IPEの果樹園2017

今週のReview

5/8-13

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北朝鮮の危険 ・・・トランプの就任100日 ・・・マクロンとル・ペン ・・・中国式統治 ・・・AIと雇用問題 ・・・メイの解散・総選挙 ・・・トランプ減税 ・・・ユーロ圏改革 ・・・NAFTA再交渉 ・・・アベノミクス ・・・世界景気の不安 ・・・トランプの外交政策 ・・・ヴェネズエラの崩壊

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


 北朝鮮の危険

FT APRIL 27, 2017

North Korea has forced Japan out of its comfort zone

Yukio Okamoto

韓国の研究所Institute for National Security Strategyによれば、金正恩は権力を握ってからの5年間で340人を処刑した。

その行動は、リオデジャネイロの少年ギャングを思い出させる。彼らは武器を使うことの深刻な結果を知らない点で、非常に危険なのだ。

予測不能な敵に対峙するとき、同盟は特に重要である。日本は、アメリカとの同盟によって守られている。それが機能するには、敵に対して完全に不可分であると見えねばならない。

1980年代、アメリカのレーガン大統領はNATO諸国とソ連に対峙した。ソ連は、中距離弾道ミサイルSS20を東欧に配備して、米欧間の分断を企てた。1987年、レーガンは日本との同盟も堅持し、ソ連がウラルより東の、日本を狙うSS20をすべて撤去させた。

残念ながら、1998年、クリントン大統領は中国を訪問し、中国がミサイルの照準からアメリカを除外した、と大々的に発表した。しかし、彼は中国の武器が日本を狙っていることは忘れたのだ。

トランプ大統領は、アメリカ軍が総力を挙げて日本を防衛する、と約束した。それは主に北朝鮮に対するメッセージであるが、中国にも届いたはずだ。日本人の不安は抑えられた。

アメリカが北朝鮮に対する「レッド・ライン」をどこに引くか、それが太平洋の中間であれば、日本との同盟は損なわれる。1990年代から、日本はノドンミサイルの射程内にある。日米の利害を一致させることが重要だ。

選挙戦において、トランプは日本と韓国が核武装することで、アメリカの負担を減らす可能性に言及した。日本は歴史的な経緯などから核武装しない。その場合、選択肢はアメリカとの同盟強化しかない。安倍政権は、自衛隊の活動範囲を新しく拡大して、米軍と協力する法改正を行った。

最近の北朝鮮による挑発は、日本人へのウェークアップ・コールになった。脅威に直面して日本の防衛政策は大幅に見直されるだろう。海上保安庁を拡充し、ミサイル防衛システムの配備や、サイバー攻撃への防御を劇的に改善する。それが、核武装する北朝鮮と同盟国アメリカに示す、日本の決意である。

FT May 1, 2017

North Korea’s nuclear push masks army creaking at seams

Bryan Harris in Seoul and Robin Harding in Tokyo

北朝鮮は世界第4位の常備軍を持つと自慢している。100万人の軍隊と700万人の予備役である。しかし、その兵力は、燃料の不足、老朽化により、米軍との戦闘が長期に及ぶなら、失われるだろう。通常兵器による全面戦争が30日続けば、北朝鮮軍は燃料、弾薬、部品が不足する。と専門家は予測する。2週間しか持たないかもしれない。

しかし、トランプは、核兵器や化学兵器を備蓄する北朝鮮が韓国や日本の米軍に報復できることを重視するだろう。ピョンヤンも、交渉を優先し、軍事行動には慎重であるはずだ。

NYT MAY 2, 2017

Only Congress Can Solve the North Korea Problem

By EDWARD FISHMAN


 トランプの就任100

FT Magazine, APRIL 27, 2017

100 days in the court of King Donald

Demetri Sevastopulo. Additional reporting by Courtney Weaver

「トランプは王様のようだ。彼は宮廷が好きである。彼の宮廷では、すべての役者が集まる。廷臣たちもいる。」

もしジョージ・W・ブッシュが民間企業の、フォーマルなCEOスタイルの大統領なら、オバマはプロの司令官であった。トランプは、リアリティーTVショーの王様だ。

カオスが現れると、宮廷に陰謀はつきものだ。トランプは直ちに、中世の宮廷劇から、ソーシャル・メディア時代のクレムリン支配にスタイルを変えた。

SPIEGEL ONLINE 04/28/2017

John Dean on Trump's First 100 Days

'I'd Give Him an 'F!''

