IPEの果樹園2017
今週のReview
10/30-11/4
*****************************
カタルーニャの反乱 ・・・グローバリゼーションのトリレンマ ・・・中国共産党全国大会 ・・・イスラム国の敗退 ・・・北朝鮮危機 ・・・日本の選挙 ・・・ITと新しい社会契約 ・・・労働集約型産業のロボット化 ・・・民族自決権 ・・・狂信者に愛を ・・・希少通貨条項 ・・・アメリカ連銀議長の指名
[長いReview]
******************************
主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● カタルーニャの反乱
The Guardian, Friday 20 October 2017
The Catalan case is persuasive. But
that way lies ruin
Natalie
Nougayrède
The Guardian, Sunday 22 October 2017
Spain needs responsible politicians.
Instead, they are stoking insurrection
Victor
Lapuente Giné
The Guardian, Monday 23 October 2017
The Guardian view on the Catalan
crisis: wanted: an honest broker
Editorial
FT October
24, 2017
Catalonia
and Madrid drift towards extremes
Miriam González Durántez
スペイン政府はカタルーニャ地方から権力を奪い返すことを決意した。法的には、選択の余地がない。しかし、スペイン国民の合意を修復するというのはそれよりはるかに重大だ。双方が極論に走る中で、スペイン政治における穏健派の意見は見失われつつある。
州政府のプチ・デモンCarles
Puigdemont首相が、スペイン憲法を無視して、10月1日に住民投票を実施してから、状況はますます悲劇的なものに向かっている。独立を支持するカタロニア人は再び街頭デモを行った。しかし、こうしたデモは毎年行われてきた。
むしろ危機の決定的な転換点は、独立反対派のカタロニア人が1週間後にデモを行ったことだ。スペイン全土で多くの人々が反対デモに参加した。それまでプチ・デモンに敵対するカタロニア人は沈黙していたが、ついに声を上げたのだ。長年、寛容な、抑制されたカタルーニャの独立運動は、スペイン全体で、より非妥協的な対立に変わった。
こうした新しい事態に直面し、スペインのラホイ政権は、厳格な、強硬策を採るしかなくなった。与党・国民党内でラホイの基盤は弱く、それが政策の余地を狭めている。党内の保守派グループは、ラホイがカタルーニャに対して「放任」政策を採った、と批判している。彼らはますます発言力を強めており、もしラホイがカタルーニャの分離独立主義者に少しでも譲歩すれば、党から離脱するだろう。
カタルーニャとスペイン双方の強硬姿勢は、その弱さの表れである。バルセロナで州政府は街頭デモを呼びかけ、自分たちの強さを示そうとするが、多くの企業がカタルーニャを去りつつあり、カタルーニャ連立政権内部でも強硬派と現実派との分裂が深まっている。マドリードの反応についても、ラホイは、スペイン民主主義と憲法の重大な危機にもかかわらず、まだカタルーニャを1度も訪れていない。警察や治安部隊を送り込み、自治権を取り上げるだけだ。
危機を解決するには、非合法な住民投票に対して強硬策を採るだけでは不十分だ。ラホイは広くカタルーニャの社会をつなぐ共感を示し、極端な主張に固執しない独立派とも協力しなければならない。しかし、誰もそのような「強硬かつ温和」なアプローチを唱えない。本来、王室がこうした状況で仲介する役割を担うべきだが、フェリペ4世はスペイン政府の側にある、と多くの者に見なされている。
カタルーニャのリベラル政党で、連立政権に参加したCiudadanosは、そもそもカタルーニャとスペインの統一を支持する穏健派であるはずだ。しかし、憤慨によって強硬姿勢に偏っている。保守派以上に妥協を拒んでいる。閉じられたスペイン政界の在り方が、穏健なアプローチを支持する旧閣僚や元首相を、「裏切り者」「妨害行為」と非難するのだ。
いずれの党派にも穏健派がおり、彼らは極端な主張に向かうことを好まない。主要な政治指導者が新しい和解の取り組みを公に求めるべきだ。解決の鍵は穏健派の強さにある。
● イギリス政府の迷走
PS Oct 20, 2017
How Money Could Unblock the Brexit
