IPEの果樹園2017

今週のReview

5/29-6/3

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デジタル市場の独占 ・・・メイとコービンのマニフェスト ・・・太陽政策を維持せよ ・・・一帯一路の<帝国> ・・・マンチェスターのテロ事件 ・・・トランプの予算案 ・・・台湾の核武装計画

 [長いReview]

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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


 デジタル市場の独占

FT May 19, 2017

This is the age of the Microsoft and Amazon economy

Tim Harford

経済学で私が最初に学んだことの1つは、完全市場と独占との違いであった。自由市場のチャンピオンになることと、支配的企業による抑圧との違いを示すことで議論を始めるは、むつかしい。

しかし、独占は過去の話ではないのだ。1911年、スタンダード・オイルが分割され、1984年に、AT&Tが分割された。エコノミストたちは、企業が大きすぎると心配し、銀行が大きすぎて潰せないと心配した。しかし、今、企業の破たんより、その成功がもたらすリスクを心配している。

GoogleFacebookAmazonなど、デジタル巨大企業は、その顕著な例であるが、アメリカ産業は一般に集中化している。たとえば、1980年代、アメリカ製造業のどの分野でも、上位4企業が平均で売り上げの38%を支配した。30年後、それは43%であった。電気・ガス・水道と輸送においては29%から37%に、小売業では、Walmart Amazonとに影響されて、14%から30%に上昇した。

これは意外なことだ。世界経済は競争を促すはずだから。規制緩和、グローバリゼーション、価格の透明性、など、なぜ競争企業が指導的企業の地位を脅かさないのか?

「スーパースター企業」は効率性が高い傾向があるからだ、という説明がある。彼らはより低いコストで、より利潤を確保できる。これは良いことだが、良いことばかりではない。他方、1980年以来、アメリカと多くの先進経済で、労働者の分配率が低下している、という。革新の加速は歓迎すべきだが、その意図せざる結果は問題を生じている。


 メイとコービンのマニフェスト

FT May 19, 2017

How British politicians fell out of love with the market

John Kay

労働党のマニフェストには驚かない。トニー・ブレアが労働党の憲法から主要産業の国有化を取り除き、3度の選挙に勝利してから20年後に、労働党は鉄道と水道を再国有化するとマニフェストで約束した。

しかし、一層、衝撃的であるのは保守党のマニフェストだ。1980年から2015年までの経済リベラリズムから、撤退すると約束したからだ。エネルギー価格に上限を設け、雇用の権利を拡大し、ギグエコノミーを規制し、労働者代表に新しい手段を考える、とメイは約束した、政治論争から40年間も葬られてきた言葉、産業政策があいまいな形で復活した。

ここには、ネオリベラルのプロジェクトが人々の心をつかめなくなった、ということに迎合するご都合主義がある。しかし、その説明はでたらめだった。すなわち、ベルリンの壁崩壊後、市場経済が他の経済システムより優れていることを明瞭に示す事件とみなされた。その結果、強欲が人間の支配的な動機であり、金融的な誘因で人間行動は決まり、利潤やレント・シーキングを規制することは繁栄を妨げる、というわけだ。

この20年間の知的失敗とは、「強欲は正しい」、「株主価値の最大化」といった呪文ではなく、もっと慎重な言葉を駆使して、市場経済を語れなかったことだ。1990年代、ビル・クリントンやトニー・ブレアはそれに苦闘した。

The Guardian, Monday 22 May 2017

Jeremy Corbyn has defied his critics to become Labour’s best hope of survival

Gary Younge

かつてウルグアイの作家Eduardo Galeanoは深刻な懸念を示した。「われわれは皆、健忘症を病んでいる。・・・(そのせいで)小さなこと、小さなことが見えないのだ。」 われわれの忘却は誰のせいなのか? と私は尋ねた。「それは人に責任があるのではない。」と、彼は説明した。「権力のシステムに責任がある。だれが記憶に値し、誰は忘却すべきか、それを常に人類の名のもとに決めている、権力システムである。」

