IPEの果樹園2018
今週のReview
1/8-13
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2018年の予想 ・・・イギリス政治 ・・・将来の成長 ・・・中国の技術革新 ・・・ロシアの政治 ・・・トランプの政治 ・・・巨大都市と中小都市 ・・・イランの政治 ・・・AI,ロボット,グローバリゼーション ・・・社会契約 ・・・西側世界の終わり ・・・国際通貨の地政学 ・・・ヨーロッパの政治
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● 2018年の予想
FP DECEMBER
29, 2017
2017 Was
the Year of False Promise in the Fight Against Populism
BY YASCHA MOUNK, MARTIN EIERMANN
ポピュリストの運動は少なくとも20年にわたって勢いを得てきた。しかし、その不安は1年前にピークを越えた。2016年、イギリス国民はEU離脱を支持し、アメリカではドナルド・トランプが大統領に当選し、2017年には何が起きるか、と恐れられたのだ。
1年経って、その不安は過剰なものであったようだ。フランス大統領選挙で、第1回投票において、左右のポピュリストが投票数の半分以上を占めたが、マクロンは極右のル・ペンを破って当選した。ドイツの選挙でも、第2次世界大戦以来、初めて極右のポピュリスト政党が議席を得たが、穏健派の諸政党が過半数を占めている。
このことから間違った教訓を引き出すかもしれない。ポピュリストの運動は頂点を過ぎて、衰退に向かうだろう、と。
しかし我々は、同じ経過から異なる教訓を学んだ。ポピュリストたちが既存の政治システムを破壊したとか、政権を得たとかいうことではなく、過去数年の彼らの活動から現在の水準を判断する。最初に、ポピュリストの簡単な定義を、イデオロギーではなく、政治組織のロジックが、支持者と敵対者とを明確に分けるようなものと考える。ポピュリストであるとは、国内エリートや、外国からの移民、エスニック・宗教・性によるマイノリティーに反対する、民衆の真の意志を代表する、と単に主張する者たちであれば何でもよい。
すると明確な姿が示せる。ポピュリストの運動は2016年以前から徐々に増加していた。それ以降も増加し続けている。ヨーロッパでポピュリスト政党が得た投票は、2000年9.6%、2008年17.2%、現在24.6%である。そこには3つの特徴がある。
1.中欧における人口規模の大きい、戦略上重要な国家で、ポピュリズムが重要になっている。バルチック海からエーゲ海まで、ポピュリズムが政府に影響を与えた国がある。さらに多くの国で、ポピュリストが政権に入る可能性がある。ソ連の支配から解放されて、まだ30年しか経っていない諸国では、民主主義が生存できるか、試されている。
2.右派のポピュリストが政権を得た国は西欧に存在しない。しかし、ギリシャ、オーストリア、ノルウェー、多くの国で、ポピュリストは政権に参加している。ポピュリストの影響が強まる国では、過激な主張を排除するためにも、伝統的には穏健な諸政党が、フランスやオーストリアなど、最近、右傾化している。
3.極右のポピュリズムにだけ注目するのは間違いだ。右派のポピュリストが増大する第1の地帯に加えて、左派の諸政党が第2の地帯を形成し、南欧に多くの支配地域を得るかもしれない。それらはユーロ危機や10年に及ぶ停滞の結果として債務諸国に広まったが、同時に、ますます排外主義的で、独立したメディアの破壊を求めている。
こうした長期に及ぶ政治変化は、構造的な要因によって説明されねばならない。すなわち、経済不安、移民や多エスニック社会への反発、極端な主張が大きな影響を容易に及ぼすソーシャル・メディアの拡大。
ドイツのAfDやフランスのル・ペンが成果を上げなかったとしても、ポピュリスト運動は決して消滅しないだろう。それはなお頂点を越えておらず、われわれが今行動しなければ、これからも勢力を拡大し続ける。
FT
December 30, 2017
Forecasting
the world in 2018
2017年の20問に関するFTコラムニストの予想は間違いも含んでいた。しかし、概ね、19の内、15は正しかった(20番目、北朝鮮の判定はむつかしい)。
われわれは2018年の20問にも挑んでみよう。
