(前半から続く)
l サウジアラビア
NYT MAY 27, 2016
The World Reaps What the Saudis Sow
By
THE EDITORIAL BOARD
サウジアラビアは、アメリカの同盟国として軍事的な保護や援助を受けているが、王室はワッハービズムに多額の資金を与え、9・11につながったスンニ派イスラムの急進主義を広めている。それは今ではイスラム国家に及ぶ。
その最新の害悪はコソボに見られる。コソボの人口はわずか180万人であるが、イラクやシリアに行って兵士となる若者は他のどの国よりも多い。かつて穏健派イスラムの調和的な社会であったコソボを、セルビアからの攻撃に対して守るため、NATOは空爆を行った。しかし、サウジアラビア他湾岸諸国は、コソボをスンニ派急進主義の温床に変えてしまった。
民主政府の西側への支持は今も強いが、急進主義の聖職者が首都で説教を続けている。コソボの経済は衰退し、若者たちに雇用がなく、汚職などで政府機関に対する信頼は失われている。教育機関の機能も不十分だ。
FT May 31, 2016
How Israel can marshal the ‘good
news’ from the Middle East
Roula
Khalaf
l 日本と中国とウクライナの言論統制
FP MAY 27, 2016
The Silencing of Japan’s Free Press
BY
MARTIN FACKLER
The Guardian, Sunday 29 May 2016
The secret army of cheerleaders
policing China’s internet
John
Naughton
NYT MAY 31, 2016
Ukraine Declares War on Journalism
By
IAN BATESON
FP MAY 31, 2016
Turns Out That Maybe You Shouldn’t
Trust the ‘Media’
BY
ELIAS GROLL
l ゴルバチョフ
FT May 29, 2016
‘The New Russia’ by Mikhail
Gorbachev
Review
by John Lloyd
l ネオリベラリズムの転換
FT May 30, 2016
A misplaced mea culpa for
neoliberalism
「成長をもたらすより、ネオリベラリズムのいくつかの政策は不平等を拡大し、それがしっかりした成長を犠牲にすることになった。」Jonathan D. Ostry,
Prakash Loungani, and Davide Furceri, “Neoliberalism: Oversold?” FINANCE &
DEVELOPMENT, June 2016, Vol. 53, No. 2
IMFの機関誌がネオリベラリズムを批判する論文を載せたことは、実証的な議論をする技量もない無思慮なラディカルたちに、何でもかんでも批判する言葉として「ネオリベラリズム」が使われることを助長するものである。
いくつかの政策、とは何か? この著者たちは、競争政策、自由貿易、民営化、直接投資、財政の健全化は、圧倒的に多数の国で重要であると考える。論文が問題にしているのは、規制されない短期資本移動の急激な動き、財政赤字を減らす急激な変更、の2つである。これら2つは以前から批判されている。
ネオリベラリズムを攻撃するのは、非常に危険な意味がある。世界中で抑圧的な体制が、ネオリベラリズムを攻撃する十字軍に加わっている。彼らは非効率な政策で住民を苦しめ、極端な不平等を利用して国家の強権を正当化している。
また、こうしたネオリベラリズム批判に同調することでIMFが得たものは何か? 流行に乗ろうとして、帽子を後ろ向きに被った、時代遅れのおじさんとみなされるだけだ。そして、既存の政策に新しい名前を付ける宣伝で忙しくすることは、本当に重要な問題から注意を奪ってしまう。すなわち、生産性上昇が継続して低下していることについて言及していない。
Project Syndicate MAY 30, 2016
Overdosing on Heterodoxy Can Kill
You
RICARDO
HAUSMANN
2008年の金融危機以降、それを予測できなかった、間違った処方箋を書いた、危機の回避に失敗した、とエコノミストは非難されている。新しい経済学が求められ、正しいとされた。しかし、新しいものがすべて正しいわけではないし、良いものがすべて新しいとは限らない。
