前半から続く)


 トランプと北朝鮮

The Guardian, Monday 3 April 2017

Donald Trump’s shock tactics on North Korea may just work

Ian Birrell

Song Byeokは、かつて独裁者のために政治プロパガンダを描いた。しかし飢饉が襲うと、他の家族と同じように彼らも飢えた。だから脱出を試みた。中国に向けて川を渡るとき、彼の父は溺死した。彼は兵士に助けてくれと願った。しかし彼は強制労働収容所に送られた。そこでは飢餓と拷問があまりにも激しく、死んでいく囚人たちをうらやましいと思った。「私はただ早く終わらせたかった」と彼は言った。

「もし隣の囚人が餓死しているのを観ても、次の食事まで看守にそのことを言わないだろう。その分の食事を得られるから。」

収容所に死体があふれてしまったため、それを減らそうと彼も死ぬために帰宅させられた。しかし彼は生き延び、世界で最も閉ざされた監獄国家の悪夢を逃れた。「北朝鮮における市民の生命は、この国のペットの命ほども評価されない。」 韓国のソウルで彼は語った。

彼の話は悲劇であるが、それは幸運な脱北者たちの典型的な話に過ぎない。

残念ながら、ぞっとするような人権問題を報告された国は多くある。しかし、他のいかなる国も、推定で12万人を強制収容所に閉じ込め、犯罪者を3代に渡って処罰することはない。北朝鮮はしばしばジョークになり、異常な短髪の狂人に支配された狂気の場所とみなされている。しかし、2500万人の国民が、一握りの野蛮な、腐敗した支配者たちに窒息させられている。彼らはその利益と保護された生活スタイルを維持するために、合理的に考えているのだ。

だから私は、こ長期的な苦痛に対して、解決策を要求するトランプに賛成する。「中国は北朝鮮に大きな影響力を持っている。」と彼は述べた。「もし中国が北朝鮮を解決しないなら、われわれがやる。」

制裁も、援助も、関与の試みも、北朝鮮を変えることに失敗した。もし世界が戦争を回避し、2500万人の人々を解放するとしたら、それは食料、エネルギー、兵器を供給している中国が行動することだ。中国は多数の難民が流入することを望まないし、繁栄し、民主的な、アメリカに親しい、そして中国の影響拡大に敵対する、韓国の指導する統一を望まない。

トランプの仕事は、この悪辣な国家を支援しないことが国益だとみなすほど、中国に強い圧力をかけることだ。他の世界もこの血塗られた指導者たちを黙認してはならない。異端の独裁者を阻止するには、異端の大統領がふさわしい。

The Guardian, Monday 3 April 2017

The Guardian view on Trump and North Korea: the risks are growing

Editorial

FT April 4, 2017

Trump and Xi have joint responsibility in N Korea

MICHAEL MANDELBAUM

北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの開発は,かつて米ソが陥った困難な状況に似ている.

2次世界大戦後,ソ連は通常兵器における優位を持つと信じられていた.このとき西ヨーロッパをソ連が制圧することを抑止するのは,アメリカの核兵器の独占であった.

しかし1957年にスプートニクが打ち上げられ,ソ連はアメリカ本土を直接に攻撃する能力を得るかもしれないことが明らかになった.アメリカが西ヨーロッパを防衛することは,それによってアメリカ本土に報復される危険を意味する.アメリカによる防衛を信頼できるか,という問題が生じた.

アメリカとその同盟諸国には4つの選択肢があった.先制攻撃,防衛力向上,核兵器の拡散,あるいは,抑止である.

先制攻撃は第3次世界大戦を意味した.ミサイル攻撃への防衛は,ソ連が核ミサイルの保有量を増やすことで不確実になる.ニクソン大統領はソ連とABM(弾道弾迎撃ミサイル制限)協定を結んだ.これは相互のミサイル攻撃を防ぐことを制限することで,攻撃を思いとどまらせた.

3の選択肢,核の第3国への拡散は,ヨーロッパ自身が核武装するものだ.ド・ゴールはこれを利用して核開発を進めた.このとき,ドイツが同じことをするのは歴史的経験から難しかった.