Interview Conducted By Marc Pitzke

Project Syndicate APR 28, 2017

The People vs. Donald Trump

SIMON JOHNSON

NYT APRIL 28, 2017

The Pond-Skater Presidency

David Brooks

トランプにもプラスの面があることを認めるべきだ。彼は、多くの批判が主張するよりも、適応力がある。トランプのすべてがあまりにも悪夢のような状態であるから、批判する側は完全な正義を主張して、彼の姿勢が改善する余地を評価することもなかった。

しかし、トランプが賢明になるとか、控えめになるということはないが、その大げさな危険性は薄れ、普通の大統領に近づいた。まるでドアにまで迫ったファシズムに対抗するように、「抵抗運動」を唱えることは正しくない。

トランプの脅威は3つの点で縮小した。1.トランプのすべての見せかけは、その中身がないとわかってきた。2.トランプの能力は、完全に破滅的ではなく、不十分な程度である。3.トランプ自身が、現代の革命運動から距離を措いた。

トランプが世界秩序を不安定化すると懸念されたのは、アメリカ大統領が世界の地方労働者階級の不満を煽ると思われたからだ。アメリカが世界のポピュリスト型強権指導者の同盟を組織するとしたら、深刻な事態であっただろう。

しかし、その心配は後退した。トランプは、破壊的なポピュリストから伝統的なコーポラティストに変わった。彼の政権はビジネス界に好意的である。戦闘的な革命家ではなく、抵抗に直面すると提案を下げた。トランプは、TV時代の関心で考え、その表面的な性格は数年を経て大きく変わるだろう。

もちろん大統領には、現実に関する信念と知識を持ち、アメリカ人にとって事態の改善をもたらす人物がなってほしい。しかし、この政治の池で滑る素人大統領に、憤慨しているだけでは意味がない。

NYT APRIL 28, 2017

Living in the Trump Zone

Paul Krugman

NYT APRIL 28, 2017

America, From Exceptionalism to Nihilism

By PANKAJ MISHRA

2008年、ザカリアFareed Zakariaは書いた。「世界はアメリカの道を進む。」「より開放的で、市場を受け入れた、民主的な国になる。」 世界は最善の姿になる、とアメリカの政治、ビジネス界、ジャーナリズムの指導者たちは伝え続けている。911でさえ、イラクとアフガニスタンの血みどろの失敗でさえ、大恐慌以来、最悪の経済危機でさえ、アメリカ化する世界への信念を消せなかった。

こうした楽観的なご都合主義者たちをついに粉砕したのは、昨年、大統領選挙で「アメリカの大虐殺」を演じたデマゴーグであった。激しく分極化したアメリカ社会におけるトランプの誕生こそ、アメリカは悲劇的な社会紛争や衝突に対して免疫がある、という信仰を打ちのめした。

エリートたちは、検証されることのない多くの仮定に基づいて、この世界最強の国家における道徳的な衰退を非難する。「われわれは21世紀もアメリカの世紀であると信じている。」 オバマはそう断定した。黒人たちが銃殺され、ラストベルトには白人のプロレタリアートが苦しんでいるにもかかわらず、この上昇志向の物語には彼らの絶望は関係ない。

かつてこの西側文明の批判者たちは、Erich Fromm, Herbert Marcuse, Hannah Arendt, Dwight MacDonald and Richard Hofstadterなど、根本的な変革、伝統的な信念、その他の倫理規範から切り離された諸個人が、プロパガンダや娯楽を提供することで操作される傾向を懸念していた。高度に合理化された社会、利潤と消費に没頭した、人間的な自由を追求する社会とは、新しい脅威なのだ。

