IPEの果樹園2016
今週のReview
5/16-21
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トルコのエルドアン体制 ・・・コービン労働党党首 ・・・カーン後のイギリス政治 ・・・トランプの共和党候補者指名 ・・・民主主義の在り方 ・・・ロボットの雇用・社会・世界 ・・・自由貿易体制 ・・・フィリピン大統領選挙 ・・・北朝鮮テスト ・・・資本主義と中央銀行の転換 ・・・ドイツの失敗 ・・・サウジ・アラビアの改革 ・・・オバマの広島訪問 ・・・不平等の拡大 ・・・中東の転換 ・・・政治とメディア
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
l トルコのエルドアン体制
NYT MAY 5,
2016
Whatever
Happened to the ‘Turkish Model’?
Mustafa Akyol
FP MAY 5,
2016
America
Loses Its Man in Ankara
BY JOHN HUDSON
FT May 11,
2016
Recep Tayyip Erdogan seeks limitless
power
David
Gardner
l コービン労働党党首
The
Guardian, Friday 6 May 2016
Ignore the
doom merchants: Corbyn has shown he’s a viable leader
Gary Younge
The
Guardian, Friday 6 May 2016
We
nominated Jeremy Corbyn for the leadership. Now we regret it
Jo Cox and Neil Coyle
The Guardian,
Sunday 8 May 2016
Dr
Corbyn’s elixir for electoral success will kill only the patient
Andrew Rawnsley
FT May 8,
2016
Labour
needs a positive path out of political irrelevance
Tristram Hunt
サディク・カーンは首都の市長を確保したが、労働党は国民から嫌われている保守党政権から地方選挙で何百もの議席を奪う好機を生かせず、イングランド中で敗北した。
フォークランド諸島や、トライデント原子力潜水艦など、コービンは些末な問題に固執して、イギリスを変える、そのための政治同盟を形成することにしくじったのだ。
「ビジョン」を示す必要がある。われわれはコービンが何に反対しているのかは知っているが、何を求めているのか知らない。労働党に投票する積極的なものが必要だ。Joseph
Stiglitz and Mariana Mazzucatoは、包括的な成長と不平等を是正する改革案を示してきたが、どのような支出削減にも反対する党によって支持されなかった。
有権者は大義を好む。コービンは、EU残留を明確に唱えるべきである。またスコットランドがナショナリズムに傾き、議席を失った以上、労働党はもっとイギリスに対する支持を示すべきだ。
最後に、未来志向の大都市、Manchester,
Cambridge, Newcastle and Londonは、最も多く労働党を支持した。指導部は、フェビアン型の中東集権化を放棄し、地方分権を進めるべきだ。
FT May 10,
2016
West’s
political turmoil has been years in the making
John Kay
l カーン後のイギリス政治
FT May 6,
2016
The hype
of the anti-politics zeitgeist in London is overdone
Janan Ganesh
反政治運動の高揚がある。ウーバー型のアウトサイダーが独善的なエリートを混乱させる。候補たちは主要政党の主要政治家であった。
カーンが当選しても、ロンドンが集権的な政府を持つわけではない。シンガポール型のドッグランド開発はむしろ例外であり、独立したレストラン。ギャラリー、ビジネスがロンドンを変える。
NYT MAY 6,
2016
Sadiq Khan
Elected in London, Becoming Its First Muslim Mayor
By STEPHEN CASTLE
The
Guardian, Saturday 7 May 2016
Forgive
and forget Zac Goldsmith’s racist campaign? No chance
Owen Jones
The
Guardian, Saturday 7 May 2016
Sadiq
Khan's London win is an exciting departure for British politics
Anne Perkins
これはカーンの勝利か? コービンの勝利か? スコットランド、地方選挙において、労働党候補の敗北は、カーンの労働党内における指導力に強い反対を生じている。
FT May 7,
2016
British
politics has broken out of the two-party system
Philip Stephens
政治は分裂している。ロンドン市長はサディク・カーンになったが、それ以上に、地方選挙がそのメッセージを明確に示している。旧来の2大政党制から離脱したのだ。それはヨーロッパで進んでいる旧ルールの崩壊と並行している。
昨年、キャメロンが保守党の単独過半数で政権を得たことは、2大政党制の復活、という印象を与えたが、それは間違いだった。イギリスはパッチワークの政治情勢にある。よく知られたイデオロギーの分割の上に、文化や地域の断層線が走っている。2大政党のどちらかが有権者の40%以上の支持を得た時代は過去のことだ。
イスラム教徒の市長を選出したロンドンは、イングランド南部の裕福な地区から分離を強めている。対立候補Zac
Goldsmithは、イスラモフォービア(イスラム教徒を嫌う気分)の広まる周辺地域でなら支持されただろう。しかし首都は多様さを歓迎しており、分断を進める選挙キャンペーンに反発した。ロンドンが政治的独立を提唱するまで、あとどれくらいだろうか?
