IPEの果樹園2017
今週のReview
8/14-19
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トランポノミクス ・・・トランプ外交 ・・・安保理決議の後 ・・・中国共産党と市場 ・・・愚者たちの社会主義 ・・・アジアの安全保障 ・・・メキシコの二重経済
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● トランポノミクス
Project
Syndicate AUG 4, 2017
A Dim
Outlook for Trumponomics
NOURIEL ROUBINI
トランプの経済政策に関する最大の疑問は、金融市場と実体経済との乖離である。
株式市場の投資家たちは、今なお、成長を刺激し、企業の利潤を増やす政策を、トランプが追及することに期待している。さらに、賃金上昇が起きないことはインフレが連銀による金利引き上げを促さない、金利の正常化は遅れる、と考えている。
低い長期金利、ドル安、というのは株価にとってプラスであり、トランプのビジネスに好意的な姿勢は個々の株価に好材料だ。トランプ政権の機能不全も、恐れられたほどではない。
しかし、政府の経済政策は今後も実現しそうにない。オバマケアのやり直しは失敗し、今後の税制改革も容易でない。労働者たちを助け、景気を刺激するには、富裕層への増税と労働者や中産階級への救済策を考えるべきだが、トランプは逆である。減税の80-90%は上位10%の富裕層に与えられる。
労働者の消費が少ないから、企業の投資への意欲が弱い。1兆ドルのインフラ投資はまだ現れていない。
貿易に関して、良いニュースも悪いニュースもあるが、過激な保護政策や貿易戦争は選択しなかった。しかし、「アメリカ製品を買え、アメリカ人を雇え」という主張は変わっていない。TPPを破棄し、EUとの貿易投資協定も交渉を中止した。NAFTAや韓国とのFTAも再交渉を求める。北朝鮮との核危機で中国が協力しなければ、貿易戦争が始まるだろう。
トランプは移民を規制することでも潜在成長力を損なっている。金融規制の緩和が成長を高めるより、それを弱めるだろう。資産バブルの発生につながることもありうる。
パリ協定からの離脱は、環境規制の撤廃とともに、生態系の破壊をもたらすだけでなく、グリーン・エコノミーの産業における成長を抑える。労働者の権利を保護する姿勢が弱まれば、労働者の交渉力が低下し、賃金の停滞、消費の低迷が続くだろう。
金融市場と実物市場とのギャップは拡大しつつある。豊富な流動性と非合理的な楽観がもたらす株価の過大評価は、経済のファンダメンタルズを反映していない。市場の調整は避けられず、わからないのは、そうなったときにトランプがだれを攻撃するか、ということだけである。
Project
Syndicate AUG 4, 2017
The
Marshall Plan and “America First”
Benn
Steil
NYT AUG. 5,
2017
Is Trump’s
Turmoil Slowing Economic Growth?
By
NEIL GROSS
NYT AUG. 5,
2017
The
Policies of White Resentment
By CAROL ANDERSON
NYT AUG. 8,
2017
Democrats,
Start Aiming for the Gut
Thomas L. Friedman
Bloomberg 2017年8月9日
Sick of
Slow Wage Growth? Here's Who to Blame
By Megan McArdle
● 中年の人々
NYT AUG.
4, 2017
Can People
Change After Middle Age?
David Brooks
● トランプ外交
FP AUGUST
4, 2017
The Top
Five Foreign-Policy Blunders Trump Hasn’t Made Yet
(But still might.)
