前半から続く)


 フランス大統領選挙

Project Syndicate APR 17, 2017

The Coming French Revolution

ZAKI LAÏDI

FP APRIL 17, 2017

The Last Days of Charles De Gaulle

BY ROBERT ZARETSKY

フランス中道右派の目標は、ドゴール主義を守ることに向けられている。フランス第5共和政を、1958年に始めたドゴールCharles de Gaulle将軍だ。危機に陥った国家を、ドゴールのビジョンを体現した憲法と、その意志を体現する政党が推進することになった。

ドゴールには政党に対するアレルギーがあった。第3共和制と第4共和政の衰退を生きた彼には、それだけの理由があったのだ。1940年、フランスはドイツに降伏し、1958年、アルジェリアを放棄した。彼はそれが、自分たちの特別な目標を追求する諸政党の失敗だと考えた。

諸政党が議会をマヒさせ、国民を分断した、とドゴールは信じていた。「ゴーリズム」は、それと対照的に、党派性や特異性(排他主義)を許さない。国民の基盤は誰にとっても十分に広く、地方、職業、民族、宗教に関わらないものだ。それは1944826日、解放されたパリのシャンゼリゼ通りをドゴールが歩いたときの啓示であった。のちにドゴールは書いた。「海のように、国民意識の奇跡の1つ1つがわれわれの歴史に輝くのを私は観た。群衆の中には、1つの思想、1つの躍動、1つの叫びがあり、すべての相違、すべての個人は消滅した。」

それでもドゴールは、フランスを諸政党によって統治するしかないことを知り、新しい政党L’Union pour la nouvelle république, or Union for the New Republic (UNR)を作った。それは中道と保守派を集め、あらゆるイデオロギーのシチューであった。そして彼らは、常にドゴール将軍の相続人であると主張した。

「ゴーリズムの中心はドゴールであり、そのほかには沈黙しかない。」と初期のゴーリストは語った。フランス政治の高名な学者Stanley Hoffmannは、ゴーリズムを「イデオロギー的には空洞である」と非難した。しかし、そこには何かがあったのだ。

最も基本的なレベルで、ゴーリズムとは、強い、高度に集権化された国家を意味する。国家は健康や社会的権利を守る者、また、社会的安定性の保障であった。

サルコジの下で、ゴーリズムはますますあいまいになり、サルコジの下で主将を務めた、共和主義者の大統領候補François Fillonフィヨンの下で、イデオロギーの分裂状態が極端に進んだ。たとえドゴールでも、現在のフランスを統一するのはむつかしいだろう。ゴーリズムの理想は、排除のない、国民の統一である。しかし、それは1944年や1958年を例外として、不可能な理想であった。2017年、ゴーリストの候補は、自分の政党の中でも多数派でないのに、排除を通じた統一を唱えている。

1回目の投票によって、ゴーリズムは死に絶えるだろう。

FT April 18, 2017

The shadow of Charles de Gaulle stalks the French election

Anne-Sylvaine Chassany

ドゴールは今でもフランスで最も尊敬される政治家だ。では、誰が現代のドゴールなのか?

全てを考慮すれば、ゴーリズムの本質に最も近いのは中道の候補である。ドゴールのように、マクロンは諸政党を超えようとしてきた。「彼は左派と右派とを結びつけるドゴールのアプローチを採用した。」

Project Syndicate APR 19, 2017

Planning for President Le Pen

MARK LEONARD

FP APRIL 19, 2017

Marine Le Pen’s Bait-and-Switch Foreign Policy

BY MANUEL LAFONT RAPNOUIL, JEREMY SHAPIRO

Bloomberg APRIL 19, 2017

Meet France's Optical Illusion of a Revolutionary

Leonid Bershidsky

SPIEGEL ONLINE 04/20/2017

A Complete Breakdown

Extremists on Left and Right Push France to the Brink

By Ullrich Fichtner and Julia Amalia Heyer

FP APRIL 20, 2017

France’s Election Is Trump vs. Merkel vs. Modi vs. Corbyn

BY JAMES TRAUB

今年の初め、マリーネ・ル・ペンMarine Le Penが国民戦線の3000人の活動家たちに約束したのは、「2つの全体主義」に対して戦うことだった。すなわち、「イスラム主義」と「金融主義」である。この「文明の選択」において、とル・ペンは厳粛に約束した。「われわれの社会の外側に向けた壁を守る」、と。

