IPEの果樹園2017 

今週のReview

9/25-30

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北朝鮮と米中露 ・・・中国の国際的役割 ・・・北朝鮮と日本の防衛 ・・・国家と国境による世界 ・・・誰がEUを動かすのか? ・・・世界の民主主義 ・・・トランプの国連総会演説 ・・・大国の外交政

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 電気自動車

SPIEGEL ONLINE 09/15/2017

The Arrival of Tesla

German Auto Giants Face an Existential Challenge

By Simon Hage

FT September 16, 2017

Carmakers accelerate into an electric future


 1970年代のイギリス

FT September 15, 2017

Echoes of a bygone age show Britain losing its sense of direction

Tim Harford

1970年代のイギリスがどのような変遷を経て来たか.今また,大きく変化しつつある.


 北朝鮮と米中露

FP SEPTEMBER 15, 2017

The U.S. Can’t Get Rid of North Korea’s Nukes Without Paying a Catastrophic Price

BY ABRAHAM DENMARK

The Guardian, Sunday 17 September 2017

China’s mood on North Korea is toughening – despite Trump’s bluster

Tania Branigan

トランプは北京に北朝鮮を抑えるように求めてきた。しかし北京は、北朝鮮の脅威をアメリカの問題と見なしている。北朝鮮の崩壊も、戦争や難民も、米軍の北上も、望まない。ピョンヤンが方針転換するべきだ、と訴えてきた。

国連安保理の制裁決議に賛成したように、北京の姿勢が変化しつつある。中国内にも、アメリカとの非常時の協力を合意しておくべきだ、という意見が表明された。北朝鮮の挑発はアメリカだけでなく韓国や日本を刺激し、ミサイル防衛システムの導入や、独自の核武装を議論し始めている。北京はそれを好まない。

Bloomberg 2017916

Trump and the Nuclear Football: What Could Possibly Go Wrong?

By Tobin Harshaw

Bloomberg 2017916

Growth Isn't Good News for Kim Jong Un

By Nisid Hajari

1990年代の飢饉の後、北朝鮮の経済は大きく変化した。家計の70~80%は非公式な市場から所得を得ているだろう。また、北朝鮮はもはや閉鎖経済ではない。それゆえ経済制裁、特に、中国との貿易が止まれば北朝鮮の経済は崩壊する。

北朝鮮は中国型の市場改革を採用するだろう。それは金正恩と中国との妥協によるものか、あるいは、より暴力的な形になる。

NYT SEPT. 18, 2017

What’s the U.S.’s Best Chance With North Korea? Russia

By DMITRI TRENIN

ロシアは、アメリカとの関係が緊張している中でも、安保理で北朝鮮制裁に反対しなかった。2015年夏、ウクライナ危機の最中でも、モスクワはオバマ政権のイランとの核合意に反対しなかった。ロシアはアメリカ外交を助けることができる。

ワシントンとピョンヤンは最終的に直接交渉するだろう。しかし、今は秘密交渉が始まっただけだ。さまざまな意味で、ロシアはその重要な仲介者になる。

The Guardian, Wednesday 20 September 2017

Ignore Trump’s lies. North Korea is no threat to Britain

Simon Jenkins

PS Sep 20, 2017

Making Economic Sanctions on North Korea Work

YASHENG HUANG

FP SEPTEMBER 21, 2017

Regime Change by Exit Visa

BY ROBERT WARNE NELSON

トランプの国連総会における演説は、米朝間で大陸間弾道ミサイルを含む戦争に向かうことを予想させる。しかし、そうではない、北朝鮮の体制と核武装を解体する道が存在する。

その答えは、中国が北朝鮮からの難民に対する政策を転換することだ。地雷源となっている韓国との非武装地帯と違い、中国と北朝鮮との国境は密輸や難民が行き来している。しかし、中国の難民に対する扱いは北朝鮮への送還であり、難民とその家族は厳しく処罰される。韓国が、たとえ中国を経由してでも、北からの難民を歓迎すること対照的だ。

中国が難民を受け入れない理由は2つある。1つは、大規模な難民危機が起きて、中国国内の少数民族の不満や、国際社会の介入を招くことを嫌うからだ。もう1つは、大規模な難民流出で北の体制が崩壊するかもしれないことだ。再統合した朝鮮において、米軍が中国との国境まで迫ってくることを嫌う。

