前半から続く)

FT APRIL 17, 2016

Hillary Clinton’s missing theme

Edward Luce

FT April 17, 2016

Review — A bleak outlook on an unequal America

Review by Demetri Sevastopulo

The Guardian, Monday 18 April 2016

Only Bernie Sanders can break the power of capitalism in the US

Paul Mason

FP APRIL 18, 2016

Trump’s Rear-View Politics

BY STEPHEN M. WALT

FT April 20, 2016

Why Trump is the natural choice for China

Jamil Anderlini


l  チェルノブイリ原発事故30周年

The Guardian, Saturday 16 April 2016

The political fallout of Chernobyl is still toxic

Natalie Nougayrède

1986426日、午前123分、チェルノブイリ原発の第4原子炉が爆発した。膨大な量の放射性物質が大気中にまき散らされた。チェルノブイリの爆発事故はソ連崩壊に重要な役割を果たしたともいわれる。

最も深刻な影響を受けた国はウクライナとベラルーシである。こうした国がその後の安定した民主主義をめざす道は容易なものではなかった。両国にとっては、チェルノブイリも、20世紀ヨーロッパの流血の惨事における長いリストの1つでしかなかった。ベラルーシは第2次世界大戦で国民の3分の1が死亡した。

1990年代にチェルノブイリ地方を旅したが、その際、爆発事故から生じた政治的混乱がまだ続いていることを認めないわけにはいかなかった。まさに放射性物質が大地にまき散らされ、その地域を汚染し続けているように、ソビエト体制の遺産は容易に取り除けず、消滅することはないだろう。

問題は、すべてのヨーロッパ市民にも重要な関係がある。両国はヨーロッパ大陸の中心部にあり、ロシアとの現在の紛争でも中心的な意味を持つからだ。ウクライナは民主主義を実現したが、東部でロシアと戦争状態にある。ベラルーシは、いかなる反対も許さない専制体制である。しかし、ベラルーシの市民社会も繰り返し蜂起した。

西側の人々は、チェルノブイリを技術の悪夢として記憶している。しかし、その地域に住む人々にとって、それは物質的な恐怖の状態を抜け出す段階を示すだけでなく、いまだに成功していない画期的な政治的転換を意味するものだ。

ソビエト連邦の全体主義ウィルスは旧ソ連圏の人々から容易に駆除されないことを彼らは知っている。それはちょうど、チェルノブイリの原子炉から放出された汚染物質が決して破壊されないことと同じである。


l  金融危機とユーロ圏

VOX 16 April 2016

Global Crisis in the US vs the Eurozone: Banks and monetary policy

Alex Cukierman

FT APRIL 17, 2016

Defending German model threatens European stability

Wolfgang Münchau

ドイツの財務大臣Wolfgang Schäubleが中央銀行であるECBに対してその政策を批判することは、中央銀行の独立性を否定する行為である。しかし、そうしなければならない強い理由がある。

マイナス金利が続けば、ドイツの銀行・保険会社は打撃を受ける。それゆえSchäubleは、ECBのマイナス金利政策を、ドイツの経済モデルに対する攻撃とみなすのだ。これは金融政策に関する論争ではない。貯蓄銀行the Sparkassen、地域の貯蓄機関、小規模な相互銀行が莫大な損失を出している。

ドイツとスウェーデンとは、生命保険会社が市場金利と約束した利回りとの間で大幅なギャップを強いられている国である。もし約束された利回りを達成するとしたら、彼らは非常にリスクの高い資産に投資することになる。それは次の金融危機が来た場合、ドイツの金融部門が破たんすることを意味する。

ドイツはECBのマイナス金利政策を、ドイツに対する「ペナルティー」だと考えている。しかし、そのような業界の利益を守るロビイストのような主張を、ドイツの財務大臣がするべきなのか? もっとドイツは金融部門を近代化して、産業に対する銀行融資に頼るだけでなく、債券市場も育成するべきである。

ECBはユーロ圏全体に対する適切な金融政策を決定する。銀行システムを封建領土のように分割して管理することはできない。ドイツの姿勢は、ユーロ圏が創設されたときの協力精神をどれほど大きく失ったか、示すものだ。

