IPEの果樹園2017 

今週のReview

7/17-22

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北朝鮮の核危機について ・・・中東の秩序再建 ・・・マクロンは成功するか? ・・・G20とトランプ ・・・インドの税制改革 ・・・トランプの解放する暴力 ・・・Brexitとイギリスの恥辱 ・・・人間型ロボット ・・・アジア通貨危機20周年 ・・・香港と中国の民主主義 ・・・劉暁波

[長いReview] 

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主要な出典Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, TheGuardian,NYT: New York Times,Project Syndicate, SPIEGEL,VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London) 

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 北朝鮮の核危機について

FP JULY 7, 2017 

North Korea Needs Nukes Because of Its Religion 

BY PAUL FRENCH 

北朝鮮が核を放棄することはないだろう。核武装は金正恩の権力掌握と一体であり、北朝鮮国民が教え込まれているイデオロギーだ。これを否定することはできない。カルト的な権力支持層を育成している。核実験の凍結と40億ドルのエネルギー支援を約束したクリントン大統領は失敗した。

では核保有を承認すれば、金正恩の次の約束はどうなるのか? 核を保有して、経済も繁栄させる、と国民は信じている。アメリカ、日本、韓国からの援助があるのか? 中国への依存と、非合法な資金流入、あらゆるレベルで拡大する腐敗・汚職に対して、金正恩と北朝鮮は一定の政策余地を得るだろう。

NYT JULY 7, 2017 

On North Korea, Trump’s on the Right Track 

Bret Stephens 

かつてキッシンジャーHenry Kissingerは大統領の政策選択をこう述べた。「政策を示せ、と言われたら、官僚たちは大統領に2つの愚劣な選択肢を示し、好ましい選択肢を取るように仕向けるのだ。それはふつう、中間の選択肢である。」

北朝鮮の核とミサイルの開発について、官僚たちがトランプに示す選択肢は何か? 通常のそれは、制裁強化、外交再開、軍事攻撃、である。第1は効果がなく、第3は最後の手段でしかない。

しかし、第2の外交も失敗するだろう。北は約束を守らず、しかも、その経済はすぐに崩壊すると期待できない。

抑止に関しては、かつてモスクワとの相互確証破壊Mutual Assured Destructionが機能したように、ピョンヤンを信頼することはできない。しかも、北がシリアやイランなどへ核兵器を輸出すること、韓国や日本の核武装や核軍拡競争を刺激すること、核の脅威を繰り返し議論する中でアメリカと東アジアの同盟諸国との関係が悪化すること、をわれわれは受け入れられない。

つまり、第4の選択肢が求められる。それは、よく言われるような、朝鮮半島の非核化ではない。それを強制することも、説得することもできない。また、最近の相互凍結案、北は核・ミサイル開発を凍結し、それと交換に、米韓の合同演習を凍結する提案も間違いだ。北はそれを破るし、北京とピョンヤンは米韓を分断する。

正しい答えは、北朝鮮を金正恩から切り離すことだ。われわれが困惑するのは核ではない。それを握る者が問題なのだ。

体制転換を批判する者は、戦争、クーデタ、国内叛乱ではないとしたら、それは中国が認めるものだけだ、という。北へのディーゼルや天然ガスの供給を止め、金を会談に呼んで、ゲストハウスに永久に幽閉する。そうでなければ、北京は北を緩衝国家として、アメリカと取引する間接的なチップにしているのだ。

最近まで、北京のこの行動は代償を支払うことなくできた。しかし、昨年、それを変えた。北のマネーロンダリングを助けた4人の中国人と企業に、オバマ政権が罰則金を課した。トランプ政権も、これを追加するだろう。中国の銀行や企業は、ピョンヤンとの取引と、ドルへのアクセスとの、どちらかを選択しなければならない。先月、アメリカは10億ドルの武器を台湾に売却した。南シナ海における中国の主張にアメリカ海軍は反対している。

こうしたことは、1つの戦略にまとめることができる。その中で、中国は解決の一部となるのだ。アメリカは、金王朝が失脚するなら、北朝鮮の存在や、核保有でさえ、認めることができる。中国は、金の去った、安定した、北京の指導下にある北朝鮮を得ることが、自分たちの最善の利益と認めるだろう。

取引は成立する。北京に圧力をかけることだ。

FT July 8, 2017 

Restarting six-party talks is the best way to fix North Korea 

Kurt Campbell 

北朝鮮を抑制するために、2003年に設けられた6か国協議の枠組みに戻るべきだ。

Bloomberg 201778 

Scared About North Korea? You Aren't Scared Enough 

By Tobin Harshaw 

Bloomberg 201778 

There Is a Way Forward on North Korea. Is Trump Up to It? 

