(前半から続く)
● エチオピアの開発
FT JULY 4, 2017
Ethiopia bids to become
the last development frontier
John
Aglionby in Addis Ababa
香港の衣服工場がエチオピアの産業特区に進出した。低賃金労働者たちが雇用され、西側ブランドの輸出による工業化が始まっている。かつては飢餓とマラソン選手しか知られていなかった東アフロ以下が、成長しつつある。
中国からの投資で、ダム、道路、鉄道が建設されている。直接投資の助けで、エチオピアも中国モデルを実現しつつある。そして、工業化が先で、民主化は延期される。
反政府派はそれを待てないだろう。投資家たちも、工場が政府への抗議の標的になることを心配している。
● イギリスの分裂症
FT JULY 4, 2017
Theresa May braced for a
fall as Brexit tests loom
George
Parker
Project Syndicate JUL 4, 2017
Brexit to Nowhere?
JOSCHKA
FISCHER
ある国が、長引くアイデンティティ危機のせいで、これほどの地政学的、経済的な優位を棄てたことは前代未聞である。
思い出しておくべきだが、イギリスは1970年代の初めまでに帝国を失い、その政治力も失った。その経済的衰退を逆転させたのは、1973年にECに参加したことによってである。残念ながらイギリス人の多くは、この事実を記憶していない。それどころか、政治エリートと有権者の一部は、EUとその諸制度を世界の邪悪さをもたらすものとして長く非難してきた。加盟諸国の主権の一部が移譲されるからだ。
離脱派は「主権」を要求したが、グローバリゼーションと市場統合が進む時代に、それが何を意味するのか、考えてはいなかった。
The Guardian, Thursday 6 July 2017
Brexit offers Britain a
chance to mould a fairer society
John
Penrose
● ハンブルグG20とディストピア
SPIEGEL ONLINE 07/05/2017
The G-20 in an Unjust
World
Only Radical Thinking and
Action Can Tame Globalization
By
Alexander Jung
ハンブルグでは今週、数千人がデモの準備をしている。労働の搾取に反対し、環境の破壊に反対し、資本主義の暴走に反対するためだ。世界の問題を解くには、ラディカルな発想が必要になる。
すでに驚きもしないことだが、著しい不正義が存在する。世界には食料があるけれど、10秒ごとに子供が飢えて死ぬ。約8億人が極度な貧困状態にある。エネルギーの84%は化石燃料によって供給される。
G20に集まる人々には、少なくとも問題を緩和する機会がある。彼らには、こうした矛盾に、誰よりも責任がある。G20は、世界人口の3分の2、世界生産の4分の3、温暖化ガス排出量の5分の4が集まるのだから、反グローバリゼーションの活動家たちが標的にしている。
ドイツで反グローバリゼーションのネットワークAttackを創設したWerner Rätzは、65歳だが、これまで主要政党や緑の党、左派党を経てきた。しかし、政党政治には満足しなかった。「グローバル・システムはいたるところで問題を生じている。オルターナティブ運動に機会がある。」
最近、グローバリゼーション批判は広がりを見せている。教会、環境、労働組合、移民会議、平和運動が連携しつつある。彼らは、人類の善意、システムの悪意をめぐり、団結する。
2016年のOxfamが推定したことだが、Microsoft創設者Bill Gates, 衣料品販売Zara所有者 Amancio Ortega、投資家Warren Buffetなど、わずか8人が支配する資産は4260億ドルに達し、それは人類の貧しい半分が保有する資産を超えている。
2週間前、ドイツのメルケル首相がNGOのthe Civil20 Summit(C20)に飛び入り参加していた。パネル・ディスカッションで彼女は「経済政策が成長だけを目的とせず、持続可能な、包括的な成長を目的にするべきだ」と認めた。
ミュンヘンの社会学者Stephan
Lessenichはラディカルな診断を下す。北の人々は南の人々を犠牲にして暮らしている。われわれは「資源を略奪し、汚染物質を廃棄し、田畑を破壊し、コミュニティーを解体し、人々を殺害している。」 「われわれの豊かさは、他者の生存の基礎を奪い取ることで実現されている。」
