IPEの果樹園2018
今週のReview
3/26-31
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プーチン4期目 ・・・アメリカ発貿易戦争 ・・・Brexit後の改革 ・・・仮想通貨の優位 ・・・ポピュリズムの拡大 ・・・民主主義と情報 ・・・技術革新のマイナス面 ・・・GDPリンク債券 ・・・ユーロの分断化 ・・・習近平の中国 ・・・中東の国家間協力 ・・・デジタル大企業への課税 ・・・金融危機後の経済学
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● プーチン4期目
NYT MARCH 16, 2018
The Rise of Euro-Putinism
Bret
Stephens
プーチンが大統領選挙に勝利することはわかっている。4期目の大統領になる。より重要な問題は、他の選挙でもプーチンが勝利するか? である。
イタリア、オーストリア、ドイツでも、プーチンに共感する、彼が好む候補者たちが当選するかもしれない。ギリシャ、ハンガリー、フランスやアメリカでもそうだ。イギリスのコービンもNATOを世界平和にとって危険な組織とみなした。
ロシアが、この点で、元スパイを暗殺しようとしたことは重要だ。敵を葬るためには謀略をめぐらす。2006年、ジャーナリストAnna
Politkovskayaの暗殺事件を思い出す。
イギリス、フランス、ドイツ、アメリカが、ロシアに「国際的な平和と安全を維持する責任を果たす」よう求めた。しかし、行動や追加制裁はない。ヨーロッパはロシアからのエネルギーに依存し続け、ワールド・カップをボイコットすることもない。
クレムリンは、西側民主主義を支持しないし、仲間をイデオロギーによって決めることもない。プーチンの魅力はパワーである。彼はパワーを行使することをためらわない。しかも、その方法は邪悪である。彼が民主的社会に害をなすことを、疑う者はいない。
NYT MARCH 17, 2018
The Poison Putin Spreads
By
STEVEN LEE MYERS
FT March 19, 2018
No hope of liberal reform in Putin’s
Russia
TONY
BARBER
FT March 19, 2018
Vladimir Putin is not as scary as he
looks
GIDEON
RACHMAN
プーチンは無慈悲であるかもしれないが、非合理的ではない。クリミアを併合した後、さらにウクライナの領土も奪うのではないか、と懸念された。しかし、プーチンは東部における暴力を刺激しただけであった。彼を抑制したもっともありそうな理由は、西側の強い制裁措置と、ウクライナ政府に対する軍事支援である。
アメリカが支援する勢力の爆撃でロシア兵士に多数の死者が出ても、プーチンはこれに反撃するより、その事実を封印したままだ。西側が注意をしなければプーチンは大きなリスクを冒すが、明確な抵抗にあうと自制する。
すでに、プーチンの冷徹な計算が破たんし始めている。シリア介入は短期間で終結しないだろう。ロシアが支援したウクライナ東部の分離独立派は民間航空機を撃墜し、298人もの犠牲者を出した。
プーチンを称える西側の極右や極左は、EUや西側からの離脱を唱えるが、それを支える力がプーチンにはない。そのタフガイ型のナショナリズムに共感する政治家は限られている。ロシアの経済は衰弱しており、せいぜい海外で暗殺を支持したり、核兵器による威嚇を宣伝するくらいだ。
Bloomberg 2018年3月19日
Putin's Hawks Got the Confirmation
They Wanted
By
Leonid Bershidsky
Bloomberg 2018年3月19日
Putin Won at the Ballot Box. He's
Losing Elsewhere.
By
Michael Dempsey
YaleGlobal, Tuesday, March 20, 2018
What Does Putin Really Want?
Thomas
Graham
NYT MARCH 20, 2018
Aggressive Abroad, Putin Is Cautious
at Home
Ruchir
Sharma
プーチンは4期目に何を目指すのか?
初期のプーチンは、ロシアの経済混乱を抜け出すために改革を指導した。しかし、現在のプーチンは国際秩序に対する明確な攻撃を行っている。これら2つは、ともに、プーチンがロシアの1990年代を経験したときに確信した目標である。
経済安定化に成功した後、プーチンは石油価格が上昇したことで国民の生活水準を4倍にした。しかし、石油ブームを味わった他の諸国と違い、プーチンは債務や為替レートを放置しなかった。その後の経済改革は、石油依存を減らし、民間企業による技術革新と投資を促すはずであったが、西側との対立によって難しくなった。
どちらのプーチンがロシアを変えるのか?