By Jon Finer 

北朝鮮の危機はどうやって終わるのか?

オバマ政権がイランの核開発に圧力をかけて、その条件を合意し、その後も外交関係を回復するために圧力がかかる仕組みとは全く異なる。金正恩は十分な圧力を避けたまま、核兵器をすでに得た。

トランプ政権は、中国が解決するべきだ、と考えている。しかし、中国は北の核兵器よりも、北の体制崩壊を恐れている。北が計画を放棄しないときは中国を制裁すべきだという計画もある。しかし、それも手遅れだ。

アメリカは、本土を核攻撃できる北との共存を選択できるか?

簡単な答えは、No、である。それは先制攻撃を意味する。2つの局面に分けられる。第1に、各施設や発射基地の破壊。同時に、いかなる報復も北の体制が終わることを明確に告げる。

問題は、北の軍事力に関する情報が不十分なことだ。核兵器も長距離ミサイルも残るだろう。北は体制の危機に対して、すべての軍備、ミサイル、化学兵器、生物兵器を使って反撃することは確実だ。ソウルは国境から35マイルしか離れていないから、アメリカ人を含む数十万の市民が死ぬ。

では、核を持つ北朝鮮との共存を選ぶことで解決するか?

体制の生き残りに関する核の保障という仮説は、金正恩の合理的な判断に依存し、それは大きな賭けである。それが間違いであるかもしれない、たとえ小さな可能性でも、無視できない。飴と鞭によって破局を避け続けながら、トランプ政権は最悪のケースに準備しなければならないだろう。

つまり、もしピョンヤンが核兵器を使用する方向に進むなら、われわれは体制を終わらせる、ということだ。北の標的をすべて確認し、韓国、日本という同盟諸国に安全を保障し、彼らの核武装を回避し、アメリカ軍はミサイル防衛網を強化する。北とそれに関わる中国企業に対する制裁も大幅にエスカレートすることになる。

圧力だけでなく、北朝鮮には新しい道が示される。戦争でも、核保有した北との共存でもなく、アメリカはピョンヤンと直接交渉する。北が開発計画を凍結し、縮小するなら、軍事的な体制転換をしないと保証し、大規模に経済支援し、軍事演習を一時的に停止する、と提案してもよい。

外交には価値がない、とみなすことは、問題解決を放棄することだ。むしろ、トランプ政権の人材不足から、意味のある、複雑な外交が実行できないことが問題だ。最悪の時期には、間違った安全保障の感覚、中身のない脅威を叫ぶのではなく、民主主義国の指導者は国民に事態の深刻な展開にも準備するよう説くべきだ。

FT July 10, 2017 

Trade with China offers clues to North Korea’s economic health 

Lucy Hornby, Archie Zhang, Tom Mitchell and Liu Xinning 

Project Syndicate JUL 11, 2017

The North Korean Missile Crisis

KAUSHIK BASU

NYT JULY 11, 2017

North Koreans in Russia Work ‘Basically in the Situation of Slaves’

By ANDREW HIGGINS

FP JULY 12, 2017

How to Reason With a Nuclear Rogue

BY JON WOLFSTHAL

アメリカを消滅させると脅迫して、核兵器とアジアからアメリカ本土まで届くミサイルを開発する国が、アメリカとその同盟国である日本や韓国に重大なリスクとなった。この危険性を無視することはもはや深刻な結果を増すだけであるが、開発計画を破壊する軍事攻撃が失敗すれば言語に絶する破壊が起きる。

