IPEの果樹園2017 

今週のReview

8/21-26

***************************** 

米朝核危機の現在 ・・・核廃絶への道 ・・・トランプ外交と狂人 ・・・世界金融危機の回顧 ・・・経常収支不均衡の神話 ・・・インド独立70周年 ・・・米中経済摩擦 ・・・Brexitとノルウェー ・・・第3共和制に向けて ・・・南シナ海とアメリカ

 [長いReview]

****************************** 

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 米朝核危機の現在

The Guardian, Friday 11 August 2017

Trump is the real nuclear threat, and we can’t just fantasise him away

Jonathan Freedland

The Guardian, Friday 11 August 2017

Putting the nuke into nuclear family: it’s Trump and Kim Jong-un

Marina Hyde

FT August 11, 2017

China holds the key to solving the Korean puzzle

Bronwen Maddox

トランプの挑発的な言葉は、はるかに弱い核武装国でも重大な脅威となることを理解しない、この危機の要点をつかめていない発言だ。また、アメリカ大統領が、彼にとってのいわゆる「フェイクニュース・メディア」、独立した検事総長、世界で最も孤立した無頼国家の指導者、何でも我慢しない性格を示すものだ。

この危機を処理する良い方策は存在しない。ただし、いくつかの選択肢は他の選択肢よりはるかにひどい、ということだ。

トランプは、この危機をもっと時間をかける交渉過程に変えて、中国の圧力が北朝鮮を抑えるようにしなければならない。そして、同盟国である韓国や日本が防衛力を高めることだ。

Project Syndicate AUG 11, 2017 6

A Greener Grid for East Asia

SUNG-YOUNG KIM and JOHN A. MATHEWS

NYT AUG. 11, 2017

How to Prevent a Cyberwar

By JARED COHEN

NYT AUG. 11, 2017

Donald Trump Is Giving North Korea Exactly What It Wants

By JEAN H. LEE

SPIEGEL ONLINE 08/12/2017

Dueling Hotheads

The War of Words that Could Go Nuclear

By Veit Medick, Juliane von Mittelstaedt, Christoph Scheuermann, Wieland Wagner and Bernhard Zand

Bloomberg 2017812

The Alternative to Nuclear War Is a Revolution

By Eli Lake

トランプ政権の北朝鮮に対する姿勢は、オバマ政権と基本的に同じである。軍事的な選択肢はあまりに大きな損害を生じるから採用できない。トランプは、本気で、独裁者である金正恩と取引したいのかもしれない。しかし、トランプは戦争を予告し、ティラーソンは体制転換を否定する。「これはオバマ・プラスである」とMichael Auslinは述べた。ヤドカリ王国を、脅迫し、丸め込み、取引する。

しかし、北朝鮮の通常兵力でもソウルは人質になっており、わずかな核兵器でも米軍に大きなダメージを与えることができる。金正恩は約束を守らない。北朝鮮に米軍が侵攻することは、中国との戦争というリスクがある。今、アメリカ政府が選択できる答えはないのだ。

オバマ政権で、民主主義、人権、労働問題の次官補であったTom Malinowskiは、アメリカが北朝鮮に情報を流し込むべきだ、と主張した。北朝鮮の情報管理体制は以前に比べて弱まっている。アメリカは、「体制転換」を軽い気持ちで言及してはならない。しかし、冷戦がそうであったように、唯一、持続可能な解決策とは、北朝鮮の国民が自分たちで事態を変えることであろう。その国の内部で起き始めた意識の変化を加速することで、われわれはその過程を促進できる。

NYT AUG. 12, 2017

The Missiles of August

Ross Douthat

キューバ・ミサイル危機を回避できたのだから、北朝鮮の場合も大丈夫だ、と考えるのは間違いだ。トランプはケネディーではない。確かにトランプも、秘密取引に応じるだろう。そして成功を宣伝する。しかし、アメリカが譲歩したことを秘密にすることはむつかしいだろう。それはトランプの権力を損なうから、取引は成立しない。

取引が成功するとしたら、Twitterで暴言を撒くトランプとは別に、彼の知らない間に、その外交・安全保障のスタッフたちが秘密交渉することだ。

The Guardian, Sunday 13 August 2017

Americans once carpet-bombed North Korea. It's time to remember that past

Bruce Cumings

トランプの脅しは中身がない。北朝鮮は明確だ。アメリカ空軍は3年間も爆弾の雨を降らせて、北朝鮮の都市を消滅させた。それはドイツや日本に対する空襲を超える規模であった。広島と長崎に原子爆弾を使用したトルーマンによる「死滅」を観た者が表現した同じ言葉を、朝鮮戦争後の北を訪問した者は残した。

