IPEの果樹園2016

今週のReview

2/29-3/5

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中国の政策的混乱 ・・・シリア内戦 ・・・南シナ海 ・・・アメリカ外交の転換点 ・・・トランプとプラグマティズム ・・・金融政策と需要不足 ・・・イギリスはEUを離脱する ・・・サウジの外交と石油市場 ・・・ドイチェバンクの変身と没落 ・・・『一般理論』80周年 ・・・候補者たちの金融改革案 ・・・アイルランド経済の復活

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  中国の政策的混乱

FT February 18, 2016

Q&A: The People’s Bank of China’s open market operations

Gabriel Wildau in Shanghai

FT February 23, 2016

China’s ‘trilemma’ makes it vulnerable to more shocks

George Magnus

中国は「不可能の三角形」と言われる問題に直面している。為替レートの安定化、独立した金融政策、自由な資本移動は、3つ同時に成立できない。資本取引の自由化を進めるなら、速やかに完全な変動レート制に移行するべきだが、人民元が大幅に減価するかもしれない。中国政府はそれを許容できないのだ。

資本規制を強化することが考えられる。しかし、銀行は厳しい寄生に従い続けるだろうか。大規模な資本流出が止まらなければ、外貨準備が枯渇してくる。資本流出には多くの理由が存在する。信用の膨張、投資収益や国内利潤の悪化、債務の増大、デフレ、一層の金融緩和が予想されること、など。

西側の考えを、共産党からグローバルな民間市場に賢慮億を奪うものだ、とみなすなら、彼らは権力を手放せない。市場の改革は阻止され、逆転するしかない。それは人民元の危機を招く。

Bloomberg FEB 23, 2016

China's Credit Conundrum

By Christopher Balding

Bloomberg FEB 23, 2016

Two Wrong Ways to Think About China's Slowdown

By Noah Smith

FT February 24, 2016

The Chinese chronicle of a crash foretold

Jamil Anderlini

エコノミストは以前から「摩天楼の呪い」を考えていた。世界で最も高いビルの建設は金融危機の前触れである。すなわち、the Empire State Building (started in 1930), Sears Tower (started in 1970), Petronas Towers (completed in 1996) and the Burj Khalifa (completed in 2009) がそうだ。

今や、中国の不動産市場が世界経済にとって最も重要な市場であり、しかも最大のリスクである。香港の金融機関から、ドイツの自動車会社、オーストラリアの鉱山まで、中国の高層ビル建設に関連している。

地方政府は、もはや不動産がこの価格で売れることはないと理解して、まったく新しい地区に開発許可を与えて、安価で良質な不動産開発のために融資を始めている。しかし、それは不動産市場の崩壊を早めるだろう。


l  シリア内戦

FP FEBRUARY 18, 2016

How the Kurds Became Syria’s New Power Brokers

BY AMBERIN ZAMAN

FT February 19, 2016

Erdogan should take a reality check on Syria

SPIEGEL ONLINE 02/19/2016

Putin vs. Erdogan

NATO Concerned over Possible Russia-Turkey Hostilities

ロシアのプーチンと、トルコのエルドアンとは、次第に対立をエスカレートさせている。メルケル首相は、エルドアンが何かするかもしれない、と恐れている。NATO諸国は、トルコの戦争に加わるわけにはいかない。

まるで冷戦が再現したような状況が展開している。ウクライナ危機は、第1次世界大戦に向かう「夢遊病者たち」に似ている。シリアは2016年のキューバ危機だ。アンカラとモスクワの関係は、特に、ロシア空軍機が撃墜されてから、非常に危険な状態にある。

パワー・ポリティクスから見て、シリア介入はプーチンの勝利だ、とロシアの外交官は考えている。アサド体制は再建され、西側の影響力は大きく損なわれた。プーチンはシリアのクルド人部隊と同盟を組んだ。エルドアンはクルド人と厳しく敵対している。

クルド人部隊とトルコ軍が戦闘をはじめ、ロシア軍が参加することは、西側の悪夢になる。NATO軍はロシア軍と、直接、交戦するのか?

