IPEの果樹園2017

今週のReview

1/2-7

*****************************

フェイク・ニュースの時代 ・・・グローバリゼーションと政治 ・・・危機と政治経済学 ・・・ロシアによる情報操作・政治介入 ・・・リアリストの守るリベラルな社会 ・・・不平等と資本主義の関係 ・・・ソ連崩壊からiPhoneまで ・・・トランプ大統領 ・・・所得の移転・補償 ・・・ティートマイヤーの訃報 ・・・支配か,協力か

 [長いReview]

******************************

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


● フェイク・ニュースの時代

FT December 22, 2016

Year in a Word: Post-truth

John Thornhill

「客観的な事実が、気分や個人の信念に訴えることに比べて、世論の形成に影響することがなくなった状況」

ざっくりと言えば、2016年は嘘の年であった。EU離脱派が主張した「われわれは毎週、35000万ポンドをEUに送っているが、それよりNHS(国民医療保険)に使え」というのは、間違いだった。しかし、バスの車体にまで書いて宣伝し、有権者の気持ちを動かした。

アメリカ大統領選挙では、事実を検証するサイトPolitiFactが示したように、ドナルド・トランプの声明の51%がほとんど、もしくは、まったくの嘘であった。さらにサイトは、18%を、単なる嘘ではなく、ばかばかしい、と分類した。

主要メディアはこの問題を軽視していた。

The Guardian, Friday 23 December 2016

The Guardian view on Donald Trump: years of living dangerously

Editorial

ドナルド・トランプの当選は、2016年の他の何よりも、世界に衝撃を与えた。トランプの閣僚指名は、低税率、小さな政府を好む者や、気候変動を否定する石油ビジネスマン、長い軍歴を示す者、といった白人男性が圧倒的である。

トランプほど、アメリカを憎しみの国にした候補者はかつていなかった。トランプほど、激しい敵意と抗議活動、そして何より、アメリカ人に道を見失わせた大統領当選者はいなかった。

2017年と今後の最大の問題は、トランプの個性、判断、行動パターンが、アメリカとその統治形態にどのような衝撃を与え、変形するのか、ということだ。世界で最も重要な民主主義国がトランプを、すなわち権威主義的なデマゴーグを選んだことは、根本的な疑問を生じる。アメリカは機能していないのか、その歴史的な規範は失われ、1つの破たん国家になったのか?

もちろん、そうではない。しかし、1930年代との共鳴は真剣に考えるべきだ。トランプは、自国が破壊され、腐敗し、暴力が蔓延していると批判した。彼がこの3つの問題の答えである、と。アメリカは明らかに機能していない。それが不安を高めた。その不安定化に乗じてトランプが登場したのだ。彼は普通の候補ではなかったし、選挙は普通の選挙ではなかった。トランプは普通の大統領にならない。アメリカはもう1つのアメリカになるだろう。

ピッツバーグで、トランプは歓声を上げる群衆に向けて話した。「われわれはこの偉大なペンシルバニアで勝利する。そしてホワイトハウスを取り戻すだろう。・・・われわれが勝利すれば、かつてのように、鉄鋼業はペンシルバニアに帰ってくる。われわれが鉄鋼労働者や鉱山労働者たちに仕事を取り戻す。それは我々だ。」

この話は真実ではない。トランプはわずかの差でペンシルバニアの勝利を得た。しかし、280万人以上も多い人々がクリントン夫人を支持した。トランプに投票したのは裕福な人々で、貧困層ではなかった。しかし、ペンシルバニアのような下線区でトランプに勝利をもたらしたのは白人のブルーカラー労働者たちであった。

とはいえ、彼らはトランプの約束を信じてはいない。双方に戦術的な理解があった。すなわち、トランプは嘘をついた。有権者はそれを知っていた。彼らがトランプに投票したのは、彼がシステムを破壊するからだ。しかし彼らは、同時に、システムがその無謀な選択の最悪の効果から自分たちを守ってくれる、と信じたのだ。その意味で、トランプ支持はBrexitと似ている。

