IPEの果樹園2018

今週のReview

4/9-14

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関税より産業開発計画 ・・・Brexitとユーロ ・・・トルコ人とはだれか? ・・・北朝鮮の核廃棄 ・・・ビッグ・データ、ロボット、製造業 ・・・インフラ投資のファンド ・・・中国の覇権は必然か? ・・・アメリカは戦争に向かうか? ・・・アメリカの保護貿易 ・・・アフリカの自由貿易 ・・・安全保障と金融改革 ・・・責任あるステークホルダー

[長いReview

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


● プーチン

NYT MARCH 31, 2018

Putin Has Overplayed His Hand

By William J. Burns


● 関税より産業開発計画

FT April 1, 2018

Columbus shows Trump how to thrive in the new world order

RANA FOROOHAR

中国製品に関税を課すとドナルド・トランプが発表し、世界は貿易戦争におびえた。米中は交渉し、米韓も新しい協定を結ぶのか? この政策は、ラスト・ベルトの苦境を救うのは高い関税だ、という間違ったメッセージを送る。

アメリカは貿易赤字を嫌うが、中国はもっと長期的なゲームをしている。未来の戦略的なハイテク産業を育てる産業政策だ。

それが優れた戦略であることは、アメリカで成功しているオハイオ州・コロンバスを観ればわかる。コロンバスはラスト・ベルトの中心にある、トランプを支持した地域だが、人々は大統領の関税引き上げに関心がない。JPモルガンも、ホンダも、Nationwideも、ここでは最大の雇用先だが、職場を減らすアルゴリズムの開発に邁進している、と地域の経済開発戦略Columbus 2020を推進するトップは言う。

民主党員の市長が、この40年間で初めて、共和党を訪ねて、増税への支持を頼んだ。彼らはその資金を、知的財産・データ・アイデアの価値を高める時代に応じた人的資本形成に使う、と合意したのだ。教育機関を促し、若い知識労働者が住むような住宅も建てた。今では、若者が雇用される都市のトップ10に入る。

コロンバスの成功は、アメリカでも産業政策が有効であることを示している。中国だけでなく、ヨーロッパの諸都市など、多くの国で多年度の経済開発計画が立てられている。しかし、アメリカにはない。産業政策という言葉が軽蔑されている。

トランプは、中国の国家資本主義を非難するより、その優れた面をコピーする方がよいだろう。


● Brexitとユーロ

FT April 1, 2018

The time for revoking Brexit has passed

WOLFGANG MÜNCHAU

Brexitを無効にすることはもうできないだろう。第1に、EUの関心は、財政問題とEU市民の扱いだ。この点では合意できる。すでに双方が将来の関係について考えている。合意案について、議会の多数を説得することも難しくないはずだ。反対派は分裂している。その結果、政治的な力はない。労働党指導部は2回目の国民投票を支持していない。残留派の危機予測は間違いだった。その意味で、根本的に信頼されていない。EUの関心は移った。

残留派の最善策は、2度目の国民投票ではなく、Brexitについて考えることだ。

The Guardian, Mon 2 Apr 2018

Of course the ultras are afraid: their Brexit now looks toxic

Polly Toynbee

FT April 2, 2018

Maladroit Theresa May’s remarkable survival

JANAN GANESH

PS Apr 2, 2018

No Brexit for a Eurozone Britain

YANIS VAROUFAKIS

イギリスのメイ首相は、EU離脱はなんと困難で複雑なことか、と思っているだろう。しかし、もしイギリスが2000年にユーロを採用していたら、その難しさはこの程度ではなかったはずだ。

何より、イギリス国民はEU離脱を問われることもなかっただろう。ユーロ圏のイギリスが離脱を国民投票にかける、と発表すれば、直ちに銀行取り付けになる。慢性的な貿易赤字・経常収支赤字だから、ポンド価値が下落するとわかるからだ。

さらに、このユーロ圏のイギリスとして16年間の出来事が、今の離脱派や残留派の人々をどのように変えただろうか? 

