前半から続く)


● 気候変動対策

FT February 12, 2017

A carbon border tax is the best answer on climate change

Lakshmi Mittal


● ギリシャ債務危機とIMF

FT February 12, 2017

A failure to tell the truth imperils Greece and Europe

Wolfgang Münchau

FT February 14, 2017

Greece is as sick as ever and its agony goes on and on

Tony Barber

Bloomberg FEB 15, 2017

Greece's Euro Membership Looks Vulnerable Again

Mark Gilbert

VOX 17 February 2017

When the IMF evaluates the IMF

Charles Wyplosz

IMFは、2012年、2016年に行われたギリシャ向け融資について自己評価レポートを発行した。多くの失敗を認め、重要な変更を求めている。しかし、残念ながら、これらの失敗がなぜ起きたのか、問題の根本を常にとらえているわけではない。

東アジア危機に関して激しい論争が起きて以来、IMFは例外的な融資プログラムに関する自己評価を行うようになった。例外的な融資枠とは、通常の各国分担金に対する145%の融資を超える、あるいは、総額で435%を超える場合である。ギリシャに対する最初の融資は分担金の3200%であったし、それに代わる第2の融資は2159%であった。これらはかつてなかった数値である。

かなり多くの失敗が報告されている。過度の楽観。初期に大きな赤字削減を、歴史的に観ても深刻な規模で要求した融資条件。それはかつてないほどの長期で深い不況をもたらし、その結果、債務のGDP比が上昇した。乗数を小さく見たこと。輸出の価格弾力性を高く見たこと。銀行システムの健全さを前提したこと。その背後には、政治的な混乱があった。不良債権が増大し、以前の融資条件を非現実的にした。

IMFはすでに、大幅な予算赤字の削減を失敗として認めた。IMFが示すその説明は、債務の大幅な組み換え・免除は、国際金融システムにとって重要な外国銀行の信用を損なう恐れがある、ということだ。リーマンブラザーズの倒産直後、グローバル危機が再現する不安が現実にあった。第2に、EUECBが債務のいかなる組み換えにも激しく反対したことだ。これは通貨同盟内の協力にとって深刻な問題を引き起こすからだ。

他にも、ギリシャの政治体制が改革を自分たちの問題として取り組まなかった。また、構造改革はギリシャ政府の行政能力を超えており、政治的にも耐えられなかった。銀行が破たんに落ち込む可能性を正確にモニターできなかった。構造改革がサプライサイドに即座に良好な影響をもたらすと期待した。労働市場を改革しても、財市場の改革が進まず、輸出競争力が回復しなかった。企業にも、政府にも、ガバナンスの問題があった。

報告が触れなかったのは、この危機が協力体制で管理されたことの意味だ。それはIMFに欧州委員会とECBを加えた、トロイカ体制であった。その複雑さが対立を生じた。行間から、IMFが最も重視した失敗は、経済分析のミスではなく、トロイカ体制の従属的な地位を受け入れたことだった。通常、IMFが十分な金融資源を欠くとき、関係諸国に参加を呼びかけて、IMFの単独で管理する融資プログラムに、必要な追加融資を求めた。2008年のラトビアを例外として、IMFが従属的な地位を受け入れたことはなかった。この問題は今も、IMFEUの間で、政治問題として厳しい対立が続いている。

報告は、融資プログラムに影響する不確実性が異常に大きかったことを強調する。それゆえ、漸進主義が採用され、融資は巨額になり、長期にわたった。他のケースに比べてギリシャが異なるのは、通貨価値の切下げができず、最後の貸し手が保証されていないことだった。それを求めるならユーロ圏の離脱を含む事態につながるからだ。外交的に、報告はECBの役割に触れていない。

報告が言及しなかった重大な失敗は、IMFのモデル分析Debt Sustainability Analysis (DSA)だ。その結果は前提の小さな変化にも大きく影響を受けるが、長期的に観て、前提が維持されるかどうかはまったく不確実である。