NYT
MARCH 20, 2018
What Trump and Putin Have in Common
Thomas
L. Friedman
PS Mar 22, 2018
What Putin Won in Russia’s Election
NINA
L. KHRUSHCHEVA
4期目のプーチン大統領は、ロシアをナショナリズムと経済停滞に向けるだろう。
● アメリカ発貿易戦争
FT March 18, 2018
In a trade war Germany is the
weakest link
WOLFGANG
MÜNCHAU
FT March 19, 2018
The economic damage from a trade war
GAVYN
DAVIES
貿易戦争は有害だ。しかし、投資家にとっては、どれくらい有害か? が重要だ。
トランプ政権内の保護主義強硬派がグローバリストを追い出した。アメリカ大統領はその直観に従い、中国との貿易戦争を始めるだろう。彼らは関税によって中国の不公正貿易をやめさせるつもりだ。補助金、技術移転、知的所有権。
関税が及ぼすマクロ経済的な効果は、数年間で、GDPを1~3%減らすだろう。比較優位や技術移転を損なうからだ。それが全体から見て深刻な規模ではないとしても、その分配に深刻な意味がある。
貿易理論は、大国が関税によって外国の生産者に価格の引き下げを強いるなら、交易条件を改善できる、と認める。しかし、それは現実に行うことが難しく、小国にはできない。また、幼稚産業の保護や、補助金などによる歪みの是正は、関税によってではなく、直接に問題を是正するべきだ。
マクロ経済における効果については、より複雑だ。為替レート、インフレ率、金融政策、失業率が変化する。
旧来のケインズ型モデルでは、物価と為替レートを固定するとき、関税が支出を国内と外国の間で転換する。支出の総額は変化しない、と考える。極端に単純化すれば、最初、世界の鉄鋼生産量は変化せず、外国製品を排除することで、アメリカの鉄鋼生産が増える。トランプが信じるように。
しかし、その総需要への影響は複雑だ。まず、アメリカの関税で中国の所得が減少する。アメリカ国内では、鉄鋼生産者が利益を得て、消費者、すなわち、家計や他の企業は損失を強いられる。政府も関税収入を得る。
こうした利益と損失がどのように支出に影響するのか? それは石油価格の上昇に似ている。所得が石油の消費者から生産者に移転されるからだ。もし(消費者が)損失をただちに支出の抑制に、他方、(生産者が)利益を徐々に支出の増加にする場合は、需要と供給は短期的な低下にとどまるだろう。しかし、そうなるとは限らない。(支出が増えるとインフレになり、貯蓄が増えると失業増になる。)
ケインズ型のモデルが示す重商主義的要素は、変動レート制になると失われる。1961年にR.マンデルが述べたように、関税の引き上げは、転換効果にもかかわらず、アメリカ全体の雇用や生産を低下させるだろう。関税が貿易収支を改善すれば、実質為替レートが増価するからだ。
さらにグローバル・サプライ・チェーンが破壊され、通商政策の不確実性が市場を不安にする。しかも、中国など、貿易相手国が報復関税をアメリカに課す危険がある。
NYT MARCH 19, 2018
Trump and Trade and Zombies
Paul
Krugman
PS Mar 21, 2018
Is Europe Ready for a Trade War?
ZAKI
LAÏDI
FP MARCH 21, 2018
Is Trump’s Get-Tough Approach With
China Working?