20世紀半ばの多くの思想家たちにとって、国民のイデオロギーや制度への信頼が失われたヨーロッパに起こった、ニヒリズムは、アメリカにも現れる可能性があった。

1980年代になって、レーガンとレーガン崇拝者たちは、「国民的な衰退」という考えを一掃した。共産主義の崩壊がアメリカ・モデルを輝かせたようだった。共産主義後のロシアは、アメリカ人のエコノミスト、テクノクラート、ジャーナリストの軍団を受け入れた。彼らはロシアをアメリカ型の民主主義と自由市場に改造する気だった。

こうした「市場ボルシェビキたち」、とスティグリッツは呼んだ、がどれほど破壊的であったか、余りにも容易に忘れられてしまった。彼らが現代の最初の重要なデマゴーグを生み出したのだ。ウラジミール・V・プーチンだ。彼が1990年代後半に権力を握ったのは、民営化と規制緩和の実験が所得や健康状態を破滅させ、失業率と死亡率を上昇させた後だった。プーチンは、それらを一掃してやる、と約束したのだ。

エリートたちのネットワークが、すなわち、ネオリベラルのグローバリゼーション礼賛者、リベラルな国際主義者、新保守主義のインテリたちが、いかに重大な影響を政治家たちに及ぼしていたか、すでに明らかになっている。その後の大失敗、アルカイダ、イスラム国、規制されない金融資本主義、銀行救済、これらが示すのは、彼らがあまりにも浸透しているから排除できないか、余りにも傲慢であるために間違いから学ばないか、である。

プーチンの辛辣なロシア的ナショナリズムは、われわれの時代の憤懣を早期に示すものだった。デマゴーグが有効であるのは、取り残された者、だまされた者、民営化のグローバルな体制によって方向を見失い、侮辱された者たちに対してである。

継続的な、後戻りしえない進歩、という考えに対する信仰が、分散したアメリカ社会を紛争から救い、他国に見られるような大衆操作からも免れた、と言われる。しかし、それも人々がその信仰を持つ間だけである。彼らは政治家に騙され、専門家たち、テクノクラートたち、ジャーナリストたちの示す真実や主張を嫌うようになった。グローバリゼーションですべての船が浮揚する。市場は自由で公平である。ショックセラピーがロシアに資本主義をもたらす。衝撃と恐怖によりイラクで民主主義が生まれる。これらは、全て、嘘であった。

嘘にまみれた近代化の歴史を再開するなら、アメリカは最悪の狡猾な思想に向かう。ニヒリズムだ。

FP APRIL 28, 2017

Donald Trump Is America’s Experiment in Having No Government

BY ROSA BROOKS

FP APRIL 28, 2017

After 100 Days, the Trump White House Still Lacks a Sound Policy Process

BY NINA HACHIGIAN

Bloomberg APRIL 28, 2017

The Only Real Lesson From Trump's 100 Days

Jonathan Bernstein

NYT APRIL 29, 2017

Donald Trump’s One Awful Accomplishment

Frank Bruni

NYT MAY 2, 2017

Trump, Andrew Jackson and Ourselves

By JANE COASTON

FT May 3, 2017

Donald Trump’s pluto-populism laid bare

Martin Wolf

トランプ大統領の就任後100日が過ぎて、その良い面と悪い面がはっきりしてきた。どちらの意味でも、多くが予想した以上に、トランプはレーガン後の共和党正統派として統治する、ということだ。

アメリカのインフラを再建するという考えは色あせ、保護貿易主義も中途半端、しかし、規制緩和と税制改革は今も目指している。ただし、財源を示さない大盤振る舞いと赤字を消滅させる魔術的な発想だ。それはレーガンによく似ているようだが、スタート地点がはるかに悪い。

スケッチとしか言いようのない1ページの文書で過激な税制改革を提案する政権など、トランプの他にはないだろう。アメリカの政策実行能力に対する評価を著しく損なわないとしたら、これは笑い話であろう。そこには大統領候補であったトランプの発想と似たものが並ぶ。