BY STEPHEN M. WALT
ドナルド・トランプは、彼自身にとって最悪のケースになりつつある。すなわち、弱い、無能な、笑い者だ。共和党の幹部が選挙戦中に指摘したように、彼が大統領執務室に向かないことは明白だった。それにふさわしい訓練も人格も欠いており、助言を聞く耳を持たない。
私はここでさらに批判するのではない。むしろ助けたい。トランプの最初の6か月間は、まだ起きていない、多くの外交の大失策をわれわれは免れた点で、幸運だった。彼は絶望的になるほど、自分の無能さから目をそらすために、外国で問題を起こすだろう。
それゆえ彼がまだ冒していない最悪の外交の失策を5つ指摘しておく。これらを避けることが公共の利益である。
1.北朝鮮との戦争。北朝鮮と戦争しても事態は悪化するだろう。抑止するべきだ。
2.イラン核合意の破棄。3.貿易戦争の開始。4.アフガニスタンへの増派。5.ウクライナへの武器援助。
FP AUGUST
8, 2017
Donald
Trump Is Defining Successful Foreign Policy Down
BY STEPHEN M. WALT
国連安保理の決議がトランプ外交の成果であると称賛するのは早すぎる。この決議は、外交として、同盟諸国に歓迎されるだろう。しかし、アメリカの目標は何も達成されないだろう。
YaleGlobal,
Tuesday, August 8, 2017
What
Trump’s Foreign Policy Ignores
Louis René Beres
FP AUGUST
9, 2017
Donald
Trump Is Dropping Bombs at Unprecedented Levels
BY JENNIFER WILSON, MICAH ZENKO
大統領選挙で、ヒラリー・クリントンが示すタカ派の性格を嫌って、有権者がトランプを支持した。しかし、トランプが大統領になった示したことは、かつてないほど武力行使を好む政権が現れたことだ。
FP AUGUST
10, 2017
Here’s the
Memo That Blew Up the NSC
BY JANA WINTER, ELIAS GROLL
FP AUGUST
10, 2017
The Damage
Limitation Presidency: Can Congress and the Adults Box in Trump?
BY CHARLES KUPCHAN
トランプ政権は転換期にある。共和党は大統領を支持しなくなり、重要な閣僚が抜けて行く。ロシア疑惑も続く中で、すでにレームダックの大統領に見える。
マクマスター、ティラーソン、マティスは、国家安全保障に関する三位一体であり、政権内の大人たちである。しかし、彼らに期待するのは今年の末まで持たないだろう。これまでは将来に向けて、政権内にとどまり、その健全さを維持しようと彼らは決意している。しかし最終的に、彼らの自尊心が勝って、沈没する船から離脱するだろう。彼らが去れば、他の高官たちもそれに従う。
● 移民政策
FP AUGUST
4, 2017
Stephen
Miller Has a Point, You Cosmopolitans
BY JAMES TRAUB
NYT AUG. 4,
2017
Why Trump
Supporters Distrust Immigration and Diversity
By
FREDERICK R. LYNCH
NYT AUG. 4,
2017
Ignorant
Immigration Reform
By
DAVID J. BIER
Bloomberg 2017年8月7日
The Smart
Way to Attack Trump's Immigration Plan
By Clive Crook
NYT AUG.
8, 2017
The Danger
From Low-Skilled Immigrants: Not Having Them
Eduardo Porter
● ロボットと所得格差
FT August
5, 2017
Intelligent
robots must be trusted by humans
FT August
6, 2017
The ‘haves
and have-mores’ in digital America
Rana Foroohar
FT August
7, 2017
Why
Facebook should pay us a basic income
John Thornhill
ベーシックインカムには多くの欠陥があるけれど、1つ、明確な利点がある。それは、集合的な富を市民すべてに分配する、ということだ。
● 安保理決議の後
The
Guardian, Sunday 6 August 2017
The UN
vote against North Korea shows the system working – for once
Mary Dejevsky
土曜日に国連安保理は決議2371を全会一致で承認した。こうしたことが安保理で常に起きているわけではない。石炭、鉄鉱、銅の販売禁止を含む、北朝鮮に対する厳しい制裁を求めるものだ。
アメリカは合意を得るために譲歩した。中国やロシアが賛成するかどうか、あらかじめわからなかった。ティラーソンは語った。(決議により)「われわれは体制転換を求めない。体制の崩壊を求めない。朝鮮半島の再統一を加速させない。われわれの軍隊を38度線より北に移動させる口実にしない。」
