(前半から続く)
● オフショア・マネーと民主主義
NYT APRIL 7, 2017
Offshore Money, Bane of Democracy
By OLIVER BULLOUGH
● 米中と北朝鮮問題
Project Syndicate APR 7, 2017 5
What Next for Trump and Xi?
Rana
Mitter
FP APRIL 7, 2017
The North Korean Nuclear Threat Is
Getting Worse By the Day
BY
WILLIAM TOBEY
FP APRIL 10, 2017
South Korean Elections Could Derail
Trump’s Plans to Get Tough on North Korea
BY
DAN DE LUCE
NYT APRIL 11, 2017
Trump Says China Will Get Better
Trade Deal if It Solves ‘North Korean Problem’
By
MARK LANDLER
China Daily 2017-04-13
Peninsula parties must change track
to avoid head-on collision
FP APRIL 13, 2017
It’s Time for America to Cut South
Korea Loose
BY
DOUG BANDOW
なぜアメリカは、遠く離れた、貧しい、孤立した北朝鮮のために、自分が属してもいない地域に軍を関与させ続けるのか?
ワシントンは第2次世界大戦終結以来、朝鮮半島に軍を駐留させてきた。当時は、冷戦によって国際関係がゼロサムになっていた。アメリカが失えばソビエトが得る。朝鮮戦争で3万7000人の兵士を失ったアメリカが韓国を手放すことはできないし、それがアメリカの信用にかかわった。中国を「共産主義」の側に失ったという感覚が強く、アジアで共産化する国を増やす気は誰にもなかった。
しかし、そのような世界はずっと前に消滅した。朝鮮半島は地政学的な重要性を失った。韓国は無力ではなく、アメリカは関与の目的を失った。トランプ大統領は、アメリカの利益を効果的に守るために外交を転換するだろう。世界で最も新しい、最も無責任な核保有国がある東アジアは、それを示すのに良い地域だ。
朝鮮半島の戦争は悲劇であり、犠牲者が多数出るだろうが、アメリカが戦争に加わらなければ半島の外へは広がらないだろう。逆に、朝鮮半島に米軍が駐留し続ければ、事実上、戦争の拡大を確実にする。
韓国の防衛にアメリカはもはや必要ない。1960年代の韓国経済は北を追い越した。1980年代には民主化し、1990年代までに、北は飢餓に苦しむが、南は経済ブームを実現していた。そのギャップはすでに十分大きく、さらに拡大している。韓国の軍事的な潜在能力は高く、それはアメリカへの依存も理由となって、まだ実現していない。
なぜアメリカの軍隊はまだ韓国にいるのか?
1つの説明は、モラルだ。
韓国では、アメリカが半島の分割を促すような無視をした、と考える人もいる。しかし、当時、グローバルな戦争状態の後で、ソ連と争って遠く離れた朝鮮半島を守ることに意欲を示すアメリカ政府関係者はいなかった。その結果、行動しないことになった。そして北には金王朝の暗黒時代が訪れた。それはおそらく、良い判断であった。そのせいで非難され、永久に警護する責任を負うべきではない。
1950年との違いは、韓国が自分で防衛できないという理由がないことだ。もし米軍が半島を離れれば、それは実行されるだろう。もちろん、それには大きな財政負担と努力を要する。それこそ韓国政府の第1の責任だ。
その責任はまた、韓国政府がピョンヤンの扱い方に一貫した姿勢を示すことにもなるだろう。金大中の「太陽政策」は、100億ドルもの財政移転と支援を行って、その後、北朝鮮の核・ミサイル開発に利用された。
確かに北朝鮮は、核兵器を開発したことで、半島の軍事的な均衡を変えた。しかし、米軍が駐留する必要はない。アメリカは、北の核攻撃に対して必ず報復すると保証することで、韓国に北の抑止を提供できるだろう。
韓国自身が核抑止力を持つことも考えるべきだ。1970年代後半、朴正煕大統領がアメリカの姿勢を信頼できないと疑い、独自の核開発を進めた。当時はアメリカが圧力をかけて中止させたが、今や、それを促す方がアメリカの利益になるだろう。
もちろん、核拡散を促すことは危険である。しかし、アメリカは北東アジアの核紛争から抜け出せる。中国は、日本が核軍拡競争に加わることを恐れて、ソウルの核保有を阻止するために、北朝鮮に強い行動を取るだろう。
アメリカが駐留することで中国の行動をけん制し、地域の安定性や軍拡競争の抑制をもたらす、という説明もある。しかし、中国の行動を制約するか? 北朝鮮が崩壊したら、中国は難民を吸収するのか? あるいは、朝鮮半島以外の問題で韓国を説得できるか? 台湾の防衛、南シナ海や、まして日本を防衛するために? むしろアメリカがいない方が、韓国と日本は、ナショナリストの政治家がしばしば利用するような、歴史問題を解決するだろう。
アメリカ軍の駐留は慈善活動ではない。同盟は確かに抑止をもたらす。しかし、第1次世界大戦が劇的に示したように、それは戦争を拡大することにもなる。さらに、大国に守られた小国は、自国の防衛を負担せず、しばしば無責任に行動する。
