IPEの果樹園2017

今週のReview

4/17-22

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米中首脳会談 ・・・トランプのシリア空爆 ・・・移民流入の利益 ・・・空爆とロシア外交 ・・・米中と北朝鮮問題 ・・・グローバリゼーションと保護・補償 ・・・EUの重要さ ・・・ユーロ離脱のポピュリズム ・・・米中摩擦と経済政策 ・・・フランスのポピュリズム ・・・連銀を政治化するな

 [長いReview]

****************トランプの環境政策**************

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


 米中首脳会談

China Daily 2017-04-06

Xi-Trump meeting to clear many edgy doubts

By Yang Yi

NYT APRIL 7, 2017

U.S. Strikes on Syria Put Xi in Tough Position for Trump Meeting

By JANE PERLEZ

FP APRIL 7, 2017

What Trump Calls Strength, China Calls Stupidity

BY JAMES PALMER

China Daily 2017-04-08

Lobsters at core of a tasty China-US story

By Han Liang

FT April 10, 2017

The US must work on its economic relationship with China

Lawrence Summers

トランプ大統領と習近平主席との第1回目の首脳会談が終わった。双方の関係者は安堵したように見える。重要な外交問題で破たんは生じなかったし、互いに罵り合うこともなかった。大きな期待も、大きな不安も、どちらも実現しなかった。

残された問題は、今後の米中経済関係はどうなるのか、ということだろう。最近、中国から帰った政府関係者と主要な経済フォーラムで話し合う機会があった。そして、彼らが執着している問題が重要ではなく、2次的な問題であること、中国が強いる最も重要な課題には関心を持っていないことに、私は気が付いた。

アメリカが中国を通貨操作国として指定することは、外交における「1つの中国」を観直すのと同じくらい、生産的でない、危険なものになる可能性のある選択だ。2005年以降の時代なら重要であったかもしれないが、今の中国は人民元の価値を高く維持するために介入しているのだ。

確かに中国との貿易はアメリカに攪乱を生じているが、それは中国の注目すべき成長と生産能力の増大がもたらしたものだ。不公正な貿易政策によるのではない。

アメリカが中国からの輸入材に高い関税を課したり、中国の補助金政策を攻撃したりしても、アメリカの赤字は減らないだろう。中国の代わりに、他の国からの輸入が増える。また、中国に知的小勇健の保護を求めた場合、それが満たされるなら、さらに多くのアメリカ企業が中国に投資するだろう。AIIBにアメリカが参加しないことも、むしろアメリカの利益を損なった。

アメリカが追求すべきは、真に戦略的な、長期的観点からの経済対話、そして米中の役割を合意して、グローバルな経済協力を進めることである。

Project Syndicate APR 10, 2017

Crouching Donald, Paper Tiger

BARRY EICHENGREEN

選挙戦で、トランプは散々中国を非難してきた。「われわれの職場を奪っている。」 「何百億ドルも知的財産を盗んでいる。」 「通貨を操作している」 昨年5月には「われわれは中国がこの国をレイプし続けるのを許さない」と支持者たちにTweetした。

首脳会談でも、トランプはメルケルにしたように握手を拒むのではないか、支払請求書を示すのではないか、と懸念されていた。しかし、トランプは習に敬意を示して対応した。

なぜか? シリアへのミサイル攻撃が迫っていたからか? 中国が空母と、3000機の空軍、160万人の陸軍を持つからか?

もっともよい説明は、アメリカがあまりにも、経済的、政治的に、中国に依存しているから、というものだ。トランプほど外交に無頓着な大統領でも、対立を生じることは好まなかったのだろう。

経済的に観て、アメリカと中国は、断ち切ることができないほど緊密にグローバル・サプライ・チェーンに結び付いている。TargetWalmartなどの巨大販売店の棚には中国からの輸入品が並んでいる。Appleなどの電子機器業は、製品の組み立てに中国の労働者が働いている。単純に考えても、トランプが良く言うように、中国がアメリカに売る方が、アメリカが中国に売るよりも多いのだから、貿易戦争でこの不均衡を是正させることはアメリカ企業の多大なコストを強いる。