トランプとその愚かな助言者たちは、威嚇の言葉を無意味に吐く。アメリカの軍事力は、北朝鮮だけでなく、世界に比肩する者がない圧倒的なパワーを誇示している。しかし、それはアメリカが1945年以来、5つの戦争に敗北し続けたことを説明できない。北朝鮮はアメリカ軍が侵攻する瞬間をずっと待っている。

アメリカ人の多くはトランプの言葉の愚かさを理解できない。それは、われわれと同じように暮らす2500万人の国民を死滅させるという警告だ。アメリカ人は北朝鮮に対する「じゅうたん爆撃」が何であったかを知らないからだ。しかし、彼らは知っている。

Project Syndicate AUG 13, 2017

China’s “Double-Freeze” Con

MINXIN PEI

FT August 14, 2017

China has a vested interest in keeping the peace between Trump and Kim

Dingli Shen

Project Syndicate AUG 14, 2017

A Dangerous Game of Chicken

YOON YOUNG-KWAN

Project Syndicate AUG 14, 2017

Can South Korea Save the Day?

KATHARINE H.S. MOON

FT August 15, 2017

North Korea backs away from Guam strike threat

Bryan Harris in Seoul and Katrina Manson in Washington

FP AUGUST 15, 2017

The Supreme Art of War on the Korean Peninsula: Regime Change Through Targeting the Mind of Kim Jong Un

BY THOMAS E. RICKS

By Lt. Col. Paul Yingling, U.S. Army (Ret.)

Bloomberg 2017815

The Sane Way to Live With North Korea's Nukes

By Hal Brands And Francis J. Gavin

トランプほど外交を知らない人物でなくても、アメリカ大統領にこの危機を解決する選択肢はないだろう。

問題の核心は、ワシントンがこの数十年間追求してきた、非常に困難な課題である。それは、他の主権国家にその安全保障を得るための武器を持たせない、ということだ。しかし、核弾頭や弾道ミサイルの技術は特に高度なものではない。1940年代、そして1950年代―60年代に完成している。十分な投資と時間があれば、そしてアメリカへの敵意があれば、核兵器を開発することは可能だ。

アメリカはそれを阻むために、1960年代から、核不拡散条約を結んできた。アメリカは敵国だけでなく、日本、韓国、台湾のような同盟国も含めて、他国が核武装するのを、制裁その他の圧力によって抑えた。冷戦時代には、ソ連と協力して、西ドイツが核武装するのを抑えた。

なぜアメリカは同盟国への核の傘を保証する核武装にまで投資し続けるのか? アメリカの防衛関係者は、核兵器が拡散して核戦争が起きることを恐れてきた。また敵国の核武装がアメリカ軍や同盟関係を弱めることを心配した。アメリカ政府は、核拡散が進む世界では、その外交的影響力や行動の軍事的自由を損なう、と懸念した。

核武装した諸国は、いずれもその時代の典型的な無頼国家rogue statesであった。アメリカは常に、軍事的な選択肢を、無制限に共存する選択肢と比較、検討した。それゆえ、アメリカは常に「抑止プラス」を選択した。しかし、北朝鮮の核ミサイルはアメリカに戦略的なジレンマを生じる。アメリカに達する核ミサイルが本土に報復するリスクを知りながら、アメリカは日本や韓国を守るのか?  シアトルを犠牲にしてソウル、ポートランドを犠牲にしてプサンを守るだろうか?