韓国はグローバルな共産主義の亡霊から保護される貧困国ではもはやなく、自分の足で立つことができる。
FP APRIL 13, 2017
As Trump and Kim Jong-Un Unleash War
Rhetoric, Allies Urge a Slower Hand
BY
PAUL MCLEARY
FP APRIL 13, 2017
Eyeing North Korean Nukes, Trump
Abandons Hardline Stance on China
BY
BETHANY ALLEN-EBRAHIMIAN
Global Times 2017/4/13
Shadow of war looms as
Washington-Pyongyang tensions escalate
By
Li Jiacheng
● グローバリゼーションと保護・補償
Bloomberg APRIL 7, 2017
One Fact Constraining Globalization:
It's a Big Planet
Tyler
Cowen
Project Syndicate APR 11, 2017
Too Late to Compensate Free Trade’s
Losers
DANI
RODRIK
世界のビジネス界や政策担当者の間に新しいコンセンサスが現れた。グローバリゼーションですべての者が豊かになる、と言った主張は消えて、勝者と敗者があることをエリートたちも認めるようになった。反グローバリゼーションの政治的反動を抑えるためには、逆転するのではなく、敗者に補償しよう、というのだ。
エコノミストたちは、ずっと前から、貿易自由化がその国の経済的なパイを増やすとしても、再分配を生じ、絶対的に所得を失う者もいることを知っていた。それゆえ、自由化の勝者が敗者に補償するときだけ、その国の厚生は改善する。補償政策は貿易の開放政策を支持し、政治を健全にするものだ。
かつては、大規模な移民流出や、貿易自由化の逆転、保護の再導入が、特に農業で行われた。福祉国家が登場したことで、貿易を制限することは少なくなった。今日、国際経済に最もさらされた先進国ほど、セーフティーネット、社会保険プログラム、すなわち、福祉国家が最も充実している。ヨーロッパでは、グローバリゼーションの敗者に対して国内で積極的な社会政策や労働市場への介入がみられる。
福祉国家と開放経済とは、20世紀の大部分を通じて、同じコインの裏と表であった、と言ってよいほどだ。
ほとんどのヨーロッパ諸国に比べて、アメリカはグローバリゼーションが遅かった。最近まで、アメリカの国内市場規模、そして相対的に観た、地理的孤立性が、特に低賃金諸国からの、輸入からの保護を、提供していた。アメリカの福祉国家は歴史的によわかった。
1980年代、アメリカもメキシコや中国などから輸入が増え始めると、ヨーロッパ諸国と同じ道へ進むと思われた。しかしそうではなく、レーガン支持者や市場原理主義の考えにより、逆の道を進んだ。アメリカは「巧妙に敗者を無視した」(Larry Mishel)のである。そして、貿易に関する弱い補償プログラムを攻撃した。Mishelは、自由貿易論者であるなら、労働者階級への配慮をするべきだ、と述べた。完全雇用、集団交渉、労働基準、最低賃金保証、などだ。低賃金諸国との貿易が増えるまで、それらが実現していた。
それは、2007年に、政治学者のKen ScheveとエコノミストのMatt
Slaughterが「ニューディールのグローバル化」と呼ぶものであった。世界経済への統合化は実質的な再分配プログラムと結びついていた。すなわち、税制の累進制強化である。
Slaughterは、ジョージ・W・ブッシュの下で共和党本部に属していたから、アメリカの政治が、その後、どれほど大きく変化したかわかるだろう。今、そのような提案が共和党から出ることは想像できない。
現在の新しいコンセンサスは、啓蒙された自己利益に勝者が従うことを前提する。経済の開放度を支持するように敗者を補償することが必要だ、と。しかし、トランプの勝利は別の可能性を示した。すなわち、現在のグローバリゼーションは、開放性から利益を受けるスキルや資産を持つ者が政治のパワー・バランスを有利に変更し、最初は敗者が持つかもしれない組織された影響力を掘り崩す、ということだ。グローバリゼーションへの初期の不満は、容易に、まったく違うものへ、すなわち、エリートたちにも支持できる政策へと変えられてしまう。
これはエコノミストが言う「時間的不整合性」である。自由化の受益者たちは補償を約束するが、彼らはその政策を実行しない。それはグローバリゼーションの逆転があまりにもコストを高めるからであり、あるいは、政治的なパワー・バランスが変わってしまうからだ。
敗者に補償するよりも、グローバリゼーションのルールそれ自体を変えることだ。
Project Syndicate APR 11, 2017
Calling the Protectionists’ Bluff
DANIEL
GROS
グローバリゼーションが逆転し,「メガ地域」通商協定が破棄された,というニュースには誤解がある.確かに新しい通商協定は論争を生むが,保護主義が支配的になるとは思えない.