1.メイは首相の地位を維持するか? Yes ・・・EUとの離婚手続きが進む間、離脱派と残留派は保守党内の内戦を回避したいと願い、結果的に、メイを首相の地位にとどめる。
2.UK経済の成長はG7で最低水準か? No ・・・メイが断崖から飛び降りるタイプの合意なし離脱を回避できるなら、UKの成長率は1.5%と予測され、日本やイタリアの1.3%を超える。
3.マクロンはメルケルと約束したユーロ圏統一予算を実現するか? No ・・・メルケルが受け入れるとしても小規模のユーロ圏投資基金だけである。選挙によってメルケルの力は失われた。
4.中間選挙で民主党がアメリカ下院の過半数を回復するか? Yes ・・・歴史的に観て、大統領の政党は敗北する。特に、大統領の支持率が50%を割っているときは、大きな敗北となる。
5.ドナルド・トランプに対する弾劾手続きが始まるか? Yes
6.トランプは中国との貿易戦争を開始するか? Yes
7.中国のGDP成長率は6.5%を超えるか? Yes
8.日銀は金融引き締めに転じるか? No
9.新興市場のGDP成長率は5%を超えるか? Yes
10.インドのモディ首相はより非正統的な経済実験を試みるか? Yes
11.サウジ・アラムコの新規公開株は国際取引を始めるか? No
12.ミードJosé Antonio Meadeが次のメキシコ大統領になるか? Yes
13.ジンバブエの新しい指導者は公正な選挙を行って勝利するか? No ・・・軍が管理した選挙になる。
14.AT&TとTime
Warnerとの合併は(CNN売却無しに)成立するか? Yes
15.Teslaは25万台以上のModel 3を生産するか? No
16.S&P 500は2018年の終値が2650ドルを超えるか? Yes
17.10年物財務省証券の利回りは2018年の終値が3%を超えるか? No
18.石油の2018年の終値がバルル70ドルを超えるか? Yes
19.安定的で流動性のあるビットコイン先物市場は成立するか? No
20.ブラジル、ドイツ、スペイン以外の国がワールドカップで優勝するか? No ・・・過去20回のワールドカップで優勝したのは、ブラジル5回、ドイツ4回である。開催国の優位があり、6回優勝している。しかし、ロシアはランクが低すぎる。過去50年で、開催国以外で初めて優勝したのはスペインだ。
NYT DEC.
31, 2017
Merkel’s
Wishes for 2018: More Empathy and a New Government
By MELISSA EDDY
ドイツのメルケル首相はこの国の方針を示す新年の演説を行った。彼女は、ドイツの経済的な強さにもかかわらず、国民の多くが取り残されたと感じていることを知っている。2017年には、ポピュリストがドイツ議会に最初の議席を得た。彼女の演説から主要な関心を拾うことができる。
社会的結束 ・・・ドイツ人の多くが社会的結束について心配している。キリスト教民主同盟より右のAfDが議席を得たのは、メルケルの移民政策に強く憤慨する者が彼らに投票したからだ。そのことはメルケルの連立政権交渉を困難なものにした。
経済的成功 ・・・ドイツは素晴らしい国で、憲法の価値を実現し、経済的に成功している。しかし、長期的な競争力を維持するには、もっとインフラと労働力に投資しなければならない。移民を労働力に統合しなければ、労働力不足に直面するだろう。教育と職業訓練がもっと必要だ。
所得の不平等 ・・・ドイツは世界で最も裕福な国に属し、収入による世界企業番付で4社が本拠を置き、EUで最高の平均所得を実現し、失業率は最低だ。しかし、メルケル治下の12年間で不平等が拡大した。OECDによれば、子供の14%が社会的給付を受けている。学校システムに分断がある。
移民の統合 ・・・ドイツに多くの移民がいることは社会的な軋轢を生じている。人々が分断を感じる原因である。以前の新年の演説と異なり、今年の演説ではこの問題を取り上げなかった。移民に関しては、保守系の連立諸政党と社会民主党との間で意見が対立している。
ヨーロッパにおけるドイツの役割 ・・・ドイツの将来はヨーロッパの将来と切り離せない。しかしEU諸国の中に、伝統的に、ドイツが事実上の指導的国家であることについて疑問が生じている。2017年の選挙結果により、ユーロ圏や移民、難民、防衛、など、重要問題での決定が後退した。
他者への共感・同情を求める ・・・われわれが心を合わせて、共有するものを想い、他者にもっと配慮するように。他者に関心を払い、話を聴き、理解するように。ドイツは、憎悪を煽るようなコメントを削除するよう企業に求める法律を成立させた。
