IPEの果樹園2016

今週のReview

5/2-7

 *****************************

Brexit論争 ・・・アメリカ大統領は何をするべきか? ・・・中国の改革とSDR ・・・サウジアラビアの改革 ・・・アジアの水不足 ・・・ユーロ圏の財政統合 ・・・西側同盟の崩壊 ・・・グローバリゼーションの制御システム ・・・TPPTTIP ・・・軍事介入より国内改革 ・・・日本銀行

 [長いReview]

******************************

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  Brexit論争

The Guardian, Thursday 21 April 2016

It took Barack Obama to crush the Brexit fantasy

Jonathan Freedland

離脱派はオバマがこの問題で黙っていることを望んだはずだ。しかしダウニング街で演説したオバマは、当然ながら、これはイギリス国民が決めることだ、と言いつつ、明確に離脱派を批判した。

EU派は、大陸の近隣諸国より、アメリカの周りを太陽系のように動く英語圏の国々を当然の仲間と考えてきた。ブラッセルから切り離されても、シドニーやトロント、そして何より、ニューヨークやワシントン、ロサンゼルスがある、と。Brexitが求めているのは、妻から離れることを夢見る男の、彼をもっとよく理解してくれる他の女である。

それがアメリカのはずだったが、オバマはそれをあっさり否定した。アメリカは、EUから離脱したイギリスと、新しい、より緊密な関係を築く意図はない、と。アメリカと新しい通商条約を結ぶつもりなら、他の国と同じように、順番待ちの列に並ぶことだ。

慌てて離婚してはいけない。あなたは大歓迎されると思っているようだが、アメリカにそんなつもりはないよ。より明るい、ヨーロッパではない未来が、Brexit後に待っている、という考えを、オバマはくじいたのだ。

Brexit論者たちは激怒した。当然だろう。彼らは一斉に、激しい反アメリカ論を展開している。1939年までさかのぼって、アメリカが第2次世界大戦でイギリス側についたのは、そうやってイギリスが持っていた世界への影響力を粉砕したかったのだ、と。

ロンドン市長Boris Johnsonは、トランプの本に示唆されて、「半分ケニア人の大統領」はその「先祖」からイギリスを嫌っているのだから、信用できない、と述べた。ロンドン市長が離脱派を支持したのは、政治的に柔軟で、キャメロンの次の首相を狙うスマートな計算であったのだろうが、これがその代償である。

もしオバマが残留派で、トランプやル・ペンが離脱派の支援者であるなら、あなたはどちらを選ぶのか?

離脱派はオバマの議論を偽善と言う。アメリカは、イギリスのようにEUで主権を奪われていないからだ。しかし、この比較は愚かである。イギリスは強く、豊かな国であるが、大陸に付属する、比較的小さな国である。アメリカは事実上の大陸だ。また、オバマがダウニング街で説明したように、アメリカも主権を譲歩している。たとえ議会の決定を翻すようなものであっても、アメリカはWTONAFTAのルールに従うのだ。

FT April 21, 2016

Brexiters are nostalgics in search of a lost empire

Linda Colley

EU離脱をめぐる論争は理解しにくい。Brexitの情念は経済問題ではない。残留派が経済的なコストを主張しても、離脱派は気にしない。主権でもない。多くの政治体制がそうであるように、UKにも問題は多い。民主主義でもない。UK内部の民主主義の赤字も深刻だ。Brexitで移民が減るかどうか、わからない。

UKIPの支持者は、トランプの支持者と似ている点が多い。白人男性、50歳以上、肉体労働者で、大学を卒業していない。

Brexitは、怒りの運動であるとともに、奪われた者の運動でもある。戦後、イギリスは帝国だけでなく、多くのものを失った。多数派のプロテスタンティズム、独特な立憲主義的自由への情熱といったイギリスのアイデンティティーだ。UK内の一体感も失われた。

それが幻想であるとしても、Brexitは新しいスタートに見えた。保守党の多数の支持者が、多くはイングランド人であるが、UKUS、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、という英語圏を復活させるアイデアに惹かれた。それは1883年にさかのぼるが、今はその条件がない。英語圏の他の指導者たちはイギリスにEU残留を強く求めている。オーストラリアはアジア圏に向かい、アメリカではヒスパニックが増えている。

それでもBrexitは勝利するかもしれない。これはイギリス人の、理性ではなく、情念であるからだ。

FT April 22, 2016

Obama gives powerful warning against Brexit

George Parker and Jim Pickard

Bloomberg APRIL 22, 2016

Losing the U.K. Wouldn't Be So Bad for Europe

Leonid Bershidsky

FT April 23, 2016

Barack Obama’s decisive intervention in the Brexit campaign

Sebastian Payne.

