(前半から続く)
NYT SEPT.
6, 2017
Bad News,
World: China Can’t Solve the North Korea Problem
By MAX FISHER
NYT SEPT.
7, 2017
A Devious
Threat to a Nuclear Deal
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT SEPT.
7, 2017
Kim
Jong-un and the Art of Tyranny
Bret Stephens
独裁者として生きる.権力を失わず,最後にベッドで死ぬことが目標だ.
FP
SEPTEMBER 7, 2017
A Sneak
Peak at America’s War Plans for North Korea
BY CHETAN PEDDADA
秘密の地下基地で,米韓合同司令部が北朝鮮との戦争シナリオを予測した.われわれは大規模な人的犠牲を予想した.それは北朝鮮が敗北するしかないと覚悟し,できるだけ多くの被害を朝鮮半島に生じさせるからだ.
北朝鮮の兵站が限られているために,食糧,弾薬,燃料,水は数日で枯渇するだろう.そのことは北に,勝利を期待するとしたら短期決戦しかない,と確信させる.第2次世界大戦で日本帝国軍が行ったように,決定的な戦闘によりアメリカ軍の士気をくじくのだ.非武装地帯とソウルに駐留するアメリカ軍駐留部隊が主要な標的になる.韓国や日本の米軍基地も狙われるだろう.
推定で,約1000基のミサイルが韓国内,特にソウルに向けられている.その発射地点を探査して米韓軍が反撃するが,北は地下トンネルをめぐらして発射地点を移動させるよう準備をしている.また朝鮮戦争の停戦後,北は生物兵器,化学兵器を備蓄し,サイバー攻撃を準備している.戦争になれば,北はこうした武器を躊躇なく使用するだろう.
最初の1日の戦闘で,28000人の駐留米軍のかなりが犠牲になる.外交交渉は困難であろう.しかし,最も深刻な犠牲は,朝鮮半島が破壊された後の難民流出と,敵意による殺害や病気,栄養失調によるものだろう.
FP
SEPTEMBER 7, 2017
U.N.
Report: Sanctions Aren’t Stopping North Korea’s Nuclear Program
BY COLUM LYNCH
Bloomberg 2017年9月8日
Israel Has
a Playbook for Dealing With North Korea
By Zev Chafets
● アメリカの労働組合
FT
September 3, 2017
America
needs its unions more than ever
Lawrence Summers
NYT SEPT.
4, 2017
A New Type
of Labor Law for a New Type of Worker
By
WILLIAM E. FORBATH and BRISHEN ROGERS
FT
September 8, 2017
More
rights for Mexican workers will benefit US jobs and trade
Sander Levin
● メルケルとプーチン
FT
September 3, 2017
Merkel must
stand up to Putin over the hacking of democracy
Toomas Hendrik Ilves
FT
September 4, 2017
Russia’s
war games strike fear into its neighbours
Bloomberg
2017年9月4日
Russia Is
an Emerging Superpower in Global Food Supply
By Leonid Bershidsky
● ドイツの姿勢
FT September
4, 2017
Waiting
for German voters to deliver is like waiting for Godot
Wolfgang Munchau
FT
September 5, 2017
Merkel and
Schulz deliver a masterclass in stability
Frederick Studemann
FT
September 7, 2017
Dullness
is not enough for Angela Merkel’s Germany
Philip Stephens
SPIEGEL
ONLINE 09/07/2017
Is Moscow
Planning Something?
Germany
Prepares for Possible Russian Election Meddling
By Fabian Reinbold
● 日本国債は維持できる
Bloomberg 2017年9月4日
How Japan
Needs to Change to Welcome Immigrants
By Noah Smith
FT September
5, 2017
The fears
about Japan’s debt are overblown
Robin Harding
日本の「国の借金」の残高は1000兆円(¥1,000,000,000,000,000)を超えた.GDPの239%になる.あまりにも巨額の債務は,明らかに,金融的破滅で終わる.ギリシャを見れば良い.今すぐに債務を減らすべきだ,と議論は終わる.
国際に関する経済論争は日本の政治を混乱させてきた.しかし,財政破たんの警告は20年前からあるが,債務危機は決して訪れなかった.リーマン・ショックも,東北の大震災も,国債の取引に影響しなかった.
しかし,債務を恐れることは間違いかもしれない.危機は来ない,と認めるべきだ.日本は世界最速の高齢化を円滑に実現してきた.2014年の増税という失敗が示すように,財政破たんを議論することは政策決定に望ましくない.
