前半から続く)

The Guardian, Sunday 12 November 2017

As Trump fawns over Xi, global politics is now a ‘strong man’ game

Will Hutton

トランプは選挙中に主要な敵とみなし、「アメリカ経済をレイプしている」と何度も述べた。それは止めねばならない。就任初日に中国を通貨操作国に指定し、懲罰する、と約束した。中国からの輸入品に関税を課せば、アメリカの製造業の雇用は守られる、と。しかし、何も起きなかった。

今や、トランプは権力者を称賛する。トランプは、国際機関のルールで中国が手を縛られることはない、ということを暗示した。対中貿易の赤字は、以前の大統領たちが何もしなかったせいである、と。TPPを破棄したように、国際機関は強化するべきではない。われわれは同じゲームを戦うのだ。

弱肉強食が、その新しい世界である。強者であることがルールなのだ。アメリカは、カナダとメキシコにNAFTA再交渉を求めた。イギリスはどうか? Brexitの後、イギリスはアメリカのルール、ビジネス界に好まれる、緩やかな、アメリカ・スタンダードを受け入れる。アメリカの商務長官は、イギリスはロープに追い込まれている、と見ている。

NYT NOV. 13, 2017

Susan Rice: Trump Is Making China Great Again

By SUSAN E. RICE

アメリカはより孤立し、後ろ向きで、「インド・太平洋」の主導権を中国に渡すことが明白になった。北京の歓迎式典で演説した内容、習近平主席との会談は、アジアの同盟諸国やアメリカの友人たちを不安にした。その後の訪問国でも、トランプ大統領は毒のある、ナショナリスティックな演説をし、多角交渉を棄てたいと語った。

これは「中国を再び偉大にする」 “Make China Great Again.” 歴訪であった。

NYT NOV. 14, 2017

This is How Grown-Ups Deal With Putin

Andrew Rosenthal

NYT NOV. 14, 2017

China Could Sell Trump the Brooklyn Bridge

Thomas L. Friedman

習はトランプをうまく扱った。お世辞と、短期の通商的な譲歩で、中国との構造的な不均衡から注意をそらせた。常に、習は中国の長期的な目標を見据え、トランプは小さな勝利を歴史的成果と自慢し、上機嫌であった。

トランプには統合された戦略がない。有能な指導者は大きな問題を立てて考え始める。「この世界はどうなっているのか? 最重要の趨勢は何か? 国民がその数世から最大の利益を得て、最悪の事態にも衝撃を緩和されるように、この国の体制をどのように配置するべきか? 」

米中の対応には大きな差がある。

FP NOVEMBER 14, 2017

Trump and Xi’s Narcissism of Small Differences

BY CHRISTOPHER BALDING

Bloomberg 20171115

Forecasts for the New World Order of 2030

By Daniel Moss

FP NOVEMBER 16, 2017

America Can’t Win Great-Power Hardball

BY JAMES TRAUB

リベラル派の信じた多国間・国際機関の重視、ルールに依拠した、主権国家を超えた外交は、最近、はっきりと大国間のパワー・ゲームによって打ち消された。Robert KaganHenry KissingerStephen M. Waltは、そのことを早くから指摘した。先週、サウジアラビアの政変と中東外交、トランプと習近平の会談は、旧式の大国間競争を荒々しく示した。

1次世界大戦が終わったとき、ウッドロー・ウィルソンは問いかけた。ヨーロッパを破壊した戦争は「正当かつ確実な平和」によって終わるのか? あるいは、単に「新しい勢力均衡」なのか? もし後者であるとしたら、と彼は続けた、「新しいアレンジの安定した均衡状態を、だれが保障し、だれは保障してもらうのか?

