(前半から続く)
l オバマ外交の遺産
FP OCTOBER 7, 2016
The Mess Obama Left Behind in Iraq
BY
JAMES TRAUB
l ポンド価値の急落
Bloomberg OCT 7, 2016
Seven Things to Know About the
Pound's Depreciation
Mohamed
A. El-Erian
ポンドの将来を考えるうえで知っておくべきことが7つある。
1.6月23日の国民投票後、一時急落したが、その後は1.30ドルの水準で安定していた。しかし、金曜日に1.24ドルに急落した。その過程は浮動的で、アジアでは1.18ドルで取引された。
2.メイ首相がハードな離脱を好むとわかったからだ。
3.UKはすでに大幅な経常収支の赤字であり、変動為替レートの通貨が追加の構造的な不確実性を受けて急落するのは当然だ。
4.減価は輸出を伸ばして経済への衝撃を緩和すると期待される。それゆえ輸出向けの部門では株価が上昇した。
5.為替レートの減価に頼ることにはリスクがある。減価に対する経済の反応は小さく、しかもイギリス経済の将来に構造的な不確実さがあれば、その効果は遅れる。減価はインフレに転嫁され、イングランド銀行の政策を難しくする。ハードBrexitが不況に至れば、政策担当者たちは最も困難な課題に直面する。すなわち、スタグフレーションの誘導だ。
6.減価の短期的な効果は、インフレに苦しむ国民を犠牲にして、株価上昇で、「国際エリート」に利益をもたらす。政府は、労働党やUKIPに支持が流れることを恐れて、ポピュリスト的な主張に偏るだろう。
7.ヨーロッパの諸国はこれを嫌う。しかし、UKとEU諸国がともにハードBrexitを主張するなら、ポンドは一層の変動と下落を示すだろう。それはヨーロッパにとっても好ましいものではない。
Bloomberg OCT 7, 2016
Currency Vigilantes Pound on
Post-Brexit Sterling
Mark
Gilbert
The Guardian, Tuesday 11 October
2016
The Guardian view on the pound’s
crash: the markets deliver their verdict on Brexit Britain – and it’s not
pretty
Editorial
FT October 11, 2016
The markets have taught Theresa May
a hard lesson on sovereignty
Martin
Wolf
政治家は提案し、市場は売却する。
先週、テレサ・メイはBrexitに向けた計画を発表した。外国為替市場は、イギリス資産を売却してそれに応えた。UKは自分たちの運命を「支配する力を取り戻す」と決めた。しかし、法的な主権はパワーではない。UK政府はその意図を示すが、その結果を決めるのは他者の反応である。
メイの2つの演説がハードBrexitを確実にした。1つは、手続きである。来年3月までにはEU離脱の50条に基づく手続きを開始する、とメイは約束した。もう1つは、その中身である。「われわれは完全に独立した、主権国家になるつもりだ。・・・だから、それは『ノルウェー・モデル』ではない。また、『スイス・モデル』でもない。」
それはハードBrexitになるだろう。交渉は、一方的に破棄するだけでは済まない。UK輸出の半分がEUに向けられている。交渉が終わるまで、UKが信頼できるパートナーとみなされることも困難だ。
メイは、「世界市民であるというのは、どこにも属さない市民だ」と述べた。なぜ世界市民と国民とを両方とも認めないのか? イギリスで働く多くの熟練労働者がそうである。Brexitが、排外主義を刺激する離脱派の宣伝で勝利したことは明らかだ。このようなUKをEUはパートナーとみなすだろうか?
