前半から続く)


l  米中の外交的競争

Project Syndicate JAN 29, 2016

Xi of Arabia

MINGHAO ZHAO

中国は外交政策の転換を図りつつある。批判者たちは見解を改めるべきだ。

習近平主席はサウジアラビアとイランを訪問して帰国した。両国は中東地域の2大国で、互いを倒そうと狙っている。こうした中東で中国は積極的な外交を展開する。中国の影響は、アメリカよりも建設的なものなのか?

中東情勢は混乱を深め、新しい30年戦争、とRichard N. Haassが呼んだように、内戦と代理戦争も区別できない。イラク侵攻でスンニ派のサダム・フセイン体制を破壊したアメリカは、イラクをシーア派政権に導き、スンニ派のサウジアラビアを包囲する状況を創り出した。それゆえシリアの内戦はこれほど激化したし、シリア内戦も、トルコが加わって、たとえ相互に戦争になることはなくても、和平を実現する見込みはない。

こうした諸国は内戦に介入して異なる勢力を支援し、宗教的な過激化と、暴力の非国家化・民間化を進めた。イスラム国家だけでなく、様々なテロ組織が従来の対策では排除できない状況になっている。中東の対抗する諸国だけでなく、アメリカはもちろん、フランスやロシアなど、地域外の諸国も地政学的な目的から介入を強めている。今や、中国もそこに加わった。

中国語の「危機」は、「危険」と「機会」を意味しており、まさに、中国の新しい中東外交にそれが示されている。多くのアクターは、経済的な機械よりも宗教的・地政学的な関心が強い。中国はそうではない。習はカイロで演説した。「中東において代理戦争を目指すのではなく、われわれは和平会談を目指している。何らかの影響圏を求めているのではなく、中国はその「一帯一路」戦略の友好諸国に加わることをすべての勢力に求めている。」

これは2013年に主席となって以来、習近平が目指しているものだ。ある地域から他の地域に「旋回」するアメリカと違い、中国は「諸国間の政治」を「ネットワーク間の政治」に変え、「支配」ではなく「連結」を訴える。中東は「一帯一路」戦略に欠かせない重要な地域である。そのために中国が主導するAIIBがインフラに投資する。

中東諸国とのエネルギー協力はその中心だが、さらにインフラ建設と、貿易・投資の拡大、という2つが重要である。原子力、人工衛星、新エネルギー、こうしたハイテク分野が協力の突破口になるだろう。中東はエネルギーの優位を生かして、工業化と経済の多様化を進めるのであり、中国はそれを支援する。

中東外交の成功には、もちろん、緊張の緩和、紛争の鎮静化、弱体な国家の安定化が前提である。そのための諸国間におけるスマートな外交が求められる。しかし、平和と開発とは密接に結びついている。過激派に向かう流れに抗するにも、中東の諸国は人々に経済的機会を、すなわち貿易、投資、雇用を提供しなければならない。

これらの面で、中国は多くを提供できるのだ。

FP JANUARY 29, 2016

The United States Should Admit It No Longer Has a Middle East Policy

BY STEPHEN M. WALT

アメリカの中東政策は、冷戦時代の前提では機能しない。すなわち、ソ連の影響力拡大を抑え、石油・天然ガスの供給を確保し、イスラエルとの「特別な関係」を維持することで地域の敵対国を弱めることができた。

しかし今、アメリカは、この地域に主要な利害や封じ込めるべき脅威がなく、従来の友好諸国と敵対諸国との関係が明確でなくなっている。クリントン、ブッシュ、オバマのアメリカ政府は、中東における軍事介入を拡大し、地域の警察官を自認した。しかし、その結果、地域の秩序は混乱を深め、その能力の欠如と、目指すべき平和や政治制度の構築も明確でなくなっている。

2016年の大統領選挙は、中東政策を根本的に見直す機会であるはずだが、論争は全く行われていない。

Project Syndicate JAN 31, 2016

Building Bridges over the Persian Gulf

JAVIER SOLANA

FP FEBRUARY 3, 2016

Will Europe and the United States Gang Up on China?

