IPEの果樹園2017

今週のReview

3/13-18

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EU離脱は間違いだ. ・・・SNAP株式の市場公開 ・・・生産性の上昇政策 ・・・BAT(国境調整税) ・・・北朝鮮の危機に備える ・・・ロボット税 ・・・電気自動車の時代 ・・・メディアの管理と再編 ・・・リベラルな国際秩序 ・・・オランダ選挙 ・・・革命派と国家官僚 ・・・グローバリゼーションとポピュリズム

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


● EU離脱は間違いだ.

The Guardian, Friday 3 March 2017

The Guardian view on Tory politics: a crisis submerged by government

Editorial

FT March 3, 2017

May’s handling of Brexit riles Scottish nationalists

NYT MARCH 3, 2017

Tony Blair: Against Populism, the Center Must Hold

By TONY BLAIR

憤慨するのは簡単だ。それは動機になる。しかし、勝つためには戦略が要る。戦略を立てるのはむつかしい。

欧米に広がる右派ポピュリズムに反撃するには、何が起きているか、なぜ、何がなしうるか、冷静に分析しなければならない。フランスとドイツの選挙で決まるのは、ヨーロッパの将来、そしてある意味では、リベラルな民主主義の将来である。

右派ポピュリズムは、伝統的な保守政治を爆破し、新しい連合に代える。それは、労働者階級のコミュニティーで伝統的に左派を支持した人々、グローバリゼーションに取り残されたと感じる人々と、リベラリズムを憎む、伝統的に右派を支持する人々との連合だ。どちらの有権者たちも、移民が伝統文化を脅かしていると感じ、「政治的正しさ」を求める。国際的な連携に対抗して国民国家を信じる。いわゆるエリートに騙されたと感じ、その解決策は、エスタブリシュメントがどう思うかを気にしない、十分に強力な権威主義的指導者が現れることだと考える。

サッチャー、レーガンの1980年代にも、左派に不満を感じた労働者は右に移動した。それは主に経済的な不満であった。その時代と違い、今のポピュリズムを動かすのは理性ではなく、叫びである。それはときに無政府的な感覚だ。強力なメディアがそれを刺激する。支持者たちは指導者の挑発に乗って怒りを示す。公共の討論は過激化し、帰属意識を高める。その結果、彼らはたとえ政権内でも、自分が排除されているかのように行動する。

同時に、伝統的な保守派は自国において異邦人のように感じる。新しい秩序が生まれるのか、権威を倒す革命が起きるのか、彼らには確信が持てない。

この運動の原因は、変化の大きさ、広がり、スピードである。職場は失われ、コミュニティーは解体し、グローバリゼーションが世界の出来事や文化を身近にもたらし、国家、民族、文化の境界線を消してしまう。

同じダイナミズムが左派を分裂させた。右派と連携する者は、グローバリゼーションに反対し、移民を主要な敵にする。彼らは右派ポピュリストと、エリートについて意見が一致する。ただしそれは、左派にとって富裕層であり、右派にとってそれはリベラルである。

この左派ポピュリズムは大きな間違いを犯している。それは右派に匹敵する魅力がない。単に冷笑的になって、左派の進歩的計画を支持しなくなるだけだ。この左派の傾向は、中央のマヒ状態から生じている。中央の政党や政治家は現状維持を説き、変化を求める人々に応えなかった。

これは一時的現象なのか? それとも新しい政治的時代が始まるのか? 大西洋の両側で、政党や政治システムは産業革命後にできたものだ。論争は、社会主義と資本主義、市場と国家、という対立であった。しかし今、単純な左派と右派との対立ではない。

有権者の多くがそのようなステレオタイプに適合しない。ある者は私企業を好み、経済学の視点では保守派であるが、ゲイの権利を支持する、など、社会的にはリベラルである。また、かつて左派に投票した人々が、今は文化的に非リベラルで、富裕層の政党に投票する。

現代の対立は、オープンか、クローズか、というものだ。オープンはグローバリゼーションを機会とみなし、クローズは脅威とみなす。その区別は伝統的な政党の境界に従わず、組織化の基礎も、選挙に向けた全国規模のネットワークも機能しない。