巨額の公的政務を処理するには4つの方法しかない.成長,償還,デフォルト,インフレである.安倍首相が何と言おうと,人口が減少する中で,成長が債務増を超えることはできない.大規模な移民流入はすべての条件を変えるだろうが,債務比率から,それほど重大な社会的選択をすべきではない.
債務の償還も困難だ.それに必要な財政黒字を達成するには,医療保険制度や年金,防衛費を削減することになる.財政の黒字は,成長を維持するなら,民間部門の赤字を意味する.増税や年金不安に対して,家計が貯蓄を減らすとは思えない.
それゆえ2つの危機が不可避になる.デフォルト,もしくは,インフレの加速だ.しかし,デフォルトは無意味である.国債のほとんどが日銀と国内の金融機関によって保有されている.インフレの加速は,20年間も2%のインフレ目標が達成できないのであるから,債務を緩やかに消滅させるうえで助けになる.日銀が物価のコントロールを失うことはないだろう.日本政府はインフレ税を求めないからだ.年金生活者は物価に敏感であり,政府がインフレ加速を望むのは政治的な自殺行為である.また,日本は世界最大の債権国であるから,投資家がパニックになって日本から資本逃避する理由もない.
より説得的な大5の選択肢を観るべきだ.すなわち,公的債務を持ち続けることだ.意外なことに,それは可能である.コロンビア大学の2人の研究者が示すように,その条件は,利払いコストの抑制,高齢化支出の抑制,大幅な増税,である.
ベビーブーム世代が引退し,彼らの資産や消費に対して増税する必要があるだろう.財政破たんの不安や支出削減をするより,日本はそうすべきだ.政府は財政比率を安定化し,インフレが生じるまで低金利で経済を刺激して,ブームになれば財政黒字も生じる.
債務危機の際にあっても,支出に規律があれば転落はしない.
● ビッグデータと計画経済
FT
September 4, 2017
The Big
Data revolution can revive the planned economy
John Thornhill
● Brexitの迷走
Bloomberg
2017年9月4日
How May
Can Put Brexit Back on Track
By Clive Crook
FT
September 5, 2017
Brexit
sets Britain on a stable path of relative decline
Janan Ganesh
イギリス経済の安定性は,むしろ長期的な衰退へのコースを確立してしまう.
● アメリカ政治・外交の転換
Project
Syndicate SEP 5, 2017
The Power
of Monuments
IAN BURUMA
NYT SEPT.
7, 2017
Trump’s
Global Democracy Retreat
By
PIPPA NORRIS
アメリカ外交を担う国務省の目標から,トランプ大統領とティラーソン国務長官は,民主化や人権を取り除くことを検討している.現在,それは明確に示されている.“The
department’s mission is to shape and sustain a peaceful, prosperous, just and
democratic world and foster conditions for stability and progress for the
benefit of the American people and people everywhere.”
しかし,そのような転換は,歴史的失敗になるだろう.アメリカの最も重要な価値を捨て,人権擁護に向けた国際的な約束を反故にし,世界中の友好国や親米派に不安を広める.世界に占めるアメリカの指導的地位が終わったことを表明する,究極のシンボルとなるだろう.
● ヨーロッパへの難民
Bloomberg
2017年9月5日
Europe's
Migrant Crisis Isn't Over
By Pankaj Mishra
2年前,3歳のシリア人少年Alan Kurdiの遺体がトルコのリゾートに近い浜辺でうつぶせに倒れている写真は,多くのヨーロッパ人の良心を揺さぶった.その当時の罪や恥の意識はすでにない.Kurdiの死後,少なくとも8500人,その多くは身寄りのない子供たちが,地中海を渡る中で死亡したり,行方不明になったりしている.われわれはそのことをほとんど気にしない.
国境警備は強化され,難民の受け入れを拒む国が増えている.しかし国家が崩壊しつつある中で,あるいは破たん国家から,国籍の無い人々が,また強奪や終わりのない内戦の犠牲者が,絶望から壊れたボートや釣り船に乗ってヨーロッパに向かうのを止めることはできないだろう.