トランプにとってこれはビジネスだったのだ。中国に対して貿易制裁など発動したら、アメリカの株価が急落するだろう。1930年のスムート=ホーリー関税法が株価暴落や大恐慌をもたらしたのではなかった。しかし、高関税とそれに対する報復が株価をさらに下落させた。

政治的に観て、朝鮮半島の危機が高まる中で、アメリカは中国と深刻な対立を引き起こすべきではなかった。トランプは軍事的な選択肢が採りえないことを認めるしかないだろう。北朝鮮の核施設だけを狙った攻撃は成功しそうにないし、大規模な攻撃は韓国に破滅的な報復をもたらすだろう。

唯一可能な選択肢は、制裁と政治的圧力を強めて、北朝鮮を交渉のテーブルに就かせることだ。それができるのは中国だけであるから、アメリカは中国を怒らせるわけにはいかない。

オバマケア。税制改革、インフラ投資、NAFTA再交渉、など、トランプは他の分野でも、政策の実現と選挙戦との違いを認めさせられた。トランプは、オバマ政権が直面した制約と同じものを経験して、オバマと同様に、変化よりも継続の政治に向かっていく。

トランプ政権はまだ中国を通貨操作国として非難し、制裁しようと考えている。しかし、この主張は事実に反するものだ。人民元の為替レートは。現在、公平に評価されており、政府はその価値を安くするより、維持するために介入しているのだ。

アメリカはあまりにも大きく中国との協力に依存しており、対立を煽るようなリスクはとれない。中国を通貨操作国と指定することは、シリアの隔絶された基地に59発の巡航ミサイルを撃つのと同じことである。大きな音と騒ぎを引き起こすだけで、何の意味もない。

FT April 11, 2017

China tosses a trade bone to the White House

YaleGlobal, Tuesday, April 11, 2017

Trump-Xi Summit: New Beginning on a Rocky Road

Robert A. Manning


 トランプのシリア空爆

The Guardian, Friday 7 April 2017

Trump’s airstrike: a convenient U-turn from a president who can’t be trusted

Jonathan Freedland

The Guardian, Friday 7 April 2017

After the missiles, the plan: here’s how Syrian safe zones could actually work

Hamish de Bretton-Gordon

アメリカがアサド政権の化学兵器による攻撃を辞めさせるために空爆したことを歓迎する。しかし、それが即座に国連による行動を伴わなければ、全体として成果を生まないだろう。

ティラーソン国務長官はセーフ・ゾーンの設定を提案している。北西シリアにパイロット計画があり、もし成功すれば、南部のヨルダン国境やそれ以上設置されるだろう。多くのNGOsから援助物資やインフラが提供される。

空爆はシリアに希望をもたらした。しかし、2003年のイラクで犯した失敗を繰り返してはならない。国連安保理がセーフ・ゾーンを設置し、停戦を強制し、18か月以内に受け入れ可能な政治解決を得るようジュネーブ・プロセスを進めることに外交努力を最大限駆使することだ。

The Guardian, Friday 7 April 2017

His emotions have been stirred – but Trump’s bombs won’t help Syria

Simon Jenkins

アメリカ大統領は何度も中東に軍事介入したが、それはうまく行かなかった。

アメリカ大統領がテレビを観ることほど、世界にとって危険なことはない。昨夜、ドナルド・トランプは、1982年のロナルド・レーガンや2001年のジョージ・ブッシュと同様に、中東における孤立主義から介入主義に転換した。アサド体制やロシアの支援に対するプラグマティズムが180度転換し、59発のミサイルになった。

しかし感情は、たとえ正当なものでも、外交の基準としてはひどいものだし、中東ではどこよりもそうである。1982年にレーガンは2つの難民キャンプにおける大量殺戮に対して反応し、海兵隊を勝利する見込みのない内戦に派遣した。

シリアの戦争を終わらせる唯一の道は、アサドの反対派が敗北を認め、ISISはその安全地帯から追い出すことだろう。ロシアのアサド支援というプラグマティズムは、その残虐さと「無能さ」において問題があるとしても、現実政治を正しくとらえている。