Project Syndicate APR 20, 2016

The Case Against Helicopter Money

MICHAEL HEISE

FT April 21, 2016

Draghi goes on the offensive against Berlin bullying by Berlin

Project Syndicate APR 21, 2016

The Fed’s Gamble on Surplus Labor

LARRY HATHEWAY


l  シリア停戦とアメリカの将来

NYT APRIL 16, 2016

Syria’s Future: A Black Hole of Instability

By THANASSIS CAMBANIS

シリア内戦は停戦合意から戦争終結に向かう長いプロセスに入ったようだ。しかし、いかなる武装勢力も支配領域を手放す気はない。「体制」や「反対派」という和平交渉の立場に関係なく、シリアは小さな領土のモザイクだ。

シリアは中東地域における紛争の主要な支援者であり、多くの亡命者を受け入れ、各地の反政府派を育ててきた。しかし、今やシリア自身が紛争による廃墟に変わりつつある。シリア自身が、傀儡政権の支配者から、地域のブラックホールに変わった。

ジュネーブの和平交渉における期待とは、1つは、超大国間の合意に依拠している。ロシアとアメリカは、ウクライナなど、他の問題を含めた緊張関係の管理に向かうだろう。また、ロシアが軍事支援をやめれば、イランとヒズボラの負担は重くなる。反政府派に対して、トルコ、サウジアラビア、アメリカの支援も減っている。

住民にとって、今後の和平交渉がどうなるにせよ、平和が実現するまで数年もかかる間、分裂した国家に定住するか、武装勢力に参加するしかない。

NYT APRIL 16, 2016

Russian Enclave Seen as a Fault Line of East-West Tensions

By NEIL MacFARQUHAR

The Guardian, Wednesday 20 April 2016

Be thankful the US is willing to be our global policeman

Jonathan Freedland

誰かがアメリカを「世界の警察官」と呼ぶとき、通常、それはほめているのではない。他国に侵略し、体制転換を押し付ける傲慢さ、自分以外は誰の必要にも無頓着なその姿勢を非難しているのだ。

しかし、いつでも、それを称賛する局面があった。パマナ文書で明らかになった脱税を究明するため、アメリカ司法省が犯罪捜査を開始したときがそうだ。アメリカの汚職防止法は国境を超えて行使される。

脱税、麻薬、汚職などを故億発するとき、アメリカが強力な「世界の警察官」であることに感謝する。

FP APRIL 20, 2016

The Un-Freedom Agenda

BY RYAN LENORA BROWN, BELINDA O’DONNELL

FP APRIL 20, 2016

Avoiding the New Cold War With Russia

BY JAMES STAVRIDIS

YaleGlobal, 21 April 2016

Treating ISIS as Cancer

Bennett Ramberg


l  エリザベス女王

The Guardian, Sunday 17 April 2016

Queen Elizabeth: long to reign over us?

Stephen Bates


l  生産性上昇と労働者

FT APRIL 17, 2016

Fear of the robots is founded in the messy reality of labour

Duncan Weldon

多数の労働者から仕事を奪う機械がもたらすディストピアの物語は、技術革新とともに古い。現在のロボットに関する論争で欠けているのは、労働者の交渉力、という視点である。労働者の交渉力が弱ければ、機械化に関するラッダイト的な不安を真剣に扱う必要がある。

現代の不安は、機械化が人間の身体だけでなく、その頭脳にまで及ぶ潜在能力を示すからだ。オックスフォードの2Carl Frey and Michael Osborneは、アメリカの雇用の半分が失われる可能性を示唆し、イングランド銀行は1500万人のイギリス人労働者が仕事を失う危険性を指摘する。

しかし、こうした懸念は経済史を見ることで安心するだろう。過去150年間で、イギリス農業は150万人の雇用を失ったが、農業生産は400%も増大したが、その結果として、大量失業ではなく、繁栄を実現し続けている。技術変化は、短期的な苦痛と長期的な利益、少なくとも、経済全体としての利益を意味する。