欧米の政治家たちが、ギリシャのデフォルトによってグローバルなシステム危機が生じる、と強く主張したのだろう。それは主要諸国が危機を予防する分担として議論するべきことだ。公平性と実行可能性の視点が求められる。しかし、そうではなく、ギリシャの借り入れが強いられ、返済の重荷はギリシャの納税者に負わされた。IMFが今、債務削減を強く主張するのは、事後的なバードン・シェアリングである。

世界の慈悲深いレフェリーとして、IMFは事前に、その偏ったアプローチの共謀者となることを拒むべきであった。しかし、報告では分担について一言も述べていない。それは政治的に圧殺されたのだ。その結果、IMFの独立性には強い疑念が残る。また、われわれはケインズの有名な2つの敗北を思い出す。1つは、ドイツ賠償金。もう1つは、ブレトンウッズで彼が求めた、対称性である。

ギリシャは、ケインズが死後に経験した第3の敗北である。


● 中国と国際秩序

NYT FEB. 12, 2017

China, the Party-Corporate Complex

Yi-Zheng Lian

中国は市場経済ではない。政府は鉄鋼の過剰生産を管理する。それはさらに共産党による企業の支配を、特に大企業と一部の外国企業に広めている。現在の中国経済は、共産党・大企業複合体a party-corporate conglomerateである。

FT February 15, 2017

Conflict and commonality between Donald Trump and Xi Jinping

Yukon Huang

米中の政治姿勢が似通っていることで、その衝突がますます切迫するかもしれない。それぞれの指導者が、栄光を取り戻すことを宣言し、ナショナリズムと外交政策をその手段としている。それぞれの指導者が、国内の権力基盤を強化しなければならない。国内の不平等拡大が広めるポピュリスト的な政治情勢の中で、指導者の言動が支持されるためには、経済の繁栄が必要だ。米中が産業や雇用、貿易保護主義、通貨の対立で国際秩序を破壊する傾向は、ますます強まるだろう。


● 大企業と経営者

FT February 13, 2017

How paying chief executives less can help corporate performance

Patrick Jenkins

NYT FEB. 14, 2017

SoftBank of Japan Will Buy U.S. Private Equity Giant Fortress

By MICHAEL J. de la MERCED and LANDON THOMAS Jr.

FT February 15, 2017

Toshiba and the options on new nuclear

Nick Butler

FT February 15, 2017

Executive pay needs a radical new structure

FT February 15, 2017

The Wallenbergs: where money meets Swedish science

Richard Milne

The Guardian, Friday 17 February 2017

Mark Zuckerberg rules his empire but politics is another country

Anne McElvoy

FT February 17, 2017

Satoshi Tsunakawa, the salaryman at the helm of a listing ship

Leo Lewis and Kana Inagaki


● アメリカの新保護主義

Project Syndicate FEB 13, 2017

America’s Dangerous Neo-Protectionism

KAUSHIK BASU

NYT FEB. 14, 2017

Can Immigration Hurt the Economy? An Old Prejudice Returns

Eduardo Porter

FT February 15, 2017

Donald Trump’s love of manufacturing is misguided

Martin Sandbu


● アフリカの未来

Project Syndicate FEB 13, 2017

Powering Africa’s Future

ALPHA CONDÉ


● 中東の政府系投資信託

Project Syndicate FEB 13, 2017

The Promise of Middle East Sovereign Wealth Funds

ALISSA AMICO


● 南シナ海と朝鮮半島

FP FEBRUARY 13, 2017

How America Can Take Control in the South China Sea

BY ALEXANDER L. VUVING

chinadaily.com.cn 2017-02-13

Deployment of THAAD in ROK exacerbates tensions

By Sun Ru


● ヨーロッパの新しい安全保障協定

Bloomberg FEB 13, 2017

Why Europe Is Warning of Pax Americana's End

Leonid Bershidsky

Bloomberg FEB 13, 2017

A NATO of the Mind Limits Putin's Sphere of Influence

Leonid Bershidsky

FT February 15, 2017

Europe needs a new defence pact — and Britain can lead it

Anne Applebaum

テリーザ・メイはワシントンへ行き、大統領に会って、共同声明を出した。「われわれはNATO100%支持している。」 数日後、アメリカ大統領はフランスのオランド大統領に、NATOから「自分のお金を取り戻したい」と述べた。NATOがアメリカからむしり取っている、と彼は確信している。

