(前半から続く)
● 中国とグローバリゼーション
FT January 20, 2017
China is shaping up to be a world
leader on climate change
Nicholas
Stern
China Daily 2017-01-20
China starting to write the 21st
century narrative
By
Tomas Casas
China Daily 2017-01-20
Make world great, with global
governance
By
Hans Boller-Wu
世界はかつてない不確実な状態にある。アメリカ政府は過去との分断を宣言したし、ヨーロッパは分裂状態が悪化し、戦略的な信頼を欠いている。
必要なことは、無政府的なグローバリゼーションをグローバルな新しい協力体制の下に置くことだ。古代中国の共存に関する思想は、世界の分断を克服する道を示している。それは、習近平主席の言う「人類の共有する未来のコミュニティ」である。
そのためには既存の国際協力機関を改革するべきだ。IMFがSDRに人民元を加えたのは、この方向に沿った改革だ。保護主義や孤立主義はそれを妨げる。一層の成長と繁栄をもたらす互恵的な自由貿易と投資のネットワークが確立されるべきだ。
国連はthe UN 2030 Agenda for Sustainable
Developmentでアジア太平洋における自由貿易を計画している。国民通貨に代えてグローバルな準備通貨を導入する改革案もある。元世界銀行のチーフ・エコノミストであるJustin Yifu Lin(a
professor at the National School of Development at Peking University)は、p-goldと呼ぶ世界準備通貨で、国民通貨による国際金融制度の問題を解決するよう求めている。
最も野心的な、期待できる計画は「一帯一路」である。21世紀のシルクロードは、2013年に習近平主席によって提唱され、人類史上かつてない包括的な努力である。戦後のヨーロッパ再建を進めたマーシャル・プランとの違いは、「一帯一路」が包括的で、すべての国に参加を呼び掛けていることだ。それは中央アジアやアフリカなど、遠隔の、無視された地域にも成長と繁栄をもたらす。
YaleGlobal, Sunday, January 22, 2017
Donald Trump as President: Does It
Mark a Rise of Illiberal Globalism?
Amitav
Acharya
ロシアはEUの崩壊を望むかもしれないが,中国はリベラルな国際秩序の崩壊によって大きな損失を受ける.中国は国際秩序を維持し,新しいグローバリゼーションを指導するだろう.
それは,西(欧米)ではなく,東(アジア)によって,特に中国とインドによって指導される.それは南と南の関係を重視する.それは貿易自由化よりも,インフラ投資や開発を重視する.それは哲学やイデオロギーではなく,主権と経済面を重視する.
西側のポピュリスト体制に対抗する市民社会が行動しなければならない.それは抵抗と,新しいグローバル・ガバナンスへの道を拓くものだ.しかし,グローバル・ガバナンスの要求は強まるが,現実の秩序はますます多次元の複合体になる.
Project Syndicate JAN 23, 2017
China’s Debt-Trap Diplomacy
BRAHMA
CHELLANEY
中国の指導部が真に優れた視点を持つとしたら、それは地政学的な戦略を進めるうえで経済的手段を利用することだろう。1兆ドルの「一帯一路」計画は、戦略的に重要な位置にある発展途上諸国へのインフラ整備を支援し、しばしば巨額の融資を政府に与えるものだ。結果的に、こうした諸国は債務の罠に陥り、中国からの影響に脆弱になっていく。
融資がすべて悪いわけではない。しかし、中国が融資するプロジェクトは、もっぱら中国が自然資源を得るため、中国製品を輸出するために役立つ。また多くの建設事業では、中国が労働者を輸出することで、現地の雇用も生み出さない。
スリランカの国際空港Mattala Rajapaksa International
AirportやパキスタンのHambantota’s Magampura Mahinda Rajapaksa Portのように、すでに大幅な未利用率で赤字を出しているケースがある。ある意味では、こうしたプロジェクトの失敗は中国にとって都合がよいだろう。中国が南シナ海で領土要求をするとき、ASEANの統一を破壊できる。
FP JANUARY 23, 2017
Reboot China’s Foreign Service for
the Age of Trump
BY
QIU ZHIBO
FP JANUARY 24, 2017
China Won’t Run From a Fight With
Trump
BY
MICHAEL AUSLIN
FP JANUARY 24, 2017
China Made Mauricio Macri a Deal He
Couldn’t Refuse
BY
