(前半から続く)
● パレスチナと平和
NYT MAY 26, 2017
Why the Palestinian Authority Should
Be Shuttered
By
DIANA BUTTU
NYT MAY 26, 2017
‘Beautiful Military Equipment’ Can’t
Buy Middle East Peace
By
MOHAMMAD JAVAD ZARIF
Project Syndicate MAY 30, 2017
Trump in Jerusalem
SHLOMO
AVINERI
● アメリカの貯蓄率
NYT MAY 26, 2017
The Question Isn’t Why Wage Growth
Is So Low. It’s Why It’s So High.
By
NEIL IRWIN
FT May 28, 2017
The Fed’s lowflation dilemma
Gavyn
Davies
Project Syndicate MAY 29, 2017
The Case Against Subsidizing Housing
Debt
JEFFREY
FRANKEL
アメリカの貯蓄率がアジアに比べて低いのは、文化的な要因が作用しているのだろう。しかし、アメリカ政府が住宅債務を可能な限り大きくする政策を採用していることは、労働力の移動性を妨げ、家計の貯蓄を大幅に減少させている。住宅債務の奨励をやめるべきだ。
トランプ大統領は減税を求めている。他方、共和党は、歳入を減らさない、効率性を高める税制改革を求めている。金融危機の原因となった、しかも、他国に比べて住宅保有率を高めることにも失敗している、住宅債務への補助金や政府によるFannie Mae and Freddie
Macへの間接的な補助をやめるべきだ。
国民はエコノミストの意見を聞かなくなった。それはエコノミストたちが住宅バブルと金融危機とを予測しなかったからだ。
NYT
MAY 30, 2017
Why There Is No ‘Trump Slump’ on
Wall Street
By
RUCHIR SHARMA
FT May 31, 2017
The Federal Reserve’s conundrum:
stubbornly low inflation
Sam
Fleming in Washington and Jeevan Vasagar in Singapore
● ブレジンスキーの時代
FT May 27, 2017
Zbigniew Brzezinski, US national
security adviser, 1928-2017
Jurek
Martin
FT May 31, 2017
Zbigniew Brzezinski and the untimely
death of American statecraft
Edward
Luce
ブレジンスキーZbigniew Brzezinskiのビザは拒否された。彼はアメリカへ行き、その後、超大国の進路に影響を与えた。もし1940年代、彼がロンドンにわたっていたら、それは不可能であっただろう。
ブレジンスキーの死は、アメリカのある時代が終わったことを意味する。同じころ、ロシアに対するNATOの衰退を、トランプが予想させたことは皮肉である。現在、アメリカが直面する脅威は、冷戦時代に育てたような知性の実力主義を必要としている。
中国の台頭、ロシアの脅迫、中東の崩壊、大西洋関係の動揺。有名大学の卒業生でブレジンスキーのようなものが現れることは想像するのが難しい。ポーランド出身で、ロシアについての学識が深く、外交の技量に秀でていた。トランプのアメリカは、ブレジンスキーの尽くしたアメリカと全く異なる。
1928年にポーランドで生まれ、その外国なまりを直さなかった。アメリカで昇進しても、ナチスとソビエトに蹂躙された母国の悲劇的光景を忘れることはなかった。それは、他のソビエト研究者にはない鋭利な洞察を彼に与えた。
同じ明晰な思考で、イスラエルとエジプトとのキャンプ・デービッド合意を導き、しかもブレジンスキーは、それをアラブ世界全体に拡大すべきだと常に考えていた。中国に関しては、幸運にも、米中の国交正常化に成功し、鄧小平と乾杯する機会を得た。
若いブレジンスキーやキッシンジャーのような才能を、今、ワシントンの法律事務所やシンクタンクに見出すことはできないだろう。ブレジンスキーの活躍したアメリカは独立した思想家を重視した。今は政府に逆らう者に厳しい時代だ。2003年、彼はイラク侵攻に反対して公に非難され、反論したが、その影響力を失った。
ブレジンスキーの遺産とは、知識の価値を証明したことだ。世界をよく理解するほど、それを形成するチャンスも大きくなる。その意味で、アメリカは急速に影響力を消失しているのだ。
● Brexit選挙
NYT MAY 28, 2017
Britain Is Becoming More Fenced Off,
Vindictive and Callous
By
DANIEL TRILLING
FT May 30, 2017
After Brexit: the UK will need to
renegotiate at least 759 treaties
Paul
McClean in Brussels
