(前半から続く)
l 日本をめぐる重要な論争
FT November 29, 2016
Lessons from a middle-aged boy band
for Japan’s frazzled workers
Leo
Lewis in Tokyo
FP NOVEMBER 30, 2016
U.S. Push to Halt Genocide in South
Sudan Unravels at United Nations
BY
COLUM LYNCH
国連は南スーダンでジェノサイドが起きる可能性があると警告した。内戦が悪化するのを防ぐには、武器禁輸措置が遅すぎたし、小さすぎた。
南スーダン政府軍が民間人を殺戮している、と国連人権委員会のアメリカ代表は述べた。
Bloomberg DEC 1, 2016
Trump Is Setting a Terrible
Precedent. Ask Japan.
Michael
Schuman
工場労働者たちはうれしいだろう。ドナルド・トランプが、選挙の公約である、製造業の雇用をアメリカに維持することを実行した。Carrier Corpがメキシコへの工場移転をやめて1000人の雇用を維持した。Apple Inc.に、中国へ発注するより国内に工場を建てるよう勧めた。Ford Motor Co.のケンタッキー工場が継続するよう、融資を与えた。
なんだ、いつだってこうすればよかったじゃないか、とあなたは思うだろうか? しかし、それは法の支配を犯し、アメリカ経済を弱めるだろう。このやり方は珍しくない。かつて日本の官僚は経済支援で有名だった。その結果を知れば、トランプにとっての警鐘になるだろう。
NYT DEC. 4, 2016
Save the Pacific Bluefin Tuna
By
JANE LUBCHENCO and MARIA DAMANAKI
太平洋のクロマグロは乱獲されている。その国際管理体制は分裂しており、乱獲を止めるには弱すぎる。大西洋におけるクロマグロは、乱獲で大幅に減少した後、諸国が協力して国際監視を強化した。漁船から港、市場まで、クロマグロの移動を追跡している。違法な乱獲は劇的に抑えられ、回復に向かっている。その経験を太平洋でも生かすべきだ。
NYT DEC. 5, 2016
Shinzo Abe to Become First Japanese
Leader to Visit Pearl Harbor
By
JONATHAN SOBLE
Bloomberg DEC 6, 2016
China Should Heed Pearl Harbor's
Lessons
Kuni
Miyake
真珠湾の記念日を、多くの日本人は後悔と反省をもって迎え、当時の日本政府の傲慢と誤算に驚愕する。今月、日本の安倍首相は真珠湾を訪問し、戦没者を慰霊する。
当時の大日本帝国と現在の中国とは多くの点で異なっているのだが、それでもなお、私は2つを比較せざるを得ない。アジアの新興国であり、愛国心、外国勢力への疑念、西側へのコンプレックスを持っていた。軍隊は政府によって完全に統制されず、国際世論に反して支配を拡大し、アメリカが防衛する重要な海域を犯した。
日本は間違った選択を行った。中国人には、まだ、その経験から学ぶ時間がある。
FT December 7, 2016
Japan shows the world how to strike
trade deals
China
Daily 2016-12-07
Expedient needs not good basis for
reconciliation
VOX 07 December 2016
The Bank of Japan at the policy
frontier
Stephen
Cecchetti, Kim Schoenholtz
FP DECEMBER 7, 2016
Putin and Abe Are Hoping to Forge
Closer Russia-Japan Ties
BY
EMILY TAMKIN
台頭する中国とその攻撃的な姿勢に、ロシアと日本は共通の地政学的な関心を持っている。アジアにおける軍事的均衡を維持するには、日本がロシアとの関係を強化するだけでなく、ロシアも中国への資源輸出と人口減少による従属的地位を避けるために、対抗する市場としての日本を必要とする。
しかし、ロシアが第2次世界大戦以降、実効支配している島を返還することを強く嫌っているのは確かだ。ロシア政府は極東開発の基金8800億ドルへの協力や、日本の銀行に国営ガスプロム社に8億ユーロの巨額融資を求めている。
アメリカの外交官は、経済制裁と関係断絶を迫るヨーロッパとロシアの関係だけでは、解決できない多くの問題をロシアと共有している。安倍のアプローチが、アジアにおけるアメリカとロシアの協力関係に道を開くかもしれない。
FP DECEMBER 7, 2016
What to Expect From Japanese PM’s
Visit to Pearl Harbor
BY
EMILY TAMKIN
75年前、日本の真珠湾攻撃がアメリカの参戦を決定づけた。およそ4000人が第2次世界大戦記念館を訪問するが、その最も重要な人物が遅れて参加する。「この訪問は、犠牲者を慰霊するためである。戦争の惨禍を繰り返してはならない。」と安倍晋三首相は述べた。
指導者たちは今も、現代のアジアを形成した戦争の亡霊と格闘し続けている。5月、オバマ大統領は広島を訪問した。ホワイトハウスの報道官は、「以前の敵国が最も緊密な同盟国となり、共通の利害で結びつき、価値を共有する」と述べた。
