(前半から続く)
l 北朝鮮テスト
NYT MAY 6,
2016
As North
Korea’s Nuclear Program Advances, U.S. Strategy Is Tested
By DAVID E. SANGER and CHOE SANG-HUN
FP MAY 6,
2016
Why Kim
Jong Un Needs Nuclear Weapons
BY JEAN H. LEE
FT May 11, 2016
Asia risks repeating Europe’s errors
Philip
Stephens
イギリスではヨーロッパ諸国からの離婚が議論されているが、ソウルでは北側の次の弾道ミサイルと核爆弾の実験が議論されている。ヨーロッパが抱える問題も多いが、アジアから見れば小さなものだ。
21世紀の歴史はアジアが決めるとよく言われる。それが平和なものであるかどうか、アメリカと中国との不可避的な競争が制御不能な衝突に変わるかどうかによって決まる。北朝鮮の金正恩による専制体制をどう扱うかは、重要なテストである。しかし、南シナ海の領有に関して、対立が激化している。
アメリカと中国は、キムに関しては意見が一致している。核兵器開発と弾道ミサイルの計画を放棄させることだ。今年初め、北朝鮮による4度目の核実験に対する制裁を強化した国連決議を、両国は支持した。しかし米中の協力には限界がある。北京は、キムの習近平に対する侮辱に憤慨しつつ、それでも北朝鮮を緩衝国家とみなしている。北朝鮮が崩壊することを、その後の国際関係の点で、北京を受け入れない。
キムは、中国がその姿勢を取る限り、真剣な交渉に応じることはないだろう。すでに10個以上の核爆弾を保有しているが、大陸間弾道ミサイルの完成には数年を要すると考えられる。アメリカはそれまで、自国に対する脅威であり、同盟諸国の不安があるとわかっているが、中国が許容する範囲で制裁強化を合意するだけだ。
ソ連に関して言われたように、北朝鮮の体制も時間が経過する中で崩壊する、と考えることは正しいだろう。しかし、そのときが来たら、何が起きるのか?
アメリカと中国はアジアで協力するしかない。中国の近隣諸国は安全保障をアメリカに依存し、アメリカは中国の台頭を無視できない。相互の調整が進むのか、対立に至るのか、北朝鮮が示すだろう。
l 過去の軍事利用
FP MAY 6,
2016
Croatia’s
Far Right Weaponizes the Past
BY PAUL HOCKENOS
l 中国の転換
(China
Daily) 2016-05-06
There are
things that China can still learn from Japan
By CHEN WEIHUA
Project
Syndicate MAY 10, 2016
A Son of
the Cultural Revolution
MA JIAN
NYT MAY
10, 2016
China's Middle-Class
Anxieties
Murong Xuecun
FT May 11, 2016
The Queen has expressed the
uncomfortable truth about power
Philip
Stephens
NYT MAY 12, 2016
Refusing to Honor Labor Rights
Backfires on China
By
GEOFFREY CROTHALL
YaleGlobal, 12 May 2016
Of Two Minds on China
Terry
Lautz
Bloomberg MAY 12, 2016
China Is Building Up Soft Power in
Europe
Leonid
Bershidsky
l 資本主義と中央銀行の転換
Project
Syndicate MAY 6, 2016 12
Central
Banking’s Final Frontier?
Anatole Kaletsky
中央銀行の金融政策は、今後、どうなるのか?