グローバリゼーションによって大きな改善もあった。特に、中国は25年間で、極度な貧困状態にある人口を7億5600万人から2500万人にまで減らした。また、温暖化ガスの排出抑制でも、中国やインドは改善してきた。
企業、政府、消費者は、その行動を変えてきた。
ウガンダ生まれの女性Winnie
Byanyimaは、イギリス帝国の保護領から、アミンの独裁政治を生き、イングランドに逃れて航空工学のエンジニアになった。彼女はウガンダに帰国し、反政府運動に加わり、隠れて生活したが、その後、ウガンダのフランス大使にもなった。現在は、Oxfamの最初のアフリカ人幹部である。
C20サミットで、メルケルとともに舞台に上がり、ビルマの女性たちのことを報告した。女性たちは1日に14時間も働くが、その手当は4ドルでしかない、と。女性たちは、ソーシャルネットを利用できず、妊娠すれば直ちに解雇される。
Byanyimaはメルケルに言った。「こうした女性たちが、あなたや私が着ている服を作るのです。」 メルケルは熱心に耳を傾け、うなづいた。聴衆もまた、Byanyimaのコメントに拍手した。
ほとんどのドイツ人は、シャツや靴、チョコレートがどこから来たのか、気にしていない。その生産過程についても知らない。NGOがわれわれに教えて、知るようになった。しかし、環境に配慮した商品を買う人は少ない。もし地球上のすべての人が、ドイツ人と同じ消費水準を実現すれば、地球が2.6個必要になる。
OxfamのWinnie Byanyimaは、国際分業に問題がある、と考える。販売店は多くの利潤をかき集めているのに、生産者はわずかな利益しか得ていない。衣服でも、チョコレート(ココア豆)でも、靴でもそうだ。靴の生産には、環境汚染や健康義骸をもたらす皮革加工の作業がある。靴の縫製はしばしば労働者が家庭で行い、1足の完成までに約1時間、360の作業を要する。インドネシアにおけるSüdwindの調査では、女性労働者が得るのは1足あたり22ユーロ・セントである。
株式が市場で取引されている企業は金融資本主義のルールに従う。経済はこの30年間、株主価値の視点で運営されてきた。金融部門が企業の最高経営責任者を決め、その方針を決める。経済は金融化し、銀行のように行動する企業が最大・最優秀の企業になった。人々に好まれる良い製品を作り、ほどほどの利益を上げて、雇用する者たちに十分な賃金を支払う、という創業期の動機から離れてしまった。
もっと違うやり方がある、とChristian
Felberは主張する。利潤を増やすためではなく、人々の生活を改善する公共財(善)the
common goodを増やすために経済を運営する、新しい経済秩序を彼は要求する。その考え方は、13世紀の思想家Thomas Von Aquinにあったものだ。現代的な意味で、公共財のための経済は金融的利潤ではなく、公平性、人間としての尊厳、連帯、民主主義、環境の持続可能性、を実現することを目指す。そして、公共財バランスシートを開発している。
パネル・ディスカッションでDeutsche
PostのCEOであるFrank Appelに同席したとき、アぺルは企業の社会的責任を認めた。しかし、多くのモデルがあり、グローバルな基準を欠いている、と。かつてNYTのコラムニストThomas Friedmanは、グローバルな競争の下で政府や企業が強いられる法則を「黄金の拘束衣」と名付けた。その結果、世界的に観て、この50年間で所得分配が最も不平等化している。アフリカの貧困は、単に、工業化や資本が流入することでは解決しないだろう、とByanyimaは考える。むしろ、各国の法人税を引き下げる競争は、彼らを貧しくした。彼らにかけているのは優れたガバナンスである。
今年、オレゴン州のPortlandでは、労働者より100倍以上の所得を経営者に支払う企業に、10%の追加的法人税を課した。もしそれが平均的な賃金の250倍なら、25%の追加である。北京市は、住民が(内燃式)自動車を購入するライセンスをくじで決めている。より多くの人が電気自動車を購入するように。こうして、ローカルなレベルで、政治家たちは転換を推進している。彼らに必要な物は、勇気、想像力、そして幾分かのラディカルな要素だ。