しかし、短期的な苦痛が長引くこともある。また、産業革命の時代に、西ヨーロッパの生活水準はなかなか上昇せず、その過程は円滑なものではなかった。経済史家たちは、1840年代までの40年間を、エンゲルスの停止Engels’ Pause、と呼ぶ。急速な技術変化にもかかわらず、生活水準は停滞し、高失業が続いたからだ。それがマルクスとエンゲルスの『共産党宣言』が書かれた背景であった。

労働節約的な技術変化に労働市場がどのように反応するか、エコノミストは2つの効果を考える。置換効果と補償効果である。これらの相互作用が、短期的な苦痛がどれくらい長引くか、を決めるのだ。

生産性の上昇は、人々から仕事を奪うかもしれない。しかし、機械化によって職場が失われる、というラッダイトの不安は、補償効果を見ていない。新技術の導入は、生産性を高める。理論によれば、それが最後には高賃金をもたらし、高賃金は支出を増やす。だから他の分野の成長を促し、新しい雇用をもたらすだろう。

現実には、もっとその過程は混乱している。労働市場における相互作用は、需要と供給の線が示すほど冷静なものではない。それらは社会・政治的な状況、労働市場を規制する制度や取り決めによって影響される。高い生産性は、直ちに高い賃金を意味しない。パワーが重要なのだ。

現在のように、労働者の交渉力が弱ければ、新技術による高生産性は、十分に、迅速な賃金上昇に結び付かない。高失業、拡大する不平等、生活水準が多くの人にとって停滞する。

労働者の弱い社会にロボットが登場するなら、その苦痛は長い時間に及ぶだろう。

 

The Guardian, Monday 18 April 2016

The solution to (nearly) everything: working less

Rutger Bregman

もしケインズに21世紀最大の課題は何かと尋ねたら、彼は迷うことなく答えただろう。

・・・余暇だ。

ケインズは、政策を間違えなければ、1930年の生活水準が1世紀で少なくとも4倍になる、と予測した。2030年には、州に15時間しか働かない、と。

2000年に、英米などの国で、生活水準は1930年の5倍に達したが、今なおわれわれの最大の問題は、余暇と退屈ではなく、ストレスと不確実さだ。

より少ない労働時間で何が解決できるのか? と、私は最近質問された。しかし、私は逆に問いたい。解決できないものは何か?

気候変動、二酸化炭素の排出量を減らす。長時間労働と、それがもたらす作業ミスは、チェルノブイリからスペースシャトルまで、大災害につながった。労働時間が少ない国の方が人々は暮らしに満足感を覚えている。ILOは、1人がフルタイムで働くより、2人がパートタイムで働くジョブシェリングが、最近の経済危機を解決する道である、と結論した。

ジェンダー間の平等も、世代間の労働配分も、高齢者がますます引退後も働くことを望んでいる時代に、労働時間の短縮で解決の可能性が高まる。「20世紀には、富を再分配した。」「今世紀に再分配されるのは、労働時間である。」

経済的不平等の問題がある。不平等が大きな国は、労働時間も長い。貧しい人は生きるために長時間働くしかないが、裕福な人は無駄な時間を過ごすことが「高価だ」と感じて長時間働く。今や長時間労働はステイタス・シンボルにもなっている。週労働時間を減らすことで、社会が健全になるだけでなく、無駄な、有害な業務を減らすことにつながる。育児や介護のような、支払われないけれど重要な仕事に十分な時間をとるには、国民全体にベーシック・インカムを実現するのが最善だろう。

空いた時間はテレビを観ているだけではないか? と心配するかもしれない。しかし、人々が愚劣なテレビ番組を長時間観るのは、日本など、働き過ぎの国で起きていることだ。確かに、海で泳ぐのはむつかしいが、21世紀の教育は働くためだけでなく、人生の楽しみ方を教える。

Bertrand Russell1932年に書いた。人は空いた時間に倦むのではない。受け身の、うつろな楽しみを嫌うのだ。


l  メルケルとドイツ

FT April 17, 2016

Angela Merkel should guard press freedom

Gideon Rachman

SPIEGEL ONLINE 04/19/2016

Kurdish Opposition Leader Demirtas

'Erdogan Wants a Caliphate'