BY BRUCE STOKES

FP FEBRUARY 3, 2016

Beijing ‘Doesn’t Want a Fight’

BY ZHA DAOJIONG, FENG ZHANG, JULIAN G. KU

130日に行われたアメリカ海軍による南シナ海の紛争海域航行について、専門家たちが米中を評価する。


l  アルゼンチンとヴェネズエラ

Project Syndicate JAN 29, 2016

Argentina’s Uncertain Prospects

MARTIN GUZMAN and JOSEPH E. STIGLITZ

アルゼンチンの大統領選挙でMauricio Macriが勝利し、12年に及ぶキルチネルNéstor and Cristina Fernández Kirchnerの時代が終わった。

アルゼンチン経済は対外不均衡を拡大し、インフレが高まって、政策を誤れば危機に突入する。しかし、いくつかの面で、アルゼンチン経済の状態は大きく改善している。

2003年、政権を得たキルチネルは、ワシントン・コンセンサス(金融規制緩和、貿易自由化、民営化)とドル・ペッグによって10年続いた実験的な繁栄の崩壊を経験した。失業、不平等、貧困、国歌政務は、すべてが急激に上昇した。大幅な脱工業化と、教育システムの欠陥は、アルゼンチン経済の将来を損なうものだった。

しかし、切下げとデフォルトに続いて、アルゼンチンは驚異的な回復を示した。キルチネル政権は、需要を抑制したまま、失業、貧困、不平等の現象に導いた。それは債務の大幅な組み替えと、世界経済の拡大を背景に、為替レートの大幅な切下げが競争力を高めて、輸出を増やしたからだ。蔡工業化と雇用の増大が生じた。

Macriの改革は、対外赤字と財政赤字を減らし、同時に、インフレを抑えることを目指している。輸出作物への課税を下げ、為替管理を撤廃した。それが輸出の急増と直接投資の流入を増やし、赤字のつなぎ融資も得られる、と楽観論者は考える。

悲観論者は、世界経済の減速や隣国ブラジルの不況、一層の切下げが必要になって、消費者物価が高まる、と考える。それは切下げ予想から輸出や輸入の延期につながる。しかも、最初の政策が、明らかに多数の労働者を犠牲に、農業にかかわる富裕層への富を増やす、所得分配を悪化させる政策であった。

FT February 3, 2016

It could be too late to avoid catastrophe in Venezuela

Ricardo Hausmann

ヴェネズエラの債務危機は避けられないだろう。チャベスは石油ブームを利用して、価格下落に備えるより、債務を増やして財政支出を増やした。しかも、民間企業を国有化し、輸入管理を強めた。石油の価格が下落した今、それは経済危機を強める条件だ。

周辺諸国も影響を免れない。IMFは波及を抑えなければならない。

FT February 4, 2016

A debt default may be Venezuelans’ best hope


l  シュミット

VOX 29 January 2016

Helmut Schmidt and the narrative of the Eurozone crisis

Athanasios Orphanides

NYT JAN. 29, 2016

To Grade Presidents on the Economy, Look at Policies, Not Results

By N. GREGORY MANKIW


l  難民受け入れの国際政治

SPIEGEL ONLINE 01/29/2016

German Interior Minister on Refugee Crisis

'We Want Clarity on the Refugee Crisis by Spring'

Interview Conducted by Ralf Neukirch and René Pfister

The Guardian, Sunday 31 January 2016

Europe’s immigration bind: how to act morally while heeding the will of its people

Kenan Malik

Project Syndicate JAN 31, 2016

Robots and Refugees

ANNE-MARIE SLAUGHTER

ダヴォスのWEFが掲げた今年のテーマは、第4次産業革命である。その副題は、ロボットと難民Of Robots and Refugeesとするべきだった。

シリア難民たちは、歴史上最初のソーシャル・ネットワークを駆使する「フェイスブック難民」である。彼らはどこで、何を買って、どうやって非難するか、よく知っている。第4次産業革命の利用者だ。

しかし、人類は人間を殺害する技術を、保護する技術よりも、はるかに優れて発達させた。第4次産業革命は、大規模な難民をヨーロッパに統合し、また交渉による平和的な秩序の再建と難民の帰還を助けることができるのか?

