(前半から続く)


● アメリカは戦争に向かうか?

FP APRIL 2, 2018

How to Start a War in 5 Easy Steps

BY STEPHEN M. WALT

アメリカは戦争に向かっているのか? 特に、トランプがティラーソンを解任してから、多くの者がそれを恐れている。

もし戦争が、長く続き、莫大な戦費を要する、しかも彼らの敗北に終わるかもしれない、と思えば、指導者たちは戦争を選択しない。彼らは、戦争が、短期間で、コストが安く、勝利できる、と考えたのだ。第1次世界大戦前のドイツの指導者たち、第2次世界大戦のヒトラーは、数か月でフランスとロシアを征服できると考えていた。日本も真珠湾攻撃でアメリカの戦意をくじき、東アジアを自由に支配できると期待したのだ。

民主主義国では、戦争を始めることを、国民に支持されねばならない。どうやって、大統領とその顧問たちは支持を得るのか? 5つの兆候でそれがわかる。

1.危機は深刻で、しかも膨張している。すなわち、戦争が迫って来るが、それを先延ばしにするより、今、戦う方が良い、と主張する。

2.もし今、行動するなら、戦争は容易に勝利でき、しかもコストが少なくて済む。政府は、予防的な、限定された攻撃で、効果的に成果を得られる、と主張する。

3.戦争ですべての問題は解決できる。戦争によって、一挙に、さまざまな問題を解決してしまう、と主張する。そしてタカ派は、戦争を回避することのさまざまなマイナス面を強調する。

4.敵は邪悪だ。狂っている。おそらく、その両方だろう。戦争が、単に意見や利益の対立だけでは、国民を説得できない。敵を悪魔のように、そして、まったく非合理な者たちとして、示す。

5.平和は愛国的ではない。戦争を主張し、人々が国旗を振ることを奨励し始める。

もし戦争が起きるとすれば、それは北朝鮮よりも、イランとの戦争だろう。なぜなら、北朝鮮はすでに核兵器を持っており、朝鮮半島の戦争には韓国、日本、中国が反対するからだ。

私は、どちらの戦争もアメリカはしない、と思う。なぜなら、それによってアメリカが得るものは少なく、失うものが非常に多いからだ。しかし、残念だが、非常にまずい考えが実際に実行されることは、たびたびあった。


● アメリカの分裂

Bloomberg 201842

How to Think About the Threat to America

By Cass R. Sunstein

Bloomberg 201843

Worried About U.S. Tribalism? Go See Springsteen

By Michael R. Strain


● マクロンと労働者の抗議デモ

The Guardian, Tue 3 Apr 2018

The Guardian view on France’s transport strikes: make or break for Macron

Editorial


● 新しいデジタル冷戦

FT April 3, 2018

America’s new digital cold war with China

RICHARD STAROPOLI

FP APRIL 3, 2018

Trump’s Views on Trade Aren’t a Passing Fad

BY PETER ROUGH


● ガザの抗議活動

NYT April 3, 2018

Gaza Screams for Life

By Rawan Yaghi

Bloomberg 201844

May Is Likely to Be an Ugly Month in Gaza

By Hussein Ibish

先週の金曜日、ガザの国境付近で、18人のパレスチナ人が抗議活動中にイスラエル軍によって殺害された。2014年の戦争以来、最悪の事件だ。

イスラエル514-15日を建国記念の70周年として祝う。しかし、パレスチナ人たちは同じ事件を「破滅」とみなし、515日を「ナクバの日」とする。514日には、ドナルド・トランプ大統領のはからいで、アメリカ大使館がエルサレムに開設される予定である。

事態は悪化するだろう。なぜならパレスチナ人はますます失うものは何もないと感じているからだ。先週、「リターン・マーチ」はガザのすべての地区から、前例のない規模の3万人が集まって行われた。熱気に包まれた、超現実的な雰囲気の中、若者たちが命の危険を冒して境界線に近づくとき、行商人はピクニックの家族にアイスクリームを売った。

ガザの住民200万人の90%以上が、今では南イスラエルとなった地区からの難民だ。イスラエル軍は、境界線に接近する者は300メートル以内に入れば銃撃し、殺害する政策だ。

地球上でもっとも人口過密な場所の1つであるガザは、ほとんど居住不可能だ。飢餓が満ち溢れ、水も飲めない。失業者が50%に近い。医療施設はごくわずかしかない。電力は1日に2時間から4時間しか利用できない。かつて美しかった海岸線は巨大な下水溝だ。この領域からの出口はない。2007年にハマスが政権を得てから、イスラエルとエジプトが封鎖したからだ。