多くの発展した諸国の経済は今もかなり開放的であり,このパターンは続くだろう.過去と違って,現在の貿易では,保護主義を支持する政治同盟が形成される見込みはないからだ.
かつて,労働者は高賃金を求め,資本家は高利潤を求めて,高い関税を導入し,外国との競争を排除した.悪名高い1930年のスムート=ホーリー関税がそうだ.
今,外国との競争において,労働者と資本家の利益は一致しない.多くの製造業で支配的な企業は多国籍化している.多くの国で生産しているのだ.特に,中国では顕著である.保護主義政策はどのようなものでも,中国にとって害をなす.
もう1つの違いは,多くの企業がグローバル・ヴァリュー・チェーンの一部であることだ.メキシコや中国で組み立てられる工業製品の高度な部品は輸入されており,しばしばアメリカで生産されている.こうした国と貿易紛争が起きれば,アメリカ企業は部品が輸出できないし,知的財産に対するロイヤリティも受け取れない.
アメリカが閉鎖型の経済の戻ることを政治的に支持する基盤は存在しないのだ.
● ゼロ金利
NYT APRIL 7, 2017
The Economy May Be Stuck in a
Near-Zero World
By
JUSTIN WOLFERS
● ケネス・アロー
VOX 08 April 2017
Kenneth Arrow and the golden age of
economic theory
Steven Durlauf
● Brexit幻想
The Guardian, Sunday 9 April 2017
Brexit hasn’t happened yet – and it
is changing all the time
William
Keegan
The Guardian, Thursday 13 April 2017
Brexitland: With pay so low for this
long, no wonder there’s anger in Sheffield
Owen
Jones
FT April 13, 2017
The UK’s negotiating position on
Brexit is a fantasy
Chris
Giles
● 労働組合
The Guardian, Sunday 9 April 2017
If unions are to stay relevant in
the new workplace, they must change
Will
Hutton
● EUの重要さ
SPIEGEL ONLINE 04/10/2017
It's the EU Stupid
German Campaign Turning into a
Debate Over Europe
By
SPIEGEL Staff
FP APRIL 13, 2017
Europe Is Still a Superpower
BY
ANDREW MORAVCSIK
ヨーロッパには様々な混乱の兆候がある。制度や政策は不完全だ。ユーロ圏の成長減速や緊縮は深刻だ。右派のナショナリズムや移民問題もある。
しかし、ヨーロッパはまさしく超大国であるし、今後数十年間もそうであろう。多くの客観的な尺度が、ヨーロッパはグローバルな軍事・経済・ソフトパワーの駆使できる、アメリカや中国に匹敵し、もしくは上回る能力を持つと示している。
ヨーロッパは単一の主権国家ではないが、世界政治において1つの勢力として行動している。ヨーロッパを、バラバラの28の国家から成る、地政学的に無意味な存在とみなすことは間違いだ。
ヨーロッパは3つの方法で協力している。1.共通の政策を実行する。2.共通に法律で権限を定めなくても、しばしば「有志の連携」を形成する。3.権限でも連携でもないが、ヨーロッパ諸国の国内の法律・戦略・利害が、相互に補完的な、補強する政策を生み出す。
● 共和党と財政
Project Syndicate APR 10, 2017
A Fiscal Reality Test for US
Republicans
NOURIEL
ROUBINI
● ユーロ離脱のポピュリズム
FT April 10, 2017
Greece’s creditors must act to end
the gridlock
FT April 10, 2017
Euro exit for Italy or France would
be a trauma
Wolfgang
Münchau
フランスとイタリアのポピュリストたちはユーロからの離脱を好むようだ。しかし、その決定はしばらく先に延ばす。すべては国民投票に委ねる、と。ル・ペンやグリッロがわれわれにそう言うとき、彼らがどれほど極端な行動に走り、いい加減な者か、よくわかる。彼らがフランスの国民戦線、イタリアの五つ星運動の指導者だ。