有権者がトランプを信じなかったとしても、彼らはこの予測できない、今までにない危険な大統領を生んだ。トランプは最終的に失敗するだろう。なぜなら彼を11月に勝利させた人々は、彼に満足できないからだ。

トランプ大統領の2017年は、アメリカと世界にとって恐怖の未来となる。

FT December 23, 2016

What to do when the ‘truth’ is found to be lies

Timothy Garton Ash

ゲッベルスやスターリンに言及しなくとも、全体主義の嘘についてソルジェニーツィンやジョージ・オーウェルが解剖した。

新しい危険とは、「真実後」の時代と言うより、「事実後」の時代が来たことだ。事実に依拠しない主張が民主主義を脅かす。感覚が事実を圧倒する。たとえオバマが出生証明書を公表しても、トランプは「多くの人がそれを疑わしいと思う」と主張して、攻撃をやめなかった。真実ではなく、真実らしさが重要な時代になった。

政治ニュースにおいて、事実を検証することはすでに行われている。インターネットがもたらした、迅速かつ効果的に反対論が現れる時代を有効なものにするため、インターネット・リテラシーをすべての学校で教えるべきだ。大学は、厳密な証拠に基づく分析をカリキュラムに広く取り入れる必要がある。

ビジネスとしてのニュース・メディアがフェイク・ニュースに駆逐されるときには、慈善団体が支援して、独立の調査報道やジャーナリズムを守るべきだ。

ハイテク企業は、プーチンのように混乱を煽るフェイク・ニュースの流布や、虚偽のオンライン広告で利益を上げる行為を追跡し、排除しなければならない。Google, Facebook and Twitterでは、多数の人々がニュースを求めて検索している。こうした「プライヴェート・スーパーパワー」が果たす公共的責任を重視しなければならない。それは単に、グローバルな公共圏を築くための礎石を提供する、というのではない。「あなたの友人が好むか」という基準を示すことは、フェイク・ニュースを駆逐するのに役立たない。

中立的な仲介者、という立場は維持できない。フェイク・ニュースの報告を受けること、検証団体の合意があれば、危険を示す旗・目印を付けることができる。しかし、Facebookがそのデータベースを公表しないなら、われわれは彼らの検索エンジンが正しく機能しているかどうか、チェックできない。すべての権力が精査されるように、Facebookの持つパワーも精査されるべきだ。

しかし、Facebookを「真実を決める機関」にしてはいけない。虚偽を排除するための不可欠なパートナーである。

公平で、オープンな社会を築くために、われわれは格闘している。

Project Syndicate DEC 23, 2016

When Leaders Are True to Their Lies

RICARDO HAUSMANN

ヴェネズエラの国内支払い危機と、ドナルド・トランプ次期大統領が商務長官に指名したWilbur Rossが述べる、NAFTAの死、とは、何が共通しているのか?

全ての政府は嘘をつく。しかし、その嘘を信じている政府は少ない。政府が自分たちの嘘を真実にするために行動するとき、それは危険な事態になる。

Chávezと、その死後に政権を引き継いだMaduroは、ヴェネズエラを弱くする諸政策を採用した。無駄な政府支出、民間資産の収容、価格や為替レートの管理、無謀な海外借り入れ。2013年に、グローバルな資本市場はヴェネズエラを見限った。そして2014年、原油価格が下落した。

経済状況は悪化したが、Maduroはそれをアメリカやその仲間による経済戦争のせいにした。危機のどのような兆候も、敵による攻撃の結果であった。投機業者が買い占めによって物資の不足になり、悪意のあるビジネスマンが価格を吊り上げてインフレになっている。

Maduroは高額紙幣の発行に失敗したが、それは高インフレの常態を是認することになるからだった。いまや100ボリバルは0.03ドルの価値しかないために、支払う紙幣が不足している。Maduroによれば、問題は単純だ。CIAとマフィアがこの国を収奪しているからだ。そこで政府はマフィアを退治するために、旧紙幣を廃貨し、わずか72時間以内に新紙幣への交換を強制した。この間、外国からの旧紙幣を遮断するために、コロンビアとブラジルに対して国境を封鎖した。