199010月、イギリスはユーロに先行するERMEuropean Exchange Rate Mechanism)に参加した。ドイツ・マルクとポンドの交換レートを緊密に結びつける約束により、イングランド銀行は金利を高く維持しなければならず、1991年は不況になった。

その後も、ERMに属するイギリスやイタリアのような国は、2010年以後にギリシャが落ち込んだような不況を強いられた。イタリアの支配階級は、いかなるコストを払っても、リラをユーロに転換した。しかしイギリス政府は、イングランド銀行が生じる金融的なロスよリ、さらに重要な心理的・政治的な屈辱を受けても、賢明に振る舞った。1997年に勝利した労働党も、トニー・ブレアはユーロ参加に熱心であったが、ゴードン・ブラウン蔵相が巧みにそれを阻んだ。

しかしユーロに参加していたとしても、その影響は1990年代半ばの金融ブームで目立ったものではなかっただろう。ブームの間はギリシャも5%の成長を実現したのだ。ユーロが制約となったのは、バブルが破裂してからだ。

(ポンドを維持した)イングランド銀行には、シティの活動を維持し、政府による銀行国有化を助け、金融政策による安定化を巨額の資金供給で行う自由があった。それによってイギリスは、GDP5.15%が減少する1年の不況だけで済んだ。ロンドンが2008-2012年の時期にECBの政策を受け入れていたら、その貿易赤字、予算赤字、シティを維持するための資金供給に関して、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインへの救済融資が子供の遊びに見えるような、巨大な融資を要しただろう。その場合の緊縮策と融資の規模は、イギリス海峡の両岸で政治的に受け入れがたいものだったはずだ。

EUは激変しただろう。Brexitが雪崩となって、ドイツもユーロを離脱し、EUが解体しただろう。あるいは、EUが一夜にして財政統合を決断したはずだ。

イギリスがすでにユーロを採用していたら、Brexitの国民投票は行われず、ギリシャがドミノの最初になることもなかったわけだ。今、Brexitを支持する人々は、こうした独仏による財政統合を支持するだろうか?

2008-2016年に、大陸でECBが不況を広めたように、ユーロを採用したイギリスにブームは起きず、EU市民がイギリスに職を求めて流入することもなかったとしたら、どうだろうか?


● Facebook

NYT April 1, 2018

Can Europe Lead on Privacy?

By Tom Wheeler

NYT April 3, 2018

Don’t Fix Facebook. Replace It.

By Tim Wu


● トルコ人とはだれか?

NYT April 1, 2018

Who is a Turk? It’s Complicated

By Kaya Genc

今年になって早くから、詳細な人口記録を公開し、オスマントルコの時代にさかのぼって系図がたどれるようになった。利用者は1882年までの祖先の記録をダウンロードできる。

この新しいサービスで、ソーシャル・メディアや職場、コーヒーショップには、ルーツ、移民、純粋、混血、といった言葉が飛び交っている。1世紀の間、トルコ国家は市民に厳格な国民アイデンティティーを求め、エスニシティーやトルコ民族の「純粋性」を排除していた。国家が創った民族の純粋さは動揺し始めていた。

長い間、エスニック・アイデンティティーは安全保障の問題であった。1915年、多くのオスマントルコ時代のアルメニア人が強制退去を強いられ死亡し、あるいは、一部はイスラム教に改宗した。改宗は家族にも秘密であった。

左派は、先祖への関心を恐れ、部族主義や内線さえも刺激される、と考える。しかし、アルメニア人の新聞の編集者は、これを歓迎する。トルコ・ナショナリズムの純血性は虚構であるとわかり、それが「当たり前のことになる」重大な兆候である、と。2012年のAnnals of Human Geneticsに載った研究によれば、トルコ人の父系祖先は、38%がヨーロッパ、35%が中東、18%が南アジア、9%が中央アジアである。

