(前半から続く)
● NATOと西側同盟の終わり
NYT JUNE 3, 2017
Trump’s NATO Bombast Gets Us Where
Statesmanship Can’t
By MICHAEL KINSLEY
NATOに関して記事を書くことはむつかしかった。だれの関心も引かないから。しかし、トランプの大声が関心を集めるなら、それはよいことだ。しかし、トランプはそれ以上のことを言った。NATOについてアメリカは支払い過ぎだ。もうやめる、と。
われわれは合意したのか? NATOを改革するか、解体する。これまでの政治家もそう言ったが、例えば外交評議会で言うだけでは、何も効果がなかった。トランプの大声なら届くだろう。
Bloomberg 2017年6月3日
America Rules the Waves. But for How
Long?
By
Tobin Harshaw
NATOの元総司令官James
Stavridisが書いた新著"Sea Power: The History and Geopolitics of the World's Oceans"
について、著者にインタビューする。
Bloomberg 2017年6月3日
How Trump Is Surrendering America's
Soft Power
By
Meghan L. O'Sullivan
FT June 4, 2017
Business needs to show there is more
to the US than Donald Trump
Lawrence Summers
トランプ大統領の国際経済政策がどれほど破滅的なものか、アメリカが過去75年間に達成した平和、繁栄、安定性を否定する方針が明白になった。
トランプは現代の科学を否定し、貿易理論を無視し、証拠によって真実を求めるより、事実に反することを主張している。安定した、平和的な国際システムを築くより、闘争場における有利な取引を求める。NATOの相互安全保障を否定し、地球温暖化をめぐる国際協定を破棄したことは、イラク戦争以来、最悪の決定である。
重要なことは、アメリカ社会の指導者たちが政権の間違った行動を明確に否定することだ。企業経営者たちは、トランプ政権の諮問委員会に名を連ねて、有利な扱いを求めるのではなく、Elon Musk of Tesla and
Robert Iger of Disneyのように、委員を辞任するべきだ。
アメリカ大統領はアメリカではない。トランプの言動が、アメリカの姿勢を変えるものかどうか、世界は注目している。トランプを封じ込めるために、アメリカ社会の指導者たちは理性を示し、他国と共通の目標を維持し、グローバルな課題に取り組むことだ。議会が、トランプの危険で、不安定化をもたらす言動を阻止する、中心的役割を果たす。
NYT JUNE 5, 2017
Trump’s Incredible Shrinking America
Charles M. Blow
Project Syndicate JUN 6, 2017
Life After Pax Americana
IAN BURUMA
西側の指導者としてはド・ゴール大統領以来はじめて,ドイツのメルケル首相が,ヨーロッパはアメリカの指導力にもはや頼れない,と公然と述べた.このことを,ドイツの,大西洋同盟支持者であるメルケルが述べたのは皮肉である.虐殺を犯した独裁国家ドイツが平和的なリベラル民主主義国に転換するために,他のどの国よりも多く,アメリカを必要としていたことを考えると,皮肉なのである.
おそらく我々はパックア・アメリカーナの終わりを歓迎すべきだろう.いかなる帝国のシステムも永久には続かない.第2次世界大戦の廃墟から生まれ,2大核保有大国の冷戦によって長期化した国際秩序だが,もはや十分に機能しない.
NATOの目的は,その初代総司令官Lord Hastings Ismayによって見事に表現された.「アメリカを残し,ロシアを排除し,ドイツを抑える.」 しかし,ドイツを抑える必要はなくなったし,ソ連崩壊後もロシアを排除すべきであったか,議論の余地がある.トランプは,乱暴な仕方だが,この点で正しい.ヨーロッパは,そして日本も,アメリカの軍事力に依存しすぎている.
集団的安全保障をアメリカに頼ることは,同盟諸国を植民地にするわけではない.アメリカは公式には帝国でもない.しかし,帝国の終盤に共通するジレンマが,現在,東アジアや西ヨーロッパに見られる.もしアメリカが請求にその指導力を破棄すれば,カオスが広がり,他国にとって好ましくない大国がその空白を埋めるだろう.しかし,もし諸国がアメリカの指導するシステムに長く頼りすぎると,アメリカへの依存により,彼ら自身の安全保障に対する責任を引き受けない状態が続く.