Interview Conducted by Maximilian Popp

NYT APRIL 19, 2016

Sending the Wrong Signal to Turkey

By THE EDITORIAL BOARD

FT April 21, 2016

For Angela Merkel, the Böhmermann affair is just a sideshow

Constanze Stelzenmüller


l  新しいパワー

FT April 18, 2016

Connections, not armies, make countries powerful

Anne-Marie Slaughter

冷戦期には、軍事力と経済がパワーを決めた。今や、ますます相互依存を深める世界で、国家間の直接的な軍事力行使は考えられない。連結が(軍事力や経済と)同じくらい重要である。最も連結した諸国家は、影響力を握り、情報の流れを支配し、世界で何が起きるかを決めるうえで役に立つ。

マッキンゼー・コンサルタントの“connectedness” indexによれば、小国の開放型経済で、グローバルな輸送と金融の中心にあるシンガポールがトップである。それに続くのは、オランダ、アメリカ、ドイツ、アイルランド、イギリスだ。

その意味でも、Brexitはイギリス、EUの双方にとってマイナスである。

FT April 18, 2016

Sophisticated states are failing — politicians need to take risks

Jan Techau


l  アメリカの内政・外交

Bloomberg APRIL 18, 2016

America Isn't Going Broke

Noah Smith

YaleGlobal, 19 April 2016

Obama's Cautious and Calibrated Approach to an Assertive China

Robert Sutter


FT April 19, 2016

Google and the art of monopoly maintenance


l  中国経済はどうなるか?

Project Syndicate APR 19, 2016

China’s $5 Trillion Opportunity

FRED HU and JONATHAN WOETZEL

中国は深刻な課題に直面しているが、他国に比べて有利な点がある。それは、明確な前進方向がわかっていることだ。もし生産性を高める一貫した、包括的な努力を続けるなら、成長モデルを転換し、金融危機のリスクを抑え、多くの中産階級を擁する、消費主導の、高所得経済への移行に成功するだろう。2030年までに、現在の投資主導の成長モデルを続ける場合よりも、推定5兆ドル大きな経済規模に達する。

従来の成長モデルが依拠した余剰労働力や住宅・インフラへの投資は、すでにその限界に達している。労働人口の割合はピークを越え、急速に高齢化している。都市化も減速し、鉄鋼やセメント産業で過剰生産力が顕著になっている。

しかし、中国には労働生産性を引き上げる余地が豊富にある。先進経済の水準に比べて、それはまだ10%から30%である。製造業におけるロボットの利用も、1万人当たり36台にすぎず、これはアメリカの164台、韓国の478台に比べて、大きく遅れている。

Bloomberg APRIL 18, 2016

China's Future: Neither Boom Nor Bust

Arthur R Kroeber

中国経済に関する強気と弱気の意見が対立している。地方政府の債務を処理し、国有企業を改革し、市場を開放して競争を受け入れ、金融部門を自由化するのか? しかし、最も起こりそうなシナリオは、どちらでもない、ドラマチックさに欠けるものだ。中国は次の10年間を、日本が1990年代に経験したように、上品な衰退過程を過ごすだろう。

中国の規模とダイナミズムを日本に比べるのは無理だ、と思うだろう。しかし、1990年まで、日本が40年近くも高成長を実現したことを思い出すべきだ。GDPは世界第2位になっていた。その後、地価と株価がバブルを生じて、その破裂後、<日本>株式会社は債務の罠に陥った。政府は、民間企業が債務削減を進める中で、需要を維持するために、財政赤字を増やし続けた。

中国はまだ1人当たり所得水準が低いから、キャッチアップの余地が大きいはずだ。しかし、中国が日本型の衰退を迎えるかどうかは、指導者たちの勇気に依存している。2つの点で、中国は日本の失敗を繰り返しそうだ。1.自分たちの過ちを無視する、慢心。2.積極的な改革を避ける、臆病。

