(前半から続く)
● トランプのアフガニスタン戦争
NYT AUG.
22, 2017
Back to
Nation-Building in Afghanistan. Good.
By MAX BOOT
トランプは方針を変えてアフガニスタンに増派する。それはオバマのときと似ている。
その違いは、トランプは撤退の起源を示さず、また、タリバンとの交渉を期待しない、ことだ。しかし、その考えは根本的なところで共通している。その言葉を避けているだけで、これは明らかな「国家建設」計画だ。
NYT AUG.
22, 2017
From Kabul
to Baghdad, My Bird’s-Eye View
Thomas L. Friedman
アフガニスタンでは、特殊部隊が戦い過ぎるし、殺し過ぎる。彼らが正当性を得ることはない。
イラクが平和になるとしたら、各派の参加する真のパワー・シェアリングが実現したときだ。イラクはアラブ世界の縮図である。
アフガニスタンの選択肢とは、早く負けるか、遅く負けるか。大きく負けるか、小さく負けるか。それだけである。
FP AUGUST
22, 2017
Back to
the Future in Afghanistan
BY JAMES STAVRIDIS
FP AUGUST
22, 2017
Trump Is
Right About Afghanistan
BY PETER FEAVER
FT August
23, 2017
Trump has
bowed to the generals on Afghanistan
トランプ大統領がアフガニスタンで失敗した政策を継承したのは間違いない。アメリカが歴史上もっとも長く戦った戦争は、恐らく勝利できない戦争である。ロシアも、大英帝国も敗退した。
月曜日、大統領はアフガニスタンに関する方針を示した。米軍が撤退すれば「真空が生じ、そこにISISやアルカイダを含むテロリストが瞬く間に広がる」と彼は語った。それはオバマ政権がイラク撤退で犯した失敗だ、と。アメリカ人とイラク人の兵士たちが多くの血を流して得た領域を、ISISが占領するのを許したのだ。
トランプは事態を好転させるため、将軍たちの助言を受け入れる。タリバンが逃げ込む場所を提供しているパキスタンに強く警告し、10000人規模の米軍、あるいは、特殊部隊の増派を行い、政府軍を強化する。
しかし、これらは何1つアメリカの戦略的条件を変えるものではない。トランプがこだわったのはオバマの遺産を払しょくすることだ。すなわち、軍事介入についてのタイムラインは何も示さない。国家再建はしない。これはテロリストたちを殺害し、敗退させるだけだ。純粋かつ単純に。
長期の関与を唱えながら、トランプはこの金のかかる、終わりのない介入を嫌っている。タリバンは、彼の言葉が空虚な脅しでしかないと思うだろう。
さらに悪いことに、これは核武装して対立するインドとパキスタンの関係に紛争を波及させるかもしれない。あるいは、パキスタンを中国の保護下に追いやるかもしれない。
もしアフガニスタンが反政府武装集団を平定できるとしたら、アメリカが軍を駐留させ、人々の心をつかむことである。しかし、トランプの心はここにない。
FT August
23, 2017
Trump’s
Afghan policy is tougher than Pakistan expected
Ahmed Rashid
Bloomberg
2017年8月23日
Trump's
Plan to Save the Afghanistan Bush and Obama Built
By Eli Lake
NYT AUG.
23, 2017
Why Trump
Is Right to Get Tough With Pakistan
By ZALMAY KHALILZAD
FP AUGUST
23, 2017
Trump Administration
Threatens to Cut Aid to Pakistan. Does It Matter?
BY PAUL MCLEARY, DAN DE LUCE
Bloomberg
2017年8月24日
Trump's
Afghan Strategy Is Different, and Braver, Than Obama's
By Meghan L. O'Sullivan
NYT AUG.
24, 2017
On
Afghanistan, There’s No Way Out
Bret Stephens
アフガニスタンで,われわれはすべて試みた.強硬策,柔軟策,国家建設,テロリストの殺害,パキスタンへの飴と鞭,外交.しかし,何1つうまくいかなかった.