中国の文化大革命の50周年に、正当な考え方を窓から投げ捨てればどうなるか、考えるべきだろう。ヴェネズエラの現在の経済危機もそれを示す。世界で最も豊かな国の1つだが、最悪の不況と最高のインフレーション、社会指標の最悪の下落を示している。世界最大の石油埋蔵量がありながら、国民は食糧や医薬品が手に入らず、文字通り、飢えている。
それにもかかわらず、ヴェネズエラはさまざまな国際機関やイギリス労働党の左派指導者Jeremy Corbyn、ブラジルの前大統領Luiz
Inácio Lula da Silva、アメリカのシンクタンクthe US Center for Economic Policy
Researchに称賛されていた。ヴェネズエラは、経済原理主義を拒否する英雄だったからだ。
経済原理は、社会的な目的を達成する良い方法として、弾圧よりも、市場を利用することを考える。市場とは要するに自己組織化の1つであるから。ヴェネズエラ以外の多くの国では、食料も、石鹸も、トイレット・ペーパーも買える。それが国家の政策を乱すことはない。
もし市場の結果を好まないとき、経済理論は、課税することや、補助金を出すことを求める。あるいは、トマス・アキナスにさかのぼって、「公正な」価格を求める。経済学はそれを間違った考え方とみなす。価格は生産や消費を決める重要な情報であるからだ。
ヴェネズエラで公正な価格を求める法律が意味したのは、農家が耕作をやめ、商品が闇市場に消えたことだ。さらに、高率のインフレを抑える世界で最多品目の管理価格体制と、商品を備蓄した商店主の投獄、密輸を禁止するための国境閉鎖になった。
また伝統的な経済原理では、正しいインセンティブの構造を創り出すこと、国有企業を経営する正しいノウハウを得ることは、非常に難しい、と考えられている。だから国家は、よほど深刻な市場の失敗がなければ、あるいは、よほど重要な戦略部門でなければ、国有化しない。ところがチャベスは2006年に再選された後、農場、スーパーマーケット、銀行、電話会社、発電所、石油会社、製造業(鉄鋼、セメント、コーヒー、ヨーグルト、など)を国有化した。その結果は、生産性が急落したことだ。
財政の慎重な管理もヴェネズエラは拒否した。これも、経済的な正統派の考えとして、しばしば非難されている。しかし、ヴェネズエラが示すのは、石油価格の高騰した時期に巨額の対外政府債務を増やした末に、2013年、国際資本市場から締め出され、紙幣を印刷したことだ。過去3年間で、通貨価値の98%を失った。
進歩は間違いを特定し、異端の考え方を求めることで実現する。しかし、学習は困難で、大きな時間的遅れがともなう。すべての正統的な考え方を窓から投げ捨てても、それは災難を招くに過ぎない。文化大革命や、現在のヴェネズエラがそれを示す。
The Guardian, Tuesday 31 May 2016
You’re witnessing the death of
neoliberalism – from within
Aditya
Chakrabortty
イデオロギーが死ぬときは、どのようになるのか? かつて社会主義の計画経済が、楽園のイデオロギーから、崩壊する過程を小説家Francis
Spuffordが描いた。同じことは、金融危機を起こした資本主義にも起きている。
イングランド銀行のMark
Carney総裁、BIS、そしてIMFの研究者が資本主義の経済思想を批判した。過去30年間、多くの国で、政治や社会の制度を、次々に、市場のコピーに組み替えたのだ。イギリスの国民医療保険制度や大学がそうだ。ネオリベラリズムは、少数の生活を改善したが、経済成長を実現できなかった。大きな不況で人間的な破滅をもたらし、破産処理に多くのコストを強いた。国家のサイズを抑えるというネオリベラリズムの主張は、利益より大きなコストをもたらした。
The Guardian, Thursday 2 June 2016
National borders exist to pen poor
people into reservations of poverty
Giles
Fraser
l アルゼンチン債務
Project Syndicate MAY 30, 2016
Argentina’s Eternal Debt Problem
CARMEN
REINHART
l ロンドンとジャカルタ
Project Syndicate MAY 30, 2016
London Versus ISIS
DOMINIQUE
MOISI
ロンドンにおけるカーンの勝利はすばらしい。しかし、ロンドンは例外である。
ロンドンはUKではないし、ヨーロッパや西側でもない。ロンドンはニュー・ヨークよりもコスモポリタンで、ベルリンよりも文化的にダイナミックであり、パリよりも自信にあふれている。
