IPEの果樹園2017
今週のReview
8/28-9/2
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NY衣服産業地区移転問題 ・・・極右の暴力とトランプ ・・・香港と台湾 ・・・バノン主義 ・・・日本とプライベートエクイティ ・・・中国の債務削減 ・・・トランプのアフガニスタン戦争 ・・・トランプ外交 ・・・プーチンのアキレス腱 ・・・アンゴラの選挙 ・・・新興諸国からの観光客
[長いReview]
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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● NY衣服産業地区移転問題
NYT AUG. 18, 2017
Save New York City’s Fashion Factories
By
NANETTE LEPORE and ROBERT SAVAGE
ニューヨーク市の衣服産業地区は、市の産業開発公社が決めたSunset Park, Brooklynへの移転を求められており、数十年間続いたマンハッタン・ミッドタウンの数ブロックで産業を保護してきたゾーニング法が破棄される。
衣服産業地区のBusiness Improvement Districtはすでに工場の移転にともなう費用の一部を支援すると決議しており、その代わりに、ゾーニング法がなくなる。
しかし、この提案を進めれば、市は何百もの零細企業に安全網なしの飛躍を求めることになる。Sunset Parkは実績のない土地であり、ミッドタウンから離れている。また、その敷地は小さすぎる。関連産業を含めないとしても、今の衣服工場の面積の一部にしかならない。われわれの企業は13の工場を経営しており、彼らはすべて移転しないと告げてきている。多くは、不確実な将来の経営に乗り出すより、閉鎖するだろう。
これらの工場は地区のエコシステムの決定的な部分である。デザイナー、ショールーム、繊維の納入業者、裁断、など、さまざまな専門職種がこの地区を革新のハブにしている。Sunset Parkに同じエコシステムが形成されるまでには数十年かかるだろう。
われわれがグローバルなファッションの中心地であるのは、生命力のあふれた、革新的な近隣地区が、100年近くも存続してきたからだ。そのシナジーにより、毎年、多くの意欲的なデザイナーが集まってくる。彼らは技量を学び、独自のデザインを示し、20万人の雇用と数十億ドルの収益をもたらすのだ。
20年前、われわれはここで小さなデザインルームを始めた。1万度湯の融資と固い決意があった。工場主やサプライヤーの助けを得て、われわれは成功し、小さなブランドが国際企業になった。われわれは今も、製品の80%の作業をこの地区内で行っている。
もしアメリカに製造業を取り戻す気なら、何としても衣服産業地区を維持するべきだ。
● 極右の暴力とトランプ
NYT AUG. 24, 2017
We’re Journalists, Mr. Trump, Not the Enemy
Nicholas
Kristof
なんてことだ。トランプ大統領はジャーナリストたちを侮辱するのと同じ真剣な怒りを、ネオナチたちに対して示すだけでよかったのに。
私の友人であるレポーターや写真家たちは、世界中の戦場で命を落とし、また捕虜となって拷問を受けている。しかし、トランプは彼らを嘘つきと呼んで侮辱する。
● 香港と台湾
FT August 21, 2017
Hong Kong presents a test of China’s good
faith
市民の自由と「高度な自治」を約束された香港に対する北京政府による介入、締め付けが強まっている。
中国の政治問題を扱った書籍を出版した書店の店主が誘拐された。立法院に選出された民主派の議員が宣誓を拒んだという理由で議席を与えない。先週、2014年の雨傘革命の学生指導者であったJoshua Wongを拘束し、さらに長期刑で政治生命を断とうとしている。
中国が香港への介入を強めたのは、1.香港の経済的な重要性が低下した。中国と世界との貿易や投資の窓口であった香港の役割が、上海などの発展で大幅に低下した。2.Brexitによって、イギリスの影響力が低下した。