BY
KEITH JOHNSON
中国の李克強首相は、全国人民代表大会における演説で、アメリカに貿易戦争を回避するよう呼びかけた。
中国は貿易戦争を望まない。アメリカとのより均衡した貿易関係を望む。中国は、特に製造業部門で、市場を開放するだろう。中国は外国企業に、技術を中国企業に公開するよう強制するのをやめる、と首相は述べた。
しかし、中国を長期に観察する専門家たちは、この約束を信じない。トランプ政権の前から、習近平政権は世界貿易の指導権を握るために、こうした発言を繰り返してきた。それが実行されたことはめったにない。「中国政府は、こうした発言でトランプの保護主義との違いを強調する。」
一方的な関税引き上げは、中国との交渉を有利にするより、アメリカの行動に不満を向けてしまう。それは北京の貿易慣行を是正する国際的な圧力を高める努力に水を差すのだ。中後港への圧力を強めるために、ワシントンがグローバルな連携に向けて協力すべきEUや日本が、この関税によって不利益を強いられる。
Bloomberg 2018年3月21日
Trump's Tariff Is a Gift to Swing
States
By
Leonid Bershidsky
NYT MARCH 22, 2018
Trump Says Getting Tough on Chinese
Trade Will Empower U.S. He Risks the Opposite.
By
PETER S. GOODMAN
FT March 23, 2018
US tariffs likely to draw measured
response in China
JAMES
KYNGE
Bloomberg 2018年3月23日
Is Trump Playing Into Xi's Hands?
By
Michael Schuman
トランプは、関税によって、中国の不公正な貿易慣行をやめさせ、アメリカ企業により大きな市場を開放し、米中の貿易不均衡を減らすことを願う。しかし実際は、その反対であろう。習近平は関税による圧力を感じないし、むしろ自分のために利用できるだろう。
中国政府のプロパガンダと一致するように、アメリカは「チャイニーズ・ドリーム」を阻むような行動をとった。中国は、平和的な、かつ繁栄する世界の中心に、戻ろうとしているだけである。むしろ西側の略奪の犠牲者であった。トランプの攻撃は、この習近平が演じるドラマを盛り上げる。
習は、トランプのように中間選挙を恐れるどころか、終生の国家主席を憲法で制約されることがなくなった。また貿易は、かつてのように、中国の成長を維持する条件として、もはや重要ではない。習の長期的な目標は、トランプ以上の自国産業優先、経済ナショナリズムである。トランプの関税は、習にとって、経済自由化の改革を延期する口実になる。
アメリカの緊密な同盟諸国がトランプから離反するのを、習は待つつもりだ。その政治・外交的な計算は、習にとってプラスである。
● Brexit後の改革
FT March 18, 2018
Conservatives need to be as
economically bold as Margaret Thatcher
GEORGE
FREEMAN
イギリス政府は、かつてマーガレット・サッチャーが改革を断行したように、Brexit後の長期計画を示すべきだ。
公共支出の増大で、財政破たんが懸念される。緊縮策を止めて、コービン型の財政拡大策に転換するのは間違いだ。Brexitは、もっと重要な転換を唱えていたはずだ。
1。革新を重視せよ。2.公共部門を縮小し、民間企業に委ねよ。3.資本主義の支持を高めよ。4.経済的な地方分権を進めよ。 5.アフリカやアジアの新興市場への市場アクセスを高めよ。6.長期計画を立てよ。
The Guardian, Tue 20 Mar 2018
Ireland’s border is a problem it
can’t afford to leave unsolved
Charles
Grant
● 仮想通貨の優位
FT March 18, 2018
Central banks are right to consider
the merits of digital cash
REZA
MOGHADAM
仮想通貨バブルがはじけた後で、ビットコインを拒んで貶め、死滅させることは、大衆的な幻滅のパワーであるだろう。しかし、既存決済システムに対する不満、より迅速、安価、安全な代替システムを求める声も聴くべきだ。
幸い、中央銀行家たちはこの問題を考えてきた。スウェーデン、その他で考慮している、1つの解決策は、現金のデジタル化だ。これを行う最も簡便な方法は、中央銀行に、人々が利用できるデジタル・キャッシュ口座を開設することだ。すべての振替はここで行えるし、利用者のために銀行カードを発行することもできる。資金の移転に、仲介者や手数料は不要である。