中国の懸念には先例がある。社会主義と資本主義とが1国を分割したもう1つのケース、東西ドイツの再統一が、同様の政策転換から生じたことだ。

1989年まで、ハンガリー政府は東ドイツの移民に対して、現在の中国が北朝鮮難民に対して行っているのと同様に、東ドイツへ送還していた。ハンガリー政府は、逃げた難民を撃ち殺したから、より厳しかったとも言える。しかし、1989627日、ハンガリートーオーストリア政府が電気を流したフェンスの撤去に合意してから、状況は劇的に変化した。

東ドイツを含む、移民たちが、秩序、ハンガリー経由で西ドイツに行けるようになったのだ。何千もの東ドイツ国民がこの機会に飛びついた。そして、ますます多くの東ドイツ国民が国を逃げ出すにつれて、東ドイツは失策を犯し、ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツの再統一につながった。

もちろん、1989年の東ドイツと2017年の北朝鮮は同じではない。特に、東ドイツでは政治革命とソ連の撤退が起きた。他方、知る限り、北朝鮮は強固な態勢を維持している。しかし、現在の北朝鮮は当時の東ドイツよりも4倍貧しい。

中国自身が難民流出による北の崩壊シナリオを恐れている。アメリカは中国を説得しなければならない。中国は、たとえ無法国家を嫌っているとしても、隣国への影響力を保持したい。アメリカは北の解体を目指さない、と約束するだろう。

もし中国が北朝鮮の問題を解決できたら、アメリカはそれに報いるだろう。難民危機や再統一後の経済再建に資金を出す。再統一した朝鮮半島から、米軍が撤退する、と約束するかもしれない。また、中国に思い出すよう促すべきだ。北朝鮮の核武装は、米軍が東アジアで強化されることを意味する。THAADも拡大するだろう。

長期的に、多数のICBMを保有する朝鮮半島より、非核化した統一朝鮮の方が、中国にとって好ましいはずだ。


 デジタル通貨

Bloomberg 2017915

Digital Currencies Won't Kill the Dollar

By Noah Smith

Bloomberg 2017918

The Next Crisis Will Start in Silicon Valley

By William Magnuson

FT September 21, 2017

Tech’s cash glut leaves public markets behind


 ベトナム戦争

NYT SEPT. 15, 2017

The Forgotten Victims of Agent Orange

VIET THANH NGUYEN AND RICHARD HUGHES


 Brexitの道化師たち

NYT SEPT. 16, 2017

The Boys of Brexit: Tony Blair and Nigel Farage

Maureen Dowd

FT September 18, 2017

Britain needs politicians inspired by national interest

Bruce Anderson

道化師の外相をクビにすべきだ。ジョンソンは私欲のために振る舞っている。

FT September 18, 2017

Theresa May’s silence on the benefits of Brexit frustrates

Nigel Lawson

FP SEPTEMBER 18, 2017

Only the Ghost of Benjamin Disraeli Can Fix Theresa May’s Omnishambles Brexit

BY ROBERT ZARETSKY


 中国の国際的役割

NYT SEPT. 16, 2017

The China Puzzle

By THE EDITORIAL BOARD

かつて大統領の守護者であったスティーブ・バノンが、香港への訪問を前に、中国について語った。Timesとのインタビューで、中国との「経済戦争」を宣言していたからだ。「今から100年後に、中国人たちは、自分たちの世界支配への道をアメリカが阻んだ、と思い出すだろう。」 しかし、香港での大規模な投資家の会議では、中国の指導力を称賛し、貿易戦争を回避できる希望を持たせた。

バノンの姿勢は、トランプ政権にある根本的な緊張状態を反映する。中国に対抗するべきか(対抗するとしたら、いつ、どこで?)、あるいは、協力するべきか?

バノンと同じような北京に対する恨みを感じている多くの人々がいる。中国は、アメリカの中産階級、労働者を犠牲にして成長した、という感覚だ。他方で、中国の助けが必要だ、とも感じている。北朝鮮を抑えるため、南シナ海やアジアの太平洋沿岸を安定化するために。

米中の協力は圧倒的な力になる。17億の人口、他を寄せ付けない経済力と軍事力、ともに核兵器を保有し、国連安保理の拒否権を持つ。両国は世界の姿を決める意欲と野心を持っている。

トランプ大統領はそれを理解し、マララーゴの別荘で習近平主席を取り込もうとした。しかし、一貫した戦略を欠いている。トランプは国務省のスタッフをなかなか充足せず、「アメリカ・ファースト」の直感的な主張で孤立主義や保護主義に向かう。他方、習は着実に、グローバルな経済・政治秩序を変え、諸国を中国の軌道に導いた。

