(前半から続く)
● セクシャル・ハラスメント
The
Guardian, Friday 3 November 2017
On sexual
harassment we men need to be clear: the problem is not women, it’s us
Jonathan Freedland
● 内戦終結
Bloomberg 2017年11月3日
Colombia's
Peacemakers Are Losing Their Mojo
By Mac Margolis
FT
November 7, 2017
Sri Lanka
counts high cost of war and peace
Simon Mundy in Colombo
● 北朝鮮危機の解決策
NYT NOV.
4, 2017
Slouching
Toward War With North Korea
Nicholas Kristof
Bloomberg 2017年11月6日
China Has
Upper Hand, While U.S. Is Hobbled by Trump
By Albert R. Hunt
FT November
6, 2017
China,
Trump and the North Korean nightmare
GIDEON RACHMAN
米中サミットで北朝鮮危機の解決策を話し合っただろう。トランプ大統領が北朝鮮に携行しているが、もし軍事衝突が起きれば、それは中国にも深刻なリスクとなる。核兵器の使用、大規模な難民流入、地域のバランス・オブ・パワーが大きく変化する。
中国の公式の立場は、凍結と凍結の交換条件、である。北は核兵器の開発を凍結し、アメリカはピョンヤンを脅す軍事演習を凍結する。それは好ましいアイデアだが、どちらも凍結するつもりはない。その現実性がないことを認めて、北京でも議論が起きている。
1.アメリカの強硬な制裁要求を拒み、北との関係を修復する。しかし、北の核武装は中国の戦略的な利益を損なっている。特に、韓国や日本の核武装を誘発する。
中国の専門家は、北の核実験場を、日本の福島原発事故にたとえて、核汚染のリスクを重視する。軍事衝突で40から60の核弾頭を使用すれば、その影響は深刻だ。
2.アメリカの軍事行動に協力する。アメリカの軍事行動を傍観することは、戦後の朝鮮半島に関する発言力を失う恐れがある。むしろ米軍に協力し、台湾や南シナ海など、地域安全保障に関するアメリカの譲歩を引き出すべきだ。
しかし、北の報復能力を軽視することはできない。北の軍事行動を封じるため、電子パルスによる妨害作戦が検討されている。しかし、まだ使用された実績がない。
3.中国軍は北の国境から50キロの範囲まで占拠する。国境を守り、難民流入を防ぐ。アメリカの軍事行動を強く嫌う韓国と日本では、アメリカの影響力が低下する。他方、中国は無能な傍観者として非難される。
アメリカにも、中国にも、北朝鮮問題の好ましい解決策はない。
NYT NOV.
6, 2017
Is South
Korea’s Alliance with the United States Worth It?
By SE-WOONG KOO
1980年代後半、私が9歳のとき、家族は駐韓米軍の3人の兵士を食事に招待した。韓国の家族が感謝の気持ちとして米軍兵士たちをもてなすことは普通のことだった。多くの韓国人は、「アメリカは韓国の最も古くからの、最も熱烈な友人である。われわれの防衛にはアメリカが欠かせない。アメリカ人への尊敬の念は当然だ」と教えられて育った。
ワシントンは、韓国に米軍が駐留するのは事前ではない、ということをよく知っている。アメリカは防衛してくれるが、それは劣った同盟国がアメリカの強い影響力を受け入れる限り、である。このアメリカへの依存、自分たちの防衛や外交を見失い、アメリカに執着することは、韓国保守派の特徴となった。
しかし、トランプ大統領は繰り返し、ピョンヤンを戦争によって脅している。アメリカ国民は韓国の犠牲がどれほど大きいかということに配慮しない。最近のアメリカ議会の報告書は、朝鮮半島における軍事衝突が最初の数日で30万人に達する、と推定した。
ドイツのメルケル首相と同様、韓国も自分たちの運命を自分で決めるときだ。
NYT NOV. 7,
2017
How Trump
Should Talk to North Korea
By SUZANNE DiMAGGIO and JOEL S. WIT
アメリカが軍事的選択肢を議論するほど、北朝鮮は戦争の決意を強める。双方は会談に参加して、互いの考えを示すことだ。どこに妥協の余地があるか、何は受け入れ不可能か、明確にすることは可能である。理想的には、2015年にイランとの核合意をまとめたように、交渉を始めるための準備になる。
China
Daily 2017-11-07
US and
DPRK should come to the table to resolve crisis
NYT NOV.
