IPEの果樹園2016
今週のReview
1/25-30
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尖閣戦争シミュレーション ・・・台湾総統選挙の興奮 ・・・ポピュリストとしてのトランプ ・・・株式市場の動揺と資本主義システム ・・・ドイツの難民政策とEU ・・・失業問題 ・・・イギリス国民投票 ・・・ダヴォスに集まる超富裕層 ・・・習近平のサプライ・サイド革命 ・・・移民・難民の国際システムを改革せよ.・・・重なるショックの背後で
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
l 北朝鮮の核実験
NYT JAN.
15, 2016
After
Nuclear Test, China Resists Pressure to Curb North Korea
By JAVIER C. HERNÁNDEZ
l 尖閣戦争シミュレーション
FP JANUARY
15, 2016
How FP
Stumbled Into a War With China — and Lost
BY DAN DE LUCE, KEITH JOHNSON
尖閣諸島、あるいは、中国人が釣魚島と呼ぶ無人島群の1つ、魚釣島に、日本の右翼グループが上陸を試みた。それは東京政府と北京政府との間で長年の紛争状態にあった。その島を日本の領土として国旗を立てる彼らの行為がYouTubeに流され、中国海軍を刺激した。
東京の反応は遅く、なんとか極右の行動を抑えたが、すでに中国側はその行為を敵対的とみなし、武装した沿岸警備隊や海軍の艦艇を尖閣の浅瀬に派遣していた。活動家たち14人を逮捕し、中国に連行して裁判にかける。
翌日、日本の沿岸警備隊とF15戦闘機の編隊が尖閣諸島領域に展開する。中国は海軍の艦艇を引き上げず、双方は衝突に向かうコースに入る。東京政府はワシントン政府に対して、1951年に署名して以来、両国間で相互の防衛を取り決めたとおり、日本の防衛に責任を負うように求める。ホワイトハウスは決断を迫られる。
幸い、このシナリオはアメリカ政府の危機管理室ではなく、ランド・コーポレーションで示されたものだ。Foreign
Policy は、戦争ゲームの専門家David
ShlapakとFPの記者Dan De
Luce and Keith Johnsonに依頼して、仮想的な危機を描いてもらった。3人は、ペンタゴンから数ブロックの会議室で話し合った。
断っておくが、われわれは戦争を挑発する政治家とは違う。われわれは攻撃的な選択肢を避けようとしたし、抑制を試みた。それは戦争ゲームのいつの段階でも、中国であれ、アメリカであれ、引き受けた役割を通じてそうしたのだ。しかし、事態は急速にわれわれの手を離れて、日本と中国の双方で高まるナショナリズムの情緒的なエスカレーションに陥った。このシナリオは現実と大きく異ならないだろう。
われわれは戦争を求めず、戦うことを望まなかったが、その結果はひどいものだった。
第2日
条約を守ることは、アメリカにとって絶対だった。それは単に日本や、アジアの問題ではない。ロシア、イラン、NATO、サウジアラビア、イスラエル、その他の国が、アメリカの最も緊密で古い友好国からの支援要請に対してアメリカがどのように反応するのか、注目している。しかしまた、世界で唯一の、他の超大国である中国と、いくつかの無意味な岩礁をめぐって戦争することを、アメリカは何よりも好まない。
それゆえわれわれは、日本の本土を守るためにアメリカの海軍や空軍を使うが、中国に対するいかなる攻撃的な行動も拒否する。米空母ジョージ・ワシントンを横浜から出航させる。それは中国軍が、いわゆる「空母撃破」ミサイルを開発してきたことを知ったうえで、(標的となりやすい)港にとどまっていることはできないからだ。カリフォルニアの第3艦隊は、不測の事態に対処するために、太平洋の北部を目指し始める。われわれはまた、中国側にアメリカの攻撃型潜水艦が紛争海域に展開し、必要なら同盟国を支援することを知らせるだろう。
ここで次の重大な決定がなされる。日本が駆逐艦を尖閣に派遣するのだ。そして、われわれに日本海での駆逐艦の護衛を要請する。われわれはこれを引き受ける。なぜなら、それは本土防衛の一部である、と判断するからだ。
第3日
危機が暗転するのは、日本の漁船を尖閣付近で中国の沿岸警備艇が沈めてからだ。日本の反撃は放水銃や電波かく乱、低空飛行であった。中国の戦艦が日本の戦闘機に銃撃し、それに対して日本軍が中国側の船舶に砲撃する。中国側の戦艦が対艦ミサイルによる反撃を行い、短時間で日本側の2隻が撃沈される。約500人の死者が出る。