300万人が犠牲となったシリアで、難民たちの救済と安全が優先されるべきだ。さらに多くの空爆がもたらすものは何もない。

The Guardian, Friday 7 April 2017

Trump's senseless Syria strikes accomplish nothing

Moustafa Bayoumi

トランプは人道的な行動を取る人物ではない。シリア内戦を、軍事的にではなく、諸勢力の交渉によって速やかに終結させることが重要だ。無思慮で、ほとんど効果のない空爆は、内戦終結に役立たない。アメリカの議会に自己満足を与えるだけだ。最悪の場合、戦争は拡大し、アメリカがそれを終結させるアイデアを持っていない。

The Guardian, Friday 7 April 2017

The Guardian view on Syria missile strikes: a world defined by Trump’s impulses

Editorial

SPIEGEL ONLINE 04/07/2017

Zig-Zagging on Syria

Trump's Foreign Policy Game

A Commentary by Roland Nelles

SPIEGEL ONLINE 04/07/2017

'Beyond a Red Line'

The World at a Crossroads in Syria

By SPIEGEL Staff

NYT APRIL 7, 2017

What Is Bashar al-Assad Thinking?

By FAYSAL ITANI

NYT APRIL 7, 2017

The Riddle of Trump’s Syria Attack

Frank Bruni

NYT APRIL 7, 2017

For 2 Advisers, Syria Strike Is a Chance to Step Out of the Shadows

By MARK LANDLER

FP APRIL 7, 2017

Syria’s Chemical Weapons Kill Chain

BY GREGORY KOBLENTZ

FP APRIL 7, 2017

Is Trump’s Bold Syria Strike a Dangerous Miscalculation?

BY KORI SCHAKE

安全保障政策に関して,オバマ大統領のかかしを攻撃するのは楽しい.彼は侵攻するより躊躇した.軍事力の限定的な利用という考え方を疑っていた.そしてアメリカの国際的な地位や敵との関係を脆弱なものにした.安全保障に関するアメリカの約束は疑われ,抑止できなくなった.

トランプ大統領は,木曜日,懲罰的な軍事攻撃を命令した.大量破壊兵器の使用に関して,規範は守られるべきだ.アメリカは,現敵的な,しかし効果的な,軍事力の行使ができる.

Shayrat空軍基地へのトマホーク・ミサイル攻撃は,よく準備された,整然とした作戦であった.アメリカは世界にその意味を説明し,地政学的なリスクは冒さなかった.ロシア人には,彼らのシリア国内での配置について,明確に相談した.ロシアとの戦争を回避するだけでなく,そのアサドへの支持に限界があることも示された.イスラエルの国防軍にも,報復のリスクに対処できるよう,事前に通知された.

他方,トランプ政権は明らかに議会に相談しなかった.

要するに,トランプ政権は,イスラム国後の体制でアサドの占める場所に関心を持たず,彼の行動を制限することにした.オバマに不安を感じていた中東の同盟諸国は安心したかもしれない.

しかし,マイナス面をもある.ロシア人はアサド体制への関与を強めるかもしれない.ティラーソンの正直さと能力は損なわれた.シリアの軍や諜報機関,あるいは,イランの関係する武装集団が,シリアやイラク,ペルシャ湾で米軍兵士を襲うかもしれない.イランは,アメリカやイスラエルに対抗するために核武装計画を再開するかもしれない.攻撃の法的根拠や議会との関係は損なわれる.多数の子どもが殺害されているのに,そのころ仕方が化学兵器であったことにだけ反対するのは,道義的に支持されないだろう.

最大のリスクは,米軍の総司令官であるトランプ大統領が,短時間で方針を転換してしまったことだ.アサド政権は,何度も何度も化学兵器を使用したし,多くの戦争犯罪を行ってきた.アルカイダの911が成功したのは,2996人を殺害したことだけでなく,その後のアメリカの国家安全保障の政策を転換させたことだ.トランプもまた,安全保障政策がハイジャックされるのを許した.