分裂状態は政党内部でも進んでいる。Brexitの国民投票は保守党を分断し、コービンの労働党党首選は議員と草の根活動家との亀裂を示した。政治的に中道の、穏健なプラグマティストが、ナショナリストのポピュリズムや、急進左派の活動家に阻まれている。
ロンドンがイングランドから分離するのはむつかしいだろうが、スコットランドのSNPは独立を求める第2の住民投票を計画している。2度目に、彼らが成功するのは疑いないだろう。
NYT MAY 9,
2016
Sadiq Khan
vs. Donald Trump
Roger Cohen
The
Guardian, Tuesday 10 May 2016
Here’s how
to fix the housing crisis, Sadiq Khan
Danny Dorling
FT May 10,
2016
Inequality
is the price of London’s greatness
Janan Ganesh
FT May 11,
2016
Sadiq Khan offers new role model for
young European Muslims
Roula
Khalaf
Project Syndicate MAY 12, 2016
Sadiq Khan’s Democratic Islam
BERNARD-HENRI
LÉVY
FP MAY 12, 2016
All Aboard London’s Kleptocracy Tour
BY
ANNA PETHERICK
l トランプの共和党候補者指名
FT May 6,
2016
US
Republicans: The conservative dilemma
Anne Applebaum
共和党はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンに決まるだろう。アメリカの保守派は誰を支持したらよいのか?
「保守派」の意味はいろいろある。近年、共和党はサラ・ペイリンのポピュリズムや、今や、トランプによって変わってしまった。
本来、「社会的な保守主義」は、伝統的な道徳観を守る。しかし、トランプは2度離婚し、娘でなかったらIvankaとデートする。中絶に関しても立場を示さない。
財政均衡、自由貿易、安全保障、国際主義に関して、保守派は明らかにクリントンを支持する。
しかし、共和党の幹部はクリントン支持を受け入れない。
FT May 6,
2016
Donald
Trump would be wise to keep his counsel over Janet Yellen
Martin Wolf
NYT MAY 6,
2016
Truth and
Trumpism
Paul Krugman
NYT MAY 6,
2016
The Economy
Is Rigged, and Other Presidential Campaign Myths
By N. GREGORY MANKIW
FP MAY 6,
2016
The
Primary Battle Is Over, but the GOP Civil War Has Just Begun
BY MOLLY O’TOOLE
FP MAY 6,
2016
Donald
Trump Wants To Make America Greek Again
BY DAVID FRANCIS
NYT MAY 7,
2016
Is Trump
More Dangerous as Friend or Foe?
By JOSH KRAUSHAAR
FT May 8,
2016
The end of
American meritocracy
Edward Luce
Bloomberg
MAY 8, 2016
Get Ready
for U.S. Politics to Reach New Lows
Albert R. Hunt
FT May 8,
2016
How Donald
Trump has changed the world
Gideon Rachman
共和党の大統領候補としてトランプが事実上指名されることを確実にしたニュースは、私に2002年のヨーロッパで経験した感覚に引き戻した。当時、極右の候補であったル・ペンJean-Marie
Le Penがフランス大統領選挙の決選投票に残り、人々は激しいショックを味わったのだ。ル・ペンが勝利した朝、私はブラッセルの報道記者室に行ったとき、フランス人の同僚たちが示した不安と恥辱を目撃したのだ。
極右が西ヨーロッパで政府を樹立したことは、まだ、ない。しかし、その時以来、論争は変化し、主流派の政治家たちも極右のテーマのいくつかを受け入れるようになった。同じことが、トランプの指名でアメリカに起きるのを、私は恐れる。トランプの選挙キャンペーンは、すでにアメリカと世界の政治を変えてしまった。
トランプが広めた考えは5つだ。1.グローバリゼーションや自由貿易の否定。2.ナショナリズム、アメリカ優先の主張。3.西側とイスラム圏との文明の衝突。4.ウォール街、ワシントン政治、大学知識人への無慈悲な攻撃。5.主要メディアの信用破壊と、インターネットに蔓延する陰謀論の受容。
Bloomberg
MAY 9, 2016
Trumpism
Meets Its First Defeat ... in London
Pankaj Mishra
Project
Syndicate MAY 10, 2016
How Trump
Would Weaken America
JOSEPH S. NYE
Project Syndicate MAY 11, 2016
Can the Democrats and Republicans
Heal Themselves?