LUKE PATEY
Bloomberg JAN 24, 2017
Trump's Gift to China
Michael
Schuman
FT January 25, 2017
Donald Trump and Xi Jinping’s battle
over globalisation
Martin
Wolf
世界経済フォーラムで、中国の習近平主席がグローバリゼーションを支持する講演を行い、ドナルド・トランプの大統領就任式では、アメリカ大統領としては予想外の貿易に関する警告を行った。その対照は驚愕すべきものだった。
習近平は、「経済的グローバリゼーションを世界の諸問題に関して責めるのは現実と矛盾している」と述べた。「グローバリゼーションはグローバルな成長を加速し、財と資本の移動、科学、技術、文明の進歩、人々の交流を容易にした。」 それは2000年にクリントン大統領が世界経済フォーラムで述べたこととそっくりだ。
他方、トランプ大統領はこの考えを拒否する。「われわれは国境によって、われわれの製品を作り、われわれの企業や職場を盗む、外国がもたらす被害を防がねばならない。」 さらに、「われわれは2つの単純なルールに従う。アメリカの製品を買え。アメリカの労働者を雇え。」
トランプ政権の通商担当者たちPeter Navarro and Wilbur Rossは、「いかなる条約も、アメリカ経済の成長率を高め、貿易赤字を減らし、製造業を強化する者でなければならない」という考えを「トランプ・ドクトリン」と呼んだ。しかし、世界最強の市場であり、世界準備通貨を発行する国の政策担当者たちが、これほど原始的な重商主義を採用するとは、全く考えられないことである。
トランプの側近たちが信じていることは、まったくの虚妄である。彼らは関税によって輸出が増えると考える。しかし、貿易収支(そして経常収支)を決めるのは所得(生産)と支出との差である。保護は、ある産業を犠牲にして他の産業を支援するだけだ。トランプの場合、経済的に死滅する産業を復活させるために保護を行う。確かに、保護がアメリカ経済の魅力を失わせるから外国投資家の投資意欲を損ない、対外赤字を減らすだろう。しかし、それは正気の戦略ではない。
もう1つの間違いは、2国間合意のメリットについてだ。2国間合意は世界市場を分裂させてしまう。2国間合意で競争条件が不安定化するなら、企業は長期的な取り組みが難しくなる。アメリカ大統領は、事実上、望むことを何でもする権限を持っている。しかし、過去の合意を作り変えるなら、アメリカは信頼されないし、その犠牲となる国は、特に中国は、それに報復する。推定では、中国とメキシコはアメリカの貿易の4分の1を占めている。完全な貿易戦争になれば、480万人の雇用に深刻な影響が及ぶ。
さらに、地政学的な意味も重大だ。メキシコを叩いて改革を進める政権を脅かし、中国との数儒年間続いた関係を悪化させる。TPPの破棄ではアジアの同盟諸国を失い、WTOルールを無視して世界経済の安定性を損なう。
「アメリカ・ファースト」の主張は、あたかも経済戦争の宣告である。しかし、そんな勝手なことは信じられないし、単なる「悪辣な国家」であるという自己認識である。覇権国が攻撃するシステムは、崩壊するか、新しい覇権国が現れる。習の中国は、まだアメリカに代わる役割を果たせない。トランプが支持しないシステムは崩壊に向かい、アメリカを含む、誰の利益にもならない。
Project Syndicate JAN 25, 2017
China’s Big Sticks
STEPHEN
S. ROACH
FP JANUARY 25, 2017
China Can Thrive in the Trump Era
By
YAN XUETONG
● 南スーダン
NYT JAN. 20, 2017
South Sudan Cannot Be Allowed to
Collapse
By
ANDREW S. NATSIOS
シリアが世界最悪の内戦状態であれば、南スーダンはそれに並ぶほど深刻な第2位である。
AUの特別委員会は、2015年10月、政府軍や反政府軍による戦争犯罪、人道に反する犯罪が行われてきた、と報告した。飢饉が広いり、政府は機能せず、経済が崩壊している。インフレ率は3ケタに及ぶ。
FT January 23, 2017
Africa: A shrinking space for
autocrats
David
Pilling
● トランプ vs メディア
FP JANUARY 20, 2017
When the Mob Rules, Everyone Is a
Target
BY
JAMES TRAUB
NYT JAN. 21, 2017
The Tempting of the Media
Ross
Douthat
NYT JAN. 22, 2017
News Media, Target of Trump’s
Declaration of War, Expresses Alarm
By
SYDNEY EMBER and MICHAEL M. GRYNBAUM
The Guardian, Monday 23 January 2017
Sorry, Kellyanne Conway.