「大きな転換」だと言うだけで,空爆後のシリア政策が何であるのかはわからない.彼はまだ,その政策を決めて,説明しなければならない.

FP APRIL 7, 2017

Tom Friedman Is Calling for a Partition of Syria. Trump Should Run the Other Way.

BY STEPHEN M. WALT

New York Times のコラミストThomas Friedmanは、アメリカの外交政策を提案する。多くのアメリカ人と同様に、彼はアメリカが高貴な動機を持つと考え、必要なら、人道的な目的でアメリカ兵が犠牲になってもよい、と言う。多くのアメリカの指導者と同様に、自分の間違いを認めず、その助言が悪い結果をもたらしても、他の者を非難する。経験から学ぼうとせず、同じ間違った分析を何度でも行う。

フリードマンは、シリアを分割し、スンニ派の反政府勢力を守る保護地区を設けるべきだ、という。その地区を守るために、さまざまな国とともに、アメリカも地上軍を派遣する。つまり、アメリカ軍はシリアに侵攻するべきだ、と主張している。

しかし、ロシアやイランが歓迎しないだけでなく、米軍は中東で非常に嫌われている。スンニ派の「穏健派」を支援する試みを西側は何度も企てたが、成功しなかった。その武器は、より危険な聖戦主義者たちに流れた。

何より、アメリカ兵士の命が失われるかもしれない決断を、正当化できるような重大なアメリカの利益が中東にはない。シリア侵攻はアメリカ国民に支持されない。シリアからの難民が減って、ヨーロッパでポピュリストの政治的反動が抑えられる、という<理由>でシリア内戦に介入するのか?

化学兵器の使用に「レッド・ライン」を設けるのは無意味だ,と以前も指摘した。アサド政権は化学兵器を使わずに多くの住民,子どもたちを殺戮してきたし、今後も殺し続けるだろう。軍事介入の是非とは関係ない。

保護地区を設定するため、NATO、アラブ連盟など、アメリカは他国の軍事力を集めることができる、という彼の前提が間違っている。アフガニスタンでも、イラクでも、多くの米兵が死体となって帰還している。しかも、スンニ派の保護は成功するか? どこに作るのか? スンニ派の聖戦主義グループは歓迎するか? 罪のないアラウィート派の住民を報復から守らないのか? 米軍が占領した地区で、長期的に誰を信用するか、わかるのか? 出口戦略はどこにもない。

これは米軍がシリアに侵攻し、中東における戦争状態を悪化させる新しい軍事介入の失敗を積み重ねるものだ。シリア内戦を終わらせる良い選択肢はなく、それゆえ悲劇が続いている。

FP APRIL 7, 2017

3 Questions Trump Must Answer After His Syria Strike

BY PETER FEAVER

FP APRIL 7, 2017

What’s Next After the Syria Strike — Preventing a Wider Conflagration

BY BRIAN KATULIS

Bloomberg APRIL 7, 2017

Thank Trump for Enforcing Obama's 'Red Line' in Syria

Eli Lake

NYT APRIL 7, 2017

Trump Must Get Congress’s O.K. on Syria

By BRUCE ACKERMAN

NYT APRIL 7, 2017

Trump Was Right to Strike Syria

By NICHOLAS KRISTOF

FT April 8, 2017

Donald Trump’s welcome show of US global leadership

Nicholas Burns

何より、その決定の速さに驚いた。通常は、これほど困難で、危険な環境での軍事行動について、さまざまなトレード・オフの評価にかなりの時間をかける。

トランプ大統領の決断は、中東のさまざまな国家や武装集団にメッセージとなった。また、中国の習近平主席や、北朝鮮に対するメッセージでもあった。

しかし、アメリカはシリア内戦を終わらせるために何をするのか、詳しい戦略が示されるべきだ。グローバルな解決すべき課題の中でも、最も困難なものの1つである。オバマ大統領は、行動のリスクの方が何もしないリスクよりもはるかに大きいと考えた。

トルコはアメリカに、シリアとの国境に沿って避難地区と飛行禁止空域を設定するように強く求めている。その場合、米軍は離脱することが難しく、ロシアとも衝突する危険がある。

あるいは、アメリカは、アサド政権、ロシア、イランと、反政府勢力との和平交渉に、外交的な関与を続けることになる。トランプにその忍耐があるのか?

