IPEの果樹園2017

今週のReview

6/5-10

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西側同盟の終わり ・・・グランデとトランプ ・・・中国の経済開発政策 ・・・アメリカの物語と統治モデル ・・・アメリカ首長国連邦 ・・・ブレジンスキーの時代 ・・・Brexit選挙 ・・・トランプの予算案 ・・・ベトナム戦争 ・・・トランプの政策転換 ・・・人民元とSDR ・・・北朝鮮危機と米中合意 ・・・人民の敵 ・・・アメリカのパリ協定離脱

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


 西側同盟の終わり

FT May 26, 2017

Europe pays its fair share whatever Donald Trump says

Andrew Moravcsik

政治家たちの記憶は非常に短い。ドナルド・トランプ大統領は、選挙戦中にNATOを「時代遅れ」と呼んだが、今ではアメリカの安全保障に欠かせない、と姿勢を改めた。

しかし、大西洋の両岸で対立は続いている。ヨーロッパ諸国は防衛費を十分に支払っていない、とトランプは批判したのだ。2014年に彼らが約束したGDP2%を防衛費として支出する約束を守っていない、と。その主張にはアメリカ議会の両党による支持がある。オバマも、ヨーロッパの「フリー・ライダー」に不満を示した。

しかし、アメリカの非難はまとはずれだ。ヨーロッパに防衛費の増額を求める主張は、パワーに関する時代遅れの概念を前提している。アメリカ人がグローバルな影響力を考えるとき、軍事力だけを計算しがちである。メルケルがまさに指摘したことだが、この見解は「視野が狭い」。貿易、援助、国際機関といった非軍事手段への投資は、しばしば、安全保障を得るうえで、コストに対する効果が高い。

それゆえ、大西洋同盟は2%の約束を広い視点で再解釈するべきだ。ヨーロッパ諸国は、そのような非軍事的分野で2%の防衛費を負担している。この点では、アメリカを超えている。

集団的には、ヨーロッパ人が負担する防衛費や軍隊の派遣は、アメリカを除く、いかなる国をも超えているのだ。しかし、ヨーロッパが比較優位を持つのは、世界の「市民的ソフトパワー」における最高位に示されている。それは経済的・外交的な特異なパワーであり、アメリカの軍事力が一方的にその利益を守れないところで、ヨーロッパ人が西側の利益を守っている。

EUは世界の貿易を指導する経済圏だ。それはイランとの核合意を結ぶ上で重要であった。ヨーロッパは、また、海外援助の世界の4分の3を提供している。トランプがヨーロッパを「ただ乗り」と非難するウクライナ問題では、2014年の最初から、ワシントンとブリュッセルの間で、軍事的介入はしないことが合意されていた。

西側の対応は、経済・外交的手段であったが、そのすべてがヨーロッパによるものだった。特に、ウクライナの債務救済は、2020年まで、総額で110億ユーロに及ぶ。この支援がなければ、ウクライナは破たんしていただろう。

メルケルなど、ヨーロッパの指導者たちはプーチンを説得し、領土的な支配を東部に限定し、停戦と重火器の国際監視を受け入れさせた。将来の地方選挙と、その後のロシア撤退も交渉している。ウクライナ情勢は安定したというには遠い状態だが、これらは外交における顕著な成果である。

こうしてみれば、アメリカの主張は非現実的なだけでなく、不公平である。ヨーロッパは軍事でも非軍事でも支出している。他方、アメリカの誰も、軍事的な支出に注意するだけで、非軍事分野の軽視を改める気がない。ヨーロッパ諸国は、国連分担金や国際援助をアメリカに求めてきた。しかし、トランプ政権は海外援助や難民支援を削減しようと考えている。

GDP2%を負担する、という約束を、双方が軍事・非軍事の支出によって見直すべきだ。そしてアメリカは、ヨーロッパ諸国が非軍事の領域でアメリカの政策を補完していることに、深く感謝するべきだろう。

SPIEGEL ONLINE 05/26/2017

Trump in Brussels

'The Germans Are Bad, Very Bad'