ヨーロッパは,アメリカの核抑止に依存する状態を続け,アメリカは西ヨーロッパを必ず防衛すると繰り返し約束した.そしてドイツの最前線にアメリカの部隊を駐留させ,ソ連が攻撃した場合にアメリカが全面戦争に参加する保証としたのだ.

60年後に,朝鮮半島で同じ危機が生じている.北朝鮮は弾道ミサイルの開発を続けており,同様に,アメリカは本土に攻撃を受ける危険を冒してまでアジアの同盟諸国を防衛するのか? と問われている.他方で,その抑止戦略は,アメリカがその独裁者と核の均衡によって共存する道を選択することを意味し,難しいように思われた.

もしアジアの同盟諸国が核武装しても,核の均衡が維持できるとは限らない.韓国,台湾,日本は,すぐにも核武装できる条件を持つ.アメリカはABM条約を離脱して迎撃力を得ようとしている.しかし複数の国が核武装して,自国への核攻撃に必ず報復できる,という抑止の前提を,そのすべての国が信じるのは難しい.その場合,先制攻撃の動機が強まる.

ヨーロッパと異なり,東アジアには4つの選択肢が有効ではない.しかし,幸い,それ以外の選択肢を持つ.中国が,食糧,燃料の供給で,北朝鮮の生命線を握っていることだ.中国はこれまで,北朝鮮が核開発するのを止めるほど強い姿勢を示さなかった.それは,北朝鮮の崩壊と難民流入(そして親米の統一朝鮮)を恐れたからだ.

中国が行動しなければ,北朝鮮は止められない.だからトランプは習に,北朝鮮や他の(中国と友好的でない)アジア諸国が核武装する世界は,中国にとっても非常に危険な世界であることを認めさせることだ.

Project Syndicate APR 4, 2017

Will Nuclear History Repeat Itself in Korea?

JOSCHKA FISCHER

Project Syndicate APR 4, 2017

Storm Clouds Over Korea

The Guardian, Wednesday 5 April 2017

Will Trump unleash a slow-motion Cuban missile crisis?

Robert Anderson and Martin J Sherwin


 ソーシャルメディアの権力

FT April 3, 2017

Mark Zuckerberg, Donald Trump and the politics of power

John Thornhill


 AI問題

Project Syndicate APR 3, 2017

Artificial Intelligence and Artificial Problems

J. BRADFORD DELONG


 工業力のグローバル化

VOX 03 April 2017

The spread of modern manufacturing to the poor periphery

Kevin O'Rourke, Jeffrey Williamson


 トランプの貿易政策論

NYT APRIL 3, 2017

Trump Is Wimping Out on Trade

Paul Krugman

過去の貿易を観たり、現在の貿易が生産と一体化していることを観なかったり、トランプの貿易理解は間違っている。Trumptradeは、深いところで、Trumpcareと同じである。激突し、炎上するだろう。大ボラを吹いて、前任者たちを罵倒したが、彼なら、そして彼だけには、もっと優れたことができると確信していた。支持者たちもそれを信じた。

しかし、アメリカを統治するのは、リアリティーTVと同じではない。数週間前、トランプは「誰も医療保険制度がこんなに複雑だとは知らなかった」と嘆いた。通商政策でも同じことだ。

NYT APRIL 3, 2017

Trade After the Trans-Pacific Partnership

By HERALDO MUÑOZ

Bloomberg APRIL 3, 2017

What's Really Driving the Trade Deficit With China

Michael Pettis

貿易財の価格競争力で決まる不均衡ではなく,はるかに大規模な資本取引が不均衡を決めている.ファンドマネージャーたちの投資の方向と規模が重要だ.

その不均衡は自動的な調整によっても生じることがある.金融市場におけるその調整を妨げるものに注目するべきだ.貿易不均衡に対する懲罰行為は間違いだ.