これらの言動から真実を導くのはむつかしい。20年間、ドナルド・トランプは「時代遅れの」大西洋同盟を攻撃してきた。2000年には、ヨーロッパの防衛は「アメリカ兵士の命」に値しない、と述べた。

政治的な現実を反映しない制度は信用を失う。どれほど言説を費やしても、ヨーロッパの安全保障に対するアメリカの政治的な関与が急速に消滅している事実を隠すことはできない。イギリスもそうだ。政治家たちはGDP2%を防衛予算に充て、ポーランドより少ない戦車と、輸送機の追加を見送っている。

メイは、この戦争の神である大統領との「特別な関係」というフィクションに頼るが、アメリカ大統領は数時間で気分を変え、イギリスの利益など考えていない。そうであれば、メイはそこから教訓を学び、イギリス防衛政策の根本的な転換を図るべきだろう。それはまだ可能である。

今ほどの好機はないだろう。EUを離れるイギリスは、それでもヨーロッパにおける役割を求めている。これがまさにそうだ。フランス、ドイツ、その他、ヨーロッパ諸国、そしてNATO加盟国ではないスウェーデンなども含めて、ともにイギリスは、政治的現実をまさに反映する新しい欧州防衛協定を結ぶ。言い換えれば、ヨーロッパの主要軍事大国が集まり、NATOに匹敵する防衛組織を立ち上げるのだ。それはアメリカによる安全保障の傘が失われる日に備える組織でもある。

協定はさまざまな形をとる。ヨーロッパが重大な転換点にあり、根底から新しい発想を必要としているからだ。新しい組織では、主要な装備を諸国が共有することも含まれるだろう。欧州軍の統合化もそうだ。さらに戦争の形態が急速に変化していることにも対応するべきだ。サイバー空間の安全保障、情報戦争にも備え、協力して研究・行動し、情報収集する必要がある。

協定は2つの非常に異なる、しかし同様に重大な脅威に対応しなければならない。それは、南に広がるテロとカオスであり、ロシアからのハイブリッド戦争である。ロシアは政治的影響力を浸透させ、汚職を広め、サイバー攻撃を繰り返し、今や新型の巡航ミサイルを配備している。

NATOの制度は新しい挑戦に対応していない。新しい欧州防衛協定が始動して、これに対応する。イギリスはその最初の設立に参加する。歴史的には、NATOを侵食するものとして、欧州の防衛構想にイギリスは反対した。しかし今や、アメリカ大統領がNATOの信用を侵食している。再考のときである。

Project Syndicate FEB 15, 2017

A Baltic Test for European Arms Control

VOLKER PERTHES and OLIVER MEIER

FP FEBRUARY 15, 2017

This Is How NATO Ends

BY JEREMY SHAPIRO

Project Syndicate FEB 16, 2017

Ensuring Euro-Atlantic Security

DES BROWNE, WOLFGANG ISCHINGER and IGOR S. IVANOV

FP FEBRUARY 16, 2017

NATO’s in Crisis! (Again)

BY KORI SCHAKE

SPIEGEL ONLINE 02/17/2017

History Repeating

The Greatest Threat to Security Since WWII

A Commentary By John Kasich, Governor of Ohio

SPIEGEL ONLINE 02/17/2017

Looking Beyond NATO

Europe Must Plan to Defend Itself

A DER SPIEGEL Editorial by Christiane Hoffmann


● トランプ・ラリー

Bloomberg FEB 13, 2017

What’s Next for the Trump Market Rally

Mohamed A. El-Erian


● トランプが安倍に学ぶこと

Bloomberg FEB 13, 2017

Things Might Be OK If Trump Borrows From Abe

Noah Smith

ドナルド・トランプが安倍晋三をあたかも兄弟のように抱きしめたことの意味は、その統治スタイルを共有することであってほしい,と私は思う。安倍は、責任ある、ポジティブな、現代ナショナリズムの公式を作り上げた。