しかし、北京が香港の自治を奪うことは代償をともなうだろう。第1に、人々の民主化への願いは強まっている。さらには、弾圧が独立への要求を強め、若い人たちの間で中国人としてのアイデンティティが失われている。第2に、香港の「1国2制度」は台湾を説得するための仕組みでもあった。2300万人の台湾住民は、反体制派の逮捕を自分たちのこととして反発するだろう。
また、香港の返還後の扱いは英中間で合意し、共同宣言で示した。これを中国政府が一方的に無視するのであれば、国際的な合意に向けた中国の姿勢に、だれもグローバルな指導力など期待しないだろう。
FP AUGUST 24, 2017
Taiwan’s Economic Charm Offensive Hits
Chinese Walls
BY
DAVID GREEN
台湾の蔡英文Tsai Ing-wen総裁はパナマのことを心配する。6月半ばから中米諸国がその外交関係を台湾から離れ、北京政府を承認したからだ。それは蔡の支持率を大きく下げた。
蔡はNew Southbound Policy (NSP)を推進するが、その目標は中国貿易への過度の依存と脆弱性を抑えて、東南アジア、南アジア、オーストラリアとの貿易を増やすことだ。しかし、同じ分野で北京やニューデリーも産業育成を試みており、台湾が協力関係を指導する力はない。
中国は東南アジアで影響圏を拡大しており。「1つの中国」政策を公式に否定した蔡英文を嫌悪しているのだ。
台湾が東南アジアとの政治経済関係で隙間を見出すとしたら、それは文化政策、さらにはリベラルな民主主義のモデルを指導する点であろう。NSPは観光を重視している。さらに、観光における人の移動を超えて、移民政策の改革が重要だ。台湾の知的資本は大規模に海外に流出しており、アジア諸国からの留学生を受け入れて、その不足を補う必要がある。
アジア・シリコンバレー構想を実現するには、台湾が管理できる以上の条件に依存している。台湾の財政規模は限られている。その健全性を高める政策は、高齢化にともなう住民の不満を招いた。むしろ、台湾企業は自らにもっと投資するべきだ、という意見がある。
台湾企業が期待するのはベトナムへの投資だ。ベトナムはEUとの自由貿易協定を結び、TPPにも参加を表明している。
● バノン主義
FT August 21, 2017
Steve Bannon’s ideas will survive and thrive
in the White House
Gideon
Rachman
スティーブ・バノンは去った。しかし、リベラルはそれを寂しく思うだろう。バノンはトランプ政権の重要な役割を担っていた。邪悪な天才、憎悪のイデオロギー、謀略を駆使する、真の大統領。
しかしバノンが去っても、彼が代表した3つの戦争は亡くならない。すなわち、貿易戦争、内戦、世界戦争だ。それらは経済、社会、国際関係における緊張の高まりを意味しており、バノンが利用したが、バノンが創り出したわけではない。バノン主義は生き残るだろう。
白人至上主義やネオナチは、表面的な反発ではなく、もっと深く浸透している不満だ。トランプの発言はそれを正しく表している。アメリカが内戦に向かうことはないだろうが、街頭における暴力的な衝突は増えるだろう。政治はますます分極化し、国内テロが起きる。
バノンは「ホワイト・ナショナリスト」と呼ばれることを拒んだが、「経済ナショナリスト」と呼ばれるのは、もちろん、同意するだろう。彼は、アメリカと中国はすでに「経済戦争」を行っている。ホワイトハウスではバノンが「グローバリストたち」に敗北したが、経済ナショナリズムは長期の趨勢である。アメリカは、中国による知的所有権の侵害について調査を開始した。北京の進めるMade in China 2025は、顕著な重商主義政策であり、アメリカがこれに対抗する重商主義を採用する刺激となる。
他方、バノンは戦争に反対する意見を保持した。北朝鮮でも、アフガニスタンでも、トランプとバノンは孤立主義に傾き、彼らの敵対するグローバリストに比べて、外国における安全保障への関与を抑えようとした。イスラム教の拡大と戦うことは主張しなくなるが、伝統的な敵国、中国やロシアとの対抗に戻るだろう。
より深い構造的な諸力が働いている限り、すなわち、アメリカにおける不平等の拡大、白人の比率減少、中国の台頭は、アメリカの内外で動揺を深める。バノン主義は長く繁栄するのだ。
● 日本とプライベートエクイティ
Bloomberg
2017年8月21日
Private
Equity Will Do a Lot of Good for Japan Inc.