FT April 4, 2017

Donald Trump will make trade fair again

Wilbur Ross

Project Syndicate APR 4, 2017

The Truth About NAFTA

LAURA TYSON

FT April 6, 2017

As Donald Trump blusters on trade, Brussels leads


 ドイツの核武装

FP APRIL 3, 2017

If Germany Goes Nuclear, Blame Trump Before Putin

BY MAXIMILIAN TERHALLE

トランプの発言はNATOや核の傘に対する信頼を損なった。ドイツは深刻な論争を始めることになる。アメリカの安全保障に頼るのか? 独自に核の抑止力を得るのか? それを歴史の教訓を顧みない冒険主義的な蛮勇であると非難するのは単純すぎる。この論争はいい加減な空想から生じているのではなく、ヨーロッパ大陸の核心にある潜在的な、戦略的真空によって生じているからだ。

核兵器は、金のかかる、論争を呼ぶ、潜在的に他国の核武装を刺激する、危険な兵器である。ドイツが核武装に突進することはない。しかし、もしアメリカの核の傘はなく、ロシアの核がベルリンを向いているなら、他の選択肢はないだろう。


 ベーシックインカム

FT April 4, 2017

Universal basic services are more important than income

Diane Coyle

NYT APRIL 5, 2017

The American Dream Meets a Central American Nightmare

By ANTHONY W. FONTES


 小国と国際通貨制度

VOX 04 April 2017

The conduct of monetary policy in a diverse monetary union

Enrico Perotti

Bloomberg APRIL 4, 2017

New Currency Peg Is No Panacea for Iceland

Mohamed A. El-Erian

アイスランドは、既存の国際通貨体制の下で「小国開放経済」とその通貨が経験する困難な状況を示している。その回復はすばらしい。多くの旅行者を集め、外国債権者たちに債権の大幅削減を合意させ、資本規制も解除した。

Benedikt Johannesson財務大臣は、変動相場制からユーロ・ドルの二重ペッグ制へ移行する改革を示唆した。確かに為替レートが大きな浮動性を示すことは個々の企業や投資家を苦しめる。しかし、それは「異常な不確実性」ン位満ちた世界情勢の中では避けられない。固定レート制を維持する政策には、たとえドルとユーロを用いても、特に4つの問題がある。

1.アイスランドの貿易相手は多様化していく。主要通貨を1つや2つに絞って固定すれば、他の通貨との関係で問題は続く。

2.固定する通貨それ自体が浮動性の源泉を抱えている。

3.通貨価値を固定しても、他通貨との関係は不安定化する。

4.為替レートの固定化は他の政策を制約し、投機的な資本移動にもつながる。

アイスランドの問題はその為替・通貨制度を変えることでは解決できない。主要通貨がQEを離脱する過程で貿易と金融をめぐるグローバルな不確実さの問題だ。むしろ国内金融システムの改革、自国の金融市場の深化、他の小国と協議を重ねて、大国の金融政策やIMFの支配する国際通貨システムについて対策と改善策を求めることだ。

FT April 5, 2017

US retreat from global financial system lets China in

Henny Sender

アメリカを中心とした金融市場とその緊急融資のメカニズムが変化し、次第に、世界の金融機関や企業はアメリカの離脱を恐れる時期に向かうかもしれない。中国はすでに、資本規制を緩和し、世界の多くの中央銀行とスワップ網を合意している。

Bloomberg APRIL 5, 2017

Small European Currencies Are Just a Headache

Leonid Bershidsky


 カリフォルニア独立

NYT APRIL 4, 2017

It’s O.K., California. Breaking Up Isn’t Hard to Do.