2005年に、ブッシュ政権で国務副長官であったゼーリックRobert Zoellickは、利益を受けている中国を励まし、「責任あるステークホルダー」として、西側が設計した戦後の国際システムを強化しようとした。しかし今は、より多くの政府関係者や専門家が中国を敵視し、敵対関係を強めている。中国の軍備強化や、南シナ海の紛争だけがその理由ではない。

しかし、領土紛争や貿易摩擦から身を引けば、たとえ両国の利害が必ずしも一致しないとしても、協力する以外の道はない。トランプは初めての訪中を11月に行い、明らかに習は、攻撃的なアメリカ大統領を手なずけ、協力できることを示したいだろう。

そのために話し合うことがある。テロ対策、外国投資の拡大、知的所有権、もちろん、北朝鮮。かつてジョン・ケリーの国務省とオバマのホワイトハウスが熱心に交渉して、中国と協力した、気候変動対策もそうだ。米中の利害と外交的努力が両者の協力をもたらせば、世界全体がその利益を享受できる。

PS Sep 19, 2017

The Global Leadership Vacuum

JAVIER SOLANA

NYT SEPT. 20, 2017

A Warning for World Leaders from Kofi Annan

By FARAH NAYERI


 北朝鮮と日本の防衛

NYT SEPT. 15, 2017

North Korea’s Threat Pushes Japan to Reassess Its Might and Rights

By MOTOKO RICH

北朝鮮が日本の国土を超えてミサイルを飛ばした。携帯電話やテレビに警報が流れたとき、多くの人は思ったはずだ。なぜ日本の防衛力はそれを打ち落とさなかったのか?

日本のミサイル防衛システムには限界があり、また日本の憲法にも制限がある。最近の論争は、こうした制約の下で、日本は北朝鮮の急速な核開発にどのように対応するのか、を扱うものだ。北朝鮮は、アメリカのいかなる軍事行動にも、日本の米軍基地を含めて報復する、と宣言している。

最近、日本がクルーズ・ミサイルを配備するべきか、論争になっている。1956年には、先制攻撃は自衛の範囲を超えているとみなされた。日本は第2次世界大戦後、一貫して、攻撃的な武器を持たなかった。

しかし、トランプ大統領は、日本や韓国が軍事力を強化するように求めている。そのためにもっとアメリカの武器を購入することを望むのだ。韓国のTHAADや、日本も地上配備型のAegisを検討している。今はアメリカ政府が反対しているが、広島や長崎を経験した日本も、独自に核武装することを考えるかもしれない。

NYT SEPT. 17, 2017

Shinzo Abe: Solidarity Against the North Korean Threat

By SHINZO ABE

北朝鮮との対話は無駄である。北朝鮮は貿易や労働者の出稼ぎによって核開発のための外貨を得てきた。安保理による制裁決議を国際社会が実行することだ。


 

FT September 18, 2017

Five Star Movement: the unanswered questions about Italy’s populist party

James Politi and Hannah Roberts


 国家と国境による世界

FT September 18, 2017

Catalonia’s referendum is no basis for statehood

カタロニア人にとっても、スオペイン人にとっても、その状態はがまんならない。カタロニア政府は101日に独立に関する住民投票を行う予定だ。

カタロニアの住民投票法は、投票結果が有効となる最低条件を決めていない。だから少数の有権者が投票することで独立を宣言することも考えられる。他の民主主義国のケースを考えてみるべきだ。カナダのケベック、UKのスコットランドも投票を行った。あるいは、バルチック3国がソ連から独立を宣言したとき、それにはスターリンによって奪われた国家と自由に関する合意があった。

カタロニアの分離独立主義者の短期的な目標は、独立宣言ではなく、ラホイ首相と政府による反対が強まることで、自分たちを政治的弾圧の犠牲者に見せることだ、とも言える。

住民投票が行われるにせよ、中止されるにせよ、双方は公開の、真剣な交渉を始めるべきだ。そしてカタロニアの自治権に関する新しい合意を形成する。

The Guardian, Monday 18 September 2017

We’ve hit peak injustice: a world without borders, but only for the super-rich

Hugh Muir

われわれには、トランプ、Brexitの野蛮な現実を忘れて、国境のない世界に暮らしたい、という涅槃の世界像があった。イギリス第1で、移民を減らす、とBrexit推進派は願う。実際にはできないだろうが。グローバル・ビレッジの世界像が、有刺鉄線で再編集される。しかし、こうした世界でも、やはり金がものを言うのだ。