安倍は戦争中の日本の行為に対して謝罪しない方針を示し、中国や韓国との対立を過熱させた。従軍委慰安婦問題、靖国神社参拝で、謝罪しないが、安倍は韓国と中国に配慮した。政府は戦争放棄の姿勢を憲法の再解釈によって改変し、海外での軍事行動を認める法案を通過させた。11月には、南スーダンへの自衛隊派遣も決めた。
ドナルド・トランプは、日本やアジアへの防衛負担をやめると脅している。安倍の真珠湾訪問は、過去の終焉より、未来の再確認を求めるものだ。
FT December 8, 2016
Japan sees an opportunity for a
reset with Russia
Yoichi
Funabashi
日本は、ロシアとの関係改善を中国との交渉カードにできない。G7によるロシアへの経済制裁を離脱する意図もない。西側との関係でロシアをゼロサムとも考えない。日本がアジア太平洋の秩序構築と安全保障を積極的に担うのであれば、西側は日本のロシアへの関与を支持するべきだ。
日本がロシアと平和条約を結ぶことは、双方の経済的利益になるだけでなく、地域の安定化に役立つ。しかし、安倍はリベラルな国際秩序という目標から外れてはならない。
FP DECEMBER 8, 2016
Abe and Putin May Finally End World
War II Next Week
BY
DANIEL SNEIDER, NOAH SNEIDER
プーチンは急がない。日本の中国恐怖症を利用するだけだ。
l トルコ
FT November 29, 2016
Could Trump trample Turkey’s growth?
Daron
Acemoglu and Murat Ucer
l アレッポ
FT November 30, 2016
The fall of Aleppo to Assad will
only intensify turmoil
David
Gardner
NYT DEC. 6, 2016
How the War Ends in Syria
By
PETER W. GALBRAITH
l ドイツ自動車産業
SPIEGEL ONLINE 12/01/2016
Asleep at the Wheel
German Leaders at Odds with Industry
over Electric Cars
By
Horand Knaup, Michael Sauga and Gerald Traufetter
ドイツ自動車産業は、電気自動車への転換が迫る中でも、万何人もの解雇を恐れて、石油を消費する自動車を生産し続けている。
l トランプとユーロ圏
Project Syndicate DEC 1, 2016
Preventing the Next Eurozone Crisis
Starts Now
JEAN
PISANI-FERRY
The Guardian, Tuesday 6 December
2016
Mark Carney says we face a ‘lost
decade’. The left needs to get its act together
Owen
Jones
Project Syndicate DEC 6, 2016
Can Trump Save the Euro?
DANIEL
GROS
「レーガノミクス」は、大幅な財政赤字とドル高をもたらした。それは原油価格の下落と合わせて、EU諸国の不均等と成長に関する諸問題を克服する大きな優位を与えた。「トランプノミクス」は、まさに同じ条件をもたらすだろう。
FT December 7, 2016
More perils lie in wait for the
eurozone
Martin
Wolf
第3の経済規模を持つイタリアの国民投票が、ユーロ圏を襲う細心の危機であった。単一通貨を採用する諸国間で経済パフォーマンスが異なることは深刻な問題を生じる。しかも、ユーロ圏内の不均等さは収れんするより、拡大しつつある。競争力の変化はいくらか生じたが、不均衡の調整はもっぱら赤字国の需要抑制に頼っている。緊縮を求める政治圧力から転換することが求められる。
l メルケルの次の選挙
FT December 2, 2016
Angela Merkel: ‘Her life’s work is
in danger’
Stefan
Wagstyl
メルケルは、プーチンを除いて、最も長く政権を掌握しているグローバルな指導者である。しかし彼女は、今度の選挙が1990年のドイツ再統一以来、最も難しい選挙になるだろう、と述べた。難民危機とその政策についての批判、右派政党AfDとの論争が彼女を待っている。
またメルケルは、ドイツ首相としてだけでなく、オバマが去った後、ポピュリズムに対する、リベラルな指導者の先頭に立たねばならないことを知っている。「それでも彼女は首相に挑戦する。それは彼女の生涯をかけた成果が失われる危険に立ち向かうためだ。」
ロシアやトルコによる選挙への干渉も懸念される。
FP DECEMBER 5, 2016
Angela Merkel’s Test of Faith
BY
JAMES TRAUB
FT December 7, 2016
Angela Merkel can still command
support — for a price
Mariam
Lau
l レンツィの敗北と辞任
NYT DEC. 2, 2016
In Italy, a Sleeper Crisis for the
E.U.