ロンドンの開放性と自信は、その経済が成長し、繁栄していることを条件としている。
FT June 1, 2016
Jakarta points the way for London
mayor Sadiq Khan
Kishore
Mahbubani
ロンドン市長選挙でイスラム教徒のSadiq Khanが当選したことは喜ばしい。それは西側文明の開放性と寛容さとが、今もうまく機能することを示したからだ。そして、意外かもしれないが、同じ精神はイスラム世界にも見られる。
インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を抱える国である。その首都ジャカルタは、中国系クリスチャンBasuki Tjahaja Purnamaによって統治されている。中国系の市長が高い支持を得ていることは、1998年にも、反華僑暴動で1000人以上が殺害されたことを想うなら、非常に意義深い。そのときPurnamaは、自身もこん棒やモロトフ・カクテル、大ナタをもって、家族を守った。
市長として17か月を送ったが、彼の支持率は高い。それは果敢に改革を進めているからだ。ナイト・クラブを閉鎖し、公娼地帯を清掃し、スラムの人々を貧困から救い、運河のどぶを浚った。
困難な政策選択にも取り組む姿勢を示した。モノレールの計画をやめて市電に変え、25年以上も官僚制が阻んでいた地下鉄計画も進めている。
Purnamaの強さは、情報の透明性を信じていることだ。ジャカルタ市の予算はオンラインで公表している。自分の電話番号を公表し、市民からのテキスト・メッセージに自分で応える。だからイスラム過激派の攻撃は効果がないのだ。ジャカルタは、世界で最もソーシャル・メディアが普及している都市だ。人々はPurnamaが都市を改善していることを知っている。
彼に会った時、政治的に成功する秘訣は何か、と尋ねた。彼の答えは、「命がけでやることだ。私はいつでも死ぬ気でやっている。」“Be prepared to die. I am
ready to die”.
彼には勇気がある。圧倒的に多数がイスラム教徒の社会で、彼の勇気は命取りだ。しかし、彼は支持されている。ジャカルタ市民は自分たちの都市が、アジア各地の都市に比べて、遅れていることを心配している。Purnamaは、シンガポールから台北まで、アジアの都市を研究して、その良い面をジャカルタに取り入れる、と公約した。彼らはそれを支持したのだ。
だから、私は文明の衝突ではなく、文明の融和がグローバル化すると信じる。中国系キリスト教徒のジャカルタ市長が支持されているのは、彼がこう呼びかけているからだ。「スマホを観ればわかるように、世界は急速に前進している。私と一緒に、世界最高水準の都市行政を実現しよう。」
イスラム教徒のカーンをロンドン市民が支持し、中国系キリスト教徒のPurnamaをジャカルタ市民が支持した。ともに重要な変化である。
NYT JUNE 2, 2016
‘Islamism Is Dead!’ Long Live Muslim
Democrats
By
HUSSEIN IBISH
l 中国の転換
FT May 31, 2016
Xi Jinping has changed China’s
winning formula
Gideon
Rachman
習近平は、鄧小平が築いた毛沢東後の中国モデルを完全に転換しつつある。すなわち、政治における集団的指導体制、経済における輸出主導の成長モデル、外国における力を誇示しない姿勢。すべては逆転した。
FT June 1, 2016
No need to panic, China’s banks are
in pretty good shape
Nicholas
Lardy
中国は銀行危機を起こさないだろう。1.その国が維持できる債務の水準は貯蓄率によって決まる。中国の貯蓄率は高い。2.中国の債務は国内通貨建である。3.中国の銀行の債務はほとんど預金である。預金は動きが非常に遅い。
銀行危機を恐れるのは、すべての銀行が不良資産NPLsを蓄積している、と考えるからだ。しかし、積極的に不良資産を処分している銀行もある。だから、報告されているNPLsの低い率は正しいだろう。日本はNPLsを、長い間、認めなかった。だから処理が進まなかった。中国は積極的に処理し始めている。中国政府は支払い不能になった銀行に対する公的資金注入により資本増強を行った。
中国の銀行融資は、かつてほとんど国有企業に対して行われていた。しかし、今ではその比率が30%まで低下し、民間部門や家計に対して融資している。金融当局は慢性的な赤字の続く国有企業に対する融資を抑えるように求めている。それは地方政府の抵抗を生じているが、克服できるだろう。中央政府はいわゆるゾンビ企業の処分を求めるキャンペーンを行っている。