ティラーソンはまた、条件付きではあるが、直接対話や安全保障に関する提案も行った。ピョンヤンは今や核保有を破棄することなどないが、その保有に関する交渉なら関心を示す。
FP AUGUST
7, 2017
How to
Learn to Live With a Nuclear North Korea
BY DAVID LAI, ALYSSA BLAIR
アメリカは北朝鮮が核兵器を開発するのを阻止するために25年間を費やしたが、それに失敗した。
北朝鮮が核開発に成功したのはずっと以前であった。今は、その技術を高め、長距離輸送システムを開発中だ。
北朝鮮の核兵器を取り除くことは永久にできないだろう。もしアメリカが軍事的にそれを実行すれば、非常に危険な、流血の事態につながる。
しかしアメリカはまだ北朝鮮の挑発に対する間接的な対処にとどまっている。北朝鮮の求める関係正常化や両国間の敵意を取り除くことは、長期的に追求されるが、当面は無視されている。
このシナリオにおいては、トランプ政権は2つの点を明確にするだろう。1.挑発は自殺行為だ。もしアメリカや同盟諸国、韓国、日本に核兵器を発射すれば、北朝鮮は消滅する。2.もし挑発を止めるなら、アメリカは朝鮮戦争の正式な和平条約と、たとえ北朝鮮が核兵器を保有したままでも、関係正常化をする。
現在、こうした提案は政治的に受け入れにくいものだ。それはまた、両国間の問題を解決する万能薬でもない。しかし、それによってアメリカは北朝鮮の核によるミサイル攻撃の主要な標的ではなくなる。その挑発に対応することもない。敵意を排し、両国政府と人民が直接の関係を持つことで、アメリカは北朝鮮だけでなく朝鮮半島全体を、持続的な平和に向けた道に前進させるだろう。
関係正常化により北朝鮮の核開発を阻止するチャンスはあった。最初のチャンスは、冷戦終結の劇的な転換期であった。ソ連崩壊後のロシアは、経済的な動機で、1991年に韓国との関係正常化を進めた。おそらく同じ理由で、中国も驚くほど即座にそれに従った。2つの大国は、また1992年、2つの朝鮮を国連の正式メンバーにすることを推進した(当時、どちらもオブザーバーであった)。しかしアメリカは関係正常化を進めることに失敗し、北東アジアの冷戦システムを維持したのだ。
対立する双方が2つの朝鮮国家を「相互承認」する、というアイデアを示したのはヘンリー・キッシンジャーであった。当時は誰もその考えを支持しなかったし、冷戦後の激変を予想しなかった。
もし関係正常化と和平が実現していたら、北朝鮮は核兵器を必要としなかっただろう。彼らはロシアと中国に見捨てられ、アメリカ、日本、韓国の敵意に引き続き直面していると感じた。そして国家の生存のためには、核兵器が絶対に必要だ、と考えた。
アメリカはこの10年間の6か国協議において、再び、そのチャンスを逃した。北朝鮮は関係正常化を求めていたが、アメリカは、北朝鮮が「完全な、検証可能な、不可逆的な武装解除」(CVID)を、しかも最初に踏み出すことを主張した。アメリカは、このCVIDを究極目的とみなす失敗を犯して、北朝鮮の安全保障に関する懸念を扱わなかったため、話し合いは行き詰まった。しかし、北朝鮮のような弱い国家が、最初に武装解除することなど、期待するのはどうかしていた。6か国協議は崩壊し、オバマ政権の「戦略的忍耐」に変わっても、アメリカの目標は達成できず、北朝鮮は軍備を強化し続けた。
北朝鮮を交渉の席に就かせるためには、アメリカは非核化を前提条件にすべきではない。ピョンヤンは決して受け入れないだろう。
ワシントンは正常化を冷静に考えるべきだ。それは敵を利することではなく、政府とその統治する国家を現実として認めることである。両国は互いの主権を認め、政府と人民が規則的な、直接の関係を結ぶ。フランスとエストニアを除いて、ヨーロッパはすでに北朝鮮と関係正常化した。アメリカも続くべきだ。
正常化は、北朝鮮の行動を容認するものではない。また、他国における体制転換や人権問題に関する特定の政策を意味するわけでもない。人権団体は北朝鮮で直接に活動するだろうし、アメリカの企業やブランドは北朝鮮に浸透する。アメリカと北朝鮮の直接的な経済相互交流が、アメリカの長年求めて実現しなかった変化を、もたらすだろう。
北朝鮮の核武装は、インド、パキスタン、イスラエルのケースと異なる。これらの国は核拡散防止条約(NPT)に違反しているが、アメリカに対する敵意を明確に示して、直接に格ミサイルでアメリカを狙っているのは北朝鮮だけだ。アメリカはその深刻さを解除できる。アメリカが北朝鮮と関係正常化すれば、日本や韓国も続くだろう。
核武装した北朝鮮は、アメリカではなく、なによりも中国の問題になる。そうなれば、朝鮮半島の非核化は中国の全面的な支持を得るだろう。
今すぐでも、遠い将来でも、戦争になると思えば国家は武装する。もはや脅威がないと思えば、武装を解除する。それが基本的な真実である。
FT August
8, 2017
A
unanimous response on North Korea is the only viable option
Bloomberg 2017年8月8日
The Key to
Countering North Korea Lies Offshore
By James Stavridis
The
Guardian, Wednesday 9 August 2017
Trump has
taken us to the brink of nuclear war. Can he be stopped?
