術革新の敗者に補償すべきでもない、と。

しかし、現在の労働条件は、まさに政治的・経済的に観て、持続可能ではない。

IT技術は企業の独占力を高めてきた。企業が技術革新によって独占を形成できたのは、特許や知的財産が保障されているからだ。これは非合法な共謀や価格のつり上げと区別しなければならない。しかし、独占企業の利潤は増大し、株価を上昇させた。IT企業は、アメリカの政治と経済を変貌させたのだ。

技術の変化と国際貿易によって生じた人的なコストは、特に、大学卒業資格のない、労働者の60%が負ったコストが大きな関心を集めている。アメリカの労働文化や家族生活に深刻な影響を及ぼした。健康状態の悪化は深刻だ。経営者は、特に下層の労働者から権限を奪うような方針を採用してきた。ITの利用で増大する短期契約労働者がそうだ。IT技術革新は、労働者の尊厳や安定雇用ではなく、絶望をもたらしている。

理想的には、技術革新による利益を、課税によって補償政策のための財源・基金とするべきである。しかし、こうした利益の確定は困難であり、同時に、消費者はそうした革新から多くの利益を受けている。

現実的な解決策は、企業が支払う配当やキャピタルゲインへの課税である。それらは独占利潤から生じているからだ。累進的な所得税やキャピタルゲイン税が望ましい。また、補償政策で労働文化は変わらない。職場のストレスを解消するさまざまな制度が重要だ。新しい、民間部門の労働組合を促進する議論が必要だ。

NYT April 23, 2018

It’s Westworld. What’s Wrong With Cruelty to Robots?

By Paul Bloom and Sam Harris

FP APRIL 24, 2018

How AI Could Destabilize Nuclear Deterrence

BY ELIAS GROLL

NYT April 25, 2018

The Case for a Federal Jobs Guarantee

By Erik Loomis

The Guardian, Thu 26 Apr 2018

Some praise our gig economy flexibility. I call it exploitation

Larry Elliott


● ガザ地区

NYT April 20, 2018

The Insanity at the Gaza Fence

By Roger Cohen

NYT April 20, 2018

Gaza: The Lesser Child of Israel’s Occupation

By Gideon Levy


● マクロンとデモ隊

FP APRIL 20, 2018

Emmanuel Macron’s Critique of Pure Liberalism

BY PAUL ZAJAC, BENJAMIN HADDAD

PS Apr 23, 2018

Macron’s Vital Message

ANA PALACIO

NYT April 23, 2018

Macron Meets His Moment of Truth

By Sylvie Kauffmann

マクロンEmmanuel Macronは、勝つ見込みがない候補者と思われていたが、地滑り的な大勝利を収めて世界を驚かせた。

1年経って、フランス大統領として彼はアメリカを公式訪問し、変身した。国内で、その栄光の多くは消え去っている。大統領は大いに語り、大いに歩いたが、その改革は容易に進展していない。フランス国民は違う形で歩き、抗議行動を起こしている。上からの改革に反対しているのだ。マクロン大統領は、今、真実の瞬間を迎えている。

人々は19685月の革命を思い出している。そのとき抗議活動はソルボンヌ大学の1人の学生から始まった。政府と学生との衝突に、労働者たちが加わった。数週間で、ゼネストがフランス全土をマヒさせ、ド・ゴール将軍に抗議した。将軍はその打撃から回復することなく、翌年の国民投票で敗北し、引退した。

今も、フランスには多くの不満があふれている。鉄道労働者たち、エアフランスのパイロットたち、弁護士たち、病院や介護ホームのスタッフたち、年金生活者たち、エコロジストたち、自動車を運転する人たち。そして、もちろん大学の学生たちだ。

マクロンはテレビ・インタビューで、かつて1968年の革命に参加したジャーナリストから質問を受けた。「あなたは1968年の弾圧を再現したいのか?」 大統領はその喩えを否定した。今は「闘争が集結している」のではなく、「多くの不満が凝固している。」

それは正しい。2018年は1968年ではない。

19685月、フランスは5%の成長を実現し、国民は若かった。学生は少なく、多くがブルジョアの子どもたちであった。工場労働者がもっと多く、労働組合が強かった。最大の組合C.G.T.は共産党と緊密な関係にあり、投票の20%を支配した。5月革命は、二十歳のベビーブーマーたちが、第2次世界対戦とアルジェリア戦争で形成された、ド・ゴール主義者のエスタブリシュメント、その保守的な権力に対抗する革命であった。彼らの自由に向けた爆発は、レイモン・アロンの言う、「情緒的錯覚」であった。