ル・ペンが取り上げる2つの主要なテーマ、「ナショナル・アイデンティティー」と「グローバリゼーション」に関して、「リベラル」と「反リベラル」という2つの反応に分けるなら、4人の候補者の誰があなたの投票する人物かわかるだろう。

ル・ペンの最大の敵であるマクロンEmmanuel Macronは、どちらについてもリベラルだ。共和党の候補者、フィヨンFrançois Fillonは、アイデンティティーではリベラルを否定し、経済ではリベラルだ。左派の指導者、メランションJean-Luc Mélenchonは、その逆である。驚いたことに、選挙前のフランス有権者たちは、現代の重大問題に関する4人の立場の間で、ほぼ均等に分裂している。

Brexitとドナルド・トランプ当選の衝撃を受けて、西側世界は2つの大陣営に分裂した。東欧・アメリカの非リベラル諸政府は、その政策がル・ペンの公約に似ている。そして、マクロン的な、西欧のリベラル体制と対立する。しかしさらに大きく見れば、フィヨン的な民主主義体制が、インド、トルコにもあり、ナショナリズムを強めるが、にもかかわらずグローバリゼーションの利益を得ることにも熱心だ。メランション(もしくはバーニー・サンダース)的な反グローバリゼーションの左派は、Syrizaがかろうじてギリシャでだけ政権を得ているが、同様の政党がイタリア、スペインなど、南欧で勢力を拡大している。

未来はリベラルと非リベラルとの純粋な闘いではない。この2項対立を超えて、われわれは考える必要がある。

移民、アイデンティティー、グローバリゼーション、世界市民、金融の支配、週35時間制、EU・ユーロ。各候補者たちは対立する主張を展開している。多くの有権者がだれに投票するか決めておらず、むしろ戦略的な計算で投票するだろう。どうしたらル・ペンが大統領になるのを阻めるか? ル・ペンのナショナリズムはフィヨンよりもずっと過激であり、ル・ペンの経済政策はメランションよりもずっと破滅的だ。

その結果、より多くの票を得るのはマクロンだろう。穏健な左派も、穏健な保守も、マクロンなら我慢できる。彼は若く、ハンサムで、ダイナミックだ。他の候補者たちより未来を感じさせる。しかし、それは奇妙なことだ。フランスの有権者は、伝統的に自由市場を嫌っていたし、今はテロと「コミュニタリアニズム」(フランス人が嫌う集団主義)を懸念しているのに、純リベラルな大統領を選ぶ。マクロンは、フランス市民が旧来の英米型世界観に従わないことを知るだろう。なすべきことを持たない大統領が誕生する。

自由市場、自由貿易への信念は、もはや、グローバリゼーションに取り残されたと感じる中産階級に支持されない。難民や移民を歓迎する文化的な普遍主義も、多くのイスラム教徒が政教分離や西側の進歩的価値観を受け入れない現実と矛盾する。リベラリズムは、ナショナリズムや排外主義に対抗する、新しい言葉、新しい政策のセットを見出さねばならない。世界市民主義のアイデンティティー、ヨーロッパのアイデンティティーでさえ、人々が気持ちよく受け入れるものではない。

未来は愛国心に肯定的なリベラルの定義を見出すことにある。

Bloomberg APRIL 20, 2017

What France Needs Is Le Abenomics

Pascal-Emmanuel Gobry

FT April 21, 2017

A nerve-racking test of France’s political class


 トランプの政策転換

FP APRIL 18, 2017

Trump’s ‘Madman Theory’ Isn’t Strategic Unpredictability, It’s Just Crazy

BY DANI NEDAL, DANIEL NEXON

FP APRIL 18, 2017

Is Trump’s Axis of Adults Beating Down the Cabal of Crazies?