軍事的な解決策はない.たとえ武装勢力を明日すべて殺害できたとしても,彼らは戻ってくる.宗教的な熱狂を求める学校,パシュトン人のエスニックな願い,ヘロイン貿易があるから.
● 労組とNAFTA
NYT AUG.
22, 2017
Labor
Wants to Make Nafta Its Friend. Here’s the Problem.
Eduardo Porter
労働組合はNAFTAによって賃金を引き上げることができると思うのか? かつてクリントンの示した約束、メキシコに労働組合を創る、は無駄だった。今度は、はっきり不公平な競争、すなわち、賃金格差の是正を求めている。
メキシコ人労働者の低賃金は、生産性ではなく、工場をメキシコに誘致する政策である、と鉄鋼労働者組合のエコノミストは言う。しかし、NAFTAが守るメキシコ側の賃金の基準はあいまいな、「生活賃金」闘争の帝国主義的輸出でしかない。
メキシコの賃金を決めるのは、NAFTAではなく、膨大なインフォーマル市場である。労働者の雇用に、何の規制も基準もない。メキシコ人労働者の半分が、国内市場向け、低生産性の零細企業で、未熟練労働者として働いている。
NAFTAは北米の資源配置をより効率的に再編し、労働者の生活水準を改善するだろう。政策にできることは、職業訓練と生活保障の充実である。
The
Guardian, Thursday 24 August 2017
Nafta
failed American workers. Here's how Trump can fix our trade woes
Marcy Kaptur
● トランプ外交
FT August
23, 2017
The
conflict at the heart of Donald Trump’s foreign policy
Robert Zoellick
トランプが半年間の政権で示した外交には5つの特徴がある。トランプ外交は、その程度ではなく対オプにおいて違いがある。
1.制度より取引。トランプは、交渉人として、繰り返し対決姿勢を取る。衝動的で、不確実さを振りまくことがレバレッジになる(自分の力を強める)と信じている。トランプのエゴが例外的に大きな役割を果たし、人間関係や家族を重視する。自分のスタッフたちより自分自身を信じる。
2.国内政治の関心が外交を支配する。3.通商政策は、最も顕著に、トランプ個人の不協和音を反映する。4.同盟関係に矛盾した評価をしている。アメリカは寛容過ぎた。もっとプロフェッショナルな関係にすべきだ。
5.トランプ政権は、彼とは別に、アメリカにとって重要な転機を形成している。建国の父たちが思慮深く築いた制度を、トランプは自分を制約する「影の国家」とみなして攻撃する。外交においても、トランプはこれまでの国際主義を廃してナショナリズムを主張する。こうした対立は間違いだ。両者は協調して、アメリカの独自の指導力を形成してきた。
FP AUGUST
23, 2017
Time Is Up
on Rex Tillerson
BY MAX BOOT
FP AUGUST
23, 2017
Senior
U.S. Diplomat Overseeing European Issues Forced Out
BY ROBBIE GRAMER, DAN DE LUCE, COLUM LYNCH
Project
Syndicate AUG 24, 2017
Can Trump
Deal with North Korea and China?
JEFFREY FRANKEL
長年,アメリカ人は北朝鮮の核の脅威を誤解し,その対応を間違った.また,中国との貿易赤字を誤解し,その重要性を過大評価した.今,トランプ大統領は,中国に対して新しい貿易障壁を設けると脅しており,その中国に,ますます危険になる北朝鮮の行動を抑制する手助けを求めている.これら2つの問題は密接に関連しているが,アメリカ政府はそのことを理解していないようだ.
北朝鮮が核開発を停止してアメリカの安全保障を得ることに合意するとしたら,それは中国が北朝鮮への石油輸出を止める厳しい制裁を行うときだ.トランプもそれを理解しているようだが,彼はアメリカとの貿易をその取引手段にできると考えている.このアプローチは間違っている.