'Alternative facts' are just lies
Jill
Abramson
FT January 23, 2017
Truth, lies and the Trump
administration
Gideon
Rachman
ドナルド・トランプの就任式に関する群衆の規模に関して、ホワイトハウスのフェイクュースを報告しながら、BBCの記者は笑っていた。彼は泣くべきだった。われわれが目撃しているのは、アメリカ政府に対する信用が崩壊していく現場である。
このあからさまな嘘の演出は、アメリカ民主主義にとって悲劇である。それはまた世界、そしてアメリカの同盟諸国にとって、恐るべきことだ。「真っ赤な嘘」を常習的に利用するトランプ政権が世界の安全保障に対する非常に危険な意味を知るからだ。
「ホワイトハウスの報道官が、われわれにもはっきり嘘であることが分かるようなことを述べるなら、彼が北朝鮮、ロシア、イラン、ISとの戦争に関して言うことを信頼できるか?」 ITNのワシントン特派員は述べた。
アメリカが国際紛争に関わるとき、国連で同盟諸国の支持を求めるだろう。しかし、トランプ政権に対して、誰が支持を与えるだろうか?
確かに、2003年、イラクで大量破壊兵器が発見できなかったとき、アメリカの言葉に関して信頼が損なわれた。しかし友好国は、イラク戦争を行うためにアメリカ政府が巧妙に嘘をついたのではなく、諜報機関の間違った情報を基に失策を犯した、と信じた。その後、オバマ政権は信頼の回復に努めてきた。
トランプはそのすべてを無駄にして、まったく異なる不正直さの概念を示した。彼はあまりにもしばしば、否定できないようなウソをつく。それを「小さな」嘘だという者もあるだろうが、トランプのキャンペーンは嘘から始まったことを軽視できない。オバマはアメリカ生まれではない、という虚言である。
ホワイトハウスに嘘をつく人物がいることは、グローバルな安全保障にとって破滅を意味するだけでなく、世界全体の民主主義にとっても破滅を意味する。ロシアや中国、その他の権威主義体制における反体制派は、真理を求めて、孤独で危険な闘いを進めてきた。そのとき、西側は彼らにとっての優れた代替システムであった。トランプの就任演説には「自由」の言葉が無い。
真実を求める最大の闘いは、アメリカ国民が担う。報道機関は厳格で、勇敢でなければならないし、真実が重要である司法システムの独立性こそ、ホワイトハウスからの最大の試練を受ける。
NYT JAN. 23, 2017
Our New Age of Contempt
Karen
Stohr
NYT JAN. 23, 2017
Why BuzzFeed News Published the
Dossier
By
BEN SMITH
BuzzFeed
Newsが、ドナルド・トランプ大統領とロシアとの結びつきを推測した、35ページの検証されていない書類を公表してから、私はジャーナリストたちからの非難を受け、また読者たちから感謝もされた。
この文書は、諜報機関や政治家、報道機関の間に広く知られていた。それは権力の最高レベルで問題となったのだ。しかし、国民の多くはそれを知ることがなかった。
その中身を、オバマ大統領もトランプ氏も伝えられていた、とCNNが紹介し、トランプ氏の個人的、金融関係の情報を含む、と要約した。新しい政権は、CNNとBuzzFeed Newsを「フェイク・ニュース」と呼んだ。その言葉は、今や党派的な意味を持ち、彼らが嫌うニュースを報道することへの攻撃として使われている。
しかし、この文書は実在している。政府高官たち、議会関係者、諜報機関の間で読まれ、そのトップにも影響を与えたものだ。透明性に関する合理的な論争を、メディアの市民戦争のようにしてしまうのは間違いだ。
報道機関はこの現実を認めねばならない。われわれの視聴者は、複雑な、汚染された情報環境に住んでいる。われわれの役割は、彼らの航海を助けることだ。われわれの作業を示し、信頼を得ることが重要だ。なぜなら、ホワイトハウスの報道官が土曜日にやったように、かつて頼りになった政府の情報源が「オルタナティブ・ファクト」を撒き散らすのだから。
このカオスから逃げ出したいという本能がある。メディアの伝統により、誇張された、ときには虚偽のバランスを示し、神のように権威ある声を示すべきだ、と思うのかもしれない。そのような退却は危険である。正直であることの核心的な価値、視聴者への敬意に根差す新しいルールを発展させる必要がある。検証できない情報も、透明なやり方で視聴者に提供し、われわれがこれを信頼するか、信頼しない理由を示すべきだ。
この役割を否定することは、2017年のジャーナリズムを誤らせる。
Bloomberg JAN 23, 2017
Why Trump's Staff Is Lying
Tyler
Cowen
トランプ政権の始まりで最も顕著な特徴は,その虚言の政治利用である.