ポピュリズムの圧力で政治は過激化し、イギリス労働党も、フランス社会党も、左派が指導権を得た。その結果、政治のセンターに空白が生じ、進歩的な政治には連携の余地が生じている。進歩派は、有権者の感じる文化的な不安を認める必要がある。移民、ラディカル・イスラム主義、ジェンダー・アイデンティティなどの問題に固執する集団との違い。

この新しい進歩的センターは、変化に直面する人びとを支援する新しい政策綱領を必要とする。その核心は、シリコンバレーの技術革命を担う人々と、公共政策に責任を負う人々との連携である。AIやビッグ・データは職場にマイナスの影響を及ぼすが、生活を改善する莫大な機会を提供することでもある。

新しい政策綱領が、その機会に注目し、人々を支援するのだ。教育や熟練を得る仕組み、税制や福祉を介した富の公平な分配、インフラの再建と貿易や技術変化に最も影響を受けるコミュニティーへの投資。こうして進歩派も政党の境界線を越える。

進歩的な政治は死なない。それは再生され、再活性化する。リベラルな民主主義こそポピュラーになる。ポピュリズムではない。

Bloomberg MARCH 3, 2017

Brexit Opponents Find Their Voice Again

Therese Raphael

The Guardian, Sunday 5 March 2017

Brexit is Theresa May’s Falklands war: a weapon of mass distraction

Zoe Williams

土曜日,NHS(国民医療保険制度)の予算削減に反対するデモが行われた.

教育予算削減にも反対するデモが行われた.プラカードには「子どもたちを教育するのには金がかかる.しかし,それだけの価値がある.文明のために.」とかいてある.

Brexitは新しいフォークランドだ.あの戦争を左派は憂さ晴らしとみなした.政府のもっと重要な行為から目をそらすものだ.それは正しかったが,その半分でしかない.政府は,愛国的ではない,全く逆のことをしながら,愛国心を語っていた.コッツウォルズでもリヴァプールでも,社会福祉の予算は削られた.

テリーザ・メイにとって,Brexitは同じものである.それはフォークランド戦争より,はるかに重大な結果をもたらす.しかし,同じような戦闘口調で訴える.ナショナリズムの情熱を振りまき,そうでなければ常に問われることを沈黙させる.「あなたがこの国をそれほど愛するのであれば,なぜこの国にとって良いことをすべて解体してしまうのか?

The Guardian, Sunday 5 March 2017

Leaving the EU is the start of a liberal insurgency

Douglas Carswell

FT March 6, 2017

Brexit and Gibraltar

David Allen Green

FT March 8, 2017

Northern Ireland shows the risks of a hard Brexit

FT March 8, 2017

Post-Brexit delusions about Empire 2.0

EUを離脱したイギリスは,その代わりに英連邦を「英帝国2.0」として重視し始めるのか? その効果には疑問がある.1.貿易額が全く異なる.イギリスの貿易額の44%と9.5%である.2EUとのFTAを持つ諸国はBrexitによってさらにEU市場を重視する.

帝国復活は,右派の幻想でしかない.

FT March 8, 2017

Britain plays with fire over Brexit

Martin Wolf

FT March 9, 2017

Leave the econometrics and tackle the social divisions

Kitty Ussher


● SNAP株式の市場公開

FT March 3, 2017

Snap looks for a role beyond the social network

Hannah Kuchler

Bloomberg MARCH 6, 2017

Snap's Experiment in Totalitarian Capitalism

Justin Fox

SNAP株式の市場公開IPOにおいて,メディアはそのガバナンスに憤慨した.「バナナ共和国」であり,「全体主義的資本主義」である,と.発行された株式Aには議決権がない.株式Bには11票があるが,株式Cには10票ある.株式Cはすべて創立者の2Evan Spiegel and Robert Murphyが所有する.

株式保有とは何か? GoogleFacebookも新しい取り組みを示し,SNAPも問いかける.