国内支払いシステムが崩壊し、ヴェネズエラはカオスに陥った。

NAFTAの死、もそうである。トランプは、NAFTAがアメリカの結んだ最悪の通商条約だ、と断言している。トランプによれば、メキシコに逃げた職場を、ラスト・ベルトの有権者は取り戻せるのだ。それが嘘であることに人々が気づくまで、非常に大きなダメージを生じるだろう。NAFTA離脱の話だけで、すでにメキシコ・ペソは14%も減価した。その規模は、アメリカがNAFTA離脱により関税を引き上げると思われる率よりも大きい。

FT December 26, 2016

Year in a Word: Alt-right

Edward Luce

“Alternative right”の省略形である。アメリカの白人ナショナリスト集団で、既存の主流派保守主義を拒む、大まかな分類。

極右集団は、西側民主主義の周辺に常にあったが、この数年で、特にトランプの選挙運動により、アメリカ政治における影響力を認められた。しかし、Alt-rightには政治運動としても本質が欠けており、その起源はインターネット型のカウンターカルチャーだ。たとえば、日本アニメのマニアが集まるサイトのような。かつてのヒッピー文化と同じで、親たちの価値を破壊して喜んでいる。

Project Syndicate DEC 28, 2016

Open Society Needs Defending

George Soros

NYT DEC. 28, 2016

The Trump Matrix

Ross Douthat

トランプは何をするのか? 政策に関する軸と、ガバナンスに関する軸があり、その双方でトランプ体制の意味は変わってくる。


● グローバリゼーションと政治

FT December 22, 2016

My Christmas tree lights and the success of globalisation

John Gapper

ロンドンの自宅に、先週、鮮やかなモミの木を運び込んだ。クリスマスを祝って、私たちはその下でプレゼントを交換する。

当たり前だと思うかもしれないが、クリスマス・ツリーやその飾りは、着実な技術革新と、世界規模での企業間競争が実現したことの典型である。温かい、白色のLEDライトが、かつての白熱電球に代わった。しかも、それは安全で、非常に安い。

われわれはそれらをAmazonのサイトで購入した。価格とカスタマーの星の数で決めた。それはロンドンの小さな会社、Ansioが販売していた。Ansioはフィンランド語で、“merit” or “worth”の意味だが、感じが良くて、Aで始まるから。しかも、まだ使われてなかったから設立者たちが選んだ。

Ansioの設立は2014年で、インド生まれの3人の移民企業家が始めた。彼らは電子的な飾りから、照明、特に装飾的なLEDを扱った。パートナーが広東の商品展示会を観て回り、生産者を探した。それは広州で年2回開催される最大の展示会だ。

彼らはNingbo寧波の生産者を選び、訪問して製品の質をチェックした。そこには多くのLED生産者が集まっており、日本や韓国の生産者と激しい価格引き下げ競争をしていた。

クリスマス・ツリーのライトは、寧波から地球を半周して届き、イギリスの税関を通過して、倉庫からはAmazonが配達した。Amazonのカスタマー・サービスと配達のバック・オフィスの仕事は、遠く離れたインドの労働者がインターネットを通じて行った。小さな企業でも、こうしてグローバル・サプライ・チェーンを利用している。

ライトの話では、グローバリゼーションが半分で、残りの半分は技術革新だ。アメリカがクリスマス・ツリーをろうそくで飾ったのは、ドイツの伝統に従っていたからだ。1882年、エジソン電燈会社が1882年に電燈をツリーに灯した。1903年、その会社はGEとして、24の電燈を12ドルで売っていた。

1962年に、GEの科学者がLEDを発明したが、初期のLEDは赤色で、時計や計算機に使用された。証明としてオフィスや部屋に使われたのは、10年前であるが、それはPhilipsなどの企業が青色のLEDを作って、白色の電燈にしたからだ。

技術が急速に改善され、より明るく、より安価になった。それとともに「規模の経済」が働き、中国はLED生産に進出し、世界の生産能力を飛躍させた。だからこそ、われわれはこれほど安く買える。1903年に、GEからクリスマス・ツリーの電燈を300個買えば、現在の物価で、3870ドルもかかるだろう。

