(前半から続く)
l 中国と南シナ海
Bloomberg JULY 17, 2016
In Sea Dispute, China Can Choose Its
History
Michael
Schuman
Project Syndicate JUL 18, 2016
How Slow Will China Go?
LEE
JONG-WHA
l トランプ指名共和党大会
FT July 18, 2016
Trump leads the west’s flight from
dignity
Edward
Luce
NYT JULY 18, 2016
The Most Extreme Republican Platform
in Memory
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT JULY 19, 2016
Trump Is Getting Even Trumpier!
David
Brooks
FP JULY 19, 2016
The Circus Comes to Cleveland
BY
KORI SCHAKE
Bloomberg JULY 19, 2016
Trump's Convention Is Only About
Clinton
Jonathan
Bernstein
The Guardian, Wednesday 20 July 2016
The targeting of Hillary Clinton
suggests a vicious campaign ahead
Jonathan
Freedland
今や、トランプがこの秋にヒラリー・クリントンとどのように戦うのかが明らかになった。彼女を犯罪者として、ホワイトハウスではなく、牢獄に入れるのだ。
FT July 20, 2016
No, Donald Trump and Brexit are not
the same
Sebastian
Payne
NYT JULY 20, 2016
The Trump Affront to Latinos
Héctor
Tobar
NYT JULY 20, 2016
The Best Way to Avoid Future Trumps?
By
HANS NOEL
大統領をどうやって決めるか? トランプのような人物が大統領にならないような、選挙制度の改善策を考える。
The Guardian, Thursday 21 July 2016
Trump’s best chance of winning? A
Hillary show trial
Timothy
Garton Ash
「見ろ、見ろ!」・・・「有罪、有罪!」・・・「ぶちこめ!」 これは政治ショーであり、魔女狩りである。
誰もトランプがクリントンに勝つとは思わない。しかし、誰も共和党の大統領候補になるとは思わなかった。確かなことは、これから4か月間のアメリカが経験する、殴り合いの、有毒な、ネガティブ・キャンペーンが、イギリスのEU離脱に関する国民投票をまるで教会のお茶会であったと思わせるほど、とんでもないものになるということだ。トランプの戦略は、恐怖を煽るより、怒りを煽るものだ。
イギリスで興味深いのは、国民投票から1か月で、急速に政治が市民性を回復したことだ。しかし、アメリカの選挙戦後は、もっと分断状態が長引くかもしれない。世界はアメリカの指導力を必要としているのに。
FT July 21, 2016
Donald Trump’s flawed Cleveland
convention
NYT JULY 21, 2016
The G.O.P.’s Surreal Diversity Show
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT JULY 21, 2016
What Republicans Really Think About
Trump
Nicholas
Kristof
NYT JULY 21, 2016
The Apotheosis of Donald J. Trump
Thomas
B. Edsall
FP JULY 21, 2016
The Republican Party Is on the Verge
of Extinction
BY
ROSA BROOKS
FP JULY 21, 2016
The Certain Trumpet
BY
JAMES STAVRIDIS
FT July 22, 2016
Donald Trump and the shifting
symbolism of austerity
Gillian
Tett
l ソフトバンクによるARM買収
The Guardian, Monday 18 July 2016
The Guardian view on the ARM sale:
foreign takeover not inward investment
メイ首相は、ソフトバンクSoftBankによるイギリス企業ARMに対する投資を歓迎したが、産業政策はどうなったのか?