ELIZABETH
DREW
NYT MAY 11, 2016
Obama’s Gorgeous Goodbye
Frank
Bruni
NYT MAY 11, 2016
Trump’s Miss Universe Foreign Policy
Thomas
L. Friedman
NYT MAY 12, 2016
Is Tyranny Around the Corner?
l 民主主義の在り方
FT May 6,
2016
Brexit
vote casts a chill over the UK’s recovery
VOX 06 May
2016
What
Brexit surveys really tell us
Stefan Gerlach
The
Guardian, Saturday 7 May 2016
Brexiteers
put their trust in paranoia and mendacity
Nick Cohen
FT May 8,
2016
Brexit is
too high a price to pay over migration
FP MAY 8,
2016
The Boaty
McBoatface of British Politics
BY GLEN NEWEY
Project
Syndicate MAY 9, 2016
Britain’s
Enemy Within
HAROLD JAMES
民主主義はどこでも深刻な挑戦を受けている。アメリカの大統領予備選挙、ブラジルの憲法に従う弾劾、EUにおける民主主義の不足、そして連合王国UKにおける主権回復を唱えるEU離脱キャンペーンだ。
しかし、「人民の権力」に訴える試みは、容易に、人民同士の闘いに転じる。EU離脱を問う国民投票は、まさにこれだ。
代表制民主主義の伝統的な理論家は、直接民主主義を深く疑っている。特に直接投票は深刻なリスクをともなう。複雑な問題を2者択一にして、その選択に死活的な意味を与えることで、深い、長期に及ぶ亀裂をもたらす源になるだろう。今、UKで起きているように。
EU離脱論争が不確実さを免れることはあり得ない。どちらの陣営が支持する立場も不確実さが取り巻いている。EU残留派は、現在の「半分離的な」地位を支持する。キャメロン首相は、より多くの例外規定、共通ルールからのオプト・アウトを求める。しかし、EU支持派が指摘するように、安全保障から難民まで、UKだけでは解決できない、集団的な基礎による解決が求められている。その場合は、一層の統合化が支持される。
EU離脱派、Brexitにはさらに多くの不確実さがある。リスボン条約が認める2年間の離脱過程で何が起きるのか? EEAによるノルウェー型の解決策は機能するか? 2国間協定によるスイス型は機能するか? 自由貿易圏を目指すアルバニア型か? TTIPの交渉には離脱しても加われるのか? 関税障壁を下げるグローバルな運動に参加するのか?
6月23日に国民投票しても、諸問題は何も解決しない。しかも、問題はそこで終わらない。イギリスとヨーロッパとの関係をめぐる細部の交渉には何年もかかるだろう。国民投票が生んだ分極化が緩和されるまでには長い時間がかかる。
スイスのような諸国は、直接民主主義を実践しながら、深刻な分極化を生じていない。それはしばしば投票することで、勝利するための連携関係が時期や問題ごとに変化するからだ。しかし、イギリスのような代表制民主主義では、複雑な議論を評価して、トレード・オフを行うために、有権者が指導者を選ぶ。その決定が代表たちの信頼を得られない場合、政治秩序の全体が依拠する原則が挑戦を受ける。それはさまざまな立場から反対を強めるように作用する。Brexitに関する国民投票が有権者を分断する状況は、政治的連携や旧来の友情を破壊した例を想起させる。
UKの先例としては、1956年のスエズ危機だ。それは戦後世界におけるイギリスの役割に関する論争を刺激し、アメリカの善意にどこまで頼ることがよいのか、議論された。19世紀には、穀物の自由貿易をめぐる論争があった。その50年後に、フランスではドレフュス事件が国論を分断した。
いずれの場合も、政治論争は反対派を、悪意や無知による主張だ、と非難することに向かった。一方の側は、他方が感情に支配され、合理的な考えられない集団だ、と主張した。
実際は、EUに関する怒りと恐怖をもたらす疑問のすべてが、個々のケースについて対策を取ることのできる問題だ。たとえば、移民の増大が教育や住宅、公共輸送システムにもたらす問題について、学校の改善、計画的な移民許可制度、公共インフラ投資の問題である。こうした領域のすべてで、代議員たちはトレード・オフの慎重な判断を示している。
直接民主主義に転換したことで、イギリスは安定性をもたらす仕方で、直面する課題にこたえる能力を掘り崩してしまった。すべてか無か、という状況は、政治をドイツの法哲学者Carl
Schmittが「友と敵との区別」として、あるいは、喜んで死ぬことを願う者と、究極において殺すべき者との区別として理解した視点に、市民たちを向かわせる。
そのような分裂は(長い)時間の経過によってのみ妥協できるものだ。しばしば解消するまでに数世代を要する。ヨーロッパ中世におけるカソリック教会の権力が生んだ論争、アメリカの奴隷制をめぐる論争と南北戦争がそうだった。社会的な緊張、政治的行き詰まり、改革や近代化の挫折、がその結果である。
