(前半から続く)


l  台風の目

The Guardian, Friday 18 November 2016

The Democratic party lost its soul. It's time to win it back

Robert Reich

民主党は、その指導部が既存の組織を代表することでは再生できない。アメリカの支配階級ではなく、アメリカの見放された人々、多数派のアメリカ人を代表しなければならない。

NYT NOV. 18, 2016

I Wish We All Could Be Californian

By DANIEL DUANE

FP NOVEMBER 18, 2016

Facebooking Ourselves to Death

BY ILYA LOZOVSKY

NYT NOV. 20, 2016

Dancing in a Hurricane

Thomas L. Friedman

イギリスがEUを離脱したことに続いて、アメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプが勝利した。単独でも重大な政治的事件が続いて起きた2016年は、歴史的な転換点として、将来も研究されるだろう。

大きな政治的事件には、大きな原因があるはずだ。この3年間、世界の地下で進む下水工事や電線工事のことを、私は本に書こうとしてきた。それは1つの問いから始まる。2007年に、何が起きたのか?

2007年、最初のiPhoneを、Steve Jobs Appleが販売した。スマートフォン革命が、地球規模のインターネットで結びついたコンピューターを、誰でも掌に載せることができるものにした。2006年後半にFacebook2006年に設立されたTwitter2007年に始まった。「クラウド」が本当に始まったのは2007年だった。

2007年に、Kindlee-book革命を起こし、GoogleAndroidを導入した。2007年、IBMWatsonを開始した。世界最初の認識コンピューターが今では癌の診断を行える。ヒトゲノムの連鎖を解明する費用も急激に低下した。

2007年に、太陽電池パネルの生産コストが急落し始めた。Airbnbchange.orgが始まり、今や世界最大の開放型ソースのソフトウェア・シェアリング図書館、GitHubができた。Intelは非シリコン素材を入れたマイクロチップでムーアの法則の持続期間を延長した。2006年に、インターネットの利用者が10億人を超えた。

2007年は、歴史上、最大の技術波及が起きた時点の1つとみなされるだろう。なぜわれわれは見過ごしたのか?

技術が飛躍的に進む一方で、「社会的技術」の多くは凍結したまま、遅れた。すなわち、技術変化の加速を最大限に活用し、あるいは、最悪の影響を緩和するために必要なルール、規制、制度、その他の社会諸手段である。最善の状況でも、社会的技術が物理的技術に並んで進むことは困難であるが、2008年の世界金融危機は大不況と政治的な行き詰まりを生じた。2つの技術のギャップは亀裂を広げ、多くの人々がその中へ転落した。

2007年に起きたことは、連結と情報交換を非常に早く、安価に、遍在化して、個人や小集団のパワー、機械のパワー、そして、アイデアのパワーを強めた。

次期大統領のトランプが望めば、ニューヨークのペントハウスからTwittwrで、1500万人に直接メッセージを発することができる。同じことをシリアの田舎から、イスラム国家もできるのだ。機械は単にチェスで人間に勝つだけでなく、真に創造的な、人間にしかできないと思われた作業、設計やデザイン、ニュース記事を書き、作詩や作曲もできる。

アイデアは地球規模でデジタルにソーシャル・ネットワークを流動し、かつてないほど遠くまで、早く広がる。その結果、新しいアイデアは突如、長く保持されてきた旧いアイデアを倒し、溶解したのだ。ゲイの結婚や性転換のように。

もし3万フィート上空から世界を見下ろせば、技術、グローバリゼーション、そして、母なる自然(温暖化、種の絶滅、人口爆発)が、同時に変化を加速していることがわかるだろう。それぞれの変化が相互に強め合っている。

私は最近、西アフリカからの経済的気候的な難民に会った。彼らはヨーロッパのロックコンサートで得られる援助など求めていない。携帯電話で観たヨーロッパに来たいのだ。WhatsAppを使って膨大な非合法移民のネットワークが組織される。