先週の、労働党マニフェストに対する反応は、システムの健忘症がいかに強力なものか示した。この20年間、不平等がおぞましいほど強まってきたのに、公共サービスのために政府が富裕層に課税できるという考えは公共の議論から抹殺されてきた。同様に、不可欠の公共サービスに関して、民間企業が供給しない空白を埋めるために国有化を再現することも、単純に、議論されなかった。こうした主張は決して消滅したのではなく、それを聞かないほど隅に追いやられたのだ。

この2年間、主流の評論家や議会労働党の多数派は、ジェレミー・コービンの指導部が保守党に反対できず、労働党を破壊する、と主張してきた。しかし、次第に明らかになったのは、コービンこそ労働党の生き残りと再建の希望である、ということだ。なぜなら、彼は緊縮策に反対するとは何かを集め、組織してきたからだ。

月曜日、リーズでコービンは熱狂的な支持者の群衆に迎えられたが、他方、メイはアビングドンで身体障碍者への福祉を削減することに反対する女性と対決していた。労働党のマニフェストは、これまでの緊縮策に代わる政治を求める人々にとって、一種のセラピーとなった。コービンは、労働党をハマスに変えるのではない。まともな公共サービスを実現し、不平等と闘うプログラムを提供するのだ。

FT May 24, 2017

Conservatism buries Ronald Reagan and Margaret Thatcher

Martin Wolf

レーガンとサッチャーは,2人で自由市場の理想を広めた.さらに,中国で権力を握ったケ小平も,長期的には,さらに大きな影響を与えた.

現在,レーガンの希望を与える演説とは違い,「アメリカの虐殺」を糾弾するトランプの演説が,「保護がアメリカの繁栄と強さを取り戻す」という右翼のポピュリズム思想を表現する.テリーザ・メイは,トランプより明確に,サッチャーから離反した.保守党のマニフェストは,「社会主義的左派も,リバタリアン的右派も,われわれはそのイデオロギーを拒否する.そうではなく,政府は良いことをなしうるという主流の考え方を採用する」 と書いている.

しかし,問題はその政策が支持者たちに約束したものをもたらすかどうか,である.イギリスの階層的な父権主義も,アメリカのジャクソニアン・ポピュリズムも,結果はその反対になるだろう.支持者たちの生活を悪化させる.トランプやメイの裁量的な市場介入が大きな成果を上げるとは思えない.

人々は,政策や政治に変化するよう求めている.その方向は示されている.だれもが利益を受けるような移民の管理.それは,グローバル市場と国内政治との複雑な相互作用を管理する,その一部でなければならない.何よりも重要なことは,国家の役割を再考することだ.国家は,保険,保護,教育,医療,インフラ,その他の公共財を供給し,外部性を管理し,独占の規制,経済の安定化,所得財分配,そして,政治的忠誠の焦点である.

イギリス人とアメリカ人が,その正しい答えを持たないことを認めたのは,良いことだ.他者から学ぶのがよいだろう.例えば,フランスのマクロン大統領がそうだ.マクロンは自国を考えるとき,ダイナミックな経済に高水準の社会保障を組み合わせたスカンジナヴィア諸国を例に挙げた.

アングロサクソンも,マクロンにならってはどうか.


 太陽政策を維持せよ

FP MAY 19, 2017

Moon’s Secret Weapon Is Sunshine

BY S. NATHAN PARK

新しくMoon Jae-inが大統領になると、アメリカのアナリストたちは、北朝鮮に対する姿勢が軟化する、と心配する。文が首席補佐官を務めた盧武鉉(ノムヒョン)大統領は、前任者の金大中から「太陽政策」を継承していたからだ。イソップ童話に由来するこの政策は、温かい抱擁によって、すなわち、経済開発、観光、文化交流により、北朝鮮をより開放的にする政策であった。

しかし、10年間のリベラルな政権を経て、太陽政策は失敗に終わった。反対派は、幻想に依拠した政策によって、その資金は北朝鮮の支配体制を潤した、効果がないだけでなく、道義に反する、と批判する。しかし、太陽政策のすべてを破棄することは間違いだ。そこには重要な成果があった。継続する価値がある。