● 生産性の上昇政策

Project Syndicate MAR 3, 2017

Rethinking Productivity Growth

J. BRADFORD DELONG

新しい消費の機会が現れることを考慮すれば、生産性を図ることはむつかしい。その将来も予測しがたい。

現在、世界の人口は、平均で、長い農耕時代において20倍の富を得ている。BC7000年からAD1500年まで、資源は乏しく、技術革新は遅く、マルサスの観たような圧力の下で、多くの人々は生存維持水準に抑えられ、現在の価格で、1人当たりGDP11.50ドルでしかなかった。

われわれのグローバルな年間所得はおよそ80兆ドルである。グローバルな生産性の果実は平等に分配されていないが、それでもわれわれの社会が達成した富は農耕時代の人々を圧倒する。

BC1世紀、皇帝ネロは一期とクリームを食べたことがなかっただろう。それは16世紀、チューダー朝の料理人が初めて作った。

1606年、魔女を扱う流血の劇を観たのは1人だけであった。イングランドとスコットランドを支配する王様、ジェームズ・スチュアートだ。彼はウィリアム・シェークスピアを抱えていた。しかし今、40億人以上がスマートフォン、タブレット、テレビを保有し、かつての王族だけが許された観劇をオンデマンドで楽しんでいる。

19世紀前半の最も裕福な人物であったネイサン・メイヤー・ロスチャイルドは、50歳代で膿瘍(腫物)により死亡した。もし現在の抗生物質が手に入るなら、その全資産を与えただろう。

未来のイチゴと生クリームは、まだ発明されていない。

FT March 6, 2017

There is more to industrial strategy than picking winners

Kate Barker

FT March 9, 2017

Joined-up thinking is key to delivering productivity growth

Stephanie Flanders


● トランプの改革

Bloomberg MARCH 7, 2017

Trump's Industrial Rebirth Is a Dead End

Noah Smith

FT March 9, 2017

A German approach to trade and skills has much to teach Trump

Gillian Tett

Project Syndicate MAR 9, 2017

What’s a President to Do?

BARRY EICHENGREEN

これまで大統領たちが学んだように,アメリカの制度は急激な,大幅な変化を妨げるように仕組まれている.議会,官僚,裁判所が制度的な妨害する.

トランプの財政支出は,それを増税で賄う場合も,債務を増やす場合も,抵抗にあうだろう.支出削減に関しても,さまざまな既得権益が関係しており,政治的に難しい.オバマケアを破棄して共和党案に代えても,そのカバーする範囲を狭くしただけで,中身は実質的に変わらない.

1兆ドルのインフラ投資,メキシコ国境の壁建設,そのような約束も,大規模には行えない.しかし,できることはあるだろう.

1に,議会の協力を要しない政策に焦点を絞る.輸入がアメリカの利益を損なったとして,the Trade Expansion Act of 1962を,雇用を奪われて緊急事態である,とthe International Emergency Economic Powers Act of 1977を,ちゅとうに特殊部隊を派遣するのであれば,それを真似て,the Trading with the Enemy Act of 1917を,考えるだろう.

2に,ポピュリストがそうであるように,経済的な成果をもたらせない,自分の失敗から目をそらせるために,内外の敵を非難,攻撃する.Stephen Bannon and Stephen Millerのような,彼の上級顧問を見れば,その経済公約を阻まれる中で,冷静な幹部たちが力を握ると楽観することはできない.

Project Syndicate MAR 9, 2017

Navigating America’s Economic-Policy Shocks

SHANG-JIN WEI


● BAT(国境調整税)

Project Syndicate MAR 3, 2017

America’s Bad Border Tax

NOURIEL ROUBINI

議会多数を握る共和党がBAT(国境調整税)を法人税改革の重要な要素にしている。アメリカの輸出業者に、補助金となるような減税を行い、輸入するアメリカ企業には罰金となる。貿易収支を改善し、国内生産、投資、雇用を増やす、と彼らは主張するが、それは間違いだ。

BATはアメリカ企業の所得ではなく、国境で調整するキャッシュ・フローに課税する。それはアメリカ企業の競争力や利潤に影響する。輸入に頼る企業は負担が増し、輸出企業は大幅に課税が減る。この変更は不当で、不公平だ。