BY MAX BOOT

ドナルド・トランプは急速に過去の立場を棄てている。

シリア、NATO、中国、イエレン、輸出入銀行、貿易赤字、ロシア、税制改革、バノン。9つの主要な立場を転換した。まだ始まったばかりである。

しかし共和党の支持者たちはトランプのすべての変化を受け入れる。彼らは特定の政策や考え方を支持しているのではなく、個人を崇拝するカルトなのだ。

トランプ2.0をどう見るべきか? 私は慎重な楽観論を採用する。彼のあいまいな、いい加減な主張は削除され、主流の、事実に依拠した主張に転換しつつあるからだ。しかし、その将来がどうなるかは予想できない。

世界最強の国家で、最重要な位置に、ニクソンが「狂人」と呼ぶようなこうした人物がいることを、世界は耐えるしかない。

FP APRIL 18, 2017

Trump Might Be a Traditional President After All

BY DANIEL TWINING

Project Syndicate APR 19, 2017

Trump’s Dangerous Blank Check

STEPHEN HOLMES

FP APRIL 19, 2017

Don’t Abdicate America’s Leadership Role at the IMF

BY DOUGLAS REDIKER, HEIDI CREBO-REDIKER

FT April 20, 2017

Painting by numbers with Donald Trump

Edward Luce

Project Syndicate APR 20, 2017

The “New” Trump’s Lopsided Foreign Policy

CARL BILDT

FP APRIL 20, 2017

Democracy Dies in Trump’s Darkness

BY NED PRICE

FT April 21, 2017

Taking aim at the World Bank is self-defeating


 メイによる総選挙

The Guardian, Tuesday 18 April 2017

Theresa May’s snap election is cynical political game playing

Rafael Behr

The Guardian, Tuesday 18 April 2017

The real gamble for Theresa May would have been to wait until 2020

Jonathan Freedland

The Guardian, Tuesday 18 April 2017

This is no general election, it’s a coup – MPs have a duty to stop Theresa May

Anne Perkins

テリーザ・メイは民主主義を逆転させた。支持政党の調査で20ポイントのリードに誘惑されて、総選挙を仕掛けたのだ。彼女が何度も何度も否定したことだ。選挙は確かに彼女に多数議席を与え、思い通りのBrexit交渉を進めることができる。

これで彼女は少数派を気にせず、残留派を無力にしたままであろう。スコットランドの分離独立は国民投票を避けられず、北アイルランドの国境線は復活するだろう。われわれが悩んでいる分断を、政治の中に再導入する。

FT April 19, 2017

Theresa May can now secure her mandate on Europe

Janan Ganesh

FT April 19, 2017

Theresa May’s snap election call is right for Brexit Britain

The Guardian, Wednesday 19 April 2017

Coalition, collaboration and tactical voting: that’s how to halt hard Brexit

Paul Mason

テリーザ・メイは、七面鳥がクリスマスを支持することはない、ということを発見するだろう。

メイ政権が成功しているのは、誰も何も知らないからだ。だれも何をするか思いつかない。

パニックと無能さから、メイは総選挙を決めた。数か月に及ぶ党内抗争と反対派、労働党の支持率は低い。パニックは、メイが50条による離脱交渉を申請したとき、何の計画も、合意された交渉姿勢もなく、経済が悪化する中で起きた。インフレは賃金上昇よりも大きく、われわれの実質賃金は低下する。

銀行も、保険会社も、自動車工場も、ハードBrexitというメイの政策に足で投票し、イギリスを出て行く。メイは交渉姿勢を明確に示さない。マニフェストは重要問題に答えない。人の自由移動も、EUの通商政策も、EUの裁判所も。

メイの保守党が主張するのは、「われわれを信頼せよ」だけである。

イギリス政治の半分を占める進歩派はBrexitについて分裂している。自由民主党と緑の党は逆転を望み、労働党内のブレア派もそうだ。それは正当な、立憲的方法で行われねばならない。私はそれが、最終のBrexit法案を議会で投票し、もし承認されない場合は現状維持を決める、という形で行われると考えた。ブラッセルにも、イギリス議会にも、それは不可能だという者がいるが、彼らは嘘つきだ。

SNPEU残留を望み、Brexitなら分離・独立に関する2度目の国民投票を目指す。メイはこれを保証しない。労働党の多数派はソフトBrexitを望む。彼らの目的はメイ政権打倒で一致する。