The Guardian, Sunday 24 April 2016

Brexit: Lessons from the east about what folly it would be to choose isolation

Andrew Rawnsley

FT APRIL 24, 2016

Britain’s military standing would not suffer after Brexit

Anand Menon

Bloomberg APRIL 24, 2016

U.K. Exit Could Be Good for Europe

Clive Crook

Brexitがユーロ圏の大胆な発想を刺激するなら、より緊密な統合化に向かう改革を加速し、弱い国に対する財政支出を増やすだろう。

The Guardian, Monday 25 April 2016

TTIP is a very bad excuse to vote for Brexit

Nick Dearden

FT April 25, 2016

UK immigration is the last refuge of the Leavers

Janan Ganesh

NYT APRIL 25, 2016

A Greek View of Brexit

Nikos Konstandaras

FT April 25, 2016

Arguments for Brexit do not add up

Martin Wolf

離脱論が唱える主要な10の議論について、その間違いを確認する。

FT April 27, 2016

The City of London can survive and thrive after Brexit

Michael Geoghegan

VOX 27 April 2016

The economic impacts of Brexit: Results from a meta-analysis

Juergen Matthes, Berthold Busch

意見が対立するのは、Brexitを評価するとき、方法が異なる、前提が異なる、効果の範囲が異なることが理由である。

FT April 28, 2016

Millennials would bear the cost of Brexit

Philip Stephens


l  アメリカ大統領は何をするべきか?

FT April 21, 2016

New revolutionaries generate much heat but little action

Simon Schama

サンダースが当選した場合、どうなるのか?

大統領は改革を求めるが、共和党が多数の議会は動かない。そこで学生たちはワシントンに押し寄せ、抗議デモを繰り返す。警官隊との衝突が繰り返され、次第に、大統領は現実を受け入れる。政策を決定するのは、ビスマルクが述べたように、ソーセージを作るようなものだ。情熱は必要だが、ユートピアに訴えるだけでなく、資金と経営能力も必要だ。

NYT APRIL 22, 2016

Hillary’s Big Idea

Timothy Egan

NYT APRIL 22, 2016

Can Clinton Feel the Bern?

By ADAM NAGOURNEY

The Guardian, Sunday 24 April 2016

Listening to Obama makes me want to be American for a day

Sonia Sodha

私はThe West Wingを観るのが好きだ。大学生のとき、夏のインターンシップでアメリカ議会に行った。マサチューセッツから来た民主党のスタッフたちがThe West Wingを観て、“President Bartlet is my President”というTシャツを着ていた。

その魅力は、中東和平、社会保障改革、教育費の減税、など、議論されているリベラルな政策だけではない。バートレット大統領が示す政治の実践が魅力的なのだ。彼には知性とリベラルな価値観、その温かさで人々を結びつける力がある。

それはTV番組の中だけだ。そんな大統領はいないよ、という声も聞いた。しかし、イギリスでオバマを観たとき、私は彼の聡明さに驚き、彼が人々に向けて話している、ということに気付いた。オバマは狡猾な質問を受けても、その真剣な、正直な姿勢を失わず、問題によっては、あえて「私にはわからない」とまで言った。意見が対立する者に対する彼のジョークを聴いて、私は彼がもっと好きになった。

オバマは自分が信じることを話している。オバマは変化を約束し、それを守ろうとしている。彼の真剣さを感じることができた。イギリスには排他的な真偽を問う政治家の集まりしかない。Boris Johnson が熱心な聴衆の1人であるthe Faragean school、あるいは、the Jeremy Corbyn schoolである。