オスマントルコでは、ミレット制によって、納税する限り、学校や新聞、病院をイスラム、カソリック、ギリシャ正教、ユダヤ教の宗教集団が異なるルールで運営することを容認した。1870年代にオスマン主義が提唱され、イスラムの法律とヨーロッパの立憲主義が結び付いた、帝国市民、という概念ができた。

20世紀初期には、トルコ共和国の創設者たちが近代化を推進し、世俗化とフランス式の政教分離原則レシテを導入した。彼らは民族問題を、ときには暴力的に解決しようとした。1923年、ギリシャと人口交換を行い、トルコに住む120万人のギリシャ人と、ギリシャに住む30万人のトルコ人から国籍を奪い、移住させた。

アタチュルクの死後、1940年代には、人種差別的なナショナリズムが広がり、「純粋なトルコ人」というアイデンティティーが主張された。右派も左派も、この単一エスニック国家を批判している。エルドアンは、保守主義とネオリベラリズムの融合を進めた、と多くのナショナリストが批判してきた。そして彼の権力の下で、ナショナル・アイデンティティーは、「純粋なトルコ人」から「イスラム主義」に徐々に移ってきた。

国民が祖先の系譜に自由にアクセスできるようにした理由は、彼の政治的な計算である。トルコ軍はシリア北部の町、アフリンを攻略した。2019年には大統領選挙がある。政府は、イスラム主義的なナショナリズムを強化したいのだ。

エスニックの多様さを知れば、イスラム主義が統一の基本となるだろう。そして、多様性はオスマントルコの支配領域が広大であったことも反映している。


● 超文明未来国家の地政学

FP APRIL 1, 2018

The Avengers at a Crossroads: Assessing Prospects for New Strategic Challenges and Opportunities

BY ROBBIE GRAMER

サノスの復活がグローバルなレベルにおける最高の脅威である。彼らはアヴェンジャー人の未来における戦略的な挑戦者となる。

この架空の2つの種族が地政学的な状況で闘争する。すなわち、中国の地政学的な復活、北朝鮮の核武装、ロシアのマキャベリ的なクリミア併合や中東への軍事介入。・・・と似たような事件が起きる。

どのようにして脅威に対処すべきか? 1.単独で対抗してはいけない。グローバルな同盟、国内政治的現実を考慮すべきだ。2.軍事技術の革新によって生じた非対称戦争において優位を得るべきだ。3.国際機関を通じて安全保障体制を構築するべきだ。4.新しい国にも同盟への参加を促すべきだ。

FP APRIL 1, 2018

Wakanda Shakes the World

BY JENNIFER WILLIAMS

アフリカの超文明国家、ワカンダ王国がもたらす世界の未来。


● 北朝鮮の核廃棄

FT April 2, 2018

The world beats a path to Kim Jong Un’s door

北朝鮮はアメリカ大統領の承諾を得た上で、長年対立関係にあった北京とも急速に関係を改善した。古典的な交渉術として、昨年からの核実験やミサイル発射が成功した、といえる。

習近平は、トランプの誘いにも、朝鮮半島の非核化を急ぐ様子はなかったが、ここにきて交渉の前提が米中合意であることを示す必要があった。

NYT April 4, 2018

The Word That Could Help the World Avoid Nuclear War

By Jeffrey Lewis

北朝鮮の核武装を阻止するために、ジョージ・HW・ブッシュ大統領は韓国から核兵器を撤去し、非核化の合意を得た。しかし状況は大きく変わっている。「朝鮮半島非核化」の意味は、まったく違っている。

FT April 5, 2018

Don’t get distracted. John Bolton is a huge threat

SIMON KUPER


● ビッグ・データ、ロボット、製造業

FT April 2, 2018

The rise of the information economy threatens traditional companies

JOHN THORNHILL

ベゾスJeff Bezosは世界1裕福な男になった。その資産は1250億ドル。彼はデータ資本主義の新しいルールを最初に理解した者たちの1人である。Viktor Mayer-Schönberger and Thomas Rangeの新著はベゾスの実践を理論として解明する。