地方政府の抵抗を克服し、中央政府はNPLs処理のために、NPLsの償却、債券化、そして、銀行への資本増強を行うだろう。
l 消費税率引き上げ延期
FT June 1, 2016
Japan’s sales tax delay raises
questions about economy
Hisao
Tonedachi
l TPP反対
Project Syndicate JUN 1, 2016
The Trans-Pacific Shell Game
JOMO
KWAME SUNDARAM
TPPは成長をもたらさない。TPPの主要な受益者は国際展開する大企業である。TPPは知的所有権を強化・拡大し、各国の金融規制を阻み、海外投資家の権利を強化し、企業は規制による不利益をIDSで訴えることができる。TPPは多角的自由化を妨げる。
NYT JUNE 2, 2016
If T.P.P. Crumbles, China Wins
Roger
Cohen
l ポーランドの保守政権
FT June 2, 2016
Poland cannot afford to ignore
Europe’s warning
ポーランドは、東欧民主化と経済改革の模範国であり、EU加盟とNATO拡大の成功例であった。しかし、ナショナリストの「法と正義」党が政権を取り、その指導者Jaroslaw
Kaczynskiは、憲法改正を含めて、大幅な反民主的改変を進めている。
ポーランドはEUの構造調整資金を受け、NATO軍の拡大を得て、雇用を増やし、ロシアからの脅威を抑えている。西側のクラブに残ることは、その社会・政治的な価値を守る義務を伴う。何が国民の利益か、よく考えるべきだ。
l 南シナ海
YaleGlobal, 2 June 2016
For the US, Sailing Around the South
China Sea Is Not Strategy
Harry
J. Kazianis
(China Daily) 2016-06-02
Time for US to stop militarization
of South China Sea
By
Liu Haiyang
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The Economist May 21st 2016
The referendum craze: Let the people fail to decide
Plebiscite in Europe: Referendumania
The UN: Get the best
UN peacekeeping in Congo: Never-ending mission
Banyan: Rebuilding bridges
Crime in El Salvador: The gangs cost 16% of GDP
Bello: Lessons of the fall
Charlemagne: Vexed in Vienna
Faith in race: Integration nation
(コメント) 直接民主主義,国民投票が望ましい,という考えの間違いを正します.むしろ,政治を無意味な党派的混乱に単純化し,破局を招きます.国連事務総長の選出や,国連平和維持軍のコンゴ駐留は,理想を再生できるのか?
なぜ政治家は広島と伊勢志摩を選んだのか? エル・サルバドルのギャング,ブラジルの左派政党,オーストリアのコーポラティズム崩壊,そして,イギリスでは多文化の有機的統一論を批判し,積極的な文化統合か,融和の誘導か,が議論されています.
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IPEの想像力 6/6/16
旧支配層に対する不満が注目されています.旧思想や正統派の革新が議論されています.
50年前,文化大革命で若者たちが旧い思想を窓から投げ捨て,何を得たのか? とRICARDO HAUSMANNは問います.The Economistは,日本が犯した戦争における蛮行と,中国の文化大革命を並べて,「暗黒の歴史」と指摘します.頭を冷やして自国の歴史を直視せよ,というわけでしょう.
あるいは,東ベルリンを去る列車の窓から東ドイツ通貨や自宅アパートの鍵を投げ捨てた人々,アラブの春で体制の崩壊を歓迎した人々も,同じように問い続けているでしょう.経済活動や市場の背後には,政治があり,軍事力があり,思想があります.