クリスマスを祝う照明は喩えである。イギリスのインド系企業が、アメリカのインターネット販売を通じて、中国製のLEDをフィンランドの企業名で売っている。グローバリゼーションや技術革新は、今年、非常に不人気になった。それは開発の進んだ諸国で職を奪い、コミュニティーを破壊すると非難された。しかし、物質的な豊かさも実現した。

多くのモノが容易に、安く、しかも、かつてより改善された形で購入できる。われわれはそれを許すことで、進歩し続ける。

メリー・クリスマス。

Project Syndicate DEC 26, 2016

Trump’s Gathering Trade War

STEPHEN S. ROACH

NYT DEC. 26, 2016

And the Trade War Came

Paul Krugman

ドナルド・トランプは、白人労働者階級の支持を得て、ホワイトハウスに入るが、製造業の良い職場を取り戻すという約束より、彼らの医療保険を取り上げる約束のほうが信用できるだろう。アメリカ企業は、トランプが貿易戦争を始めるとは思っていないのだが、それは選挙運動のまさに情熱を傾けた主張であった。トランプの不公平な貿易協定や権威主義体制への賛美を政策には持ち込まない、と思うのは間違いだろう。

共和党員たちは自由貿易を称賛してきたのだが、彼らの意気地のなさを見れば、保護主義にブレーキをかけるとは思えない。しかもホワイトハウスには抜け道がある。安全保障にかかわる場合、国際収支赤字に関わる場合、外国政府が正当化できないような政策を採る場合、大統領は保護主義を選択できる。だれがその条件を認めるか、と言えば、大統領自身だ。

トランプには保護主義に訴える動機がある。彼は白人労働者への約束を守る大きなショーを演じるだろう。それが引き起こす国際対立は、医療保険制度その他を彼が破壊するとき、注意をそらせるのに好都合だ。トランプは貿易をゲームとみなす。略奪的な中国というイメージ、陰謀論を利用する。実際、アメリカは強い報復を受けるだろう。

アメリカは世界貿易を動かす超大国ではなくなった。中国やEUの方が重要だ。彼らはアメリカの保護主義に対して、その弱点を狙って報復する。航空機や農業だ。アメリカが貿易のルールを無視すれば、世界中がルールを無視した保護主義に走るだろう。

それが世界不況をもたらすとは思わない。しかし、「ヴァリュー・チェーン」を破壊し、多くの混乱を生じる。グローバリゼーションが後退する過程でも、それが進む過程と同様に、アメリカの労働者たちは犠牲になる。

大統領になれば、トランプは、安全保障でもそうだが、国際経済学を学ぶだろう、と期待するのは間違いだ。彼は自分が十分に「スマート」だから、安全保障に関する退屈なブリーフィングをやめさせた。貿易戦争は始まるだろう。シートベルトをきつく締めるしかない。

FT December 28, 2016

Donald Trump threatens the resilience of world trade

FP DECEMBER 28, 2016

On EU Trade, Brexiteers to The Rescue!

BY KAVITHA SURANA


● 危機と政治経済学

Project Syndicate DEC 23, 2016

The Crisis of Market Fundamentalism

ANATOLE KALETSKY

経済危機の後には、数年遅れて、政治危機が生じる。2008年の金融危機が、政治制度への信頼性を砕き、改革の動きを呼ぶのだ。

それは以前からそうだった。1848年にマルクスとエンゲルスが『共産党宣言』を出版した、グローバリゼーションの最初の危機は、その後の改革や労働者に対する権利付与をもたらした。第1次世界大戦後に、イギリス帝国が崩壊したことは、ニューディール政策や福祉国家をもたらした。1968年以降、ケインズ主義経済学が破たんすると、レーガン=サッチャーの政治革命が起きた。

資本主義のあるモデルが成功している間は、物質的な進歩が政治的圧力を緩和する。しかし経済が破たんすると、移行期に入るだけでなく、より深刻な矛盾の兆候が現れる。資本主義の破壊的な社会的副作用が、政治的に有毒な影響を及ぼすのだ。