東京と北京との間で、「ホットライン」を含めて、外交的な交渉を試みるが、その努力はナショナリズムの激情が高まる中で中止される。さらに多くの船舶が撃沈されることを恐れて、日本政府は一層の支援をアメリカに求める。東京のアメリカ大使館には群衆が押し寄せ、他方、北京では憤慨する群衆がアメリカ大使館を取り囲む。ニュースや政治家は大騒ぎする。
ホワイトハウスは、行動することへの抗しがたい圧力にさらされる。戦争ゲームの専門家たちは、アメリカが何もしない、戦争を回避する、という選択肢を望む。しかしそれは、アメリカへの信頼を犠牲にし、日本海軍が崩壊するのを見守ることになる。われわれはサイバー攻撃で中国にシグナルを送るが、それでも直接の軍事攻撃は避ける。
第3の反応として、しっぺ返し、が考えられる。アメリカは潜水艦を犠牲にすることなく、中国側の船舶を沈めるのだ。もっと極端な反応としては、大規模なエスカレーションをもたらす。中国本土や主要軍事基地への攻撃を含めて、北京が史上最大のアメリカ軍と戦うことがないよう、明確なシグナルを送る、というものだ。アメリカを怒らせたら、何でもするぞ、と。
日本の小規模な、しかし能力を持つ海軍を維持することと、多方面からの圧力を考慮して、アメリカ政府は同盟国・日本に対等な競争条件を与え、そして北京にわれわれの決意を示すために、誘導ミサイルを積んだ中国の駆逐艦を2隻、魚雷で撃沈する。死者数百名が出る。
こうして中国人の血が流れ、今やアメリカと中国との戦争が始まる。
第4日
北京の指導部は衝撃を受ける。彼らはこれが中国と日本の戦争であることを明確にしていた。アメリカには関係なかったのだ。しかし、今や中国の軍事力は強化され、中国社会も変わった。1979年、中国がベトナムによって大きな敗北をこうむったときと違い、数億のネット市民たちが撃沈された船に対する報復を要求している。
Shlapakは、今、「中国」チームを担当する。その選択肢とは、まず、沈没した船や中国人のナショナリズムを無視する。あるいは、比例的な犠牲をアメリカ軍に負わせる、すなわち、アメリカ海軍を数隻、撃沈する。あるいは、より迅速に、沖縄の米軍基地をミサイル攻撃する。
ナショナリストを刺激するかもしれないが、われわれは非常に抑制されたアプローチを選ぶ。アメリカ軍を苦しめるが、流血は避けるのだ。日本軍には軍事的攻撃を続ける一方で、アメリカに対しては非対称的な能力を発揮する。すなわち、特に、サイバー・金融戦争だ。
すでにアメリカの電力供給システムにおけるグリッドに埋め込んだ軍事手段を起動させ、ロサンゼルスとサンフランシスコが電力を失って闇に陥る。NASDAQの自動トレーディングのデータに介入して、数百億ドルの富を消失させ、他の金融市場にもパニックが拡大する。われわれはまた保有するアメリカ債券の一部を売却すると示唆し、アメリカ・ドルの価値が急落する。
第5日
中国軍は日本の船舶を攻撃し続けている。24時間以内に、日本海軍の5分の1は戦闘できなくなり、数百人が死亡する。また戦争は本土に及び、日本経済への攻撃を行い、エネルギー供給グリッドを破壊し、重要なジェット燃料の補給所を爆破する。
日本は再びアメリカに支援を要請する。東京は3つの具体的要求をする。1.日本が長期に基地を提供してきた空母を派遣して、日本の船舶を防衛してほしい。2.中国の船舶をもっと攻撃してほしい。3.中国本土の対艦ミサイルを配備した基地を攻撃してほしい。
われわれは、アメリカが日本の攻撃に加わって中国本土を爆撃する用意はない、と告げる。中国軍のミサイルによって攻撃され、撃沈される恐れがある空母の派遣も否定する。われわれは東京に、潜水艦と戦闘機を提供し、日本の海軍が撤退することを援護する。アメリカは中国との戦争を避け、日本の海軍が完全に破壊される前に、また、日本経済が圧殺される前に、戦闘を終わらせる。
それは重要な意味のある決定だ。中国は戦術的な勝者になる。北京はアメリカと日本に勝ったと言える。そして尖閣諸島を領有する。しかし長期的には、中国の勝利は幻である。日本と他のアジア諸国は防衛支出を倍増し、中国に対する軍事的・経済的な同盟を形成するだろう。
この戦争で「誰の状態も改善することはない。」
われわれが日本の要請を受け入れたら、どうなるのか? 尖閣の戦闘海域から十分な距離を置いて空母を展開し、中国沿海部の対艦ミサイル基地を含めて、アメリカ軍が数百の基地を正確に破壊する。中国の指導部には、その手段の限定的な性格を説明する。
アメリカ軍のミサイルが中国本土を襲えば、日本の商業貨物船が撃沈され、中国の最新の海軍が潜水艦攻撃で沈没し、その報復に中国軍は沖縄の嘉手納基地を破壊する。空母ジョージ・ワシントンもミサイルで攻撃され、離脱を強いられる。死者は双方で数千人に上る。
アメリカが何をしても、日本海軍や尖閣諸島を守ることはできない。中国は日本を際限なく破壊することができる.