国民投票はイギリスを深刻な、根本的対立に政治を陥れる。和解不可能な分断状態、ますます停滞する社会に変わる危険が高まっている。
The
Guardian, Tuesday 10 May 2016
Gordon
Brown: Here’s an inspiring view of Britishness to defeat the Brexiters
Gordon Brown
FT May 11,
2016
The City would have a strong hand to
play post-Brexit
Ruth
Lea
FT May 11, 2016
Mark Carney makes momentous
intervention on Brexit
Martin
Sandbu
l ロボットの雇用・社会・世界
FT May 6,
2016
Bring on
the robots but reboot our societies too
Bloomberg
MAY 6, 2016
Automation
Will Never Eliminate Human Jobs
Leonid Bershidsky
FT May 7,
2016
A
down-to-earth journey to the robots’ world
Review by Sarah O’Connor
NYT MAY 12, 2016
How Austin Beat Uber
By
RICHARD PARKER
ライド・シェアリングのUberやLiftの利用を許せば、1万人のドライバーが職を失う。地方政府が規制すべきか、テキサスの町、オースティンで住民投票が行われた。
彼らが評価し損ねたのは、この土地の対抗文化の伝統であった。
l 自由貿易体制
SPIEGEL
ONLINE 05/06/2016
The
TTIPing Point
Protests
Threaten Trans-Atlantic Trade Deal
By Dinah Deckstein, Simone Salden and
Michaela Schießl
VOX 07 May
2016
The case
for free trade
Cecília Hornok, Miklós Koren
SPIEGEL
ONLINE 05/09/2016
Free
Tradeoffs
TTIP is
Flawed -- But Necessary
A Commentary By Michael Sauga
Project Syndicate MAY 12, 2016
Fairness and Free Trade
DANI
RODRIK
15年前に中国がWTOに参加したとき、グローバルな貿易体制は重要な転換点を延期してきた。中国を「非市場経済」とみなす間、他国は容易に中国からの輸入品を制限することができたからだ。特に、反ダンピング規制が多用された。それはアメリカとEUだ。
しかし、反ダンピング規制は不公正貿易に対する対応策として適当でない。それは保護主義を促す最悪の規制手段である。経済的観点では、その国のコスト以下で輸入できることは、それが市場の独占を目的にしていないなら、輸入経済にとって問題にならない。不況のときには、そのようなことが普通に行われる。
WTOはそうした外国からの競争を抑えるために、「セーフガード」メカニズムを定めているが、WTOにおける手続きがむつかしいし、一時的な保護を得るだけで、輸出国への補償も求められる。
グローバルな貿易体制は、経済効率だけでなく、公平さを実現しなければならない。国内企業が、例えば、中国企業と競争するとき、その中国企業が政府から潤沢な金融支援を受けているなら、平坦な競争場という考えから、多くの人がこれを受け入れがたいと考える。ある種の競争的な優位は国際貿易の正当性を損なうのだ。それゆえ、反ダンピングには政治的な理由がある。団体交渉の権利を持たない労働者、職場での権利侵害から保護されていない労働者が、国内の労働者と競争するときも、環境を破壊する企業、児童労働の利用や破滅的な労働条件も、不公正な競争になるのではないか?
そうした懸念がグローバリゼーションへの反発の中心にある。貿易の専門家たちは、WTO体制が労働問題、環境問題、人権などに関わることを長い間心配してきた。それが保護主義への滑りやすい坂道だ、という理由であった。しかし、貿易からこうした問題を排除することがより大きなダメージをもたらすことは、ますます明らかになっている。経済、社会、政治のモデルが大きく異なる諸国が貿易することは、正統性に関する本物の懸念を生じるからだ。それを認めないことで、グローバルな貿易体制全体の正当性が犠牲になる。
これは決して民主主義諸国の間でしか貿易してはいけないという意味ではない。しかし、通商のロジックは、経済関係を支配する考慮だけではない。貿易による利益が国内の社会的枠組みに緊張をもたらす、というジレンマが存在する。
公共の討論と熟慮だけが、民主主義とそれに対立する価値とのトレード・オフを決める。中国やその他の諸国との貿易論争は、世界の貿易体制を民主化するための重要な過程である。
l グローバリゼーションとポピュリズム
Project
Syndicate MAY 6, 2016
Is
Globalization Really Fueling Populism?