NATO内部の意見は割れている。かつてロシアの覇権に苦しんだ東欧諸国は、ロシア軍にNATO軍を強化して対抗する、という強硬姿勢を示す。しかし、個々の国によってロシアとの大きな利害関係が影響する。Bulgaria and Rumania, but also Slovakia and Hungary.ギリシャのチプラス政権もそうだ。

フランスはロシアとの独自の外交を展開し、モスクワはそれを歓迎する。NATO軍がロシアに対する東欧の駐留軍を増大する場合、ペンタゴンはその予算を34億ユーロと見積もっている。だれが負担するのか? ドイツはロシアとの関係を安定化したい。

メルケルは、NATO軍がトルコとロシアに圧力をかけて、戦争を回避するべきだ、と考える。しかし、難民政策で窮地にあるメルケルは、シリア和平やトルコの難民政策で彼らに協力を求めており、外交的な弱点として利用される。

FP FEBRUARY 19, 2016

Safety First in Syria

BY ANNA BORSHCHEVSKAYA

Project Syndicate FEB 22, 2016

Putting Putin in his Place

GUY VERHOFSTADT

NYT FEBRUARY 22, 2016

Is There Action the U.S. Should Take in Syria?

Kori Schake・・・アメリカのシリア政策は、650万人の難民を出し、市民47万人を殺害したアサド政権に対して何もしない。病院を空爆するロシア軍に対しても何もしない。ISISとの戦いに長期の観点から行動する。ただし、シリア難民をテロから守るためには行動したい。

ケリー国務長官は、敵意を終わらせる、部分的な停戦を実現して、包囲されたアレッポに緊急支援物資を届けるつもりだ。しかし、シリア政府、ISIS、そしてロシア軍はそれを支持しない。難民救援が内外の政治的なカードに利用されている。

ケリーは、ほかに優れた選択肢はない、と言うが、それは違う。1991年の湾岸戦争の後、アメリカはクルド人地域を軍事的に保護した。そしてクルド人の諸勢力が協力し、市民的・政治的な指導者たちの新世代を育てた。その地域が繁栄するような投資が起きた。

作戦は軍事的な性格のものであったが、市民的な行政やNGOsが協力した。クルド人たちが再定住キャンプの運営に参加し、その責任を引き継いだ。人々はアメリカと同盟諸国から信頼されるようになった。

持続的な安全保障はすべての始まりである。シリア難民にも、内戦から復興への安全圏を与えるべきだ。

NYT FEB. 23, 2016

Questions Linger Over Russia’s Endgame in Syria, Ukraine and Europe

By NEIL MacFARQUHAR

FT February 25, 2016

Kurds are now key to a Middle East solution

Henri Barkey

クルド人は、今ほど中東で大きな影響力を持ったことはなかった。イラクとシリアでは諸勢力の均衡を動かす役割を果たし、トルコでも蜂起している。しかも、現在のクルドの覚醒は、過去のものと異なり、クルド人の要求に大国を巻き込んでいる。

アメリカもそうだ。ISISを撃退するために、アメリカはトルコだけでなく、クルド人の協力を必要としている。ところが、シリアにおける主要な同盟軍であるPYDthe Kurdish Democratic Union party)を、NATOの同盟軍であるトルコが爆撃している。トルコはPYDを、トルコ内のPKKthe Turkish Kurdistan Workers’ party)と結びついている、単なるテロ組織とみなすからだ。

この難問は、アメリカに大きな取引の外交的機会を示している。それはトルコと、シリアやトルコのクルド人の、双方にとって、また地域の安定化やアメリカのISIS掃討にも、すべてに利益となるものだ。

それにはトルコのエルドアンRecep Tayyip Erdogan大統領の危機意識が関係している。エルドアンは、トルコ、イラク、シリアで、マイノリティとして重要なクルド人が活動を刺激され、ナショナリズムを強めていることを懸念している。

特に、イラクのクルド人は、アメリカの軍事介入の結果として、今や国際的に認知された自律的な連邦制の圏域と政府KRGthe Kurdistan Regional Government)をイラク北部に確立している。トルコ政府はKRGと良好な関係を維持し、重要な貿易相手であるが、KRGはクルド人の自決権を示すシンボルになっている。

トルコのクルド人は、軍隊としてPKKを、また最近では政党としてthe People’s Democratic party, or HDPに影響力を持ち、2015年の選挙で大きく前進した。クルド人問題は、特に、地方から都市にも及び始めて、トルコの国内政治を支配するような重要問題になっている。

エルドアンはアメリカに、トルコとPYD(シリア内のクルド人)とのどちらかを選ぶように求めている。しかし、アメリカは双方に利益となる取引を仲介するべきだ。それは一方で、シリアの和平とPKK戦闘員のシリアと北部イラクへの撤退を、他方では、トルコがシリアのクルド人支配地域に介入しないことを、合意する。