大国間の戦争に内在するリスクを理解しなければならない。それは雪崩のようなものだ。それが起きるとわかっているが、いつ、どのようにして起きるのか、また、そのコストもわからない。
東シナ海について考慮すべきことは、
1.同盟は危険なものになる可能性がある。
2.日米安保条約によって日本に武器を供与しても、中国からのミサイル攻撃に弱い日本本土は守れない。
3.中国軍の増強がすべてを変えた。
4.アメリカのスーパー空母より、潜水艦による攻撃が有効だ。しかし、それは戦略的な失敗につながり、米中戦争を招く。
5.ナショナリズムはあまりにも強烈で、非常に危険である。
危機を管理する最善の方法は、アメリカがそれを無視することだろう。
FT January
19, 2016
China:
When big data meets big brother
Charles Clover
l 資本主義への批判は間違いだ.
Bloomberg
JAN 15, 2016
What
#ResistCapitalism Gets Wrong
By Noah Smith
l 台湾総統選挙の興奮
FP JANUARY
16, 2016
Taiwan’s
Great Recalibration
BY PATRICK M. CRONIN, PHOEBE BENICH
1月16日、台湾総統に民進党の蔡英文博士が当選した。小さな島の指導者交代は米中関係にも変化をもたらすだろう。
台湾人民は馬英九の「1つの中国」政策によって中国と急速に接近することを阻んだ。同時に、台湾民主主義の危機に対するアメリカのあいまいな姿勢を問うことにもなった。台湾の選挙は、ジェンダーの平等を支持し、若者の自国民意識にも動かされた。立法院の選挙にかかわった若者たちの運動は、新しい政党を生んだ。
台湾人民は、アジア全体の新しい政治運動を示すものである。蔡は、台湾の成長、主権、防衛に関して、政策を微調整するだろぅ。それは地域の情勢や米中関係にも影響する。特に、中国の国有企業による台湾IT企業の買収に反発しており、TPPへの参加を強く望んでいる。防衛面では、サイバー部隊の創設を計画している。
NYT JAN.
16, 2016
Taiwan’s
New Leader Faces a Weak Economy and China’s Might
By AUSTIN RAMZY
l ポピュリストとしてのトランプ
NYT JAN.
16, 2016
Donald
Trump’s Existential Pickle
Frank Bruni
FT January
17, 2016
America’s
moment of truth on Donald Trump
Edward Luce
「ドナルド・トランプはアメリカ大統領になれるのか?」 それは繰り返し問われたし、その答えは”No”だった。しかし、アメリカ政治は明らかに変わった。
なぜトランプにはこれほど支持が集まるのか? 日本を訪れて、それを強く思った。日本経済は20年以上も停滞しているが、トランプのような発言をしている政治家は1人もいない。安倍晋三への支持率が高いのも経済を回復したからで、彼の目指す、戦争を否定する憲法の改正には反対するものが多い。
日本経済は停滞しているように見えるが、それは人口が減少しているからであり、日本人の中間層は1人当たりの所得を減らしていない。また、日本は基本的に、移民を拒む同質社会のままであり、外国からの大規模な移民流入に問題を転嫁することはできない。経営者の給与は平均賃金の67倍でしかなく、アメリカの331倍には遠く及ばないからエリートを敵視するのも難しい。
トランプを支持する人々は、究極的に、アメリカの在り方を選択しなければならないのだろう。トランプが唱えるような、より日本に似た、閉鎖的社会に向かうのだろうか?
FT January
20, 2016
Palin and
Trump: a double act that irks ideological conservatives
Edward Luce in Washington
NYT JAN.