西側の人々が不安を感じるのは当然だ。世界と結びつく2つのアンカー、コミュニティと職場が不安定化していると感じるからだ。野菜を買いに行けば、知らない言葉で人々が話している。頭を布で覆い隠している。男子トイレに行けば、異なるジェンダーに見える者が隣にいる。職場に行けば、ロボットが隣であなたの仕事を学んでいる。私はこの多様性を祝福するが、多くの者にとっては適応する力を超えている。

私が好きなBrandi Carlileの歌“The Eye”のように、「あなたは台風の中でもダンスできる。もしあなたが台風の目に立つことができたら。」

技術、グローバリゼーション、母なる自然の変化が加速する世界は、あなたがその中で踊る台風である。トランプやBrexit推進派が、変化の嵐に対する壁を築く、と約束したが、それは間違っている。私の考えでは、台風の目を見つけることだ。

もし台風の目がわかれば、加速する変化にも柔軟に対応できる、それからエネルギーを引き出せる、健全なコミュニティを建設できるだろう。その中で市民たちは、ダイナミックな安定性の拠点を得られるのだ。

The Guardian, Sunday 20 November 2016

The shock lessons for liberals from Brexit and the Trumpquake

Andrew Rawnsley

The Guardian, Monday 21 November 2016

How do we fight the loudmouth politics of authoritarian populism?

Paul Mason

彼らは人権について冷笑している、移民やEUを嫌っている。彼らは強い国家を求め、「防衛」とは攻撃を意味する。彼らとは、あなたのクリスマスを台無しにする、人種差別的な老人たちだ。

世論調査によれば、「権威主義的なポピュリスト」に分類されるものが多数いることになる。かつてサッチャーとレーガンもそう呼ばれた。しかし、この現象はもっと古くからある。

1920年代後半、過激な党派に従う人々が増えたとき、左派の精神分析学者、エーリッヒ・フロムは、新しい「支配されることへの欲求」を観た。自分自身に頼ることができない、独立していることに耐えられない、言い換えれば、自由であることに我慢できない。不況、階級対立、ヴェルサイユ条約、などがファシズムに向かう人々を生んだと言うが、フロムはその起源を、自由を恐れることに見た。

現在の政治的な亀裂は、年齢と教育によって示される。500年で最大の技術変化、個人の自由拡大がわれわれの生きる時代である。しかし、権威主義的政治を好み、リベラルなグローバリゼーションに反対するのは60歳以上の人々だ。40歳以下の人々の極右の数が、リベラルなグローバリゼーションの支持者を21で上回る。

彼らが嫌うのはモダニティ、それがもたらす自由である。

FT November 22, 2016

Harsh truths about fake news for Facebook, Google and Twitter

Richard Waters, Matthew Garrahan and Tim Bradshaw

FT November 23, 2016

Rhetoric, reality and challenge of alt-right

FP NOVEMBER 23, 2016

The EU Moves to Counter Russian Disinformation Campaign

BY KAVITHA SURANA

Project Syndicate NOV 24, 2016

Containing the Populist Contagion

HAROLD JAMES

ポピュリズムの政治運動が、あたかも金融危機のように、「感染」のダイナミズムを生じている。ある場所で起きた金融危機が、直接には金融的リンクのない他の場所にもショックを生じる。同様の金融危機を恐れる市場参加者たちが、その基本的なダイナミズムだ。

イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ当選が、オランダ、フランス、イタリアでも、ポピュリストの運動を刺激する。20世紀の戦間期に、レーニンがソビエト型の共産主義を国際運動として提唱したとき、イタリアのムッソリーニも、それに対抗してファシズムを国際的に提唱した。ムッソリーニの黒シャツ部隊に応じた、さまざまな色のシャツの部隊が、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカ諸国に現れた。彼らはリベラリズムに対抗して、権威主義を称揚した。

ナショナリストでもあったヒトラーとムッソリーニがリベラルな秩序に対抗して、誰が最も真正のファシストか、と競争したように、現代のポピュリストたちの主張も既存のグローバル・ガバナンスや民主主義に対抗する。その際限ない主張は、貿易を止め、移民を止め、資本移動を止めて、ゼロサム・ゲームのリスクを冒すものだ。