20129月に安倍が自民党総裁に当選したとき、多くの日本の左派や外国プレスは、安倍を危険な右翼のナショナリストと考えた。しかし、実際の統治姿勢は、彼らが恐れたような右翼の革新派ではなかったのだ。安倍の政策は、国家を強くし、国民に誇りを持たせることに向けられたものだったが、責任ある、スマートな形で、長期的に展望し、リベラルな内容をも取り込んだ。もしトランプが安倍の計画を採用するなら、トランプ政権は多くの批判が恐れるものより,改善されたものになるだろう。

1に、安倍は、ナショナリズムが移民排斥を意味しない、ということを示した。移民政策を、国家が強くなるために不可欠な人材登用の方策とみなすことだ。2012年以来、日本はカナダのようなポイント・システムを採用し、世界最良・最俊英の人材を狙っている。

安倍は、また、女性の経済参加率を高めるために大いに努力してきた。多くの女性が働き、家族を増やすことが国家を強くする、とナショナリストは理解する。安倍政権の下で、官庁はフレックスタイム制を導入し、託児所の増設に公的資金を投入し、産休・育休を拡大してきた。職場における男女同権、男性の育児参加についても、安倍は強い調子で要求している。

最後に、安倍の主張は、ナショナリズムの,責任ある、寛容な姿勢を示した。安倍の当選で、日本における人種差別的な集団(右翼)は活気を帯びた。ナショナリズムが高まって、彼らの主張が実現できると考えたのだろう。「在特会」の在日朝鮮・韓国人居住区に対するデモや,ネット上の攻撃は、アメリカのオルト・ライトが好むヘイト・スピーチを思わせるものだ。しかし、安倍は逆に、こうした集団の活動や分断を煽る主張を否定したのだ。そして,ヘイト・スピーチを取り締まる法制強化に向けた研究グループを設置し、警察によるヘイト集団の監視を強めた。

この点も、トランプは安倍の統治を大いに見習うべきだ。強い国家とは、国民を包括する国家である。トランプも、アメリカで高まるマイノリティへの憎悪や嫌がらせ、差別的集団を非難するべきだ。また、白人至上主義者のテロを黙認するべきではない。

安倍政権への恐怖が過剰であったように、トランプを恐れる声も過剰であったとわかるだろう。トランプは安倍の統治スタイルを取り入れて、自信のある、プラグマティックで、包括的な、前向きのナショナリズムを推進するべきだ。

NYT FEB. 13, 2017

The ‘Caddyshack’ President

By ELIZABETH WILLIAMSON

VOX 16 February 2017

The chaos of protectionism and why Japan must form a bulwark to protect globalisation

Yasuyuki Todo


● 核エネルギーと核武装

FT February 14, 2017

British nuclear energy and the case for public funding

FT February 14, 2017

Germany has taken itself out of the nuclear running

Josef Joffe

トランプが当選してから,ドイツの政策は根底から動揺している.特に,核武装に関する議論が起きたことだ.ロシアの核配備も議論を刺激した.他人の抑止力に頼る贅沢はいつまでも許されない.