もっとも直接にシリア難民の窮状を救う方法は、アメリカが多くの難民を受け入れることだ。

空爆への称賛が、大統領の間違った自信を高めることなく、中東や、その他の地雷だらけの世界において、彼が注意深い行動を取ることを望む。

NYT APRIL 8, 2017

A Strike in Syria Restores Our Credibility in the World

By TOM COTTON

NYT APRIL 8, 2017

59 Missiles Don’t Equal a Foreign Policy

By JAMES P. RUBIN

トランプ大統領とその外交チームのパフォーマンスは、信頼を強めるものではなかった。逆に、この政権の危険なほどの能力不足と一貫性の無さを示している。

この政権は、「アメリカ・ファースト」というナショナリスティックなスローガン以上に、外交政策を組み立て、あるいは、そもそも定式化することを拒み、その能力がない。

NYT APRIL 8, 2017

All the President’s Generals

Ross Douthat

Bloomberg APRIL 8, 2017

Making the Syria Strikes Count

Editorial Board

The Guardian, Sunday 9 April 2017

Why are liberals now cheerleading a warmongering Trump?

Owen Jones

FT April 9, 2017

A glimpse inside the Trump inner circle

Gary Silverman

FP APRIL 9, 2017

Trump’s Humanitarian Intervention in Syria Is Just Getting Started

BY MICAH ZENKO

FT April 10, 2017

How the Washington blob swallowed Donald Trump

Gideon Rachman

リベラル派の新聞や、タカ派の上院議員、同盟諸国の大使が、こぞってトランプのシリア空爆を称賛した。その背景には、世界の警察官が戻ってきた、という期待がある。

しかし、外交専門家たちが祝福するのは早すぎる。伝統的な解釈でトランプ大統領の行動を理解するのは間違っている。トランプの決定は直情的であり、国内の自分の支持率をっ見ているだけであり、中東には明らかに危険なエスカレーションが起きるが、彼はそれを理解しない。

Project Syndicate APR 10, 2017

Trump’s Middle East Supporters

BARAK BARFI

NYT APRIL 10, 2017

War as Political Weapon

Charles M. Blow

NYT APRIL 10, 2017

The Long Road to Trump’s War

By SAMUEL MOYN and STEPHEN WERTHEIM

FP APRIL 10, 2017

The Trump Doctrine Was Written By CNN

BY MAX BOOT

FT April 11, 2017

The strike on Syria must herald a new Trump doctrine

Anne-Marie Slaughter

シリア空爆を一貫した外交政策にする可能な3つの論理があると思う。

1.法には強制力が必要だ。そのためには安全保障理事会の支持が要る。もしトランプが感じたことを一方的に行動するなら、彼はロシア、中国、イランにも行動するライセンスを与えたことになる。

2.「アメリカ・ファースト」を、「アメリカ人の生活・ファースト」に再定義する。それはすべての国が国民に負う義務だ。トランプは通商条約に注目してきた。それはグローバリゼーションから利益を得た発展途上諸国の多数の人々より、それによって損失を受けたアメリカ人の生活を重視する、という主張だ。

しかし、他国の住民もアメリカの財を消費する。他国の安価な財はアメリカ人の生活を豊かにする。「住民を守る責任」も、同じ原理から生じる。ジェノサイド、人道に反する罪、エスニック・クレンジング、組織的戦争犯罪にかかわる政府は、国際社会からの介入を受ける。

3.シンプルな原理として、「言葉を信じる。」

アメリカは普遍的な価値のためにも行動する。空爆が軍事力行使の道義性を明確にする瞬間を与えた。それを宣言するためには、戦略を持て。

Project Syndicate APR 11, 2017

Trump the War President?