ビッグ・データは、市場による情報メカニズムを超えることができる。その場合、ビッグ・データ企業に比べて、市場の「見えざる手」に依拠する伝統的企業は効率性を失い、消滅していくだろう。諸飛車としては彼らのサービスを歓迎しながら、労働者としては職場が失われてしまう。今、雇用の3分の2を提供するのは1億から2億の伝統的企業である。

また、ビッグ・データが示す優位を利用できるために、革新や競争を排除し、新興企業の可能性を奪ってしまう。

こうした欠陥を是正するため、Mayer-Schönbergerは政府の介入を求めている。たとえば、ドイツの自動車保険市場では、大企業の顧客情報を中小企業にも公開するよう強制している。

FT April 3, 2018

Panasonic’s Tesla woes echo identity crisis across Japan Inc

KANA INAGAKI

パナソニックはアイデンティティー危機にある。パナソニックは消費家電の大手ではなく、バッテリーのグローバルな供給企業に変身した。Teslaの電気自動車の動力となるのはパナソニックのバッテリーだ。アメリカ、ネヴァダに50億ドルを投資して、バッテリーの「ギガファクトリー」を建てている。パナソニックの運命は、最近の事故でにわかに暗転したTeslaの将来に結び付いてしまった。しかしパナソニックは、テスラにとどまらず、グローバルな自動車メーカーにもバッテリーを供給する予定だ。さまざまな分野に挑戦するが、電気自動車のバッテリーほど投資家の関心を集める分野はなかった、という。

われわれは何の会社なのか? 問い続けている、とCEOは語る。日本の家電企業のすべて、Sony, Toshiba and Hitachiが模索している。もはやスマートフォン、ラップトップ・コンピューター、その他のハードウェアでは生き残れない。そのジレンマは、十年余りで、自動車産業の悩みにもなるだろう。日本企業のブランドは、もはや消費される製品から消えてしまう。

FT April 4, 2018

Made in Japan: can handcrafted glasses survive an automated world?

Leo Lewis in Sabae

福井県、特に鯖江市、には日本のメガネ生産の97%が集中している。しかし、多くの工場は老朽化し、高齢化した経営者には後継者がいない。鯖江市の工場は次々に閉鎖されている。ここは日本製造業の縮図である。サンダルから、半導体、造船でも、同じことが起きている。

日本は1980年代にチタン合金のメガネ・フレームを開発し、鯖江は「メイド・イン鯖江」のブランドを得た。しかし、国内製メガネは中国などからの安価な輸入品、そして、自動機械化のグローバルな趨勢と戦っている。

高齢化によってメガネ市場は拡大するだろう。グローバル企業は鯖江の会社を買収するために探している。彼らは日本企業の高度な技量をバーゲン価格で手に入れることができる。

鯖江の労働人口は2001年以来、11%減少して、3万人になった。同じ時期に、企業の20%が閉鎖された。商工会議所の会員は57%減少し、350社である。町中が倒産した企業だらけだ。

しかし、Kenzo Matsumuraの考えはまったく違う。彼はロボット、自動化、コールセンター、セレブ、セックス・アピールを駆使して、富豪となった。彼の会社、Hazuki、は世界の読書用メガネで指導的な地位にある。

2000年に入った頃、Matsumuraはソロモン・スミス・バーニーの投資銀行家であった。堀江貴文と同じように、彼は資本市場でイノベーションや敵対的買収を試みた。2007年、トミーとタカラのおもちゃ会社合併から生じた5つの会社を買収し、その1つが鯖江のメガネ会社であった。

当時のメガネは1万円もして、テレビショッピングで売れなかった、と彼は言う。しかし、読書用メガネの需要が大きいことを確信した。

私は鯖江を訪れ、15人のエンジニアとともに工場を観た、という。40年も使ったような機械。手でレンズを研磨する女性たち。すべてが手作業で、不良品の率は30%であった。工場を歩くと、不良品の山がドアまで積み重なっていた。