By Peter Müller in Brussels

アメリカ大統領が貿易政策に関して無知であることに、ヨーロッパの政府関係者は一様に呆れて辟易した。トランプは、ドイツの貿易黒字を非難し、ニューヨークでドイツの自動車が走っているのを観ると特に不愉快だ、とかつて雑誌のインタビューで述べた。メキシコに工場を建ててアメリカの輸出するBMVには、そんなことはさせない、と言ってやる、と。

SPIEGEL ONLINE 05/26/2017

Trump's Travails

US President Can't Escape Troubles on the Road

By Christoph Scheuermann

FT May 27, 2017

Trump in G7 clashes over trade and climate

Anne-Sylvaine Chassany and George Parker in Taormina

FT May 27, 2017

The real Donald Trump on show in Brussels

木曜日、ドナルド・トランプのNATOデビューは問題含みだった。トランプは穏健な姿勢に改心したと言われたが、ブリュッセルでの行動はそれを疑わせるものだった。

NATOを共通の大義と価値観の諸国が集まった組織とみなさず、トランプは、取引の場と考えた。彼の関心は、財政負担と過去の約束だ。他の加盟諸国を「慢性的な財源の拠出不足」と非難し、アメリカ国民や納税者にとって不公平だ、と主張した。

しかし、彼のもっとも深刻な発言は、NATO5条の義務を否定したことだった。それは、加盟国のいずれに対する攻撃も、全加盟諸国が攻撃されたものとして反撃することを求める条項だ。NATOの核心にあるこの条項を無視することは、重大な過ちであるが、トランプは将来の首脳会談で有利な取引に利用できる、と考えたのかもしれない。

西側の指導者たちはトランプの愚行をやめさせることはできない。彼はサウジアラビアに「アラブのNATO」を提案した。言うだけなら簡単なことだ。しかし、彼は決断しなければならない。同盟諸国とともに、ロシアのプーチンが示す攻撃に対して反撃するのか、あるいは、世界政治から退くのか?

アメリカの関与が弱まったことを観て、ヨーロッパ諸国は自分たちで防衛することを考えるだろう。特にドイツは空隙を埋めて、NATOで指導力を発揮するしかない。

ブリュッセルのトランプがその気まぐれを表して、アメリカに頼ることの不安を示した。

FT May 28, 2017

Britain is making short-sighted diplomatic moves in Europe

Tony Barber

FT May 29, 2017

Europe cannot rely on US and faces life without UK, says Merkel

Patrick McGee in Frankfurt and George Parker in Taormina

The Guardian, Monday 29 May 2017

Angela Merkel shows how the leader of the free world should act

Suzanne Moore

The Guardian, Monday 29 May 2017

The Guardian view on Mrs Merkel’s speech: ominous common sense

Editorial

FT May 29, 2017

Angela Merkel, Donald Trump and the end of the west

Gideon Rachman

トランプのヨーロッパ訪問後、メルケル首相は、西側同盟が死んだ、と宣言する寸前であった。

「われわれが他者に頼れる時代は終わった。この数日に経験したことだ。われわれヨーロッパ人は自分たちの手で運命を切り拓かねばならない。もちろん、アメリカやイギリスとも友好関係を維持する必要があるし、他の諸国、ロシアも同様だ。しかし、われわれが自分たちで未来を勝ち取る必要がある。」

しかしこの演説は、5つの理由で、重大な失策である。

170年間の平和をヨーロッパにもたらした大西洋同盟を、トランプの4か月で、早くも破壊する。

2.アメリカがNATOの防衛負担の75%を引き受けることは続けられない。

3.西側同盟の解体を認めることは、ロシアの強硬策を誘発する。

4Brexitとトランプとを同じように扱うことで、Brexit交渉を敵対的にした。

5.ドイツの歴史(ナチによる制服)を考えるなら、イギリスとアメリカを自国から切り離し、ロシアと同列に扱うことは、深刻な意味を持つ。

SPIEGEL ONLINE 05/29/2017

A Trans-Atlantic Turning Point

What Was Merkel Thinking?