FP FEBRUARY 1, 2016

A Humanitarian Stimulus

BY GORDON ADAMS

シリアからの難民を受け入れることは、アメリカ経済にとっての人的な刺激策になる。しかし、共和党の大統領候補者争いでは、シリア、メキシコ、などからの移民、難民に対する排外主義的な攻撃が絶えず行われている。

アメリカには、すでに市民ではない住民が2200万人いる。人口の約7%である。世界には2000万人の難民が生じており、安全と異なる未来を求めている。アメリカはその歴史や文化に、より多くの移民を歓迎する強い経済的ロジックが存在する。高齢化しているドイツ、日本、ロシアはそうではない。

その限界は、アメリカ人をとらえる不安の主張である。移民が職場を奪い、賃金を下げる、という。それは昔からある不安だ。新しい移民・難民が増えるたびに不安が生じた。しかし、彼らは統合化されて、アメリカ人として受け入れられた。社会福祉の給付や補助金を狙っている、という非難もあった。フリー・ライドするだけだ、と。

こうした主張は、経済学から見て、粗雑であり、間違っている。IMFのラガルド専務理事が述べたように、移民・難民は経済を刺激する。アメリカでは、特に都市部がそうだ。移民は職を奪うのではなく、特に労働力が減少する地域にとって、職場を増やすのだ。彼らは中小企業を起こし、多くの労働力を求める。

アメリカの多くのコミュニティーが、この何十年も、高齢化、人口減少、課税ベースの減少、公共サービスの不足、起業の減少、それらがもたらす経済衰退の悪循環を経験している。彼らは移民・難民を歓迎している。職場、学校、新規募集があるのに、応募者が少なすぎるのだ。

不安の呪文を克服できれば、移民・難民の増加は国民を強くする刺激策になるだろう。

FP FEBRUARY 2, 2016

If You Think Europe Has a Refugee Crisis, You’re Not Looking Hard Enough

BY CHRISTIAN CARYL

SPIEGEL ONLINE 02/03/2016

EU Border Office Chief on Refugee Crisis

'We Should Have No Illusions'

Interview Conducted By Peter Müller

The Guardian, Thursday 4 February 2016

The Syrian refugee crisis calls for a new Marshall plan

Gordon Brown

The Guardian, Thursday 4 February 2016

The Guardian view on the London refugee conference: new ideas for making refugee life bearable

Editorial

FT February 4, 2016

Angela Merkel’s open door has harmed those it was meant to help

Paul Collier

紛争から逃れる人々を助けることは、基本的な国際的責務である。シリアには1100万もの難民がいる。アンゲラ・メルケルはこの責任を認め、広く称賛されたように、難民危機に対処する道義的な指導力を発揮した。しかし、エコノミストとして、私はこの判断を疑問に思う。ドイツ首相の介入政策は、その効果から見て、転換するべきだ。

避難民は移住者になることを望まない。住居を捨て、安全な場所に避難するしかないのだ。彼らの最優先目標は正常な生活に戻ることである。数百万人に対して、この願いをかなえることは国際社会の責務である。それは、避難所と職場を提供する、ということだ。

避難所には人々が容易に移動できる必要がある。シリア難民の多くはまだ国内におり、彼らが避難できるのは隣国のレバノンやヨルダンである。近隣諸国は避難者を受け入れる責任がある。しかし、彼らも貧しいから、国際社会の難民政策を持続可能にするには裕福な諸国からの財政的な負担が必要だ。ヨルダンの債務・GDP比率は、2011年の70%から2014年の90%に上昇した。

正常な生活を取り戻すもう1つの条件は職場である。避難所を提供する諸国は、自分たちの雇用も不足している。ヨルダンのシリア難民は、都市で非合法な職に就き、地元の住民の恨みを買っている。ヨーロッパ企業は、ヨルダンが設けている工業地区に投資して、難民やヨルダン国民の雇用を増やすべきである。

ロンドンで開催された難民会議では、これら2つの原則が示された。世界銀行は企業が投資するまで、それを促すインフラ投資を推進する。これに比べて、メルケルの国境開放策はどのような効果をもたらすのか?