By
PHILIPP THER
FT December 5, 2016
Italy’s threat to Europe’s future
Gideon
Rachman
レンツはEUを支持する最後のイタリア首相かもしれない。もしユーロ圏やEUからの離脱が問われれば、銀行システムが崩壊する危険を高めるだろう。ギリシャと違って、イタリアを救済する融資を組織するのははるかに困難だ。
NYT DEC. 5, 2016
Don’t Worry About the Italy Vote
Beppe
Severgnini
レンツィは会見で、「彼らがこれほど私を嫌っているとは知らなかった」と涙ぐんだ。
しかし、これはBrexitやトランプ当選と並ぶニュースではない。ユーロ圏解体も、EU分裂も起きない。
Brexitを望んだのは懐古的な高齢者であったが、レンツィの敗北は失業と低所得を嫌う若者たちが求めた。彼らには不安定な一時雇用しかない。イタリア政治におけるレンツィの役割ではなく、ヨーロッパにおけるイタリアの地位が拒否されたのだ。
次の首相にも、何もできないだろう。Beppe Grilloは首相にならない。むしろ、何もできない平和の暫定政権である。激変する世界で、イタリアはもっと強い指導力を必要としているはずだ。
Bloomberg DEC 5, 2016
Italy's Vote Was the Latest Stupid
Referendum
Leonid
Bershidsky
FT December 6, 2016
Italy’s young people vote against
vested interests
Francesco
Giavazzi
Project Syndicate DEC 8, 2016
Italy on the Brink
PHILIPPE
LEGRAIN
l チェルノブイリの石棺
NYT DEC. 2, 2016
The Great Arch of Chernobyl
By
THE EDITORIAL BOARDDEC. 2, 2016
チェルノブイリの石棺は、人類の独創性と国際協力が実現したものだ。ヨーロッパ復興開発銀行EBRDが、アメリカ、EU,その他、30か国からの資金を集めて1兆5000億ドルを融資した。
l 通商条約の時代は終わった
Bloomberg DEC 2, 2016
A Better Way to Help U.S. Victims of
Free Trade
Ronald
J. Daniels & Michael Trebilcock
NYT DEC. 2, 2016
Want to Rev Up the Economy? Don’t
Worry About the Trade Deficit
By
N. GREGORY MANKIW
FT December 3, 2016
Politicising investment makes the
world poorer
FP DECEMBER 7, 2016
Can Mexico Cope With Trump?