キプロス政府は、グローバルな超富裕層に市民権を提供して、2013年以来40億ユーロも調達した。投資する代わりにEU市民として、彼らはEUのどこにでも暮らし、働くことができる。その中には、億万長者のロシア人オリガークや、汚職に問われているウクライナ人がいる。キプロスが求めるのは、わずかに、200万ユーロの不動産所有、もしくは、250万ユーロの社債や国債保有である。

キプロスだけではない。イギリスのパスポートも早急に手に入る。ビザも、パスポートも。必要な物は、200万ポンドの投資だけだ。ギリシャの市民権は25万ユーロで買えるし、ポルトガルの不動産を50万ユーロ買えば、“golden visa” schemeで、非EU市民に完全な居住権とEU28か国を自由に旅行できる権利がもらえる。

35万ドルで得られるグレナダのビザは、互恵協定によって、100か国以上に入国できる。移民たちは命がけで大陸や海を越え、同じことを願うが、むしろ自国にとどまって宝くじを買った方がよい、と助言するべきだろう。

非常に裕福な、高額の資産を持った人々は、弾力性を最大化するだけでなく、国境や国籍が意味を持たない「遊牧民」である、と考える。彼らは世界の変化を懸念している。過熱するナショナリズム、移民危機、テリーザ・メイの「世界市民」など「どこの市民でもない」という侮蔑。しかし、あなたが本当に非常に裕福であれば、何者もあなたを制限しない。

サヴォイ・ホテルのシャンデリアの下で、Eric Majorは聴衆に述べた。彼は市民権の専門企業Henley & Partnersの最高経営責任者だ。「特別な実体としての国民という概念を棄てなさい。それは単なるクラブのようなものだ。ある国民がうまく行かなければ、他の国民に入る。」

富裕層は各地に資産を投下する。財政緊縮の時代、資金を必要としている経済は、その代わりにパスポートを提供する。富裕層のための、パスポートのポートフォリオができる。イギリスもそうだ。今なお破たんに瀕するギリシャも、世界最高の失業率を示すカリブ海の国、グレナダもそうだ。

2015年、こうした市民権取得に不満が高まったため、イギリス政府はチェックを厳しくしたが、社会の利益ではなく富裕層のための不動産投資を難しくすると、申請は大幅に減少した。国境のない世界というロマンチックなイメージは超富裕層のものだ。その利益は相互的ではなく、彼らは多くの質問を嫌う。

FT September 20, 2017

Kurdish independence and the lessons of history

Roula Khalaf

マハバード共和国the Republic of Mahabadを知っている人は少ない。1946年、現在のイランの隅に、一時、存在したクルド人の国家である。

マハバードは、その生命線を握るソ連が、アメリカの圧力でイランから撤退したとき、消滅した。クルド人の国家が成立するには、多くの隣人から支持されねばならない。


 誰がEUを動かすのか?

FT September 17, 2017

Time for Germany’s Social Democrats to regroup and reflect

Wolfgang Munchau

PS Sep 18, 2017

Germany’s Hour

ROBERT SKIDELSKY

誰がEUを動かすのか? ドイツの選挙前に、考えてみることだ。

普通、その答えは、「EU加盟諸国」である。あるいは、「欧州委員会」だろう。しかし、イギリスの元ドイツ大使、Paul Leverは「ベルリンが支配する」と答える。「現代のドイツは、かつて戦争によって得たものを政治が達成できることを示している。」

ドイツはEUでもっとも繁栄する経済大国である。EU圏の総GDP20%以上を占める。その成功を説明することはむつかしいが、ラインラント・モデルとして3つの特徴が指摘される。

1.他の先進経済国に比べて、製造業を残している。ドイツは、Friedrich Listの伝統により、生態的な比較優位の理論を受け入れなかった。他国が行っている、生産コストに基づく工場の海外移転をしない。製造業の競争力を維持するために、加工技術の革新にこだわり、研究機関を組織する。そして輸出志向の成長は規模の利益を実現する。

2.「社会的市場経済」モデルを採用し、労使の「協調体制」を法によって制度化している。すべての企業に労働協議会が設けられ、大企業には2つの執行委員会が存在する。戦略的な決定を行う監査役員会は、株主と被雇用者の代表が対等に力を持ち、それゆえ、生産拠点の海外移転に強く反対する。

3.物価の安定性を強く求める。ドイツ人にはインフレの悪に関するMilton Friedmanの説教は要らない。それはすでにブンデスバンクが高度に制度化している。1920年代のハイパーインフレに加えて、1945-48年の通貨価値の破壊を経験したことが重要だ、とLeverは述べる。また、ドイツ人は財政赤字を嫌い、個人としても借金を嫌う。