服従するものに真実でないことを話すよう求めることで,指導者は彼らが,国民の立場も含めて,独立した立場を取ることを排除できる.それは,メディアや政権内部の者に当てはまる.嘘の連鎖を促すことは,指導者が従属者を信頼しないこと,将来にわたって信用しないことを予想させる.
エコノミストたちは,忠誠のフィルターと呼ぶ.誰かが真に自分に忠誠であるかどうかを見るには,彼らに全くバカげたことをするように求めることだ.それは指導者としてのトランプが家族以外の者に向ける観方である.
忠誠心のテストは,新規採用や,新体制の始まりにおいて,よく見られる.
Bloomberg JAN 23, 2017
The Numbers Are In: Fake News Didn't
Work
Leonid
Bershidsky
NYT JAN. 24, 2017
Skip the White House Press
Briefings, and Focus on the Leaks
By JOHN A. FARRELL
NYT JAN. 25, 2017
In a Swirl of ‘Untruths’ and
‘Falsehoods,’ Calling a Lie a Lie
By DAN BARRY
NYT JAN. 26, 2017
A Lie by Any Other Name
Charles
M. Blow
NYT JAN. 26, 2017
The Intellectual Life of Violence
Brad
Evans and Richard J. Bernstein
● ポピュリズム
FT January 23, 2017
Protesting populism is an
ineffectual parade of principles
Janan
Ganesh
FT January 23, 2017
What we’re talking about when we’re
talking about Trump-ian populism
Cardiff
Garcia
ポピュリストとは何か? トランプの主張には様々なイデオロギーが混在している.右派,重商主義,左派,民間企業への介入,利益相反.
また,社会的な弱者を支援すると約束することはポピュリズムではなく,民主主義体制で政治家たちがどこでも主張することだ.真のポピュリストは,「本物の」民衆に依拠し,その外からの,敵対するものを完全に非合法化し,抹消する,とJan-Werner Müllerは書く.
The Guardian, Wednesday 25 January
2017
Our democracy is broken, debased and
distrusted – but there are ways to fix it
George
Monbiot
● 世界秩序の転換
Project Syndicate JAN 23, 2017
Trump, Iran, and Stability in the
Middle East
JAVIER
SOLANA
FP JANUARY 23, 2017
Trump Has Nothing to Offer Asia
Except Threats
BY
HUNTER MARSTON
Project Syndicate JAN 24, 2017
World Order 2.0
RICHARD
N. HAASS
ヨーロッパで30年戦争が終わった1648年に、主権という概念で国際秩序が形成された。国境の内側で独立の存在が許され、自律性を持つことを認める秩序であり、国境が暴力的に侵されると、不安定性と紛争が生じた。
グローバル化した世界では、国境は常に浸食され、主権に依拠するシステム、すなわち世界秩序1.0では不十分になっている。旅行者、テロリスト、難民から、e-mail、病気、ドル、温室効果ガスまで、国境は失われている。システムとして機能するには、世界秩序2.0に更新する必要がある。
この新しい国際秩序は、国家の合意された基礎から始めて、規範と枠組みを拡大することになる。グローバル化した世界において、国家には主権だけでなく、守るべき義務がある。すなわち、テロを支援してはならない。大量破壊兵器を拡散してはならない。重要な技術や資源・素材へのアクセスを阻んではならない。
また、欠かせない要素として、気候変動に関する協力がある。すべての国が温暖化の破壊的な影響に直面する。2015年のパリ合意を推進しなければならない。サイバースペースの利用について、その悪用を抑える国際的枠組みが必要だ。こうした義務を無視する国は、制裁や報復に直面する。グローバルな医療・衛生問題にも協力するべきだ。