タックス・ヘイブンを廃止するために税制の国際合意が必要である。紛争地帯への資金を断つため、資源の源泉を示す必要がある。CO2の排出権を販売するべきだ。それは個人の生活にも適用できる。環境学者によれば、個人の年間CO2排出量は2トンである。アメリカ人は16.1トン、ドイツ人は9.5トン、他方でブラジル人はその限界を少し超えるだけだ。10年前のG8サミットでメルケル首相は熱心に提唱した。
ハンブルグのG20サミットは違うだろう。ここでは民主派と独裁者が席を並べ、環境保護派と気候変動を否定する者、人権の支持者と抑圧者が集まる。コロンビア大学のサックスJeffrey
Sachs教授は、その準備状況に関して悲観的であった。われわれの制度は機能していない。自分本位の政府ばかりだ。アメリカは、南北戦争以来、最大の政治危機にある、とT20サミットで演説した。彼は聴衆に問いかけた。もし590万人もの5歳以下の子供たちが今年中に死ぬとしたら、われわれはどうやってそれを防げるだろうか? G20がそれに答えないとしたら、誰にできるのか?
「もしG20の指導者たちが聴かないとしたら、有権者は彼らを交代させるべきだ。この問題を20人に委ねるのは重大過ぎる。それは75億人の問題、その子供たちと、孫たちの問題である。」
The Guardian, Thursday 6 July 2017
We came to Hamburg to
protest about G20 – and found a dystopian nightmare
Srećko
Horvat
今週,ハンブルグに着く者は,ディストピアの悪夢に入ったと思うだろう.
多くの道路は封鎖され,高度な安全ゾーンが指定されている.20000人以上の警察官が,重装備で,町を巡回する.それをドローンや最新鋭の監視技術で支援している.ヘリコプターが,常時,雲の中に「停止」しており,そのローター音はバックグランドミュージックとなって,すぐに気にもしなくなる.常駐する警察,緊急車両のサイレン,非常ライト,放水車が,権力のオーケストラを奏でている.
道路封鎖のブロックと検問所の横で,私はドイツ・コーラ社の人気の広告につまづいた.それは,静かに眠るトランプ,エルドアン,プーチンを描いている.その但し書きは,「目覚めよ!」“Mensch, wach auf!”
(“Man, wake up!”)
そのメッセージは,グローバルな諸戦争,テロ,難民危機,気候変動に目を閉ざす政治家たちを刺激することだ.他方で,ハンブルグとそれを超えてすべての市民に向けて,ポストモダンな1930年代に夢遊病者として入り込むのを阻止するため,覚醒を促すものだ.
問題は,権威主義的世界の指導者たちが眠っていることではない.彼らは何をしているのかよく知っているし,やめるつもりはない.
本当の問題は,自由世界の指導者たちが教条主義の睡眠薬に頼っていることだ.ハンブルグ以後,G20は存続するのか?
FT July 6, 2017
The focus on the G20
summit will be wrongly directed
Mohamed
El-Erian
共有された諸問題に集団行動で対処する。それがG20の神髄であった。貿易、気候変動、アフリカ、金融安定性、地政学、インフラ、移民、北朝鮮、伝染病、難民、テロ。
しかし、もはや共通の原則はない。かつては「ネオリベラリズム」と呼ばれたものがあった。伝統的に指導国であったアメリカはそのような役割を嫌い、より少ない程度で担っていたイギリスもEU離脱と総選挙の結果、それどころではない。
ドイツは指導力を担いたくないし、日本も歴史的な問題がある。中国もより小さな役割に限定し、フランスは改革の遅れがある。ロシアが担うことにはG20内の反対が多い。ドイツと中国というペアで担うことは考えられるが、国際制度や人権について意見が異なる。Gゼロの状態に近いが、それではG20が生かせない。恒久的な事務局を置くことには反対の声がある。
国際機関の官僚組織を嫌う理由はある。緊密に結合し、相互依存する世界で、問題解決に必要な責任の共有を認めることが、G20の課題である。
SPIEGEL ONLINE 07/06/2017
Merkel and the
Machos
A Risk-Filled G-20 Summit
for the German Chancellor
By
Philipp Wittrock in Berlin
Project Syndicate JUL 6, 2017
The G20’s Misguided
Globalism
DANI
RODRIK
G20には2つの起源がある.1つは重要で,もう1つは間違っている.