熟達した交渉人は,ゲームを敵側の視点でも見ている.どのような結果になれば相手は喜ぶのか,どこに共通の基礎を見いだせるか.さらに取引が成立するためには,誘因と処罰の両方について信頼が求められる.トランプが中国に対して試みていることは,その両方に失敗している.中国の視点では,核武装した北朝鮮の方が,体制が崩壊して大規模な難民が流入することや,米軍が中国国境に迫ることより,ましなのだ.このような事情を考えるなら,アメリカの貿易障壁で中国を説得することはできない.
むしろアメリカと韓国は,たとえ中国の制裁で北朝鮮の体制が崩壊しても,米軍が38度線を超えて中国に近づくことはないし,統一した挑戦は核武装しない,と約束するべきだ.より短期的には,中国が厳しい制裁に参加するなら,ミサイル防衛システムTHAARの配備を延期してよい,と提案するべきだ.
しかし,トランプ大統領の発言に信頼が欠けていることは,こうした約束を受け入れられない条件にする.アメリカの同盟諸国でさえ,トランプ政権との取引を躊躇しているのだ.中国への貿易障壁には,貿易収支や,所得,雇用を改善する上で,何のメリットもない.もちろん,中国が北朝鮮に抑制を求める理由にもならない.
● プーチンのアキレス腱
Project
Syndicate AUG 22, 2017
The
Achilles Heel of Putin’s Regime
ANDERS ÅSLUND
プーチン大統領の権力は、思われているより弱いものだ。その権力基盤が、過去1世代に築き上げた、個人的関係による経済制度の掌握であること自体に、彼の政治的な生存が脅かされているのだ。その理由は単純だ。所有権が確保できないロシアにおいて、ロシアの高官やオリガークたちは資産を海外に持ち出す。プーチンの築いたロシア国家の法的領域から逃げ出すのだ。
プーチンは、1998-99年、連邦治安機関の長官のときから、3つの権力サークルを形成した。すなわち、国家、国有企業、親密な関係にあるロイヤリストたちの「民間」企業。
2000-2004年、大統領としての最初の任期にプーチンが行った権力掌握は、権威主義的指導者として登場する理想的な手法を示した。第1に、2000年の夏、ロシアテレビを、その後、国家と地方機関の権力と司法機関を手に入れた。2003年には、下院選挙と上院選挙で立法府を支配した。治安機関に3人のKGB将軍を指名した。
第2に、2001年5月のGazpromに始まり、プーチンは国家企業を1つ1つ支配した。3人の経営者Igor
Sechin of Rosneft, Aleksei Miller of Gazprom, and Sergei Chemezov of Rostecが決まった。再選後の第2期には、子会社を増やして企業を肥大化させた。そのために、安価な国家融資、産業の独占権を与えた。彼らは、経済成長ではなく、権力とレントを追求した。経営者たちは市場競争、技術革新、企業家精神、生産性には関心がなかった。彼らに求められたのは、プーチンへの忠誠だけである。
第3に、プーチンの強力なクローニーGennady
Timchenko, Arkady Rotenberg, Yuri Kovalchuk, and Nikolai Shamalovが成長した。こうした企業は国家資産を奪うクレプトクラシーであったが、プーチンは法律を変更して彼らの活動を合法化した。国家企業からの市場を無視した資産買収、競争なしの政府契約獲得、など。
プーチンの築いた政治経済システムは、1860年代の改革まで、ロシアを支配したツァーの支配体制とよく似ている。彼は制度の発展を促すのではなく、むしろそれを解体し、自分の手に権力を集中した。
その結果、人々はロシアに資産を置かなくなった。権力が示す第4のサークルは、プーチンの支配が及ばない、海外のタックス・ヘイブン口座である。
スイス、その他のタックス・ヘイブンは、the
Financial Action Task Forceによって情報を開示させられた。残った主要な資金保管所はアメリカとイギリスである。両国は匿名の資金流出入を許してきた。しかし、クリミアの非合法な合併後、アメリカとEUがプーチン政権に対する制裁として、その関係者を処罰した。ニューヨークやロンドン、その他、隠されたロシア資本は、西側にとって、プーチンの最も脆弱な標的となっている。
● トランプの貿易論
VOX 22
August 2017
The Trump
doctrine on international trade: Part one
William Nordhaus
VOX 22
August 2017
The Trump
doctrine on international trade: Part two
William Nordhaus
トランプの信じる貿易論とその間違い,トランプが用いる国境税と,貿易相手国を犠牲にしたアメリカ富裕層への再分配,について考察する.