週末、オバマを観て、私は“President Obama is my President”と書いたTシャツを着たいと思った。

FT April 26, 2016

A moment of truth for divided Republicans

NYT APRIL 26, 2016

The Donald Trump Moment

By ARTHUR C. BROOKS and GAIL COLLINS

NYT APRIL 27, 2016

Donald Trump’s Strange Worldview

By THE EDITORIAL BOARD

FP APRIL 27, 2016

On Trump, Gefilte Fish, and World Order

BY JULIA IOFFE

YaleGlobal, 28 April 2016

Memorandum to Hillary Clinton and Donald Trump

From: Jeffrey E. Garten, New Haven

問題は、通商条約ではない。輸入品の急速な増大や新しい機会の誕生に、アメリカの労働者たちが調整することを促す政策を十分に取ってこなかった。それが問題だ。

NYT APRIL 28, 2016

Trump and the Madness of Crowds

Ross Douthat

NYT APRIL 28, 2016

How Majority Rule Might Have Stopped Donald Trump

By ERIC MASKIN and AMARTYA SEN

FT April 29, 2016

Donald Trump’s new foreign policy is repackaged isolationism

Demetri Sevastopulo

FT April 29, 2016

US election: Can Hill thrill after you’ve felt the Bern?

Courtney Weaver and Demetri Sevastopulo


l  中国の改革とSDR

FT April 21, 2016

Reconciling divergent views on China’s economy

Yukon Huang

中国経済に関する楽観と悲観とは容易に合意を見いだせない。これからも6-7%の成長が可能だとみなす者もいるが、3-4%か、もっと低いだろうとみる者もいる。

その背景には、中国経済の大きなゆがみが存在する。楽観派はこのゆがみを生産性が上昇する余地と見ている。他方、悲観派はそれを経済衰退の過程と見ている。

このパラドックスを解くカギは、国家の経済に対する過剰介入である。悲観派はここにリスクを観ているからだ。たとえば、金融危機後の財政支出は、政府債務の対GDP比率を急速に高めた。しかし、その数字は発展途上諸国の中では高いが、発展諸国に比べて低いものだ。政府の予想通りである。

確かに、不動産市場では価格が高騰し、債務の膨張によるリスクを管理する必要がある。しかし、それは「金融深化」の結果でもある。これまで過小評価されていた資産価値が市場において高まってきたのだ。不動産の過剰供給が解消するには、まだ数年かかるかもしれない。しかし、中期的に、中国経済は信用膨張に頼らず成長軌道を回復しなくても、効率的な市場の機能を妨げていた多くのゆがみに対処するべきだ。

これから10年を考えるとき、供給側の課題はより難しい。世界市場の低迷と国内投資の減少が指摘されている。2013年の3中全会が示したように、資源配分で市場がより「決定的な」役割を担うだろう。それは特に、都市化において実現する。大都市に向けた労働者の移動が、さまざまな障壁を廃止することで高い生産性を実現する。父さんを認めて資源を開放し、教育、医療、金融、通信、エネルギーの分野でも民間の競争を取り入れる。

GDPに占める消費のシェアは低く、構造的な問題を意味している。ここでも財政改革がその解決を促すだろう。投資が減少することを補いような形で、財政基盤を拡大しながら、社会保障や環境問題に対する政府支出が増える。

それに加えて、生産性の上昇を実現する改革に政府支出が増えることで、6.5%の成長は可能である。

Project Syndicate APR 25, 2016

How to Finance Global Reflation

ANDREW SHENG and XIAO GENG

現在のグローバル化した世界では、金融市場が国家の政策によるコントロールを超えている、という意識が強まっている。少数の国が緊密に結びついたグローバル市場に影響するが、それ自身の政治的・経済的な制約に縛られている。その結果、世界経済は金融的な循環を強め、そこから容易に脱け出せない。

数年前にClaudio Borioが指摘したように、グローバルな金融循環は、実体経済の循環よりも長く、大きくなっており、それは支配的準備通貨であるUSドルの価値の変動と緊密に結びついている。ドルが安くなって、他国に資本が流入するとき、その国の融資が増え、成長が起きる。

特に新興市場では、資本流入がインフレ、資産バブル、通貨の増価をもたらす。その結果は、金融的かつ地政学的なリスクが高まって、アメリカドルの投資家に対する魅力が増すことになる。資本がアメリカに逆流し、ドルの価値は高まって、他方、新興市場経済は資産バブルの破裂と通貨価値の下落という結果に直面する。