最初の,意味のある方のアイデアは,発展途上諸国や新興経済をグローバル・ガバナンスの意思決定に参加させる,ということだ.1999年にG20ができたのは,1997年のアジア金融危機があったからだ.その後,発言の場として彼らも重視し,2008年の世界金融危機とその後のユーロ危機は,発展した諸国が起源であった.
第2の,無益な考えは,世界経済の諸問題を解決するために,グローバルなレベルの協力がさらに必要だ,ということだ.「グローバル公共財」として議論されている.気候変動の抑制,伝染病の予防,などはそうだ.
しかし,G20が,各国に金融安定化やマクロ経済管理,通商政策,構造改革を支持するのは間違っている.「グローバル・コモンズ」の議論を,こうした経済問題に拡大することはできない.
たとえば,ハンブルグG20で保護主義に反対することを考えてみる.問題は,国際協調が足りないから保護主義が強まっている,ということなのか? そうではない,保護主義は国内政治の問題である.
貿易が増えることで,敗者と勝者が増えており,労働者や地域コミュニティーなど,敗者に対する補償が求められる.これに対して,大企業や金融ビジネスなどの勝者は,その規模を抑えようとするだろう.これは国内の政策決定過程の問題である.
金融規制や,マクロ経済管理,構造改革もそうだ.問題は相手国にはなく,われわれ自身にあるのだ.
Bloomberg 2017年7月6日
The 5 Most Important
Things the G-20 Won't Do
By
Leonid Bershidsky
自由貿易に関する反対論が抑えられること.気候変動の抑制に向けた枠組が進展すること.トランプとプーチンの会談が進むこと.移民問題が解決に向かうこと.ヨーロッパがグローバルな規範的モデルになること.
こうしたことが起こると期待してはいけない.
Bloomberg 2017年7月6日
The G-19 Must Prove Trump
Wrong
By
The Editors
SPIEGEL ONLINE 07/07/2017
The G-20 Farce
A Lose-Lose Summit for
Merkel, Hamburg and the World
A
Commentary by Stefan Kuzmany
● 北朝鮮危機
FT JULY 5, 2017
A tougher sanctions
regime for North Korea
The Guardian, Wednesday 5 July 2017
China is giving Trump a
lesson in how to handle Kim Jong-un
Simon
Jenkins
アメリカと北朝鮮の対立関係は,トランプと金正恩との間で,こういう話になっている.
Is
my missile as big as yours? I bet it goes farther and makes a bigger bang.
Anything you can do I can do better. Don’t push me too far. I could lose my
temper.
しかし,それでどうなるのか?
北朝鮮軍がベアリング海峡を渡って,サラ・ペイリンを人質にしてホワイトハウスの鍵を要求するのか? イスラム国が示したように,外国に対する殺戮や暴行は,戦略的な関係を変えなかった.あるいは,アメリカが小国の苛立たしい言動に我慢できず,北朝鮮を爆撃して粉々にするのか? どちらも無意味なことに変わりない.アメリカはベトナム戦争を再現しないだろうし,韓国はその場合,ソウルが壊滅するのは避けられない,と知っている.
つまり,西側は国連を通じて制裁強化を求めるだけである.しかしその結果は,逆に,北朝鮮の独裁体制を強化し,延命することになるだろう.反政府勢力は弾圧され,亡命する.Cuba, Serbia, Iraq,
Libya, Iran, Myanmar and Korea すべてが示すことだ.中国やロシアが協力するとは思えない.西側もパキスタンやイスラエルの核武装を容認してきた.中国は南シナ海に死活的利益を観る.そこは中国の舞台であって,アメリカのものではない.ピョンヤンは北京にとっての「肩こり」ではあるが,激しい痛みではない.