Talks
ANATOLE
KALETSKY
メイ首相は、イギリスがEUとの有利な関係を維持するためには財政負担を受け入れるしかない、と理解するべきだ。
FT October 22, 2017
Brexit must offer Leave voters the
dignity they voted for
Lisa
Nandy
Bloomberg 2017年10月23日
The Harder Brexit Gets, the More
Necessary It Seems
By
Clive Crook
The
Guardian, Wednesday 25 October 2017
Enough
moaning about Brexit: remainers must say what they’re for
Simon Jenkins
FT October
26, 2017
There are
alternatives: late Brexit or no Brexit
Philip Stephens
● グローバリゼーションのトリレンマ
PS Oct 20, 2017
The Sovereignty that Really Matters
JAVIER
SOLANA
有名な「世界経済の政治的トリレンマ」において、ハーヴァード大学のエコノミスト、ロドリックは大胆な主張をした。世界経済統合、国民国家、民主主義、これら3つは同時に成立しない。せいぜい2つであり、1つは否定される、と。
最近まで、自由化、規制緩和、民営化を主張する「ワシントン・コンセンサス」は世界の経済政策を決定していたが、2008年の世界金融危機で、その信用を失った。それでもG20は保護主義への反対姿勢をただちに表明できた。
またEUは、唯一、欠陥はあるものの、超国家的な民主主義の実験として誇りを持っていた。すなわち、国民国家に依拠しているが、グローバルに統合化する方針を持ち、他方で、民主主義は国際市場のダイナミズムによって低下していた。
2016年の転換点が何に向かうものなのか、われわれにはまだわからない。開発をめぐる「北京コンセンサス」が現れて、より大きな政府介入が唱えられた。しかし、Brexit投票とドナルド・トランプの大統領当選こそ、グローバリゼーションと国民国家と民主主義の長期的なバランスが変化したことを示す事件だった。
それらを支持した者たちの診断を軽蔑するのは賢明なことではない。実際、ロドリックもその一部に同意している。彼らはグローバリゼーションを妨げ、他方で、金融自由化といったワシントン・コンセンサスの他の側面を維持し、もしくは、推進するのだが、国民国家による民主主義を強化する、と主張している。
トランプ大統領は国連演説で「主権」という言葉を21回も使用した。イギリスだけでなく、ポーランドやハンガリーも、EUをネオ・ウェストファリア体制に向けて転換しようとしている。カタルーニャの独立運動も、ナショナリズムへの回帰という点では同類だ。
しかし、こうした勢力は既存の経済統合を緩和もしくは回避できないだろう。国境を超えるヴァリュー・チェーンが展開する結果、国民国家の力は弱められる。つまり公式の主権を回復することは、逆説的に、その実質的な主権の喪失に終わるだろう。イギリスやカラルーニャを観ることで明らかだ。
トランプの国連演説から1週間後、フランスのマクロン大統領がソルボンヌでEUの将来について演説した。彼も「主権」を強調したが、それはポピュリストと違い、効果的な、包括的な主権である。国家間の関係は、協力、競争、対立を含む。EUが明確に示すように、紛争のダイナミズムが持つ機会費用を高めることで、対立を減らすことができる。
国境内で孤立を求める国家は、時代錯誤であり、自殺行為だ。建設的な競争をともなう、協力の精神こそが、国際的な正当性を持つすべてのプレーヤーを関係の中に安定させる。イギリス、トルコ、その他、たとえ離脱を選択した国でも、それに反対した多くの国民がいる。EUは彼らに背を向けるべきではない。われわれはまだ共通の公共圏を築いていないが、国民国家の優位は失われていく。ロドリックがもっとも軽視したグローバル・デモクラシーに向けて、1歩ずつ進むしかないだろう。
技術進歩と経済・文化の多元的な繋がりに従えば、それはキメラではない。他のどの地域にもまして、ヨーロッパの民主主義は国民国家を超えるものだ。
The Observer, Sunday 22 October 2017
The Observer view on the crisis in
Europe
Observer
editorial
NYT OCT. 23,
2017
Is the
Czech Republic Turning on the West?