FT January
2, 2018
The case
for optimism in 2018
GIDEON RACHMAN
2018年は、経済指標と地政学的指標とが全く異なる方向を指して始まった。世界の株価は記録的な高水準であり、経済における自信がほとんどの発展した諸国で強まっている。しかし、国際政治は非常に懸念されるものだ。
近年の傾向は、中東の悪いニュースをアジアの楽観主義が打ち消したのだが、今年はそれが逆転するだろう。地政学上の最大のリスクは朝鮮半島にある。アメリカ大統領は、北朝鮮を武装解除するために、初めて、核戦争を行うと威嚇した。
これに対して、中東では、いくつかの重大な問題が良い方向に転換した。イランの反政府デモ、サウジアラビアの自由化、イスラム国家の軍事的崩壊、これらはイスラム原理主義の大きな後退を意味しているからだ。
投資家やエコノミストたちは北朝鮮の危機を過小評価している。しかし、ワシントンの安全保障専門家たちは、2003年のイラク侵攻が始まる前の状態と似ている。重要なポストにある者たちが、「予防的な戦争」を避けられないと語り始めている。これに対しては、特に韓国の受ける報復の犠牲は計り知れないほど大きくなる、という反対論が強い。ソウルに対する報復能力を破壊する、というが、そもそも核兵器を完全に無能力化するには地上軍の派遣が必要だ。
アメリカの最重要な同盟諸国、日本、韓国、オーストラリアが強く反対するから、朝鮮半島の戦争は起きない、と私は考える。これまでの大統領なら、北朝鮮の核武装を許せばアメリカの信認を損なう、と考えただろうが、トランプなら気にしない。彼は独自のリアリティーに生きており、見え方が変わればよい。
ただし、中東世界では最も悲観的な予想が実現する。イラク戦争でも、アラブの春でも、イスラエルとパレスチナとの和平でも、そうだった。同様に、イランの反政府活動は次第に勢いを失い、あるいは、弾圧されてしまうだろう。
他方、イスラム原理主義者の運動は経済的、社会的に行き詰まり、巻き込まれた人々はこれを最終的に逆転しようとする。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はワッハービ支配層を排除する決断を下したようだ。リヤドとテヘラン、そしてシリアとイラクの戦場から、敵対する原理主義集団が勢力を失うとしたら、2018年は歴史的な転換となるだろう。
世界政治に関する憂慮を出してから、むしろ良いニュースに驚くこともある、と考えてよい。朝鮮半島でも、南シナ海でも、東ヨーロッパでも戦争は起きず、EUは分裂しないし、Brexit交渉は決裂せず、株価暴落も起きない。逆に、中東はプラスの大きな転換を迎え、イングランドがワールドカップで優勝する。
FT DECEMBER
31, 2017
The key
energy questions for 2018
NICK BUTLER
石油の世界価格を決める上で重要な問題は4つあるが、その答えは高度に不確実なものだ。
第1に、サウジアラビアの安定性は維持されるか? ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の改革は反対派の投獄と国際的PRによって推進されている。新メトロポリス建設も、シーア派コミュニティとイランに向けた宣伝だ。イランと直接に戦争することは伝統的に回避してきたが、湾岸諸国はグローバルな生産量の4分の1、世界取引の40%を占める。
第2に、アメリカのシェール・オイルはどの程度速く増産できるか? OPECの減産を吸収し、むしろ価格を下落させるかもしれない。
第3に、中国経済の変化は何をもたらすか? 成長は発表されたものより低いだろうが、政府はそれを認めない。それが維持できるのか? その影響は世界の石油・天然ガス・石炭需要に及ぶ。中国は世界で1日に消費されるエネルギーの4分の1を占める。しかも変動する消費者だ。エネルギー効率は改善し、経済構造が重工業からサービス部門に重心を移しつつある。北京はクリーン・エネルギーの開発に意欲的だ。
第4に、再生可能エネルギーの供給拡大はどれほど急速に実現できるか? 補助金なしでも化石燃料と競争可能な点まで急速に近づいている。問題は、産業が分裂状態にあることだ。小規模、ローカル、過小資本の企業が多い。
それぞれの問題に、専門家たちは異なった答えを示す。私は、供給が需要を越えて増加すると予測するから、今の石油価格上昇は一時的と考える。しかし、中東で戦争が起きれば、それは一変する。
NYT DEC.