Matsumuraは、生産、組み立て、梱包を完全に自動化した。「ホヤ、ニコンなど、大手のレンズ・メーカーはコストを下げるために、中国やタイなど、海外に工場を移転した。工場を完全に自動化すれば、日本で工場を動かし、しかも中国より安いコストにできる。」

東京から自動車で約1時間、千葉県にあるHazuki工場では、複雑な振り付けでダンスをするロボットたちが、フレームやレンズを生産し、組み立て、検査し、1日に20000ケースを出荷している。工場長は、今月後半、新しい組み立て機械が入れば、このスピードを3倍にする、という。

鯖江にとって問題は、日本製造業の衰退する拠点の1つとして、Hazukiのような大胆な改革を実行するだろうか? ということだ。あるいは、モノ造りを愛し、1970年代の日本経済の「奇蹟」を忘れない倫理観でロボットの普及に対抗するのか?

日本には世界の指導的な工作機械メーカー6社のうちの4社が存在する。しかし、ロボットが職場を奪うとか、失業を生むという話は報道されないし、議論されていない。

人口変化と金融エンジニアが変化をもたらすかもしれない。自動化された工場を、高齢の経営者たちは見るべきだ。


● インフラ投資のファンド

PS Apr 2, 2018

An Infrastructure Plan That Would Actually Work

WILLEM BUITER, DAG DETTER

トランプの税制によるインフラ投資計画は支持されていない。アメリカには多くの老朽化したインフラ、インフラ投資の不足がある。これを解消するには、プロジェクトへの資金調達について新しい発想が必要だ。

現在、インフラ投資を回収するには、税金によるか、利用料金などを徴収することになる。しかし、他の方法がある。既存の公共資産をプロの管理に委ねることだ。しかし、民間と組んだ従来のフランチャイズには疑いの目が向けられる。効果的な監視と説明責任、財務管理がなければ、経営責任は民間部門、コストは納税者や利用者が負担することになるからだ。

しかし、公共的な商業資産は金鉱山である。その管理をプロに委ねるのに必要な新しい手法は、都市ウェルス・ファンドUrban Wealth Funds (UWFs)と呼ばれる。


● 中国の覇権は必然か?

PS Apr 2, 2018

China’s Bold Energy Vision

JEFFREY D. SACHS

PS Apr 2, 2018

Will China Really Supplant US Economic Hegemony?

KENNETH ROGOFF

アメリカの4倍も人口がある中国が、技術の停滞が長く続いた後で、急速にキャッチアップする決意をしているのだから、経済覇権を奪うのは避けがたい。

それはどうか? 多くのエコノミストは、中国の優位が豊富な労働力にある、と考える。同時に、エコノミストたちは、AIとロボットが多くの職場を失わせると心配している。次の100年間で優位を決めるのは、中国の労働者なのか、ロボットたちなのか? もし後者であれば、中国は人口の多さを憂慮しなければならず、その苦しみは急速な高齢化によって強められる。

ロボットの時代は、覇権争いのルールを変えるだろう。

NYT APRIL 2, 2018

China’s Communist Party Is Abandoning Workers

By Harvey Thomlinson

PS Apr 3, 2018

The West Is Wrong About China’s President

KEYU JIN

中国についての西側の批評は、最近、主席と副主席に関する憲法の任期制限規定を中国が削除したことについて、大きな衝撃を示した。新しい、説明責任を宇和無い独裁者、「毛沢東2.0」が誕生する、と恐れたのだ。この反応は完全に的外れだ。

長期政権は西側でも珍しくない。例えば、ドイツのメルケル首相は4度目の4年任期を始めたばかりである。これはヨーロッパにとって、批判されるよりも、むしろ歓迎されている。