● イタリアのポピュリスト

FP APRIL 3, 2018

Italy’s Populists Can Beat Europe’s Establishment

BY LUIGI ZINGALES


● トランプとアマゾン

FT April 4, 2018

Donald Trump’s grudge against Amazon and Jeff Bezos

FT April 4, 2018

Donald Trump’s war on Jeff Bezos is more than just bluster

EDWARD LUCE


● アメリカの保護貿易

FT April 4, 2018

Any method of reducing the US current account deficit is risky

MEGAN GREENE

アメリカは貿易赤字を「道徳的」に黒字国を非難し、解消せよ、と主張する。しかし、対外不均衡は国内の貯蓄と投資の不均衡を反映している。アメリカが貿易赤字をなくすことは、赤字を維持する状態よりも悪いだろう。

トランプ政権は、政府の貯蓄をますます大きなマイナスにする政策を示した。もし貿易赤字が減るとしたら、それは民間貯蓄が大きく増えることだ。それは消費の大幅な減少、不況を意味する。

NYT April 4, 2018

Trade Wars, Stranded Assets, and the Stock Market (Wonkish)

Paul Krugman

中国がアメリカの関税引き上げに対する報復策を発表した。株価が大きく下落している。なぜか?

たとえ貿易戦争になっても、その理論的に推定されるコストはそれほど大きくない。しかし、グローバル・サプライ・チェーンが破壊されるとしたらどうか? これをアンチ・チャイナ・ショックと呼ぼう。

有名な『チャイナ・ショック』の著者たちは、貿易が急増したからアメリカ全体が貧しくなった、と主張したのではない。問題は、工場の移転が大幅に労働者から職場を失わせたこと、彼らの生活やコミュニティーを苦しめたことだ。皮肉にも、アンチ・チャイナ・ショックは全く同じことを起こすだろう。

FT April 5, 2018

The dangerous game of Sino-American tit-for-tat

FT April 5, 2018

The US should know that China believes in fair trade too

LIAO MIN

FT April 5, 2018

Global businesses raise hopes of US-China trade compromise

Ed Crooks in New York

PS Apr 5, 2018

Trump’s Trade Confusion

JOSEPH E. STIGLITZ

トランプ政権には経済に関する専門的な顧問がおらず、中国との貿易赤字を問題にしても、関税でアメリカの貿易赤字を減らすことはできない、ということを理解していない。

メキシコ国境の壁や移入民削減と同じように、トランプは暴言を吐くだけで、実行することはどうでもよいのだろう。最悪の点は、トランプが政治的な理由で、有権者たちに対決姿勢をアピールしたい、ということだ。

アメリカの製造業が世界を指導することはもうない。中国との貿易交渉で最も利益を得るのは、ウォール街だろう。中国は自ら鉄鋼の過剰生産力を減らし、未来の重要産業に向けて、特に、AIの分野で指導的な地位を得る政策を推進している。

AIを開発する上で中国のデータはすべての産業に優位をもたらす。他方、EUは個人データをプライバシーの問題として厳しく保護する。アメリカ大統領は、次から次へと問題を撒き散らすが、本当に重要な、難しい問題には何も手を付けていない。

NYT APRIL 5, 2018

Why China Is Confident It Can Beat Trump in a Trade War

By STEVEN LEE MYERS

Bloomberg 201845

Trump's Trade Victory Over South Korea Will End in Defeat

By Hal Brands

Bloomberg 201846

U.S. Can't Count on Winning a Trade War With China

By Noah Smith


● アフリカの自由貿易

FT April 4, 2018

How free trade could unlock Africa’s potential

DAVID PILLING

アメリカと中国は関税引き上げを競い、NAFTAは見直される。グローバリゼーションへの政治的反発は強く、ドーハ・ラウンドは完成しない。世界中で自由貿易は嫌われているが、そうでないところが1つある。それが、アフリカだ。

先月、アフリカの44か国が集まって、自由貿易協定に署名した。輸入品の90%で関税率がゼロになる。アフリカで域内貿易の自由化が支持される最大の理由は、植民地主義の遺産を克服するためだ。大陸が50以上の国に分割され、どの国も十分な投資を呼び込めず、製造業はない。

想像してほしい。アフリカ全体のGDPは約2.5兆ドルだが、それはおよそイギリスのGDPに等しい。もしイギリスが50の国家に分割され、異なる政治、言語、規制、厳しい国境管理をともなっていたら、どうなるか?