ポスト覇権型、ポスト大国間政治のオバマ外交から、トランプの時代に変わった。それはツキディデスが述べたように、強者はできることをなし、弱者は苦しみに耐えるしかない、そのような世界だ。

FP NOVEMBER 16, 2017

Why Cozying Up to Trump Works

BY CHARLES KUPCHAN

YaleGlobal, Thursday, November 16, 2017

Trump Passes Baton of Global Leadership to China’s Xi

Nayan Chanda


 アジア外交

PS Nov 10, 2017

Toward a People-Centered ASEAN Community

MOON JAE-IN

ASEANの役割が高まることは、経済のダイナミズムと地域の平和にとって重要だ。韓国はASEANとの協力を重視する。それは政府間協力にとどまらず、個人生活にまで及ぶものだ。

韓国は、政治、安全保障、経済において戦略的なパートナーである。その目標は3つのPPeople, Prosperity, and Peace)に集約される。

韓国は、人中心の外交を推進し、ASEANとの文化交流、コミュニティー構築を目指す。ASEANの結合に向けたマーシャル・プラン、FTA交渉を支持する。

FP NOVEMBER 13, 2017

China’s Charm Offensive on South Korea Is Starting to Work

BY LEIF-ERIC EASLEY

FP NOVEMBER 14, 2017

Trump Is Causing Conflict by Playing Peacemaker

BY BILL HAYTON

FP NOVEMBER 14, 2017

Trump’s Worst Trip Ever. Until His Next One.

BY MAX BOOT

FP NOVEMBER 16, 2017

With Trump Focused on North Korea, Beijing Sails Ahead in South China Sea

BY DAN DE LUCE


 テクノロジー企業の巨大化

NYT NOV. 11, 2017

Plugging Into the Gig Economy, From Home With a Headset

By NOAM SCHEIBER

FT November 12, 2017

Alibaba’s Singles Day registers $25.4bn haul

Louise Lucas in Shanghai

アリババは「独身の日」の記念セールで254億ドル、モバイルフォン、靴、口紅、を1時間ごとに10億ドル以上も売った。77700万個の小包が発送された。

FT November 14, 2017

How Small Tech can move fast and fix things

JOHN THORNHILL

FT November 15, 2017

Taming the masters of the tech universe

MARTIN WOLF

世界で最も価値のある上位8社はテクノロジー企業である。その市場評価額は合計で4.7兆ドルである。これは上位100社の他の92社の合計額の30%にあたる。この8社とは、アメリカの5 (Apple, Alphabet, Microsoft, Amazon and Facebook), 中国の2 (Alibaba and Tencent) 韓国の1 (Samsung)である。ヨーロッパで最高額のテクノロジー企業SAPは世界60位である。

この市場評価額は何を意味するのか? デジタル経済の問題を、より広範に7つの疑問として示す。

1.アメリカの支配力にとってどのような意味を持つか? テクノロジー分野で主要企業を持たない国は、将来の競争に残らないだろう。

2.この膨大な市場評価額は何か? 独占ではないか? Appleの株式簿価総額は1340億ドルであるが、市場評価額は9000億ドルに近い。この差は、投資家が「正規を超える」利潤を期待しているからだ。

3.競争政策はどうなるのか? シュンペーターの「創造的破壊」よりも、「反競争的」な、新規参入の企業を買収する行為にそれが現れている。

4.マクロ経済的な影響は何か? Appleの総資産額は3750億ドルだが、固定資産はわずか340億ドルだ。これほどの投資で利潤を上げる機会が企業内にはない。それは革新企業への投資ファンドになり、総需要のブラックホールになっている。

5.こうしたビジネスにどうやって課税するべきか? 1つは、独占的なレントに対する課税率を高くすることだ。そして、グローバル課税が必要になる。グローバルなテクノロジー企業に対する領土的な課税の競争が深刻な歪みをもたらす。

6Google Facebookのような、メディアにおけるテクノロジー大企業をどう考えるべきか? メディアは自由で民主的な社会の死活的要素である。2017年に、これら2社がデジタル広告収入の63%を占めた。彼らが創るわけではない情報を集積し、それを拡散する。社会に害をなす者が危険な偽情報を流すことは深刻な問題だ。

7.テクノロジー企業が創る“machine, platform, crowd”は、労働市場に重大な影響を与え、AIの進歩が続けば、世界における人類の地位を変える。

テクノロジー企業は魔法を生じさせるが、だれも宇宙の支配者を選挙していない。政策を担う者たちは、何が起きているのか、知的に把握していなければならない。

FT November 15, 2017

The Zuckerberg delusion

EDWARD LUCE

ズッカーバーグMark Zuckerbergは、デジタル時代のスーパースターだが、人間的な技量には乏しい人物だ。シリコンバレーの天才も、社会事業家としての政治的な判断には不十分な能力しか示さない。