By STEVEN GREENHUT

イギリスのEU離脱を指導した2人がカリフォルニアに来た。彼らは国家を細かく分割する新しい計画を示した。Arron Banksは、カリフォルニアが世界第6位の経済規模を持ち、うまく管理されていない、として、分割がカリフォルニアの解決不可能な問題を解く最善の方法だ、と語った。それは彼1人の意見ではない。

カリフォルニアの分離独立“Calexit”という言葉が独立派にも登場するが、誤解を生む。左派系の活動家が運動を進めている。彼らはトランプの勝利にショックを受けた民主党の支配的なカリフォルニア州で独立が支持を拡大した。

カリフォルニアが州になった1850年以来、住民たちの間で多くの分離・独立案が出された。

絵に描いた餅だと提案をバカにする者もいる。しかし国家の境界線はずっとあいまいであったし、非論理的なものでさえあった。人々はBrexitも不可能だと考えていた。しかし、国家の境界線は神聖なものではない。境界線を調整することで政治的分断状態を改善できるときがある。

Bloomberg APRIL 5, 2017

The Scottish Antidote to Trumpism

Leonid Bershidsky

NYT APRIL 6, 2017

Will Mexico Get Half of Its Territory Back?

By ENRIQUE KRAUZE


 鉄道民営化

NYT APRIL 4, 2017

Why Britain’s Trains Don’t Run on Time: Capitalism

By OWEN JONES


 空爆後のシリア

FP APRIL 4, 2017

Chemical Weapons Attack Ramps Up Washington Debate on Syria

BY ROBBIE GRAMER

NYT APRIL 5, 2017

President Trump’s Real-World Syria Lesson

Thomas L. Friedman

新大統領は重大な問題が起きるたびにオバマケアと同じような経験をするだろう。優れた、簡単にできる解決策があるなら、それはすでに見いだされたはずであり、あまり良くない解決策でも、彼の共和党は財源を出さず、国民は忍耐心を欠く。

火曜日、悲劇的なことに、彼はこのことをシリアの市民に対する毒ガスの利用という形で知った。

トランプのISIS攻略作戦と中東外交は簡単だった。より多くの爆撃、より多くの特殊部隊で、オバマよりタフなことを証明することだ。ISIS攻略はプーチンとのパートナーシップを築くことにもなるはずだった。

それはナイーブな考えだ。ISISは真空に存在するのではない。また、それは地域の単なる悪役ではない。ISISは、イラクにおけるイランの大規模な進出に対するスンニ派ムスリムの反応だった。イラクでは、イランが支援するシーア派民兵とマリキNouri al-Malikiのイラク政府軍が、その国に残るスンニ派権力機関を粉砕し、完全なイランの従属国にしようとした。

イラク・スンニ派に対するイラン・シーア派の攻勢は、シリアにおけるアサドのシーア派・アラウィート体制と並行して進んだ。多数の宗派を含む民主化運動がスンニ派とシーア派の宗派間戦争に変わった。アサドは、もし彼が多数のスンニ派を銃殺し、毒ガスで殺戮すれば、民主化運動を宗派間戦争に転換できる、と考えたのだ。それは成功した。

反政府派がアサドをほとんど打倒するに至ったとき、ロシア、イラン、イラン系のヒズボラ民兵がアサドを支援して、シリアのスンニ派は粉砕された。

ISISは、シリアとイラクと2つのシーア派運動が結び付くことで、破壊されたスンニ派の生んだ運動であった。トランプが、ロシアと協力してISISを粉砕すると言ったとき、アサド、ロシア、イラン、ヒズボラはこの主張を楽しく聴いた。トランプの無知は彼らにとって有利に働くからだ。アサドは、化学兵器を使って反対派を制圧しても問題ない、と考えたのだろう。

トランプはこの問題を起こしたわけではないし、オバマ政権の外交チームに文句を言うのも許される。アメリカはロシアやイラン、その他の主要勢力と交渉したが、地上におけるレバレッジを持たなかった。しかし、アメリカがシリアに介入しなかった本当の理由は、私たちにある。

マンデルバウムMichael Mandelbaumはその著書“Mission Failure: America and the World in the Post-Cold War Era”で説明した。「アメリカの軍事的なテコがシリアで阻まれた唯一の理由は、アメリカの民主主義である。」「アメリカの大衆は、要するに、シリアで恐ろしい事態を緩和するとしても、満足できるものにはならない、そんなことのために米兵の命や財源が失われることを望まなかった。」 それはイラクとアフガニスタンで失敗したブッシュの介入の副産物でもあった。