こうした国際的感染を止めるには、金融危機の場合、2つの方法がある。国際的金融パッケージと、国内金融改革だ。多くの問題は1国で解決できない。ところがポピュリストたちは国際的な関与を拒む。政治的ポピュリズムの感染は、それ自体、破壊的な性格のものである。深刻な不確実さのせいで、経済成長を窒息させる。その結果は、政治的な内紛の激化である。

Brexit後のイギリス政府がそうだ。予想されたような経済定破滅は、直後に起きなかった。しかし、残された不確実さは深刻で、イギリス経済への異なるモデルは示されていない。議会も、メイ政権も、紛糾し続けるだろう。Brexitは、決して、ヨーロッパの他国が見習う魅力的なモデルにはならないのだ。次期大統領トランプの政権も同じである。

ただし、アメリカはグローバルな避難所としての特別な地位を持っている。不確実さが高まれば、アメリカに資本が流入し、ドルを強くして、あたかもトランプが勝利したように見える。アメリカのポピュリズムは、少なくとも当面、勝利を続けるだろう。日本の安倍首相のように、これに便乗する外国の指導者が即座に現れる。

アメリカのような大国は、予測不可能な事態へのコストを他国に、特に新興諸国に負わせる。しかし、UKのように、小国はより迅速にコストを強いられ、しかも、大国のポピュリスト政策にも脆弱になる。その結果、彼らはポピュリスト的な感染から自己防衛するために、地域ブロックを創って逃げ込むかもしれない。中国や、再編されたEUがそれを試みる。最悪の場合、地域的な反感が強められ、1930年代を再現する。

最善の場合、地域統合はグローバルな改革を進めるために必要な舞台となる。それによってポピュリズムの罠から抜け出すのだ。


l  中国とグローバルな秩序

China Daily 2016-11-15

Both the US and China deserve better than TPP

Bloomberg NOV 17, 2016

Why Trump Voters Should Love the TPP

Mihir Sharma

NYT NOV. 19, 2016

China’s Influence Grows in Ashes of Trans-Pacific Trade Pact

By GARDINER HARRIS and KEITH BRADSHER

水曜日、オーストラリア政府は中国が指導する貿易協定を、日本からインドまで含むアジア諸国と、アメリカを除いて、推進したいと語った。ペルー政府は、北京との貿易協定について話し合いを始めた。

「アメリカがTPPから退場すれば、最大の勝者は中国だ。」 シンガポールのKishore Mahbubaniは明言した。

China Daily 2016-11-19

TPP 'demise' prompting a global pivot

By Harvey Morris

Bloomberg NOV 21, 2016

In Trump Versus China, Everyone Can Win

Christopher Balding

FT November 22, 2016

Donald Trump faces the reality of world trade

Martin Wolf

トランプ大統領になってアメリカがグローバリゼーションを拒否すれば、中国がそれを救うのか?

中国はアメリカの代わりになれない。確かに習近平主席は、貿易と投資の開放性をうたう、中国が指導する新しい「素晴らしい世界秩序」を約束した。TPPが消滅しても、加盟するはずであった12か国のうち7か国がRCEPに参加し、ラテンアメリカ諸国にも「一帯一路」への参加を呼び掛けている。

しかし、安全保障はもちろん、国際的な役割でも中国が引き受けるのはむつかしい。

世界GDPを観て、中国のシェアが2000年の4%から2015年には15%に上昇した。日本を含むアジアでは31%である。アメリカとEUを合わせても、世界GDP47%しかない。世界輸入額に占める中国のシェアは12%でしかない。アジアは36%だ。アメリカとEUは、EU域内貿易を除いて、なお世界輸入額の31%を占める。

さらに、この数値は世界貿易に占める西側の重要性を過小に表している。第1に、世界の最終需要の多くは西側から生じている。市場価格で、中国の消費額は、アメリカとEU3分の1である。第2に、より重要なことは、現代の貿易を推進する知識の多くは、高所得経済の企業から生じている。中国企業はノウハウの提供において比較にならない。