これは2017年の北朝鮮を評価するものではない。1964年の中国に関するものだ。それは中国が初めて核爆発の実験に成功した年だ。しかし、中国と北朝鮮ではまるで違う、と思うだろうか? 金正恩が言うことは狂っている、と。毛沢東の宣言も有名だ。「私は核兵器を恐れない。世界の人口は27億人だから、いくらか死んでも重要ではない。中国の人口は6億人だ。たとえ半数が死んでも、まだ3億人いる。」

抑止は機能したし、諸国は戦争を回避した。アメリカと同盟諸国は、中国との複雑な共通の抑止メカニズムを管理することを学び、それは双方の利益であった。

かつて1949年にソ連と、1964年に中国と、交渉し、成功したように、アメリカの指導者と安全保障関係者は宿命論を克服できる。われわれは相手国を理解し、相手国がわれわれを理解していると確認する必要がある。


 中東の秩序再建

NYT JULY 7, 2017 

What Assad Has Won 

By KAMEL DAOUD 

アラブの春はすべて終わった。チュニジアを例外として。

シリアにおけるアサドの勝利を見た後でも、中東において民主化を叫ぶことはできるのか? マグレブ、中東世界の人々にとって、シリアはどのような意味があるのか?

1の教訓とは、革命が常に勝利するものではない、少なくとも人々が望むほど早くは、である。アサドは戦いを生き延びたし、むしろ体制を強化した。その代償は住民の半数を殺したことだ。彼が生き延びたことは、反体制派、軍、国際社会からの激しい攻撃を受けても、それだけでは独裁者を倒せない、ということだ。

1のアサド効果として、民主化にはコストがかかる、かかり過ぎる、という認識が広まるだろう。また、革命は外国の捕食者を呼び込んでしまう、と。

脱植民地化した諸国は、保守派も、左派も、国内の民主化勢力を外国が支援することに拒否反応を示した。植民地の記憶は、あらゆる国際的支援を疑ったのだ。

外国勢力の介入論は政府によって広められた。シリアの場合、アサドはイランやロシアと同盟して、サウジアラビアやカタール、アメリカと戦った。そして介入に反対するプロパガンダを強めた。民主化の要求は、結局、カオスに至り、植民地化が復活する、というのだ。

アラブ世界は、西側の介入、植民地化ばかりを嫌うが、ロシアやイランによる介入を考えていなかった。モスクワやテヘランの介入を支援と呼んだ。プーチンは反西側であるから、解放者、少なくとも同盟者であった。

2の結論は、民主主義とは西側による再植民地化をもたらすトロイの木馬である、ということだ。

さらに、最後の教訓がある。独裁者はカリフに勝る、ということだ。西側の介入はイスラム国家を破壊するためである。各地の政府は協力して急進主義を押さえようとしたが、イスラム国家はその壁を打ち壊した。バクダディはアサドよりも悪かったのだ。

アサドは巧みに売り込んだ。西側にも、土地のエリートにも、大衆にも、独裁体制は原理主義者を防ぐ城壁であり、殺戮からの主義者である、と宣伝した。シリアが、それを示している、と。

3のアサド効果は、民主主義は自由ではなくイスラム主義へと導くのである。だから、抑圧体制の安定性を支持するべきだ、ということだ。

当然、これらはいずれも真実ではない。弾圧によってイスラム主義者や聖戦主義者を生んだのは独裁者である。しかし、彼らは安定性を破壊し、権威主義的支配を正当化した。独裁体制は自己正当化のための悪循環を創り出したのだ。

アサドはいつか権力を失う。しかし、そのときまでシリアは代替案を持てない。カオスと安定性、弾圧と虐殺、民主主義と独裁。アラブの春は、正しい選択を示せなかった。

The Guardian, Monday 10 July 2017

The battle for Mosul is won. But with Isis defeated, can Iraqis unite? 

Jonathan Steele 

FP JULY 10, 2017

What Comes After ISIS?