8, 2017
Why
Relying on China to Stop North Korea May Not Work
By MARK LANDLER and JANE PERLEZ
FT
November 9, 2017
The
diplomatic route to a North Korean solution
● イギリスの消滅
NYT NOV.
4, 2017
No One
Knows What Britain Is Anymore
By
STEVEN ERLANGER
イギリスは、今、グローバルな大洋をさまよう中規模の船である。どこに向かうのか、誰が舵を取っているのか、マストが燃えているのに、船長の命令を聞く者がいない。サッチャーの頃、イギリスは国際的な舞台で重要な地位にあったが、今は無意味な国だ。プラグマティズムや常識、政治的安定性を誇ったイギリスは、どこにも見えない。
Brexit後、イギリスは自分たちの国を見失った。1つの物語が国の姿を示すことはできない。ブレアの頃、EUに接近し、コスモポリタンを誇ったイギリスに、自分の国であるとは思えなかった人々が、Brexitで復讐したのだ。
FT
November 6, 2017
Revoke the
Brexit blueprint, not the decision to leave
WOLFGANG MUNCHAU
FT
November 9, 2017
Brexit has
broken British politics
PHILIP STEPHENS
● 共和党の減税案
FT November
6, 2017
A
Republican tax plan that will help the rich and harm growth
LAWRENCE SUMMERS
NYT NOV. 8, 2017
Leprechaun
Economics and Neo-Lafferism
Paul Krugman - New York Times Blog
NYT NOV.
9, 2017
Republicans
Wonder How to Make the Rich Richer
Thomas B. Edsall
● ヴェネズエラ
FT
November 6, 2017
The
geopolitics of Venezuela’s debt
● 中国の新しい経済学
FT
November 6, 2017
Does
China’s new policy regime threaten the global upswing?
Gavyn Davies
FT
November 6, 2017
Trading
economics: a new theoretical system
Wang Zhenying
正統派の経済学、「経済人」の仮説に代わって、中国は、異なる経済システムに帰属する異なる行動パターンを前提するTrading
economicsを展開するだろう。
FT
November 8, 2017
Alibaba
sparks China’s consumer revolution
JOHN GAPPER
● トランプの内政と外交
FT
November 6, 2017
Globalisation
marches on without Trump
Shawn Donnan In Washington
各地の地域協定が加速する中で、アメリカだけは離脱し、2国間協定の交渉を求めている。
FP NOVEMBER
6, 2017
Trump Will
Be Haunted by the Ghost of TPP
BY PHIL LEVY
グローバリゼーションを敵視して国内の選挙に勝つことと、通商政策を注意深く分析することとは、まったく別である。トランプは、TPP離脱の代償をアジア歴訪で観るだろう。そこで受ける挑戦とは、次の4つである。
1.アメリカがアジアに関与する政策は、通商だけでなく、外交と安全保障にも関係している。オバマ政権は、アジア「旋回」や「リバランス」として、アジア地域を重視した。その基軸をなすのがTPP合意であった。それを否定したトランプ政権は何を強調するのか? アメリカがAPECに外交的な席を残したことは評価できる。しかし通商関係の課題には答えない。
2.TPPがないトランプ政権は何を目指すのか? NAFTA再交渉の姿勢を観る限り、サンセット条項、原産地規制、紛争処理メカニズム、いずれも好ましいものではない。
3.トランプ大統領を除いて、各国の誰もが2国間交渉のマイナス面を警戒する。
4.アメリカの信頼は回復できるのか?