中央銀行家がそれを躊躇するのは、1.銀行預金から資金が流出し、銀行のビジネスモデルが崩壊するかもしれない。2.それが容易であるほど、銀行への(デジタルな)取り付けは数分で起きる。
どちらの懸念も誇張である。決済が中央銀行の口座に移ると、銀行の不安定化になると限らない。小切手の振出しが移るだけで、他の預金は残る。すでにPayPalなどに奪われているが、それが銀行の終わりではない。また、消費者の利益になっている。
銀行が、決済ではなく、融資に集中することは、その安定化に役立つ。その方が、銀行危機や(納税者の負担による)救済は減るだろう。
デジタルな銀行取付けに関して、クリックすれば起きることは事実だが、それはデジタル通貨を抑える理由にならない。金融当局は、秩序正しく預金者がゆっくりと引き出すことぉお望む。
もっと良い方法は、中央銀行がその「通貨」をブロックチェーンによって電子取引を示すことだ。ブロックチェーンの通貨間取引が、仮想通貨、ビットコインの最大の欠点、価値の浮動性を取り除くだろう。
ブロックチェーンに依拠した通貨の最大の優位は、安全性である。なんでもハッキングされる時代であり、決済システムをショックから守ることは政策の最優先課題である。
● クルド人とともに戦死
The Guardian, Mon 19 Mar 2018
Anna Campbell’s death in Syria was
futile, but her passion was admirable
Simon
Jenkins
Anna
Campbellの父は、彼女がシリアで死んだことを告げた。彼女は「より良い世界を望み、そのために自分ができることを何でもしようと」、シリアでクルド人の部隊YPJに参加した。彼女は「若く、理想主義的で、情熱的、決意が堅かった。」
YPJは、クルド人地区でテロリストと戦うボランティアの部隊である。
NYT MARCH 21, 2018
The Young Feminist Who Died for My
People
By
ILHAM AHMED
● コンゴ
FT March 19, 2018
Rescuing Congo from another round of
war
● ポピュリズムの拡大
PS Mar 19, 2018
Populists of the World Unite
DOMINIQUE
MOISI
FP MARCH 20, 2018
The New Dutch Disease Is White
Nationalism
BY
THIJS KLEINPASTE
昨年の選挙戦は、互いを非難した2人、自由民主国民党のルッテMark Rutte首相と、自由党PVVのウィルダースGeert
Wildersの間で醜いものとなったが、3月にルッテの勝利が決まると、メルケルなど、ヨーロッパの指導者たちは「民主主義の勝利」と歓迎した。しかし、実際は、ルッテがウィルダースの主張に近寄り、その政策を奪ったから勝利できたのだ、と観た者もいた。
その後、オランダ政治は、新しい勢力、民主主義フォーラムForum for Democracy (FvD)のThierry
Baudetによって刺激され、新しいタイプの極右政治が急速に支持を広げている。この35歳の党首は、ヨーロッパ的な高踏文化趣味とオンライン型の文化戦士とを合わせた人物である。プーチンを称賛し、アメリカのオルト・ライトとも親交がある。
BaudetとFvDは、最近の調査で、ウィルダースのPVVを超える支持を得ており、ネイティビズムの反イスラム主義に先鋭化したウィルダースと違い、より大きなイデオロギーと政治的枠組みの変更を目指している。彼は、19世紀の国民国家が直面していた敵対者に代わる、21世紀の敵対者たちと国民国家像を提案しようとする。すなわち、ヨーロッパの官僚制度、イスラム教徒の移民、フェミニズム、などだ。
Baudetによれば、オランダは自分たちの故郷を嫌う心理的病Oikophobiaに冒されているのだ。国民国家を破壊するのは、フェミニズム、文化的マルクス主義、現代アート、大量移入民、EU、あるは極右の嫌うものすべてがそうだ。
オランダ国民はむき出しの人種差別主義を受け入れないが、Baudetは、白人やその文化への攻撃に対しては反撃しなければならない、と主張する。それは、暗殺された政治家Pim Fortuynから引き継いだ、オランダの社会と政治文化を大きく右傾化する試みだ。極端な世俗主義、反聖職崇拝の伝統が、それと反対のイスラム教に対する敵意へと変わる。