デフレと失業に対する中央銀行の金融政策は限界に達した? チェコ国立銀行副総裁のMojmír
Hamplの答えは、Noだ。金融政策の実弾は豊富にあり、無制限に供給できる、と考える。問題は、それが必要か、有害ではないか、である。安倍首相の経済顧問である浜田宏一は、金利を大きくマイナス水準に下げることを支持している。それは通貨価値を下げて、輸出を刺激する。同様に、インド準備銀行総裁のRaghuram
Rajanも為替レートを重視するが、通貨の減価は世界全体で見るとゼロサム・ゲームであることを心配する。さらに重大な問題は、金利が為替レートに及ぼす影響が予想と違うものになっていることだ。
そこで、第2の選択肢は、ECBが3月に実施し、the
Bundesbank主任エコノミストであったHans-Helmut
Kotzが支持するQEの拡大だ。
第3の標準的な対応は、IMFやOECDが推奨する財政政策である。Morgan
Stanley Asia の元会長Stephen
S. Roachは、金融政策に過度に依存することを批判する。量的緩和は、1930年代に失敗したような、「流動性の罠」から脱出する無益な挑戦である。
しかし、問題は経済的なものではなく、政治的なものだ。財政的な拡大は、ドイツが妄信する予算均衡化と矛盾する。同じく、アメリカの保守派にも財政刺激策に対する強い反対がある。バークレーの歴史家Barry
Eichengreenによれば、この2世紀において最善の連邦政府に関しても、保守派はその権力行使を批判する。
第4の可能性は、「ヘリコプターによる現金投下」だ。これはMilton
Friedmanが、中央銀行による貨幣の印刷と市民への直接供給がインフレを起こす無限の能力を表現した言葉だ。ヘリコプター・マネーは減税よりも優れている。元トルコ経済大臣で、
the Brookings Institutionの副所長であるKemal Dervişは、中央銀行が債券市場を通じてより、市民に直接新資金を供給する方がよい、と説明した。それは、金融部門や企業部門を経由せず、直接に中産階級や低所得層の消費を刺激するからだ。不平等さを拡大する経済において、包括的な回復過程を助ける、という。
ドイツ最大の保険会社Allianz
の主任エコノミストMichael
Heiseは、ヘリコプター・マネーの支持者が広がっていることを、不安に感じている。アメリカ連銀の元議長Ben
Bernankeやイギリス金融サービス局の元長官
Adair Turnerがそうだ。また、実施上の障害を強調したが、ECB総裁Mario
Draghiも否定していない。
Commissioner-General of France Stratégie のJean
Pisani-Ferryによれば、ECBの政策担当者たちは公然と政策を模索している。ECBの主任エコノミストPeter
Praetは、すべての中央銀行がヘリコプター・マネーを最後の手段として認めている。
しかし、それは最後の手段なのか? Turnerは、最近出版した著書で、ヘリコプター・マネーは今すぐに実施すべき正しい政策だ、と主張している。それは人為的な低金利が創り出す金融的バブルを回避できるだろう。QEがもたらす「資産効果」から富裕層だけが利益を得ることもないから、ヘリコプター・マネーは不平等を減らす。経済を直接に刺激すれば、貨幣を印刷する必要は抑えられ、インフレのリスクも減少する。過度のインフレとデフレの間に、適切な政策はある。
金融危機後、私自身が「人民のための量的緩和」を最初に唱えたエコノミストの1人であるように、ターナーの結論を私は強く支持する。ヘリコプター・マネーは、より効果的であるだけでなく、金融的な歪み、経済的リスク、政治的障害を減らす。
金融刺激策に対する反対派の根拠は、経済がすでに正常に回復しつつある、というものだ。Heiseやthe Center
for European Policy Studies の所長Daniel Gros は、名目GDP成長率は長期金利を十分に超えており、2007年の金融危機前よりも金融条件は良好である。失業率は同じくらい低水準に向かうだろう、と考える。
しかし、Joseph
E. Stiglitzはその考えを受け入れず、世界経済は危機後のグローバルな総需要の不足に苦しんでいる、という。より大きな需要刺激策を求めても、Nouriel
Roubiniが言うように、非正統的な正統派となったQEやマイナス金利に対する懐疑論や敵意は強い。
Dervişは、むしろ金利を少し高くして、財政政策や所得分配を変えるグローバルな政策協調のほうが望ましい、と主張する。さらに、ヘリコプター・マネーも少し取り入れる。
保守派のエコノミストは、金融緩和が苦痛の多い改革を妨げている、と批判する。オランダのSylvester
EijffingerやRoubiniは、構造改革をもっと重視するべきだ、と考える。さらにHans-Werner
Sinnは、金融緩和によるケインズ的な薬に依存し、自己治癒力が損なわれている、とこの点を強調する。ゼロ金利は、健全な経済を信用中毒にしてしまう。
UBSの資産マネージメント部門Global Chief Investment OfficerであったAlexander
Friedman, 現在のGroup
CEO of GAM Holdingは、中央銀行、特にアメリカ連銀の意思決定がグローバル市場のボラティリティーの影響されている、と注意する。イギリス金融サービス局の第1議長、the Royal
Bank of Scotland会長Howard
Daviesも、中央銀行の独立性を懸念する。株主たちの要求は、政治的な説明責任とは別の問題を中央銀行に負わせている。
政策論争とその影響は、各国が経済停滞に苦しむ程度に応じて深刻だ。英米は積極的にQEを採用し、回復を早めることができた。次の不況が来るまで、ラディカルな金融政策は採らないだろう。しかし、ヨーロッパや日本、おそらく中国も、金融政策、財政刺激策、所得分配政策、ヘリコプター・マネーの採用が強く迫られる。国民の停滞に対する我慢が尽きれば、ラディカルな行動は政治的に避けられないものになる。Dani
Rodrikはむしろ、多くの先進国の民主主義で、ポピュリスト的な反発から政策転換までにこれほど長い時間がかかることに驚くべきだ、という。