BY FP CONTRIBUTORS

FT July 13, 2017

Gulf states’ power plays over Qatar risk regional meltdown

David Gardner

NYT JULY 13, 2017

The Defeat of ISIS Must Mean an Independent Kurdistan

By AZIZ AHMAD

クルドのペシュメルガとイラク軍との協力によって、モスルを占拠したイスラム国は敗退した。925日の住民投票は重要である。クルド人は独立のために軍事行動を共にしてきた。エルビルとバクダッドは、分離独立を正式に交渉するべきだ。ワシントンはイラク国境を変えないことを条件としてきたが、その占領政策は失敗だった。今、クルドの独立をイラク政府が認めるよう支持している。

クルド人は戦争に疲れ、平和に暮らすことを願っている。クルドは隣人たちと価値を共有し、法の支配を望む。


 マクロンは成功するか?

NYT JULY 7, 2017 

Embracing Fraternity in a Paris Banlieue 

By MIRA KAMDAR 

73日、ベルサイユのフランス議会合同会合で、マクロン大統領は演説した。彼は自身を革命的な変化をもたらす者、フランスを1つにまとめ、社会の中で「自分の場所と尊厳」を実現する能力をあまりにも多くの人が奪われており、そうした社会・経済の分断を治すことが私の使命だ、と述べた。彼は、市民が望む生き方を選択できるような、「強い自由の追求」を実現すると約束した。「市民のあまりにも多くが、自分たちを出自の囚人のように感じている。」

マクロンの演説の2日前に、私はSaint Denisで開かされたFestival of Fraternityに出席していた。パリ北部のSeine-Saint-Denisは、悪名高いバンリュー(近郊)banlieues、すなわち、多くの移民とその子孫が住む貧しい街区だ。友愛Fraternityとは、もちろん、フランス革命の有名な標語、自由・平等・友愛の1つである。しかし、フランス人の同胞愛は、一連のテロ事件で厳しく試された。多くの事件に、フランスで生まれ育ったイスラム主義者がかかわった。エスニックな分析に依拠した犯罪捜査やマイノリティーの若者に対する警察の暴力、ムスリムの女性の衣装に関する論争とシティグマ、極右によるイスラモフォービア(イスラム教徒への攻撃)と歴代の政権がバンリューの社会的孤立、貧困、失業を解決できなかったことが問われた。

マクロンは全国的に勝者となったが、この地区では極左のメランションJean-Luc Mélenchonが勝者であり、決選投票では多くが棄権した。マクロンは、オランド前大統領の財務大臣であったことが嫌われた。オランドは2012年の選挙でバンリューから大きな支持を得て当選したが、公約を守らなかった。

集会の参加者、Bondy BlogNassira El Moaddemは言う。バンリューの声は、もはや救済を政治家に求めていない。それは自分たちで得る、と。フェシティバルは、積極的なものを創り出すために「社会的リンク」をもたらす。若者たちは警察に頼らない。われわれが求めているのは、尊厳をもって生きること、自由、平等、友愛の本当の実現だ、と。

その言葉はマクロンの演説と同じである。フランス国家が、あまりにも長い間、実現できなかったことだ。

Project Syndicate JUL 13, 2017

Is the Shine Off Macron?

CHARLES WYPLOSZ

マクロンはフランスの改革に成功するだろうか?

彼が優れた点は,政治的な左右の辺境に向かうことは必要ない,魅力的な選択肢がある,ということを示したことだった.破壊的なポピュリストを阻止する,もっとスマートな破壊者であった.

マクロンの経済改革案は特にスマートだった.硬直的なことで有名な労働市場を改革し,過度の,企業家を苦しめる税負担を緩和する.フランスの肥大化した国家を縮小する,と約束した.煩わしいだけの規制を撤廃し,時代遅れの福祉国家を合理化する.

マクロンが支持されたのは,彼が新鮮な風を政府に呼び込むと思えたからだ.若者たちが組織する政府が誕生する.経験はないが,情熱的で,スマートな若者たちが政府を動かす.しかし,フランスの経済衰退を,長い間,嘆いてきた人々は,実際に成果を示さなければ支持しない.

その意味で,マクロ経済計画,政府の予算案は失敗だ.政府支出を削減する,という.他方で,賢明な成長促進策は延期する.2018年には増税を計画している.

ヨーロッパが合意した財政再建策に忠実であるためか? あるいは,それでも自分は支持されるという極度な楽観があるのか?