By
Noah Smith
2012年に、私は日本にもっと多くのプライベートエクイティ(PE)を求めるブログを書いた。日本企業は、偏屈で、非効率な職場文化によって制約されていた。経営者たちはしばしば老人で、職場の中で昇進を経た者であった。経営を変革する覚悟のある外部のダイナミックな経営者ではなかったのだ。株主たちはしばしば受け身で、経営者たちが業績に集中せず、企業支配の拡大を追求しても、企業の利潤率を高めるために何も行動しなかった。
PEは、こうした居心地のよい停滞した企業を揺さぶって、日本が長い生産性スランプから抜け出すのを助けるだろう。しかし、それには障害があった。1.敵対的買収はむつかしかった。日本企業の経営陣は経営者に支配されていたし、裁判所も買収を嫌った。2.日本政府は繰り返し、破たんした企業を救済した。こうしてPEが日本企業の経営に影響を与えて活躍する機会は奪われていた。
しかし、この数年、状況は変化した。超低金利で、銀行はPEへの資金供給を積極的に増やした。また、多くの日本企業は伝統的な家族経営であるが、少子化によって、後継者を得られなくなっていた。さらに、日本の大手企業でも、いくつか、不採算部門を整理し始めた。
● 中国の債務削減
FT August 23, 2017
Focus on financial risk puts China on a more
sustainable path
Nicholas
Lardy
超速で債務を増大させていた成長モデルから、中国指導部は金融リスクを抑えることに焦点を向けた精密な政策転換を行った。長くこの問題は触れられなかったが、2016年後半から、習近平主席が何度も演説している。
金融監督のトップが交代し、短期生命保険、銀行の過剰融資、巨額の外国企業買収、など、厳しい審査を行っている。中央委銀行は、銀行間市場も含めて、短期金利を引き上げた。先月設立された金融安定開発委員会はさまざまな監督の間で協力を求めている。
従来、そのような金融監督・規制強化はできない、と議論されていた。成長の減速にともなう企業の利潤減少は政府に厳しい反発を生じるから、国営企業は単に赤字を増やし、銀行は融資を増やすだろう、と。
しかし、そのような見方は間違っている。1.中国指導部は明確に成長より金融リスクを重視している。より穏やかな成長に向けた金融的ストレスを受け入れる用意がある。2.中国のGDPは10年間で倍増する成長を維持している。3.中国の成長は、債務の増加より、家計の消費に依存するようになった。
その結果、6.3%の成長率を実現するのに、これまでのような債務の膨張は必要ない。
● トランプのアフガニスタン戦争
FT August 23, 2017
Trump has bowed to the generals on
Afghanistan
トランプ大統領がアフガニスタンで失敗した政策を継承したのは間違いない。アメリカが歴史上もっとも長く戦った戦争は、恐らく勝利できない戦争である。ロシアも、大英帝国も敗退した。
月曜日、大統領はアフガニスタンに関する方針を示した。米軍が撤退すれば「真空が生じ、そこにISISやアルカイダを含むテロリストが瞬く間に広がる」と彼は語った。それはオバマ政権がイラク撤退で犯した失敗だ、と。アメリカ人とイラク人の兵士たちが多くの血を流して得た領域を、ISISが占領するのを許したのだ。
トランプは事態を好転させるため、将軍たちの助言を受け入れる。タリバンが逃げ込む場所を提供しているパキスタンに強く警告し、10000人規模の米軍、あるいは、特殊部隊の増派を行い、政府軍を強化する。
しかし、これらは何1つアメリカの戦略的条件を変えるものではない。トランプがこだわったのはオバマの遺産を払しょくすることだ。すなわち、軍事介入についてのタイムラインは何も示さない。国家再建はしない。これはテロリストたちを殺害し、敗退させるだけだ。純粋かつ単純に。
長期の関与を唱えながら、トランプはこの金のかかる、終わりのない介入を嫌っている。タリバンは、彼の言葉が空虚な脅しでしかないと思うだろう。
さらに悪いことに、これは核武装して対立するインドとパキスタンの関係に紛争を波及させるかもしれない。あるいは、パキスタンを中国の保護下に追いやるかもしれない。
もしアフガニスタンが反政府武装集団を平定できるとしたら、アメリカが軍を駐留させ、人々の心をつかむことである。しかし、トランプの心はここにない。
NYT AUG. 24, 2017
On Afghanistan, There’s No Way Out
Bret
Stephens
アフガニスタンで,われわれはすべて試みた.強硬策,柔軟策,国家建設,テロリストの殺害,パキスタンへの飴と鞭,外交.しかし,何1つうまくいかなかった.