20, 2016
My Sarah
Palin Romance
Ross Douthat
FT January
21, 2016
Sarah
Palin’s rhetoric soup is tasty fare for US conservatives
Sam Leith
NYT JAN.
21, 2016
Palin,
Trump, Cruz and Corn
Gail Collins
l 株式市場の動揺と資本主義システム
The
Guardian, Sunday 17 January 2016
Why are we
looking on helplessly as markets crash all over the world?
Will Hutton
世界の金融市場が動揺している。対立は資本主義の核心にある。資本主義は富を創る最高の機械であるが、それ自体で運動を規制するような性格はない。
資本主義の下では、労働組合や法律、公的介入があることで、経済活動は健全さを保ち、需要も安定する。そのためには、法律、金融、貿易の国際的な枠組みが必要である。
石油の価格が下落すれば、われわれは購買力を増し、消費や雇用を増やすことができるはずだ。ところが、市場はパニックに陥った。石油の高価格を前提した投資や融資が膨張しており、それは世界中の銀行システムや中国のポンツィ型経済の融資拡大、成長・雇用水準の維持、資源採取の海外投資が前提していたことを破壊するものだから。
グローバルな無秩序が広がっても、資本主義にはそれを是正する力がない。英米の国民所得に占める利潤の割合は史上最高に達し、労働者の組織率は低下し、短期契約に依存する経済活動が増えている。富裕層は自宅の地下室にスイミングプール、映画館、スポーツジムを揃えるが、中産階級の間に広がる貧困にはまるで関心がない。
中国では、何十兆ドルもの融資を行う、実質的には破たんした銀行が、さらにひどい影の銀行と一緒に、レーニン主義と強欲な資本主義との破滅的な統合を示している。中国共産党は、その信用を破壊しながら、消費者と企業に国有銀行から融資し続けているのだ。それは崩壊を準備された巨大建築物である。その損失が現れたとき、一夜にして消滅する。その頂点にあるのは、1バレル60ドル以上の石油価格を前提した石油・天然ガス・化学産業への投資だ。
この細心の注意を要する時期に、アメリカ連銀は金利を引き上げた。インフレの危険は全くないにもかかわらず、ビジネスを正常化するためだ。異常な経済において求められた金融手段を失うことに、システムは耐えられないだろう。アフリカやラテンアメリカのいわゆる新興経済からは資本流出が加速する。
経済思想を根本的に転換する必要がある。世界労働市場と21世紀の労働組合を強化するべきだ。金融市場のパワーを制限するべきだ。信用の膨張を銀行のバランス・シートによって直接に管理し、銀行をカジノから切り離すべきだ。株主の利益によって大企業が踊るのではなく、価値を創り出すことを優先するべきだ。
すべては新しい世代の政治指導者を求めている。1980年以降の思想を捨てて、世界を作り直すときだ。
FT January
17, 2016
The ugly
subtext beneath China’s two-track economy tale
Tom Mitchell in Beijing
The
Guardian, Monday 18 January 2016
The next
financial crash is coming. Which way will the world turn?
Damian McBride
FT January
18, 2016
How to
wean the world off monetary stimulus
Robert Zoellick
7年続いた政府が主導する需要維持の時代を終えて、世界は異常な金融緩和から、民間主導の成長に移行する必要がある。中国市場の動揺は世界に波及したが、それは深刻な不確実さと新しいアプローチの必要性を示すものだ。
第1に、Lawrence
Summersは、世界は需要不足の「長期停滞」に向かうと懸念する。新興市場はグローバルな需要不足に直面し、資本逃避、投資減少、通貨価値の下落に直面する。中国も重工業からサービス業への難しい移行を迫られる。各国の政府は通貨価値を下げて需要を奪い合い、保護主義が広まる。その解決策は政府が支出を増やすこと、特に低金利を利用した大規模なインフラ投資である。
しかし第2に、Kenneth
Rogoffは、世界経済が債務超過の「スーパーサイクル」で後半の過程にあるだけだ、とみなす。歴史が示すように、緩やかではあっても、成長は回復するし、時間がたてば債務超過は解消される。システミックな市場の危機はグローバル経済への懲罰期間である。それゆえSummersのような政府支出は債務依存を長引かせる。金利を低くして、債務処理を促すことが正しい。無駄な国家プロジェクトを増やしてはいけない。
第3に、Michael
SpenceとKevin
Warshは、生産性の上昇や民間部門の潜在力を強調する。極端な政策は民間部門の期待をゆがめてしまう。投資、利潤、税、付加価値、政府の行動について、民間部門は予想する。彼らの行動を妨げてはならない。民間投資や雇用を助けるように、税制や規制を改革するべきだ。しかし、それには政治的な行動が求められ、ポピュリストたちの刺激する混乱が意思決定を妨げる。その結果、金融緩和への過度の依存が続くのだ。
2016年は、各国が構造改革を実行する政治的意志によって決まるだろう。もし金融政策から成長政策への転換を実現できなければ、未来はSummersやRogoffが予想するものに向かう可能性が高い。すなわち、低迷する経済、通貨戦争、分配をめぐるポピュリスト政治。小さな危機が繰り返され、経済を苦しめる。
政治家たちは、今、運命を切り拓くのか、あるいは、経済的実験の結末を将来の再検討に委ねるのか、問われている。
FT January
18, 2016
The limits
for emerging economy central banks
FT January
18, 2016
Cooler
heads will prevail even as markets panic
Scott Minerd
VOX 18
January 2016
The price
of oil, China, and stock market herding
Olivier Blanchard
NYT JAN.