マクロンはすでに官僚たちに取り込まれている.優秀なエリート官僚の2つの特徴は,極端な慎重さ,そして,マクロ経済戦略への無理解,である.これによって,フランスの伝統的な改革思想,ヨーロッパ政府やユーロ圏財務相を築けると思うのか?

その旧来のアイデアはほとんどのEU諸国がすでに拒んだものだ.フランスでも同意しないだろう.現在,優先して解決を要する課題は,いずれも不十分な形の,銀行同盟と安定成長協定,過度の規制,移民政策の欠如,である.大統領になったら,新しいことは忘れるのか?


 G20とトランプ

SPIEGEL ONLINE 07/08/2017 

G-20 Critics Are Wrong 

This Is the Closest We Have To a World Government 

A DER SPIEGEL Editorial By Christiane Hoffmann 

G20には多くの欠点がある。しかし、人類がますますグローバルな問題に直面するなら、G20はさらに重要になる。われわれはそれを強化するべきであって、破棄するべきではない。

G20は多くの点で批判される。劇場、写真撮影会、治安対策、リップサービス、莫大な費用、具体性を欠く、シンボルだけ、非民主的、つじつま合わせ、何の拘束力もない。しかもその参加者たち。もっと他にいるだろう。中身がないなら、破棄するべきか? 国連総会があるのだから。

しかしそうではない。グローバリゼーションが進むにつれて、各国の政府はますます力を失い、合同フォーラムで人類の懸案に対処することは、ますます重要になる。もしすべてがグローバルであるなら、すなわち、金融危機、気候変動、金融と難民、テロ、温暖化ガスのように、人類は世界政府に似た何かを必要とするだろう。政治は常にシンボルの意味があり、イメージやステージで刺激される。

国連は大きすぎて、それ自体の問題を処理できない。安全保障理事会は、長い間忘れられてきたが、いつも行き詰まっている。G20は必ずしも価値を共有していないが、西側の諸価値が議論を通じて広まり、話し合いが重視される。トランプ以後、西側が協力して示す論調や行動は消滅した。しかし、新しい同盟が形成され、人類の共通の関心から合意形成を目指す。すなわち、気候変動を抑え、自由貿易を支持し、脱税を撲滅し、グローバルな視点で、公平性を実現する。

グローバリゼーションの反対派は、G20をそのシンボルとして攻撃する。まるでサミットがなくなればグローバリゼーションも逆転するかのように。事実はその逆である。もしグローバリゼーションのマイナス面を抑えたいなら、グローバルな理解が広まることでしか実現しないだろう。

G20が改善すべき点は多い。アフリカの代表は少なすぎる。開催地をどうするか、国連との関係をどう強めるか。市民社会の参加も増えるだろう。同時に、もっと効果的な組織化、執行機関の強化が望ましい。G20は例外ではなく規範になり、世界政府の定期会合になり、毎年、2回、開催されるだろう。

SPIEGEL ONLINE 07/08/2017 

Don't Conflate Demonstrators with Rioters 

Legitimate Protest Is More Important than Ever 

A Commentary by Florian Gathmann 

SPIEGEL ONLINE 07/08/2017 

Black Friday 

Hamburg's G-20 Security Failure 

By Jörg Diehl 

トランプの娘、イヴァンカがアメリカ大統領の席に代わりに座っても、議長のメルケルは彼女を拒まず、むしろホワイトハウスとの新しい関係を歓迎した。

SPIEGEL ONLINE 07/08/2017 

Lasting Questions from Hamburg 

Was the G-20 Summit Really Worth It? 

By Florian Gathmann and Philipp Wittrock 

FT July 9, 2017 

Unanimous G20 communique fails to hide US tension 

Stefan Wagstyl and Demetri Sevastopulo in Hamburg 

FT July 10, 2017 

Donald Trump’s alarming G20 performance 

Lawrence Summers 

G20で共同コミュニケが発表できない可能性もあった。アメリカと他の諸国の指導者たちの関係が修復できた、と見る者もいるが、それは間違いだ。

ドナルド・トランプが大統領に当選して以来、多くの者が恐れたように、共同コミュニケの中身をよく見れば、国際秩序の破壊が示されている。トランプの言動は同盟諸国を不安にし、それ自体、アメリカの安全保障に対する最大の脅威になった。