著書The Great Convergenceにおいて, Richard Baldwinは、貿易が常に距離によって妨げられた、と述べている。すなわち、輸送、情報伝達、対面契約のコストである。19世紀後半の最初のグローバリゼーションは輸送コストの大幅な減少によって起きた。これにより、工業製品と一次産品や農産物が、主にアメリカとオーストラリアから、グローバルな取引されるようになった。

しかし、その時代には、まだ製造業の過程を分割することはできなかった。工業製品で競争するには、その国はすべての必要な技術を習得しなければならなかった。その結果、製造業は、規模の経済や実地訓練の条件を満たせる、高所得経済に集中していた。

さらに、こうした諸国のある程度の熟練を持つ労働者たちは、かつてない所得と政治的影響力のせいで、こうした利益の多くを共有した。それが可能であったのも、こうした諸国で知識が発展し、彼らがそれにアクセスできたからだ。

4半世紀ほど前まで、この領域を犯すためには自国が競争的な工業化を達成するしかなかった。それは非常に困難であった。しかし、グローバリゼーションの第2期には、コミュニケーションのコストが急激に低下し、製造過程が分割されるようになった。部品の生産や組み立て作業が世界的な規模で分散し、情報を持った製造業者やバイヤーの管理下に入った。Baldwinが言うように、サウスカロライナの労働者は、1970年代のように、メキシコの労働者、資本、技術と競争したのではなく、アメリカ企業のノウハウとメキシコの賃金という、ほとんど勝負にならない相手と競争することになった。

各国の資本主義はグローバル化した。サービス分野のいくつかもそうだ。ほとんどの発展途上国はこの機会を活かせなかったが、中国は成功した。

こうした新しいダイナミズムは世界貿易に保護主義をもたらし、トランプが権力を握った。ノウハウを持つ高所得経済の企業から、誰が利益を得るのか、政治闘争になる。トランプはアメリカ企業よりもアメリカの労働者に利益を与えるのか? それは見せかけだけか? TPPを拒否し、NAFTAも作り変え、中国の高関税を課すのか? 中国が世界貿易を組織する機会を得るのか? それはアメリカ企業が不利になるのか、それとも、アメリカ企業が活動を他国に移すのか?

それはわからない。世界貿易のダイナミズムを維持するのは、中国だけでできないし、アジアにもできない。

YaleGlobal, 22 November 2016

US Walks Away From TPP, Leaving China Free to Dominate Asia

Anthony Rowley

Bloomberg NOV 22, 2016

Trump's Best Bet? Free Trade With China.

Michael Schuman


l  トランプの経済政策

NYT NOV. 17, 2016

The Glaring Contradiction at the Heart of Donald Trump’s Economic Policy

Neil Irwin

選挙運動の約束は簡単だが、政府の政策にするのは困難だ。

NYT NOV. 18, 2016

Why Surging Stocks May Not Mean the Economy Trusts Trump

By SENDHIL MULLAINATHAN

Bloomberg NOV 18, 2016

Even Trump Is a Keynesian

Noah Smith

FT November 19, 2016

The unbearable lightness of a stronger dollar

FT November 19, 2016

The ingredients of the Trump economic cocktail

Stephanie Flanders

財政刺激策をより重視する。金利も上昇する。ウォール街は歓迎している。

しかし、それが成長を長期的に高めるとは限らない。財政支出の中身には問題がありそうだ。ドルが強くなって、EUは景気回復に向かうかもしれない。しかし、高金利は負担を強め、本気で構造改革を急がねばならない。

しかもトランプを勝利に導いたポピュリストや有権者たちが見返りを待っている。

NYT NOV. 19, 2016

Infrastructure Build or Privatization Scam?

By PAUL KRUGMAN

FT November 21, 2016

Trump and Yellen: the politicisation of the Fed

Gavyn Davies

グローバル経済を回復してきた現在のリフレ体制は、いつ、どのように終わるのか?