By Annett Meiritz, Anna Reimann and Severin Weiland

ミュンヘンのビール会場でメルケルが発言した内容を、the New York Timesthe Washington Postは大きく取り上げた。それは924日の選挙に向けた演説だった。

そこには答えのないいくつかの問題がある。

1.なぜこれほど世界を驚かせたか? ・・・トランプとの関係を保つ配慮から、明確に変わったのか?

2.なぜそのような言葉を選んだか? ・・・ヨーロッパ諸国に防衛費の分担を意識させるため?

3.どの程度までドイツの選挙を意識した発言か?

4.この発言によって何がもたらされるか?

FT May 30, 2017

Donald Trump and the surrendering of US leadership

Martin Wolf

トランプは、アメリカが作った国際秩序を解体しつつある。それが意味する恐ろしい現実が次第に現れてきた。

それは、国内では共和党の目標に一致し、富裕層への減税と、貧困層への支出削減である。オバマケアに代えてトランプが導入したthe American Health Care Actの影響は、アメリカ議会予算局の推定で、医療保険への補助金などを1.1兆ドル削減し、保険に加入しない人口を2026年までに2300万人も増やす。

軍備拡大と減税は共和党の伝統であるが、トランプは支持者である白人貧困層の支援策を切り捨てるという狂気の手法で、さらに国民を分断する。富裕層のためのポピュリズムだ。

国内政治で新しいのは、トランプの個性である。現実との戦い、メディアや情報局との戦い、司法との戦いを永久に続ける。新聞や官僚制も干されたままだ。しかし、まだ始まりである。大統領には規則がなく、行政は混乱状態だ。トランプの下で、テロリストの憤怒が刺激となって、権威主義体制に向かうだろう。

西側同盟は、なお、世界最大の経済ブロックであり、科学とビジネスの知識を蓄えているが、それは崩壊し始めている。ヨーロッパはもはやアメリカに頼れない、というメルケルの発言は、賢明ではなかったかもしれないが、まったく真実である。

トランプは西ヨーロッパよりも、専制支配者を好む。ロシアのプーチンは言うまでもなく、トルコのエルドアン、フィリピンのドゥテルテを好む。民主主義や人権など気にしない。NATOの相互防衛を重視しない。

トランプを支持する「オルタ右翼」の集団は、民主主義と先生との間に対立を観ない。むしろ、社会進歩やグローバル化支持者と伝統主義やナショナリストとの間に対立を観る。彼らは後者を支持し、西ヨーロッパは間違った側にある。つまり、敵であって、友ではない。

西側、特にアメリカは、中国の台頭に直面して、その指導的な役割を失うだろう。間違った戦争、世界金融危機を経て、何より、トランプを選んだから。大統領に期待される美徳を欠き、能力を欠き、知識を欠く男が、民主主義システムの魅力をさらに大きく損なった。

西側は深く分裂し、中国に接近するべきか、と考えている。トランプは、中国の指導する世界に代わる、TPPを放棄し、ソフトパワーを破壊した。経済的繁栄、平和の実現、共有する財の保護を、トランプはどうするのか? 2国間交渉を重視し、中国との取引を好み、パリ協定を離脱する。

最初の4か月間で、トランプの異常さは封じ込められるように見えた。それは普通の共和党政権になるかもしれない、と考えることができた。しかし、そうではない。共和党が考えを変え、トランプの封じ込めは失敗する。アメリカの指導する世界秩序は終わる。

FP MAY 30, 2017

In Praise of a Transatlantic Divorce

BY STEPHEN M. WALT

トランプの行動や発言に対して、私は支持しないが、かと言って、メルケルの発言にあまりにも大きな悲観的評価をするのは間違いだ。

1に、メルケルが逆のことを発言していたら、それは愚かであろう。「アメリカは頼りになる。ヨーロッパは自分たちの運命を、自分の手は汚さず、アメリカに委ねておけばよい。」 むしろ、ヨーロッパは自分たちの安全保障により大きな責任を持つ方が賢明である。