今では、「進歩派同盟」を形成する時間がない。しかし、選挙区の協力や連携には多くの機会がある。保守党候補者を落選させるために戦術的な投票を行うべきだ。

われわれの目標は、ぎりぎりで多数を得ることではない。ハードBrexitを推進するトーリー主義を1世代にわたって政治から一掃すること、イギリスとEUの関係を、「半ばは離脱するが、重大な意味で関与した」関係に再生させることだ。社会正義をともなうBrexitか。あるいは、制御不能のナショナリズムに翻弄されるBrexitか、である。後者はUKの解体、経済崩壊をもたらす。

民間部門の実質賃金が低下する中で、保守党はすでに、公務員の給与を制限し、高齢者の介護はカオスに向かい、100万人以上がゼロ時間契約に従っている。住宅バブルは破裂するだろう。

ハードBrexitを推進する保守党は、すでに職場の権利、人権、福祉国家を攻撃してきた。しかし、投票結果が何であれ、イギリスには進歩的多数派が存在する。反動的な、ナショナリスト、排外主義者、民営化推進派を圧倒できる。

The Guardian, Wednesday 19 April 2017

The Guardian view on MPs and the general election: Theresa May demanded. They obeyed

Editorial

Project Syndicate APR 19, 2017

Theresa May Rolls the Electoral Dice

PHILIPPE LEGRAIN

最近の調査YouGov/Times pollでは保守党支持が 44%、労働党支持は 23%、自由民主党12%、そしてUKIP10% for the UK Independence Party.である。イギリスの選挙制度では、(過半数を)100議席以上超える議席が保守党になるだろう。今の差は14議席である。

突然の選挙を決めたメイの説明は間違っている。議会の反対派がBrexitを阻む恐れがある、というのだ。メイはキャメロン政権の在任期間を後退したはずだった。労働党指導部への国民の不安を、自分の政権延長に利用したのだ。保守党、労働党への不満は、自民党への支持に向かうだろう。

また、メイがUKを維持できるかどうかもわからない。

Bloomberg APRIL 19, 2017

Theresa May’s Brexit Gamble

Editorial Board

The Guardian, Thursday 20 April 2017

Brexitland: So much for the fractured nation – I haven’t found it

Owen Jones

FT April 20, 2017

What Theresa May’s election gambit means for Brexit

Philip Stephens

FP APRIL 20, 2017

Does Theresa May Actually Care About Keeping the Kingdom United?

BY PETER GEOGHEGAN

Bloomberg APRIL 20, 2017

Alarm Bells Start Ringing for U.K. Economy

Ferdinando Giugliano


 移民と競争力

Project Syndicate APR 18, 2017

How Middle Eastern Immigrants Boost US Competitiveness

SAMI MAHROUM


 シュルツの時間

NYT APRIL 18, 2017

You’re Too Busy. You Need a ‘Shultz Hour.’

David Leonhardt


 労働党

FT April 19, 2017

An enfeebled Labour leaves the centre ground up for grabs

Robert Shrimsley


 リカード原理200周年

VOX, 19 April 2017

Ricardo and comparative advantage at 200

Douglas Irwin

リカードが『経済学及び課税の原理』を1817419日に出版してから200年が経つ。彼の貿易論は次のように始まる。

No extension of foreign trade will immediately increase the amount of value in a country, although it will very powerfully contribute to increase the mass of commodities, and therefore the sum of enjoyments.”

それは数値例によって示されたことで、むしろ混乱を生じた。その理解を妨げたのは日常的なゼロサム状態であり、エコノミストたちが並べる多くの仮定の現実味がないことであった。