Jochen Bittner
FT October 24, 2017
Europe could see more Catalonias
Janan
Ganesh
全ての豊かな地域がその国との関係で複雑な問題を抱えている。彼らの生産物に課税し、それを他の地域に移してしまうのは、国民国家である。それは、有権者の数では圧倒的に多くが住む都市の利益に反している。ロンドン市民に尋ねてみることだ。EUが何をするか、彼らは何も聞かれなかった。
もっと多くの都市がカタルーニャのように独立を求めるのは当然だ。カタラン人は強いエスニック・アイデンティティを持ち、経済的な自助能力と、自治の歴史的経験を持っている。そのような独立に向かう条件を備えた都市や地域がヨーロッパ中にある。
国民国家はグローバル経済より以前の、土地や工業が重要な時代に生まれた。グローバル経済の報酬は知識や資本に与えられる。都市と脱工業化した中心地帯との物質的なギャップは何十年も拡大し、西側民主主義の問題を生み出す最前線となっている。ドナルド・トランプやルペン、Brexitの投票が示す地域区分を観ればよい。これは単なる取り残された場所や者たちではない。インフラ投資、工業保護策、新しい文化的主張を示す保守派の支配する土地である。
道義的には、弱者を優先することは正しい。しかし、時間を経る中で、そのような政治は機能しなくなる。大都市に対して他の地域が抱く怒りは、その逆に、都市が抱く不満よりも重要でないかもしれない。彼らの富にただ乗りする地域に騙されている、遠くから異教徒たちのやり方に反対投票するのは、都市の住民である。政府が他者に補助金を支払うため税収を得ることはむつかしくなるだろう。ますます大きな自治権を求める地域主義の運動が起こる。
エスニックな同質性がなくても、自動的な財政移転による安定化が行われるなら、それは国民である。国民であるとは、豊かな地域が当然のこととして、すすんで他の地域のために支払うことを意味する。もしこの気持ちが失われたら、国民の中身が失われる。
トランプの顧問であったバノンも、Brexitの推進派たちも、国民国家を永久の存在であるかのように主張する。しかし、それは数世紀の間に広がった想像でしかない。福祉国家が現れる前、財政移転の規模は誰も負担と感じないほど小さかったし、グローバル経済が現れる前、土地や工業が利益をもたらした。現代はそうではないのだ。
ヨーロッパの最も裕福な諸都市は、周辺も含めて、自治を行っていたものがあるし、その帰属する国家よりも古くから存在した。国家が分裂して都市連合に代わることはないが、都市と国家との関係は悪化し、都市の自治要求は強めるだろう。保守派は国民国家を強化し、怒りに燃える地方を代弁することはできなくなる。それは国家ではなく、収奪の関係だ。国民性を長期的に脅かすものは、生産性の高い、外向きの地域から来るのである。
FT October
27, 2017
A populist
tycoon takes power in the Czech Republic
● アメリカとトルコの関係
Bloomberg 2017年10月20日
Here's How to Pull Turkey Back From
the Brink
By
James Stavridis
アメリカとトルコの関係は急速に悪化した。しかし、トルコがロシアに近づき、NATOから離脱してもよい、と考えるのは間違っている。
エルドアンRecep Tayyip Erdogan大統領は国民を分断する人物だ。特に、昨年夏のクーデタ失敗後、5万人以上を投獄し、15万人を職場から追放した。ジャーナリストや裁判官を弾圧し、イラクやシリアのクルド人が独立を求める動きを警戒している。
それでもアメリカとトルコの関係を最悪の状態から引き戻すために、アメリカは動くべきだ。
1.アメリカはトルコの戦略的な重要性を認める。2.トルコ政府を包摂する戦略的な計画を立てる。3.トルコが地政学的に大西洋同盟に向かうよう働きかける。4.エルドアンとの暫定協定を定める。5.軍事協力関係を強化する。
● 中国共産党全国大会
FT October 21, 2017
Xi Jinping, China’s new
revolutionary hero
Tom
Mitchell
習近平は、ドナルド・トランプとの最初の会合で、紀元前4世紀までさかのぼる中国と北朝鮮との戦争の歴史に言及した。トランプは習を、「非常に鋭利で」「タフな」指導者である、と観た。
習は権力を集中し、毛沢東以来、最大の権力を握る共産党の革命の英雄として描かれる。しかし、私的には、沈黙したまま長い時間を仲間と過ごし、決して笑わず、顔を動かすこともない、という。共産党の政治宣伝が個人的なカルトとして中国民衆の間に創り出した暖かい人物像、Xi Dada or Uncle Xi、とは全く異なっている。
父は毛沢東の最高幹部であったが、父子ともに文化大革命の犠牲者となり、習は農村に「下放」された。しかし、鄧小平の「改革開放」によって復活し、習は著名な歌手と結婚して、一人娘はHarvard大学に入学した。