G20とは、平和、安全保障、繁栄、経済統合に共通の関心を持つグローバル・コミュニティーが存在し、たとえ安全保障や経済の分野で競争する諸国間でも、脅威を封じ込めることに協力する、という共通の信念から生じた毎年のフォーラムである。しかしトランプは、当選以来、グローバル・コミュニティーの概念を拒否し、制度やシステムの強化より、アメリカにとってより良い条件の取引を追求するという信念を表明してきた。

これまでにも十分な問題を報じたが、トランプはまだ経済不況を経験していないし、いかなる国際経済危機も経験していない。危機に際して軍事的な決断もしていない。自分の娘をサミットの大統領の席に座らせた前例はなく、それは他国の指導者やアメリカの高官たちを侮辱したものだ。人類のためではなく、善悪2元論的な主張をする大統領が、外交的な成果を上げることはない。

大統領の閣僚や議会における協力者たちは、彼らが宣誓したのは大統領を守ることではなく、憲法を守ることであった。それを忘れてはならない。

The Guardian, Monday 10 July 2017

Ivanka Trump's qualification for sitting in at the G20? She's part of the 1% 

Arwa Mahdawi 

Project Syndicate JUL 11, 2017

The G20’s Harmony Without Trump

JEFFREY D. SACHS

FT July 12, 2017

Donald Trump’s clash of civilisations versus the global community

Martin Wolf

先週の木曜日,トランプはワルシャワで「文明の衝突」を宣言した.その後,不快なことだろうが,彼はG20サミットにも参加した.G20はグローバル・コミュニティーを体現する組織だ.諸文明の先頭とは対極にある.将来は,どちらが来るのか?

ワルシャワ演説の要点はこうだ.「われわれの時代の根本問題とは,西側に生き延びる意志があるのか,ということだ.いかなるコストを支払っても守るべきだというわれわれの価値を信じているのか? われわれの文明を抑え込み,破壊するようなものたちに直面して,われわれは文明を守る欲求と優位を持っているか?」

しかし,ナチズムやソ連と違って,テロの脅威はその意味が異なる.われわれの生存を脅かすものではない.むしろ,テロに過剰反応を示すことの方が危険である.

文明の衝突は,その予言によって衝突を導く恐れがある.グローバル・コミュニティーは実際に重要な存在になっている.われわれは様々な目標のために,協力しなければならない.それは,技術や経済の変化によって,緊密に統合されたわれわれの日常である.むしろ国境線こそが恣意的なものだ.

特に,中国やインドの台頭に示されるように,西側の支配的な諸国が世界の方針を決めることはできない.アメリカは世界の文明が平和的に協力する上で必要な国である.

NYT July 12, 2017

When Trump Meets Jupiter in Paris

Sylvie Kauffmann

SPIEGEL ONLINE 07/13/2017

Interview with Naomi Klein

'The Left Has Been Far Too Timid'

Interview Conducted by Christoph Scheuermann


 メイ政権の社会改革

FT July 9, 2017 

Theresa May must push ahead with radical social reform 

Will Tanner 

FT July 11, 2017

Fix Britain’s broken social contract or face the consequences 

Nicky Morgan 


 インドの税制改革

NYT JULY 9, 2017 

Modi’s Strongman Economics 

By ADAM ROBERTS

Project Syndicate JUL 12, 2017

India’s Botched Tax Reform

SHASHI THAROOR

新しい税制a national goods and services tax (GST)は、インド市場を統一し、税を簡素化する、と期待された。しかし、企業家たちは税の影響が予想できない。モディ首相が、その方針を変えてきたからだ。財とサービスに、インド国内で単一の税率が適用されるわけではない。州政府の財源を残す妥協をした。免税品目も多い。企業からの訴訟が急増すると予想される。

財務大臣Arun Jaitleyは、高額貨幣の廃止と税制改革の目標を、「成長、競争力、間接税の簡素化、透明性の改善」と述べた。それらは称賛できる目標だ。しかし、達成されそうにない。

Bloomberg 2017713

India Will Pay for Populism

By Mihir Sharma


後半へ続く)