提案された減税によって、2020年代に構造的な財政赤字はGDP8%を超えるだろう。それは債務が爆発的に増えることを意味する。これは許してはならないことだ。今、アメリカの公的債務はGDP80%以上ある。それは金融危機前に45%であったし、レーガン就任時にはもっと低かった。それにもかかわらず、失業率が45%に低下しているとき、この財政刺激策は一時的な措置でもないという。間違った時期の、間違った減税だ。

減税で経済活動を刺激するから財源は得られる、という擁護論者の願いは、まずかないそうにない。マヌーチン財務長官は、他の政策と合わせて、長期の経済成長率を現在の2%足らずから3%に上げる、とさえ言う。それはさらに起きないだろう。大幅な生産性の上昇を、単に、仮定しているだけである。

唯一の解決策は支出削減だろう。しかし、連邦政府の支出の90%が、防衛、医療、所得保障、退役軍人年金、など、削れない支出ばかりだ。もし他の項目で減税額と同じだけ削れば、それらは消滅してしまう。

減税案は驚くほど逆進的である。最上位の所得層0.1%が、減税によって、課税後所得の14.2%を得る。他方、中産階級の減税率は平均で1.8%でしかない。これがトランプ・ドクトリンだ。旧式の共和党型トリクル・ダウンである。

レーガン後の共和党は、文化的な論争を煽って支持層を広げ、上位1%のための政策を実現している。「大富豪のためのポピュリズム」“pluto-populism” これは政治的には非常に効果的であるが、支持者をますます憤慨させ、絶望させることで機能する。これは政治的に危険なゲームである。トランプの後、どうなるのか?

FP MAY 3, 2017

Can Freedom of the Press Survive Trump’s Onslaught?

BY SUZANNE NOSSEL

FT May 4, 2017

Trump visa crackdown spurs tech moves to Mexico

Hannah Kuchler in San Francisco, Aliya Ram in New Delhi and Jude Webber in Mexico City


 マクロンとル・ペン

FT APRIL 28, 2017

Angry French voters muscle into the picture

Project Syndicate APR 28, 2017

Has France Really Rejected Populism?

MARK ROE

マクロンとル・ペンが決選投票に残ったことは、フランスの有権者たちがポピュリストの主張を排除したことを意味しない。反移民、反貿易、反金融、反グローバリストの政策を、有権者たちの多くは支持している。リベラルな民主主義が支持されたわけではない。

NYT APRIL 28, 2017

France and the Benefits of a Little Dictatorship

By ANDREW ROBERTS

NYT APRIL 29, 2017

Is There a Case for Le Pen?

Ross Douthat

フランスの有権者たちは、ル・ペンではなく、マクロンを選ぶだろう。しかし、マクロンは失敗したコンセンサスの若造だ。その選択は理解できるが、こうした試みは何度やっても失敗する。

ル・ペンは、反ユダヤ主義を、反イスラムに置き換えただけだ、と言われる。しかし、その主張は正統派の政治家にも広がっている。

ユーロ圏のエリート官僚たちは、共通通貨や大量移民を受け入れ、統合化が進むよりも早く、フランス社会を破壊した。同じような問題がトランプを大統領にしたが、フランスではさらに深刻だ。アメリカにはユーロ危機も、ドイツ帝国主義も、移民の同化問題も、存在しない。

トランプは問題への過剰藩王であったが、ル・ペンはその通りである。移民を止めるほうがフランスは豊かになれる。EUの権力は庶民より金融界の利益を実現する。確かにル・ペンの経済政策は中途半端だが、ユーロがない方が、フランスもヨーロッパも暮らしやすいだろう。

FT APRIL 30, 2017

Emmanuel Macron, France’s providential man on the move

Anne-Sylvaine Chassany

FT April 30, 2017

Emmanuel Macron will have to make a decisive move on Europe

Wolfgang Münchau

ユーロ圏のガバナンスを改革する、とマクロンは約束した。共通財政政策、共通財務大臣、ユーロ圏債務処理機関とユーロ債、銀行同盟。問題は、それに対するドイツの答えが、すべて Nein であるとしたら、どうするか? である。