帝国のシステムが崩壊するとき,しばしば,暴力が起きた.オスマントルコの崩壊は,アルメニア人の虐殺,オーストリア・ハンガリー帝国の解体は,反ユダヤ主義と過激なナショナリズム,チトーのユーゴスラビアが保持したバルカンの帝国が滅んだときも,同じことが起きた.イギリスによるインド帝国の終わりに分断された国家でも,多数のヒンドゥー教徒,イスラム教徒が殺害された.
帝国主義を支持するわけではない.しかし,トランプの時代は,1945年以降のアメリカ指導による秩序が終わり,その結果に直面する用意がいる.それは多くの失敗や間違いもあったが,プラスの要素もあった.
西ヨーロッパ,日本,そして遅れて,韓国,台湾も,アメリカの保護下で,自由と繁栄を得た.過度に反コミュニズムを示すこともあったが,アメリカの支配はイデオロギー的な過激化を抑制した.共産主義,ファシズム,過激なナショナリズムが,パックス・アメリカーナの下のヨーロッパでは強まらなかった.日本でも,左派は弱められ,保守政党が長期の権力を得た.他方,失地回復論も抑えられた.
疑いなく,短期的に,アメリカの指導力後退はロシアや中国の利益になる.アメリカに比べて,ロシアや中国は西欧や日本に近い.彼らを巨額の取引で取り込むことはできるだろう.ロシアや中国がNATOや日本を侵略する可能性は低い.
しかし,ロシアや中国の浸食に対する脆弱性が増すことで,そのコストは増すだろう.アメリカは西側の「共通の価値」を支持する点で,同盟諸国からの批判を許し,健全なリベラル民主主義として受け入れた.中国が支配する世界では,こうしたことはありえない.
パックス・アメリカーナの終わりは,軍事的侵略や世界戦争でないかもしれないが,アメリカ帝国を懐かしく思うような苦しいものであるだろう.
FP JUNE 6, 2017
Trump May Rue His Middle Finger to
Europe
BY MAX BOOT
NYT JUNE 7, 2017
Trump Lies. China Thrives.
Thomas
L. Friedman
SPIEGEL ONLINE 06/08/2017
Interview with Germany's Foreign
Minister
By Pulling Away, U.S. 'Does the Most
Damage To Itself'
Interview
Conducted By Severin Weiland
● ユニバーサル・ベーシックインカム
Bloomberg 2017年6月4日
Universal Basic Income Is Neither
Universal Nor Basic
By
Yuval Noah Harari
この先、機械やロボットが進化して、何千万、何億人もの仕事が消滅するだろう。経済や貿易のネットワークに大混乱が生じる。産業革命以来、形成された都市労働者階級が、20世紀の社会・政治史の大部分を決定する諸問題を生んできた。同様に、人工知能革命は、新しい「非労働階級」を生み出し、彼らの希望と不安が21世紀の歴史を決定するだろう。
前例のない技術変化、経済混乱に対して、われわれは全く新しいモデルを必要としている。ますます注目を集めている1つのモデルが、ユニバーサル・ベーシックインカムUBIである。それは、制度(おそらく政府)によって、人工知能やロボットを管理する億万長者と企業に課税し、その財源ですべての市民に基本的必要を満たす給付が行われる。
それが必要だと、すべての者が認めているわけではない。19世紀の機械化も大規模な失業を生まなかった。20世紀にトラクターやコンピューターで失われた仕事は、新しい職場に代わった。しかし、これこそ以前と違う理由にもなる。学習する機械は、人間納労働者を本当に駆逐するかもしれない。今やAIの認識能力は人間をはるかに凌駕しているからだ。
しかし、UBIの解法はいくつかの問題を生じる。それが「ユニバーサル」や「ベーシック」の意味を明確に定義できないことだ。
人々がUBIを考えるとき、それを国家規模であると前提している。これまで試みられたUBIはすべて、国家もしくは都市の単位であった。問題は、AIやロボット化の犠牲となる労働者が、フィンランドやアムステルダム、アメリカの国民ではないかもしれないことだ。グローバリゼーションにより、ある国の人々は他国の労働者に大きく依存している。何百万人ものバングラデシュの労働者が、アメリカの消費者に売るシャツを生産することで生活している。
AI、ロボット、3Dプリンターは、安価な労働者への需要を大きく減らすだろう。彼らはあなたの3DプリンターやGoogleクラウドのAIについて不満を持つ。南アジアの労働者たちの得ていた所得は、カリフォルニアのハイテク大企業に流れ込み、発展途上諸国に激しい社会的緊張状態をもたらす。アメリカの有権者は、Amazonや(Googleの)Alphabetに課税して、ペンシルベニアの炭坑夫やニューヨークのタクシードライバーが仕事を失ったことに給付するかもしれない。しかし、バングラデシュの膨大な失業者たちにも送るだろうか?