Facebookがトランプの勝利、あるいは、ロシアの政治介入に何も役割を果たさなかった、というズッカーバーグの主張も、ワシントンで標的となった。たばこ産業に代わる政治論争の対象になっている。

NYT NOV. 15, 2017

Hey, Mark Zuckerberg: My Democracy Isn’t Your Laboratory

By STEVAN DOJCINOVIC

Bloomberg 20171116

The 'Big Five' Could Destroy the Tech Ecosystem

By Conor Sen

最大のテクノロジー企業はどこまで大きくなるのか? 彼らはどこまで経済を支配できるのか? ビッグ・ファイブ(Apple, Alphabet, Microsoft, Facebook and Amazon)の総市場価値は3.3兆ドルに達する。広告、クラウド・サービス、情報テクノロジー。

しかし、もし他の企業がすべて利潤を上げることもできなくなったとき、ビッグ・ファイブもその顧客を失う。かつて金融が、同様の間違いを犯した。経済の生態系を維持するバランスは、ある部門がそれを超えて拡大するときに、破壊される。

FT November 16, 2017

Pharmacies are set for a big dose of Amazon


 アフリカの西洋化

The Guardian, Sunday 12 November 2017

Africa has been failed by westernisation. It must cast off its subservience

Chigozie Obioma


 日本経済の構造問題

FT November 12, 2017

Cash-hoarding companies are still a problem for Japan

JOHN PLENDER

日本経済の直面する最大の構造問題は企業の過剰貯蓄である。それがデフレを長引かせている。高齢化が進む中で、日本では貯蓄より消費が増えた。高齢者への年金や手厚い医療保険があるからだ。同時に、労働人口は減少するから、労働者の賃金は高くなるはずだった。

しかし、家計の貯蓄は減ったが、それ以上に企業の投資が減ったため、デフレは終わらない。賃金の上昇も実現しない。終身雇用が雇用の安定性を支えているが、同時に労働者の要求も抑えている。さらに、パートタイム労働者の増加が交渉力を弱めている。

リスク回避的な企業の高利潤は、記録的な水準の内部留保を生んでいる。日本の消費は弱く、1930年代のような不況を回避できているのは、政府が財政赤字を増やして需要を維持しているからだ。政府債務はますます累積してしまう。

安倍政権は、賃金引き上げを求め、また、企業のガバナンスを改革しようとしている。企業がもっと内部留保を株主に配当すると考えるからだ。しかし、日本企業の行動は容易に変わらない。カルビー食品グループの会長が講演で指摘したように、日本企業のガバナンスで優先されるのは、第1に顧客、第2に被雇用者、第3に地域社会である。日本企業はG7諸国の中で配当率が最も低い。

日本企業の経営は、資本家ではなく、経営者と被雇用者が握ってきた。構造的な貯蓄過剰とガバナンスのスキャンダルは、今後も続くだろう。


 Brexitと闘う

FT November 12, 2017

A free-trading Britain can prosper after Brexit

LIAM FOX

世界経済の地殻変動が起きている。独立の通商政策によって、イギリスは最も有利な位置を取り、世界中の急速に成長する経済にアクセスするだろう。われわれは準備するべきだ。

FT November 13, 2017

Brexit Britain is at Europe’s mercy

GIDEON RACHMAN

イギリスはBrexitに関して破滅に向かう漂流を続けている。この冒険を成功させる実行可能な外交的、経済的、政治的な戦略がないからだ。

EUの姿勢は調整不能で、保守党は現実を無視している。メイの保守党における基盤はこの不愉快な現実を受け入れようとしない。最終的に最も起こりそうなことは、20191月、EUがイギリスに「丸呑みするか、何も無し」という提案をすることだろう。

そうなれば、確実ではないが、イギリスはそれを呑むだろう。それではEU財政に大きな穴が開く、とイギリス側は考えるが、EU27か国で吸収できる、と見ている。来月のサミットでBrexitに突破口がないとなれば、巨大銀行・企業はイギリスを脱出すると一斉に発表するだろう。時間がたつほど、メイ政権の交渉基盤は弱くなる。