消費者にも影響し、富裕層の利益になるだろう。さらに悪いことに、BATはアメリカ企業の国際競争から保護しない。ドル高によって競争力の改善は効果を失うだろう。さらにドル高は、外貨建ての資産を保有するアメリカ企業に数兆ドルの損害を与える。ドル建債務に依存する新興経済は債務負担が膨張し、金融不安や危機に陥る。

輸入財への課税はインフレ率を引き上げ、連銀は金利引き上げで応じるだろう。それは長期金利を上昇させるから、さらにドル高に向かう。

BATのもう1つの問題は、グローバル・サプライ・チェーンを大規模に破壊することだ。BATは、オフショア生産を妨げ、企業が労働力と資本を配置して最大限の効率を実現する能力を破壊する。それはアメリカと世界経済の厚生を低下させるだろう。

BATWTOルールに反すると判断される恐れが高い。その場合、アメリカは4000億ドルに達する報復を受ける。

議会も、トランプ政権も、BATの支持と反対との間で割れている。しかし、たとえBATが成立しなくても、その他の保護手段が次々に現れるだろう。

FT March 6, 2017

Trump’s trade policies won’t help my town

Rana Foroohar

Project Syndicate MAR 6, 2017

Trade Truths for Trumpians and Brexiteers

JIM O'NEILL

ドイツの最大の貿易相手国は中国である.ドイツは最も多く中国に輸出し,同時に,最も多く輸入する.アメリカやイギリスの姿勢ではそれができない.

NYT MARCH 6, 2017

The Case for a Border-Adjusted Tax

By ALAN AUERBACH and MICHAEL DEVEREUX

Project Syndicate MAR 8, 2017

What’s Better Than a Border Adjustment Tax?

MICHAEL HEISE

Bloomberg MARCH 9, 2017

Trump's Plan to Bring Back Manufacturing Isn't Crazy

Noah Smith


● 北朝鮮の危機に備える

FP MARCH 3, 2017

How to Get Tough on China, in Six Easy Steps

BY ELY RATNER

強硬な姿勢を示すトランプ政権が、中国との関係を紛争のエスカレートではなく、効果的に管理するには、国家安全保障担当のH. R. McMasterが示したように、規律ある、協調的かつ包括的なアジア政策が必要だ。もっと協力した競争を求めるには、以下の原則が重要だ。

1.内外の法に立脚する。南シナ海も北朝鮮も、その根拠はある。2.ストレートに主張する。3.アメリカの同盟関係を強化する。4.東南アジアを重視する。5.米中関係の制度化を改革する。6.北京との関係を強化する。

FP MARCH 6, 2017

China Steps Into the Latin American Void Trump Has Left Behind

BY KEVIN P. GALLAGHER

FP MARCH 7, 2017

Don’t Call it the New Chinese Global Order (Yet)

BY BJÖRN JERDÉN, JEAN-PIERRE CABESTAN, PAUL HAENLE, SHEN DINGLI

YaleGlobal, Tuesday, March 7, 2017

To Avert Disaster the US Must Deal With North Korea

Rakesh Sood

中国は北朝鮮の貿易の80%を占めており、厳しい制裁を行うべきだ。アメリカは北朝鮮との交渉を再開し、北朝鮮が核開発やミサイル発射の実験を中止したことが検証できれば、先制攻撃しないという約束を与えてもよい。

FT March 8, 2017

America and China can avert disaster on N Korea

オバマは大統領府を去るとき、トランプに北朝鮮のことを警告した。

北朝鮮は、悪いカードで、うまくプレーする国である。何十年間も、近隣諸国や同盟関係を脅かし、交渉や譲歩を強いてきた。トランプ大統領はTweetしただけであったが、最近、中国がカギになることを理解したことは良いニュースだ。