難民たちはドイツまでの移動が保障されないから、非合法な業者に大金を支払う。現在、それは約6000ドルである。その資金を得るには、多くの場合、住宅を売るしかない。住宅を所有する、比較裕福なシリア人だけが、避難のために捨て値で住宅を売ってドイツに向かう。しかも移動の途中で溺れ死ぬ者も多い。帰国することは考えられない。

難民たちは国境を超えて、移民に変化してしまう。ハンガリーとの国境で移動を阻止された難民たちを混乱から救うために、メルケルは一時的に国境を開放した。それは救済するという国際的な責務を果たすものだが、難民を増やす間違った効果を生じた。

大みそかのケルンで起きた女性たちへの暴行によって、ドイツ国境は閉鎖に向かうだろう。メルケルの判断はすべての難民が享受する資産、裕福な人々が難民を助けようという気持ち、を損なったのである。

NYT FEB. 4, 2016

Europe's Huddled Masses

Roger Cohen


l  Google, Apple, Facebookに課税できるか?

FT January 31, 2016

Don’t get mad at Google — get even

Jonathan Ford

FT February 4, 2016

A letter to an ungrateful world from Google, Apple, Facebook et al

Robert Shrimsley

FT February 4, 2016

Alphabet’s big gamble on the future of technology


l  中国の資本流出と資本規制

FT January 31, 2016

Capital controls will not cure China’s ills

Eswar Prasad

日銀の黒田総裁が中国人民銀行PBoCに資本規制を薦める,という奇妙な時期をわれわれは目撃している.しかし,中国が人民元の下落を阻止するために資本規制するのが正しい,という新しい正当的な見解は間違っている.資本規制は事態を悪化させるものだ.

20158月から人民銀行は,人民元の為替レートをより多く市場諸力に従って自由に決める,と公表した.しかし残念なことに,ドルに対して2%という切下げの限界を設けたのだ.金融市場はそれを,中国が経済を刺激するために切下げを求めている,と考えた.市場とのコミュニケーションが問題を生じた.

8月以降,中国は外貨準備を3200億ドルも失った.為替レートの安定化を目指す介入が,家計と企業,機関投資家に海外投資を認めて分散投資を促した時期が重なった.また日本には,人民元の下落を心配する十分な理由がある.日本銀行が金融政策でインフレ率を高め,成長を実現するには,円安で輸出を伸ばす必要があったのだ.

資本勘定の自由化に関する日本の経験は,中国にとってプラスとマイナスの意味がある.それは日本を貿易や金融面でグローバルに統合化するのを促した.国内金融市場は発展し,深化した.しかし,金融政策の判断は難しくなった.弾力的な,市場によって決定される為替レートを持たずに,資本勘定を開放すれば,金融政策は混乱する.

理想の世界では,正しい対策がある.まず,金融市場を改革する.次に,為替レートを自由化する.そして,資本勘定を開放する.しかし現実には,機会をとらえて改革することだ.中国は,賢明にも,IMFの準備通貨に加わる目標を金融改革促進の手段とした.

最終的に,人民銀行は為替レートの安定化介入を止めるだろう.中国の主要貿易相手国の通貨を貿易額でウェイトしたバスケットにより市場が向かうように望んでいる.その意図は正しくても,人民銀行は窮地に陥る.急激な資本流出と人民元の激しい減価が迫ってくるからだ.資本勘定の自由化を逆転することも,改革に反している.

ジレンマから抜け出すには,市場の期待を満たし,投資家たちの信頼を回復することだ.第1に,マクロ政策の正しいバランスにより成長を支持する.資本自由化で金融政策が制約されるから,減税や社会保障の整備など,財政政策が重要だ.第2に,供給側の改革をさらに強力に推進する.第3に,市場への説明とコミュニケーションを通じて透明性を高める,

資本規制は,本当に実行することの代替策にはならない.

Project Syndicate JAN 31, 2016

China’s Transparency Problem

ANDREW SHENG and XIAO GENG

FP FEBRUARY 1, 2016

The $3 Trillion Question

BY PATRICK CHOVANEC

Project Syndicate FEB 2, 2016

The Great Escape from China

KENNETH ROGOFF

6000億ドルの貿易黒字があっても,3兆ドルの外貨準備があっても,中国の人民元には急激な減価の危険がある.中国経済の減速と,漸進的な金融自由化が海外投資を許したことが結び付いて,資本流出は増えている.合法的にも15万ドルまで資金を持ち出せるから,20人に1人の中国人がそれを実行すれば、外貨準備はすべて消滅する.さまざまな非合法の形でも,資本流出は起きるのだ.人々が人民元安を心配すればするほど,ますます資本が流出し,不安は株式市場にも及ぶだろう.