難民に関しては、第1に、その紛争地域を安定化することが重要だ。人道的な介入も求められる。政治に関する不一致や財政負担を考えれば、そのための協力には限界がある。しかし、難民を救済するために基金を増やし、人道的な扱いを求め、再定住地への移住を公平に分担する原則が支持されるだろう。
貿易で国家がなすべきこと、禁じられていることは、WTOが紛争処理メカニズムを提供する。しかし、政府補助金や通貨市場への介入に関しては合意が難しい。何が国家に求められる義務なのか、生来の協定と紛争処理メカニズムに向けた交渉が求められる。
その前進は、各国が自発的に従うことであり、上から強制するものではない。実際、主権国家が従う義務を定義することはむつかしく、それを強制することはできない。この問題は、アメリカにトランプ大統領が登場したことでさらに解決困難になっている。
しかし、世界秩序2.0は野心的ではあるが、リアリズムに従う変化である。単なる理想主義ではない。
Project Syndicate JAN 24, 2017
How America’s Asian Allies Can
Survive Trump
ANNE-MARIE
SLAUGHTER and MIRA RAPP-HOOPER
ドナルド・トランプ大統領がどのようにアジアの同盟諸国に対して安全保障を維持するつもりなのか、不安がある。1972年、ニクソンとキッシンジャーが中国との外交関係を回復して以来、アメリカが続けてきた外交姿勢を転換するつもりであることも不安を高めている。
2国間の同盟は大国による小国の支配を最大化する。他方、多国間制度はパワーと影響力をより均等に分配する。アメリカはアジアで、ハブ・アンド・ポークの中心となり、協力と資源の蓄積に成功してきた。トランプは多国間の合意を嫌う。
そうであれば、アジアの同盟諸国は自分たちの手で多国間の地域安全保障を整備することであろう。第1に、南シナ海の領土問題で中国が攻撃的な主張をする場合、これに協力して対抗することだ。すでに、日本、韓国、オーストラリアは2国間で東南アジア諸国への支援を行っている。
さらにアジアの安全保障においてネットワークを緊密化することは、トランプ政権が行動する際の透明性を求め、不安定化を抑える力を強める。北朝鮮や中国に対して、アメリカの姿勢がアジア諸国にとって非常に危険である場合、その方針を転換するように説得できるだろう。
「アジアにおける安全保障ネットワークの原則」というアイデアは、オバマ政権が推進したものだが、トランプ政権が継承するとは思えない。しかし、アメリカに頼らず、アジア諸国が実現するべきだ。
FT January 25, 2017
Trump faces ‘alternative facts’ from
Putin in the Middle East
David
Gardner
FP JANUARY 25, 2017
Smart Approaches, Not Strong-Arm Tactics,
to Jobs
Thomas
L. Friedman
FT January 26, 2017
What the world hears from Donald
Trump
Philip
Stephens
FP JANUARY 26, 2017
Trump’s Pox Americana
BY
DAVID ROTHKOPF
● ヨーロッパの自立
Project Syndicate JAN 23, 2017
A New Deal to Save Europe
YANIS
VAROUFAKIS
FT January 24, 2017
Europe holds its destiny in its own
hands
Emmanuel
Macron
● ロシアとの関係修復
NYT JAN. 23, 2017
Russia Is a Terrible Ally Against
Terrorism
By DANIEL BENJAMIN
FP JANUARY 23, 2017
Russia Makes Play to Become U.N.’s
Anti-Terror Czar
BY
COLUM LYNCH
Project Syndicate JAN 24, 2017
Another Reset with Russia?
ROBERT
SKIDELSKY
西側の住民,そして私のようなロシア系の子孫も,プーチンのロシアを好ましいとは思えない.NGOsを弾圧し,人権を無視し,政治的な反対派を暗殺し,謀略にはめ,投獄した.