アメリカ政府に財政的な不安が高まるか、あるいは、連銀が最初のインフレの兆候に対して強硬な対応を示すか? トランプ大統領は共和党に近い人物を連銀の議長にするのか? 金融政策決定が政治化するリスクに市場は備えなければならない。

FT November 22, 2016

The most sweeping currency policy change in decades

Larry Summers blog

Project Syndicate NOV 21, 2016

Sanctions and the Risk to the Dollar

CHRISTOPHER SMART

FT November 23, 2016

What role for the workers in Trump’s American factory revival?

Ed Crooks

Project Syndicate NOV 23, 2016

Trumping the International Monetary System

ANDREW SHENG and XIAO GENG

異常なドル高は持続不可能であり、ある期間、国際収支不均衡を拡大し、資本移動を不安定化する。トランプはその不均衡を円滑に融資する合意やメカニズムに取り組む気があるのか?

Project Syndicate NOV 23, 2016

Will the Dollar Be Trumped?

BENJAMIN J. COHEN

トランプ大統領が当選してから、ドルは10年ぶりの高い水準にある。これはアメリカ経済にとって良いことか?

短期的に、トランプの財政刺激策は成長やドル高をもたらすが、同時に、保護主義や人種差別的なナショナリズムも唱えている。ドルの国際的な役割を決めるのは、国際投資家と各国中央銀行の選択である。

確かに、アメリカ・ドルは世界の避難所として特別な地位を維持している。これに代わる通貨や国はないだろう。しかし、トランプの不適切なポピュリスト政策が、ドルをこの地位から引き下ろす悪循環に陥らすこともありうる。

ドルは長期的な衰退過程にあるから、中国の人民元が大きなギャップを一気に埋めることを助けるかもしれない。

Project Syndicate NOV 24, 2016

The Achilles’ Heel of Trumponomics

STEPHEN S. ROACH

保護主義は、外国の貯蓄に依存しているアメリカ経済の成長にとって致命的なものになる。貿易赤字を敵視するトランプには、金融市場の問題が理解できていない。トランプ経済学は逆噴射でしかない。


l  日本

FT November 19, 2016

Japan places a large bet on personal diplomacy

FP NOVEMBER 18, 2016

Did Shinzo Abe Get What He Came for in Meeting With Trump?

BY EMILY TAMKIN

FP NOVEMBER 22, 2016

Japan Deploys Troops Abroad While Narrowly Avoiding Disaster Back Home

BY EMILY TAMKIN

日本が数十年に及ぶ空白期間を経て、外国に兵士を派遣する。国内では福島を地震が襲い、原発事故の処理が大きなコストであることを気付かせた。


l  中央銀行

Project Syndicate NOV 18, 2016

Trump’s Monetary Conundrum

NOURIEL ROUBINI

FT November 22, 2016

Does monetary policy need a helping hand?

Stephen King

Bloomberg NOV 23, 2016

Central Bankers Hope Trump Eases Their Burden

Mohamed A. El-Erian

China Daily 2016-11-23

Dollar, not yuan, poses biggest risk to world

By Dan Steinbock


l  タイ

FP NOVEMBER 18, 2016

A Chance for Change in the New Thailand

BY RAPHAEL MIMOUN, JOSEPH BRENNAN


l  イタリア

FT November 19, 2016

Political populism: Is Italy next?

James Politi


l  イギリスの予算編成方針

FT November 20, 2016

Higher borrowing is the key to Philip Hammond’s Autumn Statement

John Redwood

FT November 21, 2016

The new role for business in a fairer Britain

Theresa May

資本主義システム、自由市場、自由貿易を私は信頼する。しかし、同時に、それは適応しなければならない。

政府は新しい産業戦略を示すつもりだ。この国を革新のための拠点とし、長期投資にもふさわしい制度を築きたい。しかし、一握りの企業やエリートが機会を独占するなら、小規模の企業、ビジネスマンはシステムの公平さを疑うだろう。社会契約は破たんする。