もちろん、西側はメルケルが選挙で政権を得たことと、習近平がそうではないことを注目するだろう。しかし、民主的選挙は政治家が説明責任を果たす唯一のやり方ではない。習の支持率は、ほとんどすべての国際調査で、アメリカのトランプ大統領やイギリスのメイ首相を上回っている。

任期の制限は恣意的なものであり、むしろ政治混乱を引き起こす懸念が強い。アメリカはこのことを以前から認識していた。アレクサンダー・ハミルトンがそれについて書いていた。しかし1947年、F.D.ルーズベルト大統領が4選後、憲法修正22条で任期を28年に制限した。このような制限がなかったら、トランプが大統領になることもなかっただろう。

強い指導者は必ずしも専制支配を意味しない。難しい課題があれば、重大な改革を実行することに抵抗する既得権層を動かすために、強い指導者が必要になる。習は、第1期の経験で、こうした障害をよく知っている。

また、いかなる場合でも、中国政府を1人で動かすことはできない。政治局常任委員会の半数は習の指名した者ではない。指導者が選挙で決まるわけではないが、その成果は常に厳しく精査されている。例えば、人民代表大会だ。政府は、ソーシャル・メディアの市民の声にも非常に強い責任を問われる。

政策変更には政治局内の合意が必要である。特に常任委員たちだ。人民代表大会は秘密投票であり、反対することは十分に可能だ。電子投票システムは廃止されて、投票用紙を投入するシステムに変わった。

習の汚職追放キャンペーンを、西側の批評家は権力集中のために政敵を排除している、と主張している。しかし、200万人の公務員が習の政敵であるはずがない。中国人の間では、習の汚職追放が高く評価され、敬意と指示につながった。

西側は民主的選挙を説明責任と同一視する。しかし中国では、政府が国民の必要や関心にどのように応えるか、その対応力を問うのだ。

FT April 4, 2018

The Chinese economy is rebalancing, at last

MARTIN WOLF

ついに、消費が中国経済で最も重要な要素になった。これは長い間、期待されていた、望ましい調整である。中国の成長モデルが、非効率な、債務によって膨張した投資に、過度に依存する状態から離脱する、と約束していたからだ。その移行には、累積した不良債務を処理する必要がある。

2007年、温家宝首相が率直に認めた、「中国経済の最大の問題は、成長が不安定で、不均衡、協調を欠き、持続可能ではないことだ。」 その年、国内貯蓄がGDP50%に達していた。この膨大な貯蓄がGDP41%に達する投資を実現し、さらにGDP9%の経常収支黒字を出していた。

その後、世界金融危機が起きて、中国政府はこのパターンが続けられないことを理解した。当初は、投資をさらに増やして、成長の維持を図った。しかし、それは累積債務と不動産バブルを生じたのだ。労働人口の減少、高齢化により、次第に消費が成長を担うモデルが実現するだろう。その移行期に発生する膨大な債務を安定的に処理する金融部門改革が終わるときとき、新しい成長モデルが完成する。

YaleGlobal, Thursday, April 5, 2018

Trade Threats Underscore China’s Global Challenges

Stephen Roach


● ドルと人民元

VOX 02 April 2018

The uncertain future of central bank independence

Otmar Issing

PS Apr 4, 2018

Will Trump Launch a Currency War, Too?

BENJAMIN J. COHEN

ドルの支配的な地位を人民元が脅かすのか? 

オバマ政権のアメリカは、むしろ人民元のSDRへの組み入れを支援した。それは中国を国際システムのステークホルダーにするためだ。しかし、トランプは違うだろう。

貿易戦争、技術戦争の次は、通貨戦争に進むのか? それは非常に危険で、破滅的であるが、トランプはそう思っていない。


● トルコ政治

NYT APRIL 2, 2018

Sermons and Shouted Insults: How Erdogan Keeps Turkey Spellbound

By CARLOTTA GALL

FP APRIL 5, 2018

The Meaning of Operation Olive Branch

BY MEVLUT CAVUSOGLU


(後半へ続く)