まず、これは軟弱な姿勢で北を買収する政策ではなかった。太陽政策の基礎には、北からの挑発には強い姿勢で反撃する、という、韓国の国民を守り、軍事的に北を懲罰する能力への信頼があった。実際、金大中・盧武鉉は、その後の明・朴による保守政権よりも、北に対する強い軍事的な報復を行った。

また太陽政策は重要な利益をもたらした。何より、それは朝鮮半島の緊張と戦争の不安を減らしたのだ。太陽政策により、1000人ほどの韓国人が北側のケソン工業団地に滞在し、54000人もの北朝鮮労働者を監督した。200万人近くの観光客が北の金剛山を訪れ、さらに10万人がケソンの歴史地区を訪れた。朝鮮戦争によって南北に分断された家族が、定期的に、年2回の相互訪問を認められた。KALの航空機が、撃墜を恐れず、北の上空を通過した。2人の韓国大統領だけが、北の指導者と会談した。

こうした規則的な交流は韓国民に安全と安定性の感覚を実現した。

太陽政策は北朝鮮も変えた。南の富の成果に触れた北朝鮮国民は、共産主義システムへの信念に動揺を生じた。その1つは、工場でお菓子として配られたチョコパイであった。チョコパイの人気は高く、北の労働者たちは、それを食べずに持ち帰って闇市場で売ったため、国中に広まった。南北のイデオロギー競争は否定できない証拠によって勝敗が決まった。ビスケットや、韓国ドラマの録画されたDVDなど、洪水となって北朝鮮に流入し、体制のプロパガンダを侵食した。

しかし太陽政策は、最近のJoshua Stanton, Sung-Yoon Lee, and Bruce Klingnerによる論説で否定され、一層の制裁を彼らは求めた。

彼らに言わせれば、問題はアメリカの指導者が十分にタカ派ではないことだ。ブッシュもオバマも、核実験の後には強硬な意見を示すが、それには行動がともなわなかった。彼らは、「この戦略には時間がかかる。決断と、事態が改善する前に悪化することも受け入れねばならない。」という。しかし、悪化するとは、米中の軍事衝突や核戦争であるかもしれない。またタカ派は、核廃棄を合意するために、あれほど殺人的な、北の独裁体制を容認する。

太陽政策の優位は明らかだ。この場合、最悪でも現状維持である。そして、もし成功すれば、次第に、平和的に朝鮮半島が再統一し、リベラルで自由な市場の原則を受け入れる。


 一帯一路の<帝国>

Bloomberg 2017519

China Should Beware What It Wishes For

By Mihir Sharma

インド人から見て、習近平主席の一帯一路フォーラムは、29か国の国家元首、130か国からの代表を招いて行われたものだが、余りにもよく見た光景だ。インドでイギリス人が定期的に開催した、インド亜大陸の各地からラジthe Rajに敬意を示すため集まった王族たちの大掛かりな催しに、それはそっくりだ。

これにはもちろん多くの人が反対する。一帯一路は、貿易を支えるインフラ投資に世界中で中国が協力するものだから。参加各国の政府は、実施する計画と融資条件を認めるかどうかについて、発言できる。

しかし、計画が失敗したとき、それは小国に維持不可能な債務を残し、中国経済にもストレスになる。また、それが成功しても、中国とそのインフラ投資先の国家とは、21世紀の帝国に見える、危険な何かに囚われるだろう。

意識的に建設された帝国は少ない。大英帝国は「その意識がない中で」誕生した、という歴史家John Robert Seeleyの主張は有名だ。帝国は事前に計画されたものではなかったのだ。帝国の使命を諸民族がどのように受け入れたか、多くの歴史が語っている。国内の繁栄が貿易の拡大をもたらし、それはさらにインフラ建設をもたらす。

そのインフラを維持するには、各地の安全保障が問題になる。要塞が築かれ、政治的介入が続くことで、その土地へ軍隊が派遣される。シルク・ロードに関する優れた歴史家Peter Frankopanは書いた。「特権的な地位を得たパートナーから、行政官、そして、支配者へ、加速する過程は、ヨーロッパが関係した世界中の土地で起きた。帝国はヨーロッパの描くマスター・プランになかった。しかし、見逃すにはあまりにも好ましい機会が現れたとき、帝国が生まれた。」 現代でも、例えば、中央アジアで、同じダイナミズムが作用していることを容易に観るだろう。