漸進的な改革派は、移民、貿易、所得分配に関する不満に応えようとしたが、システム全体に挑戦する過激な政治的主張に敗北するだろう。

経済競争は国民所得を増やすが、それを社会的に受け入れ可能な仕方で分配するとは限らない。そのためには、少なくとも2つの視点から、政治的な介入が必要だ。第1に、マクロ経済管理で需要の増大を維持し、それが技術革新やグローバリゼーションによる供給の増大に見合うようにすることだ。第2に、社会的結果や経済構造に及ぼす政府介入の意味を理解する知的革命だ。

市場原理主義は根本的に矛盾している。自由貿易、技術進歩、その他の経済効率性を高める力は、社会的に有益であると言うが、それは誰も不利益を被らないと考えるからだ。このパレート最適性は、自由化政策の利益を、勝者から敗者に再分配することが前提されている。市場原理主義は、むしろこれに反対する。

彼らによれば、税金、社会福祉、その他の政府介入は誘因を歪め、競争を損ない、社会全体の経済成長を損なう。今年の政治混乱の後、社会的利益と個人の損失との重大な対立がもはや無視できなくなっている。それはサッチャーやレーガンがタブーとしたことだが、貿易、競争、技術進歩が次の資本主義の局面をもたらすには、必要とされている。

Project Syndicate DEC 23, 2016

Economists versus the Economy

ROBERT SKIDELSKY

正直になろう。今、世界経済に起きていることは誰にもわからない。回復に向かうのか、「長期の停滞」に落ち込むのか? グローバリゼーションは来るのか、去るのか?

政策担当者たちは何をしたらよいのかわからない。彼らはいつものレバーや、普通は使わないレバーも押すが、何も起きない。量的緩和でインフレは起きず、財政引き締めで投資家の自信も回復しなかった。

マクロ政策が効かないのであれば、「構造改革」しかない。しかし、それが何を意味するのか、何の合意もない。威信を失った指導者たちは有権者の不満を刺激する。経済は彼らによって管理されるはずであるのに、政治への要求は厳しくなる。

2008年までは、専門家たちが事態をコントロールできると思っていた。しかし、住宅バブルは起きていたが、それを軽視した。「なぜ嵐が来るのを見逃したのか」とエリザベス女王はエコノミストたちに問いかけた。「聡明な人々は集団的な想像力に欠陥があった」と彼らは説明した。

それに賛成しないエコノミストたちは、経済学の教育に欠陥がある、と考えた。ほとんどの経済学部の学生は、心理学、哲学、歴史、政治学を学ぶよう求められない。彼らは、非現実的な仮定をともなう、わずかな経済モデルを学び、数式を解いて能力を試される。全体像をとらえる精神的な道具は決して得られない。

この問題はジョン・スチュアート・ミルにさかのぼる。19世紀の偉大な経済学者で哲学者でもあった彼は、エコノミストでしかない者は、良いエコノミストになれない、と信じていた。神学が崩壊してから、人間の条件を全体として理解する人文学の分野は存在しないが、経済学ほど全体から切り離され、他の社会科学からも切り離された学問はない。

ケインズの一般理論には1つのモデルもないが、それは彼が数学的な定式化を他の者に委ねたからだ。彼は読者が自由に彼の主張から「直観」を得るように求めた。

VOX 24 December 2016

Policy analysis in a post-truth world

Charles Manski

Project Syndicate DEC 28, 2016

Keynes Reborn

KOICHI HAMADA


● ロシアによる情報操作・政治介入

Project Syndicate DEC 23, 2016

Russia’s Hybrid War Against the West

GUY VERHOFSTADT

FP DECEMBER 23, 2016

The Russian Question

BY NIALL FERGUSON

FP DECEMBER 23, 2016

The Kremlin’s Economic Grip on Europe

BY MARTIN VLADIMIROV, RUSLAN STEFANOV

ロシアは東中欧の諸国において、非リベラルな政党を支援している。さらに、多くの賄賂を贈って、政治家や企業を腐敗させている。そもそもこの地域の経済は、ロシアの石油・天然ガスに依存している。それはモスクワの主要な経済的チャンネルだ。また、エネルギー部門は政治との関係が深い。また、金融危機以降も、ロシアの影響力は金融、メディア、情報、輸送、建設、不動産で拡大した。ロシア企業はスポーツや文化にも投資している。政府が制裁を受けているので、こうした民間投資が重要だ。