多くの投機も行われる.政府が取り組むのは,まず信頼できるマクロ経済データを提供して,透明性を高めることだ.ドルではなく,13の主要通貨のバスケットに固定する、という考えも,ドル・ペッグと同じ諸問題を生じるだろう.

中国は,より完全な変動レート制に向かうのがよいだろう.しかし,実際には,まだ多くの危険な振幅を為替レートは経る可能性が高い.

VOX 04 February 2016

China’s growth prospects

Robert Barro

Bloomberg FEB 4, 2016

When $3 Trillion Just Isn't Enough

By Christopher Balding


l  イギリスの国民投票

FT February 1, 2016

Brexit is no way out of a Europe in crisis

Gideon Rachman

Project Syndicate FEB 1, 2016

The Causes and Consequences of Brexit

ANA PALACIO

FT February 2, 2016

A reasonable deal to keep Britain in Europe


l  21世紀のポピュリスト

Project Syndicate FEB 1, 2016

Welcome to the Twenty-First Century

JOSCHKA FISCHER

Project Syndicate FEB 2, 2016

The Politics of Young and Old

JEAN PISANI-FERRY


l  TPPWTO

Project Syndicate FEB 1, 2016

Is the TPP Good for America?

SIMON JOHNSON

TPPを支持する経済予測は間違っている。その利益は非常に小さく、疑わしいものであり、その雇用や賃金に及ぼす不利益を無視している。通貨の人為的な切下げにも歯止めがない。

VOX 03 February 2016

Clubs and the WTO post-Nairobi: What is feasible? What is desirable?

Bernard Hoekman, Petros C. Mavroidis


l  シリア和平交渉

FP FEBRUARY 1, 2016

There Is No Plan B if the Syria Peace Talks Fail

BY JAMES TRAUB

NYT FEB. 3, 2016

To End Syria’s War, Help Assad’s Officers Defect

By MOHAMMED ALAA GHANEM

FT February 4, 2016

World leaders pledge billions in aid for Syria

Sam Jones in London


l  ウーバー

NYT FEB. 2, 2016

Uber Drivers and Others in the Gig Economy Take a Stand

By NOAM SCHEIBER


l  カリブ海域

FP FEBRUARY 1, 2016

How Captain Jack Sparrow Explains the Problem with ‘America’s Backyard’

BY JAMES STAVRIDIS

「アメリカの裏庭」と呼ばれるカリブ海域にも、貧困、暴力、汚職が蔓延している。


l  石油価格

Project Syndicate FEB 3, 2016

The Death Throes of Oil

HAROLD JAMES

石油価格の暴落は、経済に対する刺激策ではなく、金融市場の不安定化に結び付く、という不安がある。さらに、石油の輸出に依存している各地の強権体制が不安定化し、地域秩序も動揺する、という地政学的なリスクが高まる。

経済ではなく、こうした深刻な地政学的リスクを解決するには、単独に行動するだけでなく、国際協調が重要である。

FT February 4, 2016

Oil: From boom to bailout?

Shawn Donnan

Project Syndicate FEB 4, 2016

Oil Dictator Dominos

BILL EMMOTT


l  ロシアの脅威

NYT FEB. 3, 2016

The Pentagon’s Top Threat? Russia

By THE EDITORIAL BOARD

FP FEBRUARY 3, 2016

If Russia Started a War in the Baltics, NATO Would Lose — Quickly

BY DAN DE LUCE


l  バクダッド・マラソン

NYT FEB. 3, 2016

Baghdad Hosts a ‘Marathon’ and Celebrates a Victory

By TIM ARANGO

バクダッド国際マラソンが開催される。ただし通常の距離は走らない。2キロ、4キロ、8キロ、10キロだ。それでも出場選手たちは大変喜んでいる。さまざまな復興がかかっている。


l  安倍政権の軌跡

FP FEBRUARY 4, 2016

Yen and the Art of Political Scandals

BY TOKO SEKIGUCHI, WILLIAM SPOSATO

Global Times 2016-2-4

Abe’s global goals distract from real needs

By Jiao Kun

イスラム国家や南シナ海にもおよぶ安倍の「世界戦略」は、近隣諸国との現実的、建設的な外交から始めるべきだ。

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The Economist January 23rd 2016

Who’s afraid of cheap oil?