31, 2017
7 Wishes
for 2018
David Leonhardt
FT January
2, 2018
The path
to a more unified Europe in 2018
FP JANUARY
2, 2018
10
Conflicts to Watch in 2018
BY ROBERT MALLEY
ドナルド・トランプがホワイトハウスに入る前から、アメリカはより内向きになり、世界の外交は軍事化していた。国際機関の役割はますます縮小しつつある。
第1に、アメリカは国際的な関与を後退させている。特に、2003年のイラク戦争後、アメリカはそのパワーの限界を否定できなくなった。第2に、外交の軍事化はさらに強まるだろう。トランプ政権は軍人を重視し、外交官を無視している。第3に、多角的な交渉の軽視が続く。オバマはアメリカの減退するパワーを国際協定で補完しようとした。トランプはそれを解体し、アメリカの負担を減らすだけだ。さらに、これまで主要諸国が重視した国連安全保障理事会をトランプは無視し、2国間の事後交渉を求める。
2018年の注目すべき紛争として、the International Crisis Groupが挙げたのは以下のものだ。
1. 北朝鮮 ・・・北朝鮮の核・ミサイル実験とホワイトハウスの好戦的な発言は、最近の歴史において、核戦争勃発の危機を最も高めている。双方が不安を抑える具体的な行動を示し、交渉の余地を見出すことだ。
2.アメリカ=サウジとイランとの対立 3.ロヒンギャ危機:ミャンマー、バングラデシュ 4.イエメン 5.アフガニスタン 6.シリア 7.サヘル 8.コンゴ民主共和国 9.ウクライナ 10.ヴェネズエラ
Bloomberg 2018年1月2日
5 Things
to Fear in a Strong Global Economy
By Daniel Moss
世界各地が回復軌道を示す中で、懸念すべきことは何か?
1.新しいアメリカ連銀議長Jerome Powellは金融政策の間違いを犯さないか?
2.中国の経済成長は維持されるか?
3.法人税率の引き下げ競争が起きるか?
4.メキシコ大統領選挙で、トランプへの挑発が起こるか?