Bloomberg DEC 23, 2016

Putin's Winning Streak Will Be Hard to Extend

Leonid Bershidsky

プーチンは、まだその報酬を得ていない。ウクライナでも、アメリカの選挙でも、シリアでも、原油価格でも。

NYT DEC. 23, 2016

President Gorbachev’s Last Phone Call

By SVETLANA SAVRANSKAYA and THOMAS BLANTON

19911225日、ゴルバチョフはソビエト連邦の大統領を辞任すると発表する2時間前に、キャンプ・デイヴィッドのジョージ・HW・ブッシュ大統領に電話してきた。ブッシュはクリスマスを祝うために家族で滞在していた。

ブッシュとゴルバチョフとは、ソ連の解体が流血の事態にならないように、また中東のような地域紛争を解決するために、協力してきた。

ゴルバチョフの言葉は、強い心と、政治家としての姿勢に貫かれている。それは彼がロシアの将来について、エリツィンとロシアの改革を支援するように、また、各共和国が混乱なく分離できるように助けてほしい、とブッシュに頼むときにそうである。ゴルバチョフは、たとえエリツィンがソ連崩壊に向けて役割を担った人物であったとしても、彼を支持するという決意を述べ、政治的役割を果たし続けると表明した。

NYT DEC. 26, 2016

In Russia, It’s Not the Economy, Stupid

By SERGEI GURIEV

NYT DEC. 26, 2016

Putin Sees a Happy New Year

By MICHAEL KHODARKOVSKY

プーチンのやったことは新しいことではない。ロシアは昔からそうだった。『シオンの賢者の議定書』は、ロシア皇帝の秘密警察が作った悪名高い偽書で、1903年にロシア語で発行された。世界を征服するユダヤ人の計画を描いたものだと称して、いたるところで反ユダヤ人差別のバイブルとなり、ナチスが広く利用した。

情報操作、プロパガンダ、諜報機関。ソビエトとフィンランドが1939年に戦争したとき、モロトフ外務大臣はソビエトがフィンランド人に空爆していることを否定した。そして、人道支援物資を投下している、と称したのだ。それは食料と水ではなく、燃えやすい燃料を詰めたボトルだった。フィンランド人はそれをモロトフ・カクテルと呼んだ。

現在、ロシアはアメリカ大統領選挙に介入し、イタリアの国民投票でレンツィに関するフェイク・ニュースを流し、スウェーデンのNATO加盟に関する論争にも介入した。東欧でも多くの国でサイバー攻撃や選挙妨害を行っている。9月に選挙を控えたドイツでは、サイバー攻撃とフェイク・ニュースに直面している。

ロシアのサイバー活動は、外国政府を混乱させ、不安定化し、究極的にはロシアの目的に対して軟弱な政府にすることを目指している。それは民主的な社会やその価値に対する攻撃だ。それは軍事侵攻によって新しい政府を樹立することに等しい。

クレムリンの主要なプロパガンダ専門家であるDmitri Kiselevは、ロシアテレビのインタビューにシニカルな形で答えた。「現在では、1人の敵の兵士を殺害するのに、第2次世界大戦や第1次世界大戦、中世の戦争に比べて、はるかに金がかかる。」「もし彼を説得できれば、殺す必要はないのだ。」

われわれはモスクワが次の1世紀の方向を決めるのを許してはならない。西側の民主主義諸国を、腐敗した専制的社会に向けてパレードすることを指揮するものだ。

FT December 27, 2016

Efforts to contain Russia are failing

Lilia Shevtsova

冷戦が終わった世界に、封じ込めは有効ではない。グローバリゼーションの時代における敵対関係をどのように管理するべきか、ロシアも、西側も、政治エリートの間にそれをわかる者はいない。

NYT DEC. 27, 2016

For Russians, Bleak Realities at Home

Maxim Trudolyubov

NYT DEC. 28, 2016

A Flashback to My Soviet Childhood

By LEV GOLINKIN


後半へ続く)