BY
ROBERT LOONEY
Project Syndicate DEC 8, 2016
Don’t Cry Over Dead Trade Agreements
DANI
RODRIK
第2次世界大戦の終結から70年間は、通商条約の時代であった。それらは2つの多角的な協定に集約された。GATTとWTOだ。
しかし、2016年のポピュリストの反乱は、こうした協定を終わらせ、ドナルド・トランプ大統領がTTPとTTIPとを放棄するだろう。われわれはそのことを嘆くべきではない。
通商条約は何のためにあるのか? 自由貿易の実現、というより広く、さまざまな政策分野に及んでいる。健康や安全性に関する規制、特許や著作権、資本取引の規制、投資家の権利保護。それらが本当に自由貿易と関係あるのか、明らかではない。
貿易を支持するのは、国内の利益が生じるからだ。それゆえわれわれは、自分たちの利益を増やすために貿易障壁を取り除く。他国を助けるためではない。自由貿易に、何も世界市民主義は必要ないのだ。国内で発生する勝者と敗者に対して、すべての集団が貿易の利益を享受できるようにすることだ。
小国にとってはそれで話は終わる。通商条約も必要ない。しかし、大国の場合、交易条件に影響を与える。彼らの輸出や輸入が世界価格に影響するのだ。例えば、アメリカが鉄鋼に輸入関税を課せば、中国の生産者は価格を下げるだろう。あるいは、航空機の輸出税を課せば、外国の購入者は高い価格を支払う。通商条約は、このような近隣窮乏化政策を禁止し、すべての者の利益になる。なぜなら、もし禁止しなければ、集団的に厚生が悪化するからだ。
ただし、現実の通商助役にこの説明が適用できるかは、明らかでない。アメリカが鉄鋼に輸入関税を課すのは世界価格を下げるためではない。また、航空機の輸出には、むしろ補助金を与えている。アメリカの通商条約は、むしろ産業の特殊利益を追求するものであり、鉄鋼も航空機も、業界の利益を実現するための強力なロビー集団をワシントンに置いている。
さらに、ロビー活動は国際的に共謀して通商条約を支配する。異なる国の業界団体間で共通利益が、グローバルなレント・シーキング活動を条約に実現するのである。WTOは輸出補助金を禁止するが、その経済的な合理性はない。また、アンチ・ダンピングを許すのは明らかに保護主義だ。新しい通商協定は、「知的所有権」、資本移動、投資保護に関するルールを含み、それらは金融機関や多国籍企業の利益を、各国の正当な政策を犠牲にして、守るものだ。その結果、発展途上諸国は技術を取得するのが難しくなり、浮動的な資本移動を管理できなくなり、経済を多様化する産業政策を阻まれる。
各国の通商政策がロビー活動や特殊利益団体によって形成されるのは、自分たちを貧しくする政策beggar-thyself policiesだ。それは近隣窮乏化の効果も持つかもしれないが、その動機ではない。国内権力の非対称性、政治の失敗を正すべきであり、国際通商条約がその解決策にはならない。
通商条約の破たんを嘆くことはない。われわれは自国経済を正しく管理すればよいのであって、通商条約はその付録である。
l 台湾問題は火を噴くか?
FT December 3, 2016
Trump’s dangerous Taiwan gambit
Gideon
Rachman
ドナルド・トランプ次期大統領は台湾の蔡英文Tsai Ing-wen大統領と電話会談した。これは北京を驚かせた。アメリカの中国と台湾に関する外交政策は1979年に転換した。中国政府は、繰り返し、台湾独立は戦争を意味する、と強調してきた。他方、アメリカは、台湾独立を促すことはないが、中国による台湾統一には、軍事力をもって阻止する、と約束した。
北京は、この電話会談を、経験不足のトランプが台湾に引っ掛かった失策だ、と見ている。もしトランプが十分な知識もなく、専門家の助言を無視して、外交政策を転換したのであれば、明らかない危険である。また、もし中国に対するより対決姿勢の外交に転換することを周到に準備しているのであれば、世界は混乱期に入るだろう。トランプが中国製品への輸入関税引き上げなど、保護主義に傾くことを前提すれば、中国の繁栄が脅かされる。
トランプ政権は、中国との経済的・戦略的な対決姿勢を強めるのか? 北京の反応は強烈だ。習近平が「台湾の再統一」を譲歩する余地はない。1995-96年の台湾海峡危機を思い出すべきだ。李登輝がアメリカ議会で演説することを認めた後、中国はアメリカ外交の変化を警告した。そして台湾の独立感情が高まったことを受けて、中国はミサイルの発射「実験」をこの「謀反地域」周辺で行った。アメリカ軍も空母を派遣して警戒した。
その後、中国の軍備は強化されてきたし、空母を撃沈するためのアイン型ミサイルを配備している。中国側の戦略家は、アメリカ軍は20年前のように軍事力を誇示するリスクを冒せない、と語った。
同じような事態が起きた場合、戦略における誤解の可能性が高まる。
FP DECEMBER 3, 2016
How Bad Was Trump’s Taiwan Phone
Call?