SPIEGEL
ONLINE 11/06/2017
Moral
Emptiness
Donald
Trump and the Erosion of American Greatness
An Essay by Roger Cohen
私が最も懸念することは、トランプが本当に戦後秩序を単にアメリカをだますための手段とみなし、プーチンのマッチョ型権威主義体制を好み、大国間の勢力圏構想を推進するのではないか、ということだ。それは第1次世界大戦前の世界である。
PS Nov 6,
2017
The Plot
Against America’s 99%
NOURIEL ROUBINI
トランプは富裕層に奉仕するポピュリストであり続けている。オバマケアの撤廃に失敗しても、大幅減税には成功するかもしれない。彼は、選挙でだました支持者たちを、裏切ることも何ら躊躇しない。減税の結果は税収の落ち込みで財政赤字が爆発することだ。それは中産階級や労働者たちを苦しめる。
FT November
7, 2017
Donald
Trump’s zero-sum folly threatens trade in Asia
SPIEGEL ONLINE
11/08/2017
The
Undrained Swamp
Trump's
Washington, One Year On
By Christoph Scheuermann
PS Nov 8,
2017
Europe in
the Time of Trump
GUY VERHOFSTADT
FP
NOVEMBER 8, 2017
Happy
Anniversary to America’s Most Corrupted Election
BY SUSAN HENNESSEY, BENJAMIN WITTES
FP
NOVEMBER 8, 2017
America
Will Survive Trump, But It Won’t Ever Be the Same
BY MAX BOOT
Yale
Global, Thursday, November 9, 2017
Resentment
and Betrayal: Will Trump’s Base Hold?
David Dapice
● ロシア革命100周年
NYT NOV.
6, 2017
What If
the Russian Revolution Had Never Happened?
Simon Sebag Montefiore
FT
November 7, 2017
The
Russian Revolution: what economic lessons does it reveal?
Sergei Guriev
血みどろの内戦、私有財産制の廃止、国家所有と指令経済の誕生、市場の廃止と価格統制。ロシア革命は今から100年前に起きた。
政治経済史における最大の実験の1つであるロシア革命は、3つの重要な教訓を残した。1.テロによる工業化は非効率である。2.テロを欠いた指令経済は機能せず、破たんする。3.政治的競争を欠けば、ガバナンスは硬直化して、必要な改革を実行しない。
確かに、スターリンは工業化を達成し、第2次世界大戦でヒトラーを打ち破った。中央集権化した経済管理のおかげで、わずか10年のうちに、農場から工場へ労働力の25から30%が移動した。しかし、この労働力移動の利益は、農業においても工業においても生産性の破壊を埋め合わせるものではなかった。テロは資源の移動において野蛮かつ効果的であったが、資源を効率的に組織できなかった。
スターリンの体制は、その弾圧と飢饉に言及しないとしても、人工衛星や核兵器でアメリカと競争したが、消費水準の引き上げや技術革新をもたらさなかった。そのためには、効果的な誘因をともなう、競争的市場が必要だった。János
Kornaiが示したように、集団的生産システムは「ソフトな予算制約」に対して脆弱であった。社会主義経済のすべての国有企業が、非効率であっても倒産せず、経営者たちは国家に救済されたのだ。
国民の生活水準を高めるために、モスクワは石油輸出と債務に依存するようになった。しかし、破たんが近づいても、ソ連の指導者たちは改革を実行しなかった。政治的競争や自由な論争を欠いたソ連の指導部は、その能力も決意もなかったのだ。
今なお様々な社会主義の試みが主張されている。彼らは100年前の実験を思い出すべきだ。
SPIEGEL
ONLINE 11/07/2017
100 Years
Since the October Revolution
Russia's
Unloved Anniversary
By Christian Esch
VOX 07
November 2017
The Soviet
economy, 1917-1991: Its life and afterlife
Mark Harrison
NYT NOV. 7,
2017
What
Russian Revolution?