この取引で、シリアの諸都市のようにクルド人の居住地域を荒廃させ、多数の市民や治安要員を殺害してきたトルコにおける双方の敵意を終わらせる。また、PYDとアメリカ軍はISISとの戦いに集中できる。またシリアのクルド人は強化され、内戦後の自治権を得るだろう。

NYT FEB. 25, 2016

A Kurdish Convergence in Syria

By MICHAEL CRUICKSHANK and GISSUR SIMONARSON


l  Appleの情報開示拒否

NYT FEB. 18, 2016

Why Apple Is Right to Challenge an Order to Help the F.B.I.

By THE EDITORIAL BOARD

FT February 22, 2016

Apple is right to worry about the FBI’s demands

Tom Chatfield

NYT FEB. 22, 2016

Seeking iPhone Data, Through the Front Door

By WILLIAM J. BRATTON and JOHN J. MILLER


l  南シナ海

FT February 19, 2016

Australia and New Zealand warn China on maritime tensions

Jamie Smyth in Sydney

オーストラリアとニュージーランドは、南シナ海における中国の行動は、アジア太平洋の平和と繁栄を損なうリスクがあり、国際法による解決を目指すべきだ、と警告した。両国は中国を最大の貿易相手国とし、同時に、アメリカと安全保障の協力関係にある。アメリカと中国とは、このまま対立が続けば、習近平も言及した「ツキディデスの罠」を避けられない。

中国は、オーストラリアが日本の潜水艦を導入することを注視している。そして、オーストラリア外相に、日本の歴史を思い出すように求めた。

FP FEBRUARY 19, 2016

Are You Scared About North Korea’s Thermonuclear ICBM?

BY JEFFREY LEWIS

Project Syndicate FEB 23, 2016

South Korea’s Rude Awakening

CHRISTOPHER R. HILL

The Guardian, Wednesday 24 February 2016

The Guardian view on the South China Sea: high time for compromise

Editorial

漁師か,グアノの採取業者しか関心のなかった,将来,温暖化で水没するような,波間に突き出たサンゴ礁や岩礁に,所有権を主張する中国と周辺諸国,そしてアメリカが国際紛争の舞台にするとは,これほど危険でなければ,むしろ笑えるような話である.

紛争の基本的な理由は,中国が,ほとんど何の証拠にもならない理由で,南シナ海の90%を支配する,と主張したことだ.1947年には中国のナショナリストたちがWoody Island in the Paracelsに上陸した.その後,フランスが主張し,ベトナムが引き継いだが,遅すぎた.

およそ70年を経て,中国はこの初頭に地対空ミサイルを設置した.アメリカは直ちに,中国がこの海域全体を軍事化している,と非難した.中国は,数日後,戦闘機を派遣し,レーダー基地を建設している,と報告された.中国政府のこの行動は,オバマ大統領がASEAN諸国の首脳をもてなした時に重なっている.

どの国の主張にも,十分な根拠はない,と言わねばならない.しかし,中国は他国の船を強制的に排除し,ベトナムが主張する海域で石油の掘削を試みたり,人工的な建造物を拡大したりしている.それは既成事実化を目指すものだろう.その主要な動機は,海洋資源ではなく,アメリカの戦艦を,彼らが中国の領海とみなす範囲から排除することだ.

もしアメリカの軍事的な優位が大きければ,米中が衝突することはないだろう.小島の軍事施設は非常に脆弱だ.中国の狙いは,アメリカがこの諸島に近づくのを,次第に,困難と感じさせることだろう.それは,長期にわたる紛争を予想させる.

米中両国は,互いに,その海軍の膨張主義を抑えることに長期的な利益を見いだすべきだ.また中国は,近隣諸国との紛争を法的に解決する姿勢を示すことが,自国の利益になる,と理解するべきだ.中国の台頭は平和的なもの,と主張していたはずだ.


l  ロシアの金融引き締め

FT February 19, 2016

Russians tighten their belts for a great cause

Julia Ioffe


l  アメリカ外交の転換点

FP FEBRUARY 19, 2016

This is How the Liberal World Order Ends

BY EMILE SIMPSON

1967年,イギリス政府は予想外にも,数十年にわたって真のグローバルな外交政策であったものを終結する,と発表した.通貨ポンドの下落,金のかかる植民地離脱運動,ベビーブーム世代の態度の変化,こうしたことに対して当時の労働党政権を率いるハロルド・マクミラン首相は,突如,政府として戦争よりも福祉を重視し,方針を転換する,と発表したのだ.