NYT JULY 18, 2016
SoftBank’s $32 Billion Deal for Chip
Designer ARM Is Britain’s Biggest Since Brexit
By
LESLIE PICKER, MARK SCOTT and JONATHAN SOBLE
Bloomberg JULY 18, 2016
SoftBank Makes a Brilliant Bet on
the Future by Buying ARM
Leonid
Bershidsky
ARM買収で、ソフトバンクは243億ポンドを支払う。ARMは何も生産せず、ソフトウェアのデザインだけをしている。その買収額は現在の売り上げに比べて大きすぎるように見えるが、ARMはIntelに対抗できる唯一の企業である。
すでに携帯電話では、IntelよりARMのデザインしたソフトが主流である。Apple, Samsung and Huaweiなどのスマートフォンも採用している。Intelの支配領域にも進出しつつある。すべての機器・サービスがインターネットで結びつく時代に、ARMの市場規模は爆発的に増えるかもしれない。
FT July 19, 2016
SoftBank’s big bet and the future of
UK tech
FT July 21, 2016
Rupert Murdoch and Masayoshi Son are
back in charge
John
Gapper
データより、本能で帝国を築いた。
FT July 21, 2016
The unhappy story of British
industrial strategy
Geoffrey
Owen
l BrexitとEU革新
FT July 18, 2016
Flexible forms of union offer a
bright way forward for Europe
Anne-Marie
Slaughter
EUが発展する中で、イギリスを加盟国にとどめ、より革新的な同盟に進化する力とすることが重要だ。それこそ外交・安全保障政策に関するEU上級代表Federica Mogheriniが6月半ばに示したグローバル戦略“Shared Vision, Common Action: A
Stronger Europe”であった。
そのもっともオリジナルな部分は、「協力的な地域的諸秩序」に関する議論である。諸地域を「パワー、相互作用、アイデンティティの複雑なウェブ(蜘蛛の巣)」として描き、それが「分散した世界におけるガバナンスの決定的空間」を代表する。それら諸地域では、国家も人々も、世界情勢に影響力を高めるプロジェクトに自発的に参加する。それこそがEUとして行動する根拠であり、他の地域秩序を支援することがグローバル戦略の柱になる。
それは現在議論されているようなEUの統合された政治秩序と全く異なる。確かに、EUは地域秩序として、グローバルな通商条約を結び、世界最大の単一市場として経済的利益をもたらし、イランの核開発計画やISISとの対抗においてグローバルな役割を担う。しかし、連邦国家に向かうEUの試みは失敗してきた。「ヨーロッパ合衆国」を目指すEU連邦主義の創始者たちは、1957年にローマ条約でその約束を成文化したが、キャメロンが交渉で得たのは、一層の統合化からイギリスが離脱する権利であった。
1950年代に、ヨーロッパ防衛共同体とヨーロッパ政治共同体を創る試みが挫折してから、ヨーロッパは諸コミュニティからなるコミュニティとして存在した。それは多次元で重複する諸国家のコミュニティが集まる同盟である。各コミュニティのメンバーは、共通の目標に向かう十分な共通利益を持っているに違いない。
しかし、EUはすでに多数の異なるコミュニティとなっていることを「マルチ・スピード」による統合化が示している。共通通貨、共通の国境、外部との共通の枠組み、それらは参加するコミュニティの市民にとって利益になるとき成立する。その1つ1つが自発的なアレンジであるから、多様性を保持しながら、統一性の利益を実現する。
アメリカの建国を指導した創始者たちは、民主主義を規模に応じて機能させることに苦労した。13州と広大なフロンティアに及ぶ統一の利益を得つつ、政府が独裁になることなく市民たちに奉仕する仕組みを論争した。その答えは、70年を経た内戦・南北戦争であり、連邦国家であった。
EUはその問題に対する現代の解答だ。諸国家はグローバル化した世界でここに反映することはできず、統一の利益を求めているが、他方で、分割された諸国民として、政治的弾力性、言語と文化のアイデンティティを維持したい。
200にも達する諸国家から成る世界で、地域秩序こそますます欠かせないものになるだろう。Brexitは効果的な同盟に向かう進化の触媒であって、より緊密な統合が答ではない。EUとは、失敗したアメリカではなく、新しい政治形態を創造する世界の指導モデル、協調し、同時に、分離した有機体になる。
l EU移民政策の転換
Project Syndicate JUL 18, 2016
The Failure of Free Migration
ROBERT
SKIDELSKY
EUは移民の自由を保障するルールを見直すべきだ。西側世界における物的、経済的、文化的な不確実さが反移民感情を強めている。西側エリートたちは、移民の自由と、同化や統合の成功をもたらす政策とを実現することに失敗した。
かつて、大規模な移民は、人口の少ない入植地や未開発のフロンティアに対して行われた。経済移民と難民とは区別できた。前者は、工業化にともない、発達した地域から未開発地域に、仕事を求めて向かったのだ。第2次世界大戦後は、この方向が逆転し、経済移民を受け入れる利益と、国内の雇用や文化を維持することが、先進国政府によってバランスされてきた。ドイツの「ゲストワーカー」がそうだった。
近年の難民は、迫害や、国家の分裂による極端な治安悪化を逃れるために生じている。この場合、プッシュ要因が圧倒的に重要であり、経済移民のように受け入れる利益とバランスを取ることは不可能だ。しかし、経済移民と難民との区別はあいまいになっており、難民が長期にわたって帰国できず、永住化することを考えると、受け入れ国の住民が拒もうとするのは理解できる。
今後、EUの移民政策は3つの点で修正を必要とする。1.反移民感情は、それに関連した事実に依拠して発生しており、偏見や政治的煽動として否定できない。2.規制されない大規模な移民は終わらせるべきだ。3.EUに来る難民のほとんどが帰国しないだろう。プッシュ要因を解決する有効な方策は容易に見いだせない。
中東でも、ヨーロッパでも、治安を確保し、経済の成長過程に移民と難民を取り込まねばならない。それなしに政治・社会不安が高まり続けるなら、暴力が拡大する危険を高めてしまうだろう。
FP JULY 19, 2016
This Is Europe’s Last Chance to Fix
Its Refugee Policy
BY
GEORGE SOROS
EUは,移民の受け入れに十分な大きさの上限を決め,移民を居住させる国に対する十分な資金援助を行う基金を設けるべきだ.さらに,EU境界線の警備,受け入れ基準や統合化の支援,を示すことだ.EUとトルコとの協定を改善する,7つの視点が重要だ.共通基金を増やし,EUとして受け入れ諸国を決め,受け入れ社会が移民を支援する.