2に、ドナルド・トランプは、冷戦終結後のNATOが抱える長期的な危機の兆候でしかない。NATOの主要な存在理由はソ連崩壊で失われた。さらに、シュレーダーやシラクが反対したように、アメリカが愚かにもイラクに侵攻し、アフガニスタンにNATO軍を派遣したことは、その存続理由をさらに疑わしいものにした。むしろ、ロシアの攻撃を刺激する結果となった、NATOの拡大を新しい使命にしたことで、ヨーロッパの安全は失われ、同盟はすでに緊張関係を続けていた。

しかし、トランプが外遊を「ホームラン」と呼ぶのも間違いだ。トランプは、大西洋同盟を新しい建設的な方向に前進させる機会を逃したのだ。

彼は、恣意的なGDP2%基準で、説教することなど必要なかった。むしろ、防衛努力を強調し、ヨーロッパが真の防衛力を持つべきだ、と主張すればよかった。また、相互防衛を確認しつつ、米欧の軍事力が徐々に比重を変え、米軍は必要な時期にヨーロッパの軍事拠点を利用できる形に修正すること。次のNATO軍最高司令官はヨーロッパ人から出し、テロなど、共通の脅威に関する情報協力を緊密に行うこと。さらに、トランプ自身が新しい問題で学ぶ能力を示し、気候変動の理解や、パリ協定を公に支持するチャンスであった。

そのためには、ホワイトハウスに有能な外交チームがあり、大統領は、刻々と変化する戦略的な環境と、グローバルなバランス・オブ・パワーの中でアメリカの位置を、理解していなければならない。

FT May 31, 2017

Angela Merkel’s warning to European partners

FT May 31, 2017

Angela Merkel remains committed to the transatlantic alliance

Ulrich Speck

Bloomberg 2017531

Germany Is the Silicon Valley of Political Innovation

By Tyler Cowen

NYT MAY 31, 2017

Trump Targets German Trade, and the South Grimaces

By ALAN BLINDER and RICHARD FAUSSET

SPIEGEL ONLINE 06/01/2017

Irascible Erdogan

Trump Wasn't Only Problem at NATO Summit

By Matthias Gebauer, Peter Müller, Maximilian Popp and Christoph Schult

NYT JUNE 1, 2017

Trump and Merkel Hate Each Other. So What?

By ANNA SAUERBREY


 グランデとトランプ

Project Syndicate MAY 26, 2017

Democracy Trumps Terrorism

CHRIS PATTEN

NYT MAY 26, 2017

The Power of Ariana Grande

Roger Cohen

Ariana GrandeInstagram and Twitterには15000万人のフォロワーがいる。それはイギリスとフランスの人口を合計した数より多い。ファンたちは “Arianators” と呼ばれる。そのほとんどが10代の少女たちだ。彼女たちはソーシャルメディアで安全なスペースを創り出し、交流できる。

マンチェスターはそうではなかった。22歳のSalman Abediは、グランデより1つ若い22歳であった。アベディはリビア移民の子供で、反西側、女性蔑視のイスラム国イデオロギーに魅了された。イギリスで生まれ、育った彼が、もっと近づきやすいマンチェスター・ユニアテッドではなく、イスラム原理主義の暴力を追究するカリフ国家というカルトに向かった。その内面に何が起きたのかは、誰にも分らないだろう。

いかなる軍事力も、もちろん、アメリカの新しい武器で戦うサウジアラビアの対テロ部隊も、影響されやすい個人にワッハーブの憎悪のイデオロギーが広まり、彼が大量殺人に走ることを止められない。インターネットは価値に偏りを持たない。

テロは、あらゆる場面で、あらゆる手段で戦い、敗退させる必要がある。しかし、トランプも言うように、それを根絶することは不可能だ。しかし、封じ込めることはできる。独裁者の仲間では、テロに勝つことなどできない。

フロリダ出身の若い女性が、ニコロディアンのショーで赤毛のCatという役を演じてスターになった。彼女は広域で歌える歌手になり、他の10代のスターと違い、スキャンダルを避け、思春期を乗り越えて、キャリアを積んだ。そして10代の少女たちの自尊心を高めた。Saturday Night Liveのホストも務め、ビヨンセを上回るフォロワーがいる。