新しい外交方針は,「スエズより東」のすべての基地から撤退する,ということも含んでいた.それに対して,アメリカのディーン・ラスク国務長官は不満を述べた.「無料の風邪薬や入れ歯の方が,イギリスの世界における役割より重要だなんて,信じられない.」

しかし,そのような外交の貴族性,すなわち,外交における国内政治への配慮は不当である,という姿勢は,時が経つにつれて,有権者の意向から極端に切り離された外交が選択できる,というものになる.

ニューハンプシャー州の予備選で,ポピュリストのドナルド・トランプやバーニー・サンダースが中央政界のライヴァルたちを退けて勝利すれば,アメリカも同様の転換点に向かう可能性がある.彼らはアメリカの外交政策を,冷戦終結以来,エスタブリッシュメントに支配的な2つの見解から切り離す.すなわち,リベラルな経済学と,リベラルな軍事介入だ.

リベラルな経済学は市場開放を目指す.それは大統領選挙でTPPを支持するかどうかだ.冷戦終結後の急速なグローバリゼーションは,熟練労働者や中間層と上層の西側諸国に住む熟練労働者たちにとって利益であった.しかし,多くの仮想中産階級に属するアメリカ人は,グローバリゼーションに激しい痛みを感じている.驚嘆すべきことに,アメリカの白人ブルーカラーだけが,1999年以来,寿命の短くなった集団である.自殺や薬物乱用による.

彼らが,個人の自由と経済的な自由を結び付けて推進するエスタブリッシュメントの候補に,耳を貸さないのも当然だ.

冷戦後のアメリカ外交を支えるもう1つの柱はすでに忘却されつつある.すなわち,リベラルな軍事介入だ.

イラクとリビアへの軍事介入が失敗したことについて,トランプ,クルーズ,サンダースはヒラリー・クリントンを容赦なく攻撃してきた.体制転換についてのポピュリストの議論は,それが統治不能な地域を生み出す可能性についてである.イラクやリビアが示したように,代替する政権構想がないとき,その地域に国境を超えるテロリスト集団が流れ込む.シリアの体制転換を支持するのも同じ危険がある.西側がアサドを追放すれば,その体制に代わるものがなく,そこは容易に過激なイスラム主義者たちの混在する土地になるだろう.

この現実を受け入れることも,地域の平和を回復するために米軍を派遣することも,有権者は支持しない.地政学的現実を前提に,クリントンが主張できることは,体制転換を唱えず,イスラム国の問題に焦点を絞り,紛争を沈静化することはないが,人道的な視点で飛行禁止空域を設けることである.

シリアを超えて,民主主義や人権を拡大するという考えは,停止したように見える.いずれの候補者も,エジプトの野蛮な軍事体制が行っている政治弾圧について,あるいは,イラク政府の側のシーア派民兵がスンニ派に対してエスニック・クレンジングを進めているという疑いについて,何も言わない.

ルビオだけはリベラルな軍事介入を支持しているが,彼が勝利しない限り,アメリカ外交はかつての冷戦時代のモデルに戻るだろう.安定性と強い同盟国を優先し,軍事力を行使して民主主義を広めるという目標は破壊的で,支持されない,とみなす.

経済的な超大国と独裁者だけが,国内政治から独立して,外交政策を決めることができる.1967年のイギリスは,そのどちらでもなかった.アメリカは民主主義だが,経済超大国だ.長期にわたって国内政治を無視してきたが,その外交が突如として転換する可能性もある.


l  トランプとプラグマティズム

FT February 19, 2016

How Old Man Sanders snared the youth vote

Jacob Weisberg

NYT FEB. 19, 2016

Francis and Trump: Populist Leaders Preaching Divergent Messages

By JIM YARDLEY

Bloomberg FEB 19, 2016

Donald Trump, Class Warrior

By Clive Crook

経済的な不満だけでなく,トランプ支持者には階級や文化に関する不満がある.他の候補者たちはそれに言及しない.

アメリカは,言われているような,階級のない社会ではない.しかも,アメリカの新興上流階級は,大衆に対する侮蔑を顕著に示す.彼らは才能ある,教育を受けた,社交性に富む人たちだが,例えば,中枢都市に住む者たちは,地方の住民を決まりきった表現で描くが,それは無意識なものほど,偏見であり,ひどい侮辱である.