DANIEL GROS
l フィリピン大統領選挙
NYT MAY 6,
2016
Why
Filipinos Are Voting for a New ‘Dictator’
By MIGUEL SYJUCO
大統領選挙前のフィリピンはカーニバルのような雰囲気だ。アメリカ植民地の遺産を受け継ぐ政府のシステムは、ユニークなものである。激しく宣伝する政党は、イデオロギーではなく、支配的な個性に依拠している。
ほとんどの政治家は、過去2世代の間、フィリピンを支配した少数の家族から出ている。経済は好調だが、汚職とクローニズムがはびこり、不平等と貧困は慢性的である。多くのフィリピン人が現状にうんざりしていることが、強権を主張し、独裁者の時代を賛美する候補者たちに支持が集まる理由である。
最も多くの支持を得ているドゥテルテRodrigo
Duterteは、フィリピン大3の都市、ダヴァオの市長である。彼は、もし改革が抵抗にあったら、議会を解散し、「革命政府」を樹立すると脅している。「私が独裁者だって? そうだ、その通り。」 また、彼は当選したら半年で犯罪をなくすと約束する。「もし私が失敗したら、私を殺せ。」
有権者の多くが、1965年から86年のマルコスFerdinand
E. Marcosによる独裁時代を懐かしい話として誤解している。その息子が上院議員として副大統領候補となり、国民の年齢の中央値が23歳という若い国で、独裁時代の記憶がないことを悪用し、選挙戦をリードしている。
あるエコノミストの推定では、フィリピンの最も裕福な40家族がGDPの76%を支配している。成立しなかったが、反家族支配法案を提出した上院議員Miriam
Santiagoによれば、178家族が政治を動かし、80地区のうちの73地区が門閥に支配されている。議会の229議席の80%を支配的家族が決めている。
当然、多くのフィリピン人は民主主義の価値を信じていない。
ドゥテルテは自分をシステムに飽きた人間として示し、どのような犠牲を払っても国を変えて見せる、と約束する。彼は市長として1000件以上の軽犯罪に対する超法規的処刑にかかわったが、殺害を支持するだけでなく、大統領として10万人を処刑し、マニラ湾に死体を捨てたら魚が太る、と豪語している。
ドゥテルテの選挙運動は拳がシンボルだ。それは法を無視すること、そしてオリガーキー(寡頭体制)を標的にすることを意味している。そのメッセージが貧困層の心をつかむだけでなく、すべての階級に訴えている。裕福な中華系フィリピン人も、商工会の指導者であるが、「成果を出す人物」としてドゥテルテを評価する。
対立候補を繰り返し同性愛者として侮辱した。ローマ法王フランシスを「売春婦の息子」と呼び、人権運動団体を「地獄に行け」と脅す。彼は、オーストラリア人宣教師を強姦したギャングについて、自分が最初の1人であればよかった、と冗談を言った。
彼の批判者を殺害や強姦でソーシャルメディアにおいて脅迫する支持者は、ドゥテルテを擁護して、反問する。「政治家たちがこれほど長い間にわたり国家をレイプし続けているから、人々は強姦のジョークにこれほど動揺するのではないか?」
Walden Belloは、フィリピン人には救世主を求める傾向がある、と考える。わいろを配り、ルールを曲げる者、地域的なコネによる、楽しませてくれる個性を持つ者に投票してきた。しかし寡頭政治ではなく、われわれに教育を与え、権力を与える指導者が、より多くの真の民主主義が必要である。
NYT MAY 9,
2016
Meet
Rodrigo Duterte: The Filipino Trump, Turned Up to 11
BY GINA APOSTOL
The
Guardian, Tuesday 10 May 2016
Don’t
compare Trump and Duterte – the Philippines leader is far worse
Tom Smith
FT May 10,
2016
Meet
Rodrigo Duterte, the president-in-waiting of the Philippines
Tony Tassell
NYT MAY
10, 2016
Rodrigo
Duterte’s Allies in Philippines Urge Critics to Take a Deeper Look
By FLOYD WHALEY and RICHARD C. PADDOCK
FT May 11,
2016
A threat
to stability in the Philippines
NYT MAY 11, 2016
The New Strongman of Manila
By
LAUREL FANTAUZZO
(後半へ続く)