● アメリカ・イージス艦事故
The
Guardian, Wednesday 23 August 2017
The latest
US navy collision should worry Trump’s Asian allies
Mary Dejevsky
● アンゴラの選挙
FT August
23, 2017
Angola has
potential, if only it could realise it
David Pilling
アンゴラを38年近くも統治したJosé
Eduardo dos Santosが退場する。彼が決めた後継者João
Lourençoに権力を譲るのだ。しかし、MPLA(the Popular Movement for the
Liberation of Angola)の党首を続け、彼の億万長者の娘Isabelと息子José Filomenoは、国営石油会社の社長と政府投資ファンドの会長である。Lourençoの経歴も、ソ連で軍事訓練を受け、ポルトガルからの独立闘争をMPLAで現大統領と同じく経験した。
強固な地層が破壊される様子はない。しかし、アンゴラが権力構造の再編を生じる可能性を過小評価してはならない。中国で習近平が示したように。
何が革新をもたらす触媒だろうか? 第1に、選挙である。かつて27年間内戦を戦ってきたが、今や野党であるUnita(the National Union for the Total
Independence of Angola)が支持を増やすことだ。あるいは、さらに大きな触媒はMPLA内でLourençoが支持者に利益を分配する中で、Isabelやdos Santosの仲間から利権を奪うことだ。
アンゴラは1人当たりGDPでは中所得の水準であるが、その社会指標は悪い。同じか少し少ない水準のベトナムの平均寿命が76歳であるのに比べて、アンゴラでは52歳だ。Lourençoは変革を約束した。汚職と戦い、経済発展を目指す。しかし、dos
Santosも同じ約束をしたのだ。事態は悪化し、石油価格の下落で経済状態も急落した。
これほど腐敗したアンゴラであるから、明らかに少ないコストでもっと成果を上げられるだろう。庶民の生活を改善し、石油に依存し過ぎた経済を転換する。
MPLAは公約を実現するだろうか?
● ドイツの変心
SPIEGEL
ONLINE 08/23/2017
A Test of
Maturity
Germany
Must Abandon Its Military Reluctance and Lead
An Essay By Anne Applebaum
1989年、ベルリンの壁崩壊では、暴力が広まることが十分にあり得た。しかし、ドイツ人は暴力を回避した。東ドイツ政府はそれほど国民の信頼を失っていたからだ。暴力を行使してまで体制を維持することを諦めた。また、東ドイツの国民は西ドイツに入りたかったからだ。平和で、豊かで、開放され、寛容で、西側の、民主主義同盟に参加したかったのだ。
しかし、今は大きく変化した。人々は新しい条件で、ドイツの存続を問い始めている。環境保護、国際機関重視、人権尊重のドイツは、アメリカと西側同盟が失われても生き残れるのか? 国境を接する諸国は、ドイツと同じ平和主義、非暴力の原則を信奉していない。何も問題がない、というふりをするか、あるいは、他のヨーロッパ諸国を率いて、少なくとも、ともに指導的な役割を受け入れて、アメリカに頼らず、ドイツも軍事的な負担を受け入れるか?