Jonathan Freedland
アメリカ大統領は問題を正しく理解しているのか? 世界の将来がかかっている。
FT August
9, 2017
Trump
warns North Korea will be ‘met with fire and fury’
Katrina Manson in Washington
FT August
9, 2017
Trump’s
rhetoric on North Korea is a dangerous echo of Pyongyang
Shashank Joshi
NYT AUG.
9, 2017
How Trump
Can Contain North Korea Without ‘Fire and Fury’
By
EVELYN N. FARKAS
FP AUGUST
9, 2017
The Game
Is Over and North Korea Has Won
BY JEFFREY LEWIS
すでにゲームは終わった。北朝鮮の核攻撃がアメリカ本土やソウル、東京に届くことをわれわれは認める。
NYT AUG. 9,
2017
Fears of
Missiles, and Words
By THE EDITORIAL BOARD
NYT AUG.
9, 2017
Trump’s
‘Fire and Fury’ Threat Raises Alarm in Asia
By STEVEN LEE MYERS and CHOE SANG-HUN
Bloomberg 2017年8月9日
Here's Why
the U.S. Hasn't Brought 'Fire and Fury' to North Korea
By Eli Lake
トランプの言葉には実行がともなわない。すでに以前の大統領たちが武力行使を見送ってきた。その後も、北朝鮮の核関連施設は拡張されている。
Bloomberg 2017年8月9日
Trump's
Anti-Nuclear Playbook Looks a Lot Like Obama's
By Noah Feldman
FT August
10, 2017
Tillerson
seeks to head off North Korea crisis
Katrina Manson in Washington
FT August
10, 2017
Steady
pressure beats hot talk on North Korea
Project
Syndicate AUG 10, 2017
Will the
US Strike North Korea?
MINGHAO ZHAO
NYT AUG.
10, 2017
It’s Not
Too Late on North Korea
By SUSAN E. RICE
北朝鮮の好戦的で派手な主張には驚かない。しかし、トランプ大統領の反応こそが予想外で、危険なものあった。その発言、“they
will be met with fire and fury like the world has never seen.” を、もし金正恩が信じたら、先制攻撃を始めて、朝鮮半島は戦争状態になるだろう。
われわれは注意深く「予防的な戦争」に関して研究した。それは、たとえ数百万人ではないとしても、数十万人の犠牲者を出すだろう。ソウルの2600万人の市民は境界線からわずか35マイルでしかないところにいる。韓国や日本には数万人規模のアメリカ兵とその家族が住む。
しかし、戦争は予防のために必要ではない。歴史が示すように、われわれは北朝鮮の核に耐えられるし、耐えねばならない。冷戦においては、はるかに強大なソ連の核の脅威に耐えたのだ。
プラグマティックであることだ。第1に、われわれは北朝鮮を正当な核保有国として決して認めないが、北朝鮮がその核兵器を破棄することはないだろうと知っている。金正恩は、悪質で、衝動的だが、非合理的ではない。それゆえわれわれは伝統的な抑止論に従うべきだ。
第2に、アメリカは無謀な主張を即座にやめる。第3に、われわれはミサイル防衛システムやその他の防衛力を高め、同盟を強化する。第4に、北朝鮮が核プログラムを維持するコストを高める。最後に、中国と対話し、追加的な努力と朝鮮半島非常時、さらに北朝鮮の核廃棄に向けた外交を復活させる。
核危機を回避し、北朝鮮の脅威に対抗するのは、合理的で着実なアメリカの指導力だ。
NYT AUG.