FT June 2, 2017
Trade realities expose the absurdity
of a Brexit ‘no deal’
Martin
Wolf
合意しないのは、悪い合意をするより好ましい。だれもが知るように、この姿勢がイギリス首相であり、選挙後にも首相になるだろう、女性の立場である。しかし、このような主張は中身がなく、無意味なものだ。
FT June 1, 2017
The Brexit election that leaves
Britain the loser
Philip
Stephens
FT June 1, 2017
Election 2017: The safer bet of a
Conservative vote
Bloomberg 2017年6月2日
The Most Interesting Poll in Britain
Right Now
By
Leonid Bershidsky
● マクロンの時代
Project Syndicate MAY 29, 2017
The Macron Method
MARK
LEONARD
FT May 30, 2017
Deeper European integration is on
hold indefinitely
Adam
Glapinski
EU統合やユーロ改革は白昼夢でしかない。ポーランド政府はイギリスがEUを離脱した後、マクロン当選でEU統合が進むという期待は、ごく短期間しか続かなかった。
VOX 31 May 2017
New eBook: Europe’s Political
Spring: Fixing the Eurozone and Beyond
Agnès Bénassy-Quéré,
Francesco Giavazzi
Project Syndicate JUN 1, 2017
Standing Up for Europe
GEORGE
SOROS
Project Syndicate JUN 1, 2017
Vive l’Euro?
LUCREZIA
REICHLIN
Bloomberg 2017年6月1日
A Realistic Plan to Keep the Euro
Zone Together
By
Leonid Bershidsky
● トランプの予算案
Project Syndicate MAY 29, 2017
Trump’s Magic Budget
CARMEN
REINHART
トランプの予算案が出た。3%の成長率を前提することは多くの批判を招いている。それだけでなく、金利水準も現実的ではない。
FT May 30, 2017
What history tells us about Trump’s
budget fantasy
Larry
Summers blog
予測できないことが起きるから、予算案を評価するには歴史によって判断するのが良いだろう。
この予算案を基に株式を買うというのは冗談だろう。こうした予測を信じるまともな投資銀行はない。経験ある投資銀行家たちがトランプ政権に参加しているのに、このような予算案を出すのは不思議である。
● ベトナム戦争
NYT MAY 29, 2017
Ken Burns and Lynn Novick: Vietnam’s
Unhealed Wounds
By KEN BURNS and LYNN
NOVICK
● 歴史の終わり
FP MAY 29, 2017
The End of History Is the Birth of
Tragedy
BY
HAL BRANDS, CHARLES EDEL
● ロシアのプーチン
Bloomberg 2017年5月29日
Smartest Way to Deal With Russia?
Ignore Putin
By
Leonid Bershidsky
● アメリカ抜きのTPP
Bloomberg 2017年5月29日
Trans-Pacific Partnership Can
Succeed Without the U.S.
By
The Editors
● デジタル時代の競争
FT May 30, 2017
Competition is not for losers — even
in the digital era
John
Thornhill
● ローハニの改革
FT May 30, 2017
Economic reform is top of Hassan
Rouhani’s agenda
Naysan
Rafati
Project Syndicate MAY 30, 2017
A Turning Point for Iran?
CHRISTOPHER
R. HILL
● トランプの政策転換
Project Syndicate MAY 30, 2017
Trump’s Foreign Policy Reversals
MARTIN
FELDSTEIN
トランプの選挙戦中に示した方針は、その就任後の政策において転換された。しかし、特に、中国との関係が示すように、それはアメリカが望むような正しい政策転換を他国に採用させている。
● 人民元とSDR
Project Syndicate MAY 30, 2017
Should China Be Ejected from the
SDR?