イギリスは今も離脱派と残留派が対立しており、保守党政権が崩壊しても、労働党のコービンが何を考えているのか不明である。それはスコットランド国民党や自由民主党との連立に依存する。

EUは、最後の瞬間に、イギリスがBrexitを放棄して元のままとどまることを説得する、ということかもしれない。そのような瀬戸際外交はEU自身のリスクを高める。意図的であれ、偶発的であれ、イギリスを崖から突き落とせば、経済的な損害をEUも封じ込めることはできない。

FT November 14, 2017

Poor leadership is the Achilles heel of the Brexiter cause

JANAN GANESH

NYT NOV. 14, 2017

Mrs. May’s Tribulations

By THE EDITORIAL BOARD

The Guardian, Thursday 16 November 2017

No wonder the north is angry. Here’s a plan to bridge the bitter Brexit divide

Larry Elliott

昨年6月、国民投票の前にもどりたい、と願う夢想家は、イギリスの現状を思い出すべきだ。記録的な経常収支赤字、住宅市場の過熱によって維持された成長、金融危機前の水準を超えることのない工場の生産額、貧困地域の人々を狙い撃ちにする福祉の削減。

ロンドンとその北東部だけが豊かになって、イギリスの南北分断は悪化している。旧工業地帯は、30年、40年前の工場閉鎖になお苦しんでいる。失業率は高く、福祉の給付に依存する者が多かった。彼らがBrexitを強く支持したのは当然だ。

Brexitとは、40年に及ぶ脱工業化と労働市場の非正規化が積み重なった結果であった。2度目の国民投票で残留が支持されるとはだれも保証できない。たとえ今度は僅差で残留が決まっても、貧困地帯の人々は、繁栄するロンドンや大学町に対して、システムの不正を見出し、裏切られたと確信するだろう。怒りと絶望が深まる。投票による平和的な解決策を失った場合、彼らはより平和的でなく手段を探す。

国民投票は人々の生活を改善する計画を示すはずであった。今のところ、右派だけがそれを示している。低税率、規制緩和の、シンガポール型テムズ・モデルだ。そのアイデアのいくつかは正しい。南東部は過密で、北部には住宅があるけれど、粗末で、エネルギーを欠く。北部の統合化から始めるべきだ。燃料費の削減、炭素排出量の削減、地域住民への高賃金雇用を提供する。

北部や新産業に投資を移転するため、新しい国民投資銀行を設立する。ロンドン、オックスブリッジの独占状態を破り、新技術を指導できる大学や産業を支援する。高速鉄道HS2の計画に財政を当てるより、費用を抑えたHS3を建設し、Liverpool, Manchester, Leeds, Sheffield and Hull with Newcastleをリンクすべきだ。労働者の熟練を高める教育システムを拡大する。

大胆な地方分権、すなわち、地方に財源を移し、独自に資金調達する、国民投資銀行は地方に設立する、地方の大都市に議会を設ける。1945年、1979年のように、異常な時期は根本的な変革を促す。イギリス経済を活性化し、南北分断を解消する、北部のためのニューディールが必要だ。

FT November 16, 2017

A bruising Brexit could shipwreck the British economy

MARTIN WOLF

FT November 17, 2017

Britain is deluding itself over single market access

JEAN-CLAUDE PIRIS


 環境保護

NYT NOV. 12, 2017

How to Protect the Atlantic Fishery

By JOHN G. GANS

FT November 13, 2017

Air pollution worsens as India’s political smog thickens

AMY KAZMIN

FT November 15, 2017

A sharp reality check on the climate challenge


 デジタル経済の税制

FT November 13, 2017

The tax reform the US really needs

RANA FOROOHAR

アメリカで税制改革の論争が起きているが、われわれは、ほとんどの富が、どこにでも立地できるような知的財産である時代の、公平で、成長を高める課税方法について議論するべきだ。

大企業はすでに、政治のグローバル化を超えた経済のグローバル化の結果、資本を移転して、最適な税務処理を模索している。このような最適化は金融やハイテク企業にとって最も容易なことだ。なぜなら彼らの資本やデータは移動できるから。彼らがますます経済の大きな部分を占めるにつれて、多くの税収が失われていく。