FP APRIL 30, 2017

Marine Le Pen’s National Front Might Be Starting to Crack

BY EMILY SCHULTHEIS

Project Syndicate MAY 1, 2017

Lessons from the Anti-Globalists

JOSEPH E. STIGLITZ

ポピュリストの政策が失敗するとしても、職場を失った労働者たちが阻害され続けるなら、ポピュリストの政治への影響はなくならない。ポピュリストたちの保護主義や市場介入が成功しなくても、リベラルな市場経済が有権者たちに支持されるわけではない。

社会保障プログラムの強化、職業訓練、その他の、グローバリゼーションに取り残された個人やコミュニティーに対する支援、といった進歩的政策がなければ、トランプのような政治家は現れ続ける。しかし、われわれは忘れてはならない。啓蒙主義の時代に、われわれが科学や自由を受け入れる以前は、何世紀も所得と生活水準が停滞していたのだ。

スカンジナヴィア諸国は、ずっと前に、その教訓を学んでいた。北欧の小国にとって、市場の開放性は急速な成長と繁栄に欠かせないものだ。しかし、もし彼らが開放性と民主主義とを守ろうと思えば、市民たちの大きな部分が取り残されるようなことがあってはならない。

福祉国家は、スカンジナヴィア諸国の成功の一部になっている。持続的な繁栄とは、繁栄を共有することである。それがアメリカやヨーロッパが学ぶべき教訓だ。

Project Syndicate MAY 1, 2017

The Moral Imperative to Support Macron

GUY VERHOFSTADT

NYT MAY 1, 2017

Populism Has Not ‘Peaked’ in Europe. The Fight Continues.

By CHARLOTTE MCDONALD-GIBSON

FP MAY 2, 2017

France’s Presidency Is Too Powerful to Work

BY ROBERT TOMBS

NYT MAY 3, 2017

The European Crisis

Ross Douthat

Project Syndicate MAY 4, 2017

Europe’s New Hope?

DANIEL GROS

マクロンは、より安定的なEUに向けて、政治的統一と経済の統合化を加速する、と思われる。

しかし、ドイツとフランスの政策担当者たちには、考え方に深い亀裂が存在する。ドイツはルールに依拠したシステムを強く推進しており、財政赤字を低く抑制し、銀行や政府を救済しない。フランスは、必要な時には政府が介入する自由を主張し、危機を避けるために財政赤字や救済も行う。マクロンはドイツの要素も入れた妥協案を考えている。

フランス経済は平均的なユーロ圏の弱点を示している。しかし、今後、フランス経済の成長は回復し、人口の減少するドイツに比べて、生来の成長率は1%も高くなる。フランスの失業率も、財政赤字も減少するだろう。

ユーロ圏の統合化を長期的に考えるとき、問題は、ドイツとイタリアの対立になる。銀行同盟を完成するには、各銀行が政府債券を大量に保有しているため、ドイツはその保有に上限を求めている。しかし、イタリアはそれが政府の財源調達コストを急増させ、銀行の金利も高まる、と反対している。また、債務の共有化、ユーロ債の発行に関しても、両国は対立し、財政統合を困難にしている。

ドイツとイタリアは、難民問題でも対立する。イタリアは地中海を超えて北アフリカから来る難民を受け入れるしかない。しかし、難民の本当の目的地はドイツである。その意味で、イタリアもドイツもEUの難民対策を求めており、それは、境界の管理や難民の再配置に関する全EUのルールである。