5.政治は成長を損なうか? アメリカだけでなく、世界各地で政治の混乱を無視した株価上昇が起きている。最終的には、市場が暴落するかもしれない。
● イギリス政治
FT
December 29, 2017
How
British politics rediscovered Tony Benn and Enoch Powell
JOHN MCTERNAN
イーノック・パウウェルEnoch
Powellは、聡明な学者であり、勲章に飾られた兵士、保険省を改革した政治家だ。人種差別主義の「血の河」演説(1968年)をした後、閣僚を辞め、最後は北アイルランドへ行って、アルスター同盟の議員となった。
パウエルは我々の時代を支配する政治家だ。彼の1960年代、70年代の演説は、世界に響き渡る。一方では、阻む者のない右派ポピュリストの躍進。他方で、イギリス保守党の分裂。パウエルが主張したように、イギリスの人種差別主義は人種ではなく、文化によって主張されるようになった。パウエルの予言した破滅は事実によって否定されたが、そのレトリックは強い支持を得たのだ。
左派にも、政治的キャリアを否定されたもう1人の大政治家がいた。1960年代、Tony BennはHarold
Wilson内閣で成功したテクノクラートであったが、1970年に労働党が予想外の敗北をした後、左傾化した。彼は1970年代の労働党政権を、国有化と国家介入によって形成し、1983年の労働党綱領を作成した。それが歴史的敗北に終わったことで、その後のニュー・レイバーが登場した。
今また、コービンJeremy
Corbynの労働党指導部は、Bennの産業国有化を目標に掲げている。
The Guardian,
Sun 31 Dec ‘17
Even
bravery won’t help the nightmare of Brexit’s new world
William Keegan
FT January
3, 2018
UK looks
to join Pacific trade group after Brexit
FT January
4, 2018
Britain
has made itself a Brexit straitjacket
PHILIP STEPHENS
● 将来の成長
FT
December 29, 2017
Why I
predict we will be wealthier in the future
TIM HARFORD
2018年ではなく、2118年に経済はどうなるだろうか? 100年後の予測は、1930年に、ケインズもしたことだ。彼は2030年に、孫たちは8倍豊かになる、と期待した。われわれはそれより少し低いが、十分に浴衣になると期待する。2118年に、われわれは今より5倍豊かになるだろう。世界の平均所得は1人当たり約8万ドルだ。UKは約2倍豊かになって、年間25万ドルであろう。
それはどの程度幸せか? 戦争は起きないか? 自然環境はそれを維持できるか? 配管工、タクシー運転手、ジャーナリスト、など、ロボットによって失業するのか? そうなれば、ユニバーサル・インカムが導入されるだろう。
PS Jan 2,
2018
The
Missing Ingredients of Growth
MICHAEL SPENCE, KAREN KARNIOL-TAMBOUR
経済・技術条件が急速に変化していることに応じて、1.人的資本に投資し、2.情報ギャップを埋め、3.企業・個人が機会の増大する、コストが低下し、賃金が上昇する分野に移動し、4.研究・開発を公的に支援することが求められる。
● 中国の技術革新
PS Dec 29,
2017
China, the
Innovation Dragon
SIMON JOHNSON, JONATHAN RUANE
中国が経済構造を転換するスピードは史上空前のものだ。1978年以降の40年間、年平均10%で成長した。
中国の生産性は大規模なインフラ投資による近代化により達成された。高速鉄道網は2万2000キロを超えて世界最長である。2021年まで、毎年、約2兆ドル消費が増え、それはドイツの市場規模に等しい。今や。工業生産や世界貿易だけでなく、技術革新でも世界最大の国になろうとしている。
AppleのCEOであるTim
Cookは、中国に進出するのは労働コストが安いからではない、と述べた。先進的な生産ノウハウと強力なサプライ・チェーンが中国製造業の強さを支えている。中国指導部が生産性をさらに高め、ヴァリュー・チェーンを一層登ろうとするのは疑いない。
昨年5月の第13次5か年計画は、2020年までに「技術革新国家」、2030年までに「革新の国際的指導国」、2050年までに「科学と技術革新の世界大国」になるという目標を定めた。
保護主義に向かうトランプ政権と比べて、中国は諸政策を挙げてその目標に邁進する。
FT
December 30, 2017
China’s
Communist party raises army of nationalist trolls
Yuan Yang in Beijing
NYT JAN.
1, 2018
Is Hong
Kong Really Part of China?
Yi-Zheng Lian
NYT JAN.
1, 2018
China’s
Ambitious New ‘Port’: Landlocked Kazakhstan
By
ANDREW HIGGINS
PS Jan 2,
2018
Has
China’s Economic Growth Finally Stabilized?