西側は自己嫌悪の病気に苦しんでいるのだ。Baudetは、政治家を威嚇し、市議会の窓をたたき割る群衆、市庁舎を難民受け入れセンターにすることへの抵抗を擁護する。人民は有機的な存在であり、内外の敵によって毒を与えられている、と。それらの表現は、自分たちのエスニックな社会を遺伝的に優れたものと主張したナチズムに似ている。
2000年に入って最初の10年間、オーストリアとともに、オランダは反エスタブリシュメントのポピュリズムが勃興した初期の国であった。今また、一層のラディカルな政治運動がヨーロッパに始まる先駆者になろうとしている。
FP MARCH 21, 2018
Europe Forgot What ‘Conservative’
Means
BY
JAN-WERNER MUELLER
ヨーロッパの社会民主主義は衰退している、と言われている。イタリア、ドイツ、フランスの最近お選挙で、左派の大衆政党が得た票は最盛時の5分の1でしかない。その結果、ポピュリストや中道右派が支持を集めたか、と言うと、そうではない。中道右派の諸政党は、特に、キリスト教民主党は、深刻な危機に直面している。彼らが何を目指すのか、社会民主党員と違って、彼らこそポピュリストの右派に支持を奪われつつある。
社会民主党員が苦しんでいるのは、トニー・ブレアやゲルハルト・シュレーダーのような指導者たちが、1990年代後半に追求した「第3の道」が、大きな信認問題を残したからだ。彼らは金融資本主義を容認しただけでなく、それを積極的に推進したのだ。そして名ばかりの左派政権の下で、規制緩和や不平等の拡大が起きた。今、彼らは社会主義の理想を裏切った、とみなされている。
しかし、重要なことは、こうした理想が失われたわけではない、ということだ。昨年のイギリスの総選挙で、ジェレミー・コービンは予想外の好結果を得た。社会民主党は、信認を回復し、移民流入のような、支持者を分裂させる問題から関心を引き離す必要がある。イギリスの労働党左派や、ドイツの社会民主党がそれを試みている。
逆に、ヨーロッパの中道右派は、今日、何を追求するのか? 市民たちはその答えを知らない。これは指導者たち自身が忘れている、歴史的難問だ。第2次世界大戦後、ドイツとイタリア、そして程度は劣るがフランスで、キリスト教民主党が政治を支配した。そのときは穏健な中道保守政党を求める歴史的諸条件があったのだ。ファシズムがナショナリストの右派政党を破たんさせた。世紀半ばの恐怖により多くの人々が宗教に道徳的な確かさを求めていた。冷戦の状況において、キリスト教民主党は、本来の、反共産主義政党としてアピールできた。
彼らは、古典的な自由主義の物質崇拝面と共産主義との間にある親和性を示唆し、共同体的な価値によって両方を拒んだ。しかし今、キリスト教民主党の持っていた強い進歩的性格は忘れられてしまった。何よりも、キリスト教民主党こそEU統合を生んだ原動力であった。彼らは19世紀の国民国家を信頼しなかった。それは、ともに新生の統合国家であったイタリアとドイツで、カソリックとの文化戦争が続いたからだ。異なるアイデンティティーや利害の調和、異なる集団間(ヨーロッパにおける諸国家)の妥協を追求し、調和的な社会のために、資本と労働とは協同するのだ。キリスト教民主主義は、文化戦争と階級対立を回避するために創造されたものだった。
キリスト教民主党は、極右のポピュリストたちを、封じ込め、あるいは、模倣し、あるいは、共謀しているが、いずれも失敗するだろう。本来のプラグマティズムや調和への進歩主義を失ってしまっている。単なるジェスチャーだ。
NYT MARCH 22, 2018
Will Canada Elect a Tin-Pot Northern
Trump?
By STEPHEN MARCHE
● 民主主義と情報
PS Mar 19, 2018
Is the Press Too Free?
ROBERT
SKIDELSKY
スキャンダルは、新聞が担う役割として必要ではない。自由な報道の存在は、政府に対する制約である。それは単独では成立せず、法の支配と、独立した司法による強制力、規則的な感覚で行われる競争的選挙、がそれに劣らず重要だ。これら3つは民主主義を成立させる三脚であり、1つが欠けると崩壊する。
FT March 20, 2018
Four simple questions Facebook
should answer
The Guardian, Thu 22 Mar 2018
The poison in politics runs deeper
than dodgy data
Gary
Younge
NYT MARCH 22, 2018
How Democracy Can Survive Big Data
Colin
Koopman
(後半へ続く)