中国共産党の指導者たちも、レーニンは読んだだろう。彼の1917年の著作は、「資本主義の最高段階」として帝国主義を説明する。資本と生産力が国内で十分な利回りを実現する以上に過剰になれば、独占力を求め、他の土地で高い利回りを求める。それが帝国の計画につながるのだ、と。一帯一路との類似性は明白だ。

21世紀の帝国は以前と違うだろう。擁護する者に言わせれば、中国の意図はそのように邪悪なものとはまるで違う。しかし、債務の支払い不能、中国人労働者への攻撃、国有化の脅威、など、さまざまな事実によって、その意図は変化する。将来の不安は、初期の大きな利益によって無視されてしまう。

政治環境を支配することで、インフラ競争において中国の優位は非常に大きくなる。各地の政治的混乱からプロジェクトへの干渉が起きるかもしれない。そのような現地のシステムを是正し、成功した中国のシステムを用いて、自国との一層のハーモニーをもたらそうとしないだろうか?

ローマ帝国は道路を、アメリカは鉄道を、インドのラジは鉄道を建設し、彼らは政治に影響し、影響された。インフラ建設は純粋な経済ゲームではない。


 NATOとトランプ

Project Syndicate MAY 23, 2017

What NATO Needs from Trump

MICHAEL MANDELBAUM

NATOはトランプに指導力を求めている。それはアメリカ大統領が歴史的に同盟関係で示してきたものだ。ロシアの脅威に対しては、NATOの軍事力を強化して、クレムリンがさらに攻勢を強める誘惑を断つ、ということだ。

トランプが指摘したように、NATO諸国は軍備強化の公平な分担責任を果たしてこなかった。そして、彼らはアメリカ政府が求めるような負担をしそうにない。冷戦の時期でもそうだった。大統領は、公的には丁重に、私的には断固として要請し、アメリカ自身がより大きな負担を引き受けたのだ。

ヨーロッパ諸国が共通の安全保障を実現するのは、かつて以上に、今はむつかしくなっている。東の加盟諸国はロシアの脅威をより強く受けているが、西の加盟諸国は、天然ガスの供給をロシアに頼るドイツのように、その意識が薄い。さらに、ポピュリストの運動が広がり、ロシアに対する防衛は関心になく、プーチン体制を称賛する者もいる。

冷戦期と同様に、アメリカだけがこれらの分裂状態を克服して、全体としての同盟の利益を推進し、大西洋全体の防衛政策を実現することができる。ヨーロッパの政府関係者たちは、たとえそうはっきりと言わなくても、アメリカ抜きにNATOが機能しないことを知っている。トランプは今回の会談でそれを理解するだろう。アメリカの指導、方針、支援が必要なのだ。

トランプに必要なものは、周りを混乱させる演説や、まして衝動的なTweetなどではない。NATOを強化するという目標を示し、団結させ、新しい脅威に対処する能力を高めること、ヨーロッパの指導者たちとの関係を深め、丸め込み、おだて上げ、ときには買収して、彼らの必要なことをさせることだ。


 マンチェスターのテロ事件

FT May 25, 2017

The path from Middle East sectarianism to European terror

Philip Stephens

リヤドとマンチェスターに直線的な関係はない。サウジアラビアの首都で、アメリカのトランプ大統領がアラブの指導者たちに演説したが、それはイングランド北部のコンサートホールでテロが行われたことと関係ない。

それにもかかわらず、私たちはその同時性に不快を感じる。襲撃者だけが爆弾テロの責任を負う。しかしまた、イスラム過激派が西側政府の政策と無関係である、というふりをするのは間違いだ。