FP JULY 21, 2016
The World’s Largest Refugee Camp Is
Invited to Please Shut Down
BY
TY MCCORMICK
l コロンビア和平
FP JULY 18, 2016
Politics Roils Colombia’s Tentative
Peace Deal with the FARC
BY
MEGAN ALPERT
l ポケモン
FP JULY 18, 2016
What Pokémon, Japanese Schoolgirl
Punks, and Cocaine Have in Common
BY
SOPHIE KNIGHT
Project Syndicate JUL 19, 2016
The Strongman’s Power Trap
NINA
L. KHRUSHCHEVA
l イラク戦争の教訓
Project Syndicate JUL 19, 2016
The Wrong Lessons of the Iraq War
ANNE-MARIE
SLAUGHTER and NUSSAIBAH YOUNIS
イラク戦争に参加したことに関して,独立調査委員会の報告書はその「教訓」を示した.すなわち,戦争を支持する議論を,政府は「誤った情報に基づき」,その資源は表明された目標に合致せず,軍事介入した結果として意図せざることが起きるということに対処する計画を持たなかった.その結果,イギリスは6年間も,非常に長い,成功とは程遠い戦争に,関与した.
しかし,この失敗のカタログは,すべての軍事介入に反対することを意味してはいない.将来の介入が成功するための判断基準として理解しなければならない.
シリアのアサドが化学兵器を自国民に対して使用したとき,オバマは最も介入に近づいた.しかし,イギリス政府が介入に対する議会の支持を求めて,それを得られなかったために,オバマも介入をあきらめた.しかし,アメリカが軍事介入していれば,特に,シリアの空軍力や空港を破壊しておけば,アサドが反政府住民を殺害することは大幅に抑制できたはずだ.
確かに,シリアへの軍事介入は,むしろ,その後のISISによる支配が拡大し,ますます中東の混乱を深め,シリア国民を苦しめる,と反対する者がいる.そのような形でISISの存在を有利に宣伝したのがアサド政権であった.シリア国民は,ISISがいても,いなくても,政府軍と戦っている.
報告書が言うように,「いかなる軍事介入も,さまざまな側面を計算し,討議し,最も厳格な反論によって試されるべきである.」 その意味は,軍事介入が正しいケースは存在する,ということだ.
l 国際的無秩序
FP JULY 20, 2016
2016: The Theory Behind a Very Bad
Year (and It’s Only Half Over)
BY
DAVID A. BELL
FT July 21, 2016
Global disorder: from Donald Trump
to the South China Sea
Philip
Stephens
表面的にはつながりのない出来事である.トランプは中国の「九断線」の話など聞かないだろう.イギリスの外相となったボリス・ジョンソンは,トルコの民主主義より,移民を減らすことに関心が強いだろう.ニースの大量殺人犯は,自分勝手にイスラム国を称えるだけだ.しかし,こうやって狂気と事態の悪化が広まっていく.
以前,西側外交官が中国の防衛力強化を戦後秩序の脅威とみなすのを聞いた.その後,トランプの演説をオハイオで聞いたとき,アメリカを再び偉大な国にする,と言うが,国際法には関心が無いようだった.どちらも他方を正当化するわけではないが,われわれが進む世界を示すものだ.