10, 2017
Be
Strategic, Not Impulsive, on North Korea
Thomas L. Friedman
ドナルド・トランプと金正恩、彼らを止める顧問はいない、2人の指導者が核兵器の発射ボタンに指を措いて互いを脅迫しているとき、誰が眠ることなどできるだろうか?
まともな大統領なら、アメリカで最もアジア・中国問題に詳しい専門家Jeffrey
Baderの賢明な報告書(“Why
Deterring and Containing North Korea Is Our Least Bad Option.”)が示したような行動計画を立てるだろう。
彼は、アメリカの戦略家が核武装した敵に直面したときの、最善の問いから始める。ケナンGeorge
Kennanならどうするだろうか? 「状況は受け入れがたいが、短期的な解決策はない。北朝鮮の問題とはその1つである。」
ケナンがソ連を理解したように、Baderは、体制転換を目的にした戦争を考えることはできない、また、彼らの生存はアメリカへの敵意に依存している、とすれば、唯一の合理的なアプローチは我慢強く封じ込め、抑止し、圧力をかけることだ、という。しかも、アメリカは北朝鮮よりもはるかに強力で、すべての意味で時間の経過はわれわれに味方する。
北朝鮮の体制はシンプルな選択肢に直面している。核兵器を保持するか、あるいは、無限に続く貧困状態により内部から崩壊するか。
アメリカの提案とは、核兵器とミサイル開発の完全な放棄と、それに応じた外交関係の樹立、経済制裁の解除、経済支援と投資、平和条約である。その提案は何らアメリカの安全保障を損なわず、北朝鮮に、彼らが核兵器開発の根拠とした安全保障を提供する。
北朝鮮がこうした提案を受け入れることはないだろう。金正恩は、核ミサイルによる体制の維持に執着しているからだ。しかし、アメリカの提案とそれを北朝鮮が拒否することは、始まりでしかない。韓国のムン・ジェイン大統領は北との和解を望み、アメリカが示す交渉の提案を歓迎するはずだ。ムンは北朝鮮が提案を受け入れるように強く説得するだろう。それでもピョンヤンが拒めば、ムンはさらに強い封じ込めと抑止を支持する。
提案は、中国に行動を促す姿勢よりも、アメリカが指導権を握り、世界に対する道義的な優位を占めることになる。
NYT AUG.
10, 2017
Aiming
Missiles to Fall Near Guam, North Korea’s Kim Takes New Risk
By
CHOE SANG-HUN
Bloomberg 2017年8月10日
Uncle John
Taught Trump About Fire and Fury
By Timothy L. O'Brien
Bloomberg 2017年8月10日
Don't Play
North Korea's Game
By The Editors
Bloomberg 2017年8月10日
U.S. Isn't
Less Safe Because of Trump's 'Fire and Fury'
By Noah Feldman
FT August
11, 2017
Trump
toughens warning to North Korea
Shawn Donnan and Katrina Manson in
Washington, Bryan Harris in Seoul and Leo Lewis in Tokyo
FT August
11, 2017
Creative
diplomacy is vital to defuse Korean crisis
Kevin Rudd
中国の友人が最近私に注意したように、戦争には独自の論理がある。危機もそうだ。それらはいったん始まると、止めることはむつかしい。
朝鮮半島は、現在、世界で最も深刻な危機の発火点である。3つのシナリオがある。
1.中国が北朝鮮に政治と外交を通じて核を放棄させる。そのために金融・経済制裁を行う。2.アメリカが北朝鮮の核関連施設に一方的な軍事攻撃を行う。3.アメリカが、核と弾道ミサイルを持つ北朝鮮を、現実として受け入れる。
第1のシナリオをトランプ政権はもはや無駄と考えている。中国はピョンヤンに敵対するという姿勢を示すだけで、アメリカが北朝鮮を核保有国として認めるまで、自ら動く気はない。
第2のシナリオを排除するのは間違いだ。日本や韓国が反対しても、アメリカの決定を阻むことはできない。中国はそれを誤解している。北朝鮮を正常な国家としてアメリカが受け入れることはむつかしいし、トランプの強さを損なう。