BENJAMIN
J. COHEN
先週、中国政府は人民元の為替レートをさらに厳しく規制した。それは18か月前に、人民元がIMFのSDRを構成する通貨に加わるとき約束したことを否定するものだ。
当時も、人民元に対するIMFの決定は政治的であると批判された。SDRを構成する通貨になるには、世界の主要な輸出国であることと、通貨市場が開かれており、自由に取引できることが条件であった。中国は第1の条件を満たすが、第2の条件は満たしていなかったのだ。
歴史的に、中国人民銀行PBOCは、市場を無視して為替レートを毎日決めていた。そして極めて狭い範囲でのみ変動を許した。PBOCは市場の傾向を反映した為替レートにすると宣言したが、裕福になった中国人が資本を海外に移転することで為替レートが変動し、介入により外貨準備を大幅に減らしてきた。
中国政府は為替レートを市場に委ねる気がない。そのために必要な市場自由化を行えば、共産党の政治経済管理モデルが機能しなくなるからだ。彼らは金融抑圧を続けるだろう。そうであれば、IMFの決定は間違いであったことになる。これが先例となって、特にロシアやインドのような新興市場がIMFに政治的な決定を求めるかもしれない。
IMFは、その基準に従い、人民元のSDR参加を取り消すべきだ。
● 北朝鮮危機と米中合意
NYT MAY 30, 2017
Thinking the Unthinkable With North
Korea
By
GRAHAM ALLISON
トランプ大統領は世界に約束した。金正恩が核兵器をサンフランシスコやロサンゼルスに届くミサイルに搭載する前に、北朝鮮の核危機を「解決」する、と。前任者たちはこの問題を先送りしただけだった、と彼が批判するのは正しい。しかし、トランプが問題を解決するために何をするのか、まだ語ったことはない。
歴史は、それに含まれるリスクを教えている。中国の習近平主席は、その方針として、4月、マーラ・ラーゴMar-a-Lagoの首脳会談で、アメリカが朝鮮半島での軍事演習を凍結し、それと交換に、北朝鮮は長距離ミサイルの実験を停止することを提案した。
アメリカが長く「受け入れられない」と主張してきたことを受け入れるように求めるアプローチは、無責任だ、と多くのアメリカ政府関係者は思った。敵を処刑し、警告を無視してきた、33歳の独裁者が、20発の核兵器とソウルや東京を攻撃できるミサイルを保有したままで、アメリカの安全保障は本当に強化できるのか? しかし、その錠剤を飲み下すのは困難だ。2か月前、ティラーソン国務長官は、そのような凍結案は何も解決しない、時期尚早だ、と述べた。
しかし、トランプとティラーソンは、1950年の毛沢東と、1962年のジョン・F・ケネディから学ぶべきだ。敵を追い詰めることには大きなリスクがある。
毛沢東の場合。朝鮮戦争で、アメリカの政策担当者たちは、アメリカが韓国を防衛するために軍を派遣しても、内戦に疲れた中国は対抗しないだろう、と考えていた。彼らは間違っていた。毛沢東は迷わず甚大な兵力を用いて反撃した。中国国境に近づいていた、核武装した超大国の軍隊を圧倒し、マッカーサー将軍の兵は撤退した。
それは再現するのか? その可能性はあるだろう。アメリカの諜報機関によれば、米軍が北朝鮮を攻撃すれば、確実に、報復によってソウル市民が百万人の規模で犠牲となるだろう。韓国軍が総力で反撃し、アメリカは韓国を支援するだろう。習近平は、アメリカと同盟する政府によって朝鮮半島が再統一されるのを、許すだろうか?