他方で,各国はすでに多くの移民を受け入れてしまった,という極右の不安が実現し,エスニック的・文化的な同質社会のファンタジーを脅かしている.多くのデマゴーグが国内政治を支配し始めている.ハンガリーのオルバンはその1人だが,彼に反対する運動がポスターに書いたように,「平均的なハンガリー人は,人生で移民に会うより,UFOを見るほうが多い.」
明らかに,政治家たちは難民の幻影から政治的な利益を得ようとする.現実であれ想像であれ,われわれの中に奇妙な人々がいる,という社会心理を利用する.移民はグローバリゼーションの強大で,あいまいな強制力を体現している.多くのヨーロッパ人が,もろい社会・経済的な地位について心配しているのだ.賃金は長期に停滞し,雇用センターや学校,病院の行列は長くなっていく.
しかし,この政治的な悪用に反対する国もある.難民問題はドイツの選挙戦で主要な関心とならなかった.ドイツの行政府は新規移民たちの統合を促し,彼らがドイツ市民と共存して生きるしかないことを知っている.ドイツ語のクラスに入り,仕事を見つける.選挙戦でメルケルも主要な対抗者も,難民による犯罪を誇張しなかった.
十分な政治的意志があれば,大規模な移民も受容できるのだ.
SPIEGEL
ONLINE 09/06/2017
Stemming
the Flow
Why
Europe's Migrant Strategy Is an Illusion
By Mirco Keilberth, Peter Müller and
Maximilian Popp
SPIEGEL
ONLINE 09/07/2017
Where
Dreams Come to Die
Migrant
Path in Europe Ends at Brenner Pass
By Fiona Ehlers
● アメリカの大幅減税
Project
Syndicate SEP 6, 2017
Supply-Side
Amnesia
J. BRADFORD DELONG
レーガン政権で経済諮問委員会の議長となったMartin
Feldsteinは,政府の大幅減税案に反対した.しかし,委員会の多数のレーガン支持者は賛成した.首席補佐官のJames
Bakerは,その警告に耳を傾けなかった.
レーガン政権時の巨額の財政赤字は,アメリカ経済を1981‐82年の不況から抜け出させたが,1984年以降,成長が減速した.資源は投資されるのではなく,特に富裕層により,消費されたからだ.
中西部の製造業は衰退し,現在,「赤さび地帯」と呼ばれる地域が発生した.Feldsteinが正確に予想したように,大幅な予算赤字が高金利とドル高をもたらし,アメリカ製造業の競争力を失わせた.もしその警告が受け入れられていたら,現在,アメリカはより強く,幸せであるだろう.
Feldsteinは,多くの条件を付けて,議会共和党の減税案が成功するかもしれない,という.しかし,共和党の減税が赤字を増やさなかったこと,その赤字が「一時的」なものであったこと,減税により投資が増えて,貯蓄を増やすことは,1度もなかったのだ.
Project
Syndicate SEP 7, 2017
How Trump
Could Rebuild America
LAURA TYSON and LENNY MENDONCA
● 中央銀行の姿勢
Project
Syndicate SEP 6, 2017
Central
Bankers’ Shifting Goalposts
DANIEL GROS
FT
September 7, 2017
Stanley
Fischer’s departure reveals weakness at the Fed
Adam Posen
金融政策の決定におけるFOMC議長とFRBNY総裁のパワーは大きく,その裁量が重大でありすぎる.彼らはワシントンからの影響,NYの民間銀行からの影響に対して,独立であることを求められる.よりルールに基づく決定が望ましい.
● クルドは独立する
FP
SEPTEMBER 6, 2017
The Kurds
Are Not Children
BY BERNARD-HENRI LÉVY
● サイバー通貨の脅威
FT
September 7, 2017
Central
banks are waking up to the threat of cryptocurrencies
Huw van Steenis
● マクロンの労働市場改革
Project
Syndicate SEP 7, 2017
Macron’s
Labor Gambit
DANI RODRIK
マクロンの労働市場改革に見るロジックは,IMFやOECDの求める「労働市場の弾力化」と同じである.解雇するコストを下げると企業は雇用を増やす,というのは,矛盾ではない.企業は採用コストと解雇コストを考慮している.解雇コストの引き下げが雇用を増やすのは,企業が活発に拡大することを望んでいる時期だ.
他方で,労働者の法的な保護は,エコノミストが「硬直性」と呼ぶが,社会的な交渉の結果として,先進資本主義経済に必ず含まれている.それは予期しない変動にさらされる労働者の所得や雇用を安定化することで,経済全体を効率化するものだ.
マクロンの改革の成果が問われるだろう.
NYT SEPT.