グランデのネットワークは、アベディのネットワークに勝てるのか? 醜い表現があふれているけれど、その底には、数十億人が結び付く、深淵に抵抗する力、人間性を高める結びつきが広がっている。

トランプは何を学ぶべきか? 彼に必要な資質は、その(NATOでも示された)嫌がらせの才能ではなく、謙虚さである。

The Guardian, Saturday 27 May 2017

The Libya fallout shows how Theresa May has failed on terror

Paul Mason

FT May 27, 2017

Terrorism: Libya’s civil war comes home to Manchester

Sam Jones

マンチェスターには、反カダフィの闘争を担う亡命者のコミュニティがあった。アベディの家族は、リビアの混乱を逃れてマンチェスターに住んだが、リビアの反政府活動と結びついていた。アベディはリビアに渡って他のイスラム教徒と戦っていたのだ。ISISとの関係は不明である。


 飢餓・災害債券

Project Syndicate MAY 26, 2017

The Hunger Bonds

RICARDO HAUSMANN


 中国の経済開発政策

Project Syndicate MAY 26, 2017

The Promise of China’s Pearl River Delta

ANDREW SHENG and XIAO GENG

香港返還から20年が経つ。中国政府は、巨大なインフラ投資によって、持続的成長のために、都市化と一層の分業・特化を進めている。

広東・香港・マカオの湾岸エリア開発the Guangdong-Hong Kong-Macau Bay Area、長江デルタ開発the Yangzi River Delta (YRD)、北京・天津・渤海コリダー開発the Beijing/Tianjin/Bohai (BTB) corridor、市場の機能が高まり、資源配分のさらなる効率性が得られるだろう。しかし、そこにはリスクがある。金融的、社会的、そして治安問題に関して、リスクが高まる。

中国はシンガポールと協力して、都市のインフラやアメニティを高め、シェアリング・エコノミーも取り入れている。香港のソフトウェアと中国のハードウェアとの関係も構築する。それは一帯一路にも示される。

FT May 31, 2017

China’s real credit risk lurks in shadow finance

世界第2の規模の政府債券について、その格付けが下げられた。しかし、金融市場は反応していない。確かに、中国の債券市場は国内中心で、対外債務はGDP13%でしかなく、十分な外貨準備がある。しかし、中規模の銀行や企業などの資金調達コストが上昇し、問題を生じるだろう。バランスシートも悪化する。投資家たちは中国金融システムの多次元リスクに警戒を強めるべきだ。

Project Syndicate MAY 31, 2017

China’s Monetary Conundrum

ZHANG JUN

FT June 1, 2017

China’s financial clampdown will continue — for now

George Magnus

NYT JUNE 1, 2017

Red Capital in Hong Kong

Yi-Zheng Lian


 貿易と成長

VOX 26 May 2017

Growth, import dependence, and war in the context of international trade

Roberto Bonfatti, Kevin O'Rourke


 アメリカの物語と統治モデル

NYT MAY 26, 2017

The Four American Narratives

David Brooks

アメリカは常に分断された、拡大する国であった。しかし、その歴史の大部分において、国民を統合する物語があった。それはかつて、旧世界の抑圧から脱出する物語であった。未開の土地で冒険し、新しい約束の土地を創り出す。ユダヤ・キリスト教的物語でもあった。

しかし、そのような市民的神話はもはや存在しない。アメリカ人の自信はボロボロになって、世俗的な文化に生きる。その結果、われわれはアイデンティティの危機に苦しんでいる。異なる集団が、異なる物語を生き、しばしば異なる国民として生きている。

New Americaの講演で、作家George Packer4つの対抗する物語を明らかにした。

1に、共和党に支配的な、リバタリアンの物語だ。アメリカは自分の運命に責任を持つ自由な個人の土地である。自由市場を信じ、「消費者、企業家、労働者、納税者、など、要するに市民ではないすべて」のアメリカ人が生きる。

2に、シリコンバレーで支配的な、グローバル化したアメリカの物語だ。「われわれは常に学習し続ける起業家である。よりオープンで、より連結した世界は、より良い世界である。」 階層秩序は崩壊し、システムは解体し、エリートは支配権を失い、諸個人にパワーが移転される。