EUの諸制度は概ねドイツの制度を模している。権限が分散し、「補完性の原理」を崇拝し、EU諸機関のトップにはドイツ人が就く。EUは制度によって支配するが、制度を支配するのはドイツ人だ。

ドイツでは、「ヘゲモニー」の話、「指導力」でさえ、話すことはタブーである。暗い歴史があるからだ。しかし、指導力を得ながら、それについて議論しないというのは、ドイツの責任を問うことが不可能だ、という意味になる。このコストは、特に経済コストは、他のEU加盟諸国に負わされる。

EU内、特にユーロ圏では、財政赤字が景気刺激策として禁止され。為替レートのない諸国間で実質的な切下げが求められ、EUはドイツにとっての輸出市場になっている。ドイツのEU向け輸出は、輸入より30%も多い。世界でも最も大きな経常収支黒字国だ。

ユーロ圏には財政移転メカニズムがなく、ECBは銀行システムが破たんするときの最後の貸し手が認められず、欧州委員会のユーロ債発行はドイツの反対で実現しない。なぜなら、ドイツ人はその再建を大部分保有するだろうから。破たんに瀕する国には、ギリシャのように、「秩序回復」の条件を付けて緊急融資を行う。融資を受ける国は、社会給付を削り、国家資産を売却し、競争力を増すような対策を求められる。ドイツの側は、その競争力を下げるようなことをしない。

財政移転がないという意味で、ユーロ圏は1941年のケインズによる清算同盟案を採用すべきだろう。その場合、不均衡の赤字国と黒字国に、上昇する利子が負わされる。ユーロ圏が機能するためには、強い国が弱い国に連帯を示す必要がある。

Bloomberg 2017918

One Million Refugees Came. Here's What Happened Next.

By Leonid Bershidsky

FT September 19, 2017

Election tests German compassion towards migrants

Guy Chazan in Munich

FT September 20, 2017

Why Germany skips to a happier beat

Josef Joffe

FT September 21, 2017

Merkel moves assuredly towards a fourth term

NYT SEPT. 20, 2017

Germany’s ‘Boring’ Election Is a Victory for the Right

By LUKAS HERMSMEIER

FT September 21, 2017

Angela Merkel writes the plumber’s guide to politics

Philip Stephens

メルケルは控えめな国内政治家として、配管工のように政治を動かした。ドイツ首相として言ったそうだ。食器洗い機が故障した主婦は、技術者の長い説明やくたびれる図表を観たいわけではない。彼女が求めているのは、機械の修理を任せられる、信頼できる職業人だ。配管工について言えることは、政治においても正しい。有権者たちは望ましい政策の分析や地政学の理論などに関心がない。彼らが求めているのは、事態を正しくできるという確信を持てる指導者だ。

トランプが、ドイツの安全保障の重要な基礎を蹴った。軍事力よりルールに基づく国際関係のシステムをドイツは守りたいが、戦後の西側秩序やリベラルな価値をトランプは軽蔑する。こうしたアメリカ大統領がテレビの画面に出るたびに、人々はメルケルを支持する理由を得たわけだ。

2015年、難民に国境を開放するメルケルの決定は、国民の信頼を失う危機にもっとも近づいた瞬間であった。ドイツ人の多くはメルケルが、戦後ドイツの自我にまで組み込まれた、リベラルな価値を守ったことに喜びつつも、難民の増加を恐れた。2年後、難民流入が減ったのは、トルコのエルドアンと複雑な取引をしてトルコで難民を阻止したからだ。その後、難民たちの統合化は地方政府や市民団体の手に委ねてしまい、メルケルが発言することはない。

ナチスの悪夢とともに生きるドイツ人にとって、外国人排斥を唱える極右の政党が10%もの票を得たことは衝撃である。そして、メルケルが勝利によって何をするのか、それは疑問として残されたままだ。

FP SEPTEMBER 21, 2017

Angela Merkel’s Great Escape

BY JAMES TRAUB

Bloomberg 2017921

Angela Merkel's Bold Vision for Germany Can Wait

By Leonid Bershidsky


 ユーロ圏拡大

PS Sep 18, 2017

Redefining Europe, and Europeans

CARL BILDT

PS Sep 19, 2017

Roadmap for European Disaster

HANS-WERNER SINN

ユーロ圏の東への拡大は、南欧に起きたユーロ危機を再現することになるだろう。東欧におけるインフレ的なバブルが、国境の開放と合わさって、EU全体を不安定化し、中央ヨーロッパに向けた経済移民の波を起こすだろう。


(後半へ続く)