● 情報統制と戦争

SPIEGEL ONLINE 02/14/2017

Division and Fear

The Daily Mail's Dark Worldview

By Mark Rice-Oxley

FP FEBRUARY 15, 2017

Trump Is Showing How the Deep State Really Works

BY MARC AMBINDER

FP FEBRUARY 16, 2017

The Rules of the Brave New Cyberworld

BY WILLIAM J. BURNS, JARED COHEN

NYT FEB. 17, 2017

The Downfall of Kellyanne Conway

By ERIN GLORIA RYAN


● トービン・タックス

VOX 14 February 2017

A rationale for the Tobin tax

Xavier Vives


● ドイツ政治の活性化

FT February 15, 2017

A tight Merkel-Schulz race will revitalise Germany

Nikolaus Blome

SPIEGEL ONLINE 02/16/2017

Schulz versus Merkel

The Revitalization of Democracy in Germany

A DER SPIEGEL Editorial by Dirk Kurbjuweit


● イランと国際関係

FT February 15, 2017

Donald Trump’s bellicosity on Iran is tricky to turn into action

David Gardner

NYT FEB. 17, 2017

Why the Iran Nuclear Deal Must Stand

By ANTONY J. BLINKEN


● カナダとEUの自由貿易協定

FP FEBRUARY 15, 2017

Canada and EU Notch Rare Win For Free Trade

BY ROBBIE GRAMER


● トランプの間違った反イスラム主義

FP FEBRUARY 17, 2017

Five Ways Donald Trump Is Wrong About Islam

BY STEPHEN M. WALT

ドナルド・トランプがホワイトハウスに集めた外交スタッフ、Stephen BannonSebastian GorkaFrank GaffneyMichael Flynnが示すイスラム世界を敵視する姿勢は、アメリカにとって戦略的な破滅をもたらすものだ。彼らは、アメリカそしてユダヤ=キリスト教的な西側世界が、狡猾で強力な敵「イスラム過激派」に包囲されている、と信じている。ハンチントン的な「文明の衝突」を引き継ぐ、強壮剤を付加した世界観は、完全に現実を無視しており、こうした者たちがアメリカ外交を支配すれば、コストの大きな、自己破滅型の十字軍に導くだろう。

その重大な間違いを5つ挙げる。

1.バランス・オブ・パワーは圧倒的にわれわれに有利である。GDP。軍備、それを駆使する技能、いずれもイスラム諸国のパワーは大きく劣っている。

2.イスラム圏は大きく分裂している。

3.テロは深刻な脅威ではない。バスタブで転ぶのと同じ程度の脅威である。

4.「イスラム法の浸透」は単なる妄想だ。何の証拠もない。

5.「文明の衝突」は自己実現的な破滅に向かう。

FP FEBRUARY 17, 2017

Mass Deportations Will Not Make America Safer

BY JUAN S. GONZALEZ

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The Economist February 4th 2017

An insurgent in the White House

Universal basic incomes: Bonfire of the subsidies

Donald Trump’s foreign policy: America first and last

How America’s allies see it: The world watching

The economics of immigration: Man and machine

Young people and democracy: Not turning out

Smartphones in China: Upstarts on top

(コメント) 記事は,まだ事態の推移を知らない,最初の数日について書かれた分析ですが,的確に本質を見ています.トランプがホワイトハウスに入れたイデオローグたちは,これらを「混乱」ではなく,「正しい」ことの始まりと考えます.トランプの支持者や,トランプ自身がその考えを受け入れるなら,その程度に応じて,国際秩序や国内政治・統治システムが深刻な分裂状態に向かうでしょう.それがトランプの目指す「アメリカを再び偉大な国にする」ということであれば,トランプは権力を行使します.

インドなど,貧困国のベーシック・インカムについて.移民排斥が国内雇用を増やすことはない,というブラセロ移民の記録について.若者の投票を促すために.そして,中国の携帯電話市場ではiPhoneXiaomiに代わる新世代が急激に拡大しています.