だが実際は、旧構造の破壊によって、ますます少数の手にパワーは集中している。

3に、多文化のアメリカ物語がある。アメリカ人はさまざまな集団に生きる。その集団の地位は過去と現在のもたらす原罪が決める。オバマの時代は、概ね、文化エリートのドグマが支配した。彼らは小学校から大学まで集団の文化に生き、多文化を唱えるインテリたちのナルシシズムは人々に共通の基礎を見出さなくなった。

彼らは社会的な包摂を重視したが、それは何に包摂されるのか? ナショナル・アイデンティティについての答はない。

4に、アメリカ・ファーストの物語だ。ドナルド・トランプが唱えて、多くの共感を得た。アメリカは汚染され、弱体化して、伝統的なアイデンティティを失った、と彼らは考える。エリートはグローバル化して、弱くなった、と。

この物語は、民主主義の規範やリベラルな価値への軽蔑を含み、専制体制を好む。権力を人格化し、汚職を広め、客観的真実を否定する、とPackerは述べた。

私は、これらの4つの物語が21世紀のガバナンスの基礎にはならないと思う。むしろMichael Lindの素晴らしいエッセー“The New Class War”に従い、アメリカ政治の未来は、これら4つの物語から生じる2つのシステム間の競争になる、と思う。

1つは、重商主義モデルだ。アメリカは歴史の頂点に立たず、他の諸大国、中国、ロシア、ヨーロッパ、と競争している。アメリカ自身が部族の保護に努める。政府と企業はそのために協力し、移民も貿易も管理される。共通の敵と戦うために、エリートたちは富を共有する。

もう1つは、タレントの集まるコミュニティだ。アメリカは人類の才能が最大限に発揮される実験室である。多様性、能力主義、移民、開放経済が、ダイナミズムのために歓迎される。このモデルは同時に、人的資本、特に若者に大規模に投資し、また、創造的破壊の負の側面に苦しむ人々にも投資する。

重商主義モデルは、アメリカをローマ帝国とみなす。それは危険な世界における強大な要塞だ。タレントの集まるコミュニティは、新しいアテネ人であり、文明の岐路で、開放的な、基本的に調和する世界へと指導する。それは情報化時代の脱出 Exodus物語なのだ。


 アメリカ首長国連邦

NYT MAY 26, 2017

It’s All About Trump’s Contempt

Paul Krugman

FP MAY 26, 2017

Trump’s Budget Is American Caesarism

BY ROBERT D. KAPLAN

ドナルド・トランプ大統領は、医療保険を削り、市民社会の給付を削る。それらは文字通り、市民生活の一般的福祉の低下になる。しかし国防総省は10%も予算を増やす。国土安全保障省も7%増える。他方、国務省の予算は29%も削減し、the U.S. Institute for Peace (USIP) the Woodrow Wilson International Centerのような貴重な機関が財源を失う。

軍部の台頭と、国家権力の市民的側面が衰退することが重なれば、それは精神的な退廃、シーザー主義へと向かうだろう。ジュリアス・シーザーはローマの共和政を独裁制に変えた人物で、シーザー主義とは、カリスマ指導者、大衆的な支持、軍隊の役割を強調した支配、を特徴とする。アメリカが変化しつつある。

アメリカ合衆国は、第2次世界大戦の終結以来、公式の帝国ではないが、ヨーロッパとアジアにリベラルな世界秩序を築く帝国的な状況にあった。ローマやヴェニス、イギリス、フランスがその頂点で示したように、世界秩序とは、軍事・知識・経済・文化のパワーであった。各要素が他の要素と同様に重要である。

冷戦時、アメリカは情報局と国際開発庁とがリベラルな、そして経済的な価値を推進すると自慢していた。ローマ帝国がラテン語を広め、道路を建設し、その価値を育てるために遠隔地のエリートにもローマ市民権を与えたように。ローマは衰退し始めると、文明化の使命を犠牲にして、軍事的な素人の支配に頼るようになった。