愚かな発言には報いがある。イギリス政府が、今、極端な目標を明確にした。投資家たちはその国の資産価値をもっとも単純なやり方、すなわち、ポンドを売って、引き下げたのだ。実質実効為替レートが、2008年金融危機直後の水準に近いところまで下げた。株価も、ドル表示で、国民投票よりも低くなった。
イギリス資産はこれほど下落する必要がある。それはイギリス経済に関する投資家たちの予想が悪化したことを反映している。しかし、輸出の伸びは不十分であり、これほどの減価でも、経済構造を貿易可能な財・サービスに向けて転換するには足りない。現在の大幅な経常収支赤字を考えれば、Brexit後に持続可能ではなく、マクロ政策が需要を抑制しなければならないだろう。それこそイングランド銀行と大蔵省とが必死に避けようとしていることである。
確かに、巨額の対外赤字を融資する資本流入が続くだろう。それは、大幅なポンドの減価でこの国の資産がバーゲン価格になったと考えるからだ。しかし、資本流入が止まるとしたら、投資家たちは政府が選択したコースについて不安を感じているのだ。その後、通貨価値は急落する。国債利回りは急騰する。政策担当者たちは、投資家の信頼を失った新興市場と同じ困難に直面する。危機の最中に、金利を引き上げ、財政赤字を減らす。それは起きないだろうが、政府の失言が続けば、起きるかもしれない。
政府は開放経済における主権の限界を学ぶだろう。議会の承認なしに50条の離脱交渉を始めることは不可能だ。僅差でBrexitが決まっただけで、政府には極端なBrexitを選ぶ権限などない。離脱派が議会に主権を取り戻すと主張したのだから、なぜ政府は議会を無視するのか?
「UKのことはUKが決める」という離脱派の主張が空虚なものであることを、為替市場は示した。Brexit行きの列車を止めることは不可能なのか? いや、可能だ。
l 北アイルランドのBrexit
The Guardian, Sunday 9 October 2016
Let’s stand up for a vision of an
open, tolerant and outward-looking country
Will
Hutton
FT October 10, 2016
The shock that will shift a nation’s
business model
Wolfgang
Münchau
The Guardian, Monday 10 October 2016
This Brexit plan will divide Britain
and Ireland once more
Diarmaid
Ferriter
NYT OCT. 11, 2016
Will Brexit Unravel the Peace in
Northern Ireland?
Jochen
Bittner
Brexitの国民投票は、北アイルランドの住民の中に亀裂を再現した。
かつて内戦によって引き裂かれた土地が、過去20年に、一連の相互強制措置を経て、大きな利益をもたらした。1998年の和平協定は、アイルランド共和国とEU諸国との経済関係を強め、現代の偏在する情報技術によって失業率は低下し、新しい、以前は考えられなかった機会が広がっている。
しかし、その中に存在する部族、クラン、党派的分断の旧世界もリアルなものである。ベルファスト西部には、今も平和の壁が、イギリス側のプロテスタント地区を、アイルランド側のカソリック労働者コミュニティーから分離している。もし政治的暴力のない常態を平和と呼ぶなら、ここは平和である。しかし、社会が安心して過ごす状態ではない。
「オレンジとグリーン、古来の情念が満ちている。アメリカでトランプを支持する多くの者がいるように、多くの不満を抱く人々が、自分たちの生き方は生存を脅かされている、と感じている。」 Brexitがその時代錯誤の情念を強めた。平和を願う人たちは悪循環を恐れている。法的な不確実性が増し、多くの企業がベルファストを引き揚げる。失業率が高まり、挫折感と頭脳流出が生じる。社会対立は過激化し、多年にわたって築かれた社会的、政治的な進歩が失われる。
l シリア内戦
The Guardian, Monday 10 October 2016
If we don't act now, all future wars
may be as horrific as Aleppo
Paul
Mason
戦争において医療施設を爆撃するケースが広まっている。それは歴史的に回避するよう求めてきた教訓を無視するものだ。赤十字や民間医療施設は戦争の標的にしてはならない。西側政府のいかなる者にも、プーチンがグロズヌイで行ったような、そしてアレッポで行っているような破壊をすることは考えられない。
SPIEGEL ONLINE 10/11/2016
Battle for Aleppo
How Syria Became the New Global War
By
SPIEGEL Staff
シリア内戦は、次の3つの点で、一種の世界戦争になった。
1.この4年間、多数の外国兵士が戦闘地域に流入した。2.紛争が地域全体を不安定化した。イスラム国家の拡大、クルド人のPKKとトルコ政府との対立。3.シリアが、アメリカとロシアとの代理戦争の舞台になってきた。
Project Syndicate OCT 11, 2016
On the Bombing of Aleppo
GEORGE
SOROS
NYT OCT. 11, 2016
Putin in Syria: Chechnya All Over
Again
By
OLIVER BULLOUGH
現在のアレッポは、正規転換期のグロズヌイ、チェチェンの首都である。われわれは破壊された後の都市を訪問し、衝撃を受けた。