熱烈なナショナリストとして、中国の「領土」を一体として完全に回復すること、生活のすべての面で共産党の支配を確立することを強く求める。経済的な繁栄がもたらした官僚の汚職に対して多くの人々が持つ不満を煽って、マキャヴェリ的に反汚職キャンペーンを自身の権力集中に利用している、と言われる。
習は、開発を加速し、独立を維持する諸民族にとってのモデルとして、中国を称揚した。多くの共産党幹部が、より直截に、そのことを自慢する。「アメリカ人は、政治経験のない、金持ちを選んだ。」他方、「われわれのシステムは、習のように、次々と困難な課題で数十年間も人々を試す。」
FT October 23, 2017
Xi Jinping offers a long-term view
of China’s ambition
Kevin
Rudd
第19回中国共産党大会は、3つのことを示した。1.指導部の人とパワー。2.イデオロギー。3.政治経済的な目標。
1.習近平主席は政治的地位を固めた。毛沢東以来、最強の権力を得た。その反汚職キャンペーンは、27万8000人の官僚を処罰し、440人の官僚トップや政治局員を処分した。新しい政治局常任委員は習が個人的に選んだ者たちだ。習は、次の15年もしくは20年にわたり最高指導者にとどまるだろう。
2.イデオロギーとして、習は、中国におけるレーニン主義的な1党支配体制を維持するだろう。中国が、シンガポール型の、もしくは、西側の民主主義体制に向けて改革を進める、と期待することはできない。習は、2つの目標として、2020-2035年までに「完全に近代化された」経済と社会を実現する、さらに2050年までに、大国としての富とパワーを実現する、という。「新しい大国間関係」という考えを示してきた。中国外交は積極的、攻撃的なものになる。
3.経済改革の青写真を共産党が2013年に示した。輸出向けの、低賃金・労働集約型製造業から、サービス部門の拡大、技術革新による生産性上昇に依拠した高賃金経済モデルへ、転換する。それによって中国は世界最大の経済を達成する。
西側は自己満足に陥り、中国はそのグローバルな使命を認識しつつある。
FT October 23, 2017
An assertive China challenges the
west
Gideon
Rachman
思想の分野で、中国の共産党指導部はますます西側の指導体制をますます批判するようになった。「中国モデル」を、アメリカが推進する民主化のモデルに対抗して、他の世界でも追及するべきだという考えにはまだ論争がある。しかし、世界金融危機、ドナルド・トランプの選挙、EUの混乱があったことで、中国の指導者たちは西側を叱責することが容易になった。
民主主義以上に西側が弱さを意識したのは、中国が政治的自由を制限したまま6.9%の経済成長を続けていることだ。反体制派やジャーナリストを弾圧し、Google, Facebook and Twitterの中国における活動を阻止したが、それによって中国の技術革新や経済成長は失われていない。その高い成長率より、先端的な技術分野で成功していることが重要だ。
中国は「キャッシュレス社会」の実現に向かっている。最も普及しているAlipay and WeChat Payの決済システムは革新のシンボルだ。政府と民間企業が、ロボット、ドローン、環境技術、AIにおいて一層の画期的な成果を上げる自信に満ちている。欧米企業が先端分野で指導的な地位を維持する、という期待とは逆に、国際投資の分野と並んで、中国が次の成長分野を拓きつつある。
アメリカ政府は海軍を中国の東の海に展開しているが、中国はますます西の大陸に関心を広げている。強力に推進している「一帯一路」は、中国の新しい市場開拓をユーラシアに向けたものである。中央アジア、南アジアから、ヨーロッパやアフリカまで、インフラ整備して結び付けようとしている。中国の20都市がヨーロッパに鉄道路線で直結し、2013年以来、輸送量が5倍になった。
ユーラシアへの中国の関心は、その戦略的な意味も重大だ。インド政府は、パキスタン、スリランカなどで、中国の整備するインフラに包囲されることを懸念する。中国の陸路、海路は、中東地域の石油供給と安全保障にも関係する。一帯一路の究極目標は、ユーラシア大陸を統一して、ユーロ・アトランティック地帯と対抗し、最終的に凌駕することであろう。すでに中国は、ドイツの最大の貿易相手国である。
習近平の描く大構想と、それに比べて、トランプ大統領の、暴言ばかりで、矮小かつ内向きの展望は、あまりにも異なっている。
PS Oct 23, 2017
China’s Contradictions
STEPHEN
S. ROACH
NYT OCT. 23, 2017
How Mao Molded Communism to Create a
New China
Roderick
MacFarquhar
NYT OCT.