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EUやECB,ユーロに対する不満だけでなく,イスラム国家のテロやシリア・リビアの内戦を逃れる難民の増加,そしてヨーロッパのイスラム化を恐れる声が,各国における極右や右派のポピュリストにより増幅されています.
普通の人々は不安や恐怖に駆られて,国家・国境・治安の強化,ナショナリズムや自民族の強権体制・ポピュリスト政治家を正しい政治だと感じているようです.グローバリゼーションも,国際機関も,ヨーロッパ統合も破壊して,内向きの雇用と安全を求めるのでしょうか? 「新しい中世」が,いよいよ実現し始めたのかもしれません.
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しかし,誕生し続ける歴史の在り方を,1つに決めつけるのは間違いでしょう.思想は,現実の軋轢の中で,また,それを担う人々の柔軟性や才気により,いかようにも変わるところが面白いのです.
ロンドン市長について,Bagehot(The
Economist May 14th 2016)は紹介します.当選したカーンは,バッキンガム宮殿に呼ばれて宣誓します.しかし,バイブルに手を置いて,というわけにはいかず,イスラム教徒としてコーランを使ってほしい,と願います.バッキンガム宮殿には1冊のコーランもなく,どうしたら良いか,と困っていると,カーンは自分のコーランを持ってきていました.
よかったね,・・・という話ではありません.宮殿はコーランをカーンに返そうとしましたが,カーンは逆に問いかけたのです.「次にここへ来る人のために,コーランを置いて帰りましょうか?」
イスラム教徒の入国は認めない,と暴言を吐いたトランプですが,カーンは例外として入国を許す,と言いました.ロンドン市長として.カーンはその申し出を断ります.「これは単に私だけの問題ではない.私の友人,私の家族,私と同じ背景を持つ世界中の人々の問題だ.」
Bagehotは考えます.旧来の,単純な多文化主義に代わって,より高度な概念が生まれるだろう.それは地域に限らない,国民に及ぶ,首相や内閣における多文化主義だ,と.もしそれが成功すれば,トランプはヒラリー・クリントンに敗北する前に,ロンドンで敗北する.そして,バッキンガム宮殿に残るカーンのコーランと,それを気にしないイギリス国民が勝利する.
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世界最大のイスラム教徒が住むインドネシアの首都,ジャカルタ市長(特別区知事),プルナマBasuki Tjahaja Purnamaは中国系クリスチャンです.インドネシアでは何度も反華僑暴動があり,多数の住民が襲撃・殺害された,というのに.
どうして彼が市長なのか? イスラム過激派は攻撃しないのか? プルナマは,ジャカルタをアジアで最高の都市にしたい,と約束しました.それを実行し続けていると市民が信じたから,市長として高い支持を得ています.市の財政をネット上に公開し,市民からの質問に自分で答えます.多くの困難な問題に直面する政治家としての覚悟を,自分は死んでもいい,必ず改革する,と語ったそうです.
暴動の中では,武器を手にして家族を守りました.
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IMFによる「ネオリベラリズム」の死亡宣告について,新産業主義の宣言について,世界金融危機後の論争はますます思想の根源を問い直します.
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なぜサミットは伊勢志摩で行われたのか? Banyan(The Economist May 21st
2016)は考えます.これはオバマと安倍の政治的な取引だった,と.2人は,アジアにおける中国との政治経済競争で同盟関係を強化したい.アメリカは中国と対抗する上で日本を欠かせないし,日本は,もちろん,アメリカを欠かせない.
オバマ大統領は自分のレガシーとして,核廃絶を唱えたこと,大統領として初めて広島を訪問し,核なき世界への関心を高めることを望みました.他方,安倍首相は伊勢志摩で世界の最高指導者たちを歓迎し,神社や神道を日本の伝統や精神世界として公式に宣伝し,承認されることを望みました.2人は,日本の軍備強化,国際安全保障を担う国家としての地位を,平和主義の日本国民に訴えます.
しかし,オバマは同盟の相手を間違ったのではないか? とBagehotは懸念します.
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