軍事的な解決策はない.たとえ武装勢力を明日すべて殺害できたとしても,彼らは戻ってくる.宗教的な熱狂を求める学校,パシュトン人のエスニックな願い,ヘロイン貿易があるから.
● トランプ外交
Project Syndicate AUG 24, 2017
Can Trump Deal with North Korea and China?
JEFFREY
FRANKEL
長年,アメリカ人は北朝鮮の核の脅威を誤解し,その対応を間違った.また,中国との貿易赤字を誤解し,その重要性を過大評価した.今,トランプ大統領は,中国に対して新しい貿易障壁を設けると脅しており,その中国に,ますます危険になる北朝鮮の行動を抑制する手助けを求めている.これら2つの問題は密接に関連しているが,アメリカ政府はそのことを理解していないようだ.
北朝鮮が核開発を停止してアメリカの安全保障を得ることに合意するとしたら,それは中国が北朝鮮への石油輸出を止める厳しい制裁を行うときだ.トランプもそれを理解しているようだが,彼はアメリカとの貿易をその取引手段にできると考えている.このアプローチは間違っている.
熟達した交渉人は,ゲームを敵側の視点でも見ている.どのような結果になれば相手は喜ぶのか,どこに共通の基礎を見いだせるか.さらに取引が成立するためには,誘因と処罰の両方について信頼が求められる.トランプが中国に対して試みていることは,その両方に失敗している.中国の視点では,核武装した北朝鮮の方が,体制が崩壊して大規模な難民が流入することや,米軍が中国国境に迫ることより,ましなのだ.このような事情を考えるなら,アメリカの貿易障壁で中国を説得することはできない.
むしろアメリカと韓国は,たとえ中国の制裁で北朝鮮の体制が崩壊しても,米軍が38度線を超えて中国に近づくことはないし,統一した挑戦は核武装しない,と約束するべきだ.より短期的には,中国が厳しい制裁に参加するなら,ミサイル防衛システムTHAARの配備を延期してよい,と提案するべきだ.
しかし,トランプ大統領の発言に信頼が欠けていることは,こうした約束を受け入れられない条件にする.アメリカの同盟諸国でさえ,トランプ政権との取引を躊躇しているのだ.中国への貿易障壁には,貿易収支や,所得,雇用を改善する上で,何のメリットもない.もちろん,中国が北朝鮮に抑制を求める理由にもならない.