どちらの国でも、ユーロを離脱するという主張は、困難だが、知的に述べることができる。しかし、彼らはそうしない。もし真剣に離脱を実現するつもりなら、これは政権のすべてを決める重大問題であり、Brexitよりもはるかに大変だ。イギリス政府がBrexitに翻弄されていることを観ればわかる。
もし離脱すれば、どちらの国も人類史上最大のデフォルトになる。EU全体に銀行危機が起きるだろう。その複雑さと危機の陥穽は、戦争を始めるのと似ている。人々が国衙からユーロを持ち込むのを阻止するために国境を閉鎖する。暴動を鎮圧するために警察を動員する。物資を確保するために軍事的な作戦を要する。それは、週末に、戦車が町に並ぶようなものだ。
五つ星が勝利すれば、首相になる可能性の高いディマジオLuigi Di Maioが、ユーロ離脱を党の2番目の政策にしたことで呆れた。・・・私の今年の抱負は、第1に、チョコを食べ過ぎないこと。第2に、離婚することだ。こんな話かよ! 彼は真実を語っていないか、あるいは、何も準備していないのだ。30歳のディマジオは、1992年にEMRからイギリスとイタリアが排除されたとき、まだ6歳だった。当時の混乱を記憶する者は誰も、ERMよりはるかに深刻なユーロ離脱の危険を知っている。
投資家たちは国民投票の結果を待たないだろう。ディマジオが次期首相と決まれば、合理的な投資家はデフォルトの規模を計算し、新しい通貨に転換する損失を利回りに換算して中立化しようとする。選挙の日の夜から、ディマジオはイタリア金融システムからの資本流出と闘うことを意味する。ECBのドラギ総裁は資金供給を拒むはずだ。
もしイタリアやフランスがユーロを離脱するとしたら、それは国民投票によってではなく、資本流出の事件で起きるだろう。残念だが、事件は本当に起きることがある。
● 米中摩擦と経済政策
NYT APRIL 10, 2017
How the Chinese Navigate Urban
Sprawl
By HELEN GAO
Bloomberg APRIL 10, 2017
China Finally Halts Outflows. Now
What?
Christopher
Balding
FT April 11, 2017
China faces a tough fight to escape
its debt trap
Martin
Wolf
ニクソン大統領の経済諮問委員会委員長であったハーバート・スタインHerbert Steinが「無限に続けられないことは、いずれ終わる。」と述べた。アメリカで活躍したドイツ人のエコノミスト、ドーンブッシュRüdiger Dornbuschは、「危機はあなたが思うよりもはるかに時間をかけて起きるが、それはあなたが思ったよりもはるかに速く起こるだろう。」と述べた。
この2つの言葉は、中国のマクロ経済を考える助けになる。中国政府は、成長率の目標を達成するために、GDPに対する債務の比率を急速に高めている。これは永久に続けることは不可能であり、いずれ終わるだろう。政府は金融システムを支配しているから、長期にわたって続けることができる。しかし、終わりを延期するほど、危機は起きる蓋然性を高め、あるいは、成長が減速する。もしくは、その両方が起きるだろう。
中国とその他の世界にとって、金融システムを分離しておくことが利益になる。中国は資本移動を自由化する前に、経済のバランスを回復し、金融システムを安定化する必要がある。西側の金融関係者はそう考えないかもしれないが、それは彼らの利益でしかない。
IMFが指摘したように、中国のGDPに対する債務の比率は、日本、タイ、スペインが金融危機の前に示した、過去のパターンとよく似ている。
中国が債務を増やし始めたのは、2008年の世界金融危機で、輸出を以前のように伸ばせないと考えたからだ。それに代わって国内投資を増やした。そのために銀行融資を増やしたのだ。アジアの水準としては珍しくないが、中国の国内貯蓄率は高かった。特に、政府と企業が貯蓄を増やした。
しかし、融資を増やすだけ高い成長率を永久に維持することはできない。政府の選択肢は、1.融資の増大を止める。政府が投資を増やすしかないが、改革が無駄になる。2.貯蓄を国外に投資し、経常収支の黒字を出す。トランプだけでなく、それに見合う経常収支の赤字を喜んで増やす国はない。3.投資ではなく、国内消費を増やす。しかし、それには時間がかかり、むつかしい。
最後に、最も良い選択肢は、政府が債務を増やすことだ。それは将来からの借り入れである。中国も、日本のように、成熟した経済になるだろう。政府債務は最も信頼できる金融資産である。その間に、民間部門は調整を進める。
FT April 14, 2017
Trump’s foreign exchange wobbles
risk backlash at home
Sam
Fleming and Shawn Donnan in Washington
● イギリスはシリアで戦うか?