トランプは、アメリカ海軍の戦艦を275隻から350隻に増やすという。しかし、海軍の主要な役割は、アメリカ外交の影響力を高めることである。国務省が弱くなれば、それは強大な海軍の効果を損なうのだ。USIPthe Wilson Centerは、ローマ帝国が外国のエリートに市民権を与えたことに類似しており、文明化の機能を担う。

文化的な退廃、道徳的衰退は、物質的な耽溺をもたらす。大統領は読書をしない、しばしば真実でないことを吹聴し、家族を通じて支配する。それゆえ、利益相反にまみれ、官僚たちがそれに反することを許さない。きらびやかなマンハッタンやパームビーチを好み、キャンプ・デービッドのような落ち着いた環境を嫌う。そのような指導者が軍事力のカルトを育てる。それは民主主義ではなく、独裁者への支持を広めるものだ。

共和党は、保守的な国際主義者から成るレーガンの政党から、ポピュリスト的なナショナリストの集まるトランプの政党に変わった。前者は再興を意味し、後者は衰退を表す。国家の盛衰は、政治的、経済的な要素以上に、その普遍的な道徳的要素によって決まる。

NYT MAY 30, 2017

The Politics of Clan: The Adventures of Jared Kushner

David Brooks

FP MAY 30, 2017

How the White House Lost Its Brains

BY JENNA MCLAUGHLIN

NYT MAY 31, 2017

Trump’s United American Emirate

Thomas L. Friedman

彼はアメリカの同盟諸国に大きな不安を残したまま去った。ロシアの脅威に対する安全保障、そして、貿易、気候変動に対する約束を、アメリカは守るのか? メルケルに限らず、アメリカは頼りにならない、ヨーロッパは自分の手で運命を決めるべきだ、と思っただろう。

アメリカは新しい経営に変わったのだ。ニュージーランド、オーストラリア、韓国に着くたび、私は最初に質問された。「アメリカとは何者か?」 私の答えは、「われわれは、もはやUSAではない。UEAである。アメリカ首長国連邦the United American Emirateだ。」

われわれには首長がいる。その名はドナルド・トランプだ。王子もいる。ジャレド・クシュナー。王女の名は、イヴァンカ。われわれには諮問会議(議会)がある。主張が望むものには何でも承認の判を押す。良い王室は、支配者家族の個人ビジネスと国家の事業の間に利害対立がない。

もはやケネディーの理想は滅んだ。すべての国は知るべきだ。われわれは、支払わず、負担せず、苦労を避け、友人を助けず、自由を守るために敵に反対することもない。してほしいなら、先払いしておけ。われわれは、現金でも、小切手でも、ゴールド、VisaAmerican Express、あるいは、Bitcoinやマーラ・ラーゴの会員カードでも、受け取る。

トランプ・ドクトリンは非常に単純だ。世界には4つの脅威があるだけだ。われわれを殺すテロリスト、われわれを強姦し、職を奪う、移民たち。われわれの産業を奪う輸入業者と輸出業者。そして、北朝鮮だ。民主主義、自由貿易、環境、人権に対する脅威は、もはやわれわれの関心事ではない。

UAEの友人になるには、1.われわれの武器を買う。2NATOの負担を増やす。3.貿易を譲歩する。4.逮捕したアメリカ市民を解放する。5.オバマより良くなった、と世辞を言う。6.ロシアは何も支払わなくても友人だ。

こうした理解は行き過ぎだろうか? 韓国に来て、この国が過去50年間で貧困を克服し、われわれの価値観を採用したことを知る。大衆的な「キャンドル・デモ」によって、大統領の汚職を糾弾し、弾劾した。それらはアメリカの民主主義が示すソフトウェアである。しかし、トランプが韓国について言うことは、われわれの軍にただ乗りしている(真実ではない)、支払え、である。

NYT MAY 31, 2017

What the Russian Revolution Can Teach Us About Trump

Ivan Krastev

Project Syndicate JUN 1, 2017

Donald Trump’s Ancien Régime

YAIR MINTZKER

ドナルド・トランプは、現代のルイ14世、ホワイトハウスは彼のヴェルサイユ宮殿だ。


(後半へ続く)