ゼロ金利の世界では、強いドルが1930年代の金本位制と同じように、世界市場にデフレを広めている。アメリカ経済は世界を長期デフレから脱出させる最良の位置にあるが、いわゆるトリフィンのジレンマから抜け出せない。長期の国際的利益と、短期の国内的利益とが対立し、アメリカはますます大きな経常収支赤字を出すことで世界に流動性を供給できるが、そうしない。

アメリカも、他の準備通貨を発行できる先進諸国も、それはしそうにない。ヨーロッパや日本は成長が停滞し、債務が増大しているから、財政支出を増やすために増税や債務を増やす政治家の意志がともなわない。その結果、金融緩和に過度に依存している。その非伝統的な金融緩和にも十分な効果はなかった。家計や企業が債務を削減し続ける限り、バランス・シート不況は続くだろう。中国の政策担当者たちも、まだ経済成長の一層の減速が起きる不確実性に制約されている。

問題は、需要を拡大する機会がないことではなく、その機会を生かす意志がないことだ。発展途上諸国のインフラや気候変動の緩和のために、グローバルな公共財へ投資すれば、グローバルなリフレーションをもたらすだろう。トリフィンのジレンマを解決するには、新しい準備通貨を国際機関が発行するべきである。それがIMFSDRだ。

SDRが準備通貨になるのはまだだいぶ先であるだろうが、金融政策の効果を伝達するメカニズムとして、グローバルな金融アーキテクチュアでSDRの役割を次第に拡大するべきだ、ということに概ね合意が成立している。

IMFの口座を通じて、増額したSDRにより投資することで、各地の中央銀行は資源を生み出すのだ。なぜならSDRは投票権でもあり、世界銀行や他の国際開発銀行で、どのようなグローバルな公共財が投資に値するか、決めることになる。過度のインフレが生じないように、SDRの配分を微調整することができる。

かつては、投資可能な金融資源が各国内の貯蓄に制限された。近年では、非伝統的な金融緩和政策で流動性や融資を増やしているが、インフレを刺激する効果が見られない。それらから学び、グローバルな公共財への投資を拡大して、インフレを起こさずにグローバルな景気回復を実現できる。

FT April 28, 2016

The growing effects of China’s failure to reform

(chinadaily.com.cn) 2016-04-28

Western-style supply-side theory won’t work in China: Scholars

By Wu Zheyu


l  エリザベス女王

FT April 22, 2016

The Queen, long has she reigned over us

Ludovic Hunter-Tilney


l  債務管理

Project Syndicate APR 22, 2016

Time for Debt Reduction in Greece

MOHAMED A. EL-ERIAN

Project Syndicate APR 27, 2016

Managing Debt in an Overleveraged World

MICHAEL SPENCE

中国の問題は、債務ではなく投資の問題である。国営銀行への補助をやめ、投資と融資のシステムを改革し、マイナスのリターンしか生まないケースを正しく排除するべきだ。

他方、多くの発展諸国では、違い理由で高リターンの投資が妨げられている。それは財政赤字と債務の累積に対する抑制策だ。成長が失われ、デフレが進行しつつある。成長と雇用を回復するために、債務の違いに注意するべきだ。成長を促す投資には融資を増やし、既存の事業の延命や短期的な需要刺激のための債務を抑える。


l  サウジアラビアの改革

Project Syndicate APR 22, 2016

Cheap Oil’s Silver Lining for the Gulf

NASSER SAIDI

NYT APRIL 22, 2016

Don’t Let Americans Sue Saudi Arabia

By CURTIS BRADLEY and JACK GOLDSMITH

FT April 25, 2016

A bold bid to transform Saudi Arabia’s economy

サウジアラビアをわずか4年で石油依存から脱出させる、という、30代の副皇太子Mohammed bin SalmanMbSは、保守的な王国の根本的な体制転換を目指している。無駄な政府支出を削減し、民間部門を活性化して雇用を生み出すことが必要だ。