The Guardian, Monday 10 April 2017
Could Britain ever fight a just war
in Syria alongside Trump?
Paul
Mason
● フランスのポピュリズム
FT April 11, 2017
The French town that shows how
Marine Le Pen could win
Anne-Sylvaine
Chassany
・・・われわれの町は植民地化されている。イスラム教徒たちは集まって、統合化を望まない。イスラムは権力だ。われわれは抵抗しなければならない。
パリのエスタブリシュメントに見放されたと感じる、工業地帯の衰退、郊外都市や地方の衰退に苦しむ人々は、国民戦線を支持する傾向を強めている。
FT April 12, 2017
Win or lose, Le Pen could change the
political landscape
Joël
Gombin
NYT APRIL 12, 2017
France’s Neither-Nor Election
By RAPHAËL LIOGIER
FT April 13, 2017
Ideas of protectionism or ditching
the euro stalk the French vote
Jean
Tirole
大統領選挙が近づくにつれて、フランス政治に2つのアイデアが広まっている。ユーロ圏離脱と、債務の組換え、である。
フランス市民の10人の内7人はユーロを維持したいと思うが、多くの者はユーロ離脱を唱える候補者か、あるいは、自分たちが求めるような制度改革を実行しなければ離脱を考慮する候補者に投票する、と言う。
ユーロ圏の欠陥は明らかだ。1.ヨーロッパ共通予算がなく、好景気の経済と不況に苦しむ経済との間で財政移転する、世界の他の連邦制では行われているような、自動的再分配が欠けている。2.労働者と貯蓄の移動性が低く、各国のショックを安定化できない。3.不安定な世界経済において、競争力、国際収支、失業という広い分野で、ユーロ圏全体にわたって主権を収れんさせることは、各国の政策に大きな差があるために同調性が失われ、非常に難しい。
ユーロを離脱することは、フランスに深刻な結果をもたらす。広範なカオスに向かうリスクがある。
ユーロ圏を離脱し、予算赤字や債務に関する制限を失うなら、また債務の支払い延期に対する制止も少なくなれば、フランスの信用は大きく低下する。政府も、企業も、より高い金利を支払い、家計は、通貨価値の低下と輸入財の価格上昇に苦しむ。
フランに戻ることは、政府債務のデフォルトになるだろう。国家、銀行、企業の債務はすべてユーロ建であるから、収入がより安くなるフランであれば、返済できないだろう。国家破産すれば、フランスは国際金融から締め出され、報復を受け、数年は外国からの借り入れができなくなる。
EUがなければ、フランスは国際交渉における発言力を失う。金融規制、税制、自由貿易協定、デジタルや環境の政策に関して。
保護主義は、フランス市民を救う「魔法の杖」ではない。貿易相手国から報復を受け、国際的な特化の利益を失い、競争の刺激を失う。
フランスの有権者たちは変化を求めている。しかし、単に変化のためだけに投票することは危険である。特にそれが偏見や利己心によるものなら。知的な変化はドラマチックではないが、真の希望を人々にもたらすものだ。
● オルバン
FT April 11, 2017
Viktor Orban is Europe’s enemy
within
Jan-Werner
Müller
● トルコ国民投票
FT April 12, 2017
The stakes are huge in Turkey’s
referendum
David
Gardner
YaleGlobal, Thursday, April 13, 2017
Turkish Referendum Could Cement
Power for Erdoğan and Russia
Dilip
Hiro
● 成長経済学の否定
The Guardian, Wednesday 12 April
2017
Finally, a breakthrough alternative
to growth economics – the doughnut
George
Monbiot
● 連銀を政治化するな
NYT APRIL 12, 2017
Don’t Politicize the Federal Reserve
By
ROBERT E. RUBIN