さらに、「ベーシック」な必要を、明確に定義できない。純粋に生物学的な視点で、1日2500カロリーの食料を定義しても、その貧困水準を超えて、文化や歴史が追加的な「ベーシック」を決める。もし2050年に世界政府がGoogle,
Amazon, Baidu Inc. and Tencent Holdings Ltd.に課税して、全地球で人類にUBIを給付するなら、ダッカからデトロイトまで、「ベーシック」を定義できるだろうか?
教育や医療を「ベーシック」に含めると、それ以外の必要物を求める人々は、さらに苛烈な競争と政治闘争を展開するだろう。結果的に、Tencentの経営者やGoogleの株主は多くの奢侈財を得て、UBIに依存する貧困層はさらに多くの奢侈財から切り離され、制約される。UBIシステムは操作されている、詐欺だ、という非難が強まるかもしれない。
人々は、以前の世代から改善したことを喜ぶより、同世代の富裕層と比較して、強い不満を持つ。現代の通信技術が比較を容易にし、不満を増幅するだろう。
UBIは、客観的な貧困状態を平均的に解消するかもしれないが、主観的な満足を高めることには失敗するだろう。
● 中国とインド
FT June 5, 2017
China, India and the clash of two
great civilisations
Gideon Rachman
21世紀において、中国とインドは経済成長を競うだけでなく、その政治システムやイデオロギー、文明間の競争を加熱するだろう。
YaleGlobal, Tuesday, June 6, 2017
Now, Globalization With Chinese
Characteristics
Wenshan
Jia
● サウジアラビアとカタール
FP JUNE 5, 2017
Why Did Several Arab Countries
Suddenly Cut Ties With Qatar?
BY EMILY TAMKIN, ROBBIE
GRAMER
FP JUNE 5, 2017
Will Qatar’s Diplomatic Exile Spark
the Next Great War?
BY SIMON HENDERSON
2017年のドーハは1914年のサラエボか? オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子暗殺から第1次世界大戦に至った歴史が、サウジとアラブ首長国連邦の軍隊と、イランの軍隊との衝突から起きるかもしれない。
FT June 6, 2017
Saudi Arabia moves to tame upstart
Qatar
FT June 6, 2017
Qatar pays the price for betting on
the Brotherhood
David
Gardner
NYT JUNE 6, 2017
Why Qatar Is in the Naughty Corner
By
RAYMOND BARRETT
FP JUNE 7, 2017
What the Islamic State Wants in
Attacking Iran
BY
WILL MCCANTS
YaleGlobal, Thursday, June 8, 2017
Diplomatic Storm in the Gulf in Wake
of Trump's Mideast Visit
Dilip
Hiro
● インドの銀行危機
FT June 5, 2017
India Inc walks a banking tightrope
Simon
Mundy in Mumbai and Amy Kazmin in New Delhi
● 世界景気の不安
Project Syndicate JUN 5, 2017
The Global Recovery’s Downside Risks
NOURIEL ROUBINI
世界景気はこのまま回復し続けるのか? トランプに関して強気のアメリカ市場、そして、中国の成長を安定的に減速する経済運営は、ともに世界経済を不況に陥らせるリスクを含んでいる。
● メルケルとマクロン
Project Syndicate JUN 5, 2017
Angela Merkel’s Challenge to Europe
JOSCHKA FISCHER
Project Syndicate JUN 5, 2017
The Renewal of Europe’s Center?
HAROLD
JAMES
メイ、マクロン、メルケル、ヨーロッパの新しい政治は非常に困難な信認テストを受けねばならない。新しい中道政治を目指す動きは明白だが、有権者にもたらす結果は不確実だ。彼らの指導力は信用されない。
SPIEGEL ONLINE 06/06/2017
Merkel Challenger Schulz
Trump 'Most Un-American' U.S.
President Seen in Years
Interview
Conducted By René Pfister and Christoph Schult
Project Syndicate JUN 7, 2017
Can Macron Redraw the Political Map?
KEMAL DERVIŞ and CAROLINE
CONROY
Bloomberg 2017年6月7日
The EU Isn't Raising an Army -- Yet
By
Leonid Bershidsky
● トランプの政策論
VOX 05 June 2017
New eBook: Economics and policy in
the Age of Trump
Chad
Bown
NYT JUNE 5, 2017
Is There an Emerging Democratic
Agenda?