植民地支配の結果、本国の工業製品と資源・一次産品を貿易するために、鉄道や港湾が整備されただけだった。アフリカは経済を多様化し、大きな市場と産業基盤を得なければならない。アフリカは自由貿易の利益を失っているのだ。すなわち、規模の経済、特化、安価な投入財、消費者へのアクセス、利用可能な生産物。

PS Apr 4, 2018

The Future of Manufacturing in the Global South

OTAVIANO CANUTO


● EU改革

SPIEGEL ONLINE 04/04/2018

Wrangling over Warsaw

EU Considers Funding Cuts for Eastern Europe

By Markus Becker, Peter Müller, Christoph Schult and Jan Puhl

VOX 05 April 2018

The crux of disagreement on euro area reform

Stefano Micossi


● 安全保障と金融改革

PS Apr 4, 2018

Crisis, Rinse, Repeat

J. BRADFORD DELONG

PS Apr 4, 2018

Reimagining Security and Rethinking Economics

HAROLD JAMES

今、世界は貿易戦争に直面しつつあり、西側が現実に戦争する可能性も増しつつある。われわれは戦間期の教訓を再考するべきである。

経済と安全保障の不安定化は、しばしば、2008年の世界金融危機に結び付けられる。従来の経済政策に欠陥があることを示しただけでなく、危機とその後の対応はグローバルなパワー・バランスを大西洋からアジア・太平洋に移した。同時に、西側では、政治的不満と反エスタブリシュメント運動が強まった。

1930年代の大恐慌と同じように、経済思想に地殻変動が起きた。政策担当者たちは、失敗を繰り返さないという決意で、新しい政策を導入して長期化する停滞を克服した、と説明される。

経済学や制度の面で、その後の革命的な変化は、通常、1人の偉大な人物、ジョン・メイナード・ケインズに帰せられる。しかし、ジョーン・ロビンソンのような他の見解は、新秩序をケインズだけの功績とは考えなかった。

ケインズの思考が支持された真の理由は、総消費・投資・貯蓄を計算する方法が、第2次世界大戦中、アメリカやイギリスの軍事計画に重要であったからだ。一貫した国民計算があることで、政府は資源を有効に利用し、民生から軍事に生産を転換できた。また、インフレ圧力を抑え、消費と貯蓄が市民の不安になることを防いだ。

しかし、重要なことは、経済学の革命を生じたのは戦後の経済的奇蹟があったからだ。それは戦時の経済計画の産物であり。平和時の反省によるものではなかった。

現在も、多くのエコノミストが、金融危機は従来の経済学に真剣な見直しを促さなかった、と多くのエコノミストたちが不満を述べた。経済・金融問題が研究者の知的な閉鎖空間で議論されており、専門家たちの関心は安全保障や、国民的目標と国際目標との相互作用に向いていない。

しかし、戦間期のように、現代も安全保障と経済の前提とが結び付く問題は存在する。すなわち、第1、気候変動(深刻な危機を生む。地域によって大きなコストや利益を生じる。コモン・グッズである。)、第2AI(労働市場を激変させる。多くの技術を時代遅れにする。米中の競争とパワー・シフトが激化する。非国家主体の台頭や既存権力構造のバイパスが発達する。)、第3、ブロックチェーンのような金融革命(金融を介した権力、特に、アメリカの支配力が失われる。仮想通貨が市場を混乱させ、産業社会が依拠する金融構造を変える。中国、ロシア、インドで、新しい政治地理学が発達する。)である。

異なる発展の道がある。経済学と安全保障とを再考することで、より協力した、未来の社会・政治制度を提示できる、新しいアプローチを発展させる必要があるだろう。新しい技術だけでなく、それらを統治するシステムを創造するべきだ。


● 拘置所システム

NYT April 4, 2018

When Migrants Are Treated Like Slaves

By Jacqueline Stevens

まさに、拘置所システムはビジネスだ。11ドル、あるいは、まったく無給で、あらゆる仕事をやらせている。拘束された移民たちが死亡することもある。2大拘置所監督企業、GEOCCAには、今、5つの訴訟が起きている。違法な形で、強制労働や8時間交代制の労働を強いた。