ビル・クリントン大統領がアラン・グリーンスパンを連銀の議長に再指名するとき、私はその部屋にいた。グリーンスパンは生涯ずっと共和党員で、ロナルド・レーガンに指名された議長だった。政治顧問にはクリントンに、政権の同盟相手を指名すべきだ、という者もいたが、それは全く相手にされなかった。大統領の選択は、正統でも、政治でも、イデオロギーでもなく、この国に奉仕する能力によって決められた。オバマ大統領はジョージ・W・ブッシュに指名されたベン・バーナンキを再指名した。レーガン大統領はジミー・カーターによって指名されたポール・ボルカーを再指名した。
議会や大統領からの金融政策の独立性は、法によって定められたものではないし、常に侵されなかったわけではない。しかし、理事たちによって連銀が独立に運営されていることは、この国の経済にとって、人々の厚生にとって、金融政策の信頼性にとって、非常に重要である。
しかし、その独立性は重大な試練に直面する。先週、理事の1人Daniel
K. Tarulloが辞めた。これで理事会には2人の空席ができた。連銀の議長と副議長Janet Yellen and Stanley
Fischerは、来年、任期が終了すれば辞めるかもしれない。トランプ大統領は、すでに、イエレンを再指名しないだろう、と述べた。彼女は共和党員ではないから、と。
トランプは、来年中に、7人の理事の内、5人を指名することができる。彼らが連銀の2つの使命(物価の安定と完全雇用)ではなく、ホワイトハウスの喜ぶ政策を実行することを、私は恐れる。
また連銀は、政権が非現実的な成長目標を実現できないときに、スケープゴートにされるかもしれない。
私が財務長官であったころ、グリーンスパン議長と、サマーズ財務次官と一緒に、週に1度は朝食をとった。私たちは何でも秘密にせず、アメリカ経済の見通しや政治ゴシップまで、話し合った。しかし、サマーズも私も、決して1度も、私的な話であろうと、金融政策には触れなかった。クリントン政権の誰も、そのようなことをしなかった。
それによって連銀議長はホワイトハウスの介入がありえないと信じ、連銀と財務省との緊密な協力を実施できる信頼関係となったのだ。メキシコやアジアの通貨危機がそうだった。
連銀理事の指名が政治によって歪められてはならない。
● すべての爆弾の母
NYT APRIL 13, 2017
U.S. Drops ‘Mother of All Bombs’ on
ISIS Caves in Afghanistan
By
HELENE COOPER
FP APRIL 13, 2017
United States Drops ‘Mother of All
Bombs’ On ISIS in Afghanistan
BY
EMILY TAMKIN, PAUL MCLEARY
アフガニスタン東部におけるイスラム国のトンネルを破壊するために、初めてMOABが使用された。それは「すべての爆弾の母」と呼ばれる、核兵器を除けば、最大規模の破壊力を持つ爆弾the Massive Ordnance Air
Blast bomb, or MOAB, a 21,000-pound munition packingだ。
● ロボット
FT April 14, 2017
Society ‘flying blind’ over robots’
impact on jobs
Richard
Waters in San Francisco
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The Economist April 1st 2017
Britain and the European Union: The negotiator
America’s check and balance: Constrained?
Firming in the Midwest: Rhyme time
Chine-American economic ties: The silk-silver axis
Free exchange: Remember the mane
(コメント) Brexit交渉は非常に困難だ,と考えます.時間がかかり,次第に不利益が分かってくる.記事は,メイ首相が国民の期待を下げておくべきだ,また,柔軟な姿勢で臨み,協力できる分野を強調せよ,と忠告します.・・・しかし,メイが選んだのは総選挙による勝利でした.
トランプは,アメリカ憲法が用意したチェック・アンド・バランスのしくみによって政策を阻まれています.それは成功するのでしょうか? 政治風刺が威力を発揮しています.しかし,議会が分裂を深めて,協力して政策を決める力を失い,大統領の権限強化に向かう傾向は続きます.