「これはプーチンがチェチェンでやったことだ。プーチンの治安部隊はチェチェンでの交渉相手をだれも認めなかった。最も長生きした反政府指導者は宗教的な狂信者であり、憤怒とイスラムによって動いた。彼らは信仰の熱病に支配された女性たちを送って、モスクワの路上や、学校、劇場、コンサート会場のようなソフトターゲットで自爆させた。いかなる惨劇も彼らの大義を暗黒と化し、プーチンの同盟者たちに強い正当化をもたらし、プーチンの犠牲者に対する同情は失われた。」
「1999年にプーチンがチェチェン戦争を始めてから、彼はチェチェンの指導者たちを殺害し、地元の支配者を通じて平和をもたらした。秩序の維持に要した野蛮な成果は、人口の3分の1に達する難民流出であった。その多くはヨーロッパに向かった。脱出は今も続いている。モスクワは今もばく大な援助を与え、その平和とは、たった1つの暗殺がカオスをもたらす状態だ。」
The Guardian, Wednesday 12 October
2016
How should the UK respond to the
crisis in Syria?
NYT OCT. 12, 2016
How the U.N. Can Save Aleppo
By
MOHAMMED BIN ABDULRAHMAN AL-THANI
FP CTOBER 12, 2016
It’s Time to Negotiate With Iran
Over Syria
BY
AFSHON OSTOVAR
Bloomberg OCT 13, 2016
Islamic State Has Good Reasons to
Retreat in Iraq
Noah
Feldman
l ポーランド
FT October 10, 2016
Reforms in Poland risk dividing the
country
l 人民元のSDR参加
Project Syndicate OCT 10, 2016
China’s SDR Distraction
BARRY
EICHENGREEN
中国の通貨、人民元がSDRを構成するバスケットに加えられた。中国政府関係者はこれを人民元国際化の進展として重視している。しかし、SDRは世界通貨ではない。IMFが各国の勘定を計算する単位でしかなく、民間市場で取引されていない。
中国政府は、人民元によるスワップ取極めや、中国の金融機関による人民元取引の清算・決済サービス、外国機関や外国政府による人民元建債券の発行、などを推進してきた。しかし、シンボルではあっても、その中身は乏しい。
問題は中国国内の金融市場にある。IMFやBISは、社債市場に注目し、中国企業の債務の多くがデフォルトになる、と警告している。それは中国の銀行にも深刻な影響を及ぼすだろう。
これは政府の見通しが間違っていたことを意味する。政府は、資本規制を緩和し、外国資本が流入すれば、中国の銀行はそれに応じて会計基準を導入し、リスク管理も行い、金融取引の急速な拡大に適応するだろう、と考えていた。その結果、金融市場の流動性と安定性は増すはずだ、と。
残念ながら、その逆のことが起きている。人民元国際化は、政府が国内金融市場の強化、規制の近代化、契約の厳守を実行することで実現するのだ。
(China Daily) 2016-10-10
Keynes and Hayek in the property
market
By
Andrew Sheng and Xiao Geng
l 南スーダン
FP OCTOBER 10, 2016
South Sudan’s Attacks on U.N. Could
Imperil Future Peacekeeping
BY
COLUM LYNCH
南スーダン政府軍兵士による国連職員や外国人への襲撃が増えている。
l 中国の政治支配
FT October 11, 2016
Speculation grows Xi Jinping will
defy China rule on leadership retirement
Tom
Mitchell in Beijing
Project Syndicate OCT 11, 2016
Breaking the Ice in the South China
Sea
FIDEL
V. RAMOS
FP CTOBER 12, 2016
Beijing Tells Seoul to Stay Calm and
Carry On, After Chinese Fishermen Sink a South Korean Coast Guard Boat
BY
DAN DE LUCEO
Bloomberg OCT 12, 2016
China Returns to Pedal Power
Adam
Minter
FT October 13, 2016
China’s leadership risks a great
leap backward
中国共産党政権の集団的支配に関するルールを、習近平は無視するのか、という不安が広がっている。法の支配から、人による支配への退行でもある。
NYT OCT. 13, 2016
Why Chinese Women Still Can’t Get a
Break
By
HELEN GAO
l IMFのギリシャ融資
FT October 11, 2016
The IMF should stay in the Greek
rescue squad
l リベラルを阻む5冊
Bloomberg OCT 11, 2016
Five Books to Change Liberals' Minds
Cass
R. Sunstein
1.“Seeing
Like A State: How Certain Schemes to Improve the Human Conditions Have Failed,”
by James Scott.