IAN BURUMA

Project Syndicate APR 11, 2017

Trump’s Tomahawks Won’t Help

GREGORY A. MANIATIS

NYT APRIL 11, 2017

Is Russia Testing Trump?

By MICHAEL J. MORELL and EVELYN FARKAS

FT April 12, 2017

Syria strikes: What Assad can learn from ‘The Godfather’

Roula Khalaf

Project Syndicate APR 12, 2017 5

A Game Changer for Syria?

OMAR ASHOUR

NYT APRIL 12, 2017

Why Is Trump Fighting ISIS in Syria?

Thomas L. Friedman


 移民流入の利益

FT April 7, 2017

Gut feelings can work in favour of immigrants

Tim Harford

Project Syndicate APR 7, 2017

The Migrant Boon

IAN GOLDIN and JONATHAN WOETZEL

移民の流入は、経済的な負担であるというのが間違っているだけでなく、その国にとっての重要な経済的機会なのである。そのために諸国は思慮深い、長期のアプローチをとるべきだ。移民に関する新しい調査がthe McKinsey Global Institute (MGI)から出た。

2015年に、移民が世界GDPに追加した額はおよそ67000億ドルであった。彼らが出身故君にとどまった場合より3兆ドル多い。移民の生産性は大幅に改善する。MGIの推定では、アメリカ約2兆ドル、ドイツ5500億ドル、英連邦3900億ドル、オーストラリア3300億ドル、カナダ3200億ドルのGDPが増加した。

移民たちはさらに革新や企業家精神で貢献している。高齢化する社会であれば、労働力の増大に貢献し、高齢者の依存比率を下げ、税収を増やしている。多くの者が思っていることとは逆に、移民は自国民から職を奪うのではない。賃金もほとんど下がっていない。

しかし研究はさらに、ヨーロッパ北米の、同じ職種、同様の教育歴でも、ネイティブ労働者に比べて移民の収入が20-30%少ない、と示唆している。二重の労働市場になっているのだ。この不平等は経済学を超えた問題を意味している。移民はさまざまな障害に直面する。

もっと移民を積極的に統合し、彼らの潜在的能力を発揮させる必要がある。そのことに関心と資源を向けるべきだ。それは移民たちだけでなく、受入国に最大の利益をもたらす。現代の緊密に結びついた世界で、移民は不可避である。問題は彼らを、孤立した、不満を抱く、依存する人々にするのか、成長とダイナミズムの強力なエンジンにするのか、である。

NYT APRIL 10, 2017

After the Missiles, Remember the Syrian Refugees

By JON FINER and BECCA HELLER


 トランプ政権

NYT APRIL 7, 2017

The Coming Incompetence Crisis

David Brooks

FT April 12, 2017

Why Donald Trump still needs Stephen Bannon

Edward Luce

Project Syndicate APR 12, 2017 5

What I Tell My Non-American Friends

JOSEPH S. NYE

私は外国の友人たちに質問される。あなたの国はどうなっているのか? と。

12016年の大統領選挙はポピュリズムの勝利ではない。トランプは多数を取れなかった。選挙人数で上回っただけだ。それは、前回、民主党に入れた3つの州が、トランプの共和党に入れたからだ。アメリカ生まれの白人貧困層がいかに苦しんでいるか、政治家たちは理解していなかった。製造業の衰退が急激に職場を失わせた。

2.トランプのコミュニケーション術は本物だ。彼はリアリティーテレビのベテラン司会者で、視聴者の関心を得る術を心得ている。大衆は、慎重な真実ではなく、極端な表現を好むのだ。