18, 2016
Stop
China’s Market Manipulations
By SCOTT KENNEDY
Project
Syndicate JAN 19, 2016
China’s
Stock-Market Red Herring
JEFFREY FRANKEL
株価の下落に関心が集まっているが、中国経済で注目するべきはその改革の行方である。
中国がその前例のない高成長を維持できないことは不思議でないし、2015年には株や住宅のバブルが生じていたと見られる。問題は、成長減速ではなく、中国がそれを円滑に管理できるかどうか、ソフト・ランディングかハード・ランディングか、である。
それは一般に「中所得の罠」と言われているが、中国に特有な問題がある。1.資本の収益率が低下している。2.都市の地価が高騰している。3.高齢化・人口減少が進んでいる。
中国が採用してきた成長モデル、無尽蔵の労働力供給に依拠する労働集約型の製造業は、その競争力を失うだろう。経済はサービスへと比重を移し、生産性上昇の余地は少ない。発展した諸国からの技術ギャップを吸収することも減って、自分で技術革新に成功するしかない。
1980年代以降の日本、1997-98年の危機後の韓国も、大規模な投資や債務に依存した成長から転換することに苦しんだ。過剰生産力が金融危機に至るリスクは、中国も同じだ。
中国の指導部はこれらの問題を理解しており、それに必要な政策を実行している。特に、土地や労働力における市場の弾力性を増すことが重要だ。国有企業は抑制し、医療保険、釈迦保障、税制を整備し、よりより環境規制を実現しなければならない。
NYT JAN.
19, 2016
Davos
Takes a Fresh Look at Emerging Markets
By LANDON THOMAS Jr.
FT January
20, 2016
US bull
market era on borrowed time
Nicole Bullock
FT January
20, 2016
Jittery
financial markets pose risk for global rebalancing
Diana Choyleva
The
Guardian, Thursday 21 January 2016
Don’t
blame China for these global economic jitters
Ha-Joon Chang
欧米日市場の株価下落、中国の株価下落、そして原油価格の12年ぶりの低水準は、世界経済の減速を示している。
中国の株価や成長減速を責める声もあるが、それは間違っている。世界系座に占める中国の比率は13%に達したが、今も、アメリカ22.5%、ユーロ圏17%、日本7%を合わせると半分に近い。むしろ富裕諸国が中国経済に強い影響を与えているのだ。
真実は、2008年から、欧米経済はまだ回復したことがない、ということだ。最も良好なドイツでさえ、一人当たり実質所得の差は、2008-2014年の期間、年成長率でわずか0.8%でしかない。アメリカは0.4%だ。1990-2010年、日本はいわゆる「失われた20年」であったが、年成長率は1%に達しており、それに劣る。
しかも回復の大部分は、量的緩和によって資金供給された金融市場のバブルによるものだ。現在の経済混乱の主要な原因は、英米を中心とした富裕諸国にあるが、彼らは根本的な調整を嫌い、新しいバブルを刺激することで回復するだけであった。この破たんした経済モデルを浮揚するために、われわれは過去7年間を浪費したのだ。
こうしたモデルを破棄して、金融部門の複雑さを排除し、長期的な視点で、実物経済への投資を増やすものにしなければならない。金融部門は財政の健全化や技術革新を助け、また、人々が債務を膨張することなく、需要を維持できるように不平等を減らすべきである。
YaleGlobal,
21 January 2016
Worries
Over China’s Slowdown Drive Global Markets
Farok J. Contractor
(後半に続く)