By SERGE SCHMEMANN
1917年のロシア革命から100年目に、ロシア政府は公式の扱いに苦慮している。歴史を政治的に利用することはありふれたことである。ロシアでは、長く、歴史が政治とイデオロギーを説得する事業の一部であった。
しかし、1991年にソ連が終わったことで、歴史の漂流が始まった。絶対主義の王制を倒した全体主義的な独裁体制の崩壊は、何を祝福し、何を非難し、何が輝くべきか、ロシア人に難しい選択を残した。「自由主義」。「民主主義」、「選挙」は、100年前と同じように、現在も論争の的である。
プーチン大統領は、ドイツとの停戦のために領土を失ったレーニンを非難し、それを回復したスターリンを称賛する(その後、ゴルバチョフとエリツィンが再び失った)。最後の皇帝、ニコラス2世は弱い指導者であり、愚かにも官僚制度を損ない、民主化の波を利用し損ねた。
「革命」という概念は、ソビエト時代には神聖化されたが、1990年代の混乱と貧困化を経て、劇的に変わった。ロシア人御圧倒的な多数が、それを「何であれ、国家が許してはならないもの」とみなす。それはプーチンの考えでもある。ウクライナなどの近隣諸国で起きた「カラー革命」もそうだ。
プーチンが描く歴史とは、偉大かつ強大なロシア国家の連続である。皇帝であれ、ボルシェビキであれ、何世紀にもわたって君臨した。革命とは、外国にそそのかされた権力者の失敗である。プーチンは革命よりも和解を強調する。「社会、政治、市民のコンセンサスを強化し、われわれは現在にまで至った。」 ロシア革命を祝う公式行事は何もない。
Bloomberg 2017年11月7日
The Next
Big Socialist Experiment Won't Start in Russia
By Leonid Bershidsky
VOX 09
November 2017
From
Soviets to oligarchs: Inequality and property in Russia, 1905-2016
Filip Novokmet, Thomas Piketty, Gabriel
Zucman
● パラダイス・ペーパー
NYT NOV. 6,
2017
The Clash
of Social Visions
David Brooks
The
Guardian, Tuesday 7 November 2017
Tax rogues
like Bono are harming the world’s poorest people
Philip Goff
The
Guardian, Tuesday 7 November 2017
Tax
avoidance may be legal but it’s bankrupting our social order
Owen Jones
「パラダイス・ペーパーが暴露したことは合法である。何が問題なのか?」 彼らは課税を悪者にする。国家を縮小し、自由市場の「ユートピア」を築く。実際には、それが多数の庶民に対するディストピアだ。
高度な抜け穴を使って課税を回避することが産業となっている。個人も、企業も、十分に意識して決めたことだ。Lewis
Hamiltonは、国営のNHSによって守られた病院で誕生した。国家が多大の貢献を行った学校で学び、一生を通じて、国家の建設した道路や鉄道を利用する。国家が運営する警察と消防がその生活を守っている。国家の支援を受けた大学で学んだ会計士を雇い、課税の抜け穴を探させた。彼がその感謝のために国家に与えたものは、1650万ポンドのヨーロッパ税回避する、という選択であった。
こうした課税回避は、法律の意図を破壊できるような超富裕層にだけ許されている。国家の投資するインフラ、教育、医療、研究開発、法と秩序、銀行システムがなければ、どのような個人も、企業も、利益を出せないだろう。脱税者たちは、彼らが貢献することを拒む国家の犠牲で、繁栄している。
パラダイス・ペーパーは、再び、われわれの社会秩序がひどく腐敗し、不正義で、不道徳で、破たんしていることを示している。社会の頂点が守るルールは、他のすべてのものが守るルールと異なっている。西側世界の誰もが緊縮財政に苦しむが、醜いほどの裕福なエリートたちは資産をタックス・ヘイブンに隠している。このシステムを修復するのではなく、すべてを交換するべきだ。民主革命は迫っている。恥知らずな、退廃的エリートたちは、それが自ら招いたものであると知るべきだ。
The
Guardian, Tuesday 7 November 2017