3.トランプは、多数票を得られなかったが、穏健派や中道の政策を求めることはないだろう。

4.アメリカの政治制度は独裁を許さない。それは建国の父たちが目指したことだ。政治権力はチェック・アンド・バランスのシステムによって制約される。

最後に、アメリカの外交政策がどうなるか、本当にわからない。しかし、トランプよりも、中国の台頭の方が重要だろう。

FP APRIL 12, 2017

The Trump Administration Is Heading for a 100-Day Train Wreck

BY KORI SCHAKE

FT April 14, 2017

The astonishing reinvention of Donald Trump

Edward Luce


 空爆とロシア外交

NYT APRIL 7, 2017

Trump Raises the Stakes for Russia and Iran

By DENNIS B. ROSSa former senior Middle East adviser to President Obama

トランプ大統領は、60基近いトマホーク・ミサイルでシリア軍の基地を攻撃する決断をした。今週初め、そこからシリア空軍が化学兵器をKhan Sheikhounの町に落とすため飛び立ったからだ。アメリカの反応は、国際社会に加えて、アサドとその同盟者たちに明確なメッセージとなるだろう。化学兵器の使用は処罰される。

それはまた、イランと北朝鮮に向けたものでもあった。アメリカ政府の言葉を真剣に聞くべきだ、という意味で。また、中国の習近平主席と首脳会談が行われ、北朝鮮問題が話し合われたことも重要だ。この問題では最も重要なパートナーである。

中東におけるわれわれの友好諸国、アラブ諸国やイスラエルも聞いたはずだ。彼らは、オバマ政権が中東における関与を減らし、イランを解決策の一部とみなしていることを懸念していた。この攻撃で、彼らもアメリカの言葉を真剣に聞き、要求に応えるだろう。

敵であれ友であれ、この行動が成功し、シリア、イラン、ロシアの行動を変えるなら、重要な衝撃となる。アサドが次の化学兵器を使用するか、アメリカを試すときはすぐに来るだろう。もし使用すれば、アサドはさらに大きく空軍を失う。それは反政府勢力に対する優位を失うことだ。

アサドは化学兵器を使用せず、住民を恐れさせるために樽爆弾を使用するかもしれない。しかし、それによって支配領域を拡大することはないだろう。アサドは地上軍を展開する限界に達しており、ますますイランが派遣するシーア派の民兵に依存することになる。イランは、アメリカの空爆に対してアサドへの関与を高めるのか?

ティラーソン国務長官は、アサドの将来は「シリア国民が決めるだろう」と述べた。

イランは、アメリカに高い代償を支払わせる、他の選択肢を持っている。シリアかイラクで、シーア派民兵にアメリカ軍を襲撃させることだ。しかし、よく考えるべきだ。それは、イランやシーア派イラクに対する直接の脅威であるイスラム国を壊滅するアメリカの努力を邪魔することになるからだ。

ロシアはどうか? シリアにより多くの軍を送ってアメリカの行動を加速させることもできる。あるいは、アサドに対する保護を与えないと明確にすることもできる。ロシアは空爆を非難したが、それはアメリカによる軍事力の行使が重要でないと思わせるためだ。

プーチンはすでにシリアで多くを得た。アサド体制を維持した。空軍基地を得た。海軍の施設を拡張した。ロシアはこうした成果を確実にする時期であり、一層のコストを意味する紛争介入は望まない。

これらのアクターがアメリカ政府を試すかどうか、すぐにはわからない。しかし、大統領と政権スタッフは事態の推移を静観してはならない。ロシア、イラン、シリアに、民間レベルで、われわれを試すな、火遊びをするな、と伝えるべきだ。特にロシアはメッセージを受け取るべきだ。アサドに対する反政府勢力は消滅しない。ロシアがシリアにとどまるなら、そのコストは増すだろう。アメリカはロシアと協力して、ジュネーブ和平プロセスの諸原則を実行する用意がある、と。

外交にはしばしば軍事行動による強制の要素が必要になる。ロシアは、彼らが支持した国連安保理決議22542268を守る動機になったかもしれない。すなわち、敵対行為や占領を終わらせ、人道支援のアクセスを保証し、18か月間の政治的な政権移行を行う。

アメリカの空爆はシリアのダイナムズムを変え、新しい可能性を開いた。あるいは、この人道的な破滅をもたらしてきた内戦が、すべての関与する側が消耗するまで終わることのない戦争に向けて、さらに一歩進めたのかもしれない。

FP APRIL 7, 2017

59 Ways to Kill a Russian Reset

BY AMIE FERRIS-ROTMAN

FP APRIL 7, 2017

World Reacts to Trump’s Syria Strike, And The Kremlin Sends Reinforcements

BY PAUL MCLEARY, COLUM LYNCH

Bloomberg APRIL 7, 2017

Trump Squeezes Putin in Syria. Don't Assume That's Good.