だが私は、何もしないことは失敗であったと思う。アサドに委ねても殺戮が続くだけだ。交渉によって権力を共有することは、強い不信感によって、不可能だ。

最小の悪に抑える選択肢は、シリア分割である。そして国際的な軍を派遣して、スンニ派住民を保護する地域を設定する。それに必要ならアメリカの軍隊も加わるだろう。殺戮を阻止すれば、EUに蔓延するポピュリスト・ナショナリストの反動とそれを刺激している難民も減るだろう。

かつてアメリカはヨーロッパで民主主義を維持するため、40万人の軍隊を送り、セクト間戦争を抑えた。NATOとアラブ連合がシリアにセーフティー・ゾーンを設け、他方で、プーチンはイランとダマスカスの殺人君主アサドを守ればよい。

オバマケアを廃止しようとしたとき知ったように、容易な答えはない。最小の悪に抑える妥協案が、あなたのホテルと同様、トランプの名を付けて残るだろう。

FP APRIL 5, 2017

It’s Time for Action on Syria’s Chemical Weapons, Not Pointing Fingers

BY REBECCA HERSMAN

この恐るべき攻撃は、疑わしい、あるいは、検証された、シリア政府が2014年以来に行った化学兵器の使用の最新の例に過ぎない。そのいくつかはすでに国際機関が検証した。

化学兵器の使用を調査するだけでは不十分だ。それは市民に対する心理的な破壊作用を狙ったものだ。化学兵器に合わせて、通常兵器による攻撃がさらに犠牲者を増やしている。病院や避難所を攻撃している。シリア軍の飛行機・ヘリコプターを調査する必要がある。この攻撃に関わった者を特定し、告発するべきだ。

化学兵器・生物兵器・核兵器の使用を抑制することはむつかしい。アメリカ大統領は不断に関与しなければならない。非難するだけでは、1人の子供も救えず、難民1家族さえ帰還できない。

FT April 6, 2017

Russia’s Vladimir Putin must rein in his Syrian surrogate

The Guardian, Thursday 6 April 2017

Trump’s change of heart on Syria isn’t reassuring, it’s profoundly disturbing

David Shariatmadari

せっかちで常軌を逸した大統領の空爆による結果とは,制御不能なものであろう.シリア内戦は6年も続いている.2016年の国連報告では,その間に,161回の化学兵器による攻撃が行われた.

トランプによる孤立主義がさらに進むだけだ.

FP APRIL 6, 2017

After Chemical Weapons Attack, Trump Weighs Strikes on Assad Regime

BY PAUL MCLEARY

FP APRIL 6, 2017

What ‘Something’ Should Trump Make ‘Happen’ in Syria?

BY DEREK CHOLLET

FT April 7, 2017

History has served up a rare second chance on Assad

Richard Haass

化学兵器,核兵器を含めて,大量破壊兵器の禁止を求める国際体制を強化することだ.

シリア軍の空軍力を破壊する.ロシアは軍事的な反撃に加わらないだろう.自国の経済を回復させることを優先しなければならないからだ.プーチンへの外交も必要になる.

シリアのクルド人やスンニ派の反政府勢力に,もっと強い防衛能力を与える.また,テロリストの脅威を退ける地域住民の武装を強化する.


 公共放送

NYT APRIL 5, 2017

Stanley McChrystal: Save PBS. It Makes Us Safer.

By STANLEY McCHRYSTAL

指導者は選択する。われわれの指導者たちは予算の優先順位を決めるが、私は彼らが公共放送に予算を与えることを強く求める。公共放送は我々の国を賢く、強く、そして、安全にするからだ。わずかな予算が、防衛費に比べて、はるかに大きな配当をアメリカ人にもたらす。

公共放送は我々の教室である。公共放送はわれわれを市民として扱い、消費者とみなさない。市民社会を強くするのは、異なる人々・集団が確かな、生き生きした結びつきを見出すことである。

NYT APRIL 5, 2017

A How-to Book for Wielding Civic Power

David Bornstein


 スペイン経済

FT April 6, 2017

Spain: Boom to bust and back again

Tobias Buck


 アメリカの参戦

NYT APRIL 6, 2017

Should America Have Entered World War I?