By JARED BERNSTEIN
● 金融危機と債務組換え
VOX 05 June 2017
What history tells us about
state-contingent debt instruments
Myrvin
L. Anthony, Narcissa Balta, Tom Best, Sanaa Nadeem, Eriko Togo
金融危機に際して危機の圧力を緩和し、債務組み換えのコストを抑制する手段sovereign state-contingent debt
instruments (SCDIs)の導入は、以前から提案されてきた。それは債務の支払いをあらかじめ決められた経済変数にリンクして変動させる。しかし市場はその発行を積極的に増やしていない。
● 難民の阻止
NYT JUNE 5, 2017
What We Lose by Barring Refugees
Antony
J. Blinken
NYT JUNE 6, 2017
Forced Home to a War Zone
By
EMRAN FEROZ
● サウジアラビアの福祉国家
FP JUNE 5, 2017
Can Saudi Arabia’s Young Prince Wean
the Welfare State?
BY
ELIZABETH DICKINSON
● マティスのアジア安全保障
FP JUNE 5, 2017
James Mattis’s Reassurance Tour Is
Winning Admirers But Not Believers
BY
KORI SCHAKE
FT June 7, 2017
US manoeuvres in the South China Sea
are not provocative
Aaron
Connelly
● ヴェネズエラ
FP JUNE 5, 2017
China’s Continent-Spanning Trains
Are Running Half-Empty
BY
ANDREEA BRINZA
FP JUNE 6, 2017
Venezuela’s Road to Disaster Is
Littered With Chinese Cash
BY CHRISTOPHER BALDING
● AIとロボット
FT June 6, 2017
For America, full employment is no
longer full enough
FT June 6, 2017
The “gig economy” is not an
innovation
Kadhim
Shubber
Project Syndicate JUN 7, 2017
Labor Markets in the Age of
Automation
LAURA TYSON
AIとロボットの技術進化は自動化の新しい波を起こしている。機械は人間のパフォーマンスを超えて、ますます広い領域で、人間の複雑な認識に代わっている。それは雇用の量や質にどのような影響を与えるのか?
トランプは失業の責任を中国との貿易やメキシコ人移民に求めて、多くの労働者の支持を集めた。しかし、アメリカの製造業で雇用が過去30年間で失われた原因の80%は、労働節約的な、生産性を高める技術変化によるものだ、という点でエコノミストの意見は一致している。貿易は、はるかに劣った第2の原因である。
将来は、ロボットによる職場の消滅で多くの労働者が苦しむのか、あるいは、教育や熟練を問わずに中産階級の所得を得られる、良い仕事がなくなるのか?
その両方が起きるだろう。しかし、技術変化には熟練に偏りを生じる。それは雇用と賃金において両極分化を拡大する。またそれは、AIやロボットを利用する企業を介して、グローバリゼーションの効果と重なって表れる。
しかし、AIやロボットに課税することは革新を妨げ、生産性の伸びや生活水準の改善を阻むことになる。むしろ、教育や職業訓練、所得支援、セーフティーネットの拡充・改善が望ましい。そして、より累進的な課税と多くの所得移転が必要だ。
FT June 8, 2017
Is it finally time for a raise for
American workers?
Sam
Fleming
● クルド人部隊
NYT JUNE 6, 2017
The Error of Arming the Syrian Kurds
By
KYLE W. ORTON
ラッカの解放に向けてイスラム国と戦うため、アメリカ政府がクルド人部隊the Kurdish People’s Protection
Units(YPG)に対して武器を援助することは、その後の地域の平和に深刻な問題を生じる。それは、トルコとの対立、スンニ派イスラム教徒によるイスラム国の設立、と言った失敗を再現するものだ。
● ブラジルの政治経済危機
FP JUNE 6, 2017
Brazil Has Become a Gangland
BY
CHRIS FELICIANO ARNOLD
Project Syndicate JUN 8, 2017
Brazil’s Argentina Moment
FILIPE
CAMPANTE and DANI RODRIK
金融市場のパニックを抑えるために財政支出に限度を設けることは好ましくない.IMFがそれを熱狂的に支持するのは間違いである.