End these
offshore games or our democracy will die
Aditya Chakrabortty
大衆がエリートを攻撃している、と言うが、大衆を攻撃しているのはエリートたちだ。彼らが病院や学校に必要な税収を拒んでいる。これが反エリートの政治の背景である。
NYT NOV. 7,
2017
The
Paradise Papers Hacking and the Consequences of Privacy
By
JAKE BERNSTEIN
● 極右との対話
PS Nov 7,
2017
Speaking
to the Far Right
IAN BURUMA
最近の極右は、ナチスやファシストの記憶と結びつくような、社会のマージナルな集団ではない。特に、ヨーロッパの若い極右メンバーは、しばしば、テイラー・メイドのスーツを着て、フランスやイタリアの戦前のファシスト・ダンディーを思わせる。彼らは群衆の前で叫ぶのではなく、ラジオやテレビのスタジオで和やかに振る舞い、ソーシャル・メディアを巧妙に駆使する。ユーモアのセンスを示す者さえいる。
極右のメンバーをthe
Hannah Arendt Centerが招いて講演させたことに、これを非難する声明に、アメリカの著名な研究者50人以上が署名した。私は、招待するのは間違っていないと思う。極右の声を聴くべきだ。表現の自由を守り、彼らの主張をよく理解した上で、反対することができる。
The
Guardian, Wednesday 8 November 2017
Why
interviewing Richard Spencer was a risk worth taking
Gary Younge
● モディの改革
FT
November 8, 2017
Modi’s
reforms have robbed India of its economic prowess
Rahul Gandhi
Bloomberg 2017年11月8日
Making the
Best of India's Cash Bust
By Mihir Sharma
FT
November 8, 2017
Modi’s
reforms have robbed India of its economic prowess
Rahul Gandhi
1年前、モディNarendra Modiは、インド準備銀行を経ずに、わずか数時間の予告で、一方的な高額紙幣の廃貨を行った。一夜にして、流通貨幣額の86%が奪われたのだ。首相はその決定を、汚職の一掃、と説明した。12か月を経て、彼が一掃したのは、好景気だけだった。
中国の政治組織は情報技術と結びついて工場を改造した。1990年代、中国の製造業は世界の工業生産額のわずか3%であったが、今では4分の1に近い。そのコストは西側のどの工場よりも低い。その生産規模は、反対派、労働者の権利、透明性の障害を許さない。公式の統計で、中国が1日に生み出す新雇用は5万人に達し、モディ治下のインドはわずか500人だ。
しかし中国人民は極端なコストを支払っている。表現の自由はなく、反体制派は弾圧される。これはインドの模倣すべきモデルではない。
インドにとって、中国の雇用創出に対抗する道は、ミクロの、中小企業が生み出すネットワークである。彼らはインドの革新能力、スキル、知識を担い、中国製造業の機械を理解している。彼らのネットワークを支援し、資本と技術を結び付けるべきだ。ところがモディ政権は、間違った廃貨や税制改革で、彼らの力を奪ってしまった。
世界のリベラルな民主主義にとって、自分たちの価値を保持しつつ、21世紀の連結性の中で中国製造業と競争することが、課題となる。
● 電気自動車
FT
November 8, 2017
Electric
cars’ green image blackens beneath the bonnet
Patrick McGee in Frankfurt
PS Nov 8,
2017
Putting a
Price on Rainforests
LORENZO BERNASCONI
● 日本の成功
PS Nov 8,
2017
Japan’s
Demographic Lessons for Europe
DANIEL GROS
労働年齢人口が年1%も減少し、デフレを続けながら、日本が1%の成長を実現したことは素晴らしい成果である。ヨーロッパはそこから教訓を学ぶべきだ。
● イランの外交
NYT NOV.