それは信じがたいだろう。そして、韓国や日本が核武装する圧力は高まる。このジレンマを抑えるには、アメリカと同盟諸国は、北朝鮮との交渉を通じた不満足な取引に応じるしかない。すなわち、北朝鮮がミサイル開発と核実験を凍結する代わりに、経済的、外交的な譲歩を与えること、あるいは、米韓軍事演習を一時的に中止することだ。

そのような取引は過去に試みられたが、すべて失敗に終わった。長期的に観て、アメリカは北朝鮮の核ミサイルと共存するしかない。1940年代にソ連、1960年代に中国を、ワシントンは核保有国として受け入れた。同時に、核による報復で抑止し続けたのだ。金正恩も同じである。

北朝鮮の脅威を緩和するために、ミサイル防衛システムへの投資。特殊部隊から精密誘導爆弾、低レベル核爆弾など、報復能力の改善、といった他の努力が続けられる。核を使用するケースについて、日本や韓国との話し合いが行われる。地域全体での通常兵器による軍事力拡大も、冷戦期に行われた。

いずれも好ましい解決策ではない。しかし、問題を解決することではなく、管理することだ。最悪の問題は、トランプがこの不完全なアプローチに対する忍耐と平静を持たず、非現実的な期待を高めて、勝利できる、と主張することだ。それは核時代の歴史に反している。

SPIEGEL ONLINE 08/16/2017

North Korea Crisis

Trump Plays with Fire

A DER SPIEGEL Editorial by Mathieu von Rohr

Project Syndicate AUG 16, 2017

Planning for Korean Reunification

LEE JONG-WHA

軍事的な解決策は破滅的な結果をもたらす.北朝鮮に対する政治・経済圧力を強めて,核による体制維持を放棄させるべきだ.そのためには中国が圧力を高める必要があり,中国の戦略的な利益を無視しては実現しない.もし突然の北朝鮮の体制崩壊があっても,再統一された朝鮮は中国に敵対しないこと,またアメリカ軍は撤退することを約束するべきだろう.

Bloomberg 017818

How to Beat North Korea at Nuclear Blackmail

By Brad Taylor


 核廃絶への道

Project Syndicate AUG 16, 2017

The Wrong Way to Prevent Nuclear War

CARL BILDT

世界から核兵器を廃絶することは,言うほど簡単ではない.冷戦終結後,アメリカとロシアは保有する大量の核兵器を80%削減した.しかし,その後は一層の削減が進まない.1968年の核拡散防止条約は重要な役割を果たしてきた.

他方,NPTの欠陥に対する不満から,7月,核兵器を禁止する条約が提案された.これには,深刻な欠陥がある.1.核保有国が支持していない.2NPT体制を弱体化させる.3.拡大された核抑止を非合法化する.

当初の提案には,核兵器による抑止を禁止するとはしていなかった.これは重大な変更である.拡大された抑止が失われたら,各国は核武装するしかない,と思うだろう.日本は,そのような核の傘なしに,中国の核兵器や北朝鮮のミサイルから,どうやって安全でありうるのか? 抑止を否定することで,世界は一層安全でなくなるだろう.

国際世論を高めることで,核廃絶が進むと期待したのかもしれない.しかし,それは政治的な空論である.中国,イスラエル,パキスタン,ロシアなど,彼らが国際世論の批判に応じて,核兵器を破棄することはない.むしろ,そうした国の世論は核武装を強く支持している.核兵器は,彼らの安全を保障し,彼らの世界的な構想を支持する前提であるからだ.

実際には,各地域の紛争解決と,より使いやすい核兵器の開発や保有を禁止する条約が,個々に積み重なって,核廃絶に向かうのだ.


 トランプ外交と狂人

Bloomberg 2017811

The New World Order Is Leaving the U.S. Behind

By James Gibney

トランプ外交の最も意外な結果の1つは、多角的な外交の復活である。トランプは「アメリカ・ファースト」を主張し、国際合意を破棄した。しかし、奇妙なことが起きているのだ。リベラルな国際秩序は解体するように見えたが、再建し始めた。ただし、その中心にアメリカを欠いたまま。

残念ながら、彼らは負担のより公平な分担という意識がない。しかし、中国だけでなく、日本、韓国、メキシコでも、トランプが進める2国間外交はアメリカの優位を保証し、新しい国際秩序の基礎を準備するだろう。ただし、その場合でも、規律を守り、協力する必要がある。

世界のノンゼロサム的問題について、他の民主主義諸国が有志によってノンゼロサムのチャレンジに取り組んでいる。良い席を失う前に、アメリカも参加するべきだろう。

FT August 14, 2017

America is now a dangerous nation

Gideon Rachman

アメリカは「世界平和に対する脅威だ」というのは、長年、ロシアやイランのプロパガンダであった。しかし今や、西側同盟を支持する人々も、その言葉にいくらか真実が含まれていることを認めなければならない。ドナルド・トランプの下のアメリカは、危険な国家になった。

この1週間で、北朝鮮、ヴェネズエラ、国内の白人至上主義運動について。トランプ大統領の示した反応は危険なものだった。アメリカの同盟諸国がワシントンに期待する、着実で、予測可能な、冷静な指導力とは逆のものだ。さらにホワイトハウスの大統領顧問、Sebastian Gorkaは、戦争の脅威が国民を大統領の下に集めるだろう、という考えを示した。

トランプの出現は、アメリカ社会の抱える危機の兆候であった。それは消滅するどころか、ますます深刻化し、国際システムを破壊しつつある。

Project Syndicate AUG 16, 2017

The End of Asia’s Strategic Miracle?