The millennial generation: Young, gifted and held back

Lexington: Karl Rove’s history class

Global Pentecostalism: Ecstasy and exodus

The economic impact of refugees: For good or ill

Free exchange: All at sea

(コメント) 特に面白かったのは,若者と中高年者との対立,カール・ローブが描くポピュリストを撃退した大統領選挙,キリスト教の熱狂信仰,です.なぜマッキンリーはブライアンに勝てたのか? ペンテコスタリズムが何か? よくわかりませんが,カリスマ的な説教師がいれば,一気に信者と資金を集めてグローバル化する,という宗教運動に,社会不安や秩序崩壊の時代を感じます.

経済学者の経済学批判が面白いです.さっぱりわからない,と互いを非難する様相です.客観的な真理ではなく,観察に基づかない,イデオロギーなのか,事実を発見することによって変わるのか,アプローチに関するコンセンサスはあるのか,社会的な価値観に強く影響されるのか,何が間違いであるか,何が優れているか,について合意できるか・・・

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IPEの想像力 2/8/16

アルゼンチンのデフォルトや,アイスランドの資本規制を,資本市場は拒みましたが,IMFは容認し,今では公認しています.

富の在り方が金融資産の国際市場取引と情報技術によって大きく変化しました.その結果,戦争によらずに市場で奪い取ることを許さない,富を生産するシステムに関して政治秩序に広く合意する,そんな理想が唱えにくくなりました.人々は不安と不満を強めています.

国際通貨制度は,国境によって分割された世界が,平和と繁栄とを共有する重要な仕組みである,というのが,国際政治経済学のメッセージです.帝国の通貨が世界中で利用される時代にも,主要諸国が合意したメカニズムで対外不均衡を調整し,通貨的な秩序を各地の政治的秩序や経済メカニズムと接合する時代にも,そうでした.戦争によって富を奪うより,富を生産するシステムに参加することが,覇権(国家を超える秩序)の重要な条件なのです.

中国の経済成長や人民元の管理に関する信認が失われ、サウジアラビアやアメリカの石油と中東情勢に関する信認が失われ、EUのさまざまな危機に関するドイツの信認が失われ、世界の景気回復のために主要諸国の中央銀行が採用した過激な金融政策に関する信認が失われました。

各地の政治経済秩序は,非常に困難な時期を,まだこれから経験するかもしれません.

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世界金融危機後,不況を回避する金融政策としての,QEやマイナス金利の時代は,資本市場の不安定化を強め、資本規制の時代へ向けた合意が徐々に形成されつつあります.このようにして,いつか,経済思想の基本が転換するのだと思います.

資本市場をめぐる最適通貨圏は,世界である,と言えます.少なくとも,国境で切れることはなく,発達した金融機関の活動を受け入れる開放型システムが展開する限り,全地球に及ぶでしょう.しかし,労働市場をめぐる最適通貨・経済圏は,国家よりもずっと狭い範囲でしか成立しません.いずれの場合も,市場が機能するには,交通手段や情報交換ネットワーク,法律や行政の統合,住民と統治者との一体感が必要です.

経済政策と国際政治の対立が結びついた帝国主義の時代が再現しないためには,政治経済的な秩序の領域が,ある程度,柔軟に変化することを求められます.最適通貨圏が,その拡大するロジックを支えたように,資本規制は領域を縮小・再編するロジックとして,正当に理解され,合意されることが望ましいのです.金融危機の波及やQEに頼った政治経済秩序の延命策は,金融機関と金融ビジネスの肥大化や,金融市場という富の在り方を見直す条件を形成します.

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内戦,宗教対立,領土紛争,核拡散,大気汚染,温暖化,その他,さまざまな衝突と秩序崩壊が起きる世界で,成長の維持や安定した金融システムの基準(理想)は,話し合いによる解決の条件です.

ヘリコプター・マネー、もしくは、政府の公共サービスと生産者家族を介した資金供給メカニズムを築き,ポピュリストたちの広める憎悪と収奪の政治を,真面目に働く人たちにも指導者たちが正面から論破するべきです。移民・難民規制とチャーター・シティ,インフラ投資の刺激策,財政移転のための国際協調など,それらが工場の国際移転と移民に関する供給側のIMF,雇用や社会統合のための国際移住・投資基金となって,次の世界不況を回避するために樹立されます.

20年後に,難民の子どもたちが観るのは,どのような世界なのか?

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