フランスはこうした問題を考慮して、ドイツ、イタリアの重視する問題にも対応したパッケージを交渉する必要がある。

NYT MAY 4, 2017

Marine Le Pen and Emmanuel Macron: Where France’s Candidates Stand

By LIZ ALDERMAN and ELIAN PELTIER

FP MAY 4, 2017

The French Presidential Debate Turned Boxing Match

BY ROBBIE GRAMER, EMILY TAMKIN


 中国式統治

Project Syndicate APR 28, 2017

Learning from China’s Industrial Strategy

RICHARD KOZUL-WRIGHT and DANIEL POON

中国政府は、ダニ・ロドリクの指摘する「早期脱工業化」を回避するために、2015年、李克強首相が“China Manufacturing 2025” (CM2025)を提唱した。それは生産サービス、サービス指向の製造業、グリーン技術と、その補完分野に注目する産業育成策である。

CM2025は、旧式のトップダウン型重商主義に回帰するように見える。しかし、それは革新的な産業政策と金融政策を通じて実現される。特に、政府資金による誘導government guidance funds (GGFs)は重要である。新しい分野の、先進的な戦略投資を担っている。

FT APRIL 29, 2017

US invests too little, not too much in China

Yukon Huang

NYT APRIL 30, 2017

As China’s Investors Rush In, Hong Kong Shares Take a Wild Ride

By NEIL GOUGH

FT May 2, 2017

China’s corruption clampdown risks policy paralysis

Daniel Bell

NYT MAY 3, 2017

Stand Up for Democracy in Hong Kong

By JOSHUA WONG and JEFFREY NGO

次の香港行政長官は北京政府に忠誠を示すCarrie Lamに決まった。しかし、アメリカが香港での人権弾圧に対して、その弾圧者のアメリカにおける資産を凍結し、アメリカへの入国を禁止する権限を大統領に認めるThe Hong Kong Human Rights and Democracy Actは、議会が超党派で支持している重要な法律だ。

NYT MAY 3, 2017

China Wants Fish, So Africa Goes Hungry

By THE EDITORIAL BOARD

FT May 4, 2017

China wields power with boycott diplomacy

Ben Bland, Tom Hancock and Bryan Harris

韓国政府のミサイル防衛システム導入に対して、中国は団体旅行者の行き先として韓国を禁止した。韓国のショッピング街などは、一夜にして中国人旅行客を失った。2010年、ノーベル平和賞をLiu Xiaoboに与えたことを処罰するため、中国政府はノルウェーの輸出額を78000万ドルから13億ドルも減少させた。2012年に、日本製品のボイコットを経験した日本企業はそれを忘れていない。中国の生産拠点や市場は気まぐれであり、より多くの東南アジアなど、友好的な諸国との取引を増やすようになった。

中国市場へのアクセスを政府が管理して、こうした措置が中国の重商主義的な外交手段となっている。


 AIと雇用問題

NYT APRIL 28, 2017

Meet the People Who Train the Robots (to Do Their Own Jobs)

By DAISUKE WAKABAYASHI

もしあなたの仕事が、仕事について知っているすべてのことをコンピューターに教えることであるとしたら、どう思うか? 今、いくつかの会社ではAIを職場に導入し、そのAIを人間以上にするために、訓練するよう従業員に求めている。

われわれは5人の人と話した。旅行代理店や、ロボット・エンジニア、カスタマー・サービス、脚本家、など。

旅行代理店では、AIのシステムを導入し、その「Harrison」がホテルを推薦したり、予約したりするようになるだろう。「彼」に仕事を教える女性は、自分の仕事を失うことになる。あるいは、企業は何がAIではなく人間だけにできる仕事か、議論している。彼女は、これが「競争」であると意識している。

Ms. Neasham30歳だが、普通の旅行代理店スタッフではない。イラクとアフガニスタンで陸軍の退位を務めた後、新興企業で働くことを望んでいた。彼女はLola(ボストンにある旅行アプリケーション会社)でHarrisonを有益な相棒として働く、職場のロール・モデルになるよう求められている。