RICHARD N. HAASS

「アジアの奇跡」は終わるのか? それは日本や中国,ASEAN諸国が示す高い成長率であった.

その重要な条件が,ベトナム戦争以来,この地域で紛争が起きなかったことだ.この安定性は,第2次世界大戦後の平和条約や国境線の画定がなされていないことと併せて考えるとき,意外なことである.日本とロシアは平和条約を結んでいない.朝鮮戦争も停戦状態のままだ.

緊張の種を抱えながらアジアが平和であったのは,鄧小平が改革開放のために安定した対外環境を望んだからである.また,アメリカの軍事力が駐留して,地域の同盟関係を固めていた.

そうした条件は失われつつある.中国は経済成長とともに軍備を拡大し,外交においても攻撃的主張を始めた.それに従い,アジア各国が防衛費を増やしている.他方,トランプ政権はアジアにおける米軍の関与を引き下げようとしている.北朝鮮の核はアジア全体にとっての脅威だ.

残念ながら,ナショナリズムの高まりと無責任な指導者の間で,政治・軍事における地域の制度化は不十分なままである.賢明な者が無謀な者を抑えることができるとは限らない.

FP AUGUST 16, 2017

Things Don’t End Well for Madmen

BY STEPHEN M. WALT

トランプ大統領は,「予測できない」ことを重視する.気に入らない者は解雇する.こうして同盟者や顧問たちを恐れさせる.非合理的で,激情に駆られる人物は,何をするかわからない,と.

言い換えれば,これはいわゆる「狂人外交論madman theory of diplomacy」である.それは,かつてリチャード・ニクソンがベトナム戦争を有利に終わらせるために,ベトナム人たちが自分のことを狂人だと信じ,核のボタンを押すかもしれない,と恐れて和平会談に参加するよう望んだ,という話に由来する.

しかし,大声を上げる酔っ払いがいても,人は彼と目を合わせるのを避けるだけで,何も彼に自分の車のキーを差し出すことはないだろう.そもそも,こんなアプローチが国際外交において成果を上げたという証拠があるのか? 狂人の指導者について,考えてみるべきだ.

カダフィ,毛沢東(多くの歴史的成果を上げた指導者で,必ずしも狂人というわけではないが),イディ・アミン,サダム・フセイン,ポルポト,ヒトラー,キム一族,・・・

つまり,狂人外交論が成功した証拠はない,ということだ.他国は,予測できない,強力な指導者を,注意深く扱うが,大幅な譲歩などしない.狂人は今強いとしても,それがさらに強くなるようなことはすべきでない.宥和策は必要かもしれないが,それは窮状を抜け出し,疑念を取り除き,より無害にするために,双方にとって有益な関係をもたらすからである.

予測できない指導者が外交で成功しないのは,信頼できる同盟相手が得られないからだ.また,狂人は長期的な戦略を立てず,近代的な国家に必要な巨大組織を管理できない.狂人が栄えるのはカオスの中,内紛や王位継承争いの中だけである.

予測不可能であることはスポーツやポーカー,あるいは,戦場でも意味があるかもしれないが,大国の外交方針としては失敗する.