24, 2017
China
Enshrines ‘Xi Jinping Thought.’ What Does That Mean?
By CHRIS BUCKLEY
FT October
25, 2017
Xi’s
chosen path to transformative leader
Yukon Huang
PS Oct 25,
2017
China’s
New Emperor
CHRIS PATTEN
権力を集中することは大きな責任を負うことになる.事態が悪化すれば,人々は誰を非難するべきか知っている.トクヴィルを読むまでもなく,中国の王朝がそれを示してきた.
PS Oct 25,
2017
Modernity
with Chinese Characteristics
ANDREW SHENG, XIAO GENG
FT October
26, 2017
China
tilts back towards a cult of personality
FT October
26, 2017
Inside China’s
secret ‘magic weapon’ for worldwide influence
James Kynge in London, Lucy Hornby in
Beijing and Jamil Anderlini in Hong Kong
共産党の下で中国経済の活力を高めるために,「ソフトパワー」を積極的に開発・利用する.
● イスラム国の敗退
FT October 21, 2017
Post-caliphate Isis prepares for its
reincarnation
David
Gardner
FP OCTOBER 23, 2017
What the End of ISIS Means
BY
STEPHEN M. WALT
イスラム国家の敗退を祝うのは早過ぎはしないか? 5つの質問とその答えを考える。
1.イスラム国は本当に「革命国家」だったのか? ・・・私は2015年に、イスラム国を他の革命運動(ジャコバン、ボルシェビキ、クメール・ルージュ、など)と比較した。しかし、実際はそれらに比べて非常に弱い国家でしかなかった。
2.なぜイスラム国は負けたのか? ・・・多くの理由がある。イスラム国は、アメリカがイラクに侵攻して政権を倒した空白地帯を占拠したにすぎない。そのメッセージの伝達は力不足で、近隣諸国がその危険を意識したあとは拡大できなかった。斬首や奴隷化など、おぞましい宣伝は誰にも支持されなかった。非常に多様な勢力(the United States,
Russia, Iraq, the Bashar al-Assad regime in Syria, Iran, Saudi Arabia, the
European Union, Jordan, the Kurds)を協力した戦線に組織する優れた戦略家が成功した。地域の集団に委ね、空爆を除いてアメリカが決して戦いの先頭に出なかったことは成功だった。イスラム国は、外国の侵略を責めることができず、他のイスラム教徒を殺戮することになった。
中東地域に広がる最も重要な問題は、効果的な政治制度がないため、繰り返し(アメリカを含む)外国からの軍事介入を受けることだ。Egypt, Libya, Iraq,
Syria, Yemen, Somalia, Afghanistan、サブサハラ地域でも、それは言える。政治エリートは民衆の怒りや彼らが過激主義に向かうことを恐れ、弾圧と政権崩壊に至った。
効果的な地域制度が成立するまで、過激主義の広まる状態はなくならないだろう。しかし、正当性を持つ地域の統治制度を樹立することは、アメリカにも、他の外国の介入にも不可能である。
NYT OCT. 24,
2017
John
McCain: We Need a Strategy for the Middle East
By JOHN McCAIN
FT October
25, 2017
Trump’s
flawed Middle East policy exposes US weakness
David Gardner
NYT OCT.
26, 2017
Somalia
Doesn’t Need Tears. Help Us Fight Terrorism.