YU YONGDING
FT January
3, 2018
China
rewards a non-violent activist with what he most wants
JAMIL ANDERLINI
FT January
4, 2018
China’s
protectionism comes home to roost
FT January
4, 2018
China
softens tone in drive for Asia influence
Tom Mitchell in Beijing and John Reed in
Manila
PS Jan 4,
2018
China’s
Soft and Sharp Power
JOSEPH S. NYE
● アメリカと国連
PS Dec 29,
2017
A Trump
Christmas Carol
JEFFREY D. SACHS
クリスマスに、アメリカが世界に与えたプレゼントは、国連通常予算を2億8500万ドル削減したことだった。
アメリカが国連予算の規模を攻撃することの愚劣さを知るには、ペンタゴンの予算と比較することだ。アメリカは防衛費に年間7000億ドル、1日当たり約20億ドルを支出している。したがって、国連通常予算はアメリカの軍事支出の1日と9時間分ほどでしかない。そのアメリカの分担額は、ペンタゴンの支出の約7時間分でしかない。
● ロシアの政治
PS Dec 29,
2017
Putin’s
Medieval Dreams
DINA KHAPAEVA
世界の趨勢に反して、ロシアでは独裁者の銅像が建てられる。
ロシアにおいてネオ中世主義が広がっている源は、不平等、カースト制、クラン、テロによる支配に依拠した社会秩序へのノスタルジアである。前近代の、根本的に反民主的な、不公正な諸価値を称賛する人々にとって、イワン雷帝と現代の末裔は英雄であり、ロシアの過去はこれからの変化の序章である。
FT January
2, 2018
Red tape,
radios and railway gauges: Nato’s battle to deter Russia
Michael Peel and Michael Acton in Brussels
NYT JAN. 4,
2018
Training
Early for Post-Putin Politics
Sylvie Kauffmann
Bloomberg 2018年1月4日
Putin's
Goals in Syria Went Beyond Saving Assad
By Leonid Bershidsky
シリアへの軍事介入は,ロシア軍の海外派遣に経験を積ませ,200種類以上の新しい武器を貯める機会であった.
● トランプの政治
The
Guardian, Sat 30 Dec ‘17
The year
of Trump has laid bare the US constitution’s serious flaws
Jonathan Freedland
PS Jan 2,
2018
The US
Donor Relief Act of 2017
JOSEPH E. STIGLITZ
トランプと共和党が成立させた税制改革は、「改革」ではない。税の公平性を高めるには、その支払い能力に応じた課税が重要である。しかし、この法律は最高所得の階層に最も多く減税し、2027年の完全な実施において、中産階級には増税となる。
減税は、期待されるような一気に成長を高めることにはならない。すでに完全雇用に近いからだ。また、民主党支持者の多い州から税収を搾り取るから、政党間の分断が強まる。財政赤字が増え、貿易赤字も増えて、トランプの支持層は裏切られる。
YaleGlobal,
Tuesday, January 2, 2018
Trump’s
National Security Strategy: We Will Compete
Richard Weitz
FT January
3, 2018
Trump’s
looming bust-up with China is bad news for 2018
EDWARD LUCE
FP JANUARY
3, 2018
Trump’s
Nationalism Is Arbitrary, Dangerous, Incoherent, and Silly
BY PAUL D. MILLER
ドナルド・トランプ大統領はナショナリズムを明確に強調した。国連演説がその強力な表現であった。しかも、それは危険で、空っぽで、道徳的な気まぐれを示している。
トランプは、「強力な、主権を持つ、独立した諸民族Nations」を称賛し、それこそが国際秩序の支柱である、という。「国家States」ではなく「民族Nations」を好む。
しかし、Nationsの定義は、良く知られていることだが、あまりにも困難である。その中心には、文化、言語、歴史、エスニシティを共有することがある。ナポレオン以来、あらゆるナショナリズムは国民の共同体を主張し、それが世界政治の主体であった。各民族はそれを統治する国家を持った。
だが、現実には不可能である。そのような主張は国の内外で分裂を生じるだろう。ナショナリズムは、常に、多様な現実の敵であった。今日の世界には、国民国家など存在しない。ほとんどすべての国家が、同質的なマイクロ主権集団よりも大きい。多くのエスニシティを抱え、多元主義的で、多様な政治体を含んでいる。
(後半へ続く)