SPIEGEL
ONLINE 08/23/2017
A Tale of
Two Countries
Why There
Won't Be a German Trump
An Essay by Dirk Kurbjuweit
NYT AUG.
23, 2017
How
Germany Deals With Neo-Nazis
Anna Sauerbrey
NYT AUG.
24, 2017
The German
Election Season Is Quiet. Too Quiet.
Jochen Bittner
● 新しい核危機
Project
Syndicate AUG 23, 2017
The New
Nuclear Danger
JOSCHKA FISCHER
かつて、子供の頃、第3次世界大戦と熱核戦争の恐怖を感じて暮らしていたが、それは冷戦終結とソ連崩壊まで続いた。その後、減少してきた核戦争の不安は、最近、不安定で、独裁者の支配する小国が核武装するに従い、高まっている。
この新しい環境においては、冷戦期のような米ソによる「抑止の合理性」は成立せず、核保有国が増えるにつれて、核兵器を使用する閾値が下がってしまうだろう。北朝鮮の核危機は、東アジア、ペルシャ湾において、核軍拡競争を刺激し、世界平和を直接に脅かすものである。
トランプ大統領は、この問題を冷静に、辛抱強く、外交によって解決する理性を示そうとしない。
FP AUGUST
23, 2017
Trump’s
Nuclear Crisis Was of His Own Making
BY NED PRICE
FP AUGUST
24, 2017
Can Anyone
Stop Trump If He Decides to Start a Nuclear War?
BY SUSAN HENNESSEY, BENJAMIN WITTES
● 新興諸国からの観光客
FP AUGUST
23, 2017
The
Decline of the Western Tourist
BY AFSHIN MOLAVI
中国、インド、その他の新興市場から多くの中産階級が世界の観光地に旅するようになった。それは世界の成長のエンジンとなっている。欧米観光客のためのサービスは消えてゆくだろう。
アジアでも旅行ブームだ。旅行することで、外国に対するステレオタイプの理解が破壊される。南沙諸島の紛争が消えるわけではないが、アジアの都市中間層は全く異なる認識地図を得るだろう。
● 教育・技術への投資
FT August
24, 2017
America
tampers with the Chomsky trade at its peril
Mark Blyth
技術革新や科学教育・研究に対する政府投資を、トランプ政権や中国政府はどのように行うのか?
● 世界金融危機10周年
Project
Syndicate AUG 24, 2017
Who Wants
to Deregulate Finance?
HOWARD DAVIES
アメリカでは、世界金融危機後に行われた金融規制改革を破棄しようとする者たちがいる。
Project
Syndicate AUG 24, 2017
The
Post-Crisis Elephant in the Room
ANTONIO FOGLIA
金融改革は不十分である。政治家たちは権力を損なわないように、自ら作り上げた複雑なシステムの、操作可能な分野だけを「改革」する。
NYT AUG.
24, 2017
Knowing
Where to Look 10 Years After Start of Financial Crisis
By ROB COX
Bloomberg
2017年8月24日
Thinking
Two Moves Ahead in Central Bank Chess
By Daniel Moss
FT August
25, 2017
The Fed
ponders the fractious politics of debt
● オバマはどこか?
NYT AUG.
24, 2017
President
Obama, Where Are You?
By CAROLINE RANDALL WILLIAMS
オバマ大統領.今,あなたが話しはじめるときだ.
あなたはこの国で最高の公職に就いた人だ.あなたは憲法の専門家で,いわゆるアメリカン・ドリームの理想を体現していた.
2008年,私はあなたに何度も電話した.その夏,ナッシュヴィルの民主党本部で,私は働いた.私は人々に有権者登録した.私はあなたの声を聴いた.その数年間,私にとってあなたの声は重力であり,良識,正直さであった.2009年まで,私の大統領は黒人,議会多数は民主党であった.
私の世代はそのころ大学を卒業し,最初の職を得て,大人になった.あなたがホワイトハウスにいることを通して,私たちは政治を学んだ.あなたが私たちを育てたのだ.