中国は、石炭の輸入を止める制裁を行った。しかし、北朝鮮の挑発が韓国政府にアメリカのミサイル防衛システムを導入する決定に向かわせたことを嫌っている。韓国政府や企業に非公式の制裁を行っているが、それは無駄である。安全を脅かされている国が、どのような制裁にも譲歩しないことは明らかだ。

中国は問題の根源、隣国の政治体制に向かうべきだ。しかし、中国単独では北朝鮮を動かせない。北朝鮮は、交渉に向かう準備として、歴史的にも強い行動で逆らってきた。韓国の朴大統領が辞任したことは、北朝鮮にとってチャンスである。しかし、交渉の提案はアメリカと韓国の最強のカードであるから、北朝鮮が先にその行動を激的に変えるよう求めるだろう。同時に、中国の経済制裁を強化するべきだ。

朝鮮半島の非核化という目標に向けて、今すぐに、軍事衝突をもたらす危険な状況を鎮静化するべきだ。

NYT MARCH 8, 2017

Rising Tensions With North Korea

By THE EDITORIAL BOARD

FP MARCH 8, 2017

North Korea Doesn’t Trust China an Inch

BY ADAM CATHCART

FT March 9, 2017

It will be easy but short-sighted for Trump to punish China

Yao Yang

FP MARCH 9, 2017

North Korea Is Practicing for Nuclear War

BY JEFFREY LEWIS


● 国務省

FP MARCH 3, 2017

To Save the State Department, Rex Tillerson May Have to Break It

BY JAMES F. JEFFREY

NYT MARCH 4, 2017

How Our Strategy Against Terrorism Gave Us Trump

By JON FINER and ROBERT MALLEY


● ロボット税

FT March 6, 2017

Robots are wealth creators and taxing them is illogical

Lawrence Summers

私は普通、公共政策に関してゲイツBill Gatesと意見が一致する。しかし、最近、彼がインタビューで、仕事をなくした労働者や不平等の問題を緩和するために、ロボットに課税することを提案したことには反対だ。

1.ロボットは仕事を減らす他の技術と区別できない。航空券をキオスクで発行することも、ワープロで書類作成が容易になることも、モバイル・バンキングも、自動運転も、病気をなくすワクチンも医師の仕事を減らす。

2.さまざまな技術革新は、さまざまなロボットも、新しい商品やサービスをもたらす。課税はそれも抑えてしまう。

3.課税は富のパイを、増やすのではなく、減らす。パイの分け方を変えるべきであるのに。生産の増加を受け入れ、その分配を変えて労働者を保護する方がよい。

4.長く国際貿易論が示してきたように、市場の開放は新技術の導入と同じである。保護主義は間違いだ。いずれも失業や不平等の対策にならない。

多くのより良い解決策がある。政府は構造的な失業に対処しなければならない。教育と職業訓練のシステムを改善し、深刻な雇用問題を生じているグループに絞って賃金を補助し、インフラ整備に投資し、直接の政府雇用も考えられる。

FT March 6, 2017

Artificial intelligence runs wild while humans dither

John Thornhill

NYT MARCH 7, 2017

How to Beat the Robots

Claire Cain Miller


● 電気自動車の時代

FT March 6, 2017

Electric cars: China’s battle for the battery market

Henry Sanderson, Tom Hancock and Leo Lewis

The Guardian, Monday 6 March 2017

The Guardian view of the car industry: an electric future

Editorial

イギリスから自動車産業は消滅した。メイ首相の産業戦略は限られた資源の知的展開でしかない。未来の自動車産業は明らかに電気である。バッテリーの開発に取り組むべきだ。

中国政府はバッテリーの世界市場を制圧する意志を示しており、現在、日本と韓国の企業がその大部分を供給している。

電気自動車の利用は、バッテリーの改善によって一気に加速するだろう。電気自動車はガソリン車に比べて軽く、クリーンで、加速・減速が容易で、燃費もよく、静かである。オランダ議会は、2025年までに、販売されるすべての自動車を電気にするよう求める政策を検討している。ある報告書は、10年で、世界の自動車販売の3分の1が電気自動車になるという。