課税できる利潤と、リアルな経済活動、価値の創造とを、どのように関連付けるべきか、根本的に考えなおすときだ。それは容易に移動できない活動に課税する、すなわち、消費税のようなものになる。

アメリカ企業の利潤の約半分は海外のタックス・ヘイブンなどに保有されている。人々が感じているリベラルな民主主義への不満、大企業が社会で利潤を上げながら、それに公平な形で負担しない、ということが広範な政治の過激化と結びついている。

アメリカでは、法人税を廃止する意見が強い。その場合は、さまざまな税制の抜け穴を防ぐべきだが、政治的に困難だ。他の国でも法人税引き下げが求められるのは、底辺への競争圧力があるからだ。アメリカ企業は領域的な税制への復帰を支持するが、まさに企業や利潤が海外移転されてしまうだろう。

インドのように、テクノロジー企業の自国における販売について追徴金を課す動きもある。シリコンバレーの巨人たちはこれに強く反対する。その弁護人は、利用者の生のデータは石油ではなく、そのままでは価値がない、と主張する。しかし、デジタル・コマースの時代には、まさにデータが価値を持つのだ。大企業のアルゴリズムには価値がない。

各国政府は利用者を代表して、データから大企業が得た利潤から税を取って、自国の利用者に公共サービスで還元すべきだと考えている。しかし、デジタル時代の公平な税制が解決すべき問題は多い。

テクノロジー企業は、大衆が裏切られたと感じるような利潤を得ることは、政治に不都合なだけでなく、自分たちのビジネスを危うくする、と知るべきだ。

NYT NOV. 15, 2017

The G.O.P.’s 20th-Century Tax Plan

By REBECCA M. KYSAR


 グローバル・ガバナンス

FT November 13, 2017

Brazil’s vulnerability is a big opportunity for Chinese investors

Joe Leahy, Andres Schipani and Lucy Hornby

PS Nov 14, 2017

Democracy Beyond the Nation-State

KEMAL DERVIŞ

グローバリゼーションのトリレンマ論は、政府の多くの次元について考えていない。国民国家以外にも、都市や地域、国際機関において、政府は存在している。トリレンマの原因は、グローバリゼーションのもたらすマイナス効果への反動と、政府に対する市民の疎外感、効果的に影響することができない、という不満である。政府のレベルに応じて、異なったトリレンマが現れる。

PS Nov 16, 2017

The Pandora’s Box of the Digital Age

CARL BILDT

世界はサイバー戦争による終幕を迎えるのだろうか? 世界はますますインターネットのインフラに依存するようになっている。それは新しい脆弱性を広めている。

その脅威は核兵器と異なる。核兵器は、少数の、高度な教育を受けた専門家しか利用できない、複雑で、費用の掛かる武器であった。しかし、サイバー・ウェポンは開発にも保有にも費用が掛からず、その使用は容易である。その結果、たとえ弱小な、破たんした国家でも、重大なサイバー・ウェポンを保有することが可能である。

しかも、サイバー戦争の技術は急速に普及してしまう。その威力はすでにイギリスの国民保険制度に侵入したウィルス“WannaCry”が示した。北朝鮮はすでに、世界の多数の標的にサイバー攻撃を行ってきた。ほかにもロシア、中国、イスラエルなどが、その開発を進めている。

核時代には抑止が行えたが、サイバー戦争の時代には抑止が有効ではないだろう。その競争には勝者がいない。

FP NOVEMBER 16, 2017

Are China’s Chickens Contaminating America’s Plates?

BY YANZHONG HUANG

この夏、静かな、しかし、潜在的には膨大な、米中経済関係における変化が起きた。その中心は、チキンである。

中国のチンタオからロサンゼルスまで、食用チキンが空輸される時間はわずか11時間である。しかし、それがアメリカに再上陸するまでには14年かかった。それは、政治と保護主義、公衆衛生の関心が混じった遍歴物語であった。