● プーチンのアキレス腱
Project Syndicate AUG 22, 2017
The Achilles Heel of Putin’s Regime
ANDERS
ASLUND
プーチン大統領の権力は、思われているより弱いものだ。その権力基盤が、過去1世代に築き上げた、個人的関係による経済制度の掌握であること自体に、彼の政治的な生存が脅かされているのだ。その理由は単純だ。所有権が確保できないロシアにおいて、ロシアの高官やオリガークたちは資産を海外に持ち出す。プーチンの築いたロシア国家の法的領域から逃げ出すのだ。
プーチンは、1998-99年、連邦治安機関の長官のときから、3つの権力サークルを形成した。すなわち、国家、国有企業、親密な関係にあるロイヤリストたちの「民間」企業。
2000-2004年、大統領としての最初の任期にプーチンが行った権力掌握は、権威主義的指導者として登場する理想的な手法を示した。第1に、2000年の夏、ロシアテレビを、その後、国家と地方機関の権力と司法機関を手に入れた。2003年には、下院選挙と上院選挙で立法府を支配した。治安機関に3人のKGB将軍を指名した。
第2に、2001年5月のGazpromに始まり、プーチンは国家企業を1つ1つ支配した。3人の経営者Igor Sechin of Rosneft, Aleksei
Miller of Gazprom, and Sergei Chemezov of Rostecが決まった。再選後の第2期には、子会社を増やして企業を肥大化させた。そのために、安価な国家融資、産業の独占権を与えた。彼らは、経済成長ではなく、権力とレントを追求した。経営者たちは市場競争、技術革新、企業家精神、生産性には関心がなかった。彼らに求められたのは、プーチンへの忠誠だけである。
第3に、プーチンの強力なクローニーGennady Timchenko, Arkady Rotenberg,
Yuri Kovalchuk, and Nikolai Shamalovが成長した。こうした企業は国家資産を奪うクレプトクラシーであったが、プーチンは法律を変更して彼らの活動を合法化した。国家企業からの市場を無視した資産買収、競争なしの政府契約獲得、など。
プーチンの築いた政治経済システムは、1860年代の改革まで、ロシアを支配したツァーの支配体制とよく似ている。彼は制度の発展を促すのではなく、むしろそれを解体し、自分の手に権力を集中した。
その結果、人々はロシアに資産を置かなくなった。権力が示す第4のサークルは、プーチンの支配が及ばない、海外のタックス・ヘイブン口座である。
スイス、その他のタックス・ヘイブンは、the Financial Action Task Forceによって情報を開示させられた。残った主要な資金保管所はアメリカとイギリスである。両国は匿名の資金流出入を許してきた。しかし、クリミアの非合法な合併後、アメリカとEUがプーチン政権に対する制裁として、その関係者を処罰した。ニューヨークやロンドン、その他、隠されたロシア資本は、西側にとって、プーチンの最も脆弱な標的となっている。
● アンゴラの選挙
FT August 23, 2017
Angola has potential, if only it could
realise it
David
Pilling
アンゴラを38年近くも統治したJose Eduardo dos Santosが退場する。彼が決めた後継者Joao Lourencoに権力を譲るのだ。しかし、MPLA(the Popular Movement for the
Liberation of Angola)の党首を続け、彼の億万長者の娘Isabelと息子Jose Filomenoは、国営石油会社の社長と政府投資ファンドの会長である。Lourencoの経歴も、ソ連で軍事訓練を受け、ポルトガルからの独立闘争をMPLAで現大統領と同じく経験した。
強固な地層が破壊される様子はない。しかし、アンゴラが権力構造の再編を生じる可能性を過小評価してはならない。中国で習近平が示したように。
何が革新をもたらす触媒だろうか? 第1に、選挙である。かつて27年間内戦を戦ってきたが、今や野党であるUnita(the National Union for the Total
Independence of Angola)が支持を増やすことだ。あるいは、さらに大きな触媒はMPLA内でLourencoが支持者に利益を分配する中で、Isabelやdos Santosの仲間から利権を奪うことだ。
アンゴラは1人当たりGDPでは中所得の水準であるが、その社会指標は悪い。同じか少し少ない水準のベトナムの平均寿命が76歳であるのに比べて、アンゴラでは52歳だ。Lourencoは変革を約束した。汚職と戦い、経済発展を目指す。しかし、dos Santosも同じ約束をしたのだ。事態は悪化し、石油価格の下落で経済状態も急落した。
これほど腐敗したアンゴラであるから、明らかに少ないコストでもっと成果を上げられるだろう。庶民の生活を改善し、石油に依存し過ぎた経済を転換する。
MPLAは公約を実現するだろうか?