● トランプの国境管理計画

NYT April 4, 2018

Trump’s Irrational Border Plan

By The Editorial Board


● 責任あるステークホルダー

FT April 5, 2018

How the world swapped a big idea for a bad one

PHILIP STEPHENS

何もかもドナルド・トランプが悪いわけではない。彼は、無秩序への原因であるとともに、むしろ、そのシンボルである。

西側はソ連崩壊を誤解した。結局、それは自由放任市場やリベラルな民主主義が歴史的に勝利することを証明したわけではなかったのだ。冷戦終結がもたらした大きな構想は、今や、日々、トランプがTwitterで愚劣なアイデアと交換している。

中国人の友人が好きな言葉では、共産主義崩壊はWin-Winワールドへの招待であった。富裕層や新興諸国の利己的な利益追求が、もしルールに従うなら、調和をもたらす、と期待された。グローバリゼーションによる相互依存の深まりが、競争する国益と多国間の義務との間に円環を描く。

EUにおいて国境線を消滅させる作業を続けるヨーロッパでは、その発想が一層の統合化を意味した。世界のほかの場所では、国家主権が高い優先順位を得ていたが、新しい秩序は大国間のホッブズ的紛争に回帰するのを阻止するほど強そうに見えた。

ルールも制度も必然的に不完全であった。西側は勝利の過剰な高揚感に包まれ、中国、インド、ブラジルなど、東や南へのグローバルなパワー・シフトが起きていることを認識しなかった。その当時、アメリカ国務省の高官であったゼーリックRobert Zoellickが「責任あるステークホルダー」という言葉で、新興諸国が既存秩序に果たす役割を提示した。

こうした議論の前提がナイーブであると否定することが流行っている。中国は西側のデザインした秩序における最大の勝者になった。21世紀初めの中国WTO加盟こそ、地殻変動の始まりだった。しかし、北京はアメリカ指導のシステムで2番手にとどまるつもりなどない。習近平は、恥辱の2世紀を終わらせるときだ、と判断した。ユーラシアの重心に向かう一帯一路イニシアティブも、その先に、中華思想の復興がある。

ゼーリックの積極的な包摂に代わる優れたアイデアはあるのか? われわれは中国の台頭を阻むため、中国を敵視し、WTOなど、国際機関から締め出すのか? 南シナ海でも中国封じ込めを展開する? それは国際平和を維持する道ではないだろう。

実際、アメリカこそが、中国以上に、自身の構想を破壊する敵になっている。中国の挑戦より、ワシントンがアフガニスタンとイラクに侵攻し、アメリカの国際的権威を損なった。巡航ミサイルで民主化を支持する試みは、政治的多元主義を否定した。2008年の金融危機で、リベラルでオープンな市場が繁栄に至る道だ、という合意を失った。

残されたすべての目標を、トランプが攻撃している。ルールに依拠したシステムを求める西側を、トランプは認めない。同盟関係や国際機関を軽視し、すべてをゼロサムで観る。トランプの世界観の中心は経済ナショナリズムであり、解決策は保護主義だ。次々に標的を変える彼の攻撃は、システムに向かう。

歴史が示すように、保護主義は悪質な伝染病だ。ヨーロッパにも独自のポピュリストが増殖し、左右の非主流派が、壁を築け、と叫んでいる。

トランプは他国の進路を変える。北京のナショナリストたち、ヨーロッパのネイティビストたち、その誰も勝者にはなれない。最後には、ゼーリックが正しかった、と知るだろう。


● ハンガリーの民主主義破壊

NYT April 5, 2018

The Contract With Authoritarianism

By Thomas B. Edsall

NYT April 5, 2018

Democracy’ Still Matters

By Jan-Werner Müller

日曜日、ハンガリーの選挙に、右翼のオルバンViktor Orban首相が4期目をかけて挑む。オルバンは過去数年間に、ハンガリーの民主的なチェック・アンド・バランスを弱め、独立した市民社会を攻撃し、メディアを政府に親しいオリガークの支配下に入れてきた。彼はこうした手法を民主主義の特別なアプローチと宣伝した。それは21世紀の課題に挑むための「非リベラルな民主主義」である、と。

1990年代半ばから、民主化の進んだ1980年代の波の後、何かが起きていることに注目する者がいた。選挙が行われたが、その勝者が敗者を弾圧し、「人民」の名において独立した司法やジャーナリストを攻撃したからだ。ザカリアFareed Zakariaは、リベラリズムと民主主義を区別し、前者を法の支配、後者を多数派の支配、と結びつけた。多数派に支持された指導者たちが行うことを「非リベラルな民主主義」と呼び、その下では、政治的敗者やマイノリティーが安全を失う、と。