● 核
FP JUNE 6, 2017
America Can’t Fix Its Problems With
New Nukes
BY
JON WOLFSTHAL
FP JUNE 6, 2017
Trump’s Plan to Defeat Terrorism Is
Self Defeating
BY
STEPHEN TANKEL
NYT JUNE 7, 2017
What Happens in Tehran Doesn’t Stay
in Tehran
By HOOMAN MAJD
● アメリカ連銀
FT June 9, 2017
An interest rate rise will
strengthen the Federal Reserve’s hand
Gillian
Tett
● アメリカの政治システム
The Guardian, Thursday 8 June 2017
Go out and vote today, but know this
– our grotesque system needs reform
Polly
Toynbee
FT June 8, 2017
US voters long for an alternative to
fix their broken democracy
Anne-Marie
Slaughter
アメリカにもマクロンのような若い大統領は現れないのか? 2大政党から離れて新しい運動の代表になり、当選する。政治の在り方を変革して、多数派を形成する。
しかし、アメリカのような勝者がすべてを得るようなシステム、当選者が1人だけの選挙区制度では、2大政党制が永久に続く。比例代表制の方が複数政党になりやすい。最大得票を得なければポストが得られないとき、第3候補に投票することは無意味である。
伝統的な政党と現状維持に対する強い不満が生じる。トランプもサンダースも、エスタブリシュメントに反対する候補だった。もしヨーロッパなら、Reince Priebus, Paul
Ryan, and Mitch McConnellが戦術的に党の右派から支持を得て、有害な考えのアウトサイダー的な指導者から距離をとっただろう。しかし、アメリカではトランプを否定できない。それは自分たちの政治組織の力が失われることを意味する。
2016年9月の調査で、アメリカ人の57%は、第3政党が必要だ、と答えている。また42%が、昨年の大統領選挙で自分は独立派だった、と答えた。しかし、アメリカで中道派の連携を目指す動きは常に失敗する。アメリカの政治が6つの派閥に分裂しており、互いに特別な論点で攻撃するからだ。すなわち、左派、改革派、伝統的共和派、リバタリアン、保守派labour/left
(Sanders/Warren Democrats); progressives (Clinton Democrats); Whigs
(traditional Republicans); libertarians; nationalist populists (Trump
Republicans) and conservatives (Paul Ryan/Ted Cruz Republicans)である。
本当に重要な問題に答える政党が存在しない。雇用、ベビーブーマーの引退後、増大するパートや派遣労働者にとっての被雇用者給付システム、中産階級の所得をもたらす職場の崩壊。
さまざまな選挙制度の改革が試みられるようになった。しかし、まず、第3政党を作って、選挙によって政党を排除できるようにするべきだ。
● コミー元FBI長官
NYT JUNE 8, 2017
James Comey’s Testimony: ‘Comey Was
Playing Chess’
By EMILY BAZELON and
ELIZABETH GOITEIN
NYT JUNE 7, 2017
James Comey Cometh
Charles
M. Blow
● 朝鮮戦争の和平条約締結
NYT JUNE 8, 2017
End the Korean War, Finally
By JAMES DOBBINS and
JEFFREY HORNUNG
64年前、1950年から53年まで、36000人の米兵を殺した朝鮮戦争は、停戦合意によって停止した。しかし、平和条約は結ばれていない。この戦争は正式には終わっていないのだ。
北朝鮮の指導者たちは、長期にわたって、戦争を正式に終結させることを重視してきた。休戦では、朝鮮半島を永久に分断することを含む、多くの問題が未解決だ。
北朝鮮は、停戦ではなく、明確な平和を宣言するよう求め、彼らが攻撃されないこと、そして、アメリカ、韓国、その他の世界が彼らを正式な主権国家として、正当な権力を承認されることを求めてきた。
これまでのアメリカ大統領は、和平交渉に多くの前提条件を付けた。非核化やミサイル実験の停止、などだ。しかし、北朝鮮の指導者、金正恩は、自分がイラクのサダム・フセインやリビアのカダフィと同じ運命をたどらない、と確信しない限り、核兵器やミサイル開発計画を諦めないだろう。
北朝鮮指導部を、どのように説得できるだろうか? 冷戦時代にも、アメリカ、その同盟関係にある西ドイツは、同じ問題に直面した。
1974年、アメリカはドイツ民主共和国を承認し、東ベルリンに大使館を開いた。他方で、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)を歴史的なドイツの唯一正統な政府、将来の統一ドイツの政府として、承認していた。それは16年後に実現したのだ。同様の創造的な発想が、朝鮮半島の平和条約にも求められる。
北朝鮮の核危機に対する解決に向けて、平和条約の締結は必要な要素となるだろう。その場合、合意に参加する政府はどこか? 合意の検証と強制力をどのように確保するか?