われわれは壁によって世界を遮断することはできない。若者の心がイデオロギーに冒され、デジタル情報で殺人技術を学ぶことも、阻止できない。

リヤドで、トランプはサウジアラビアと湾岸諸国に対して、自国におけるテロとの戦いを強化するように求めた。それはおなじみの偽善である。大統領の顧問たちは、外交のリアリズム、と呼ぶだろうが。サウジアラビアは過激思想、スンニ派のワッハーブ主義を輸出し、聖戦主義者の宗教的な正当化を助けている。911のテロ実行犯のほとんどがサウジ市民だった。

アメリカと西側は、中東秩序の不安定性を「解決」することはできない、と学んだ。ブッシュとブレアは、クルーズ・ミサイルで民主主義を移植できる、と信じたようだが、イラクとシリアの暴力状態がその代償だ。しかし、アラブの独裁政権を支援することも成功しないだろう。抑圧体制こそ、イスラム過激派の育つ温床である。

マンチェスターのテロに戻って、われわれが決意すべきは、侵略者たちからリベラルな民主的諸価値を守る、ということだ。宗派争いに関わることは、過激主義の克服を遅らせるだけだろう。


 トランプの予算案

FT May 25, 2017

Donald Trump’s epic betrayal of America’s middle class

Edward Luce

ドナルド・トランプがヴァチカンへ向かうとき、アメリカの予算案が発表された。法皇だけが、トランプの告白を聴くだろう。それは予算案と同じくらいショッキングなはずだ。法王フランシスは“social capitalism”の主唱者であり、それは社会の成員全てを11人重視する。トランプの予算案では、最富裕層に減税の恵みを与えるが、最貧層を支援することは止める。予算は数字の魔術によって均衡する。これほど疑わしい計算で示された予算案はめったにない。

これはトランプを支持したアメリカ中産階級を裏切るものだ。フード・スタンプ、高等教育支援などの予算は削られる。低賃金雇用を維持する補助金も大幅削減。研究、職業訓練、なども削減。唯一増えるのは防衛費と、メキシコ国境の壁の建設費だ。

これは選挙に向かう自殺行為であり、共和党員の支持も得られないだろう。

トランプは、アメリカの経済目標を歪める。人々に投資するより、ギャツビー級の富裕層に有利な分配を行い、予算の良識を棄てて魔術に向かう。何より、連邦政府からアメリカの挑戦に応じる手段を奪うものだ。

アメリカ・モデルがソビエト連邦に勝利してわずか4半世紀しか経たない。その勝利は、アメリカの中産階級に投資した混合経済がもたらしたのだ。ソ連の脅威が啓蒙された資本主義の最善の性格を引き出した。

しかし、不平等化を進めた20年を経て、アメリカは民主的な寛容さの限界にまで達してしまった。トランプは、今、その限界を破ろうとしている。


 台湾の核武装計画

FT May 24, 2017

Asia opts for a replay of cold war nuclear deterrence

Jamil Anderlini

台湾は、中国が必要なら武力統一すると警告する中で、極秘の核武装計画を進めて、北朝鮮のように核武装することを考えるだろう。かつて、Chang Hsien Yiがアメリカの諜報員となって、核武装計画の情報を漏らし、台湾はそれを阻止された。

アメリカと同盟諸国は、北朝鮮の核兵器と金正恩を取り除くために、戦争を行う意志があるのか? あるいは、そうでないとしたら、アジアの同盟国を守るために、アメリカが北朝鮮から核攻撃されるリスクを冒すのか? と問わねばならない。

シンガポールの外交官Bilahari Kausikanは、その答えが間違いなく “No” であるという。アメリカはアジアの同盟諸国を守らない。日本や韓国は、いますぐ、独自に核武装しなければならないだろう。日本は、非常に短期間で核武装する能力を持っており、韓国もそれに近い。

問題は、その場合、この地域の安全保障と安定性だ。冷戦期に広く支持された抑止論は、相互確証破壊、であった。北東アジアも同じである。しかも、それは、ワシントン、東京、ソウルにとって、現在の秩序を変えない、というメリットがある。中国による東アジアの秩序再編を阻むのだ。

Kausikanは、北朝鮮が核兵器を放棄することはないだろう、と考える。そして、ソビエト連邦と同様、核武装したままピョンヤンの体制は、いつか、崩壊する。それがすぐに起きないなら、地域の核軍拡競争は不可避である。

しかし、地域の核武装が始まったら、台湾だけが核武装しないとは考えられない。そのとき、北京は先制的な軍事力で統一するのか?