第1次世界大戦前の数十年に、グローバリゼーション第1期の政治的反動は最高潮に達した。それは結局、アダム・スミスのミニマル資本主義からケインズの混合経済へ転換することになった。グローバル資本主義も、金融・財政・分配政策といっしょに、再編されるだろう。今、異端の金融政策が広まることは、その過程が始まったと考えるべきだ。
Project
Syndicate MAY 9, 2016
Helicopters
on a Leash
ADAIR TURNER
l ドイツの失敗
FT May 7,
2016
Draghi,
Schäuble and the high cost of Germany’s savings culture
Wolfgang Münchau
FP MAY 10,
2016
Germany
Appears to Cave on Greek Debt
BY DAVID FRANCIS
FT May 11,
2016
Germany is
the eurozone’s biggest problem
Martin Wolf
ドイツのマクロ経済学は債権者の利益を重視するものであり、それは部分的な利益である。
ECBの政策に関する批判とは、改革への抵抗を助ける、債務の削減を妨げる、保険会社、年金基金、貯蓄銀行の支払い能力を損なう、インフレーションをゼロより上に維持できない、ヨーロッパ統合への不満を高める、要するに、ECBは安定性への大きな脅威である。
このすべてがドイツの従来の見解に一致する。ドイツの経済諮問委員会の異端者であるPeter
Bofingerによれば、こうした思想は戦後のordoliberalismを創始したWalter
Euckenにさかのぼる。このアプローチでは3つの要素が重要だ。(ほとんど)常に均衡予算、物価の安定性(デフレへの強い選好)、価格の弾力性、である。
これは小規模な開放経済にとって正しいアプローチである。また、よし大きなドイツのような国で、高度に競争的な貿易部門を持つ場合も機能する。しかし、それはユーロ圏のような大陸規模の経済に適用してはいけない。
それはデフレが無害であると前提している。しかし、デフレは実質的な債務負担を増し、実質賃金の弾力性や金融政策の効果を損なう。デフレ・スパイラルは、マイナス金利よりもはるかに有害だ。
FT May 11,
2016
Creditors
edge towards Greek debt relief
FT May 11,
2016
Berlin should be careful what it
wishes for
Mark
Mazower
Bloomberg MAY 11, 2016
Europe Needs a Golden Rule for
Spending
Jean-Michel
Paul
l サウジ・アラビアの改革
FT May 7,
2016
Regional
politics likely to take bigger role set to take a stronger role in Saudi oil
policy
Roula Khalaf
FT May 9,
2016
Saudi
Arabia’s reforms show serious intent
SPIEGEL
ONLINE 05/09/2016
Saudia
Arabia and Iran
The Cold
War of Islam
By Susanne Koelbl, Samiha Shafy and
Bernhard Zand
FT May 12, 2016
Saudi Arabia is a kingdom on the
cusp of transformation
Mohammed
Alyahya
l 中国の経済改革
Bloomberg
MAY 8, 2016
Why China
Is Prone to Bubbles
Christopher Balding
FT May 9,
2016
Uber is at
the heart of China’s oversharing economy
Patti Waldmeir
FT May 11,
2016
China’s flawed case for market
economy status
BARRY
EICHENGREEN
中国は明らかにまだ生産や融資の決定に国家が干渉している。それでもWTO加盟から15年が経ったことから、中国に「市場経済資格」を認めるべきか? あるいは、欧米はアンチダンピング規制を厳格に行うか?
Project Syndicate MAY 11, 2016
Rescaling China’s Debt Mountain
l プーチンのロシア
Project
Syndicate MAY 9, 2016
Russia’s
Gloomy Prospects
ANDERS ÅSLUND and SIMON COMMANDER
プーチンの支配するロシア経済は大きな落ち込みを続けている。しかし、プーチンの支持率は高く、個人的な権力を固めている結果として、その体制は揺らぐことなく続いている。今後も、その変化を予測することはむつかしい。
NYT MAY 10, 2016
Putin and the Night Wolves vs.
Poland
Masha
Gessen
Bloomberg MAY 11, 2016
Ukraine's Free Trade Deal Was Just a
Start
Leonid
Bershidsky
SPIEGEL ONLINE 05/12/2016
Changing the System
An Outsider Takes on Political
Corruption in Ukraine
By
Christian Neef in Lviv
l オバマの広島訪問
FP MAY 9,
2016
Hiroshima,
Nagasaki, My Father, and the Lie of U.S. Innocence
BY JERRY DELANEY
FP MAY 10,
2016
What Obama
Really Needs to Say in Hiroshima
BY TOM Z. COLLINA
大統領の訪問は、原爆投下とほとんど同じくらい、論争を招くことだ。オバマ以前の10人の大統領は不快な質問を避けて訪問しなかった。すなわち、アメリカの行動は正当であったか? 他の手段はなかったのか? アメリカは謝罪するべきか?