 ラッカ

PS Nov 13, 2017

A Wary Return to Raqqa

YASSIN AL-HAJ SALEH


 ドイツの動揺

PS Nov 13, 2017

Angela Merkel’s New Germany

MARCEL FRATZSCHER

FT November 14, 2017

Poland leads the way in normalising the far right

MARTIN SANDBU

FT November 16, 2017

When German power meets Polish nationalism

PHILIP STEPHENS


 都市再生論

Bloomberg 20171113

Richard Florida Now Sees the Downside of Urban Revival

By Noah Smith


 ジンバブエのムガベ失脚

FT November 15, 2017

The messy endgame that threatens Zimbabwe

The Guardian, Wednesday 15 November 2017

After Mugabe’s detention, we’re hoping Zimbabwe’s democracy has been saved

Reason Wafawarova

ジンバブエの状況は、なお不透明である。ムガベ大統領は自宅軟禁状態に置かれていると言われる。しかし過去24時間御出来事はこの国の未来に長期的な影響を与えるだろう。

軍は、ジンバブエ民族同盟愛国戦線Zanu-PFの政策決定を、事実上、停止させた。また、国民のほとんどが受け入れない、ムガベ夫人の後継指名を阻止した。

軍は、この国のガバナンスを回復し、投資家の信頼と国際関係の改善につながる移行政権を樹立したいと考えている。しかし、ジンバブエにはZanu-PFのほかに野党が存在しない。

The Guardian, Wednesday 15 November 2017

The Guardian view on Zimbabwe: the Crocodile bites Mugabe

Editorial

FT November 15, 2017

Zimbabwe’s military takeover fits the narrative of its patriarch

DAVID PILLING

FP NOVEMBER 15, 2017

Zimbabwe’s Military Says There’s Nothing to See Here

BY TY MCCORMICK, TENDAI MARIMA

軍はこの機会にZanu-PFの悪辣な部分を排除できるのか?

FT November 16, 2017

Zimbabwe army seizes power and holds Mugabe

Joseph Cotterill in Johannesburg, Tony Hawkins in Harare and David Pilling in London

Bloomberg 20171116

Zimbabwe's Coup Is Nothing to Celebrate

By Leonid Bershidsky

ジンバブエのムガベRobert Mugabeは、ソ連のスターリンや中国の毛沢東よりも長く、指導者として生き延びた。UCLAの政治学者Daniel Treismanは最近の論文で、多くの独裁者が失脚するのは、その人間的な弱さが理由である、と述べている。すなわち、慢心、必要のないリスクに向かう、滑りやすい坂道に至る衝動の開放、間違った後継者の選択、生産的ではない暴力の行使。93歳のムガベも例外ではない。

37年間のムガベの権力を、ほぼ一貫して、Emmerson Mnangagwaは支持してきた。彼はムガベと同じ、イギリスからの独立戦争の元軍人だ。ジンバブエ最初の防衛大臣として、ムガベの支配に逆らう部族を鎮圧するために特殊部隊を動かした。こうした軍隊が、親族の葬儀で村人たちに踊りを命じ、ムガベを支持するスローガンを唱えさせ、国民解放の指導者から独裁者への変身をもたらした。

ムガベが自分の妻Grace Mugabeを後継者に指名し、Mnangagwaを解任したことに、Zanu-PFと結びつくジンバブエ防衛軍ZDFが公開の式典でも居眠りする独裁者に従わず、革命となった。しかし、何ら祝福できるものではない。

Bloomberg 20171116

A Half-Hearted Coup, Extending Zimbabwe's Reign of Terror

By Eli Lake


 貧困

NYT NOV. 15, 2017

Assisting the Poor to Make Bail Helps Everyone

Tina Rosenberg


 大学院

FP NOVEMBER 15, 2017

7 Questions to Ask Yourself Before Applying to Grad School

BY MICAH ZENKO


 ロシア革命

FP NOVEMBER 16, 2017

Russia Wouldn’t Even Exist Today Without the Bolsheviks

BY NEIL A. ABRAMS


 クルドの解体

FP NOVEMBER 16, 2017

The Kurdish Explosion Is Unleashing Demons

BY ADAM ERELI

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The Economist November 4th 2017

Do social media threaten democracy?

Social media and politics: How the world was trolled

Trafficking women: Fear on the border

Luther: The stand

Zimbabwe’s deepening crisis: Surviving under Mugabe

Free exchange: Who is my neighbor?