By MICHAEL KAZINAPRIL 6, 2017

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The Economist March 25th 2017

Amazon’s empire

The future of the European Union: How to save Europe

Donald Trump and multilateralism: China first

Yemen: Beggar thy neighbor

The case for flexibility: Creaking at 60

(コメント) Amazon, Google, Facebook, MicroSoft・・・ ITに関わる巨大企業の独占禁止法適用はどうあるべきか,本格的な見直しを始める時が来ました.

EU60周年の抱える問題の深刻さは,傷だらけ,病気だらけで,全身が動かなくない老人のようです.弾力性を回復せよ,と特集は訴えます.

大国アメリカを動かすことへの恐怖と深刻さを,いかに傲慢な人物でも,学ぶ時が来るはずです.他方で,小国イエメンの人々が味わう危機の広がりを世界市民が学ぶことでしょう.

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IPEの想像力 4/10/2017

アメリカは59発の巡航ミサイルを発射してシリア政府を懲罰した、というニュースが流れています。

その論争は始まったばかりです.何が論点となるべきか,点検リストを作ることは重要です.ただし,不完全であることに注意して.

1) 事実の確認・認識の形成

何が起きたのか? 誰が関与したのか? 情報戦である。

国際調査委員会の設置。調査報告書。

国連安保理による決議。

経済制裁、武力介入。

シリア政府による化学兵器使用の過去の例は国際機関(国連・民間)が報告・検証した。

シリア政府軍のヘリコプターを調べる。

2) 政治指導者の性格と判断

トランプという人物の感覚、直情的な発言や判断、強硬姿勢の自慢。

テレビ・ショーの司会者。

瞬間的にひらめいた。これはいける。

移民規制も、メキシコの壁も、オバマケアも、失敗した。

しかし、シリア空爆はやれる。オバマとは違うことを示す。

北朝鮮にも、中国にも、ロシアにも、強い姿勢を示す。

国内支持率は上がった。(薮中)

3) 米中首脳会談・大国外交

習近平との重要な首脳会談が行われている途中に攻撃を実行した。中国政府と国民に見せたかったのではないか。

自分は、台湾でも、香港でも、あるいは、尖閣でも、軍事力を行使する、と。

貿易不均衡、北朝鮮をどうするか?

4) 国内権力基盤・支配力学

トランプ政権内部の暗闘がある。フリンの辞任。バノンの国家安全保障会議解任。新しい国家安全保障担当補佐官の使命。クシュナーの役割。

トランプ政権としては、現実の外交・安全保障を学習しつつあるかもしれない。

国防総省のオプション提示。

しかし、これまでと違う、シリア内戦を終結させる構想を示せるか?

国務省の人事停滞。内戦後の秩序に関する計画を明示できない?

アフガニスタン、イラク、中東政策の見直しはどうなるのか?

作戦は、オバマ政権下ですでに用意されていたものかもしれない。

5) 軍事介入と国際政治

爆撃の効果は何か?

シリア政府は反政府勢力・市民を掃討する軍事力行使を控えるか?

シリアの軍事行動にレッドラインを認めさせ、シリア政府や軍の行動に監視を行えるか?

セーフティー・ゾーンの設定。人道援助や避難のための回廊の設定。

シリア政府に対する発言力を確保できるか? ロシア、トルコ、イランによるシリア内戦の和平会議に、アメリカも参加する方式に変わるのか?

むしろ、ロシアを含む3か国の姿勢が反米によって強化され、今後の中東情勢を混乱させるのか?

6) 米ロ外交・地域安全保障の枠組み

ロシアは反発し、シリア政府はテロリストと呼ぶ反政府勢力への攻撃を強めた。

イランと北朝鮮がシリア政府を支持した。

トランプ外交は、むしろアメリカの弱さを示すかもしれない。

国際政治・外交からの離脱。

「世界の警察官」は国民に支持されない。

「アメリカ・ファースト」の軍事介入。貿易・経済合意に利用する。

あるいは、国内政策・雇用・製造業回復の成果を示せない。支持層からの不満。

そのはけ口として、国内体制強化、再選を目指す軍事介入を選択する。

7) アメリカによる国際秩序

オバマ政権は、軍事力による制圧が混乱を招き、その後の長期の負担を増すことに注意した。

ロシアがシリアの安定化と再建に責任を負い、アメリカはそれを監視する側に回った。

トランプはこの姿勢を逆転したのか?