歴史はそれを否定する。私は、過去50年間で、新興の大国が支配国からその地位を奪おうとした16のケースを研究した。そのうち12のケースは戦争に至った。現在、とどまることを知らない新興の中国が、動こうとしないアメリカに対抗している。「ツキディデスの罠」と呼ぶ、このダイナミックな過程は多くのリスクを生む。
われわれが見ているのは、スローモーションのキューバ・ミサイル危機だ。その最も危険な瞬間において、ソ連が核搭載ミサイルをキューバに設置するのを防ぐために、ケネディ大統領は、3つに1つは、ソ連との核戦争が起きることを覚悟した。
最後の時間になって、ケネディとフルシチョフは、以前に考えられなかった選択肢を試し始めた。双方が譲歩したのだ。ケネディは、極秘に、トルコからアメリカのミサイルを撤去した。それはケネディとその顧問たちが、NATOを損ない、彼自身の弱さを示すことになるから、拒否していた選択肢であった。
ケネディの重要な教訓とは、「敵を、侮辱的な撤退か、核戦争か、という選択に向かわせてはならない」ということだ。
マーラ・ラーゴの会談で、習はトランプに「停止と停止との交換」を受け入れるように迫った。金はICBMの実験を停止し、アメリカは地域の軍事演習を延期もしくは修正する。習の側近は、米中が東アジアの安全保障アーキテクチャーを構想することまで提案していた。
もし中国が、金正恩の体制を除去し、半島を非核化して、北京に親しい韓国政府の下で再統一をする責任を持つなら、アメリカは南部からすべての基地を撤去し、軍事同盟を終了するのか?
核戦争を回避する、という圧力の下で、トランプが新しいことを提案するかもしれない。
NYT JUNE 1, 2017
We May Not Be Able to Stop a North
Korean Missile
By JOHN F. TIERNEY
FP JUNE 1, 2017
Mattis Should Explain Trump’s
Asia-Pacific Strategy, if One Exists
BY
ABRAHAM M. DENMARK
トランプがTPPを離脱したことで、アメリカ政府がもたらしたアジア太平洋政策の不確実さが、東アジアの同盟諸国に不安を呼んでいる。マティス国防長官のシンガポールにおける安全保障国際会議への出席は、大きな注目を集める。
YaleGlobal, Thursday, June 1, 2017
South China Sea: US Bargaining Chip or
Key Interest?
Donald
K. Emmerson
● ヴェネズエラ
NYT MAY 30, 2017
Venezuela Needs International
Intervention. Now.
By JARED GENSER
● 世界銀行とレーマー
Bloomberg 2017年5月30日
The World Bank Has Bigger Problems
Than Bad Writing
By
Noah Smith
● 人民の敵
Project Syndicate MAY 31, 2017
The Divergence of US and British
Populism
ANATOLE
KALETSKY
アメリカでは、トランプ政権の間違った政策に反対する声が民主的に政府の決定を制約し、翻している。これと対照的に、イギリスでは、Brexitの国民投票から時間を経ても、それを見直す声は抹殺されている。
トランプの選挙結果は、一時的な逸脱とみなされ、アメリカは将来も、ナショナリストの懐古趣味に向かうより、グローバリゼーションを利益とみなすだろう。赤さび地帯が大規模なインフラ投資で繁栄することはないだろうし、メキシコや中国との関係も大きく変化しない。オバマケアの廃止には反対が強いし、「国境税」ができなければ大幅減税の財源もない。
アメリカでは、論理的に矛盾した、経済的に不正直な、外交的に観て不可能な政策に反対する者が、民主的な重要な役割を果たしている。議会の民主党議員たち、それ以上に効果的な反対派である、テレビのコメディアンたち、多数の進歩的有権者が街頭デモを行い、メディアが入国を拒否されたイスラム教徒のための支援金を集めるために行動した。
アメリカのビジネス界は経済的な利益を損なう政策に強く反対しているし、Walmartなどの小売業界は、アメリカの輸入品に課税することがどれほど大きな政治的コストを意味するか、消費者たちを教育した。
他方、イギリスの受動性は驚くほどだ。EU離脱は、トランプ政権のいかなる提案よりも破壊的である。それにもかかわらず、Brexitは動かせないもの、挑戦したり、疑問を示したりすることができないドグマになっている。Brexitに反対する主要な企業は1つもない。国民投票はメイ首相に単一市場を離脱する権限を与えないし、EU離脱後の関税同盟を示したわけでもない。