中国は,ソウルのクローニー資本主義を親しく利用することに関心を持つはずだ.緊張緩和と交渉によって,韓国は北朝鮮に支援する.金正恩の将軍たちは欲望を満たすことに殺到する.
最も効果的な制裁とは,北朝鮮への経済支援である,ということだ.繁栄という制裁なのだ.この外交の転換は西側政府にとってあまりにも大きいが,中国なら動くだろう.
The Guardian, Thursday 6 July 2017
Don't assume Trump is
more responsible with nuclear weapons than North Korea
Anna
Weichselbraun
アメリカでトランプが大統領になったように,民主的な選挙を行う国だから北朝鮮と違って信頼できる,という前提は間違いだ.いかなる国も核兵器を保有するべきではない.既存の核保有国China, France, India,
Israel, Pakistan, Russia, the US and the UKが,核兵器を非合法化する国連決議に反対したのは間違っている.
FP JULY 6, 2017
How (Not) to Kill Kim
Jong Un
BY
ADAM RAWNSLEY
かつて準備された米韓特殊部隊による金正恩暗殺について.
Bloomberg 2017年7月6日
Negotiations Won't Stop
North Korea From Getting a Nuke
By
Eli Lake
FP JULY 7, 2017
‘No Good Options’
on North Korea Is a Myth
BY
WILLIAM TOBEY
Bloomberg 2017年7月7日
The Worst Option on North
Korea: Striking First
By
James Stavridis
中国との取引はあまりにも高くつく.
Bloomberg 2017年7月7日
Here's Why China
Tolerates a Nuclear North Korea
By
Noah Feldman
● 難民政策の課題
FT July 5, 2017
A fresh approach to
tackling Europe’s refugee crisis
Angelino
Alfano
Project Syndicate JUL 5, 2017
A G20 Refugee
Agenda
SYED
MUNIR KHASRU
Bloomberg 2017年7月5日
Europe's Smaller But
Tougher Migrant Crisis
By
Leonid Bershidsky
● ロシアの勝利か?
FT JULY 5, 2017
Vladimir Putin should be
wary of declaring victory in Syria
David
Gardner
Project Syndicate JUL 5, 2017
Shaking Russia’s Weak
Economic Hand
KENNETH
ROGOFF
ロシア経済の改革は進んでいない.石油価格の下落は大きな衝撃であって,金融危機は回避したが,消費者は深刻な打撃を被った.長期的な成長をもたらすには政治・経済を改革するしかない.
● 金融政策の転換期
FT JULY 5, 2017
Risks remain amid the
global recovery
Martin
Wolf
Project Syndicate JUL 6, 2017
The Inflation Target
Trap
DANIEL
GROS
● 中東の紛争
Project Syndicate JUL 7, 2017
The Next Phase of Middle
East Conflict
SHLOMO
BEN-AMI
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The Economist June 24th 2016
Modi’s India
Divided Britain: The
tower and the anger
Succession in Saudi
Arabia: A shake-up in Riyadh
Banyan: Pride on the
march
Politics in Hong Kong:
Still on borrowed time
Hungary’s young liberals:
Magyars en marche!
(コメント) モディ首相は経済改革によって成長を加速させる政治家か,あるいは,ヒンズー至上主義による政権掌握のために宗教を利用するナショナリストか? インドは豊富な成長の条件を持ちながら,政治がそれを阻んでいる,と指摘します.
高層住宅の火災は,公共サービスの民営化や緊縮策など,既存の政治論争を刺激します.サウジアラビアの皇太子による経済改革や外交・戦争も,アジアにおける同性婚の承認国も,ハンガリーの若い政治運動も,時代を変えるダイナミズムを感じます.
しかし,香港はどうなるのか? 返還20周年の特集記事は,それほど明確な洞察を含んでいないように思います.大陸でもどこでも,成長は減速するのであり,市民の声によって制度的な保障を築く必要があるはずです.移行はまだ続きます.