2.“A
Matter of Interpretation,” by Antonin Scalia.
3.“Side
Effects and Complications: The Economic Consequences of Health-Care Reform,” by
Casey Mulligan.
4.“The
Righteous Mind,” by Jonathan Haidt.
5.“Order
Without Law: How Neighbors Settle Disputes,” by Robert Ellickson.
l Brexit後のヨーロッパ
FT October 12, 2016
The Brexit vote pushes Europe to
redefine itself
Manuel
Valls
Project Syndicate OCT 13, 2016
Europe after Merkel
ASHOKA
MODY
l エチオピアとイエメン
FT October 12, 2016
Ethiopia faces its Tiananmen Square
moment
David
Pilling
FP CTOBER 12, 2016
Yemen’s Terrible War Is About to Get
Worse
BY
APRIL ALLEY
FT October 13, 2016
Saudi Arabia’s senseless pursuit of
war in Yemen
l IT時代の労働者と教育
Project Syndicate OCT 12, 2016
The Skills Delusion
ADAIR
TURNER
教育とスキルの改善が生産性を高め、生活水準を向上させる。拡大する不平等にも決定的な改善をもたらす。そう皆が信じているけれど、それは間違いだ。
現代の経済が示す衝撃的な特徴は、いかに少数のスキルを持つ人々が、決定的な領域で前進するために必要な役割を果たせるか、ということだ。時価総額3740億ドルのFacebookは1万4500人しか雇用せず。4000億ドルのMicrosoftは11万4000人、1000億ドルのGlaxoSmithKlineは9万6000人しか本社採用していない。
これら3社の雇用する労働力は、グローバルな労働市場という、大海の一滴でしかない。しかし、彼らが提供する消費者サービスや医薬品は、数十億人に利用され、経済全般の生産性上昇、健康増進に役立っている。
雇用と付加価値とのこうした乖離は、情報通信技術ICTの効果を反映する。それには2つの特徴があるからだ。1.ハードウェアの生産性を、ムーアの法則のように、劇的に加速した。初期の技術変化と全く異なる。2.いったん開発されたソフトウェアは、ほとんどゼロ・コストで、無限に複写できる。
それでも高い教育水準を求めるのは、高いスキルが高賃金をもたらすからだ。しかし、多くの高賃金職は生産性の上昇に重要ではない。例えば、弁護士が増えても、人間の厚生を改善することはない。同様に金融取引の多くもゼロ・サムである。高度な熟練と多大のエネルギーが消費者ン関心を惹くことに費やされるが、ファッションやブランドの交代も同じである。
低所得の人々が貧困から抜け出すために、教育を受け、スキルを得ることも解決策にならないだろう。旧来の職場を機械化するとき、新しい職場が常に生まれるけれど、しばしば、それは報酬が減るものだ。アメリカ労働統計局の予測では。雇用が急速に増えるのは、個人介護など、対面のサービス分野である。それは機械化が難しいからだが、同時に、スキルや職場での訓練もあまり必要ない。介護職の雇用は増大するが、ソフトウェアやアプリの開発ではなかなか雇用が増えない。
多くの職場はスキルのランキング競争が繰り返されるが、それによって報酬を高めるだけで、絶対的な能力を高めるわけではない。
むしろ教育には個人的な、そして、社会的な価値がある。博学で、基礎科学に関心を持ち、良いデザインや音楽を理解できる。機械化やAIは人間を無限の苦役から解放するのであって、良い教育とは、個人の報酬や社会の繁栄で測るのではなく、満足のできる生活をもたらす点で重要なのだ。
不平等を解消するには、再分配、最低賃金の引き上げ、労働市場とは関係ない所得支援、そして、高水準の公共財供給が必要だ。ますます多くのロボットが人に代わって働く世界でも、こうした教育は重要だ。職を得ることは、所得や満足、社会的地位を得ることともはや関係ない。
l 労働者の賃金・権利
NYT OCT. 12, 2016
Uber Drivers Ruled Eligible for
Jobless Payments in New York State
By
NOAM SCHEIBER
NYT OCT. 13, 2016
Pastry Chefs Are in Demand. Why
Aren’t Wages Rising?