より軽く、より多く、早い充電が可能なバッテリーを実現する技術進歩のため、すでに莫大な投資が行われており、その必要性を満たすために今後も続くだろう。電気自動車の普及は、内燃機関が実現した根本的な世界の変化を再現する。自動運転が進み、自動車の個人所有は消滅するかもしれない。少なくとも都市間では、自動運転車のネットワークがそれに代わる。

自動車の持つ社会的なシンボルは重要だ。ガソリン車の不便さが、むしろ富裕層の社会的地位を示すかもしれない。個人が馬を所有するように。

FT March 6, 2017

The disruptive impact of technology

Nick Butler


● メディアの管理と再編

Bloomberg MARCH 6, 2017

The Trump Project Bigger Than Any Wall or Trade Deal

Leonid Bershidsky

トランプ大統領は、国境の壁や貿易政策ではなく、もっと重大なアメリカの改造を進めている。

トランプはThe New York TimesCNNを悪意ある編集であると非難し、他方で、彼の世界観を受け入れる大小の保守派メディアを称賛する。Breitbart Newsを指導したスティーブ・バノンを大統領の主席戦略家としてホワイトハウスに入れたときから、彼らがメディアに異なる物語を広めてきた。主流派メディアを多数の読者から切り離す閉じた生態系を築こうとした。政治の論調はそれによって変わったことを示している。

1世紀間で初めて、中道・左派のメディア機関と個人ジャーナリストが右派から強力な競争を強いられている。

主流派メディアは政権からの匿名の情報と不確かな証拠を基にロシアとの関係を疑い続けている。これに対して、トランプ政権は、オバマ大統領がトランプ陣営の盗聴を命じた、と告発した。The Washington Postは、ただちに、「証拠もない」と自嘲気味に報じた。他方、Fox News Breitbartは、主流派の「トランプ=ロシア物語」に対抗するこの話を歓迎した。

トランプは報道の範囲を決める力がある。人々が何を話すか、話してほしいものを決めることができる。

アメリカのメディアは生存可能な数を超えており、市場を奪い合っている。その市場で最大のニュース生産者、アメリカ大統領が同盟を組めば、絶好のチャンスが得られる。

長期的に、アメリカメディアの勢力配置を変えることは、トランプが移民、社会保障、税制を変える以上に、重大な企てである。ロシアのジャーナリストとして、私は、活気ある、リベラルで、多元的なロシアのメディアを、クレムリンの戦時メンタリティーによって決定される話題に、プーチンが変えていったことを観てきた。

プーチンは10年以上かかったから、トランプには時間が足りない。しかし、彼とその家族は、右派メディアに多くのビジネス機会を観ている。

われわれはトランプが提供する話題の真偽を検証するようなことにではなく、もっと独自の調査報道に頭を使うべきだ。ロシアのジャーナリストたちは、プーチンが何を言ったかではなく、何をしたかに、もっと注意しなければならなかった。アメリカのジャーナリストたちは、もっと賢明であるだろう。

FT March 7, 2017

Trump is straining the system of government

Project Syndicate MAR 8, 2017

Trump’s Virtual Wall

KENNETH ROGOFF

FP MARCH 9, 2017

Only the Law Can Restrain Trump

BY VIVEK MARU

FT March 10, 2017

Fake news, fake history and fake teachers

Robert Shrimsley


● イギリスの予算案

FT March 6, 2017

Philip Hammond’s job is to be the slayer of bad ideas

Janan Ganesh

FT March 9, 2017

Budget 2017: Progress on technical education is overdue

Carolyn Fairbairn

FT March 9, 2017

Budget 2017: An act of well-judged caution in risky times

Martin Wolf

FT March 9, 2017

Hammond has done what he can to prepare Britain’s defences for Brexit

FT March 10, 2017

British business is starting to look more Italian

Martin Wolf

イギリス経済の調子はイタリアに似てきた。労働市場はまだ機能しているが、生産性上昇率の停滞は似ている。危機前の金融部門の拡大は維持できない。Brexitは、労働力の成長を抑え、競争圧力を失わせる。医療や年金に対する財政負担は、計画のように抑えられない。


(後半へ続く)