By
ABDILLAHI MOHAMED SANBALOOSHE
● ロシアの管理型選挙
FT October 21, 2017
The limits of Russia’s managed
democracy
ロシアの大統領選挙に、テレビ・プレゼンターのKsenia Sobchakが参加しても、市民はそれをまともな対立候補とは思わない。元プーチンお同僚の娘で、エリートの人脈だ。ロシア当局がAlexei Navalnyを選挙から締め出したことで、人々は関心を失った。プーチンによる管理型民主主義の限界である。
● ヨーロッパ銀行同盟
FT October 21, 2017
European banking union needs its
final leg
Lorenzo
Bini Smaghi
ヨーロッパ銀行同盟は、完全な経済通貨同盟の機能を実現するために重要な1歩だが、まだ完成していない。銀行の監督と破産処理基金the Single Supervisory Mechanism and the Single Resolution Fundの2つは実現したが、もう1つthe European Deposit Insurance
Schemeは実現していないからだ。
FT October 24, 2017
France balks at reforms that will
standardise banking rules
Catherine
Lubochinsky
FT October
24, 2017
Central
banks alone cannot deliver stable finance
Martin Wolf
FT October
27, 2017
The
European Central Bank maintains its skilful balancing act
● 北朝鮮危機
NYT OCT. 21, 2017
The Power of North Korea’s
Cyberthreat
By THE EDITORIAL BOARD
Bloomberg 2017年10月21日
Talking North Korea and Iran With
Israel's Rocket Man
By
Zev Chafets
ミサイル攻撃に対抗して、イスラエル軍と革新的な新興軍事ビジネスが組み、短距離ミサイルからの防衛システムthe Iron Domeを開発した。それはソウルを北朝鮮のミサイルから守ることにも有効だろう。しかし、明らかに、北朝鮮はハマスやヒズボラよりも多数のミサイルを持っている。
サイバー攻撃の能力でランク付ければ、アメリカ、ロシアが最高水準、それに続いて、イスラエル、イギリス、中国になるだろう。
NYT OCT. 22, 2017
Ted Cruz: A Pressure Point for North
Korea
By
TED CRUZ
北朝鮮と核抑止を交渉することは、彼らに関心がないことを認めて、やめるべきだ。彼らは単に生き延びることが目的ではない。核兵器は、北朝鮮が自分たちに有利な朝鮮半島の統一を実現する手段である。金正恩は、米軍を韓国から追い出すために、核兵器の使用を準備している。たとえ現敵的な核戦争を初めてでも、韓国政府に受け入れさせるつもりだ。
制裁を強化し、労働者の輸出で非合法な資金を集める北に、外交や金融の対抗策を採るべきだ。アメリカにとって一層の重大問題は、金正恩が核を放棄した将来に関しても関心を持っている、という間違った前提を、いつまで続けるのか、ということだ。われわれは再び、北をテロ支援国に指定するべきだ。そして北への締め付けを強め続ける。北はアメリカの決意を理解するだろう。
PS Oct 25,
2017
The Only
Way Forward on North Korea
CARL BILDT
北朝鮮が核の廃棄に応じるとは思えない.しかし,北が戦争を始めることはあり得ない.それは体制の崩壊を意味する.また,アメリカが軍事攻撃を試みることもないだろう.米軍は北の核兵器を全滅させることがむつかしく,反撃の機会が残ることを知っている.本格的な戦争を始めれば,核の使用にも及ぶ危険があり,数百万人が犠牲になる.
アメリカの核抑止には問題が生じる.北がアメリカ本土を核攻撃できれば,韓国や日本に対する核の傘が疑われるからだ.ソウルや東京を守るために,サンフランシスコが核攻撃される危険がある.それが疑わしいことで,独自の核武装と核軍拡競争が刺激される.
外交交渉を進めるしか安全保障は得られない.そのために,米朝は朝鮮半島の終結を宣言する和平交渉を始めるべきだ.それは北が政治的,外交的に,行動する余地を与えるだろう.
FT October
26, 2017
The
immediate threat from North Korea is in cyber space
Robert Hannigan
NYT OCT.
26, 2017
The
Madness Behind Trump’s ‘Madman’ Strategy
By JONATHAN STEVENSON
(後半へ続く)