しかし,ロシアで反リベラルの,権威主義体制が成立したことは,西側の対応にも責任がある.西側,特にアメリカは,冷戦を終結させたソ連の解体を利用し,NATOを拡大した.それはロシア人に深い屈辱を与えた.ロシアのNATO加盟は拒否され,ウクライナをNATOに加盟させると告げたことも,ロシアに打撃となった.西側はルールに基づく世界を主張するが,NATO軍がブルガリアを空爆するとき,何も説明しなかった.
ウクライナの大統領が立場を変え,EUとの合意を結ぶと告げたことは,2014年の民主化運動が西側の陰謀であった,というモスクワの疑いを強めた.それにもかかわらず,ロシアのクリミア併合やウクライナ介入に対して,西側は一斉に反発した.
権力政治からみても,モスクワのウクライナ介入は失敗であった.それはウクライナを決定的に西側に追いやり,西側から一致した経済制裁を受けたからだ.しかし,西側はむしろ,ロシアの帝国かではなく,その弱さを恐れるべきだった.モスクワは資源に依存したまま,「石油の呪い」から抜け出せなかった.
その意味で,トランプがモスクワとの和解を唱えることは正しい選択だ.少なくとも3つの点で成功する条件はある.1.プーチン外交は機会主義的だが,同時に慎重だ.2.ロシアの唱える「多極化した世界」は,中国の台頭によって変化する国際関係に,一定の役割を果たす.3.プーチンの「リアリズム」は,シリアの化学兵器処理でも,アサドを支援した和平の実現でも,西側の「政治的解決」より優れている.
双方の価値観は対立し続けるとしても,外交関係を改善することは正しい.
● 労働の未来
Bloomberg JAN 23, 2017
A Robot Tax Is a Bad Idea
Leonid
Bershidsky
Project Syndicate JAN 25, 2017
Inclusive Capitalism or Bust
ANDREW
LIVERIS
Project Syndicate JAN 25, 2017
Decent Work or Indecent Politics
GUY
RYDER
Project Syndicate JAN 25, 2017
Work in an Automated Future
JOHAN
AURIK
● 地中海の移民
SPIEGEL ONLINE 01/24/2017
Mediterranean Migraine
Italy's Growing Refugee Problem
By
Luigi Albonico, Peter Maxwill, Vladimir Otasevic, Charlotte Teunis and
Katharina Wecker
● トランプ政権始動
NYT JAN. 24, 2017
President Trump Is in the Building
By ARTHUR C. BROOKS and
GAIL COLLINS
FP JANUARY 24, 2017
What to Watch Out for, Mr. President
BY
FP'S SHADOW GOVERNMENT CONTRIBUTORS
FP JANUARY 25, 2017
America’s New President Is Not a
Rational Actor
BY
STEPHEN M. WALT
トランプの言動は,自身の利益にもならない.外交も,意味を理解していない.
なぜ明確に説明しないのか? 地政学を理解した幹部がいない.政権内部の暗闘が続いている.あるいは,第3の可能性としては,トランプとバノンがハンチントン式の「文明の衝突」に依拠して国内の多文化主義を否定し,対外的な敵と友好国とを決めている.すなわち,国際的なリベラル派的であり,プーチンやヨーロッパの右翼,イスラエル政府は味方である.
私はハンチントンの『文明の衝突』に反対した.それは世界政治を誤解している.「文明」は政策や行動を決める主体ではない.国家が決める.同じ文明圏の中でも,国家は異なった行動をとる.
トランプ政権はどこに向かうのか? 第1に,外交・防衛政策が転覆するだろう.第2に,予想外の結果に振り回される.「アメリカ第1」を主張するアメリカに,他国はこれまでの関係や約束を見直す.その過程では,怒り,不安,怨嗟が支配する.
FP JANUARY 25, 2017
Practical Advice for Trump from
Across the Aisle
BY
PETER FEAVER
FP JANUARY 26, 2017
Is Donald Trump ‘Leader of the Free
World?’