VOX, 18 April 2017

Brexit: A new industrial strategy and rules on state aid

Nicholas Crafts

NYT APRIL 17, 2017

How the Airlines Became Abusive Cartels

By ROBERT KUTTNER


 中国の都市計画

FT April 20, 2017

Dreams destroyed as Beijing shrinks

Lucy Hornby

中国政府は大都市の人口を制限する計画を発表した。都市不動産市場の過熱を抑え、地方に新しい中規模都市を建設する、という。

しかしそれは出稼ぎ労働者たちの定住化を阻み、彼らを急激な開発で廃墟になった都市へ送り込む。大都市の中小ビジネスは拡大の機会を失う。彼らの夢を奪うことになる。


 トランプの石炭産業復興

NYT APRIL 19, 2017

Coal Museum Sees the Future; Trump Doesn’t

Thomas L. Friedman

トランプはこの数週間で2つの重要な安全保障政策を決定した。1つは、シリア空爆である。

もう1つの決定を、あなたは知らなかった。それはアメリカの気候・環境保護政策を破壊するものだった。約束していた国連人口基金に対するアメリカの分担金3250万ドルを引き上げたのだ。

アメリカには多くの気候変動・環境科学者がいる。しかし、この決定に関する専門家の説明は何もなかった。彼らは、気候変動や、環境悪化、干ばつ、人口爆発、がシリア内戦や、ボコラムのようなテロ集団を生んだことを詳しく研究している。

トランプは選挙戦中のナンセンスを多く改めたのだから、この分野でも彼が方針転換することを願う。想像してみればよい。シエラクラブの幹部Carl Popeと億万長者元ニューヨーク市長のMichael Bloombergが出会ってから、何が起きたか。


 アフガニスタンにおけるMOAB

FP APRIL 19, 2017

Afghans Want More ‘Mothers of All Bombs’

BY RUCHI KUMAR

NYT APRIL 20, 2017

Mother of All Bombs

By ALI M. LATIFI


 トランプのソフト・パワー

Bloomberg APRIL 19, 2017

Team Trump Seems Unaware of Soft Power's Punch

James Gibney


 香港はどうなるか?

FT April 20, 2017

Hong Kong faces an uncertain future as dynamism fades

Lionel Barber

香港クラブで昼食をとった。ホストはCH Tungだった。CHは英語を話す資産家で、1997年の香港中国返還後、最初の行政長官であった。

CH79歳だが、まだまだ元気だ。彼の世代の多くの人たちと同様、第2次世界大戦後、共産主義の支配を逃れた上海からの難民であった。香港に関する彼の判定はあいまいだ。・・・

香港は今も法の支配を守り、トップクラスの金融センターであり、中継ぎ貿易港である。しかし、そのダイナミズムは失われてしまった。低成長、住宅価格の高騰が中産階級を苦しめ、社会的な上昇を難しくした。ビジネスは得意な分野で、すなわち不動産投資で栄えている。しかし革新は起きない。香港は市民が議論できる公共政策機関を整備しなかった。干拓事業も停滞している。

次期行政長官であるCarrie Lamは、非常に優秀な官僚であるが、難しい仕事に就く。彼女は2人の主人に仕えるからだ。一方では北京政府、もう一方では香港住民。どの行政長官も、北京の歓心を買おうとして、香港住民に深く嫌われた。

かつて香港返還交渉において、Margaret Thatcherサッチャーの切り札は、香港が金の卵を産むガチョウであったことだ。北京がこれを絞め殺すことはないだろう、と。しかし、今は違う。中国経済は自由化され、競争するガチョウたち、上海、広州、深圳がいる。香港は取り残されることを恐れている。

2014年の雨傘革命は当局を脅かした。北京の忍耐が試されたのだ。抑制する感覚が支配したが、脅威がもっと強ければ本土からの介入が起きただろう。

イギリス政府は沈黙した。イギリスにとっては貿易が重要であり、Brexit後の中国・イギリス関係は「黄金時代」である、とたたえている。中国政府に敬意を表するのは理解できるが、民主化に対して沈黙したことは恥ずべきだ。


 グローバリゼーションと国民国家

FT April 20, 2017

The pendulum swings between globalisation and nation state

Stephen King

国境がなくなれば、財、サービス、資本、人が自由に移動する。通貨も競争して、交易条件が急に変化するという不安を生じる。政府は国外への影響を無視してローカルに規制する。

歴史上、グローバルとローカルとの潜在的なトレード・オフを解消する試みが繰り返されてきた。それは典型的に3つのCを混ぜたものだ。対立conflict, 強制coercion and 協力co-operationである。

ローマ帝国は第1と第2C、それは奴隷と征服であった。他方、大英帝国は3つのCをすべて用いた。中国に自由貿易港を増やすよう求めながら、アヘンを売りつけ、砲艦外交を展開した。