アメリカ大衆は,上流階級が自分たちをどう見ているか,知っている.自分たちが,石頭の,何が自分たちの利益かもわからない愚か者で,侮辱されていることを知っている.彼らは怒りや恨みを示すよりも,笑うだろう.しかし,見下されるのを好まないのは当然だ.

彼らの多くが,トランプの支持者である.

彼らは愚かではないし,人種差別主義者でもない.彼らは,トランプが当選すればすべてが変わる,とも思っていない.政治システムが彼らをあまりにもひどく裏切るから,もはや修理不可能であり,そのシステムを維持することに利益を何も感じていないのだ.彼らにとって,選挙はその不満を表明する機会である.トランプを,有効なメッセンジャーとみなしている.

トランプ現象には,こうした階級的な抗議がある.彼らの多くが感じているのは,彼らに対する敬意を欠いた態度である.

Bloomberg FEB 19, 2016

Pope Vs. Trump Isn't a New Phenomenon

By Stephen L. Carter

NYT FEB. 20, 2016

Clash of the Populists

Ross Douthat

FT February 21, 2016

Trump’s hostile takeover gains pace

Edward Luce

FT February 23, 2016

The only way to stop the Trump juggernaut

FP EFEBRUARY 23, 2016

Why Europe Is Right to Fear Putin’s Useful Idiots

BY ALINA POLYAKOVA

Bloomberg FEB 23, 2016

The Megatrends Trump and Sanders Misunderstand

By Paula Dwyer

The Guardian, Wednesday 24 February 2016

Tony Blair’s ‘pragmatism’ failed. No wonder Corbyn and Sanders appeal

Deborah Orr

トニー・ブレア元首相は,コービンやサンダースの登場に困惑している,と述べた.法案を議会で通過させることができるのか? 選挙に勝てるのか? どれほど良いアイデアを候補者が示しても,彼らが権力を得なければ意味はない.コービンやサンダースには良いアイデアもない.「大学授業料の無料化? そんなことができたら素晴らしい.では,誰がコストを負担するのか?

しかし,答えはそれほど明らかではない.プラグマティズムは,もはやプラグマティックではないから.ブレアが実践したプラグマティズムは,さまざまな妥協は賢明であったはずだが,最終的に摩滅に終わった.ブレアがプラグマティックに支持した金融システムは崩壊しなかったが,それがもたらした不平等は,社会民主主義者であれば「全くの失敗」と言うものだ.ブレアはそれを認めるほどプラグマティックではないが.

プラグマティックな選択だと思うことが,実際は危険なものである,とコービンやサンダースは警告している.富を持つ者が富をさらに創り出すというので彼らに迎合する.それが何もかも破裂したり,虚偽であったりしても,彼らに大きく迎合したことで,もはや迎合するより他の選択肢がない.他方,庶民は,特に若者たちは,緊縮策の痛みを強いられている.それこそブレアのプラグマティズムの結果である.人々がもっとほかの意見を求めるのは当然だ.

コービンやサンダースの熱狂的な支持者たちは,彼らの懸念や不安をプラグマティックに無視した,最近の過去を強く非難している.彼らは勝てないことを理解しているが,それでも戦わないよりもずっと好ましい.プラグマティックではないが,反抗的で,希望に満ち,勇敢である.プラグマティズムは中身がなく,もぬけの殻である,ということがプラグマティックな者にはわかっていない.

コービンやサンダースへの支持は,こうした宿命に反対する運動である.

The Guardian, Wednesday 24 February 2016

Trump's victories aren't mysterious if you understand why people are angry

Jeb Lund

FT February 24, 2016

Tony Blair warns US Democrats against supporting Bernie Sanders

Edward Luce in Washington

FT February 24, 2016

US voters rage against potholed roads and poisoned water

Philip Delves Broughton

The Guardian, Thursday 25 February 2016

How Obama gave us Donald Trump

Matt Laslo

Project Syndicate FEB 25, 2016

The US Election and the Global Economy

MICHAEL J. BOSKIN


l  金融政策と需要不足

FT February 19, 2016

Central banks alone cannot conjure growth

FT February 22, 2016

Fed to raise the bar in bank stress tests

Ben McLannahan in New York

アメリカの大銀行は新しい連銀のストレス・テストを求められ,高配当や株式の買い戻しを牽制されるだろう.2008年のリーマン・ショックと同じような危機が襲っても,銀行は損失を吸収できる十分な資本を持っていなければならない.