● 新興諸国からの観光客
FP AUGUST 23, 2017
The Decline of the Western Tourist
BY
AFSHIN MOLAVI
中国、インド、その他の新興市場から多くの中産階級が世界の観光地に旅するようになった。それは世界の成長のエンジンとなっている。欧米観光客のためのサービスは消えてゆくだろう。
アジアでも旅行ブームだ。旅行することで、外国に対するステレオタイプの理解が破壊される。南沙諸島の紛争が消えるわけではないが、アジアの都市中間層は全く異なる認識地図を得るだろう。
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The Economist
August 12th 2016
Roadkill
Russia
and NATO: Dangerous games
Muslim
minorities (1): Trampled by elephants
Charter
cities in Honduras: A shadowy experiment
The
Fed’s next chair: Rate race
Dutch
disease: The Nigerian complaint
(コメント) 内燃機関による自動車が滅び,バッテリーによる電気輸送システムが展開されるサービス社会を,すでに構想する段階に入りました.
ロシアとNATOの戦争を懸念すると同時に,タイ南部のイスラム教徒たちに対する軍事政権の弾圧が,チェチェンと同様に,権力層の政治的手段となっているのかもしれません.
中国の資源需要や,アメリカ連銀の放出する資本と,オランダ病の発生や治療との関係が,IMFでも問い直されます.
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IPEの想像力 8/28/17
戦争は秩序を求め、秩序は戦争を求める。そうであれば,秩序やその改革メカニズムが安定することで,戦争を回避できるかもしれません.
香港と台湾の苦しみを想うとき、中国の外交・国際関係が周辺諸国との安定した市場統合化を維持できるのか、疑問を感じます。雨傘革命の中で,黄之鋒(ジョシュア・ウォン)が示した熱烈な民主主義の要求を,北京政府は弾圧するのでしょうか? 彼のような若者の情熱を受け入れられない政治が続くのは,中国にとって不幸だ,と思います.
権力の願いは際限なく,秩序の安定化に対する障害を取り除きます.東シナ海、南シナ海、北朝鮮、インドとの国境紛争、ロシアとの国境紛争、西域と新シルクロード.
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中国の経済成長は軍備の拡大と周辺地域への影響力を強め,国際機関での発言が責任をともないます.それはアジア各国の不安と軍備拡大,同盟再編も促します.他方、トランプ大統領が加速したアメリカの3つの戦争、内戦(文化・人種戦争)、貿易(経済)戦争、国際介入戦争も続くでしょう。
北朝鮮は核武装し、アフガニスタンでは背後に2つの対立する核保有国,パキスタンとインド,さらに中国の影響拡大を予想させます.アメリカのトランプ政権がどのような戦略を取るとしても,それだけで平和は得られないでしょう.平和を築くとは,安全保障の基礎を得て,その先に政治経済秩序の原則を合意し,互いの繁栄を少しずつ共有できる時代を切り開く,というイメージが正しいように思います.
他方,シリア内戦を終わらせる地域安全保障の請負人は,プーチンやエルドアンです.アメリカの共和党が多数を支配する議会やトランプ政権は,イランとの核合意を破棄すると脅しはじめています.環境悪化や人口爆発によって混乱と難民流出を広げるアフリカについて,アンゴラの話を読みました.植民地からの独立,20年以上の内戦,石油資源による政治腐敗,中国などからの開発投資,急速な成長と独裁,そして,ようやく選挙による大統領の交代が実現します.
中国も、ロシアも、アメリカも、EUも、各国は内外の秩序を求め、その戦略を示して話し合います。無秩序も波及します.内戦、戦争、革命とその輸出。
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戦争(勃発の危機)は続きます.核抑止以外に,それを回避する新しい仕組みがあるはずです.
ますます多くの新興諸国が豊かな中産階級を生み出し,海外旅行者の形で成長やインフラ整備を刺激し,治安回復や敵対意識の解消に役立つ時代が来たようです.だれもがこの過程で,GoogleやAirbnbを介してつながります.
それぞれの土地の、地理や歴史、風俗を通じて、世界政治経済の理解を深めることが、つまり、「新日本紀行」や「街道をゆく」のような知識のグローバルな集積が、もっと共有されることを願います.それがきっと離れて住む人々をつなぐ土台となるからです。
平和と繁栄の島々が広がり、連携する力・秩序を形成します.香港衆志のJoshua Wongこそ,その指導者です.
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