BY
MICHAEL GREEN
NYT DEC. 3, 2016
Trump, Taiwan and China: The Controversy,
Explained
By
MAX FISHER
NYT DEC. 3, 2016
China Sees New Ambiguity With Donald
Trump’s Taiwan Call
By
JANE PERLEZ
FT December 6, 2016
Trump’s dangerous provocation over
Taiwan
新大統領の選出から受諾演説までは比較的静かであった。ドナルド・トランプは伝統に従って行動した。就任後にもつながる、アメリカの戦略を変えるような転換は示さなかった。
しかし、台湾問題は違う。蔡英文から当選を祝う電話があったことを公表し、トランプは40年間の慣例を無視した。公平さの点では、彼が正しい。この自治的な、民主的統治をおこなう島に対して、アメリカの矛盾した姿勢を正すものだ。
しかし、ふさわしい考慮を経ずに問題を起こすことは、長期にわたって、不要な好戦的感情に火をつけ、トランプが中国との関係を平和的に見直すことを困難にするだろう。
アメリカと台湾の関係は、1979年にジミー・カーター政権が決めて以来、建設的な偽善constructive hypocrisyと称されているものだ。アメリカは台湾の民主主義を支援し、これを強力な隣国から守るために武器を売却する。他方で、アメリカは「1つの中国」という姿勢を維持し、台湾独立を認めない。
これによって紛争を招くことは防いできたが、次第に、習近平政権の外交姿勢は攻撃的になっている。特に、南シナ海では中国の攻勢が強まり、オバマ政権は中国による人工島の建設や軍事化、領空や領海への制限に対抗できなかった。
トランプが電話会談したニュースに対する北京の当初の反応は、アメリカの政権移行期を注意して監視するだけだった。しかし、もっと対立した、報復を行うこともありうる。台湾問題に限らず、東アジアにおけるアメリカ外交の弱点を突くだろう。台湾から電話があった、とトランプは言うが、この電話会談は明らかに彼のスタッフによって計画されたものだ。
中国がこの地域に勢力を拡大する中で、アメリカの台湾外交が慎重なあいまいさを維持できるか、問い直すのは正しい。しかし、挑発的な電話会談と次期大統領によるトウィッターというのは、余りにずさんなやり方だ。
FP DECEMBER 5, 2016
China Really Isn’t Joking About
Taiwan
BY
JAMES PALMER
YaleGlobal, 6 December 2016
Taiwan, Thorn in China’s Side, Gets
New Attention
Mark
Harrison
FP DECEMBER 8, 2016
Was China’s Latest U.N. Veto Payback
for Trump Bluster on Taiwan, Trade?
BY
COLUM LYNCH
l カストロ後
NYT DEC. 3, 2016
Welcome to Savage Capitalism
By
WENDY GUERRA
カストロがいない世界で,私たちはどうやって生きるのか?
l AIはわれわれを滅ぼすか?
NYT DEC. 5, 2016
Is Artificial Intelligence Taking
Over Our Lives?
Garry
Kasparov ・・・新しい仕事を創出せよ.
Susan
Bennett ・・・われわれは海へ落とされる.
Joi
Ito ・・・善意であっても,暴走する.
Nnedi
Okorafor ・・・アフリカの道路は安全になり,都市の渋滞は緩和される.
Neil
Harbisson ・・・人間もサイボーグになって対抗する.
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The Economist November 26th 2016
The burning question
Italy’s constitutional reforms: A regretful No
Reflating the economy: King of debt
Brazil’s prosperous south: Not the country you know
The Baltic states and Donald Trump: Edgy allies
Charlemagne: Running scared
Financial regulation (1) On fire
(コメント) トランプがパリ協定を離脱しても,中国やインドは大気汚染に関する国内の関心が高まっているし,カリフォルニアのように排出量規制を強化する動きはなくならない.エネルギーの脱炭素化は,今後も,緩やかに続くだろう.
トランプの減税とインフラ投資が経済を膨張させることが投資家に歓迎されているとしても,すでに好景気のアメリカにとって好ましいわけではなく,中産階級労働者の所得を改善する見込みも少ない.株高の背景には,オバマ政権が導入した厳しい金融規制が「規制緩和」される,という期待がありそうだ.
ブラジルの南部3州が優れている理由に,ダグラス・ノースを思い出し,バルチック諸国がロシアの脅威とトランプの打算に翻弄される事情,また,EU諸国がポピュリストの攻勢に耐えられず,後退と弁解を繰り返す事情に,やはりノースを想います.
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IPEの想像力 12/12/16
ゼミで,ハンチントン『文明の衝突』を紹介してもらいました.彼らがWikipediaから持ってきた地図には,なぜか8つではなく,9つの分類があって,どうしてか? と問いました.その絵には仏教圏が多い,と分かりました.そういえば,インドも中国も,日本も仏教圏ではない.