21世紀のフランスは、一層、深くヨーロッパに統合され、他の18か国と通貨を共有している。世界経済危機からようやく抜け出したが、グローバリゼーションが職場を破壊し、労働組合は弱体で、分断されている。失業率は9%に達し、高等教育機関は民主化され、移民が社会構造を変えた。共産党や社会党、そのイデオロギーは壊滅した。2017年の大統領選挙第1回投票で、票の半数は、ポピュリスト、反エスタブリシュメントの候補者たちが得た。フランス社会がこれほど分断されたことはかつてなかった。

マクロンは富裕層への増税を中止したが、「富裕層の大統領」と呼ばれることを嫌う。「富裕層は大統領を必要としない。彼らは自分でうまく管理する」と反論した。自分は「国民すべてのための大統領」である、と。彼の改革に反対する怒りの声を聴いて、彼は述べた。「フランスという家の土台が崩れている。これを再建する必要がある。」

事態は50年前よりも複雑だ。2018年のストライキでは、福祉国家の黄金時代が終わり、規制緩和を脅威とみなし、ド・ゴールを聖なる偶像とする。マクロンは彼らに、世界が変わったと告げるが、彼がエコロジストや学生を扱うやり方は、ド・ゴール主義の再現だ。5月革命の著名な学生指導者の1人が、今はマクロンの支持者である。

マクロンが改革に失敗すれば、その代償は非常に大きい。

FP APRIL 23, 2018

Macron’s Centrism Is Coming Apart at the Seams

BY ARTHUR GOLDHAMMER

PS Apr 24, 2018

Macron’s Real Limits

HANS-HELMUT KOTZ

Bloomberg 2018426

Macron and Trump Can Team Up on Trade

By Pascal-Emmanuel Gobry


● アメリカの衰退

FT April 21, 2018

The decline of the west. Again

EDMUND FAWCETT

NYT APRIL 21, 2018

Adapting to American Decline

By Christopher A. Preble

ポンペオのピョンヤン訪問は驚きである。彼は個人的に訪問した。それは極秘の行動であり、彼が国務長官としてふさわしいか議論されている時期に行われた。

この訪問は、また、アメリカが世界情勢に占める役割を示している。アメリカ国民は、ワシントンから何千マイルも隔たった2つの主権国家を含む紛争に巻き込まれている。

アメリカ人は、グローバルなパワーの性格が変化したことを認識する最後の人々である。

賢明な対応は、アメリカがパワーの限界を認め、複雑な世界を扱う負担と責任を多国間でシェアすることだ。


● 経済学

VOX 21 April 2018

Marx and modern microeconomics

Samuel Bowles

マルクス生誕200年だが、現代の経済学者はマルクスに非常に低い評価しか与えていない。しかし、労働価値説ではなく、資本主義的経済におけるパワーの本質的な側面に注目した点で、高い評価に値する。

FT April 24, 2018

Has economics failed?

Tom Clark and Chris Giles

Yes. 時代遅れの枠組みで間違った政策を提唱する。

No. 経済学を知ることで、政治家たちは正しく事態を理解し、世界を改善できる。

Bloomberg 2018425

Econ Critics Are Stuck in the Past

By Noah Smith

John Rapley, “How Economics Became a Religion”

Joris Luyendijk, “Don’t let the Nobel prize fool you. Economics is not a science”

Howard Reed, “Rip it up and start again: the case for a new economics”

こうした経済学批判は、経済学の姿について間違った理解に基づいている。


● プラスチックごみ汚染

FT April 22, 2018

Stop our oceans choking on a plastic overdose

グローバルな環境問題で、プラスチックのごみによる海洋汚染問題ほど急速に政治問題化したケースは少ない。それは1980年代のフロンガス問題と国際規制に似ている。

FT April 23, 2018

The rise of renewables casts doubt on Europe’s nuclear future

NICK BUTLER

PS Apr 24, 2018

The Low Costs of a Zero-Carbon Economy

ADAIR TURNER


● アメリカの債務問題

FT April 22, 2018

Is the US headed for a public debt crisis?

GAVYN DAVIES


● マクロンとトランプ

The Guardian, Mon 23 Apr 2018

The Guardian view on Macron in Washington: a need for results

Editorial

Bloomberg 2018424

Trump, Macron and Merkel Have an Opportunity in Iran's Crisis

By Eli Lake

Bloomberg 2018425

Macron Offers Trump a Third Way in Syria

By Pascal-Emmanuel Gobry


(後半へ続く)