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IPEの想像力 7/10/17
講義のテキストとして,斎藤純一『不平等を考える』ちくま新書を読んでいます.
その授業では,グローバルな政治経済変化を,国家を超える秩序の問題として,どのように理解できるか? というテーマを考えています.政治秩序の根本には,不平等,不公正,の問題があると思います.しかも,それが偶然に生じるのではなく,政治的な秩序の一部として,特定の集団や地域に層をなして再生される,といった状況を,政治社会は問題視するのです.
私たちは社会的な生き物であり,家族や市場だけでなく,政治社会を生きています.本書は,われわれが政治的社会統合体をなし,その優位性を,法や制度を作ることで集団的に実現している,と考えます.市民として,この政治統合体を活発に維持するにはどうすればよいのでしょうか?
政治統合体に生きることの優位に関しては,このReviewがもはや強調するまでもないと思います.それはトマス・ホッブスが強調し,破たん国家,アフリカの貧困,ユーロ危機,難民危機,Brexit,香港返還など,現代の多くの政治経済問題が示していることです.
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今日は,第Ⅱ部を読みました.
著者は,既存の社会保障論を,長期・安定的な就労とその機会があることを前提とした,そこから滑り落ちた人のための生活保障,とみなして批判し,「広義の社会保障」論を展開します.これは市場経済のロジックを「平等な市民」としての関係にとって十分ではない,と考えるからです.
本書は,後期高齢者,重度障碍者,難病者など,他者に依存して生きる人々を例に挙げますが,彼らが特別なわけではない,と考えます.文明の水準を生きている以上,私たちは広範な依存状態を前提して生きています.それは,貨幣がない時代でも,相互性,互恵性として維持されたように思います.しかし,貨幣を媒介にして,今やグローバルに展開されるようになりました.
もし大幅な所得の差があれば,さまざまな貴重な資源や機会を利用することが一部の人々に限られているとしたら,政治的な統合体はダイナミズムを失うでしょう.社会保障とは,「貧困」ではなく,むしろ「支配に抗する保障」の制度化です.
「他者に依存しながらも,その意思に服することを強いられない自律が可能となるのは,依存とそれへの対応が人々の間に支配―被支配を生み出さないようにする制度化された保障が確立されているときである.」
この意味で,公共機関や公務員の重要性を実感します.
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参加した学生たちに分担して読んでもらっている間,私はホワイトボードに図を描きました.ロドリクのトリレンマとは違う,グローバリゼーションの解剖図を示す試みです.頂点は「帝国」です.イギリスはその近代版として,議会制と植民地を築きました.その下には,「リベラルな国際秩序」(IMF/WTO,ケインズ主義的福祉国家)と書き,中央の垂直線上を下がった底辺に,「デモクラシー」と書きました.
冷戦終結と金融自由化の「グローバリゼーション」(移民労働者,工場移転,アウトソーシング)は,このリベラルな秩序を解体する圧力となりました.もし政治社会が市民たちのダイナミズムを失わないとしたら,独自の仕方で,それを再建するのではないでしょうか?
わたしは中央から左端に「安全保障」,右端に「社会保障」と書きました.戦争や暴力から自由であり,貧困やはく奪から自由である.生活条件の実現と再分配を平等な市民の関係として制度化します.グローバルな市場のもたらす機会は,制度の陥穽を利用した超過利潤や金融市場のパニックを生じて,資産家たちを不当に有利にしている条件である,と思います.
こうした条件を,政治経済秩序は法と制度によって解決しなければなりません.市場経済が社会的分業の利益を説くように,政治社会もホッブス以来の秩序の確立に関する優位を考えているのです.
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安全保障と社会保障はグローバリゼーションを超えて生き残るでしょう.いかなる独裁者とでも,外交関係を結ばなければならない,というのも,国際社会の無政府性を示す前提であり,将来の可能性として,国際的な政治統合の展望を含んだ考え方です.
インドのカーストや宗教対立,中国の反政府・人権活動家への弾圧,香港の自律性,・・・本当に安定的な政治経済秩序は,帝国を滅ぼしても,社会的なダイナミズムを実現できるはずです.
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