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The Economist August 12th 2016
Roadkill
Russia and NATO: Dangerous games
Muslim minorities (1): Trampled by
elephants
Charter cities in Honduras: A shadowy
experiment
The Fed’s next chair: Rate race
Dutch disease: The Nigerian complaint
(コメント) 内燃機関による自動車が滅び,バッテリーによる電気輸送システムが展開されるサービス社会を,すでに構想する段階に入りました.
ロシアとNATOの戦争を懸念すると同時に,タイ南部のイスラム教徒たちに対する軍事政権の弾圧が,チェチェンと同様に,権力層の政治的手段となっているのかもしれません.
中国の資源需要や,アメリカ連銀の放出する資本と,オランダ病の発生や治療との関係が,IMFでも問い直されます.
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IPEの想像力 8/28/17
戦争は秩序を求め、秩序は戦争を求める。そうであれば,秩序やその改革メカニズムが安定することで,戦争を回避できるかもしれません.
香港と台湾の苦しみを想うとき、中国の外交・国際関係が周辺諸国との安定した市場統合化を維持できるのか、疑問を感じます。雨傘革命の中で,黄之鋒(ジョシュア・ウォン)が示した熱烈な民主主義の要求を,北京政府は弾圧するのでしょうか? 彼のような若者の情熱を受け入れられない政治が続くのは,中国にとって不幸だ,と思います.
権力の願いは際限なく,秩序の安定化に対する障害を取り除きます.東シナ海、南シナ海、北朝鮮、インドとの国境紛争、ロシアとの国境紛争、西域と新シルクロード.
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中国の経済成長は軍備の拡大と周辺地域への影響力を強め,国際機関での発言が責任をともないます.それはアジア各国の不安と軍備拡大,同盟再編も促します.他方、トランプ大統領が加速したアメリカの3つの戦争、内戦(文化・人種戦争)、貿易(経済)戦争、国際介入戦争も続くでしょう。
北朝鮮は核武装し、アフガニスタンでは背後に2つの対立する核保有国,パキスタンとインド,さらに中国の影響拡大を予想させます.アメリカのトランプ政権がどのような戦略を取るとしても,それだけで平和は得られないでしょう.平和を築くとは,安全保障の基礎を得て,その先に政治経済秩序の原則を合意し,互いの繁栄を少しずつ共有できる時代を切り開く,というイメージが正しいように思います.
他方,シリア内戦を終わらせる地域安全保障の請負人は,プーチンやエルドアンです.アメリカの共和党が多数を支配する議会やトランプ政権は,イランとの核合意を破棄すると脅しはじめています.環境悪化や人口爆発によって混乱と難民流出を広げるアフリカについて,アンゴラの話を読みました.植民地からの独立,20年以上の内戦,石油資源による政治腐敗,中国などからの開発投資,急速な成長と独裁,そして,ようやく選挙による大統領の交代が実現します.
中国も、ロシアも、アメリカも、EUも、各国は内外の秩序を求め、その戦略を示して話し合います。無秩序も波及します.内戦、戦争、革命とその輸出。
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戦争(勃発の危機)は続きます.核抑止以外に,それを回避する新しい仕組みがあるはずです.
ますます多くの新興諸国が豊かな中産階級を生み出し,海外旅行者の形で成長やインフラ整備を刺激し,治安回復や敵対意識の解消に役立つ時代が来たようです.だれもがこの過程で,GoogleやAirbnbを介してつながります.
それぞれの土地の、地理や歴史、風俗を通じて、世界政治経済の理解を深めることが、つまり、「新日本紀行」や「街道をゆく」のような知識のグローバルな集積が、もっと共有されることを願います.それがきっと離れて住む人々をつなぐ土台となるからです。
平和と繁栄の島々が広がり、連携する力・秩序を形成します.香港衆志のJoshua
Wongこそ,その指導者です.
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