より強く、より公平なイギリスを創るために、われわれに機会を与えてほしい。

FT November 21, 2016

Denmark: UK ally takes hard Brexit line

Alex Barker in Copenhagen

FT November 22, 2016

Theresa May offers an olive branch to British business

The Guardian, Thursday 24 November 2016

Sooner or later, May and Hammond will have to put Britain before Brexit

Polly Toynbee

自動車を買ったら、販売員が、そんなことはない、と言ったはずのことがすべて起きるのを知ったら、あなたは彼が謝って当然と思うだろうが、政府はそう思わないらしい。Philip Hammond蔵相の秋の予算編成方針には、Brexitがもたらすインフレ、債務の増大、生活水準の低下、が示されている。政府債務は50年ぶりの高い水準になる。

しかも、これは最もソフトなBrexitを前提したものだ。ハードなBrexitがもたらす不確実さは全く予想を超えている。

FT November 24, 2016

Philip Hammond is a fiscal herbivore who fears bigger beasts

Jonathan Guthrie

FT November 24, 2016

Philip Hammond takes a sober approach to post-Brexit Britain

FT November 24, 2016

Why Philip Hammond’s plan for an Autumn Budget makes sense

Jill Rutter

FT November 24, 2016

UK infrastructure gains rely on good planning and smart finance

Julian Glover


l  Brexit後の政府

SPIEGEL ONLINE 11/21/2016

Britain's Trump Card

Brexit Negotiations Just Got More Complicated

By Martin Hesse, Peter Müller, Christoph Pauly and Christian Reiermann

VOX 23 November 2016

Globalisation and Brexit

Italo Colantone, Piero Stanig

NYT NOV. 23, 2016

Brexit Triple-Plus, Britain Nonplused

Matthew d’Ancona

The Guardian, Thursday 24 November 2016

Soft or hard Brexit? The EU, not Britain, has the whip hand

Timothy Garton Ash

離脱条件を国民投票にかけよ、という主張は支持できない。必要な戦略と、柔軟な戦術を考えよ。議会が主権を持つことを示すべきだ。

FT November 24, 2016

Cluelessness about class means we miss Brexit lessons

Joan Williams

FT November 25, 2016

Britain’s confused development aid plans

FT November 25, 2016

Brexiters choose to target the messenger

Martin Wolf


l  コンゴ

NYT NOV. 21, 2016

A Foolish Power Grab in Congo

By THE EDITORIAL BOARD


l  ジンバブエ

FP NOVEMBER 21, 2016

Zimbabwe’s Currency Hail Mary

BY SIMON ALLISON

ジンバブエは現金不足の危機にある.20094月から,南アフリカのジンバブエはUSドルを使用している.ハイパーインフレーションは5000億%に達し,ジンバブエ・ドルは崩壊した.

政府は外貨収入を期待してアフリカ輸出入銀行から2億ドルを借り入れ,それを担保に「債券通貨」を発行する.しかし,これまでの政策から,政府には全く信用がない.


l  タックスヘイブン

VOX 22 November 2016

Buckling under pressure: Coordination and the fight against tax havens

Kai Konrad, Tim Stolper


l  中東

FT November 23, 2016

Paramilitary chaos reigns in the Middle East

David Gardner

トランプ大統領がアメリカの中東政策を変えるとしても,この準軍事組織のホッブズ的な泥沼では,特別な方針に結びつかない.他の外国政府の介入も,同じようなことをしているからだ.ロシア,トルコ,特に,イランだ.

FT November 24, 2016

A Middle Eastern battle for Donald Trump’s heart and mind

Roula Khalaf


l  忘れられた農民たち

NYT NOV. 23, 2016

The Farmers We Forgot

By A. HOPE JAHREN

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The Economist November 12th 2016

The Trump era

America and the world: The piecemaker

Negotiating Brexit: The way forward

Hong Kong: China’s Tibet

Japanese politics: Abe ascendant

The world economy: Our election, your problem

Money in India: Taking notes

(コメント) トランプ大統領のもたらす衝撃の深さを,まだ誰も測りかねています.ベルリンの壁が崩壊して始まった政治経済革命は,アラブの春ではなく,ポピュリズムの蔓延で終わるのか.Brexitをめぐる交渉と議会の復権に,違う答えを求めます.そして長寿を誇る安倍政権も,やはり1つのBrexitなのだ,と感じます.