しかし、アメリカが軍事的な行動を取るとき、中国がそれを容認するとは前提できない。実際、1950年も、建国間もない毛沢東の中華人民共和国が介入し、アメリカの勝利を阻んだ。北朝鮮のリスクは、米中衝突のさらに大きな問題を含む。
この新しい、危険な時代に、われわれがなすべきことは? 第1に、アメリカの一方的な攻撃を、中国が北朝鮮への外交における信頼できる圧力として認めること。第2に、アメリカは、これが中国にとってどれほど重要な意味を持つか、明確にすること。
もし中国が北朝鮮の非核化に成功すれば、それと交換に、アメリカは朝鮮半島に関するいわゆる「グランド・バーゲイン」を受け入れるだろう。すなわち、ピョンヤンとの和平条約、国家としての承認、体制の安全保障、韓国からの米軍撤退、制裁の解除。
米中が危機の創造的な解決策を見い出せるか、今、問われている。
● 中国共産党と市場
FT August
7, 2017
US should
tread carefully on China trade concerns
FT August
8, 2017
Beijing’s
chicanery leaves western business guessing
James Kynge
中国共産党の見えざる手は、市場諸力をしばらくの間は繁栄させるが、それらがより高い目標にふさわしくない場合には、唐突にその自由を奪う。
中国の海外投資には3つのリスクが伴う、と、the China
Foresight Project at the London School of EconomicsのYu Jie所長は言う。経済的リスク、政治的リスク、そして、峡湾等がどこにでも発言力を持つというリスクである。
NYT AUG.
8, 2017
China’s
‘Giant Infants’
By
HELEN GAO
FT August
9, 2017
Chinese
crackdown on dealmakers reflects Xi power play
Lucy Hornby
● 黒田日銀総裁
Bloomberg 2017年8月7日
Japan's
Central Bank Chief Deserves a Second Term
By Daniel Moss
黒田東彦総裁は、以前の総裁に比べて、新しい政策を採用して経済に活力を取り戻した。
● ドイツ
NYT AUG. 7,
2017
Germany
Joins the Resistance
Anna Sauerbrey
FP AUGUST
7, 2017
Angela
Merkel Is Hurting German Democracy
BY PAUL HOCKENOS
FT August
8, 2017
Germany
cannot afford to be a geopolitical bystander
Daniela Schwarzer
SPIEGEL
ONLINE 08/10/2017
'Nazis,
Spies and Terrorists'
Can the
German-Turkish Relationship Be Saved?
By Katrin Elger, Maximilian Popp, Christian
Reiermann and Michael Sauga
● Brexit
FP AUGUST
7, 2017
Brexit’s
Dunkirk Fantasyland
BY EMILE SIMPSON
FT August
8, 2017
An
anti-Brexit party has the sharp focus to appeal
Janan Ganesh
Project
Syndicate AUG 10, 2017
Revenge of
the Experts
BARRY EICHENGREEN
専門家が多すぎる、とBrexitの影響をマイナス評価した研究や調査を軽蔑したMichael
Goveは、エコノミストたちの予測が間違っていたことに満足したかもしれない。しかし、それはイングランド銀行の金利引き下げやポンドの大幅な減価があったからだ。
確かに、エコノミストたちは不確実性をうまく扱えない。しかし、時間が経過すれば、その影響はより明確になる。離脱派が主張したようなBrexitは存在しないし、金利や為替の助けも失われる。かつてメキシコ・ペソ危機について偉大な専門家、故Rudi
Dornbuschが述べたように、危機はあなたが思うよりも時間をかけてやって来るが、あなたが思ったよりも急速に起きるだろう。
NYT AUG.
10, 2017
How
Britain Misses the Spirit of 1967
By JOAN SMITH
(後半へ続く)