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IPEの想像力 2/20/2017

グローバルな政治経済秩序をめぐる闘いは重層化しています.EUは,Brexitによってイギリスを失い、カナダとは貿易・投資協定を結びます。ギリシャ債務危機は再燃し、フランスでル・ペン大統領が誕生すれば、ユーロ圏は崩壊します。メルケル後のドイツも議論され始めました。

インドネシア・ジャカルタの市長選挙,インドの通貨改革とウッタルプラデーシュ州選挙.自衛隊が参加する南スーダンにおける内戦と飢餓の深刻化も報告されています.中国・台湾のIT産業からはiPhoneを倒す新興企業群が現れる? 金正男の暗殺。

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混乱が深まれば、保守派の政策、それを支えるイデオロギーが支持されます。

安倍首相とトランプ大統領を比較する面白いコラムを読みました.Noah Smith, “Things Might Be OK If Trump Borrows From Abe,” Bloomberg FEB 13, 2017

スミスは,トランプが安倍から統治スタイルを学んで,プラグマティックな,時にはリベラルな改革でさえ推進する,責任あるナショナリズムを実現するべきだ,と主張します.ナショナリズムの最重要テーマは,国家の強化です.富国強兵を唱えるのは,どこの政治家たちも同じです.

2度目の権力を掌握してから,安倍は経済の立て直し(特に円安と株価上昇)に重点を置きました.経済を強くするのは,国際政治における発言力,軍事力の整備がそれを必要とするからです.「アベノミクス」という命名は多分に政治的な作為によるものでしたが,安倍は日銀総裁を従え,日本のデフレ脱却,累積債務問題の制御に向けて,名目GDPを高めてきました.

スミスは、アベノミクスの評価に触れず,トランプにとって重要な3点を指摘します.すなわち,①プラグマティックな移民政策の採用,②女性の労働市場参加・社会進出など,リベラルな改革の取り込み,③ヘイト・スピーチやマイノリティの権利を重視すること,です.

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国際秩序や国際協調に向けて積極的に発言し,国内社会改革を重視した、戦後のリベラルな政治思想・システムは,グローバリゼーションの中で、統治の脆弱さをポピュリストによって攻撃され,主導権を失いました.それに代わって,安倍,プーチン,トランプ,習近平のような,ナショナリスト,保守派の権力が強化されます。国家主権の再確立と国民の保護を唱え,ナショナリズムを敵視してきた内外の制約やルール,国際秩序を破壊し,大国を中心に再編する声が強まっているのです.

彼らに共通するのは,強い国家・指導力,過去の偉大さを取り戻すこと,影響圏の確立と不干渉です.もしトランプがプーチンと関係改善を推進するとすれば、その基本は新しいウェストファリア体制でしょう。すなわち、領土を確定する.イデオロギーに干渉しない,権力の正当性を承認する.安全保障・国民の文化的統一を優先する.その範囲内で,貿易や投資を国家が管理する.

トランプの国際交渉には、金正恩も加わりそうです.

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問題は権力掌握と維持・強化の方法です。王朝や軍閥でない、リベラルな社会改革派にとって、権力の正当性を得るプロセスは、誰に対しても開かれた、安定的に権力交代を保証する制度でした。

しかし、プーチンの教科書にそのような命題は載っていません。秘密警察、弾圧・暗殺、スパイ、ハッカー、特殊部隊を駆使して、敵国の政治にも干渉します。そして、同盟国や友好関係というのは、一時的な手段でしかありません。

バノンの唱える権力も違います。エリートによる支配を破壊し、主流メディアを敵視し、従来の制度や思考が人民を苦しめている、と主張します。アメリカ外交の新しい目標とは、ユダヤ=キリスト教文化圏に対するイスラム文化圏の浸透を阻み,反撃することです.

そのような強権を握るプーチンのロシア、文明圏戦争のイデオロギーを掲げるアメリカと、本当に、安倍の目指す大国・日本は同盟を組むのでしょうか?

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クリスチャン・カリルの『すべては1979年から始まった: 21世紀を方向づけた反逆者たち』を読んでいます.面白い.そうだ,今も1979年なのだ,と思います.イギリスのサッチャー,イランのホメイニ,アフガニスタンのタリバンに苦しんだソ連,ポーランドを訪問したヨハネ・パウロⅢ,中国の鄧小平。彼らがその後の世界を変えた、と紹介します.

彼らは,宗教的な信念を持った,旧支配体制に反逆する保守的改革派でした.

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