香港も,アメリカも,インドも.複雑で,広範な経済過程を介して富を築く社会である限り,法律だけでなく,共感と規範を形成する政治能力が厳しく問われます.

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IPEの想像力 10/28/16

Reviewでは紹介した3つの論説が,グローバリゼーションの政治経済空間について,読者の観念を刺激するでしょう.

トム・フリードマンのグローバリゼーションに対する信念は,このハリケーンに遭っても,なおそこからエネルギーを得る人々の能力を称え,その可能性を高めるコミュニティの建設に関心を向けます.グローバリゼーションが,IT技術の革新,自然の人為による変異とともに,不可逆的な変化をもたらして,全地球をカオスの渦に溶解する,というのは,フリードマンが抱く強固なイメージです.

金融危機の「感染」とポピュリズムの「感染」を対比したハロルド・ジェイムズの論説は,トランプ・ショックで金融市場が混乱すると,アメリカのドルは強くなる,と指摘します.そして,小国の通貨はその価値が急落するリスクを高めます.貿易でも,安全保障でも,既存の秩序を揺さぶって,自国にとってより有利な取引を求める大国間ゲームでは,小国が大国の周りに身を寄せるしかないのです.こうした地域統合は,単なる1930年代の通貨ブロックや影響圏の再生であり,戦争に向かうものなのか,あるいは,グローバリゼーションに見合う政治改革の新しい受け皿となるのか,その答えはあらかじめ決まっていない,と考えます.

マーチン・ウルフはアメリカの抜けたTPPや世界貿易に関して,中国がアメリカに代わって新しい秩序を築けるか? という問いに,それはできない,と答えています.なぜなら最終消費者は,今も,西側の富裕な企業・諸国に依拠しているからです.しかしウルフは,その「進歩と富裕の政治的独占」がすでに第2のグローバリゼーションで破壊されてしまった,とも考えます.

もし世界貿易が前進を止めるなら,トランプの保護主義やポピュリズムは「感染爆発」に向かうかもしれない,と私は懸念するわけです.

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人々の思考を前向きに,長期的な繁栄を共有する姿勢に導くものは何か,と私は考えます.葉室麟の『風渡る』を読み始めました.小説ですが,黒田官兵衛がキリスト教に入信するあたりまで読み,信仰の及ぼすグローバルな影響に感嘆します.

人間には,家族や肉親のことを想い,子どものことを想い,父や母のことを想う心があります.それは宗教のかたちをとり,特定の帰属集団や誓約に及び,あるいは,制度や国家がそこに棲みつくことで,グローバリゼーションの時代にも生き続けます.

トランプが何をするとしても,この先,世界の秩序は動揺し,各地の強権体制と内戦状態がモザイク状に点滅し続けるでしょう.むしろ中東の準軍事組織が大国の介入と支援を受けながら戦争状態を続け,ホッブズ的な秩序の基準を世界に示すことで,難民たちが,そして平和の条件を模索する人々が対話を始めるのではないか,と思います.

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グローバリゼーションとポピュリズムの陥穽に落ち込まないために,人の持つ畏怖や畏敬の念,敬虔な心を充足する新しい習慣,振る舞い,また,技術や社会制度の変化から特別な利益を集中的に得る者を牽制するメカニズムが必要だろう,と思いました.

ハリケーンが過ぎた後には,篤い公共心とベーシックな所得のランクを数段階だけ認める人々が生き残り,富裕さの多くは社会にプールされるでしょう.すべての市民が各地の都市に居住しており,農耕や兵役は交代で務め,公共心を高めて助け合うのです.

技術革新も,自然の変異も,狂気に駆られて加速することはありません.

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