8, 2017
Iran’s
President Defends Yemeni Rebel Attack on Saudi Capital
By THOMAS ERDBRINK
イランのロウハニHassan
Rouhani大統領は、地域紛争に関する立場を明確にした。サウジアラビアが、イランによる戦争行為だ、と非難する、イエメン武装勢力によるミサイル発射に関して、彼らを擁護した。
サウジはイエメンを「絶え間なく爆撃している。」 ロウハニ大統領はさらに述べた。「この爆撃に対して、イエメン国民はどんな反応を示せるのか? 彼らに武器を使うのな、というのか? それなら、サウジが爆撃を止めて、イエメン国民からの積極的な反応を観てはどうか?」
国連は、イエメン紛争を、世界最悪の人道危機とみなしている。2014年以来、イランが支援するフーシ派反政府軍と、Abdu
Rabbu Mansour Hadi大統領の政府を再建するためサウジアラビアが、戦闘を続けている。最近のサウジ皇太子Mohammed
bin Salmanの行動は、地域を冷戦状態に向けて動かした。
レバノンのハリリSaad
Hariri首相が、突然、リヤドで辞意を表明した。生命の危険を感じる、という。ロウハニ大統領は、歴史において、他国の政府に辞任を強制した例を知らない、とサウジアラビアを非難した。
ハリリ辞任の後、サウジアラビア国内の高官が何人も逮捕され、32歳のサルマン皇太子が権力を確立した。
FP
NOVEMBER 8, 2017
The Saudis
Go for Broke Against Iran
BY DAVID KENNER
FT
November 9, 2017
Iran
appears confident it can deal with a hostile US
Ahmed Rashid
テヘランは、熱烈なナショナリズムと経済取引の活気に満ちている。
サウジアラビアやアメリカは、イランがシーア派の三日月地帯を形成することを恐れる。しかし、イランからは全く異なって見える。これは、攻撃的なアメリカやサウジアラビアに対する自衛の行動なのだ。穏健派のロウハニは革命防衛隊へのパワーの集中を抑えたいと考えている。トランプ政権による核合意の見直しは、ロウハニを脅かすものだ。
********************************
The Economist October 28th 2017
A tsar is born
Japan’s constitution:
Abe’s next act
E-commerce: There be
giants
Vladimir Putin: Enter
Tsar Vladimir
E-commerce: The new
bazaar
The UN in conflict zones:
Looking the other way
(コメント) プーチン大統領の再選は疑いない.しかし,皇帝として君臨するプーチンのロシアには,その後継者がおらず.正当性の危機も生じてくるだろう,と考えます.
安倍首相が再任された結果として,日本は憲法改正に向かいます.記事は,日本が憲法9条を書き換え,自衛隊とその国際貢献を合法的に議論する状態を歓迎します.軍国主義の復活だ,と中国や南北朝鮮が非難するのは不当である,と.ただし,そのためにも安倍は靖国参拝をやめ,過去の日本が犯した残虐行為を非難し,彼の祖父,岸信介と距離を取るべきだ,と.
国連の平和維持活動が繰り返して失敗していることを,ロヒンギャの難民流出について考察します.しかし,Amazon,Alibabaのeコマースを扱う特集こそは,私たちの未来について,大きな意味を持つ問題群の整理です.
******************************
IPEの想像力 11/13/17
台湾は,トランプ大統領が北京で習近平主席と取引することを恐れたそうです.北朝鮮の核危機と貿易不均衡を解決してくれたら,台湾のことは目をつむる,と取引するのではないか?
トランプのアジア歴訪,それと並行して起きたサウジアラビアなど,中東の政変は,世界が少数の大国による,強権的な指導者たちの秘密取引によって動く時代に変わったことを実感しました.富とパワー(支配体制+軍事力)の在り方が,その目標や理想ではなく,現実によって変わったのです.