FP APRIL 20, 2016

Forecasting the Aftermath of a Ruling on China’s Nine-Dash Line

BY JEROME A. COHEN


l  アメリカとサウジアラビア

FP APRIL 19, 2016

The Long Divorce

BY SIMON HENDERSON

Project Syndicate APR 20, 2016

Obama in Arabia

BERNARD HAYKEL

FP APRIL 20, 2016

Saudi Arabia Is a Great American Ally

BY MICHAEL PREGENT

NYT APRIL 20, 2016

Obama in Saudi Arabia, Exporter of Oil and Bigotry

Nicholas Kristof


l  移民・難民の世界

FT April 20, 2016

There is a trade-off between citizenship and migration

Branko Milanovic

Project Syndicate APR 20, 2016

The Migration Superpowers

MARK LEONARD

豊かな国は移民流入を恐れて壁を築いている。しかし、かつて、18世紀、19世紀の植民地建設が、入植者自身の利益だけでなく、本国の利益にもなったように、21世紀の最も移動性に富む人々は出身国に利益をもたらす。それは、市場アクセス、技術や革新、世界における政治的発言力を高めるからだ。

移民はさまざまな利益をもたらす。移民に依拠した超大国が生じる条件には3つのタイプがある。新入植者new colonialists, 統合integrators, and 移民仲介go-betweensである。

アフリカにすんでその開発を助ける多くの中国人、シリコンバレーに住んでアメリカのIT大企業の技術者、経営幹部となるインド人、ヨーロッパ諸国に住み、中東情勢におけるイスラム国家に対抗できる唯一の軍事勢力となっているクルド人、移民流入を組織することで、何の資源もなく、敵対する近隣諸国に対抗しつつ経済を発展させたイスラエル、その教訓を学んだイスラム国家。移民の流れを仲介することで経済利益や外交のパワーを高めたナイジェリアやトルコ。

現在の支配的な先進諸国G7は、移民を抑制することに苦労しているが、移民の流れに依拠する新しい超大国M7China, India, Kurdistan, Israel, ISIS, Turkey, and Niger)が有利な世界を創り出している。

NYT APRIL 20, 2016

The Dark Side of Immigration Discretion

By THE EDITORIAL BOARD

NYT APRIL 20, 2016

Out of Africa, Part II

Thomas L. Friedman

シリア,イラク,アフガニスタンからの難民だけでなく,西アフリカの干ばつと不作に圧倒される大地からも,多数の移民がヨーロッパに向かっている.

アフリカに入るも移民がいた.しかし,今回の移民は以前と違う.あまりにも多くの人が,あまりにも貧しい自然に住む.そして,誰もが携帯電話でヨーロッパのよい暮らしを知る.

畑を耕すか,壁を築くか? 本当はそこに選択肢はない.どのような壁も彼らを土地にとどめることはできないのであるから,彼らの畑を回復するしかない.


l  労働組合

FT April 20, 2016

Trade unions embrace reinvention, at last

Gavin Kelly

The Guardian, Thursday 21 April 2016

A Port Talbot buyout could transform industrial relations in the UK

Ian Greenwood

The Guardian, Thursday 21 April 2016

The Guardian view on the steel rescue: a welcome conversion

Editorial


l  アメリカ紙幣の肖像

FT April 21, 2016

A messy compromise over America’s $20 bill

James Blitz


l  楽天の英語採用

Project Syndicate APR 21, 2016

Japan’s New Business Language

HIROSHI MIKITANI

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The Economist April 9th 2016

Imperial ambitions

Leak of the century: The lesson of the Panama papers

Iceland’s prime minister: Big fish

Banyan: Of blowhards and bombs

Djibouti: The superpowers’s playground

Brexit brief: The economic consequences

Global steel: Through the mill

(コメント) ZuckerbergFacebookの拡大戦略はいつまで帝国を築けるのか? GoogleAmazon,そして反ダンピング規制官僚との戦いです.

パナマ文書の情報リークと,アイスランド首相の金融改革やマクロ経済再建について,読みました.特に,アイスランド首相辞任の単純な評価は間違っていた,と反省します.