アメリカでもイギリスでも、「人民の意志」という宣伝が繰り返された。それは「人民の敵」という、恐るべきファシストの言動につながる。アメリカではそのような極端な主張は一部の過激な集団に限られているが、イギリスでは議会でBrexit反対派に向けて浴びせられ、主要メディアでさえ、まるで反対派を反民主的で、反愛国的であるかのように否定している。
● アメリカのパリ協定離脱
NYT MAY 31, 2017
Trump Expected to Pull U.S. From
Paris Climate Accord
By
MICHAEL D. SHEAR and CORAL DAVENPORT
FP MAY 31, 2017
Yeah, the Weather Has Been Weird
BY
KATHARINE HAYHOE
地球の温暖化で北極の氷が解け、太陽光を反射しにくくなった海はますます温まって、なかなか凍らない。ホッキョクグマは餌となるアザラシを凍った海でなら捕まえられるが、地上において捕まえることはむつかしい。そのため、温暖化で初期に滅ぶ生物種になるだろう。
しかし、アメリカには地球温暖化をでたらめだとみなすシンク体躯が多いし、科学を軽蔑し、環境科学者たちを終末論者や、それ以上にひどい者として攻撃する人々がいる。
FP MAY 31, 2017
If Trump Dumps the Paris Accord,
China Will Rule the Energy Future
BY
GINA MCCARTHY
FP MAY 31, 2017
The Convenient Disappearance of
Climate Change Denial in China
BY
GEOFF DEMBICKI
NYT JUNE 1, 2017
Trump Gratuitously Rejects the Paris
Climate Accord
Paul
Krugman
トランプ大統領は気候変動に関する世界の希望を破壊するために全力を尽くしている。これはアメリカの国益にならない。
化石燃料ではなく、電力に頼る生活は可能である。その電力は、風力、太陽、そして、原子力、必四時には天然ガスで供給される。
確かにコストは少し高いが、大気汚染による健康問題の改善など、多くのメリットがある。
われわれは温暖化を抑制するすべての技術を手にしており、実現可能であるが、なぜ政府はそれを阻むのか?
生来に関する不確実さや、炭坑労働者の生活を守るためではない。確かに、リベラルへの敵意がある。しかし、何より、トランプのせいだ。
NYT JUNE 1, 2017
Trump’s Stupid and Reckless Climate
Decision
By BILL McKIBBEN
もしハンマーを持てば、なんでも釘に見える。トランプはハンマーを持っているが、200年間も科学者が研究し、20年間も外交的な努力を尽くして、他の人々が作ったものを破壊した。
FP JUNE 1, 2017
Why Abandoning Paris Is a Disaster
for America
BY
DANIEL B. BAER, et al.
Bloomberg 2017年6月2日
Trump's Big Paris Mistake
By
The Editors
● メキシコ
FT June 1, 2017
Wilbur Ross and the sugar barons:
How a Mexican trade deal got sticky
Shawn
Donnan in Washington and Jude Webber in Mexico City
● 21世紀の労働組合
FT June 1, 2017
Trade unions — adapt to the modern
world or die
Gavin
Kelly
21世紀の労働組合主義はどのような姿になるか?
********************************
The Economist May 20th 2017
Why Israel needs a Palestinian state
Colombia: Winning the peace
Israel: Six days of war, 50 years of occupation
Charlemagne: Turning people Swedish
Election manifestos: The state is back
(コメント) 6日間戦争から50年間もイスラエルは占領を続け,その間,パレスチナ国家を成立させて中東秩序の一環として平和を実現するべきであったけれど,アラブ諸国に包囲された警戒感から,軍事的な優位しか信用できなかった.それは,パレスチナ人の難民キャンプと中東各国の戦争状態を維持する巨大な監獄の中で,安定した経済や裕福な暮らしを実現し続ける,という幻想を強めることでしか正当化できないような,不正義の常態化であったようです.