しかし、彼らはEUの介入を国家主権によって拒む。法の支配、だけを重視するEUの介入は、自らの官僚体制を問わない点で、国民によって無視される。オルバンや最近のポーランド政府を、非リベラルとはいえ、「民主主義」と呼ぶ婉曲法は、政治的に間違いだ。

NYT APRIL 5, 2018

The New Power Structure

By David Brooks

FP APRIL 5, 2018

Xi’s Long March on American Democracy

BY MICHAEL MCCAUL


● コロンビア

NYT APRIL 5, 2018

Colombia’s Imperiled Transition

By Adam Isacson

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The Economist March 24th 2018

Epic fail

Putin’s next term: The struggle for Russia

Russia: Gorbachev’s grandchildren

Bell: The battle for the conurbano

Charlemagne: Teddy Macron

American trade policy: Steel banned

Foreign investment in Europe: Capital control

Technology and international trade: Pulp fiction

(コメント) Facebookの情報管理やビジネス・モデルが深刻な疑念を生じて、根本的な対応を求められています。それは、企業と政治の対応次第で、GAFAの未来に向けた投資や利潤が、全く異なる水準であることを示しています。

ロシアの記事が興味深いです。プーチンの大統領再選は、プーチン後の始まりです。それはゴルバチョフの孫たちの世代であり、ロシアの政治を「正常化」することになる、と分析します。同様に、アルゼンチン、フランス・EUの政治を転換する試みについても、考えさせる内容です。

アメリカの通商政策が、これまでと違って、破壊的な効果を軽視している。EUは、中国による企業買収を規制する。関税ではなく、貿易に必要な文書の処理を共通にデジタル化します。

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IPEの想像力 4/9/18

長期政権の下で、政治は貧しくなったと思います。安倍首相は、議会における絶対多数を得たことにより、自分が信じる目的であれば、権力を維持するために何でもできる、という強権指導者の慢心に侵され、正邪の感覚がマヒしているのではないでしょうか?

正しい治療薬は、Facebookの疑惑を晴らす対応と同じだ、と思いました。すなわち、1.(加計学園の獣医学部開設、森友学園の国有地買収に関する)独立した機関による、疑惑の完全な解明。2.(政府・内閣府、官僚の把握する)情報や記録を、安全に、かつ、方法として確実に、公開すること。

たとえ機密資料や、そのときには交渉の過程を公開できないものでも、必ず事後に、すべてを公開する。それをだれが、どのような理由で機密に指定したのか、非公開の期間を決めたのか、明確にし、国民が納得できる基準を示すことです。

権力の側の疑惑であれば、野党やジャーナリストが、捜査機関や究明作業に、また、基準作りに、参加することは当然です。すでに官僚に自殺者が出ており、検察の捜査も始まっているのです。国会は国民に対して明確な姿勢を示すべきでしょう。

こうした姿勢を政権も支持し、安倍首相は疑惑を生んだ言動を深く反省するとともに、行政を歪めはしなかった、と独立機関によって証明されるなら、今後、官僚に対する適切な距離を保って、彼らの能力を十分に生かすことができると思います。

憲法改正、北朝鮮核危機、さらにはアジア安全保障体制の構築に向けて、日本が担う役割は非常に重要です。それは、安倍首相1人の政治的信念を超えたものであり、国民の総意を反映する民主的な権力の基礎を問い直す過程であると思います。

そうした重要な論争が充実するためには、おそらく、アベノミクス第2ステージ、「働き方改革」についても、国民が望むような中身を実現できるか、政府に問うべきでしょう。なんでも自分の名前に結びつける愚劣なキャンペーンを無視すれば、私はこうした改革に期待しています。

過労死、長時間労働、ワーク・ライフ・バランスといった政府の掛け声は、労働者の声を代表しているのでしょうか?

介護にしても、年金・社会保障にしても、望ましい姿になるにはまだまだ改革が必要でしょう。その前に、財政赤字と国債累積の末、パニックが起きて大幅に削減される時が来るかもしれません。

労働者がもっと自由に兼業、副業を持ち、職場を移れるのは、それを積極的な形で、組織や制度の改革、新しい合意形成に結び付けるなら、小さな企業や地方も、若者も退職者も、社会を活性化できると思います。労働組合があることで労働者の権利を守り、賃金や労働条件を改善してきた歴史的システムが、さまざまな形で侵食され、解体しています。それに代わる制度や法律、労働者自身の声を吸収し、具体化する仕組みが欠かせません。

日本の安全保障、労働、子育て、社会保障を、若者たちも、高齢者も、職場で仕事に追われる大人たちも、語り合う時間がもっと必要です。

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