By
NOAM SCHEIBER
l 新しい保護主義
FT October 13, 2016
Global trade: blocking moves
Shawn
Donnan and Lucy Hornby
世界金融危機後に保護主義が高まるという懸念は回避されたように見えた。しかし、新しい保護主義は非常に見えにくい形で高まりつつある。
l タイ国王の訃報
FT October 13, 2016
King Bhumibol Adulyadej of Thailand,
1927-2016
NYT OCT. 13, 2016
King Bhumibol Adulyadej of Thailand
Dies at 88; Reigned 70 Years
By
BARBARA CROSSETTE
FP OCTOBER 13, 2016
The Thai King’s Heir Owned a
Controversial Poodle Named Air Chief Marshal Foo Foo
BY
SIOBHÁN O'GRADY
皇太子とその三番目の妻とがスキャンダルによって国民の支持を失ったことが、王位に関する政治的混乱を生むのか?
Bloomberg OCT 13, 2016
The Power Transfer Thailand Needs
Editorial
Board
l 西側の国際政治支配
FT October 13, 2016
How the west has lost the world
Philip
Stephens
YaleGlobal, 13 October 2016
UN Secretary-General Must Manage
Trilateral Divergences Over Globalization
Richard
Weitz
l 民主党大統領の政策綱領
NYT OCT. 13, 2016
Can the Democrats Resurrect the
Middle Class?
Thomas
B. Edsall
ヒラリー・クリントンが大統領になる場合,民主党はどのような政策プランを示せるのか? いくつかの提案がそれを試みている.
The
Brookings Institution が発行した“An Agenda for Reducing Poverty and
Improving Opportunity,” by Isabel V. Sawhill and Edward Rodrigueは,その最も優れた提案の1つである.再分配だけではリスクが高い,という意見も含めて,家族・被扶養者への減税を改革することを求めている.また,婚姻が不利益にならないように,様々な新しい給付計画を示す.
Lawrence
Summersが提案している政府のインフラ投資も取り上げる.長期停滞と不十分な景気回復が世界各地にポピュリズムを生じ,分解を促している,と警告する.Summersは,緊縮から公共投資に,時代の要請する経済学が交代した,と考える.
Jason
Furmanは, 46歳でthe President Obama’s Council of
Economic Advisersの議長を務めた.Furmanの関心は,成長を損なっている2つの問題に向けられる.企業がダイナミズムを失い,市場における競争が失われていることだ.
先月の講演“Beyond Antitrust: The Role of
Competition Policy in Promoting Inclusive Growth”において,Furmanは危険な競争減退を指摘した.「2012年,約900の産業分野の42%で上位4社が市場の3分の1以上を支配している.1997年には28%であった.」
企業のダイナミズムが失われると,労働市場のダイナミズムも失われる.労働者は雇用や移動の可能性が減り,大企業に労働市場を独占されるからだ.それは低賃金,労働組合の組織率低下,最低賃金の低下,総所得に占める労働分配率の低下,につながる.Furmanは,1.知的所有権,特許制度,2.労働者の交渉力,3.職業資格,4.土地利用規制,の改革を唱えている.