AIは、最初、人間のスタッフと同じように、顧客の好みに合わせてホテルを推薦していた。しかし、その後、顧客の知らない好みを探し出して、推薦するようになった。

Harrisonは多くの予約を取るかもしれないが、その後も、人間のスタッフは、旅行中に顧客の示すさまざまな要求に対応する。それはロボットにできない。

FT April 30, 2017

Economics, not identity, is key to reviving American liberalism

Rana Foroohar

FT May 2, 2017

Gap between gig economy’s winners and losers fuels populists

Rana Foroohar

テクノロジーは人間にパワーを与えるが、同時に、人間を奴隷にする。

ニューヨークのタクシー運転手は、Uber, Lyftなど、他にも無許可のタクシー会社と契約しているだろう。彼らは本質的に自営業者だが、コンピューター化されたアルゴリズムによって顧客と金を集める「価格破壊」の革新技術に負荷を課せられている。医療保険も、年金も、何もない。

他方には、フリーランスのコンサルタント業者がいる。彼もしくは彼女は、クライアント毎に、1日で1万ドルを請求する。クラウド・コンピューター、スマートフォン、ソーシャルネットワーク、ビデオ会議を利用し、いつでも、どこでも、働くことができる。6桁や7桁の給与を得て、年間数か月の休暇をリゾートや休暇用の別荘で過ごす。

運転手たちには新農奴制であるシステムが、フリーランスの高度専門職にとっては、少ない時間、フレキシブルな働き方で、ますます高額の報酬を得る仕組みになる。その差は技術との関係だ。

社会は分断化され、所得格差が拡大する。「勝者によるすべての収奪」が強められる。都市間でも、デジタル・アクセスの格差は拡大する。この分断を橋渡しし、緩和するための、政策や制度を整備しなければならない。それは持続的成長にも、政治的安定性にも、欠かせないものだ。

デジタル・エコノミーの利益は、広く共有されねばならない。

FT May 2, 2017

How popular tech tools are transforming the workplace

Rhymer Rigby

FT May 2, 2017

Michela Magas: my nomadic working life

Harriet Arnold

Project Syndicate MAY 2, 2017

Democratizing Artificial Intelligence

MACIEJ KUZIEMSKI

AIは世界秩序を作り変える可能性を持っている。最底辺の10億人が貧困から抜け出すこと、機能不全の諸制度を改革することもできるし、逆に、不正義を拡大し、不平等を強めることもできるだろう。インターネットがどうであったか、考えてみればわかる。

技術が普及することを正しく理解するには、社会に関する最も基本的な、考えることもできない諸問題に、答えを求める必要がある。

人間が人間であるようにする条件は何か? 高度な効率化を追求することか? それはシリコンバレー型の発想だ。あるいは、非合理性、不完全さ、疑いを持つことか? いかなる非生物学的な実体の限界をも超える。

Project Syndicate MAY 3, 2017

Where US Manufacturing Jobs Really Went

J. BRADFORD DELONG

アメリカ製造業の雇用者数は減少してきた。1979-99年の20年間で、1900万から1700万へ減少し、次の10年間では、一気に1200万人まで減少した。そして、アメリカ経済は機能していない、特に、ブルーカラー労働者にとって最悪だ、という考えが広まった。

しかし、戦後の安定した成長期にも、製造業(と建設業)の雇用は、減少したというより、北東部・中西部からサンベルトへ移動したのだ。

豊かな国として、アメリカは世界中の工業化や経済発展に融資しなければならない。そうすることでアメリカは工業製品を新興市場に輸出できる。アメリカは世界の銀行家であり、政治リスクの保険業者であり、最後の支払い手段である国際通貨の供給者である。

そうした要因で説明できない製造業雇用の減少部分だけが、貿易パターンの変化、例えば中国の台頭によって説明される。トランプ大統領は、NAFTAがアメリカの製造業雇用を減少させ、ほかに何も貢献しなかった、と主張する。それは間違いだ。実際は、アメリカの経済の他の分野に多くの利益をもたらし、それらの分野が成長する一方で、製造業の雇用シェアが減ったのはわずか0.1%だけである。

NYT MAY 3, 2017

How to Prepare for an Automated Future

Claire Cain Miller


(後半へ続く)