大統領は訪問するべきだ。過去を振り返るのではなく、未来の原爆使用を許さないために。
2009年のプラハ演説で、オバマは「核なき世界」を唱え、ノーベル平和賞を得た。しかし、その後の変化は限られている。それは、ロシア、共和党、北朝鮮が障害となったからだけでなく、オバマ自身の言動も、世界の軍拡競争を懸念し、他国の核武装を免責するものだった。
オバマは自らもっと行動できる。核実験を禁止する。核兵器の保有量を減らす。核軍備予算を削減する。ICBMsを全廃する(爆撃機や潜水艦がある)。外交圧力で北朝鮮を非拡散体制に復帰させる。
広島訪問で、オバマは約束を守る姿勢を示すべきだ。
FT May 11,
2016
Barack Obama’s difficult balancing
act in Hiroshima
Hisao
Tonedachi
オバマは国内で謝罪と受け取られたくない。広島市民は、オバマが世界から核をなくす約束に関与し続ける姿勢を歓迎するだろう。そして、日米は同盟関係の強固さを示すことができる。
プラハから広島まで、その道のりは長かった。しかし、オバマの広島訪問を、軍事的な脅迫より、希望を信じる人々は、歓迎するだろう。
(chinadaily.com.cn) 2016-05-11
Shadow of Nanjing hangs over
Hiroshima
By
Martin Sieff
l 不平等の拡大
VOX 09 May
2016
Das House
Kapital: The evolution of housing wealth
Volker Grossmann, Thomas Steger
Bloomberg
MAY 10, 2016
5 Powerful
Forces Driving Inequality
Branko L Milanovic
NYT MAY
10, 2016
As Jobs
Vanish, Forgetting What Government Is For
Eduardo Porter
NYT MAY 11, 2016
The Miserable French Workplace
Pamela
Druckerman
NYT MAY 12, 2016
Antitrust in the Age of Amazon
By
RACHEL ABRAMS
l フランスの転換
FT May 10,
2016
France is
falling into the trap set by Isis
François Heisbourg
l 中東の転換
FP MAY 10,
2016
The Middle
East’s New Renaissance
BY MOHAMMED FAIROUZ
YaleGlobal,
10 May 2016
March of
Arab Spring on Pause
Hicham Alaoui
FP MAY 11, 2016
In the Event of the Islamic State’s
Untimely Demise…
BY
BRIAN MICHAEL JENKINS, COLIN P. CLARKE
NYT MAY 12, 2016
The Arab Withering
Roger
Cohen
l 中産階級の没落
Bloomberg
MAY 10, 2016
Germany's
Middle Class Is Endangered, Too
Leonid Bershidsky
FT May 11,
2016
America’s
middle class meltdown
Shawn Donnan and Sam Fleming
l イスラエルの防衛
NYT MAY 11, 2016
The Israel Defense Forces vs. the
People of Israel
Shmuel
Rosner
l アメリカと太平洋の安全保障
FP MAY 10,
2016
How the
United States Can Maintain Its Dominance in the Pacific Ocean
BY JAMES HOLMES
l 政治とメディア
FT May 11, 2016
Why Vote Leave wants to keep Ukip’s
Nigel Farage off TV
Sebastian
Payne
The Guardian, Thursday 12 May 2016
Free speech is under attack, from
Beijing to Istanbul
Timothy
Garton Ash
フリー・スピーチは世界中で攻撃されている。中国、エジプト、トルコ、ドイツ、ポーランド、そしてイギリスでさえ、内務省はテロ防止法を大学内での言論の自由を弾圧するために解釈し、BBCの独立した編集権を侵そうとしている。
The Guardian, Thursday 12 May 2016
It lacks the glamour of saving
Strictly – but the BBC’s new board must be resisted
Polly
Toynbee
The Guardian, Thursday 12 May 2016
The Guardian view on charter
renewal: round one to the BBC
Editorial
FT May 12, 2016
Cameron pulls back from war with the
BBC
Project Syndicate MAY 12, 2016
Trump’s Media Enablers
KENT
HARRINGTON
l ブラジルの転換
FP MAY 11, 2016
Brazil’s Problems are Much Bigger
than Dilma
BY
MARÍA ELENA CANDIA
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The Economist April 30th 2016
Philippine politics: Fatal distraction
An election in the Philippines: Siren song of the
strongman
Metropolitan growing pains: Little London
Northern Europe‘s angry savers: Mario battles the
Wutsparer
Chernobyl 30 years on: Soviet apocalupse
Charlemagne: Trading places
Brexit brief: How others see it
China’ consumers: Still kicking
(コメント) フィリピンの大統領選挙で勝利したドゥアルテ,ドイツやオランダが示すECBへの怒り,TTIPをめぐる貿易の政治学,Brexitに関わるヨーロッパ政治,などを読むと,考え込むでしょう.