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The Economist October 2016
Why they’re wrong
Special Report: An open and shut case
The war in Syria: Grozny rules in Aleppo
Syria’s civil war: The agony of Aleppo
Columbia’s peace: A chance to clean up
Russia and MH17: Brought to BUK
(コメント) グローバリゼーションを擁護する特集記事の無いように注目しましたが,さまざまな修正を経て擁護論を展開しています.貿易,人の移動,資本.それらは,たとえば,需要管理政策を堅実に行うことで不況を回避し,税制と組み合わせて移民労働者を効果的に取り込み,直接投資や長期投資を優先し,短期資本移動に有効な安定化処理をほどこす.
ハイパー・グローバリゼーションから,修正グローバリゼーションへの転換です.
シリア内戦の激化に,また,民間機撃墜の調査に,私たちは何をするべきでしょうか? 残念ながら,コロンビア内戦の終結は,この記事の後,国民投票で否決されました.
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IPEの想像力 10/17/16
梅田の交差点で、久しぶりに、Big Issues『ビッグイシュー日本版』を買いました。後で,販売者の男性と話してみたい,と思いました.
中身が興味深いです.多くがホームレスに関わる記事ではなく,スペシャルインタビュー(映画『ブリジット・ジョーンズの日記』),特集:日本の市民―29の原発を止めた人とまち,ケニア便り,ワンダフルライフ,など.「今月の人」はマンチェスターの販売者,コリンです.
原子力資料情報室共同代表の西尾漠さんは,「日本は脱原発の決定をしたドイツよりもたくさんの原発を止めてきました」と言います.『ビッグイシュー』は,ホームレスの問題を私たちに知らせるだけでなく,「日本の民主主義の原点」になる市民たちの行動を伝えます.
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The Economistでシリア内戦の記事("The agony of Aleppo”)を読みました.
・・・アサドの支配体制は,都市を壊滅させて住民を追い払う,焦土作戦を始めた,と反政府グループは言う.シリアの西側,国民の70%が住む地域を支配することを目指している.支援するロシアは,1999年,チェチェンの首都,グロズヌイを壊滅したのと同じ戦術,同じ武器を使用している.
「爆撃のわずかな合間に,人々は自宅やシェルターから出て食糧と薬を探すが,市場に残された物はほとんどなく,肉の価格は急上昇していた.・・・1人のアレッポの住民は語った.『毎日,私は自宅を出て,売ってくれる人を探すが,そのとき,家族に会えるのはこれが最後かもしれない,と思う.』」
「新しい兵器が足元の大地を震動させる.それは世界の終末を感じさせる.」
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アメリカのオバマ大統領が軍事介入を控える姿勢を変えず,プーチンは比較的少ないコスト(4億8000万ドルと,20人の特殊部隊の犠牲)で,アサド体制を守り,シリアをロシアの事実上の植民地にした.
ケリー国務長官は,ロシアとの停戦協定成立に苦心した.しかし,この合意は最初から壊れると分かっていた.アメリカとロシアの間で,目的が全く違うからだ.プーチンはアサド体制を守り,アメリカはアサドを政治的な和平交渉の障害と観ていた.
国務省の元シリア問題顧問であるFred Hofは,ケリーの努力を「悲しい,的外れな,絶望的外交,希望に頼った思考」である,と指摘した.ブルッキングス研究所のMichael O’Hanlonは,冬が来て,政府軍による包囲が続けば,もはや大規模な人道的空輸作戦しか,アレッポの住民たちが生き延びる術はない,と主張する.
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メルケル首相は,難民の大規模な流入を止めるために,民主主義を否定し,独裁化の傾向を強めるトルコのエルドアン政権と合意しました.難民キャンプにも財政支援しています.
安倍首相は,北方領土問題を解決するため,そして(おそらく),中国を意識した東アジア情勢の安定化にロシアとの関係を強化するために,ロシアのプーチン大統領を招きます.
プーチンはウクライナ東部を,事実上,分割し,その支配地域から発射されたロシアの地対空ミサイルがオランダの旅客機を撃墜して,298人を殺しました.チェチェンでも,シリアでも,ロシア軍の介入は「西側指導者のだれも受け入れられない」ほどの殺戮を行っています.
政治指導者が示す決断と,国民に対する説明を,特に注意して聴きたいです.「日本の民主主義の原点」が,市民たちによって,世界からも問われています.
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