1人のスパイが核兵器を阻止できた時代は遠い過去だ。

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The Economist May 13th 2017

Courting troubles

Governing France: Macron’s mission

Trumponomics: Home-cooked policies

The Trump trilemma: You can’t always get what you want

Reassessing global trade: Make his day

President Macron: Marchons, marchons!

(コメント) トランプにインタビューした記事は,その経済政策や思想が,単なる思い付きで,全く経済学の基本的真実も理解していない,と断定します.

その基本は,成長率を上げて(製造業の)雇用を増やす,ということです.どうやって上げるか? それが貿易赤字を解消して,アメリカで生産することなのです.経済ナショナリズムによる,保護主義の採用と海外投資への処罰です.

さらに,富裕層への大減税と(ウォール街のための)規制緩和が加わります.

それは,内的に矛盾しており,長期的にアメリカ経済を悪化させる,と評価します.

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IPEの想像力 5/29/2017

日曜日の朝、「がっちりマンデー」、「ルソンの壺」を観ました。

食堂ビジネスは拡大しているようです。銀行や建設など、大企業と違って、経営者たちが若い。それが印象的です。

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揚げ物のお店で,Dr. Fryという賢いツールが紹介されています。揚げ油に振動を起こすことで,高度な揚げ物が,すぐに,だれでも揚げられるようになる・・・? 水気の多い大根のような材料も揚げられる.いろいろな異なる食材を一緒に揚げられる.しかも,薄い衣で,カリッと,おいしく.

どんどん一緒に揚げてよいから,たった一人が揚げて,次々に注文をさばけるようです.お客さんの回転が速い.

職人の不足も問題でした.揚げ物は,安価な天丼屋さんを例外として,多くはなかなか高価で,高級店と職人が上客を囲い込んでいる状態です.しかし,このAIが導入されれば,回転寿司と同じように,大きく業界が再編されるかもしれません.

以前紹介された,英国風のパブを広めるチェーン店や,お菓子作りのためにこだわりの容器や飾りを1点からでもネット販売するコッタも,面白かったです.

年々売り上げを伸ばすビジネスには,なるほど,という理由があるのだな,と感心します.

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「ルソンの壺」では,朝からでも行列のできるステーキ屋さんを紹介していました。

広告費よりも話題性を強くしてSNSでお客さんの情報発信を刺激する.大いに行列してもらう.新店舗開設には29円でステーキを食べさせる.

ステーキ肉をあらかじめカットしておくことで,回転率を上げる.塩コショウだけで調理し,タレや薬味は,待っているお客さんが自分のテーブルで作る.ハンバーグなど,関連業種と同時に経営して,肉を大量に仕入れ,部材を活用する.ラーメンの替え玉を真似た,替え肉を取り入れて,皆が満腹・満足する.

これらの工夫は,いずれも,特別なものではない,と私は思いました.他店にもできます.逆に,革新しない他の店舗からお客をもぎ取ってくる,古典的な市場競争だと思います.だからこそ,若い,意欲的な経営者が必要なのです.

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金融業界の高額報酬,大企業や資産家たちへの優遇策,他方で,旧業態の保護や補助金,さまざまな支援,インターネットを介した新しい市場支配,企業買収,など.イギリスの労働党や保守党が,こぞって自由市場に反対するマニフェストを出したのは当然です.

だからこそ,市場のダイナミズムを回復してほしいです.巨大な産業組織を目指すよりも,若い経営者が次々に業界や業態を革新し,小さな単位が連携したり,合同したり,分裂できるような組織化を刺激するほうが,働くことは厳しく,かつ,意欲的な挑戦となるでしょう.

就活や失業を苦にせず,いつでも新しい職場があり,自ら企業を組織し,経済を変革する者たちが競い合う,活気ある時代になってほしいです.

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