長期的な負担を引き受けるのか?

あるいは、短期的なショーで、国内の政治的支持を維持することが主要な目的か?

8) ドイツと日本

ドイツやEU、日本の姿勢はどうなるか?

ドイツは難民が再び増加することを恐れているだろう。

日本政府は、トランプの強硬姿勢が中国に対して強く示されたことを喜んでいるかもしれない。

9) 北朝鮮核・ミサイル問題への圧力

しかし、北朝鮮は決意を固めたのではないか?

アメリカと体制維持・安全保障で取引するしかない。

決して核兵器は手放さない。

あるいは(それゆえ)、アメリカの攻撃は近い。

その前に、北朝鮮は行動するしかない。それは? 韓国、日本、台湾の政治情勢に破壊的な影響をもたらす、強い打撃を与えることではないか?

核を手放すより、交渉のカードを切る。軍事攻撃はできない、と示す。アメリカと中国の間にある諸国の政治不安を高める。

米中はどう動くか?

10) 米中合意と韓国・日本

アメリカの軍事行動は韓国と日本への被害を避けられない。

オバマ(クリントン)政権も準備したが、当時との違いは、韓国政府、日本政府が、トランプの強硬策に強く反対していない、承認を与えたことだ。(辺)

韓国大統領選挙で、5月、野党候補が大統領になれば、強く反対する。

トランプは、今なら行動できる。

北朝鮮がICBMの発射ボタンを押せば、それがアメリカの軍事行動を開始する引き金になる。

アメリカ軍は朝鮮半島に向けて空母を移動させた。

11) 大量破壊兵器の国際管理体制

北朝鮮は、核兵器・物質・技術を輸出するかもしれない。

ICBMはなくても核テロの危険性。

トランプの姿勢により、アジア諸国の核保有が加速する。

韓国、台湾にも核兵器を配備する。

ドイツ、日本でも核武装が進む。

核拡散の危険が高まる。あるいは、NPT体制の改革・強化。

12) トランプ政権の学習過程

トランプが人道的な政策や目標を重視する人物とは思えない。

わずか2日で作戦を決定したのは、国務省・外交軽視の、軍人主導政権だから。

北朝鮮問題で中国と交渉するカードを切ったのかもしれない。

巡航ミサイルは最も容易に選択できる軍事制裁だ。

過去の結果はどうか?

今回も結果はわからない。Brexitと似た5幕物のドラマ。

13) シリアと北朝鮮

シリア内戦に武力行使することで、中国と北朝鮮に圧力をかけた。

米中が協力して北朝鮮の核管理を行う。

断固とした強い経済制裁。

周辺諸国による軍事圧力。

金正恩の退陣、政治・経済体制の転換を進める。

「新しい大国間関係」に向かう。

14) ロシア問題

ロシアはどう動くのか?

トランプはロシアにもカードを切った。

ロシアは考えているだろう。この機会をどのように利用するか?

トランプを苦しめるほうが良いかもしれない。

戦場へ、泥沼に引き込むことが効果的である。

しかし、トランプに有利な条件を用意してやることもありうるだろう。

その見返りは、アメリカからの十分に大きな約束である。

ウクライナ、米ロ関係の改善。エネルギーや技術移転・投資、国際的威信回復。

シリアの体制は維持する。ロシア軍基地も維持する。

中期的に、ロシア・トルコ・イランのシリア協議体制を維持する。

15) 国際秩序の再編

アメリカは監視役として参加させる。

ロシアは、アサドを他の人物に交代させてもよい。

親ロシアの体制であればよいから、トランプとも合意できるだろう。

中国も含めて、ロシアとアメリカを枢軸とした軍事大国間同盟を、強権指導者たちが模索するかもしれない。

北朝鮮や南シナ海、東シナ海でも。

ウクライナ、アフガニスタン、ヴェネズエラ、ソマリアでも。

シリアを分割し、ウクライナを分割し、国境線を変更して、軍事基地や支配領域を交換する。

16) シリア内戦の構造

イランとサウジアラビアの対立はどうなったのか?