FT August 18, 2017

The Korean crisis shows the perils of relying on America

Ivo Daalder


 世界金融危機の回顧

VOX 11 August 2017

Trilemma redux: New evidence from emerging market economies

Maurice Obstfeld, Jonathan D. Ostry, Mahvash S. Qureshi

資本移動が増す世界では、トリレンマが指摘されている。しかし、小国にとって、実際は、資本移動を制限するかどうか、変動レート制を採用しても金融政策は決定できない、という意味で、ジレンマである、と懸念されている。

しかし、新興市場を調査した結果、変動レート制は予想されたような隔離効果を示している。為替レートの選択は重要だ。そして、国内マクロ政策も維持できる。

FT August 12, 2017

Ten years on, the crisis leaves a dark legacy

金融危機から10年を経たが、正当性の危機は続いている。

金融関係者なら、誰もが20078月の記憶があるだろう。Bear Stearnsがモーゲージに特化したヘッジファンド子会社を整理した。その後、アメリカの主要な銀行が倒産し、フランスのBNP Paribasがモーゲージにリンクした3つのファンドを引き上げた。アメリカの住宅金融市場に何かが起きていた。しかし誰が、どれほど危険であるのか、誰にも分らなかった。

住宅資産の証券化や住宅価格の上昇は、人々に流動的な資本を与えた。しかし、住宅価格が下がると、その証券を正しく評価することができなくなった。金融市場は凍結し、グローバルな銀行も打撃を受けた。

銀行は救済され、中央銀行が介入した。危機は政府による大規模な市場介入によって終わったが、市場ではだれも責任を取らなかった。危機の遺産は、住宅を失い、職を失い、長期に実質賃金が停滞する人々にとって顕著であった。生産性の上昇も失われた。金融緩和は株式や債券の価格を引き上げたが、危機に傷ついた人々を助けなかった。

他方、危機を生じた金融システムは何も変わっていない。景気回復は偏っていた。資本主義は道義的に穢れた。自由貿易やグローバリゼーションを左右の政治家たちが批判した。政治、金融、経済のエリートたちは信頼されなくなった。そして何もわかっていないポピュリズムの政治運動が西側政治を動かすようになった。

今も、開放型の資本主義を採用することは正しいが、その改善には、憤慨するだけでなく、政治的な指導力が求められる。

VOX 14 August 2017

The global financial cycle: Closer to an anticlimax than a juggernaut

Andrew Rose

アメリカの金融政策変更が創り出すグローバル・フィナンシャル・サイクルが、国際資本移動を介して、小国の経済変動を強めている、という説明は間違いだ。それは各国の資本移動の4分の1しか説明しない。

FT August 15, 2017

From Lenin to Lehman — the big lies

Martin Sandbu

今年は2つの歴史的事件の記念の年である。ロシア革命から100年。世界金融危機から10年だ。これらは一見した以上に共通点がある。

20世紀の最も長期に及んだ論争とは、集権的な計画と分散的な市場と、どちらがより効率的に資源配分できるか? というものだ。

ロシアの共産主義体制は、2つの虚言に依拠していた。1つは、平等な社会、連帯と自己実現の社会、という理想を裏切ったこと。もう1つは、欺瞞と自己破壊に基づく経済システムであったことだ。彼らは豊かさを実現できなかった.「彼らは給与を支払うふりをして、われわれは働くふりをした。」

論争においてハイエクは正しかったが、世界金融危機はその不十分な点も明らかにした。それは、金融資産について、その価格メカニズムが同じことを実現しないことだ。ソ連の体制の大きな嘘に匹敵する、資本主義の嘘だった。金融資産が代表するのは、われわれの社会が必要とする価値ではない。

市場リベラリズムは信用を失った。左右のポピュリストたちが求めているのは、混合経済mixed economyの黄金時代に向けるノスタルジアである。

YaleGlobal, Wednesday, August 16, 2017

Politics Block Solution as Mounting Debt Threatens China

Chris Miller

FT AUGUST 17, 2017

The perils of calling the peak of the equities bull run

Dan McCrum

Project Syndicate AUG 17, 2017

The Lost Lesson of the Financial Crisis

MOHAMED A. EL-ERIAN

世界金融危機によって,先進諸国の政策担当者たちも,新興経済が通貨・金融危機から学んだことと同じことを学ぶべきだった.それは,成長モデルが偏っている,ということだ.一部の者に富が集中し,成長の潜在力を発揮できない.しかし,その後の回復は,彼らが危機を一時的なものとして,正しい教訓を学ばないまま,将来の成長を損なうモデルに復帰してしまった.極端な不平等を是正し,包括的な成長モデルを築く,歴史的なチャンスが失われたのだ.

Bloomberg 017817

Good Reasons to Dismiss Market Fears, For Now

By Mohamed A. El-Erian

FT August 18, 2017

The ‘finance franchise’ and fintech (Part 1)

Izabella Kaminska


(後半へ続く)