交渉はナイーブな姿勢で行わない。アメリカは地域の安全保障と同盟関係に関する疑念を生じるような、軍事演習の停止や行動を取ってはならない。すべての段階で、北朝鮮が約束を守らないことに注意しなければならない。
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The Economist May 27th 2017
Deep trouble
Ocean fishing: All the fish in the sea
Charlemagne: The terrible trio
Bagehot: The two Thereasas
Stockpicking: Quants and the quirks
(コメント) 地球の表面はその4部の3が海である.その膨大な水をもってしても,人類の行為は温暖化や魚,サンゴの死滅という恐ろしい結果を生じている,と記事は警告しています.
西欧の指導者たちが,トランプ,プーチン,エルドアンによって政治的な孤立を味わっている,という記事,そして,メイ首相の指導者としての能力不足と狭隘さが問われています.
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IPEの想像力 6/12/2017
大阪の産業遺産に指定されている建物をめぐる散歩道を歩くため、私は妻と電車に乗っていました。ある駅で乗り換えのために待っているとき、大学の宣伝を観ました。こんな大学もあるね、という感じで宣伝文句を眺めていたのです。
大学は学生を集めるのにますます苦労するのでしょう。ブランドに頼る大学と、就職の実績を示す大学に絞られていくのかもしれません。
熱心に学ぶことこそが素晴らしい。学ぶことの原点は、技術、資格、探求心・知識欲・美意識・正義感・・・。
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中学を卒業したら、自分が就きたい職業をめざして、専門学校に進学するのがよいでしょう。18で働き始め、20くらいで結婚する。早く父親や母親になることで、人は大人になる。
そして、仕事を経験する中で、もっと高度な知識が得たいと強く思ったら、大学や大学院に進学する。経済学や政治学は、公人・政治家になるための学問です。そして、政治家が何を考えているのか、市民が理解するために学ぶものです。
政治家になろうと思う人たちが、あるいは、政治過程を正しく判断するために知識を得ようとする者が、大学で学びます。
だから教師は、もっとフィールドワークを中心に、その知識を鍛える。政府、企業、団体、政治家、市民グループなどから依頼を受け、あるいは、学生たちとともに、自分から多くの社会調査と報告書を出すべきです。
若者たちが時間を浪費することは、その国の成長を大きく損なっています。大学には、学ぶ理由、学ぶ意欲が要るのです。もっと意味のある時間、もっと理想主義の育つ場所に、政府は投資しなければなりません。
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夕食のとき、質問してほしい、と妻に頼みました。・・・地方の議会が消滅? 従軍慰安婦について抗議する人たちを納得させる? マクロンは何をするのか?
しかし、いちばん注目したのは新聞広告でした。「安心の介護・医療支援体制」、「都市型立地」、「充実の共用スペース」、という介護付有料老人ホームの広告です。
その費用に驚嘆しました。1人で入居する場合、一時金が2950万円~1億6000万円。健康管理費が500万円。さらに、毎月の費用もかかります。管理費が11万4000円。食費6万9000円。・・・こんなにかかるのでしょうか? 老人になっても、このような富裕なコミュニティを金で買う。ゲーティッド・シティに暮らして、社会の「貧困」「不安」を遮断する。
歳を取ると、生活するのに、これほどの貯蓄が必要なのだ、と言われたようで、唖然としました。こんなに貯蓄がない人はどうすればよいのでしょうか? 毎月の年金額ではなく、楽しく、質素に暮らせるということを、政治家たちは示すべきだ、と思います。
都市に高層ビルを建てる必要はありません。マンション内にプール、フィットネスルーム、大浴場、アトリエ、カラオケルームは要りません。市民プール、小学校(校庭の利用や趣味の教室)、医院、銭湯、カラオケスナックが近所にあって、低料金で利用できればよいのです。
離島や山村、過疎地域の駅を中心に、老人たちのために住宅をリフォームし、何軒もホームが集まる再生地区を計画するとよいでしょう。すべて、老人たちのベーシックインカムから基金を設け、実現させます。
地方行政、建築家、社会福祉関係者、もちろん、老人たちが集まって、各地の町を設計します。そして、ネットで募集・応募し、情報交換して、移住します。
若者から老人まで、人生の時間と空間を再設計することで、もっと楽しく生きることです。
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