コロンビアの内戦が終結できるのか? スウェーデンは,難民受け入れ後の社会統合を回復できるのか? Brexit後のイギリスはどのような国家を目指すのか? グローバルな政治経済秩序の現在を考える材料があふれています.
******************************
IPEの想像力 6/5/2017
リベラルで,民主的な政治経済秩序を,次の世代へ継承することはできるのか? 社会保障の在り方を変え,雇用と賃金,そして平和を実現する,投資政策を見いだすべきです.
****
トランプ政権の異常さは,欧米の政治家やジャーナリスト,専門家たちを驚愕させ,すでに深刻な破壊と恐怖に対する準備を急ぐ気配です.トランプの愚劣な奇矯さは封じ込められ,反エリートの有権者を取り込むことに成功した,ふつうの共和党大統領になる,という期待は,いつか,一気に吹き飛ぶのです.
国務省や大統領補佐官たちの助言を聴くことなく,イランとの戦争に踏み込み,あるいは,北朝鮮との戦争を回避できないまま,朝鮮半島をめぐって中国との武力衝突を止められない.
温暖化防止の国際協定も,NAFTAやWTOも,アメリカにとって有利な取引を妨げている,と主張し,その見直しを要求する.
EUやNATOへの支持を撤回し,台湾や韓国,日本も,アメリカに頼らない独自の防衛体制と核武装を要請する.TPPに代わる中国の一帯一路やAIIBの呼びかけに,アメリカと友好関係にある諸国もますます深くかかわるようになる.
その変化は,数年ではなく,数か月で起きるでしょう.
****
トランプの異常さはどこから来るのか?
トランプは,アメリカの新大陸にイギリスやヨーロッパの宗教的・政治的弾圧,旧秩序の恐怖や貧困を逃れた市民たちが築いた,民主主義の理想を体現する大統領ではない.むしろ,ルイ14世やヴェルサイユ宮殿の宮廷劇にたとえられる.
トランプは,人々がこの文明社会の富を築き,その成果を平等に享受できるとは考えない.民主的な社会としてよりも,部族社会の族長であり,絶え間ない闘争によって他の部族を駆逐し,肥沃な土地や戦利品を奪うことが,自分の天才によって可能になると吹聴する.
圧倒的な軍事力の優位を重視するが,国務省の専門家たちに投資しても意味はない.富を増やしたかったら,減税すればよい.海外に流出する工場を阻止すればよい.輸入する必要はなく,アメリカで何でも作れるが,外国企業が利益をもたらすなら,国内市場への参加を許してやってもよい.自分の支持者には,インフラ投資で報いてやればよい.道路も,橋も,学校も,トランプの名前を付けて建ててやる.
****
The Economistの記事が示す,イスラエルの占領政策と異常な分断・格差に,私は目をみはりました.
圧倒的な軍事力によって,1967年,イスラエル軍はエジプトの地上軍,ヨルダン,イラク,シリアの空軍を撃破した.シナイ半島の防衛ラインも突き破った.エルサレムを征服した.スエズ運河,ゴラン高原を制覇し,ダマスカスを占領して,彼らは停戦を宣言した.・・・月曜日に始まり,金曜日に終わった,6日間戦争です.
しかし,50年を経ても,イスラエルは平和を築けなかったのです.もしイスラエルが,繁栄する民主的な国家として,地域の平和を享受できるとしたら,その帝国の内外における異常な分離政策は破棄するしかありません.パレスチナの人口が増加し続け,イスラエルは民主主義でもユダヤ人国家ではなくなるからです.
イスラエルの政治家たちは,そのような考えを受け入れません.右派と極右とが争う議会において,現在の秩序を強化することが議論されているだけです.戦争と占領政策を続けることは,アラブ諸国やパレスチナ人の怒りを強め,安全保障を絶対視する社会・経済システムの下でのみ,ユダヤ人社会の繁栄を実現できます.
異なる惑星のような,イスラエルのキブツ,自由貿易圏,ガザの貧困と混乱.
アメリカとイスラエルは,グローバルな市場と現代の技術水準に応じた国際政治秩序の一部です.
******************************