2次世界大戦後のアメリカは、主に、第3Cを使った、ゲームのルールを確立することに努め、ますます多くの国の参加を求めながら、カッコ奥の自主権を認めた。しかし、どこでもグローバリゼーションは抵抗にあった。グローバリゼーションへの支持と反発とは振り子のように変化した。

豊かな諸国の貧しい労働者たちは工場の移転に脅かされた。より低賃金の土地へ、アメリカの工場は移転した。技術はますます資本の移動性を高めたのだ。

国民国家への回帰を、時代遅れの間違った選択、とみなすことはできない。グローバルな指導国が失われれば、ますます各国が異なった利害を主張するようになる。気候変動やサハラ以南のアフリカにおける人口爆発が、19世紀のような大規模な移民を生じるかもしれない。ソーシャル・メディアは極端な信念でも容易に政治的なプロパガンダンに変える。人々は分極化し、共通の価値は失われる。

グローバリゼーションが障害を減らせば経済的な利益がある、とエコノミストは考える。しかし、グローバリゼーションには深刻なコストがあるのかもしれない。

YaleGlobal, Thursday, April 20, 2017

Populism’s Rise Reshapes Global Political Risk

Kingsley Chiedu Moghalu


 化学兵器とトランプ外交

Project Syndicate APR 20, 2017

Trump’s War Policy in Syria

ROBERT SKIDELSKY

化学兵器によるKhan Sheikhoun in Idlib Province, Syriaへの攻撃は、85人の死者と、555人の負傷者を出したと推定される。3つの点が問われるべきだ。1.この攻撃の責任はだれにあるのか? 2.アメリカによる軍事的な対応をどう見るか? 3.シリア内戦の今後に及ぼす影響は何か?

1.すべての政府が嘘をつく。しかし、民主的な政府の方が権威主義体制よりも嘘をつくことが少ない。嘘をついて、そのままだましておくことが難しいからだ。その意味で、アサドよりプーチンが、プーチンよりトランプが、嘘をついていないだろう。ただし、アサドが命じた、ということには疑念が残る。それは彼にとって不利になると予想できたからだ。また、アメリカはイラク侵攻で嘘をつき、それをだまし続けるために「安全保障国家」を膨張させた。

2.トランプは、これまでの主張を、わずかな時間で翻した。複雑な問題に対して瞬間的な反応を取る思考システムだ。ケネディがキューバ危機に対して示した思考システムとは異なる。

3.ティラーソン国務長官の、アサドの支配は終わった、という発言はナンセンスだ。トマホークミサイルの後に、どのような政策の好ましい均衡状態をもたらす、とトランプは考えたのか? 慎重な外交政策には戦略が必要だ。ある状態が、次に望ましい状態へ向かうためには、その移行過程にある多くの邪悪な問題を十分に考慮しておくべきだ。


 教育のための国際基金

Project Syndicate APR 20, 2017

A Bridge to Universal Education

GORDON BROWN

グローバル教育のための国際支援機関the International Finance Facility for Education (IFFEd)が必要だ。


 パキスタンの核兵器

NYT APRIL 20, 2017

The World Must Secure Pakistan’s Nuclear Weapons

By RAHMATULLAH NABIL


 イランの次の危機

NYT APRIL 20, 2017

The Coming Crisis With Iran

By TRITA PARSI


 リビアの国家再建

FP APRIL 20, 2017

Could Italy Get Trump to Care About Fixing Libya?

BY BEN FISHMAN

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The Economist April 8th 2017

North Korea: The land of lousy options

Banyan: An Australia that can say no

Donald Trump and the unions: A riveting relationship

Lexington: America’s forgotten war victory

The United Arab Emirates: The Gulf’s little Sparta

The Pearl River Delta: Jewel in the crown

Trade: Back to the 1980s

Free exchange: Self-inflicted wounds

(コメント) 北朝鮮,アラブ首長国連邦,ヴェネズエラ。これら3つの国家に関する記事が興味深いです。北朝鮮危機に関する選択肢は,いずれも好ましくない,偶発的な戦争による甚大な損害を前提とした外交ゲームです。他方,アラブ首長国連邦の拡大戦略は,少なくともここまで,目覚ましい成功を遂げました。おそらく,それが地域の均衡を破壊するでしょう。そして,石油資源に依存したヴェネズエラの危機です。ポピュリズムの破壊的局面を鮮明に示しています。