Brexitや世界の鉄鋼産業,ジプチという小さな島の記事に関心を持ってはどうでしょうか.何より,アジアの核軍拡競争は進むのか?

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IPEの想像力 4/25/16

日曜日の朝,NHKさきドリ,で植物工場を観ました。面白いです。

青森県で電子部品工場が厳しい競争に耐えられず,経営者は勇気を奮って,これを植物工場に転換しました。青森には遠方から野菜が入荷するため,その輸送費が野菜の値段に追加されます.そこで,価格が4倍もする冬場のレタスを工場で生産しました。

新鮮な,しかも,青森県産(!)の野菜が,安価に買えるというので,多くの人が不思議そうに手に取って買っていきます.

夏場はどうするのか? 経営者はスーパーの販売情報から季節の情報を得て,何を,いつ栽培するか,工夫します。植物工場は、自動車工場の優れた管理技術を使い、季節や土地の特性を超えてしまうのです。その意味で,植物工場は沖縄県が一番多い,というのに驚きました。

アメリカ東海岸でも盛んにおこなわれています。しかも,植物工場で野菜をデザインする。形や味,栄養素を変えて販売する.LED光や液体成分を工夫して,植物の付加価値を高めることができます。すごく甘いミニトマトを必ず作れる。疲れた体に適したサラダを創る。・・・

土地を耕す農民はどうすればよいのか? ビニールハウスなどの露地ものはどうなるのか? 棲み分けるだろう,と解説者は答えます.

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民主主義も,やはり土地に育つものであると思います.しかし,インターネットの発達やアメリカのトランプ現象,イギリスのEU離脱国民投票,ブラジルの大統領弾劾決議,世界各地の難民問題,などを観ると,土地に育つのを待つだけでは難しい状況が現れています.

奴隷ではなく,同じ人間であれば,共通の文明を担う市民として,土地を耕し,学問を究め,兵士となって国を守り,傷ついた仲間を助けて,政治にも必ず参加することが義務である,と考えるはずです.民主主義は,その一部でした.

しかし,たとえば,現実の世界には難民と富裕層がいます.内戦や干ばつで土地を離れた難民たちは,よりよい生活を求めて移住します.他方,富裕層も,自分の資産をどこに投資するべきか,どこで課税されるのがよいか,多くの選択肢を持っていることに気づきます.超富裕層が世界都市の不動産を買収し,特異な物価高騰が,ロンドンにも,香港にも現れます.ホームレスとなった人々は,都市の民主主義に何を求めるのでしょうか?

あるいは,労働者とロボットがいます.大規模な機械や情報環境,ロボット,AIなど,ますます複雑で,緊密に結合された,高価な投資としての「畑」に,労働者たちは付属して働きます.こうした環境を離れた失業者に対して,ロボット所有者の民主主義は何を示すのか?

あるいは,老人と若者がいます.老人たちが政治に強い関心を持つとは思えません.しかし,高齢化し,健康や暮らしに不安を感じる老人たちは,政治家に操作されやすい対象です.他方,私生活のますます多くの時間をインターネットで過ごす若者たちも,詳細なデータ解析と,さまざまな情報操作で政治に利用されます.

誰でも,家庭,育児,介護を担うはずです.しかし,農業と金融ビジネスに関わる利益集団は,異なった政治的反応を示すでしょう.職業や所得水準,居住地などにより,共同体的な相互扶助の精神は異なります.

病院,学校,警察,道路・インフラ建設.営利活動の自由.公共財と集団行動.仲間との友愛を尊重し,個人のための富裕さを求めない姿勢を,尊敬する村もあれば,軽蔑する村もあります.

グローバル・ガバナンスとローカル・イシューとの間でますます影響が及びながら,それを監視し,調整する役割を担う人々と,それらを無視する「愛国」者がいます.もっと<民主主義>の在り方を工夫する必要があると思います.インターネットによる選挙情報,各地におけるクエスチョン・タイム,年齢別・イシュー別投票制度,投票権資格審査,新しい資産家貴族制,産業友愛会,・・・

現実の秩序を築くのが,しばしば,軍事的脅威や金融危機である限り,民主主義の種は育ちません.

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