ストレス・テストが,大銀行をチェックする連銀の主要な政策手段となったが,今年に入って銀行株の下落が続き,債権者たちに銀行がまだ次の世界金融危機に,納税者からの資金援助なしに生き残れるほど,十分な資本を持たないという懸念を生じている.

「銀行という者は,100年に1度の洪水に毎年耐えられる準備をしていなければならない.」とアナリストは言う.銀行業は1980年代のたばこ産業と同じだ.一握りの企業に支配されて,大きな利益を得ているが,成長の見通しは限られている.

FT February 24, 2016

Helicopter drops might not be far away

Martin Wolf

世界の需要不足は解消しない.量的緩和の次に,マイナス金利も実行された.しかし,過剰貯蓄は続いている.

次の金融政策は何か? あるいは,政府による財政刺激策に中央銀行が融資するのか? 現状では,需要不足のまま,金融緩和による通貨価値の切り下げ競争になっている.中国はそれに反対しているが,いつまでそう言えるか?

FT February 24, 2016

Investors fear central bank policy errors

Andrew Milligan

Bloomberg FEB 24, 2016

Binding the Fed Won't Help the Economy

By Frederic S. Mishkin

FT February 25, 2016

The limit of central bank power is politics, not economics

Dan McCrum


l  イギリスはEUを離脱する

FT February 19, 2016

Brexit: Cameron’s rocky road to Brussels

George Parker and Alex Barker

The Guardian, Saturday 20 February 2016

Here’s how to argue with a Brexiter – and win

Timothy Garton Ash

キャメロンのEU改革は,今回の離脱論争のテーマではない.緊急時に移民流入規制を行えるかどうかではなく,将来のイギリスがどうなるのか,考えることだ.

離脱は残留より危険である.Brexit is riskier than Bremain. この討論に皆が参加するべきだ.

離脱派は,イギリスは単一市場に参加する条約だけ結べばよい,と簡単に主張する.また私的な会話では,EU加盟諸国の中にも,イギリスの地位をうらやむ声がある.シェンゲン協定から外に身を置き,欠陥を抱えたユーロ圏の外でもある.

しかし,加盟諸国は,イギリスが統合過程を進めると考えているから受け入れたのだ.もし2つの世界のどちらを選ぶか,となれば,イギリスはEUの中にあり,外ではない.

ノルウェーやスイスの地位を望むなら,それは魅力に乏しい,寒冷な地位である.多くのビジネス指導者や労働組合は,そんな賭けをしたくない.EUでは5億人の市場と自由に取引できる.昨年,アメリカ通商代表Michael B Fromanは,EUを離脱したイギリスと自由貿易協定を交渉するつもりはない,と述べた.

観光業,国際犯罪,安全保障,難民危機,などについて効果的な政策を考えるとき,EU加盟が役立っている.イギリスにEU離脱を求めるのはだれか?  Vladimir Putin and Marine Le PenEU残留を望むのはだれか?  Barack Obama, Angela Merkel and all our traditional friends, in Europe, North America and the Commonwealth

アイルランドとその血縁者たち,スコットランドはどうなるのか? 彼らは離脱後のイギリスに不安や不満を示すだろう.彼らはUK離脱を投票する.

Project Syndicate FEB 20, 2016

No Brexit

ANATOLE KALETSKY

イギリスは,その政治的,経済的な理由で,EUを離脱しない.

離脱派を統一する政治的な指導者はいない。ナショナリズムの保護主義派と自由市場派とが対立している。メディアは、金融と同じく、ヨーロッパ市場の規模を失うことが死活問題であるから、離脱派の動揺を観て、支持派に転換する。UKの各地は離脱に強く反対する。

Bloomberg FEB 20, 2016

The U.K. Wasn't a Real EU Member Anyway

By Leonid Bershidsky

FT February 22, 2016

Concessions to Britain will create a two-tier Europe

Wolfgang Münchau

The Guardian, Monday 22 February 2016

Cameron’s deal is a chance to make the EU work. Seize it

Peter Mandelson

The Guardian, Monday 22 February 2016

The Brexit debate offers a flimsy illusion of choice – we need some detail

Paul Mason

FT February 22, 2016

What are the economic consequences of Brexit?

Chris Giles in London

Project Syndicate FEB 22, 2016

Why Brexit is Unpatriotic

DOMINIQUE MOISI


(後半へ続く)