オーストラリアは,あまりにも多くの貿易黒字を得たことで,中国に対する外交を苦慮しています。トランプが,共和党の破壊し続けた労働運動と親密な関係を築いたこと。アメリカの大統領が国民を戦場に送り,戦死者たちを称えるとき,その理想をどのように描くべきか。1980年代の対日貿易摩擦と同じ発想が何を意味するのか。

特集記事,珠江デルタ。しかし,中国経済の爆発的な成長力を称賛する記事には,複雑なマイナス面への言及が欠けていると思います。

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IPEの想像力 4/24/2017

グローバリゼーションにふさわしい政治秩序とは何か?

世界金融危機とトランプ政権によって、各地の指導者たちは後戻りできないグローバルな政治経済構造の転換に呑み込まれたように見えます。

フランス大統領選挙では、ル・ペン、マクロン、フィヨン、メランションがグローバリゼーションの政治経済秩序をめぐって争いました。ル・ペンは、愛国心(排外主義)を優先し、グローバリゼーションの利益を否定します。国際秩序より自国第一の、トランプやプーチンと共鳴します。

他方、マクロンは、自国に限定されない、人類の自由・平等・友愛を訴え、グローバリゼーションを改革できると主張します。EUやユーロはそのための制度であり、さらに強化して、望ましい市民社会を経済成長と社会正義・安定性に導きます。

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「国際関係論」のテキストを使いながら、私はやや不満でした。リベラルな秩序が依拠する国民国家、ウェストファリア体制(主権のビリヤード型モデル)が、唯一の、人類が目標とする国際秩序である(あった)ような説明に,疑問が残ったからです。

「国民国家」は、ヨーロッパの特別な歴史地理的条件、E.ジョーンズのいう諸国家並存体制において、しかも他の大陸における帝国化を継続しつつ、維持されました。ヨーロッパ諸帝国の解体後、国家・民主化・自由化のモデルは他の大陸で必ずしも成功していません。宗教改革にともなう30年戦争の殺りくが、今、中東で起きているとしても、この地域がウェストファリア体制に向かうことで安定するとは限りません。

ヨーロッパでさえ,「さあ国家ができた。これから国民を作ろう。」と政治指導者たちは,何度も,戦争を引き起こしました。覇権の移行における近代の大戦争が待っているとしたら,国民国家を採用しない方がよいでしょう。

それは,軍事的な要素の強い帝国や、技術的・文化的な要素の強い文明圏であったし、各地の合意や歴史的な制度を破壊する,外から(上から)の国際秩序であったと思います。圧倒的な軍事力の優位、神秘的な(宗教的な)医学の知識は、西洋の衝撃としてグローバルな秩序の破壊と再編を推し進めました。こうした西洋(欧米そして,同じモデルを採用した日本)の衝撃が平和をもたらしたのは、原子爆弾の恐怖が自分たちにもおよぶと知ったからでしょう。

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ヨーロッパが目指すのは,ウェストファリア体制からの離脱です。柔軟なEUは,さまざまな分野における合意された規範や法を基に,「戦争による平和」の悪夢を克復する試みです。

あるいは,資本主義システムのダイナミズム、グローバル・サプライ・チェーンは,諸大陸を結ぶ繁栄の砦を築きつつあります。多国籍企業と貿易・金融システムが,リベラルな社会的理想を抱く市民のネットワークを,国民国家ではない形で生み出すかもしれません。珠江デルタ地帯は,今も,北京と香港とのバランスを世界に問いかけます。

市場が開放され,社会的な分業が拡大して,次々に革新を波及し,旧来の秩序を破壊するとき,政治経済秩序の革新は,グローバルなニューディール、福祉国家、社会改革の可能性に答えの一部を探します。

グローバリゼーションも,リベラルの理想も,平和と繁栄,コミュニティーの労働や暮らしやすさを実現する,海や風であると思います。

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