アメリカ中西部の農場に関して,米中貿易不均衡が長期的には均衡するまでの金融・政治不安について,さまざまな技術革新が労働者を不要にするとき,かつて馬車や馬の職場を奪った歴史から何を学ぶか,興味深く読みました.
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IPEの想像力 4/17/2017
シリアの空軍基地をトマホーク・ミサイル59基で爆撃した,というニュースは,時間がたつほどトランプ政権の欠陥を意識させます.
シリア内戦の和平会議に向けたダイナミズムに与える影響を,アメリカが十分に考慮して行われた政策であったのか,疑わしいからです.トランプは外交を,特にオバマを軽蔑し,軍事力の強化と自国の利益を優先することが,特に2国間の交渉であれば自分には何でもできる,という姿勢でした.これは,そのテレビ・ショーの一部です.
攻撃と,外交,戦略,政治的解決の関係,重要性を,トランプは学ぶのか? 学ぶ気があるか?
外交・安全保障の専門家たちは,一気に,トランプ政権の姿勢を批判し,あるいは,取り込むために擁護する論調を強めています.戦争行為と人道的理由,多くの反応,意図しない結果,3次元チェス.戦略の構築,明確な説明と多方面の外交.注意深く選択されたか?
「化学兵器の使用は許さない」,そして,「戦略的な忍耐」は終わった.それはどういう意味でしょうか? アメリカが軍事的に勝利できないことを認める.戦争を終えるための外交と政治的解決策を見いだす.その枠組みに参加しない武装勢力,イスラム国の掃討に,ロシア,イランとも協力する.
アメリカ外交が転換したのはオバマの熟慮によるものでした.中東において軍事介入は2度としない.アジアにおける平和の構築,貿易・投資協定に向けて,積極的な関与を強める,という戦略を求めたのです.
トランプは全く違うスタイルで,同じ結論を得るのかもしれない,と思いました.
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フリードマンのシリア分割・保護ゾーン設定案について,ウォルトの強い反対を読み,驚きました.
中東で起きる様々な事件とその背景に通じたフリードマンが,シリア内戦を終える道として,分割を提案したことは,私にベルリンや北朝鮮を連想させ,あるいは,ウクライナ危機とも結びつく考えとして,重要だと思いました.停戦に合意し,境界線を定め,市民の犠牲を回避し,支援できるようにする.
しかし,ウォルトは強く反対します.アメリカ国民はシリア侵攻を支持しない.中東地域にはアメリカの戦略的利益がない.ロシア,イラン,スンニ派の過激主義グループ,さまざまな武力衝突が予想される.他の同盟諸国が軍を送ることはないだろう.アメリカ兵士が犠牲になるだけで,出口が見えない介入だ.
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戦禍によって苦しむ人々.死亡した子どもの写真,メルケルとトランプは,その政策を転換しました.ドイツは難民受け入れに積極的な門戸開放を選択し,トランプは化学兵器を積んだ攻撃機の拠点をミサイル攻撃したのです.
その選択の是非は,数年,数十年を経て議論されます.
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トランプがシリア内戦を解決することはできないでしょう.しかし,北朝鮮問題は解決するかもしれない,と思いました.重要なアクターが限定されているからです.
シリア内戦と北朝鮮問題とに共通するのは,体制転換,への言及です.アサドは退陣しなければならない,と和平プロセスに前提条件を付けたことが,オバマ外交の失敗であったと言われます.トランプは,自分なら金正恩との直接交渉もできる,と主張していました.
リビアでカダフィが殺害された後,政治体制は崩壊し,地理的な分断と過激な武装組織の侵透が広まった,という結果を,西側の指導者たちは忘れないでしょう.自由貿易も,民主主義も,容易に輸出できません.
穏健派に勝利するチャンスがあるとしたら,それは和平が達成され,その後の選挙や政権構想が重要な時期になってからだ,という指摘を思い出します.アメリカ政府が,シリアの反政府軍に武器を与えても,穏健なリベラル,すなわち,医師や弁護士,学校の先生,商店主たちの市民軍が,殺戮を続けてきた聖戦主義の武装集団と戦って勝利することは望めません.
トランプ政権は,その経験を批判して,構想を描くことができます.北朝鮮の目標が体制維持と安全保障であり,アメリカの目標が非核化と国際ルールの厳守であれば,段階を踏んで両国は合意し,実現することができると思いました.
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