トルコとクルド人との対立はどうなったのか?

イスラエルとパレスチナの和平はどうなったのか?

エジプト、リビア、ソマリア、その他の地域紛争はどうなったのか?

17) 戦争と国内・国際制度

戦争行為を、議会も、国連も、知らないまま決めてよいのか?

むしろ、これは短期的な処罰行為である。

長期的な国際制度を軽視したままでよいのか?

非軍事的な分野の合意をどうするのか?

大国間関係では管理できない問題は多い。

ポピュリズムから転換して、成果を上げるために国際官僚体制・行政国家と和解し、統治者の責任と立憲的・民主的な正当性を重視し始めるのか?

18) 空爆後の反応

シリア軍は、反政府軍の自作自演だ、と主張した。

その後、ISIS攻撃の過程で、その保有していた化学兵器を偶発的に破壊してしまった、と説明した(ロシア)。

化学兵器を使用する彼らの理由は何か?

プーチンは、化学兵器の使用を(アサドに対して)激怒している、と言う(中村)。

19) 戦争行為の検証

外交・戦争行為と(秘密)交渉は自己正当化を繰り返す。

指導者たちの戦争行為に関する交渉過程を、公文書として記録しておく必要がある。

ブレアが調査されたように。

外交文書は必ず公開される。

3者の調査委員会(国際・各国・ジャーナリスト)を設置することが法的な条件となる。

20) 国際秩序の改革・調整過程

次の通貨・金融危機をどうするのか? 移民・難民危機、金融政策と株価暴落、ハッカー攻撃・インターネットの規制、都市・「人種」暴動、衰退地域・失業・貧困問題、破たん国家・人権侵害・ジェノサイド、飢餓・伝染病、価値・文化戦争、グローバルな市場統合、分離・独立運動、AI・ロボット・電気自動車、環境破壊・汚染・温暖化、高齢化・社会保障と財政危機、・・・アメリカのABCDフィッピー。

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トランプが命じた59発の巡航ミサイルは、その答えを出せるのか?

日本に住む私たちから見て,2つの視点に注目します.1つは,北朝鮮が韓国と日本に向けてミサイル攻撃をする可能性です.

北朝鮮は,アメリカと戦争して勝利するとは考えません.アメリカによる軍事介入で体制転換を強いられることを恐れるのです.マンデルバウムが明解に書いているように,アメリカと北朝鮮は,かつての米ソ対立と同じ恐怖の均衡を維持してきました.アメリカは韓国と日本に安全保障を提供し,北朝鮮は通常兵器と軍隊を増やして対抗したのです.そのための犠牲を無視できる国内支配体制が,だれも予想しなかったほど,長期的に生き延びたのです.

北朝鮮が核兵器を開発し,さらに弾道ミサイルの開発に成功したら,アメリカは韓国や日本を防衛することがアメリカ本土への核ミサイル攻撃という報復を受ける可能性を国民に説明しなければなりません.アメリカの民主主義は,それを許さない,と思います.すでにトランプは防衛負担を削減するつもりです.

もう1つは,アジアの地域安全保障を制度化することです.米ソ対立と異なるのは,北朝鮮に強い圧力をかけることができる中国の存在です.しかも中国は,香港,台湾,チベット,など,安全保障の問題を周囲に抱えます.中国は,アメリカのTHAADが韓国や日本,台湾に配備されることを強く拒みます.

中国は解決のカギを握る国であり,同時に,中国自身が「巨大な北朝鮮」,巨大な「ベルリンの壁」なのです.これらの問題を解決するには,30年で,柔軟なEUのアジア版を築くことです.そのために,まず,米中を含む,アジア安全保障の制度化に合意することではないか,と思います.

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