また,アフリカには国家と異なる分割で文明圏が分けられていることも指摘されました.これはなぜか? サハラ砂漠が終わるのではないか? 遊牧民がイスラム教を広めた限界は,国境線と違っている,という話になりました.
では,文明圏が国境線と異なるのはなぜか? ニューギニアも真っ二つに分かれています.なるほど,これは植民地の分割だから.住民たちにあった同質さや文明の境界線と関係なく,ヨーロッパの外交官たちは,遠くで,定規を使って,線を引いたのだ,と思いました.
文明と,宗教と,これらは同じものなのか? 違うのか? あるいは,民族や国民国家はどうか? それらはすべて同じであり,文明圏を分けるときに,宗教や民族がその説明に使われる.宗教が信仰の問題であれば,民族・エスニシティは身体や慣習の問題であるから.
彼らの議論は,おそらくそういった想念とともに,世界の輪郭を生じたり,消したりしているようでした.ハンチントンなら,これを見て喜んだのではないでしょうか?
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西太平洋、東アジアの地政学的な転換が加速しています。アメリカの関与が平和と繁栄の最も重要な条件であった時代が終わり,中国,ロシア,日本,インド,オーストラリア,などの間で,さまざまな新しい関係が生じつつあります.
安倍首相は,突如,真珠湾を訪問しました.オバマ大統領が広島を訪問したように,日本の首相も,毎年,真珠湾を訪問するべきでしょう.そして,なぜ真珠湾だけなのか? と問われたら,来年は韓国の光復節や,中国の南京事件記念式典にも出席し,日本の政治指導者として,日本とアジアが歴史的な教訓を提示し,和解を唱える重要な機会にすることでしょう.
安倍・プーチン会談は,アメリカがロシアとの関係修復を図り,国際政治に変化をもたらす余地を与えるかもしれません.
しかし,私の頭に浮かんだ最初の理由は,プーチンと西側との対立がある中で,日本はそれを利用して利益を得ようとしている,という批判をかわすことでした.EU諸国は,大きな不利益を生じても,ロシアに対する経済制裁を続けています.それに反して,日本はアジアでロシアと取引し,領土を得る代わりに経済交流を深め,多くの投資や融資を与えるのか? 彼らが日本に不信や不快の念を抱くのは当然です.
トランプ・蔡英文電話会談も,米中関係の深刻な悪化につながる恐れのある転換です.台湾は,優れた企業が中国本土に吸収されてしまい,他方で,独立の情念も抑えられず,アメリカからの武器購入で中国との軍事バランスを保っています.この関係がいつまで続けられるのか,軍事衝突の危険が高まる前に,米中は対話を始めなければなりません.
香港の「1国2制度」も,中台間の「1つの中国」も,政治・外交的な虚構によって均衡を維持するメカニズムでした.
韓国の朴クネ大統領が辞任する過程で,その政治的混乱が深まり、北朝鮮は韓国大統領府を襲撃する演習を誇示しました。ニュース映像に現れた金正恩の体形と笑う顔は,このような政治宣伝を常習化する外交に示された権力の性格と同様,何か,重大な限界を超えてしまったように見えました.
北朝鮮をめぐる6か国協議では、これらすべての国が参加しています。朝鮮半島では,米中の直接的な軍事衝突と内戦状態が凍結されたままです.核戦争まで進むのを一時停止した世界が,イランやバルチック諸国と並んで,朝鮮半島でも解凍され始めるかもしれません.
朝鮮半島の分断状態も,「北方領土」も,いつか均衡を動かす時が来るのです.
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ノートを取ってほしい,と私は最後に求めました.こう考えてはどうか.
ハンチントンは,文明圏の境界線で起きる戦争が,たとえ小さくても,長期化し,連鎖的に波及する,解決困難なものとなることを指摘した.それによって,これまで国際秩序を独占してきた西側のキリスト教文明圏が,アジアの経済的な台頭や,イスラム圏の宗教的復活を深刻な脅威と認め,次の秩序を唱えるより,むしろ退避することを主張する余地を創り出した.
日本の周辺海域とアジアが、かつてのバルカン半島のような紛争地帯に変わるとしたら、平和と繁栄は失われます。政治家たちに旧敵国や戦争の犠牲者に向けて語る勇気がないなら,ジャーナリストが語るべきです.国際秩序の溶解が進むとき,その向こうに何があるのか,各地を訪ねて,問い直してほしいです.
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