****
The
Economistのロシア論が興味深いです.ロシア革命100周年をロシアは何ら公式行事で祝うことがなかった,と言います.「革命」というのは混乱であり,偉大なロシアの歴史を逸脱させた外来思想や戦争の派生物だからです.
21世紀のツァーとして,プーチンの権力に正当性を与えたのは,1999年のチェチェン戦争でした.モスクワその他の都市で爆弾テロがあり,チェチェンの反政府勢力が責められたとき,当時の首相であり,ボリス・エリツィンが後継者に指名したプーチンに人々は注目したのです.モスクワの爆破現場に立ったプーチンを観て,自分たちの指導者と認めました.
・・・プーチンは,これまでのツァーのように領土を拡大し,破壊と無秩序の後に,ロシアを解体から救済し,人民の団結をもたらした.彼は1990年代を,西側スタイルの近代民主主義や自由市場に向けた移行としてではなく,16世紀後半から17世紀前半にそうであったような,反乱,侵略,飢饉の困窮時代と見なした.
・・・エリツィンが彼に権力を手渡す2日前,演説において,プーチンは国家の絶対的な優位を主張した.その国家とは,Stateではなく,ロシアの古い国家Gosudarstvoであった.それgosudarとは君主と臣下の関係であり,すべての権威と秩序をツァーの延長と見なす.元KGBのスパイであったプーチンは国家を,彼に隷属することを誓った富裕層とその家族からなる貴族制によって支配した.石油,天然ガスの国有企業,銀行業を経営するのは,プーチンの親しい友人の子どもたち,そして元KGB職員たちである.
破滅的な時代から復活した強権指導者のイメージ,というのは,「恥辱の200年」を断ち切って復活を遂げた中国に君臨する習近平や,程度は違うとしても,バブルと衰退の20年,震災と原発事故,デフレなど,弱体な非自民党の時代と決別して,強い日本を復活させたと自負する安倍晋三にも重なります.
****
The
Economistのe-commerce論も興味深いです.ヘッジファンドで働いた後,Jeff
BezosがそのアイデアをAmazonで始めたのが1997年,1964年生まれのJack MaがAlibabaを始めたのは1999年です.学生たちには驚きでもないのでしょうが,彼らと同世代の私には衝撃です.
e-commerceは,ネットの書店や,へき地の消費者に買い物を楽しめるホームページを開いただけではありません.さまざまな産業分野にわたって,物流システムやインターネット決済システムを作り変え,既存の寡占大企業を革新的な中小企業群が瞬く間に追い上げるプラットフォームを提供したのです.Amazonが,創業以来ずっと赤字である,というのも驚きです.将来の利潤を期待して流入する投資の流れは,止まることがないのです.
それは単なるアイデアというより,巨額の投資と産業・景観の大改造によって出現します.技術革新への投資,企業買収,倉庫や物流を確保するための投資,など.都市や地球の姿を変えつつあります.双方のビジネスモデルが融合しつつあるとはいえ,Amazonがヘッジファンドによる諸産業への爆発的な革新,Alibabaが多数の生産者と消費者とを結びつける競争的なプラットフォーム,という印象を持ちました.
****
インターネットの生み出すグローバル企業はBig
Brother(オーウェルのディストピア小説に描かれた監視社会の最高権力者)でもあり,ビッグデータを駆使して,消費者たちが買いたいと想う前に買いたい商品を作り,望ましい倉庫に配置します.
トランプが登場したことで,プーチン,サルマン皇太子,習近平,そして,もっと多くの中小の独裁的権力者が時代の主役となりました.AmazonやAlibabaでも,権力者たちの脅迫から身を護る防具やサービスは売っていないでしょう.しかし,資本主義の革新的能力,中小の生産者がグローバル市場につながるダイナミズムは,権力者たちの密約や核武装をも超えて,社会秩序の基礎を作り変えると思います.市民をめぐる,e-commerceと独裁者との戦いが始まります.
******************************