BY
NICOLE BIBBINS SEDACA
● インドネシア
FT January 26, 2017
Indonesia: A nation’s tolerance on
trial
Ben
Bland
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The Economist January 14th 2017
Lifelong learning
Trump and Mexico: Handling a bully
Proliferating parties: Splitters
Manufacturing: They don’t make ‘em like that any more
Lexington: How to use superpower
Political fragmentation: Going to bits
Advanced manufacturing: The new manufacturing footprint
Free exchanger: Get off of my cloud
(コメント) 製造業の変化について,興味深い考察が示されています.かつて製造業と言われた部門は,今ではさまざまな姿に分かれ,さまざまな姿で一部が外国に移転され,新しい職業が重要になっています.もし組み立てラインを製造業と思い,その復活を願うなら,全くナンセンスな主張になります.
政治も政党も分解し続け,権力者が世界をどのように扱うべきか,オバマからトランプへの交代が深刻な影響を及ぼします.
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IPEの想像力 1/30/2017
トランプ大統領の政治支配は,通貨危機のロジックを応用したものではないか,と思いました.私は,通貨危機を説明する3つの議論として,マクロ経済の不均衡,ポピュリズム型の国内政治,金融市場における資本の短期移動,を挙げます.
第1に,内外のマクロ経済的な不均衡が特別な制度や期待によって維持されているとき,何かのきっかけで,通貨危機が起きます.トランプ氏が大統領候補に残り,選挙に勝利した背景には,2008年の世界金融危機と,その際の大銀行に対する政治的救済がありました.
さらに,グローバリゼーションの下で,制度や産業構造の転換は容易に進まず,デフレを回避するために異常な金融緩和を続けて,結果的に資産保有者の所得をさらに増大させたのです.この不平等を,政治は許しませんでした.かつてモイゼス・ナイムが指摘した「権力の新しい調理法」が,こうした裕福な諸国にも広まったのです.
https://www1.doshisha.ac.jp/~yonozuka/Review2009/081009review.htm
トランプ氏は,経済法則も,金融政策も,外交の基本も,全く気にすることなく,恫喝し,過去の合意を破棄して,個々の取引に有利な条件を求めます.事実や真実にも関心はなく,虚言は好ましい結果を出すための現実的な手段にすぎません.
なぜ誰でもわかるような嘘をつくのか? なぜ世界政治にふさわしくない終末論やハンチントン風の「文明の衝突」を唱えるのか? 支持者の忠誠心を試している? 権力層内部の暗闘が続いている? むしろ,トランプ=バノンの狙いが,「新しい戦争状態」を導くことで彼らの権力を強化することにある,という疑念が生じます.もしそうであれば,アメリカがシリア内戦やアフリカの破たん国家のような状態になるシナリオが,「自己実現的」であることに戦慄を覚えます.
第2に,ポピュリズム型の指導者が,選挙制度や有権者を支配する政治文化によって,経済危機を権力獲得の機会にする場合も,次の通貨危機を準備します.なぜなら,債務危機と高インフレを抑えるための厳しいデフレ策,通貨価値の安定から,次の局面では,逃避していた資本が還流し,成長による財政の健全化が進み,積極的な財政刺激策で次の選挙に向かうからです.インフレが加速し,対外赤字や財政赤字が増大しても,債務を増発して過熱状態を政治的に維持します.
アメリカ政府が,グローバルな金融市場を利用する,最も深刻なポピュリズム型の通貨危機を準備しているのかもしれません.ブームと金融破たんの循環こそ,ラテンアメリカでポピュリストたちが好む「民主主義」の政治環境でした.
第3に,金融市場が豊富な短期資金の投資先を求めて,得体のしれない新技術や確認されてもいない資源,あるいは,新興諸国の経済ブームに向かうとき,何かのきっかけでバブルは破裂し,資本流出を生じます.今のトランプ・ブームがそうです.金融緩和は終わり,引き締めを急ぐべきか,政府の政策を見極めるべきか,連銀は迷っているはずです.
メキシコや中国と,そして,北朝鮮とも,トランプ政権は危険な言動を示し始めています.もしこうした異常さが,国際秩序を解体することで,最強国に最も有利な取引をもたらすという目的に合致しているのであれば,それにともなう多数の痛み,犠牲者,グローバルな危機は「アメリカ・ファースト」の予定された副産物です.
世界の多くの国で起きたように,トランプも暗殺や謀略を駆使して,チェック・アンド・バランスを解体し,国内権力基盤を強化します.
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