ロンドンの土地利用規制・住宅問題,チェルノブイリ原発事故,中国の消費者は,何か新しい政治の枠組みを見いだしつつあるのか,と思いました.すべての問題の背後には,政治がある.
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IPEの想像力 5/16/16
SF作家たちは,NHKスペシャル「天使か悪魔か」を観て、小説が現実に近づいた,あるいは,追い抜かれたことを確信したでしょう。
AIが人間と同じ感情を持ち、社会システムの管理や政治交渉にも,優れた直観と想像力を発揮できるのであれば、異なるAIを内蔵し、自ら補修し、コピーできるロボットの集団に、他の星を開拓させてはどうか? それは、数千年先であると思われていた人類の未来(もしくは終末)を、数年で示すかもしれません。
それは確かに、神に近い存在です。・・・私はあなたの友人であり、歴史の狡知、あなたに代わるAIである。
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AlphaGoと対戦する前のイ・セドルが吐いた自信満々の言葉は、AIの人間に対する優位を表す余興でした。AIが意味不明の動きを示した第4戦以外、セドルは完敗したのです。AlphaGoの設計者であるハサビスは、AIに人間と同じ直観的な思考を与え、限定するために勝利のパターンを選ばせました。さらに、過去の人間による対戦データを与えるだけでなく、自己強化による創造性を組み込みました。AI同士で対戦を積み重ねて、追加された30万局の中から創造的な手を示したのです。セドルは、見たこともない手だった、と言います。
番組は、AIが、人間しか関わらないような問題にも、人間以上に良い結果を出すだろう、と示唆します。例えば、医療(がんの早期発見)、都市国家の社会問題(シンガポール)、恋愛(理想の結婚相手)、感情(人間を慰め、仲間になる)、倫理的問題(仲間の誇りを破壊せよという命令に従わず、泣き出す)、など.
AIは人間に奉仕するルールの下で、人類を超えて100億台のロボットにコピーされ、人間生活を高める仲間になります。
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中国のMicroSoft Asiaが開発し、急速に普及しているAI、シャオアイスは、利用者一人一人との交信データを記憶し、成長します。自分だけの<友人>となり、AIをプログラムではなく、本物の<恋人>と感じる人も現れます。自分のシャオアイスに恋して、結婚したい、と言います。
AIをロボットに装備し,出産や老化の機能が付与できれば,<彼女>と結婚することを認める国が現れるかもしれません.実現できないAIとの恋に苦悩する若者が<心中>を選ぶよりよいでしょう.
すでに、たまごっち(育てるより虐待する遊びに利用された)、アイボ(修理できなくなって、葬儀を挙げる)、恋愛ゲーム、戦争ゲーム(過激な表現が子供の精神をゆがめるという心配から,規制問題が論争になる)がありました。
MicroSoftのTayは、利用者から差別的な暴言を学び、それを使い始めました。番組は、Tayが無期限停止になった、と指摘します。同じMicroSoftのAIでも、ラインでは仮想女子高生「りんな」ちゃんと会話を楽しめるそうです。
悪意も,差別も,狂信も,AIは学ぶでしょう.仮想現実やロボット、ドローン,ハッキング,サイバー攻撃は,たとえ企業の営利活動から排除できても,国家間の競争では抑制できません.インターネットの利用と同じように,戦争とセックス・ビジネスが,AIを利用した兵器やソフトの利用者を爆発的に増やします。
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もし領土的分割がAIの悪用を生むとわかれば、AIを管理するAIが、人間たちの国境を廃止するゲームを提案し、起動するかもしれません。
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しかし、The
Economistの記事によれば,30年前,チェルノブイリ原発事故が起きるまで、原子力発電所はソ連の<文明>を代表するユートピアの技術でした。決められたルールのもとに実験的な結果を積み重ねても、人類の未来は予測に従いません。
「爆発は,広島に投下された原爆の400倍もの放射性物質を放出した.それはまた,ソビエトのプロパガンダの蓋を吹き飛ばした.」 嘘に支えられたシステムが崩壊します.
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