7, 2017
Emmanuel
Macron Will Be Yet Another Failed French President
By
CHRIS BICKERTON
● 経済学入門テキスト
VOX 07
September 2017
A new
paradigm for the introductory course in economics
Samuel Bowles, Wendy Carlin
サミュエルソンが1948年に経済学の入門テキストを広めて以来,われわれは経済学の進展と新しい公共政策の課題に応じたテキストを作ってこなかった.その試みが始まった.
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The Economist August 26th 2016
Islam and democracy
Courts in Hong Kong:
Truth, justice and the Chinese way
Politics in Thailand:
Tongue Thai-ed
Steve Bannon: Gone but
not forgotten
(コメント) ムスリム同胞団がエジプトの民主主義を実現する力になったかもしれない,と記事は指摘します.香港ではジョシュア・ウォンが投獄されました.タイの軍政も,王の権威を借りて,ますますタクシン派の追放に執着します.
スティーブ・バノンが,たとえホワイトハウスを追放されても権力を失わないのは,今も政権内にポピュリストがおり,大統領は支持者に答えねばならず,バノンがBreitbartを使ってトランプを擁護できるからです.
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IPEの想像力 9/11/17
北朝鮮の核武装に対して,好ましい選択肢はない,と外交評議会の公開対話で,元国務省の北朝鮮担当官,ジョージタウン大学教授のガルーチR.
Gallucciは語りました.
経済制裁はうまくいかない.ミサイルを撃墜できる保証もない.交渉による合意も失敗した.軍事攻撃の被害は甚大であると予測される.つまり,トランプ政権にとって良い選択肢は何もないのです.ガルーチはそれを認めます.しかし70年間,核武装して対立した諸国は,互いに核抑止体制を管理してきた.北朝鮮にも同じように対応するしかない.核保有国として外交関係を結ぶ.核抑止の下で,核拡散を厳しく監視し,さまざまな問題で各国と北朝鮮との交渉が続くだろう,と.
金正恩は何を考えているのでしょうか? さまざまな国の諜報機関が北朝鮮に入ったでしょうが,北の政権幹部について情報を得ることは非常に難しい,と言われます.中国政府との主要な人脈を粛清してしまったくらいですから,金正恩とその側近が何を考えているのか,誰にも確かなことは予測できないのです.
アメリカでは,金正恩がソウルを人質にして,さらに軍事的な挑発を繰り返すのではないか,と懸念されています.アメリカ本土に届くことを十分に示してから,交渉を始めるつもりだろう,というわけです.グアムやハワイどころか,アメリカ西海岸へ向けて弾道ミサイルを発射するかもしれません.
トランプは何を考えているのでしょうか? 思い出すのはシリアへの空爆です.化学兵器を使用したアサド政権への制裁として,トランプはトマホーク巡航ミサイルを50発以上,化学兵器を搭載した飛行機が発進したと思われる飛行場へ撃ち込みました.
つまり,北朝鮮に対しても限定的な軍事行動であれば,トランプは命じる用意があるのではないか? と私は思います.
もし,たとえば,アメリカ西海岸近海を狙って,北朝鮮が弾道ミサイルを撃てば,ただちに,その発射基地に向けて,集中的なミサイル攻撃をするでしょう.アメリカは北朝鮮に,これが限定的な制裁であることを明確に伝えます.そして,核実験とミサイル発射とを凍結するなら,交渉に応じる意思を表明します.
その場合,ソウルと韓国北部,38度の非武装地帯から一定の地域の住民を,強制的に退去させて,北朝鮮との限定戦争に備えるでしょう.
もし限定戦争が始まったら,北朝鮮に核兵器や生物・化学兵器を使用するな,と明確に警告しなければなりません.同時に,強制退去の地域を一層拡大するでしょう.そして,金正恩が限定戦争に拡大する場合,北朝鮮全土の軍事力を破壊することを明確に伝えます.同時に,それが体制転換を目指す軍事侵攻ではないことを,アメリカは北朝鮮政府と中国に伝えるでしょう.
核兵器など,大量破壊兵器の管理と,戦後処理の枠組みは,6か国協議に委ねます.
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米中露が合意して,北朝鮮を抑える,長期の核抑止体制が続くのでしょうか?
どのように説得しても,突然,危機は深まるでしょう.国連安保理決議に続いて,地域安全保障の制度化が進むときだけ,北朝鮮の金正恩を権力から切り離し,平和的な核管理体制を交渉によって実現するのではないか? 金正恩とドナルド・トランプの暴言に代えて,アメリカと中国が合意したとき,韓国,日本,ロシアも主要利害と発言力をめぐる外交に移行します.
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