YaleGlobal, 21 July 2016
Global Security and Democratic
Governance Falter as Historic Rivalries Reemerge
Richard
Weitz
l イタリア銀行危機
FT July 21, 2016
Why Italy’s housing crisis matters
Valentina
Romei
Project Syndicate JUL 21, 2016
The Global Economy’s Hesitation
Blues
ROBERT
J. SHILLER
l 世界都市東京
Project Syndicate JUL 21, 2016
The Tokyo the World Needs
YURIKO
KOIKE
FT July 22, 2016
Hillary and Bill Clinton: The
for-profit partnership
Gary
Silverman
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The Economist July 9th 2016
225m reasons for China’s leaders to worry
Chinese society: The new class war
Italian Banks: The Italian job
War in Iraq: The dangerous chill of Chilcot
Kurdistan: Dream on hold
(コメント) 中国社会がますます多くの都市中産階級を生み出すことで,成長によって政治的な支持を得て来た共産党は方針転換を余儀なくされるでしょう.あるいは,これまでのような天安門後の政治的安定性を自ら破壊するかもしれません.
イタリア銀行危機とユーロ圏のルール修正,イラク戦争をめぐる反省,クルド人国家に関して,読んでみる価値があるでしょう.
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IPEの想像力 7/25/16
アン・マリー・スローターAnne-Marie Slaughterの2つの意見に感心しました.1つは,Brexit後のEUについて,もう1つはイラク戦争について.
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イギリスがEUを離脱したことは,「ヨーロッパ合衆国」をめざす連邦主義者のモデルが現実に合わないからです.彼女が考える世界の将来には,200もの国民国家が条約を結ぶより,さまざまな地域秩序が形成されています.各国・コミュニティは,それが有利であるなら,地域秩序を共有する「コミュニティのコミュニティ」になります.
そのような柔軟な地域秩序においては,イギリスもドイツも,重要な役割を果たすでしょう.あるいは,ギリシャも,イタリアも,フランスも,さまざまな小国も,地域秩序の中でアイデンティティを維持し,発展する道を模索できます.
それに比べて,現在のアメリカ社会はどうでしょうか? 繰り返される銃器による大量殺人.格差が拡大し,金融街や政治エリートへの不満が高まり,人種や宗教に基づく差別意識が強まっています.グローバルな政治経済統合を指導できる民主的国家,という自負も失いつつあります.
また,中国社会はどうでしょうか? 1989年の政治的弾圧以降,中国政府は,成長と社会改革を率先して実現する,というテクノクラート国家の優秀さを主張してきました.しかし,中産階級の経済基盤に広がる影響力,多様な社会的要求に,共産党が唱える「文化的価値」も「検閲(そして,もっと深刻な国論操作)」も,応えることはできない,とThe Economistは考えます.
憎悪を振りまくアメリカ合衆国でも,中産階級を恐れる中国でもなく,柔軟なEUこそ国際・地域秩序のモデルです.
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スローターは,イラク戦争の失敗を,軍事介入が不可能になった,という教訓として理解しません.私は講義で,今も,ブレアによるイラク戦争の優れた説明を紹介しています.残念ながら,その決定は情報の正確さを正しく判断できず,国連安保理を結果的に無視し,アメリカ政府に引きずり回された外交・占領政策により,国民から厳しく批判されました.
しかし,戦争と外交は切り離せず,今後も国際秩序を決定する最重要な要因です.国境を超えた軍事介入も,内戦も,既存秩序を変容する強い衝撃を発し続けています.
民主的な国家であるからこそ,その決定は国民的な議論によって支持されねばなりません.また,その経過や結果についても,情報が公開され,独立委員会による検証に関係者たちは応じ,国民に対して説明する責任を政治に求めています.白髪の老人となったブレア元首相が,自分は戦争犯罪人ではない,と主張し,その決断の責任を負うと謝罪し,同時に,歴史的に評価してほしい,と強く願うのも,民主的国家の優れたあり方であると私は思います.
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安倍政権を批判する野党の主張に,優れた代案がない限り,日本の有権者は魅力を感じません.グローバリゼーションの不安に呼応する右派強硬派の議論を取り込みつつ,民主的なプロセスで,戦後秩序の解体,憲法改正を着実に進める安倍首相に,対抗できる政治勢力は形成されていない,と感じます.
スローターのEU革新論から,ASEANや南シナ海,東アジアが学び,イラク戦争に関しては,日本の護憲派や,北朝鮮をめぐる5か国会議が学ぶべきでしょう.
政権を担う意志があるなら,左派勢力は,アベノミクス,安全保障,憲法改正に関して,積極的な対抗策を示すべきです.左派思想や,政策立案能力,対話・交渉過程を革新することで,自民党が解体するとき,選挙の力学は変わるでしょう.
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