Leonid Bershidsky

空爆は、クレムリンがトランプをコントロールする、妥協的な態度を取らせる、という話を終わらせた。しかし、ロシア軍は空爆の情報を得て退去し、シリア軍もそれを知った。これには米ロの関係を隠す陰謀という話が残る。

ロシアは空軍基地を守らなかった。ロシア兵の犠牲者を出さず。アメリカの攻撃に対する完全な防御もシリアに提供できなかった。ロシアの防空システムは不完全だ。ロシア外務省の反応として、新しいものは、2015年のアメリカ軍に対する飛行の安全を合意した文書に停止を通告したことだ。これによってアメリカの戦闘機は直接に攻撃されるだろう。シリア軍にはロシアが対空ミサイルを供給している。

プーチンはアメリカとの核ミサイル戦争を望まないだろう。しかし、メンツを維持する方法が見つからないのだろう。プーチンのすべての冒険が信用を失う、と批判派は述べた。すでにロシアの弱さに気づいた市場で、ルーブルの価値は下落した。

プーチンがシリアに介入した目的は、中東におけるロシアの武器購入を望む潜在的な買い手に実戦で優秀さを示すことと、ロシアを危機における信頼できるパートナーにすることだった。もしロシアの防空システムが機能しないままであれば、そして、ロシアがアサドの報復を助けないのであれば、その目的は失われるだろう。

クリミアを2014年に併合して以来、プーチンは、退くことがない、というイメージを確立しようとした。今、トランプは彼に、手を引くように求めている。トランプも、ロシアの操り人形である、という非難を再び浴びないために、ここで手を引くつもりはない。冷戦終結以来、今、米ロの直接的な軍事衝突の危険が最も高まっている。

国内政治優先で、しかも強硬姿勢が自慢の2人の指導者たちが、非常に危険な組み合わせになった。最大の利益を得るのは、消滅する危機に瀕したイスラム国である。ロシア軍の脅威を意識して、米軍のIS空爆はむつかしくなる。また、米軍のシリア空爆の後、ISがその基地周辺を襲撃した、という情報もある。

トランプがアサドを攻撃すれば、ISを攻撃できないだろう。それはアメリカ国内の反対派と、いくらか、プーチンを困惑させる。どちらもアメリカの利益にならない。

The Guardian, Monday 10 April 2017

Why Trump’s missiles are shaking Putin’s home front

Mary Dejevsky

FT April 10, 2017

Russia needs American help to seal the deal in Syria

Dmitri Trenin

Bloomberg APRIL 10, 2017

5 Things We're About to Learn About Syria, Putin and Trump

Hal Brands

FP APRIL 11, 2017

Israel Isn’t a Fan of the Trump Doctrine

BY AMOS HAREL

FP APRIL 11, 2017

What to Expect When You’re Expecting (Rex Tillerson in Moscow)

BY EMILY TAMKIN

FP APRIL 11, 2017

Europe and U.S. Move to Fight Russian Hybrid Warfare

BY REID STANDISH, EMILY TAMKIN

FP APRIL 11, 2017

An Optimist’s Guide to Tillerson’s Moscow Visit

BY MICHAEL CARPENTER

FP APRIL 12, 2017

5 Conservative Principles for Dealing With Russia

BY WILLIAM TOBEY

FP APRIL 13, 2017

Rex Tillerson’s Kinda-Sorta Detente in Moscow

BY AMIE FERRIS-ROTMAN

Project Syndicate APR 13, 2017

Trump Stumbles into Putin’s Syrian Backyard

NINA L. KHRUSHCHEVA

FP APRIL 13, 2017

Here’s How Trump Could Forge a Coherent Russia Strategy

BY JACQUELINE RAMOS, JULIE SMITH


(後半へ続く)