MbSSalman国王の強力な息子として知られており、官僚の抵抗や王室内の権力争い、超保守的なイスラム聖職者に対抗できるかもしれない。石油価格の下落で予算赤字がGDP17%に達し、持続不可能であること、また、国王がかつてないほどの権力集中を実現したことは、改革に有利である。その権限は、OPECがイラン抜きの生産凍結に反対したことでも明確になった。

改革の具体的内容には、国有石油公社Aramcoの部分民営化、王国の政府系投資ファンドの改革が含まれている。しかし、サウジ経済の転換には、政府からの給付に慣れた非常に保守的な社会において、もっと激しい改革が必要になる。すなわち、補助金を削減し、新しい税金を賦課し、公的な閑職を廃止する。それらは体制が忠誠心と見返りに給付してきた職場や利益であり、社会契約の根本的な転換を意味する。

今のところ緊縮策を受け入れている国民も、一層の削減には緊張を増すだろう。改革の実行に信頼を得るために、王室の拡大家族に関するより大きな透明性を求められる。

ダイナミックな民間部門を育てるのは一層困難な課題である。短期的には、外国からの投資を増やすこと、長期的には、安価な外国労働者への依存を減らすことが不可欠だ。それは教育改革に重点を置いて、女性の労働参加も高めるべきである。

多くのサウジの若者は、息苦しい、不公平な社会を、経済改革が変革することを望んでいる。国民の半数が25歳以下であるサウジで、若者たちが改革に失望することは、より危険な戦闘集団に向かう恐れがある。

経済改革の目標に見合った社会・政治改革を、皇太子が実現するように望みたい。

FT April 25, 2016

Will Saudi Arabia’s ambitious reform programme work?

David Gardner

Saudi Vision 2030に示された改革の要点は、サウジ王家とワッハーブ主義聖職者たちとの間で、教育や司法に関する契約である。それは支配者の正当性を高めるものとなっている。それは絶対的な王権と、ワッハーブ派のイスラム原理に対する正当性、聖戦主義を地域全体で高めている。皇太子MbSはその改革に言及しているが、彼らとの同盟関係がどうなるのかわからない。

FP APRIL 25, 2016

Saudi Arabia Plans to Break Its ‘Addiction’ to Oil

BY KEITH JOHNSON

FT April 27, 2016

The religious compact that constrains Saudi economic reform

David Gardner

NYT APRIL 28, 2016

A Promising New Path for Saudi Arabia

By THE EDITORIAL BOARD


l  アジアの水不足

Project Syndicate APR 22, 2016

Asia’s Troubled Water

BRAHMA CHELLANEY

アジアの水問題は悪化し続けている。すでに1人当たりで見て最も水不足の大陸である。南ベトナムから中欧インドまで、各地に深刻な干ばつ地帯がある。さらに中国のダム建設が下流にある諸国の政治的緊張も刺激している。

深刻化する干ばつは世界の3大コメ生産国、タイ、ベトナム、インドに損害を与え、世界のコメ価格に影響している。干ばつがかつてない規模に達しているのは特異な現象ではなく、アジアの生態系破壊や地下水の枯渇、水源の汚染、エルニーニョ、地球温暖化などが影響して、ますます強まっている。

アジアの無資源諸国は化石燃料や地下資源を輸入に頼っているが、水を輸入することはできない。その輸送費が高すぎるからだ。世界の灌漑面積の72%を占めるアジアは、ジレンマに直面している。人々の食糧需要は増えるが、水の供給は減っている。

水不足の最大の原因は、メコン川上流で行われる中国のダム建設だ。国連の報告書によれば、下流における水位は、最近100年間で最低レベルである。中国は、メコン川の貯水管理を行う、と称している。しかし実際は、14ものダムを建設して、下流の諸国を中国の善意に頼らせるだけである。

競争的な政策は、アジアを危険な経路に向かわせる。一層の環境破壊、経済発展の限界、さらには水戦争にさえ至るだろう。ルールに依拠して協力し、水の分配に合意し、水量に関するデータを自由に公開し、紛争解決メカニズムを機能させるときだ。

中国の協力がなければそれらは実現しない。メコンの水も、南シナ海の領域も、奪取することがルールであると、まだ中国は考えている。

FP APRIL 26, 2016

Ghosts by the Water Line

BY CHRISTINA LARSON


(後半へ続く)