(コメント) ソーシャル・メディアが民主的な政治を侵食し、その根本を破壊してしまう危険について、Brexitやトランプが示しました。何が変わったのか、どのような対策が必要なのか? ルターと宗教改革に関する特集記事も、関係ある論点を刺激します。

中国の国境付近で行われている、女性の拉致、人身売買が描かれています。それは一人っ子政策の結果だけでなく、貧富の格差拡大、豊かな都市への人口移動も関係しています。ジンバブエの独裁者が、なぜこれほどの混乱を経ても権力を保持しているのか? 経済と政治との乖離について、あるいは、ここでもリベラルなモデルは破産しています。

カタルーニャ独立の混乱が示す、豊かな地域の叛乱について。市場だけでなく政治組織・統治の効率でも、規模の経済は重要です。小さな単位ほど住民の意向が反映されますが、安全保障上の問題や輸送の途絶もしくは容易さが、政治の範囲を修正します。

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IPEの想像力 11/20/17

急に寒くなってきました。ようやく帰宅して、夕飯を食べながら、BS時代劇「赤ひげ 第3回 最期の告白」を観ました。山本周五郎の作品には、圧倒的な人間の存在感を描いて、沈黙するしかない話があります。このテレビドラマは、それをよく映像として描いている、と思いました。

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経済学の、純粋で、合理的で、均衡や最適解をモデルにした、現実を予測する思考方法は、現実の政治の、余りにも陰惨で、混沌とした、常軌を逸した権力争い、醜悪で、残酷な、権力者たちの振る舞い、暴力的な言葉と、まったくの異質の世界、違う星のイメージです。

グローバルな超資産家が人類の半数よりも多くの富を所有し、しかも、グローバルな企業とともにタックス・ヘイブンを利用して課税を免れている一方で、金融危機や衰退地域において失業・貧困に長く苦しむ人々は、「システム」の不正義を感じています。中世を打ち破った宗教改革の指導者、マルティン・ルターであれば、超資産家やグローバル企業の玄関に、質問状を打ち付けたことでしょう。

「私は問う。聖書に基づく正しい理由のほかには、何者にも屈しない。」

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The Economistの記事は伝えています。

中国との国境に近いベトナムの村で、若い女性がバイクの若者に誘われ、食事をしたり、カラオケを楽しんだりした後、他のバイクも加わって、男たちは彼女を、国境を超えて連れ去りました。彼女は他の誘拐された女性たちと一緒に閉じ込められ、中国の農家や、都市の裕福な家族に売られる、と告げられます。それを拒めば、彼女たちはそのまま山中に軟禁されて暮らすことになるのです。

ILOの調査によれば、世界で約3500万人の強制された結婚が行われています。特に中国では、男子を生むことが重視されるあまり、男女比の偏りがひどく、2020年までに3000万人から4000万人の男性には結婚する女性がいない、と予想されます。その結果、結婚相手を見つけるビジネスが繁栄し、貧しい近隣諸国から女性を誘拐・拉致する者もあらわれるのです。

安価なスマートフォンが普及し、ネットワークの広がりが、誘拐ビジネスを容易にしています。田舎の町で犯罪者たちが稼ぐ額は、女性1人について50ドルほどですが、中国の警察による報告では、最終目的地のベトナム人女性の価格は6万元から10万元(9000ドルから15000ドル)になります。彼女を購入した家族には、ベトナム人であることがわからないように、少数民族の出身だ、と教えています。

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IPEの講義で、私は、現実の戦争が解決できるのか、と自問しながら話します。抽象的で、合理的な経済学の説明と、現実の暴力や、醜悪な権力者の姿とは、決して重なりません。しかし、どちらも政治経済秩序の形成に加わり、さまざまな偶発的な事情や歴史的な確執、障壁とも一体化しているに違いありません。

戦争や金融危機は、強者がその条件を押し付けるというより、新しい条件で争うために破壊の限りを尽くして、安定性を回復するに至る、社会契約の改訂作業なのです。もし地方から若い女性たちが、都市の豊かな家族に招かれて、家内サービスや老人の介護に生業として従事するなら、そして、グローバルなインフラ建設の現場に国境を超えて若い男性労働者たちが出稼ぎに向かうとしたら、新しい社会契約の条項を挙げて、その権利や平等な機会について、読み聞かせる者がいるべきでしょう。

「私は問う。人類の憲章に基づく正しい理由のほかには、何者にも屈しない。」

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